先日、こちらのサイトで、クレムリンによるベラルーシ併合の秘密文書を入手したとするスクープ記事が発表され、一部で多少話題になった。ロシアが2030年までにベラルーシを取り込むことを目論んでいるとの内容である。プーチンが築こうとしている大ロシア建設計画の一環と位置付けられている。
ベラルーシ併合プランを取りまとめたのはD.コザクを中心としたロシア大統領府で、そこにFSB、SVR、GRUなどのシラビキ系のインテリジェンス要員も加わり、詳細なロードマップを作り上げた、という。「ロシア連邦にとってのベラルーシ方面での戦略的目標」と題され、2030年までにベラルーシをロシア国家に取り組むためのやることリストになっているという。
ただ、記事では下に見るようなロードマップが描かれているのだが、個人的には、これまでロシア・ベラルーシの連合国家の「連合プログラム」の枠内で推進されてきた統合プランに沿ったものだと感じる。驚くような新内容は見て取れない。
また、私が見るところ、クレムリンがベラルーシの独立国家としてのステータスまで奪おうとしているかというと、やや疑問である。ベラルーシは、やせても枯れても、国連の原加盟国である。国連総会でロシア非難決議を採択する際に、反対してくれる世界で数少ない同盟国だ。ベラルーシをがんじがらめに縛って、ロシアの意のままに動かしたいという思惑は当然あるが、独立国家という体まで奪ってしまうことはないと、個人的には見ている。

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