2012年10月26日付(No.42)の『コレスポンデント』誌は、今般のウクライナ最高会議(議会)選挙において、各党が莫大な宣伝広告費を費やしていることを伝えている。
記事によると、今回の議会選挙でウクライナ各党は、比例区だけで、2億2,500万ドルの広告宣伝費を費やした。これは最近の諸外国の議会選挙の例、たとえばドイツの8,000万ドル、ロシアの7,740万ドル、英国の5,050万ドルなどと比べて、飛び抜けて多い。有権者1人当たりに換算すると、ウクライナは6.1ドルであり、セルビアの7.6ドルやチェコの6.3ドルの方が上になるが、ウクライナの経済水準が低いことを考えれば、異常な規模の政党広告が溢れていることは間違いない。なお、ウクライナでは政党の広告宣伝費の上限が設けられていない。
ウクライナ議会選における広告宣伝費が肥大化している原因について、ある専門家は、議員たちにとって選挙は、単に権力のシステムを決めるだけでなく、自分たちが裕福かつ安全に存在するための方策であり、大々的なキャンペーンを張ることが議会に進出できる唯一の方法だからだ、と指摘する。ウクライナでは議員になりたい人が年々増加しており、今回の選挙には小選挙区に3,000人の候補が、比例区に2,000人の候補が登録された。これは、同じように小選挙区・比例制で選挙が行われた2002年の、2倍の候補者数である。
テレビCMの出稿は、10月17日の時点で4,600万ドルを超え、2007年の2,700万ドルをはるかに上回っている。多い順に、地域党の1,300万ドル、進めウクライナ900万ドル、野党連合「祖国」800万ドルなどとなっている。
ある専門家の指摘によると、効果的な宣伝のためには、大都市に80程度の屋外広告を設置するのが最適であり、それを超えると有権者の不快感を誘って逆効果だという。ところが、地域党はキエフに500~600の屋外広告を、進めウクライナは400を、UDARは300を設置、単に有権者を白けさせてカネをドブに捨てた形だという。ただ、今回の場合は、たとえば進めウクライナなどは新党なので、名前を浸透させるために広告が肥大化したという面もあった。
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