
先日、ロシア統計局から2022年の地域総生産の統計が発表された。地域総生産とは、国内総生産(GDP)を地域別にブレイクダウンしたものに他ならないが、ロシアの各統計指標の中でも最も発表が遅いのが地域総生産であり、今頃になってようやく2022年の数字が発表されたというわけである。ともあれ、ロシアが戦争に突入した2022年の地域経済情勢を知る上で興味深いので、同年に経済成長率が高かった上位20地域を選んで、上掲のとおりグラフにしてみた。
2022年に成長率の高かったところは、辺境系の地域が多い。中でも、シベリア・極東の少数民族地域、具体的にはブリヤート共和国、トゥヴァ共和国、サハ共和国などは、ウクライナに多数の兵士を送り込んでおり、その給金や戦没者の弔慰金などで家計が潤っているはずであり、焼け太り現象が生じたものと見られる。他方、北カフカスのカバルダ・バルカル共和国、チェチェン共和国、カラチャイ・チェルケス共和国、アディゲ共和国、イングーシ共和国などの成長率も高かったが、その理由は個人的に良く分からない。
ネネツ自治管区がトップなのは、2022年に石油が15.1%増産しており、その効果によるものだろう。サハ共和国の成長には、中国向け輸出が好調なチャヤンダ・ガス田の開発も寄与しているはずである。
軍需生産が寄与していると思われるのが、クルガン州、オムスク州、タタルスタン共和国、サラトフ州、イルクーツク州、トゥーラ州などである。
クラスノダル地方、ヴォルゴグラード州などは、穀物の豊作によるところが大きいか。
ちなみに、2022年に成長率が低かった地域としては、カルーガ州のマイナス11.5%、リペツク州のマイナス8.0%など、従来工業団地や経済特区で成功していたが、侵攻後に外資系工場の撤退に揺れたところが目立った。
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