20240403a

 こちらの記事は、ウクライナの鉄鋼輸出を最も阻害している輸入制限措置は、米国によるものだという看過できない事実を指摘している。上図に見るとおり、各国の制限措置によるウクライナの年間鉄鋼輸出の喪失は、米国が80.5万t、エジプトが50.0万t、ロシア主導のユーラシア経済連合が32.5万t、その他が7.0万tだという。以下、記事の要旨を整理しておく。

 現時点で、ウクライナ産鉄鋼に対し、11ヵ国(または経済ブロック)が計33の輸入制限を科している。

 このうち、EUは、戦争で苦しむウクライナの苦境に配慮し、6の制限措置を一時的に停止しており、それにはセーフガード関税割当も含まれる。現在、海路での輸出が制約されている中で、地続きのEUによるこの措置は重要なものだった。

 一方、米国は、通商拡大法232条をウクライナに対し免除しているが、その特例は2024年半ばをもって切れる。しかも、米国によるウクライナ産鉄鋼に対する7のアンチダンピング措置は今でも有効である。これらの措置はウクライナ産鉄鋼のすべての商品グループをカバーしており、米国への完成鋼材の輸出はほぼ不可能となっている。

 その結果として生じているウクライナの輸出機会の喪失は、年間80.5万tに及ぶ。敵国ロシアが盟主となっているユーラシア経済連合の5措置による喪失すらも上回っている。

 米国の7の措置のうちの4は、2004年以前に導入されたものだ。当時ウクライナは2,800万tの鉄鋼を輸出していたわけで、2023年の330万tは比べ物にならないほど少なく、米国の措置は完全に時代遅れになっている。

20240403b

ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ