KrMost22

 クリミア沖でウクライナ海軍の艦船などがロシア側から銃撃、拿捕された事件。ここでは簡単に、その背景だけ解説させていただく(10月に講演をした時にまとめた資料をリサイクル)。

 アゾフ海に面したウクライナのマリウポリ港は、ドンバス地方の主要港で、R.アフメトフ氏のSCM財閥御用達の港だった。船舶がケルチ海峡を通行してウクライナのアゾフ海港湾に滞りなく寄港できるかというのは、ウクライナ、とりわけドンバスの経済にとって決して無視できない問題である。

 そうした中、ロシアによるクリミア橋の建設以降(5月頃から)、ロシアの保安当局が、ウクライナ港に出入りする商船を停止させ乗組員のパスポートチェックをし、長期間の停泊を余儀なくされるようになり、実質的にウクライナのアゾフ海諸港を封鎖した格好になっていた。

 また、上掲図に見るとおり、クリミア橋のクリアランスは35メートルであり、高さ33メートル以上の船舶はクリミア橋の下を通過できない。クリミア橋が出来てからは、パナマックス級の船舶は、アゾフ海に入れなくなった。

 これらによるウクライナの直接的な損失は月1億グリブナに上るとされている。

 ポロシェンコ大統領は9月の国連総会演説で「ロシアがアゾフ海を占領しようとしている」として非難した。また、ウクライナはアゾフ海沿いのベルジャンスクでの海軍基地建設急いでいる。米国は本件に関してロシアを非難、またEUも欧州議会が10月25日決議で懸念を表明し、ロシアの対応によっては制裁の強化も辞さない構えを示した。

 以上が、今回の事件の背景というか伏線であり、そうした中で銃撃・拿捕事件が起きたというわけである。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ