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 これは制裁とかとはあまり関係がなく、むしろ国際市況の影響が大きいが、昨年の後半くらいからロシアの石炭輸出はずっと不振である。こちらの記事が最新事情を伝えているので、以下要点を整理しておく。

 記事によると、ロシアの海運による石炭輸出は、2024年1~6月期に7,910万tとなり、前年同期比16.8%低下した。なお、ロシアの石炭輸出の9割ほどは、海運によるものである。

 石炭輸出の減少は、世界市場での石炭価格の下落と、ロシア南部タマニ港のOTEKO社ターミナルへの供給制限に加え、為替連動輸出関税の影響によるものである。

 為替連動輸出関税は、昨年10月に初めて設定され、今年1月に停止されたが、3月に再開され(2025年2月28日まで有効の予定)、5月に再び8月31日まで停止されるという複雑な経緯をたどった。関税率は、1ドル=80~85ルーブルでは4%、1ドル=85~90ルーブルでは4.5%、1ドル=90~95ルーブルでは5.5%、1ドル95ルーブル以上の場合は7%となっている。

 OTEKOターミナルの石炭出荷の停止は、石炭会社が冬に供給をボイコットし、積み替えサービスの料金引き下げを求めたことによる。2024年1月、OTEKOの料金は1t当たり38ドル程度であった一方、他のターミナルの料金はもっと低く、ノヴォロシースクでは14ドル、トゥアプセでは15ドル、タガンログでは11ドルであった。4月にOTEKOは18ドルへの値下げに応じた。

 2023年のロシアの石炭生産量は前年比1.1%減の4億3,870万t、輸出量は3.9%減の2億1,250万tとなった。2024年4月にS.モハルニコフ・エネルギー次官が述べたところによると、ロシアの供給量のほとんど、83%(1億7,500万t)はアジア太平洋諸国に供給された。2024年の石炭生産と輸出は、前年と同レベルを維持するはずだと、次官は述べた。同時に次官は、ロシアの東部、北西部、南部における鉄道キャパの限界が石炭輸出の増加を妨げていると指摘した。アナリストのM.フダロフによると、年末までに石炭価格が改善することは考えにくいという。


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