ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

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 こちらおよびこちらの記事によると、ロシア鉄道のM.グラスコフ副社長が、同社で生じている貨物車両の問題につき語ったということなので、以下要旨を整理しておく。

 グラスコフ副社長によると、2025年初頭の時点で、ロシア鉄道で利用されている貨車は138.2万両に上っており、過去最高水準である。しかし、適正量は97万両であり、40万両程度が余剰となっている。貨車が多すぎることで、運行業務に悪影響が及び、貨物の流れが遅れ、貨物運送の信頼性に問題が生じる。その結果、鉄道の質的・量的指標が低下している、という。

 その一方で、グラスコフ副社長によると、一部の特殊貨車が不足している。無蓋車、石油・石油製品運搬車が過剰である一方、化学肥料、穀物、メタノール運搬車が不足している。ロシア鉄道としては貨車生産企業に、これらの不足貨車の生産に集中するよう要請したいと、グラスコフ副社長は表明した。


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 ロシア『イズベスチヤ』のこちらのインタビュー記事で、ベラルーシのM.ルィジェンコフ外相が同国の対外政策について語っているので、気になった部分だけ発言内容を以下のとおりまとておく。2022年以降、ベラルーシは相手国別の貿易額を発表しなくなっているので、大まかにでもそれに言及した箇所が、貴重と言えば貴重である。

 今日、ロシアとの貿易はベラルーシの貿易総額の65~70%に近づいている。今日のロシアとの政治的な交流は非常に強力で強固なものであり、我が国の外交政策において他のいかなる戦略的方向性もそのレベルに到達することはできない。ロシアとの文化的、人道的な結びつき、共通の歴史ゆえに、他の国家や国家グループとこのような関係を繰り返すことは不可能である。伝統的な家庭生活からスラブ的な正教の価値観に至るまで、現代のあらゆる物事に対する両国によるアプローチのメンタリティも、他のいかなる相手とも再現することは不可能である。したがって、ロシアは常に最も重要な位置を占めている。今日、我々が置かれている状況により、この関係は発展のピークにあり、相互統合の道を最大限早く進むことができる。多くの輸入代替策や革新的な開発プログラムが実施されており、両国にとって強力な経済基盤となっている。ロシア抜きで我が国経済のあらゆる分野の発展を想像することは不可能である。2020年という年は、我々の真のパートナーが誰なのか、そして誰がベラルーシを、経済的観点から、あるいは資源基盤や地政学的野心の実現という観点から、常にパートナーとして見ているのかを如実に示している。

 あらゆる制裁にもかかわらず、ベラルーシとEUの貿易額は依然として約80億ドルに及んでいる。興味深いことに、この額のほとんどは、EU内でベラルーシを批判し、反ベラルーシのレトリックを展開する急先鋒の国に属している。つまり、ベラルーシ当局の違法性を訴え、制裁を唱える一方で、商売はしているのである。というわけで、今日、ベラルーシとの貿易と経済協力への関心は存在する。EUの中核諸国が、ますます関心を示している。このことは経済関係の各種のイベントによっても裏付けられている。

  ベラルーシはBRICSのパートナー国となったが、正式メンバーになる可能性も常にある。しかし、正式なメンバーになるためには、まずこの組織の主な参加者すべてに、我が国の意図が本気であること、そしてベラルーシがこの組織に求められていることを証明する必要があるだろう。BRICSのメンバーになることは、ベラルーシの課題である。しかし、組織内を見渡し、他の人々が私たちに慣れ、私たちの加盟希望が安定していることを確認してもらうことも必要だ。そうすれば展望が見えてくるだろう。


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 上の図は、少々古いが、昨年10月にロシア紙のこちらの記事に出たグラフ。開戦後、ロシア産原油輸入の双璧となっている中国とインドの、輸入量の推移を示しており、左の紫が中国、右の赤がインドとなっていて、単位は100万t、2024年は1~8月の途中経過である。

 ことほどさように、ロシアの石油輸出ビジネスの生殺与奪の権を握るようになった中国とインドなわけだが、昨日ロイターのこちらの記事が、その両国がロシア産石油の購入を停止したと報じ、衝撃が走った。ただ、記事を読むと両国が政策的にロシア産原油の輸入を禁止したといったことではなく、米制裁等により生じた状況により輸入取引が麻痺しているということのようである。

 記事によると、米国が1月10日、ロシアの石油サプライチェーンを標的とした新たな制裁措置を発動。中国やインドの一部のバイヤーや港湾が制裁対象船を避けたため、タンカー運賃が高騰した。

 トレーダーや海運データによると、これにより米国の制裁の影響を受けていないタンカーの傭船費が急騰。これを受け、中国で売り手と買い手の間に大きな価格差が生じたため、ロシアの主要市場であるアジアにおける3月積みロシア産原油の取引は停止している。

 太平洋航路のアフラマックス・タンカーの運賃が数百万ドル高騰すると、太平洋のコズミノ港から中国向けに輸出される3月積みロシア産ESPOブレンド原油の提示価格が、DES(船渡しベース)でICEブレントに対して1バレルあたり3~5ドルのプレミアムに跳ね上がった。

 1月の米制裁に先立ち、旺盛な冬場の需要とイラン産のライバル原油の堅調な価格により、中国向けESPOブレンド原油のスポットプレミアムは1バレル2ドル近くまで上昇した。

 インドは通常、毎月中旬にロシア産原油のオファーを受けるのだが、1月には3月分のオファーをまだ受けておらず、3月着のオファー貨物量は1月と12月より減少する見込みだという。

 ロシア産原油は2024年のインドの輸入量の36%、中国の輸入量のほぼ5分の1を占めた。


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 やや紹介が遅れたが、ロシア財務省のこちらのページで、2024年のロシア連邦財政の速報値実績が発表されたので、恒例のグラフを更新しつつ、概況をお伝えする。なお、ロシア財務省のページは日本を含む外国からはアクセス不能なので、当方はVPNで接続。

 2024年のロシア連邦財政は、歳入が36兆7,070億ルーブル、歳出が40兆1,920億ルーブル、収支は3兆4,850億ルーブルの赤字(対GDP比1.7%)だった。歳入の内訳は、石油・ガス歳入が11兆1,310億ルーブル、非石油・ガス歳入が25兆5,760億ルーブルだった。

 ちなみに、2024年の当初予算では、歳入が35兆267億ルーブル、歳出が36兆6,221億ルーブル、収支は1兆5,954億ルーブルの赤字(対GDP比0.9%)に設定されていた。10%近いインフレを差し引いても、財政は想定以上に膨張したことになる。

 当然のことながら、財政規模と、その赤字をもたらしている最大の要因は、国防支出であると考えられる。しかし、財務省は歳出実績の内訳を発表しなくなっているので、検証は不可能である。

 2023年と2024年の比較は下表のとおり。

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 ウクライナ港湾管理局のフェイスブックページに、2024年のウクライナの港湾における取扱貨物量の概況が掲載されたので、簡単に紹介しておく。

 管理局の発表によると、2024年のウクライナ港湾による取扱貨物量は9,720万tとなり、前年の6,200万tを大幅に上回った。2024年も圧倒的に多かったのは輸出貨物で、8,810万tに及んだ。輸入貨物は880万tに留まった。

 2024年にウクライナの港湾貨物量が大幅に回復したのには、ウクライナがロシア海軍の脅威を遠ざけ、2023年後半から黒海西岸沿いを進む独自の航路を開設したことが大きかった。その結果、上図に見るとおり、主力である「大オデーサ港」、すなわち(狭義の)オデーサ港、ピウデンヌィ港、チョルノモルシク港の貨物量が急増した。一方、イズマイル、レニ、ウスチドゥナイシクという河川港は、「お役御免」とばかりに、貨物量を低下させた。


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 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターでは、2月14日(金)と17日(月)の2日に分けて、特別連続セミナー「2.24から3年を経たスラブ・ユーラシア世界」を開催します。無料、かつリモートで視聴できるので、是非ともチェックいただき、事前登録いただければ幸いです。全体では長大なプログラムですが、もちろんご関心のあるコマだけ聴いていただいても結構です。

 ロシアによるウクライナへの全面軍事侵攻開始から3年ということで、各所で色んな企画が進行していると思いますが、私どもスラブ・ユーラシア研究センターでは、しばしば語られる大国政治や戦況というよりは、地域研究拠点としての特色を生かしたプログラムを組んでみました。2月14日の第1部では、「周辺国からの視点」と題して、国末憲人「アゼルバイジャンとアルメニア ―もう一つの戦争をめぐって」、松澤祐介「中欧の小国開放経済とウクライナ戦争 ―スロバキアの『親ロシア』のコンテクスト」、六鹿茂夫「ロシアの巻き返し戦略とモルドヴァ・ルーマニア」という報告をお届け。2月17日の第2部では、「戦争で変わるロシアとウクライナ」と題し、山添博史「ロシア大国化構想から規範毀損型サバイバルへ」、田中祐真「戦時下3年間のウクライナ国内情勢」、服部倫卓「ロシア・ウクライナ経済のレジリエンス」というプログラムを組んでみました。いずれも、他では聴けない濃い報告になると思いますので、ぜひご期待ください。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、1965年1月24日にチャーチル元英首相が亡くなるということがあったが、それでも相変わらずブリティッシュ勢は好調。キンクスも然りで、All Day And All Of The Night - Kinksが今週10位で赤丸上昇中。前作You Really Got Meの二番煎じっぽいのも事実だが、この元祖パンクっぽさがキンクスの持ち味。

その頃ソ連では
1965年1月21日:ベラルーシ共和国で初の結婚宮殿がミンスクに開設される。

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 こちらの記事によると、ロシアのA.チェクンコフ極東・北極発展相が、2024年の北極海航路の利用拡大について述べたということである。

 チェクンコフ大臣いわく、専門家にとって、北極海航路には2つの異なる次元のルートがある。比較的快適な西ルートと、チェリュースキンの乗組員が遭難し救助された氷に覆われた東ルートだ。北極海航路のうち、この難所を通る貨物輸送量は、2024年に69%増加し、トランジットは44%増加した。我々は氷を克服しつつある。

 2024年の北極海航路の貨物輸送量は合計3,790万tとなり、これまでの記録を160万t以上上回った。2024年には92回の航行が行われ、トランジット貨物は300万tを超え、2023年のほぼ1.5倍となった。


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 先日、「紅海危機という追い風で勢いを取り戻した中欧班列」という話題をお届けしたが、その補足である。

 繰り返しになるが、「中欧班列」とは、中国と欧州を結ぶコンテナ鉄道輸送サービスであり、その主要部分はカザフスタン~ロシア~ベラルーシ領を経由する。ロシアのウクライナ侵攻で、このルートのトランジット輸送はいったん下火になり、中国⇔ロシア・ベラルーシの貨物増により補われる状態が続いていたが、2023年終盤にイエメンの武装組織フーシ派の商船に対する攻撃が発生すると、東西輸送の「裏技」として再び中欧班列のトランジット輸送への需要が盛り返した。

 それで、本日は、こうした変動の前提となっている海運の動きにつき、補足的にお伝えしたい。国際的な海運のボトルネックとなりうるような難所のことを「チョークポイント」と呼ぶが、上掲のグラフはその中でも重要なパナマ運河、スエズ運河、喜望峰周りの船舶通航数を図示している。パナマ運河は、降雨不足による水位の低下で2023年終盤に利用制限が課せられ、現在はそれからの回復途上にある。問題はやはり2023年暮れから生じたスエズ運河利用の急減であり、これがまさにフーシ派問題の影響によるものである。そして、スエズ運河航行数と反比例するように、喜望峰周りが拡大し、船舶が大回りを余儀なくされていることが確認できる。

 私の集計によれば、2023年から2024年にかけて、パナマ運河は10,870隻から8,760隻へと19.4%減、スエズ運河は26,884隻から12,059隻へと55.1%減、喜望峰周りは17,862隻から29,043隻へと62.6%増だった。


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 先日、「食料品の高騰で亢進した2024年ロシア消費者物価」という話題をお届けしたが、せっかくなのでもう少し詳しく紹介することにした。食料品、非食料商品、サービスと3つのカテゴリーに分けた上で、主要品目の小売価格が2024年の1年間でどれだけ上昇したかを、下図のようにグラフ化してみた。

 こうやって見ると、全般に値上がりが目立った食料品の中でも、やはりバターの高騰が突出している。他方、卵は2023年に行き過ぎた値上がりがあった反動か、主要品目の中では唯一、2024年に値下がりした。比較的安定が続いた非食料商品の中では、ガソリンが引き続き機微な品目となっている。サービスのインフレは、選挙のみそぎが済んだことを受け、2024年7月に住宅・光熱費が一斉に引き上げられたことに起因する部分が大きい。

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 最近、ロシアの製油所がウクライナのドローン攻撃を受けることが増えてきた。ロシア経済の機能、継戦能力を見る上で重要な要因なので、主な製油所の生産能力、親会社、所在地を整理し、上掲のとおりグラフにしてみた。出所はこちら


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2025年2月号のご案内。2月号は、「ユーラシア空間におけるBRICSの現在地」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 服部個人は今号では、いずれも特集の枠外ですが、「ロシアのアルミニウム輸出にも制裁の影が」、「2024年のロシア軍と軍需産業を振り返る」、「ウクライナ経済はロシア経済より健全?」を執筆しています。


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 こちらの記事が、ロシアからの石炭輸出の不振につき伝えているので、以下主要点をまとめておく。

 調査機関Argusのデータによれば、2024年のロシアの石炭輸出は1億9,500万tで、前年比8%減であった。オーストラリア産、コロンビア産の後塵を拝する形で、中国、韓国、トルコ向けの輸出が落ち込んだ。

 一部の採炭企業、たとえばクズバスラズレズウーゴリなどは、輸出の低迷を、電力消費増で需要が高まっている内需で補おうとした。そうしたこともあり、2024年のロシアの石炭生産量は4億3,870万tで、前年から0.2%減っただけだった。

 輸出の不振の原因となっているのは、対ロシア経済制裁、鉄道インフラの問題、世界市場における価格低迷である。

 ロシアの石炭産業の状況は、鉄道の問題によって悪化した。機関車と運転手の不足により、ロシア北西部と南部の港を経由する積み出しが減少した。この原因でロシア企業が2024年下半期に輸出できなかった石炭は、300万t以上に上った。

 また、ロシア鉄道の東部管区(シベリア鉄道とバム鉄道)の近代化工事により、極東の港への輸送が制限された。その結果、2024年のロシア鉄道の輸送量は過去15年間で最低となり、合計11億8,000万tに留まった。うち石炭は3億3,140万tで、前年比5%減となった。

 さらに、2024年初頭、ロシアの石炭会社は、OTECOターミナルでの積出料金をめぐる紛争により、黒海最大の石炭輸出港であるタマニ港経由の出荷停止を余儀なくされ、これによる輸出減も250万tに上った。


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 講演動画「ルカシェンコの30年を経てベラルーシはどこへ向かうか?」をSRCのYouTubeチャンネルにアップしたので、ぜひご利用ください。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 前年から英国勢による米チャート席巻、いわゆるブリティッシュインベージョンが続いていたが、今回は英女性歌手が1位に輝いた。Downtown - Petula Clarkが米チャートのトップに立った。ペトゥラ・クラークは芸歴は長く、1940年代から子役として活躍していたらしい。

その頃ソ連では
1965年1月15日:ベラルーシ共和国でスヴェトロゴルスク化学繊維工場が稼働し初生産。

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 こちらの記事などが伝えているとおり、1月15日にワルシャワでポーランド首相と共同記者会見に臨んだゼレンスキー・ウクライナ大統領が、ウクライナ軍が使用している兵器の出所割合について述べたということである。

 ゼレンスキーいわく、ロシアによる全面軍事侵攻開始後、ウクライナは自国の兵器生産を急増させているが、欧米からの兵器支援が供給の70%程度を占めており、引き続き欧米の支援が必要である。当初はウクライナ製が10%以下だったが現在はそれが33~34%に増えており、大幅な伸びだ。欧州からの供給が30%ほど、米国からの供給が40%ほどとなっている。戦車、航空機、ヘリコプターなどに関しては、ソ連製・ロシア製含め、現時点でウクライナよりもロシアの方が多く持っている。無人機に関しては、国内生産とパートナーからの資金のお陰で、ウクライナの方が上だ。もし今ロシアの凍結資金がウクライナに提供されれば、復興のためだけでなく、国内の成長のための資金も増えるだろう。ゼレンスキーは以上のように述べた。


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 こちらのページに見るとおり、2024年12月のロシア消費者物価がロシア統計局より発表され、それにより2024年通年のインフレ率も明らかになったので、早速恒例のグラフを更新しつつご紹介したい。

 2024年12月のロシア消費者物価は、前月比1.32%増、前年同月比9.52%増だった。ここにきて食料商品の値上がりが顕著になっており、12月には前月比で2.60%もの上昇を示した。

 ゆえに、下図のとおり、カテゴリー別の物価動向を示すと、年末にかけて緑・点線の食料商品が急上昇を描いている。おそらく庶民の肌感覚ではもっと高騰している印象ではないか。

 余力があったら後日より詳しく取り上げるかもしれないが、今日のところはこのへんで。

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 以前、「いまだ先進国市場にもはびこるロシア産アルミニウム」と題し、上図とともに、アルミニウムは先進国がロシアからの輸入を断ち切るのが難しい分野だとお伝えしたことがある。それでも、こちらの記事によると、目下EUは取りまとめを進めている第16次対ロシア制裁パッケージにおいて、ロシアからのアルミニウム地金の輸入禁止を検討しているということである。

 記事によると、EU諸国は、侵攻3周年の機会を捉え、2月に第16次制限パッケージを採択する意向。欧州委員会は14日、EU諸国と非公式会合を開き、近々発表されるパッケージの詳細について協議した。ある情報筋は、アルミニウム輸入禁止措置は段階的に導入されるだろうとしている。EUのうち10カ国が昨年暮れの書簡で、アルミニウムなどの金属を含むロシアの貿易に対するさらなる制裁を提案していた経緯がある。

 これまでのところEUは、ワイヤー、チューブ、箔を含むアルミニウム製品の輸入を禁止している。これらは、輸送、包装、建設産業で使用される金属で、EUの輸入の15%弱に相当する。鉄鋼よりも大幅に軽いアルミニウムは、現在、電気自動車の幅広い部品に使用されている。EUによるロシア産アルミニウム地金の輸入量は、禁止はされていないにもかかわらず、過去2年間で減少している。2024年1~10月にEUがロシアから輸入したアルミ地金は13万t強で、総輸入量220万tの約6%にあたる。2023年と2022年の同時期はそれぞれ11%と19%だった。EUと米国の企業は、UAE、バーレーンを含む中東からの代替供給を求める競争を引き起こす可能性がある。この地域は2024年には世界供給の9%ほどを生産している。


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 時々参照するロシア自然独占問題研究所のこちらのページに、ロシア鉄道による2024年の貨物輸送動向の資料が出ていたので、取り上げることにする。なお、貨物輸送の統計には、①重量、②重量×距離という2種類があり、今回は主に①の数字を見ている。

 この資料によると、①重量で見た2024年のロシア鉄道の輸送量は、前年比4.1%減だった。なお、②重量×距離では4.3%減だった。

 上図は、2022~2024年の月別の輸送量推移を示しており、グレーが2022年、青が2023年、赤が2024年である。2024年は年間を通して過去2年の水準を下回っており、特に下半期に落ち込みが目立った。

 さらに、個別品目の輸送量も出ている。2024年に輸送量が好調だったのは穀物、肥料くらいで、その他は石炭、金属など、軒並み輸送量が低迷している。


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 本日行う「ルカシェンコの30年を経てベラルーシはどこへ向かうか?」という講演に向け、準備しているところ。それに関連して、ちょっと面白いデータを見付けたので、紹介したい。

 反動化する一方のルカシェンコ体制下では、もはや自由な世論調査を大掛かりに実施したりはできない。そうした中、英国のチャタムハウスが、ベラルーシでのアンケート調査を細々と続けており、もはやベラルーシ国民の本音を垣間見る最後の手段のようになっている。

 今回私が注目したのは、2024年2月に実施されたアンケート調査で、貴方が最近「ベラルーシに生きていてよかった」と実感したのはどんな点か?と問うた設問の結果である。それをまとめたのが上図。ご覧のとおり、「戦争がない」という回答者が最多で、64%に上った。思うに、戦争アレルギーがどこよりも強いベラルーシにあっては、これは権力者と国民の社会契約のようなものであり、その最低限の合意を破ったら、いかに強権ルカシェンコといえども、国民に盛大に「ノー」を突き付けられそうである。以下、上位は「美しい自然」、「親切な国民」と続き、全然ルカシェンコの手柄ちゃうやんとなる。


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 いつも思うことだけど、中国という国は政治的にはアレだが、経済統計が出るのが早いのは、経済をやっている私のような人間にとっての好感度が高い。先日、「遅れ馳せながら中欧班列のHPを発見」というエントリーでお伝えしたとおり、このHPの統計コーナーに中欧班列の輸送データが毎月掲載されており、早くも2024年通年のデータが発表されたので、それを使って上図を更新してみた。

 改めて説明すると、中欧班列というのは中国と欧州を鉄道コンテナ列車で結ぶ輸送プロジェクトであり、習近平政権の一帯一路の旗艦的位置付けになっている。主要ルートは、カザフスタン~ロシア~ベラルーシ領を通過するものである。上図に見るとおり、その列車本数、輸送コンテナ量は、一貫して増え続けている。

 しかし、内実は見かけの印象とは異なる。2022年にウクライナでの戦争が起きると、EU企業は侵略国ロシアと、その同盟国ベラルーシを通過する輸送スキームを敬遠するようになった。そうして生じた顧客離れにもかかわらず、2022年、2023年も中欧班列が拡大を続けたのは、中国⇔ロシア・ベラルーシ輸送が急拡大したからである。ロシア・ベラルーシは、地理的には一応欧州ということで、中国鉄道はその分も中欧班列の実績に加えているのである。

 こうして、中国⇔EUのトランジット輸送路としてはいったん斜陽化し、どちらかと言うと中露貿易の輸送手段になりかけていた中欧班列だったが、2023年暮れからまた様相が変わる。イエメンの武装組織フーシ派による商船への攻撃が発生し、東西の大動脈だった紅海・スエズ運河が麻痺、中国⇔EU輸送の裏技として、再び中欧班列の利用が拡大に転じたのだった。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 いつもと画像の感じが違うと思われるだろう。実は札幌の雪道で転倒し左腕を骨折してしまった。いつもはスキャナーで画像を撮っているのだが、今は両手で本を押さえることができないので、スキャナーが使えない。なので、今回の画像はスマホで撮った写真であり、湾曲が酷い。非常事態なのでお許しを。

 さて、チャートで気になったのは、24位のMarianne Faithfull - As Tears Go Byである。言うまでもなくローリング・ストーンズのレパートリーとして良く知られているが、それがこんな風に、ストーンズに先駆けて世に出ていたとは。マリアンヌ・フェイスフルは、後にミック・ジャガーの恋人になる人で、当時からストーンズのマネージャー、アンドリュー・オールダムと知り合いだったため、この曲(ジャガー、リチャーズ、オールダム作)をプレゼントされ、1年後にそれをストーンズがセルフカバーしたということらしい。マリアンヌ版は意外にもアップテンポになっている。

その頃ソ連では
1965年1月17日:ナチス犯罪者に恩赦を与えようとする試みに関し、ソ連政府が西ドイツ政府に抗議。

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 Wedge ONLINEに、「<ロシア経済 2025年に臨界点は来るか?>プーチンも語る『ミサイルかバターか』の問題、ロシア政府の2024年経済10大ニュースから見える“実態”」と題する論考を寄稿しました。無料でお読みになれますので、ぜひご利用ください。タイトルが長いですが(笑)、編集部が付けてくれたものなので、悪しからず。


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 ロシアの石油大手ルクオイルは、ブルガリアでビジネスを展開してきた。ブルガスに製油所を有するほか、ガソリンスタンド、石油貯蔵所、船舶・航空機向けの燃料供給を手掛けてきた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻後の事業環境の悪化を受け、ブルガリア・ビジネスを手放す方針を、1年ほど前に表明していた。そう言えば、以前に「ウクライナに燃料を供給していたのはブルガリアだった」などという話題もあった。

 されで、今般伝えられたこちらの記事によると、カザフスタンの国営企業であるカザムナイガスが、ブルガス製油所買収の競売に参加する招待を受けているということである。カズムナイガス側では、我が社はブルガリアの隣国であるルーマニアでも2箇所の製油所に出資しており、ブルガリアの製油所を加えれば、国際エネルギー市場におけるプレゼンスが強化されるとして、前向きな姿勢を示しているということだ。


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 ウクライナ系メディアのこちらの記事が、米戦争研究所の情報等にもとづき、ロシア軍は戦線での装甲戦闘車両の損耗が激しいので、節約するようになっていると伝えている。

 記事によると、2024年にウクライナ軍は、ロシア軍の戦車3,000両、装甲車両9,000両を破壊するか、損害を与えた。それゆえ、ロシア軍が戦車・装甲車両の戦闘での使用を縮小せざるをえない場面が、非常に増えている。

 ウクライナ軍情報筋によると、ロシア軍はクラホフスキーなどの戦場で歩兵による攻撃に切り替えている。装甲車は歩兵部隊の火力支援としてのみ使用されている。

 ロシア軍が装甲車両日投入を縮小している理由として、戦争研究所は3点を挙げている。①装備備蓄の減少:ロシア国防総省保有のソ連製装甲車の備蓄は大幅に減少しており、ロシア軍は残存車両の節約を余儀なくされている。②再装備の難しさ:ロシア軍は装備品の補充という問題に直面している。これは、ロシアが失われた装備に代わる十分な新型戦闘車両を保有していないことが原因である。③機械化攻撃にとって不利な条件:クラホヴォやポクロフスクといった大都市近郊での攻撃は、ロシアが過去に戦った野原と比べ、装甲車両の使用にとって不利である。

 ウクライナの中佐が『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄せたコメントによると、ロシア軍はウクライナ東部での攻撃に電動スクーターやバイク、全地形対応車を使うことが増えているという。これは、装甲車の損失を補おうとするクレムリンの試みの一環である。このような車両は装甲車よりも安価で入手しやすいが、戦闘において同等の効果を発揮することはできない。

 戦争研究所によると、ロシアが開戦前に保有していた装甲車両のうち、2024年末現在で残っているのは、戦車の47%、歩兵戦闘車両の52%、装甲輸送車両の45%に留まる。

 アナリストたちは、2024年に9,000両近くの装甲戦闘車両が失われたことは、戦争開始後2022~2023年の年間損失量の3倍に相当すると指摘している。このため、ロシアが2025年にこのような損失を許容できる可能性は低い。「このレベルの損失はロシアの再装備能力を超えており、ロシア軍はもはや現在の年間装備損失率を維持することはできないだろう」と戦争研究所の報告書は述べている。


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 ウクライナ港湾管理局のフェイスブックページに、2024年のウクライナの港湾による取扱貨物量が出たので、以下で紹介する。

 これによると、2024年にウクライナの港湾は9,720万tの貨物を取り扱い(うち輸出貨物が8,810万t)、前年比57%増だった。うち、6,000万tは農産物だった。「2024年の成果は、戦時下にあり、敵が重要インフラに攻撃を仕掛けてくる中でも、ウクライナが自ら輸出ポテンシャルを切り開くことができることを証明した」と、港湾管理局では自信を示している。


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 ウクライナのルハンシク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を占領している(全領域ではない)ロシアは、2023年春に、占領地の鉄道を統合する形で、連邦国家一体企業「ノヴォロシア鉄道」=ФГУП "Железные дороги Новороссии"なるものを創設した。上の地図は、しばらく前に出たこちらの記事が、ロシア本土のロストフ、タガンロク、ドネツク州のマリウポリ、ザポリージャ州のベルジャンスク、メリトポリ、そしてクリミアのジャンコイを結ぶ新線の建設を始めたというニュースを伝えた時のものである。

 そして今般、こちらの記事が、ノヴォロシア鉄道が復興計画をまとめたということを伝えた。自称「ドネツク人民共和国」のD.プシーリン首長が明らかにした。

 プシーリンいわく、鉄道サービスに関しては、列車を運行するための準備はすべて整っている。オペレーションが可能になり次第、直ちに運行させる。戦線が前進するのに応じて、鉄道インフラを監査し、段階的に復旧させている。さらに、ノヴォロシヤ鉄道会社は、デバルツェヴォ、ヤシノヴァタヤ、イロヴァイスク、ヴォルノヴァハといったハブ駅を考慮した2025年から2030年にかけての復旧プログラムを策定している。実際の鉄道運行は、ドンバスとノヴォロシアの領域ですでに行われており、ロシア全体の鉄道網に接続する可能性もある。プシーリンは以上のように述べた。


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 欧州最大の原発であるザポリージャ原発は、今般のロシアによる全面軍事侵攻が始まって以来、ロシア側の支配下にある。原発の1号機が稼働開始したのは1984年12月だったので、原発はロシアによる占領という異常な状況下で、このほど稼働40周年を迎えた。

 それで、ウクライナ統治下では原発は「エネルゴアトム」によって経営されていたが、ロシア占領下ではロスアトムの子会社である株式会社「ザポロジエ原発操業機構」=АО «Эксплуатирующая организация Запорожской АЭС»によって管理されているということである。

 そして、その副社長であり、かつ原発の所長を務めているのが、ユーリー・チェルニチュークという人物である。こちらにその経歴が出ているが、ロシア側が派遣したわけではなく、元からウクライナの原子力業界で働いていた人物であり、近年はザポリージャ原発で幹部を務めていたところ、ロシア軍がやってきて、それに協力することにし、2022年11月に現職に就いたようだ。原子力コラボラトゥールといったところか。

 それで、今般TASSのこちらの記事で、ザポリージャ原発40周年を受けたチェルニチューク所長のインタビューが掲載された。あまり詳しく取り上げる余裕はないが、現時点では6つある原子炉のすべてが停止しているところ、2025年には一部でも再稼働にこぎ着けたく、そうなれば「ノヴォロシア」、ドンバス、クリミアの電力需要を全面的に賄えるようになる、といったことを述べている。


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mg

 かつてのソ連/ロシアには「対外経済銀行」というのがあり、近年ではそれが国営の開発機構となり、略称をとってVEB.RFという名称になっている。こちらの記事によると、このほどM.ミシュスチン首相がVEB.RFのI.シュヴァロフ総裁と会談し、国内6箇所の空港の新規建設事業への協力を要請したということである。

 6箇所とは具体的には、ロシア南部の主要都市クラスノダル、ガス王国として知られるヤマル・ネネツ自治管区のサレハルド、シベリアの奥地ゴルノアルタイスク、ウラル地方の製鉄都市マグニトゴルスク、西シベリアの代表都市オムスク、そして北カフカスの保養地アルフィズだという。

 私はプーチン路線のことを、「大砲もバターも、そして、コンクリートも人も」と呼んでいるのだが、果たして無茶な戦争を続けるプーチン・ロシアに、空港6箇所の新規建設という芸当は可能なのだろうか?


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、カーティス・メイフィールド率いるインプレッションズは好調が続いており、今週7位にはImpressions - Amenがランク入りしている。たまたま、『レコード・コレクターズ』誌2025年1月号でコモエスタ八重樫氏がこの曲のことを取り上げている。1963年に公開された米映画「野のユリ」というのがあり、日本ではその劇中歌をダニー飯田とパラダイス・キングが取り上げたりしたが、カーティスもその映画を観て感銘を受け同曲をカバーしたらしい。

その頃ソ連では
1965年1月1日:ソ連の中央省庁として、石油精製・石油化学省、建材産業省、軽工業・食品産業・家電産業省が新設される。

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