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 ベラルーシにとって、ロシアから輸入した原油を国内2か所の製油所で精製して外国に輸出するビジネスは、ドル箱産業であった。その近況、特にロシアとの関係に関し、目に留まったいくつかの情報を整理しておく。

 6月に出たこちらの記事では、ベラルーシのD.クルトイ駐ロシア大使が、両国の経済関係についてインタビューに応じている。この中で対しは、ベラルーシにとってロシアは決して伝統的な石油製品輸出国ではなかったが、今年になってロシアへの供給を本格化しており、例年のベラルーシの輸出総量が600万~700万tであるところ、今年のロシア向けの輸出は100万tに達するかもしれず、これは前例のないことだと語っている。しかし、私の知る限り、例年のベラルーシの輸出総量が間違っているし、ベラルーシは時期により増減はあったがこれまでもロシア市場に供給してきたはずだ。

 8月のこちらの記事では、燃料の補助金にまつわる問題が触れられている。背景として理解すべきは、ロシアの石油精製部門には「ダンパー」という補助金制度があり、これによりガソリンと軽油の国際価格と国内価格のギャップを調整していることである。しかし、上記の記事によると、いくらベラルーシが統合相手だからと言って、ベラルーシ産の燃料は「外国産」として、この補助金の対象にならなかった。そこで、2022年9月より、ロシアのプロムスィリヨインポルト社がベラルーシ産の燃料を買い上げ、それをサンクトペテルブルグ国際商品・原料取引所で売却することによって、補助金受給を可能にするというスキームが編み出された。ところが、ロシアで今年9月から補助金額が半減されたことで、ベラルーシの燃料を取引所で販売する旨味が薄れ、今後はベラルーシ産が出回らなくなる可能性があるという。ベラルーシ産の比率は決して大きくないが、ペテルブルグでは一定のシェアもあり、ベラルーシ産が消えることになると、価格面で影響してくると、記事では述べられている。

 最新のこちらの記事は、ロシアの石油税制改革に伴い、ベラルーシに支払われる補償金について伝えている。ロシアでは、石油の輸出関税を段階的に廃止し、地下資源採掘税にシフトする税制改革が進められてきた。ベラルーシはロシアの統合パートナーなので、もともと石油輸出関税なしでロシアの原油を輸入でき、他国に比べ有利だったわけだが、この税制改革が完了すると、そのアドバンテージが消えてしまう。そこで、ベラルーシが散々ゴネまくって、昨年のロシア・ベラルーシ財務省間の間接税共通化に関する協定により、ベラルーシの石油精製業者もロシアのそれと同等に逆物品税という形で補償金を得られることになった。今回の記事によると、これによりベラルーシの国庫に入る資金は2023年に17億ベラルーシ・ルーブルで、2024年の予算案では21億ベラルーシ・ルーブルに上るという。ただし、それは石油価格次第であると、記事では指摘している。


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