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 「中欧班列」とは、中国と欧州の間を、カザフスタン・ロシア・ベラルーシ領等を経由して、コンテナ貨物列車で結ぶプロジェクトである。実は習近平が一帯一路政策を発表する前から始まっていたのだが、輸送量の順調な拡大ゆえ、一帯一路の代表的な成功例とされることが多い。一応、2023年の輸送量が判明したので、恒例により上図のとおりグラフを更新した(ただし、年々、概数の雑な発表になっている印象である)。

 2023年の中欧班列の輸送実績に関しては、中国国鉄の発表にもとづき、こちらの記事などが伝えている。中欧班列のスキームにより、2023年には1.7万便の列車が運行され、これは前年比6%増だった。また、190万TEUのコンテナが輸送され、これは前年比18%増だった。

 しかし、以前もお伝えしたかと思うが、EUによる対ロシアおよびベラルーシ制裁を受け、欧州の顧客離れが起きており、中欧班列と言いながら、カザフ・ロシア・ベラルーシが中国⇔欧州間のコンテナをトランジット輸送する量は、急減している。それでも中欧班列の数字が拡大を続けているのは、中国国鉄では中国⇔ロシア間のコンテナ輸送もそれにカウントしており、中露貿易の拡大につれてその利用が増えているからにすぎない。かくして、中欧班列は中~欧間の輸送回廊の構築という当初の理念からかけ離れ、単に中露の貿易ルートに変貌しつつある。


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