
こちらに見るとおり、このほどロシア統計局が、2023年のロシアGDPの速報値を発表した。これによれば、2023年の名目GDPは171兆410億ルーブルとなった。前年比、実質3.6%のプラス成長となった。
デヴィッド・A・ボールドウィン/佐藤丙午/国際経済連携推進センター 産経新聞出版 2023年12月
上のグラフは、産業部門別の増減率をまとめたものである。増加率が高かったのは、情報・通信、ホテル・外食、金融・保険、商業など、サービス系が目立つ。これらの部門は近年拡大が続いており、ウクライナ情勢や制裁云々は関係なく、単に成長分野ということなのかもしれない。
直近の国情をより如実に反映しているのが、製造業が大幅に伸び、逆に鉱業がマイナスになったことである。製造業を牽引しているのが、軍需に他ならない。鉱業は、欧米による制裁、特に天然ガスが販路を失ったことが響いているはずだ。穀物輸出は好調だったが、意外にも農林水産業の伸びは0.1%とごくわずかである。
建設の7.0%という伸びには、国の支援による低利優遇住宅ローンが効いているはずである。優遇ローンを受けられるのは、基本的に新築住宅だけなので、新築住宅バブルの状況となっている。
戦争経済の割には、公務・国防・社会保障の伸びは3.5%と平凡である。軍事支出は、この項目よりも、むしろ軍需産業を通じて製造業部門を押し上げているということか。
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