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 先日の「2023年のロシア港湾貨物量、Q4の失速で平凡な伸びに」でお伝えしたとおり、2023年の暮れにかけて、ロシアの石炭輸出が落ち込みを見せたということである。

 こちらの記事によると、2023年暮れにかけてロシアの石炭輸出が低下したのは、もっぱら経済要因によるものだった。生産に問題はなく、国内消費量も変化がなかったが、輸出の収益性が低下したのが問題だった。その原因は、2023年春以降国際的な競争が激化し国際価格が低下したこと、そうした中EUがロシア炭を拒絶したためロシアがアジアにシフトしようとし、西部港湾からアジア諸国への輸送費がかさみ、他方で鉄道による輸送もキャパの限界があったこと、海上運賃や保険料が値上がりしたこと、シフトしようとした新市場で値引きを求められたこと、ロシア石炭産業で設備の輸入代替が進められ生産コストが上昇したこと、ルーブル安で設備および同部品の輸入および輸送費が上昇したこと、などであった。

 こちらの記事によると、2022年から2023年にかけて、一般炭の輸出は1億5,100万tから1億3,330万tに、原料炭の輸出は4,200万tから4,100万tに、それぞれ低下した。やはり痛手となったのは、2022年8月にEUによるロシア産石炭の禁輸が発効したことである。それ以来、ロシアの石炭輸出相手国として、中国、韓国、トルコ、インドが圧倒的になっている。それらの国々の以前のシェアは47%だったが、それが、2022年8月~2023年7月では80%強になった。2024年にも石炭輸出の低下が続く可能性がある。


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