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 ロシア税関局から、2020年上半期(1~6月期)の通関統計が発表されたので、恒例作業として、ロシアの貿易相手国上位20ヵ国を示した表を更新してみた(クリックまたはタップで拡大)。まあ、こうやってデータだけ見ても、色々と味わい深いものである。

 まず、ピンク色で示した日本。シェアはここ4年ほどほぼ横ばいだが、順位は2020年上半期にはベストテン圏外に消え、11位に沈んだ。周知のとおり、日本政府主導の経済協力で、北方領土問題解決と平和条約締結の環境を醸成するという戦略だったわけだが、現実にはその間に、ロシアの貿易相手国としての日本の地位は低下していたのである。むろん経済関係は貿易だけではないとはいえ、シンゾーとウラジーミルが駆けて駆けて駆け抜けた日々は一体何だったのかと言いたくなることは事実である。

 次に、今が旬、緑色のベラルーシを見てみよう。小国ベラルーシにとってはロシアが圧倒的に最大の貿易相手国だが、ロシア側にとってもここ数年は第4位の相手国であり、5%前後のシェアをコンスタントに占めている。しかし、2020年上半期には、輸出入総額が前年同期比で21.8%も減少していた(うちロシアの輸出が30.5%減、ロシアの輸入が7.8%減)。これは主に、年初に契約がまとまらず一時期ロシアからベラルーシへの石油輸出が途絶えた(しかも再開しても価格が下落していた)ことを反映していよう。今見る政治変動の遠因の一つがここにあった。

 青で示したウクライナは、元々はロシア屈指の貿易相手国だったが、2014年の事件以降は低下の一途を辿っている。2020年上半期には、貿易額が前年同期比でほぼ半減したということが話題になっている。具体的には、輸出入合計で46.0%減、うちロシアの輸出が56.1%減、ロシアの輸入が28.9%減である。

 表を見れば一目瞭然のように、不動の1位は中国であり、しかも年々そのシェアが拡大している。天然ガスパイプライン「シベリアの力」が本格的に稼働するにつれ、さらに数字が膨らんでいくと見られる。

 ところで、ロシアの貿易統計を見る限り、2020年に入っても、英国がEUに分類されている。私は英国はもうEUの埒外にいると理解しているのだが、このあたり、どうなっているのであろうか?

 小さなことだが、ロシアの貿易相手国の上位20位に、近年では初めてウズベキスタンが入ったことが見逃せない。ウズベキスタンの開放政策の表れと言えよう。


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