ウクライナのアザロフ首相が2月13日、自らのウェブサイトを開設した。http://www.azarov.ua/というのがそのアドレスである。むろん内閣のウェブサイトはこれまでもあったわけだが、今回開設されたページはURLに「gov」がないことから見ても、個人のページという位置付けになるのだろう。昨今では、スマホで情報を発信するアプリを提供する政治家がちらほらと出始めたものの、こういうオーソドックスなホームページを新たに開設するというのは、逆に珍しいかもしれない。

 おそらく、注目点は2つあるだろう。第1に、首相交代もささやかれるなかで、なぜこの時点でHPを立ち上げたのかということ。まあ、それほど深い意味はないのかもしれないが、もしかしたら、首相として生き残るために自らの存在感を誇示する、あるいは逆に首相解任を見越してその後の身の振り方のことを考え始めた、等々といった事情があるかもしれない。

 第2に、アザロフ首相のウェブサイトは、ロシア語・ウクライナ語のバイリンガルになっており、しかもロシア語の方がデフォルトになっていること。アザロフ氏は民族的にはロシア人であり、このHPにビデオが掲載されている記者会見を見ても分かるとおり、日頃からロシア語で発言している。ただ、ウクライナの公的機関のウェブサイトはほぼウクライナ語一辺倒だから、その意味でも本HPは個人色の強いものと言えるだろう。

 むろん、ロシア語を使うから、「親ロシア」などと考えるのは、ナンセンス。ここ数日のニュースを見ても、ロシア以外の石油・ガス供給源の確保に目途が立ったとアザロフ首相が発言したり、地域党現政権とロシアの関係は、ぎくしゃくしている。