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 寒冷国のロシアの場合、地球温暖化を、絶対に阻止しなければならない悪夢というよりは、「悪いことばかりではない」と捉える傾向がある。こちらの記事によると、今般モスクワで開かれた会議で、気候変動がロシア諸地域の発展にとって及ぼす影響につき意見が交わされたということである。以下、記事をざっと抄訳しておく。

 講演者たちは、今日、人間が環境に与える影響は地球的な規模に達しており、生態系のあらゆる領域に影響を及ぼしていると指摘した。

 鉱業に関しては、地球温暖化の両面の影響が見られるという。一方では、気候変動は、操業停止時間の短縮、屋外での作業条件の改善、暖房によるエネルギー消費の削減につながる可能性がある。他方、気候変動の結果、ガス生産量の減少、鉱山での作業の危険性の増大、石油ガス施設・金属構造物・ダムに対する脅威の増大などのリスクが増大する。

 温暖化がもたらすプラスとマイナスの影響は、運輸業、農業、林業、建設業、住宅産業、公共事業でも同様であると専門家は指摘する。

 専門家は、地域の環境問題を解決するために、例えば、牧草地が枯れてしまうまでの間、播種された牧草地を拡大して緑の飼料として利用すること、高度なモニタリング技術を応用して火災対策を行うこと、温度変化に強い素材を使った新しい設計を導入することなどを提案している。

 温暖化はロシアの人的資本と経済発展に深甚な影響を及ぼすため、気候変動への各地域の適応プログラムを策定し、気候変動の影響に関する政府、企業、公的機関スタッフの知識レベルを向上させ、気候変動への適応のための最善の解決策と技術を用意する必要がある。

 専門家たちは、環境プロジェクトは赤字になるのではなく、逆に様々なビジネス部門にとって有益であることを強調している。「環境・気候プロジェクトは、企業や地域にとって大きな経済効果をもたらす」と、ロシア経済大学のYe.スダリコヴァは言う。

 会議ではまた、電気自動車へのシフトや二酸化炭素排出量削減活動を奨励し、適切なリサイクルが持続可能性の鍵であることが報告され、宇宙から温室効果ガスを監視する技術についも説明があった。


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