HPロシア・コーナーのNo.0163でお伝えしたとおり、ロシアのプーチン首相は2月9日にロシア産業・企業家同盟の総会で演説し、そのなかで90年代に国有資産が不明朗な形で民営化されたことが尾を引いていると指摘したうえで、こうした過去に終止符を打つため民営化の受益者による国庫への納付金のようなものを検討すべきという考えを示した。これを受け会計検査院のステパーシン長官が2月17日付の『ロシア新聞』のインタビューに応じ、基本的にプーチン提案に協力する用意がある旨表明している。こちらのニュースが報じている。
これによれば、会計検査院は90年代に実施された民営化の再評価、しかるべき納付金の額の計算を行う用意がある。90年代に資産を取得した額と、その実際の価値の差額を弾き出すことは、基本的に可能だ。必要があれば、司法の場での解決もありうるし、それに会計検査院等の管理機関が関与することもできると、ステパーシンは語った。
2003年に会計検査院はロシアの90年代の民営化を総括する調査を完了しており、大部の報告書が作成された。ステパーシンによると、会計検査院はロシアの民営化の結果を分析し、それは欧州で最悪なものの一つであったということを、正直に指摘した。他方、報告書では、大規模民営化にしても、担保オークションにしても、法的には合法であり、当時の法律や大統領令に則って行われたということも述べられている。したがって、法的な観点からは、民営化の取り消しというのは、不適切である。ステパーシンによれば、この報告書が出たあと、何人かの大実業家が納付金の支払を申し出たことがあり、今日でも「不誠実な」民営化に対する補償を行う用意のある向きが出てくる可能性はある。自主的な補償なら何の問題もなく、大いに結構なことだ。肝心なのは、90年代の民営化の問題に終止符を打つことであり、過去についての真実を語ることで、今後の民営化を適切に行うことができると、ステパーシンは指摘している。