引き続き、政治工学センターのマカルキン第一副所長による大統領選後のロシアの展望の続きで、これで最後です。

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 この状況でとりわけ求められるのが、正常で、制度化され、両者にとって許容可能な政治対話である。政権側は長年にわたり、少しでも野党に歩み寄ることは敗北であると受け取られかねないといった立場をとってきたが、12月の下院選後、その立場を改めつつあるのは、結構なことだ。すでに、ソビャニン・モスクワ市長が大規模集会の主催者と交渉し、相互に受入可能な妥協策を見出したという成功例もある。スタヴロポリ地方レールモントフ市の議会選挙で登録を拒否された候補者たちがハンストに打って出たことを受けて、フロポロニン北カフカス連邦管区大統領全権代表の尽力により選挙が延期され、緊張が緩和したという事例もあった。

 現在焦点となっているのは、政権側が政治改革の過程の主導権を握れるかということ。それに向けた重要な措置は、すでに打ち出されている。だが、上院議員の国民による直接選出、公共テレビの創設、選挙の際に政党ブロック創設を可能にすることなど、さらにやらなければならないことはある。レヴァダ・センターの世論調査結果に表れているように、国民も言論・出版の自由、人権保護など、政治改革の継続を望んでいる。政権側がもしもこれらの改革を一貫して推進すれば、改革の主導者となれるだけでなく、それが不可逆であることを保証でき、つまりは新たな重要な非公式的機能を手にすることになる。また、そうした決定により、大統領選の際のスキャンダルの否定的影響を緩和できる。しかし、防衛本能が優勢となると、惰性的な路線により政治的変化は押しとどめられるだろうが、現代世界では柔軟性を欠くアナクロなシステムが安定性を発揮できる可能性はますます低くなっている。選択は政権にかかっている。

 

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