40

 こちらに見るように、2月29日にプーチン・ロシア大統領が年次教書演説を行った際に、概要以下のように述べた。

 ロシアは2023年に世界平均を上回る成長を遂げた。成長率で、EU主要国だけでなく、すべてのG7諸国をも上回った。過去10年間で築かれた基盤がものを言った。今日、経済成長のうち非資源部門が占める割合は90%を超えている。ロシア経済は高度で、技術的で、つまりはより安定したものになっているのである。今日、購買力平価ベースのGDPで、ロシア経済は欧州最大であり、世界でも5位である。今の成長のテンポと質からすると、近い将来に我が国がもう一歩前進すること、すなわち世界の4大経済国入りすることも可能だ。そうした発展は家計所得の上昇に直接的に転化することとなろう。

 さて、問題は、世銀のこちらのページから作成した上図のとおり、現在、購買力平価ベースのGDP規模の世界4位は、日本であることだ。つまり、今回プーチンが名指しで述べたわけではないが、ロシアが購買力平価GDPで世界4位になるということは、我が国を抜くことを意味するわけである。そんなことが可能なのだろうか?

 この問題に関し、こちらの記事の中で、ロシア独自の格付け機関であるNRAのS.グリシュニン専務理事がコメントしているので、その要旨を整理しておく。グリシュニン氏いわく、日本を追い越すには、ロシア経済が10年間で毎年4%以上成長し、なおかつ日本経済が年率1.5%以下の成長率に留まる必要がある。ただし、日本ではインフレが進行し、今後2年以内に早くも購買力平価ベースのGDPが縮小する可能性があり、そうなればロシアはより早く日本に追いつくことができる。もっとも、そのためにロシアは官民を問わず、大規模な投資を行う必要がある。こうした投資がインフレを加速させてはいけないが、実質的に開放された経済では非常に難しい。他方、現在ランキングでロシアの下にいる国々についても忘れてはならない。成長するとはあまり信じられていないドイツや、人口ボーナスによって成長ペースが大幅に上乗せされる可能性のあるインドネシアやブラジルが控えている。もっとも、現状のロシアの5位というのも、あらゆる混乱、改革、制裁を考えれば、非常に高い成果である。グリシュニンは以上のように述べた。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ