ロシアの鉄道政策に関する用語で、シベリア鉄道とバイカル~アムール(BAM)鉄道を総称してВосточный полигонと呼ぶようだ。ポリゴンの語感がいまいち掴めず、適当な訳語が思い浮かばないが。シベリア鉄道とBAM鉄道の概略図として、こちらのサイトに出ていたものが良かったので、上掲のとおり転載させていただいた。
それで、BAM鉄道とシベリア鉄道を近代化し拡張するというのは、こちらのサイトに見るとおり、2018年策定のナショナルプロジェクトの一つ「基幹インフラ近代化・拡張総合計画」に盛り込まれていた経緯がある。
ただ、ロシアがウクライナ侵攻を開始し、それまで主力市場だった欧州の市場が閉ざされると、ロシアは貨物を欧州から中国を中心としたアジアにシフトすることを余儀なくされ、シベリア鉄道およびBAM鉄道のキャパシティ不足により、そのミッションに支障を来たした。こちらのサイトによれば、2021年の時点でシベリア鉄道・BAM鉄道の年間輸送キャパシティは1億4,440万tに留まっている中で、需要は2億8,400万tもあり、実に1億4,000万tもキャパ不足になっているということである。
そうしたことから、本年7月に出たこちらの記事によると、ロシア鉄道としてはシベリア鉄道・BAM鉄道の近代化プログラムを修正し、キャパシティの拡大を急ぎたい構えである。最終的に、2032年までには2億5,500万tのキャパを達成したいとしている。ただ、その財源として、財政のリザーブである国民福祉基金の資金拠出を希望しているものの、実現するかはまだ不透明である。
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