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 G20を舞台とした首脳外交の一環として、9月4日にロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が会談した。その結果、こちらなどが伝えているとおり、両国は以前から検討されていた自由貿易協定の締結の方向で合意したほか、トルコストリーム天然ガスパイプラインをはじめとする一連の経済協力案件の推進でも一致を見たという。会談終了後にロシアのアレクセイ・ウリュカエフ経済相が記者団に語った。両国の経済省の代表が8月末にFTAに関する協議を行っており、10月の次回会合で作業を完了するよう、大統領から指示を受けていると、ウリュカエフ大臣は説明した。

 以上が報道の伝えるところだが、私は以前から、ロシアとトルコのFTAは2つの意味で筋が通らないと指摘してきた。第1に、ロシアはベラルーシやカザフスタンなどを巻き込んでユーラシア経済連合の形成を推進しており、もし仮にユーラシアが本格的な経済同盟だと自任するのであれば、FTAの締結のような事柄はユーラシアのレベルに一元化しなければおかしく、ロシア単独でそのようなことを進めるのは不適切である。第2に、ロシアは、ウクライナがEUと連合協定を結んで両者間のFTAが成立したら、ウクライナ産と偽ってEU産品が無秩序にロシアに流入してくる恐れがあると称して、連合協定に散々反対し、実際にそれが成立したらウクライナとのFTAを反故にして一方的にウクライナ産品に対する関税を導入した経緯がある。周知のように、トルコはウクライナなどとは比べ物にならないくらいEU経済圏と一体化した経済であり、その国とFTAを締結しようとしているということは、ウクライナ問題で散々ゴネていたことが、やはり根拠のない言いがかりだったということを認めるのと同じである。


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