ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

 2012年10月26日付(No.42)の『コレスポンデント』誌は、今般のウクライナ最高会議(議会)選挙において、各党が莫大な宣伝広告費を費やしていることを伝えている。

 記事によると、今回の議会選挙でウクライナ各党は、比例区だけで、2億2,500万ドルの広告宣伝費を費やした。これは最近の諸外国の議会選挙の例、たとえばドイツの8,000万ドル、ロシアの7,740万ドル、英国の5,050万ドルなどと比べて、飛び抜けて多い。有権者1人当たりに換算すると、ウクライナは6.1ドルであり、セルビアの7.6ドルやチェコの6.3ドルの方が上になるが、ウクライナの経済水準が低いことを考えれば、異常な規模の政党広告が溢れていることは間違いない。なお、ウクライナでは政党の広告宣伝費の上限が設けられていない。

 ウクライナ議会選における広告宣伝費が肥大化している原因について、ある専門家は、議員たちにとって選挙は、単に権力のシステムを決めるだけでなく、自分たちが裕福かつ安全に存在するための方策であり、大々的なキャンペーンを張ることが議会に進出できる唯一の方法だからだ、と指摘する。ウクライナでは議員になりたい人が年々増加しており、今回の選挙には小選挙区に3,000人の候補が、比例区に2,000人の候補が登録された。これは、同じように小選挙区・比例制で選挙が行われた2002年の、2倍の候補者数である。

 テレビCMの出稿は、10月17日の時点で4,600万ドルを超え、2007年の2,700万ドルをはるかに上回っている。多い順に、地域党の1,300万ドル、進めウクライナ900万ドル、野党連合「祖国」800万ドルなどとなっている。

 ある専門家の指摘によると、効果的な宣伝のためには、大都市に80程度の屋外広告を設置するのが最適であり、それを超えると有権者の不快感を誘って逆効果だという。ところが、地域党はキエフに500~600の屋外広告を、進めウクライナは400を、UDARは300を設置、単に有権者を白けさせてカネをドブに捨てた形だという。ただ、今回の場合は、たとえば進めウクライナなどは新党なので、名前を浸透させるために広告が肥大化したという面もあった。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 これも選挙前の情報の後追いになるが、2012年10月26日付(No.43)の『フォークス』誌が、ウクライナ最高会議(議会)選挙が終了した後のシナリオに関する記事を掲載しているので、要旨をまとめておく。シナリオは、1.地域党が共産党(または小選挙区議員)と組んで過半数をわずかに上回る多数派を形成する、2.地域党が共産党(または小選挙区議員)と組んで過半数を大きく上回り憲法改正が可能な300議席を確保する、3.野党連合「祖国」、UDAR、「自由」が過半数を超えて多数派を形成する、4.政権派が多数を制するが、野党がその結果に異を唱え、選挙結果が無効とされる、という4つに分かれる。

 第1のシナリオは、地域党が共産党(または小選挙区議員)と組んで過半数をわずかに上回る多数派を形成する場合である。地域党が比例区で75議席、小選挙区で115議席をとり、共産党の40議席と合わせて、多数派となる。この最も現実味を帯びたシナリオが実現した場合、ウクライナ情勢にはほとんど変化がない。議会多数派は、完全に大統領に依存することになる。地域党は、野党議員を少しずつ一本釣りしていき、憲法改正が可能な300議席の達成を目指すことになる。IMFからの融資を取り付けるため、政権は社会保障歳出を抑制しようと試み、年明けには旧議会が採択した予算に修正を加えるだろう。賃金・年金引き上げの公約を取り下げ、チヒプコ副首相が尽力していた生活保護受給者も削減される。他方、地域党が準備していた贅沢税は、棚上げになる。その代り、春に財務省が発表していた2.2%の取引税が導入され、アルコール飲料の販売価格が引き上げられる。350の品目に対して輸入関税を引き上げるとされており、これが物価の上昇に繋がる。共産党は、最近まで地域党を批判していたが、政府のいくつかのポストと引き換えに、政権側の法案に賛成する(ただしこれまでどおり時折審議をボイコットしたりする)。野党は様々に抵抗しようとし、「自由」がロシア海軍はクリミアから出ていけとぶち上げたりするが、野党側も議会の解散や前倒し選挙にまでは踏み切れない。「自由」とUDARの提携交渉は不調に終わり、「祖国」のヤツェニュークは両者の仲介を何度か試みた末に、自らの2015年大統領選出馬に専念することになる。ヤツェニュークがそれに勝利するチャンスは大きいが、野党にとって脅威なのは憲法が与党多数派によって改正され、大統領が議会によって選出されるようになることで、そうなったらヤヌコーヴィチの再選は保証されたも同然である。

 第2のシナリオは、地域党が共産党(または小選挙区議員)と組んで過半数を大きく上回り憲法改正が可能な300議席を確保するというもの。チヒプコが表明しているように、地域党が比例区で100議席、小選挙区で150議席をとり、これに共産党比例区の35議席が加わって、さらに小選挙区の共産党議員や無所属、野党からの鞍替えなどで15名を加えて、300議席越えを達成する。このシナリオが実現すれば、地域党は憲法改正を目指し、特に大統領任期の1年延長、議会による大統領選出を実現しようとする。野党はこれに対抗できず、地域言語法の廃止法案、議員特権の廃止法案などを虚しく提出するに留まる。社会経済状況は悪化し、通貨も1ドル=10フリヴニャに近づき、社会は過激化する。その結果、「自由」の支持率が15%まで高まり、チャフニボクが野党からの大統領候補の主役の一人に躍り出る。

 第3のシナリオは、野党連合「祖国」、UDAR、「自由」が過半数を超えて多数派を形成するというもの。難航した交渉の末、3勢力が多数派を形成し、クリチコを議長に据える。ヤツェニュークとしては、多数派を形成できる上に、大統領選でライバルとなるクリチコを閑職の議長に追いやれるという点で、一挙両得である。野党勢力は、大統領弾劾法を可決し、ティモシェンコの罪状となった条項を刑法から外すことによってティモシェンコ釈放を実現し、内閣不信任案を出して、野党の影の首相であるS.ソボレフを首相に提案する。しかし、野党の法案は大統領によってことごとく拒否権を発動され、それをオーバーライドする議席は野党にはないので、頓挫する。ヤヌコーヴィチは新たな首相候補を最高会議に提示せず、ホロシコウシキー第一副首相が首相代行を務めることが予想される。これに対し議会は急進派の「自由」を中心に審議拒否で対抗、大統領は危機を回避するために妥協案としてP.ポロシェンコあたりの中立的な人物を首相に指名し、健康上の理由と称してティモシェンコを釈放する。それで野党が浮かれている間に、地域党は小選挙区の野党議員を1人ずつ一本釣りしていく。まずはUDARの小選挙区議員あたりがターゲットになる。地域行政は引き続き地域党の支配下にあり、それとの協力なしには議員は選挙区で活動もできないので。野党多数派は崩壊し、あとは第1のシナリオのとおりになる。

 第4のシナリオは、政権派が多数を制するが、野党がその結果に異を唱え、選挙結果が無効とされるというもの。欧米が、大統領とその家族・側近の口座を凍結するとして圧力をかけ、国内で抗議運動が起き、政権が譲歩を迫られるというもの。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 2012年10月26日付のウクライナ版『コメルサント』紙によれば、ウクライナでは28日投票の最高会議(議会)選挙後に、大掛かりな政権人事が行われる見通しであるという。

 記事によると、最高会議における地域党会派のO.エフレモフ会長が25日にその可能性について言及した。具体的なことは語れないが、人事異動があることは確実であると、同会長は述べた。専門家筋では、新議会の議員が正式に就任する前に、M.アザロフ首相が退陣するであろうとささやかれている。なお、内閣法によれば、政府の中でその任命に対し議会多数派(226人)の同意が必要なのは、首相職だけである。首相は、大統領の指名により、議会の多数派の承認を受け就任する。その他の閣僚は、首相の指名にもとづき、大統領令で任命される。専門家筋によれば、アザロフ首相の交代はすでに決まっており、後任の首相には現中銀総裁のS.アルブゾフが就くことになっていて、政府は大幅に入れ替わって若返るという。その際に、古い議会の方が政権に依存しており、首相人事への同意を取り付けやすいので、新議会招集の前にそれを済ませてしまうと、グローバル戦略研究所のV.カラショフ所長は指摘した。ただ、首相候補としては、Yu.コロボフ蔵相の名も挙がっていた。カラショフの説によれば、アルブゾフが首相に承認されたあかつきには、S.チヒプコ副首相・社会政策相、P.ポロシェンコ経済発展・商業相は、議会に活動の場を移す。V.ホロシコウシキー第一副首相の処遇は明らかでないが、M.プリシャジニューク農相はジトーミル州知事への転身が有力視される。政権人事には、EUが内閣の刷新を求めていることもその背景の一つにあり、内閣刷新が2013年にウクライナ・EUサミットを開催する条件の一つになっているという。地域党会派のV.ルィバク副会長は、アザロフ首相退陣の可能性についてはノーコメントとする一方で、UDARや「祖国」といった野党からの入閣もありうるとコメントした。現閣僚18名のうち、8名が議会選挙に出馬しており、その点からも大幅な政権人事は不可避と考えられている。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 ウクライナ最高会議(議会)選挙は28日に投票が終了し、比例区の大勢は判明しつつあるが、当方は事前の情報をまだ消化しきれていないので、できる限りやっておきたい。『エクスペルト・ウクライナ』誌の2012年10月22-28日号(No.40)に、今般の議会選の選挙戦における主要政党の基本戦略に関する論評が出ているので、以下のとおり抄訳しておく。

 地域党の選挙キャンペーンは、オレンジ政権との対比に重点を置いたものとなっている。政敵であるオレンジ派が政権に就いていた時期に経済が混迷しスキャンダルが多発したのに対し、地域党政権はユーロ2012を成功させ「安定」をもたらした、という具合である。Betra CommunicationsのP.クルフリャコウシキーは、地域党の選挙戦略はいかにも政権与党らしいものだったと指摘する。野党の動きが鈍い中で、的確な国家管理者という立ち位置は、理に適ったものだった。政治コンサルタントのD.バトゥリンも同意見で、すべての責任を前政権に押し付けても問題は何ら解決しないが、自分たち替えの利かない存在であるという雰囲気を作ることはできると指摘する。分析センター「第3セクター」のA.ゾロタリョフも、地域党は自分たちの実際の、あるいは想像上の業績をアピールし、前政権を批判しており、これはありふれた方法ではあるが地域党の基礎的な支持層には効果を発揮する、としている。これは防衛的な戦略であり、新たな支持層は発掘できないものの、第一党の確保は可能である、という。クルフリャコウシキーによれば、1年ほど前にはウクライナ南・東部の中核的な支持層が地域党離れを起こす難しい時期があったものの、地域レベルでロシア語を国家言語化する法律を可決したことで支持を取り戻した、という。

 野党連合「祖国」も、与党側の「白か黒か」と同様の、反国民的な政権VS民主勢力という構図に訴えた。しかし、10年前の2002年の議会選でそうした構図により「我らがウクライナ」、ティモシェンコ・ブロック、社会党、共産党が得たような成果は、もはや期待できない。当時は、数年間かけて反国民的で犯罪的なクチマ政権というイメージを作り上げ、それと戦う民主勢力というだけで支持率が高まった。しかし、その後の10年間で野党も政権に就き、有権者はそれにも失望した。世論は変わったのに、「祖国」は「クチマなきウクライナ運動」と同じような街頭での示威活動に訴え、代案も示さずに政権批判だけをやった。しかも、多くの国民は現野党を、2008年の経済危機と結び付けてイメージしている。1990年代なら「我々は勝利する」「ティモシェンコに自由を」といったスローガンでも勝てただろうが、今日では有権者は、「それで私個人にはどういうメリットがあるのか?」という醒めた目で見るようになっている、という。

 共産党のスローガンは、悪いのはすべてオリガルヒであり、国を国民の手に取り戻そうというものだった。興味深いことに、共産党は過去に郷愁を覚える人々と、輝かしい未来を夢見る若者(1991年以前の現実を知らない)という、両極端な支持層にアピールした。専門家のS.ヴァシリチェンコによれば、共産党の支持層は過去数年、共産党と同様の社会政策を訴えながら、より政権の座に近いかすでにそれに加わっている党に票を入れる傾向にあったが、それらの党に失望した結果、共産党に支持が戻ってきた、という。今回の選挙で共産党は、特に東部・南部・クリミアにおいて、地域党支持から離れてきた有権者の票の獲得に成功しつつある。

 V.クリチコのUDARの成功は、社会が新たな政治家の登場を求めていたことによる。最後にそのような現象が生じたのは、1998年に緑の党が「我々は政治家ではない」というメッセージを掲げて5.4%を獲得した時だった。クリチコは2002~2004年のV.ユーシチェンコのように、有権者が希望を託す存在になっている。その候補者名簿には何度か副首相を務めたV.ピンゼヌィクや、クリミア自治共和国における元大統領代表のS.クニツィンなどの名前があり、これといった新顔は見当たらないにもかかわらず、支持率は落ちていない。UDARが、1990年代初頭に旧社会主義諸国で行われたような、かつての共産党員やKGB活動家を公職から追放すると唱えていることも(UDARはなぜかそれを反汚職闘争と解釈している)、有権者離れには繋がっていない。前出のクルフリャコウシキーによれば、社会が野党勢力を求めているのに、「祖国」の活動が鈍い中で、UDARはほぼ自動的に支持を拡大しているという。そして、UDARの名簿にたまたま入った人々は、来たる新議会で親大統領多数派に大挙して流れていくだろう、とのことである。

 O.チャフニボクの「自由」は、民族主義的な有権者が支持層であり、その層の票固めを続けている。もしも議会に進出できるとしたら、政権与党が言語法を採択したお陰でもある。ウクライナ語にこだわる「自由」の言語政策は、やはり言語問題を重視する「我らがウクライナ」とダブるが、「自由」の場合には選挙向けにそれを打ち出したわけではなく、すでに長らくその問題に取り組んでいるという違いがある。また、「自由」は言語問題に加え、社会・経済政策も掲げた。「自由」のマニフェストは、民族主義的な文化政策に、社会主義的な経済アプローチ(民営化の見直しなど)を折衷したものとなっている。

 N.コロレウシカの「進めウクライナ」は、清新な政治家を求める有権者を狙っているが、その動きはぎくしゃくしている。P.オレシチュークの指摘によると、同党の最大の問題は、最初の戦略は悪くなかったのに、練られていない戦術でそれを損なってしまったことだという。たとえば、候補者名簿にスポーツ選手や俳優を入れることで、新たなリーダーという理念を自ら否定してしまい、結局新しい政治家と呼べるような人間は登場しなかったと、オレシチュークは指摘する。もっとも、コロレウシカは選挙戦で、もう長らくウクライナにとっての課題となっている政策を提起したほとんど唯一のリーダーだったことも事実である。特に、輸出を主眼とした現在の経済モデルを、内需主導に転換し、輸入代替工業化を提唱した。

 これまでの選挙と同様、今回の選挙でも、ウクライナでは選挙の技術的な戦略とイデオロギーがバラバラに存在している。西側では、政党が発展戦略を競い合い、経済的イデオロギーがその基準点になるのに対し、ウクライナではイデオロギーにもとづいて選挙戦を戦おうとしているのは共産党、「自由」、部分的に「我らがウクライナ」くらいである。他の政党は、イデオロギーの代わりに、社会的ポピュリズムに訴えていると、選挙コンサルタントのM.ナホトは指摘する。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 本日は、ウクライナ最高会議(議会)選挙の投票日である。個人的に、もっと念入りにフォローしたかったが、思うようにできなかった。ただ、考えてみれば、選挙について語る前に、2007年11月~2012年7月の前回議会(正式には「第6回最高会議」と呼ぶ)の活動について総括しておくべきなのだろう。そうした観点から、こちらの記事が、前回議会において良い意味/悪い意味で活動が目立った議員についてまとめているので、やや変わり種の記事ではあるが、その骨子を紹介したい。

 第6回最高会議では、553回の会議が開かれた(注:本会議のことであろう)。議員のうち、最も出席率が高かったのはM.チェチェトフ(地域党)で、同議員は7回しか欠席しなかった。このほか、A.マルティニューク(共産党)、V.キセリオーフ(地域党)、R.クニャゼヴィチ(我らがウクライナ・国民自衛)などの出席率が高かった。

 逆に、ほとんど登院しなかった議員を見ると、筆頭はR.アフメトフ(地域党)とO.レシチンシキー(地域党)であり、両議員はわずか1回しか出席しなかった。Yu.チェルトコフ(地域党)、S.キー(地域党)の出席も4回にとどまった。(注:ウクライナでは、実業家/富豪が、議員の特権と、自らのビジネス上の権益を守るために、名目的に議員になり、自らは実際の議員活動にはほとんど従事しないという現象があり、ここで名前の挙がっている議員たちはそうしたパターンであろう。)

 第6回最高会議で、最も多く発言したのは(登壇したケースに加え、議席からの発言も含む)、Yu.カルマジン(我らがウクライナ・国民自衛)で、3,659回の発言が議事録に残っている。O.ザルビンシキー(リトヴィン・ブロック/人民党)の1,028回、M.チェチェトフ(地域党)の1,017回が、それに次ぐ。他方、一度も発言しなかった議員が、21名いた。

 マスコミの関係者に、最も多くの受け答えをしてくれたのはどの議員だったかというアンケートをとったところ、最もマスコミにオープンな議員という評価を得たのは、A.フリツェンコ(我らがウクライナ・国民自衛)だった。M.トメンコ(祖国)、L.オロベツィ(我らがウクライナ・国民自衛)がそれに次いだ。

 議会における素行で騒動を引き起こした議員につきマスコミ関係者の声を募ったところ、1位となったのはO.リャシコ(祖国)であり、2011年5月のA.マルティニューク第一副議長との掴み合いや、多くのスキャンダラスな発言があった。2位はV.コレスニコフ(地域党)で、地域言語法の一幕、FEMENとの揉め事、NGOの資金監視法案などがあった。3位はI.ボホスロウシカ(地域党)で、ティモシェンコ事件での言動が問題視された。

 第6回最高会議の期間中に、最も数多く所属政党を変えたのは、「未来のための改革」議員団の副議長であるV.カプリエンコの3回であった。ただ、300名の議員は、一度も所属を変えなかった。

 第6回最高会議で、成立した法案の起草に最も多く参加したのは、S.キーの253回であった(注:上述のように、ほとんど登院はしていないのだが…)。2位はV.シヴェツィ(祖国)の179回、3位はN.コロレウシカ(祖国)の120回であった。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 先週行われたUEFAチャンピオンズリーグの試合のうち、とりあえずロシア関係の2試合を観てみた。ロシアからはゼニト・サンクトペテルブルグとスパルタク・モスクワが出場しているが、ともにグループステージの出だしで2連敗しており、後がない状況で迎えたホームゲームだった。

 日付順に言うと、まず火曜日のスパルタク・モスクワVSベンフィカ(ポルトガル)戦。この試合、スパルタクがホームの意地を見せて2:1でなんとか勝利したものの、内容的に完勝という感じではなかった。開始わずか3分、速攻から中央でタメを作ったところに、ファラエル・カリオカが猛スピードで駆け上がってパスを受け、ベンフィカのゴールにたたき込む。相手がまだ試合に入り込めていない時間帯に先制できたのは、ラッキーだった。しかし、その後スパルタクは相手のパス回しに手こずり、やや守勢に回る。そして、33分、コーナーキックの流れから、敵に同点ゴールを許してしまう。コーナーをいったん跳ね返して安心してしまったのか、こぼれ球を追うのが遅かったし、その間にラインを上げることもなく、右からのクロスで敵のマティッチにニアの至近距離に入られ、頭で決められた。それでも、嫌な流れの中で、前半のうちに突き放すことができたのは、これまたラッキーだった。43分、スパルタクが右サイドから入れた低めのクロスに対し、ベンフィカのDFがオウンゴールを犯してしまったものである。スパルタクの中央はアリ1人で、ベンフィカの守備陣は上手くコントロールしていただけに、先方としては痛恨だっただろう。結局、後半には両者得点なく、2:1のまま試合終了。全体的な印象としては、ベンフィカの方が明らかに質は上だなというところ。スパルタクは、前節のセルティック戦で中央のパスをカットされて何度かピンチを招いた反省からか、ベンフィカ戦ではボールを奪ったらまずサイドに預けるという意識が強かったように思う。しかし、それによって攻撃がワンテンポ遅れ、FWに当てるクサビのパスが減り、チャンスを多く作れなかった。それでも勝てたのは、地の利ゆえであろう。この日はルジニキ・スタジアムに5万人の観衆が詰めかけたそうだが、ベンフィカのサポーターの姿は、ほぼ皆無だったように思う。あれだけ圧倒的なホームの雰囲気というのは、そうそうお目にかかれるものではあるまい。

 もう一つ、こちらも悩めるチームのゼニト・サンクトペテルブルグは、水曜日にホームのペトロフスキー・スタジアムにアンデルリヒト(ベルギー)を迎えた。まあ、ゼニトの場合は、国内では最強の地位を築きつつあり、CLの常連にもなってグループステージを突破できるくらいの力は付けてきている。そこで、CLの決勝トーナメントでも充分に勝負できるような1ランク上のステージに上がり、欧州レベルのビッグクラブに脱皮するというのが、課題になっているのだと思う。これまでゼニトは、ロシア圏の大クラブにしては珍しく、自国選手中心のチーム編成をしてきた(監督はイタリア人だが)。私がロシアの中ではゼニトが一番好きなのは、プレースタイルもあるが、何よりロシア人の良い選手が揃っておりロシアらしいチームだからである(同様のことは、ウクライナ人プレーヤーを主体とするディナモ・キエフについても言える)。むろんこれまでのゼニトにも外国人プレーヤーはいたが、むやみにビッグネームを獲るというよりは、適材適所の方針が貫かれていた。しかし、今のままでは欧州の強豪にはのし上がれないという判断だったのだろう、今季開幕直前にゼニトは大型補強に踏み切った。その目玉が、ポルトガルを経てやって来た、超人ハルクことフッキである。ただ、今季これまでの試合を観ていると、従来の良い時のゼニトに見られた美しいハーモニーが、フッキという不協和音によって、完全に乱されてしまっている(ついでに言えば、ロシア人プレーヤーがフッキの高額の報酬に不満を訴える場面もあり、チームの和という点でも不協和音を醸している)。フッキがボールを持つと、相手ディフェンダー3人くらいに囲まれても強引にドリブル突破するような場面が目立つ。まあ、さすがに周りを使う意識も芽生え始めたのか、水曜日のアンデルリヒト戦では、フッキがドリブルで相手をある程度引き付けてから、「ここぞ」というタイミングで味方にラストパスを試みる場面が何度かあったが、いかんせん敵DFに囲まれているのでことごとくパスがカットされてしまい、フッキのところで攻撃が途絶えるシーンが目立った。残念ながら、今のところゼニトの中のフッキは大いなる異物感を漂わせており、クラブを1ランク上げるための大型補強は現在のところ逆の目に出ている。そんなわけで、アンデルリヒト戦でも攻撃が機能したとは言いがたかったが、後半にブィストロフを投入したあたりからチャンスの数は増えていった。そして、ペナルティ・エリア手前でフリーキックのチャンスを得ると、右SBだったかな? まだ相手がバタバタしている段階で裏に走り込み、慌てた相手がそれを倒してしまって、PKをゲット、これをゼニトの播戸竜二ことケルジャコフがきっちりと決めて、ゼニトが辛くも1:0で勝利したのだった。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 ロシア・バシコルトスタン共和国のR.ハミトフ大統領は10月22日、共和国政府を退陣させ、自らが共和国首相を兼務して政府を率いる旨の決定を下した。本件に関する10月23日付『コメルサント』紙の報道振りを、以下のとおり抄訳しておく。

 ハミトフ・バシコルトスタン大統領は22日、共和国政府を退陣させ、首相職を自らが担う旨の共和国大統領令に署名した。公式ウェブサイトでは、本件が8月に開始された共和国行政システム改革の新たな段階であると説明されている。政府と大統領府間で生じていた権限の重複、責任の曖昧さを正すことが目的であるという。政府機構と大統領府機構を統合し、その職員数を3分の1削減する計画である。政府の陣容は、近いうちに発表するとされている。

 A.ガリャモフ大統領府副長官は、以下のようにコメントした。政府の退陣は技術的なものであり、8月にすでに大統領が追加的な決定があるかもしれないと言明していた。2ヵ月半経って、大統領は改革の継続が必要であると判断した。大統領が実質的に政府を指揮すると決めた以上、それを法的にも定式化する必要があった。新たな政府では、投資・経済担当副首相、IT担当副首相が置かれる可能性がある。別の関係者によれば、政府のメンバーの大多数はポストを保持することになる見通しだという。

 ハミトフ大統領は、2010年5月に就任した時点では首相の機能を兼務していたが、2011年5月にA.イリンベトフ首相が起用されたという経緯がある。しかし、本年8月、ハミトフは再び大統領職と首相職を兼務することを決めた。その時点では形式的にはイリンベトフ首相がポストを保持していたものの、その権限は料金問題委員会、産業・イノベーション省の管理に限定された。その際にはハミトフ大統領は決定の理由として、政府は決定の機動性に欠けており、人事においても派閥主義・縁故主義が再びはびこり出したことを挙げていた。ちなみに、「政治・経済コミュニケーション・エージェンシー」の評価によれば、地域首長のランキングにおいて、8月の数字でハミトフは12位から7位に順位を上げていた。

 評論家のS.シケリによれば、2011年にイリンベトフが首相に起用されたのは、M.ラヒモフ前大統領の時代に築かれた政治体制に配慮したものであったという。この2年間、ハミトフは政権には就いていたものの、ようやく今、実際に権力を奮い始めた、ということである。人事面においても、既存の派閥バランスに囚われることなく、自らの方針に沿った決定を打ち出すだろう、とのことだ。

 かつて「公正ロシア」から連邦下院選に出馬した野党政治家のA.ガリンは、ハミトフ大統領が先を見据えた動きを始めたと見ている。2015年に任期が切れるハミトフは、次回選挙に出馬する意向であり、それをにらんで有権者にアピールする行動に出始めた。ハミトフの大統領就任後、官僚機構が肥大化しており、今回その削減を打ち出したことは、有権者の歓心を買うためだと、ガリンは指摘する。

 他方、イリンベトフ首相が解任されたのは、汚職スキャンダル絡みであるという指摘もある。地元テレビ局が追及しているI.クソフ元産業次官の疑獄があり、その黒幕が実はイリンベトフであるとして、野党のA.ムハメジヤロフがイリンベトフを起訴するよう検察に訴えている。この説によれば、こうしてイリンベトフ首相が解任されたわけだが、首相なしで政府は存続できないので、必然的に政府が総辞職となった、ということである。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 10月22日、プーチン大統領が主宰し、「モノゴーラド」問題に関する政権幹部の会合が開催された。モノゴーラドとは、ロシアに多く見られる企業城下町のことであり、有名な「ピカリョヴォ事件」を筆頭に、2008年の経済危機以降その社会・経済情勢が先鋭化しており、プーチン政権の重要な政策課題となっている。今般の会議に関する10月23日付『RBCデイリー』紙の報道振りを、以下のとおり抄訳しておく。

 A.ベロウソフ経済発展相がV.プーチン大統領に対し、危険ゾーンに陥っている17のモノゴーラドのリストを提示した。同省では、総額200億ルーブルの自らのプログラムの枠内でこれらの都市を支援する構えであるほか、国家コーポレーション「開発銀行」の基金4,000億ルーブルを割り当てることも提案している。専門家たちは、これらの額は新たなピカリョヴォの出現を阻止するのに充分ではあるが、肝心なのは時代遅れの生産にではなく、人的資本に投資することであると指摘している。

 10月1日現在で、ロシア全体の公式失業率は1.3%であり(ILO方式では5.2%)、102.2万人の失業者を数える。失業者の10分の1はモノゴーラドに居住している。また、333存在するモノゴーラドの中で、144のモノゴーラドでは失業率がロシア平均を超え、うち44では平均を2倍以上上回っている。ノヴォオガリョヴォで開かれた会議で、プーチン大統領は状況が深刻であることを率直に認めた。

 経済発展省のデータによれば、現在危険水域にあるのは17のモノゴーラドで、その地理的範囲はウラル、カレリア共和国から中央ロシアまで広範である。産業部門から言うと、危険をはらんでいるのは鉄鋼業、アルミ、ニッケル、紙パルプ、軽工業の企業を中核企業とするモノゴーラドであり、世界的な市況の不安定さがその背景にあるという。

 鉄鋼業、非鉄金属産業の場合には、WTO加盟がモノゴーラドを含め地域経済に好影響を及ぼすという見通しもあったが、それに対し木材加工、紙パルプ、軽工業、機械産業といった分野が実際に厳しいのは事実である。ゆえに、これらの産業分野に特化したモノゴーラドは、「自然淘汰」にさらされる恐れがある。

 経済発展省では、同省の既存の政策ツールにより、モノゴーラド支援のために年間に200億ルーブルを拠出する構えである。ベロウソフ大臣によれば、問題は資金の制約ではなく、資金を使う側にあり、連邦の資金がどれだけ効率的に利用されるかが鍵となる、という。

 それに加えて、経済発展省では、モノゴーラドにおける新規の雇用を創出するため、「開発銀行」の資金をより積極的に活用することを提案している。現在のところ開発銀行の融資は1件当たり20億ルーブル以上のプロジェクト向けに限られるが、経済発展省ではその下限を10億ルーブルに引き下げ、うち5億ルーブル以上を開発銀行の資金とすることを提案している。現在、40のプロジェクトが策定中であり、その総額は4,000億ルーブルに上るということだ。

 2010年には35のモノゴーラドに国家支援が適用され、2011年にはさらに15都市が追加された。連邦による歳出は、241億ルーブルに及んだ。プロジェクトのおかげで、労働市場の深刻さが緩和され、6万の恒常的な雇用が創出された。プーチン大統領は、「手動統治(注:国家の最高指導部が個々の具体的問題の解決に直接的に介入すること)について誰が批判しようが、これはまさに個々の事例について精査すべきケースだ」と発言した。

 ロシア経済スクールのN.ヴォルチコヴァの見解によれば、17のモノゴーラドに200億ルーブルという額は充分な規模である。「しかし、肝心なのはその資金を何に向けるかだ。もしも企業支援に充てるなら、役には立たない。人々を的確に支援すること、再訓練を施し職を見付けられるようにしてあげることが大事なのである。中核企業およびその関連会社が将来操業を停止する時のために、中小企業の育成に資金を使うことも可能だ」と、ヴォルチコヴァは指摘した。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 2012年10月23日付の『RBCデイリー』紙に、ロシアの地域ごとの発展戦略に関する記事が出ているので、以下のとおり抄訳しておく。

 ロシアの83の地域のうち、発展戦略が策定されているのは、70地域だけである。しかしながら、専門家は、現状では地域行政府がその発展を完全に戦略的に計画するのは難しいということを認めている。それは、第1に、連邦レベルで必要な法基盤が欠如しているため。第2に、財政資金が恒常的に不足し、主に当座の目的に投下されるので、戦略的な目的に充てる財源が足りないためである。

 10月22日、フォーラム「ロシアの地域と都市における戦略的計画化」において、ロシア諸地域の社会経済発展戦略のコンクール結果が発表された。地域の行政府の活動振りが、①イノベーションの振興、②中小企業発展の条件整備、③地域の投資魅力の確保、④住民の社会的保護と地域労働市場の支援、⑤戦略的・地域的計画化の制度の整備という5つの項目ごとに評価された。その結果、1位:ニジェゴロド州、2位:クラスノダル地方、3位:ヴォロネジ州という順位となった。

 しかしながら、コンクールの専門家グループ長であるV.クリモフは、これらの結果は大まかなものにすぎず、どこが優秀でどこが優秀でないと一概には言えないと認めている。たとえば、タタルスタン共和国はイノベーションの指標では断トツだが、同共和国では「戦略」が採択されていないので、順位が落ちる。だからと言って、タタルスタンが遅れているというわけではないと、クリモフは語る。

 地域発展省も、同様の見解を示している。地域発展省のYe.チュグエフスカヤ戦略計画化局長は、多くの地域では戦略が2006年を起点としているのに対し、大統領令が出たのは2009年であるし、地域ごとの戦略はまちまちであり横並びで比較するのは不可能であるとしている。

 上述のように、現時点で戦略を採択しているのは、全国83地域のうち70だけである。V.ガエフスキー地域発展次官によれば、策定作業は2012年末までに完了しなければならない。しかし、地域からは策定の難しさを訴える声が上がっている。A.クラスノフ・ヤロスラヴリ州副知事によれば、特に困難な点は、しかるべき連邦レベルの法的文書が整備されていない点にあるという。しばしば地域側がそうした文書を用意することを迫られている。しかも、地域の戦略が、地域の管理過程と整合されていない場合が多い。もう一つの困難は、財政資金の不足で、地域予算の70%は当座の支出で消えてしまうと、クラスノフは述べる。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 昨日のエントリーの続き。『エクスペルト・ウクライナ』誌に掲載された、ウクライナ議会選で戦っている主要政党の経済政策を比較する記事抄訳の、後半をお届けする。

 共産党の選挙綱領の策定に当たっては、国家関税局のI.カレトニク長官が主導的役割を果たした。同氏は共産党の比例名簿で7位に掲載されている。党の選挙キャンペーンで、古臭いP.シモネンコ第一書記やA.マルティニューク副議長のビジュアルイメージを使用して有権者を幻滅させないように訴えたのは、まさに彼である。彼の尽力の結果、共産党の政策は原点に戻った。具体的には、無料の医療と教育、ロシア語、ロシアとの統合、民営化の見直し、経済的に活発な市民に対する抑圧などである。数千に上る屋外広告は、つい25年前までビジネスは投機として厳罰の対象になっていたということを暗にほのめかす内容となっている。

 UDARのV.クリチコは、選挙への準備の過程で何度かチームを入れ替えており、誰が最終的なマニフェストを取りまとめたのかを明確に言うのは難しい。その中身は、比例名簿に名を連ねる人物たちの考えを寄せ集めたものとなっている。具体的には、V.ピンゼニクのマネタリズム、O.プロダンの新自由主義、P.ロゼンコの社会主義をブレンドしている。それらを、旧共産党員・秘密警察職員の公職追放、全現役官僚の刑事訴追と実質的な就業禁止という主張で上手い具合にまぶしている。

 N.コロレウシカの進めウクライナの政策は、M.ガステロ、M.ドロニンというロシアの2人の政治コンサルタントの作品である。このチームは3年前にはS.チヒプコのプログラムも書いており、今回のコロレウシカの選挙戦はビジュアル戦略に至るまで2009年のチヒプコそっくりである。進めウクライナの綱領は、世論調査の国民の回答をそのままなぞったものになっている。人々は職を失うことを恐れており、1万フリヴニャの賃金を欲しており、年金は少なくとも5,000フリヴニャ受け取りたいと願っている。こうした回答がそのまま進めウクライナのプログラムになっており、それゆえに1,000ユーロの賃金、500ユーロの年金といったことを掲げているのである。土地売買の停止や、新たな工業化のプログラムといったことも同様だ。

 一方、「自由」の政策の経済部分は、1930年代のウクライナ・ナショナリストの主張と相通じ、「土地を農民に!」「工場を労働者に!」といったスローガンは共産党のそれと符合する。不正蓄財を暴露するとしているが、その際に役人だけでなく、近隣諸国のエージェント、とりわけロシアのそれも追及するとしている。これを文字通り実施したら国を統治するエリートがいなくなってしまう。旧共産党党員、ソ連の特務機関に勤務していた者を公職から追放するというのだが、ウクライナの政治家の90%、中央省庁職員の80%、地方自治体職員の60~70%はそれに該当する。バルト三国ではかつて同様の政策を実施したが、バルトでは国外のディアスポラが人材を補充し、米国市民がリトアニア大統領に、カナダ市民がラトビア大統領になった。ウクライナでそれが可能かというと、大いに疑問だ。党首のチャフニボクは、議会に進出することが最大限の望みで、政府に入ることは想定外だろうから、本人は実際にどうするかなど考えてもいないのだろうが。

 各党は、経済危機対策につき、明確な方針を示していない。それも道理で、地域党と「祖国」以外は、政府やその政策形成に参加できるチャンスはないからである。「祖国」は、この国ではすべてが大統領選で決まるということを身に染みて知っており、そしてその大統領選はまだ先だ。

 地域党に関して言えば、同党の政権で戦略的な問題を決めているのは党活動家ではなく、政府ですらなく、大統領府である。アザロフ内閣は経済プログラムもなしに活動しており、すべての省庁および地方自治体にとって最重要な評価基準は、ヤヌコーヴィチ大統領の改革プログラムをどれだけ実施したかである。議会選挙の結果がどうあろうと、地域党政権の内部で、危機対策戦略が形成されることになる。その際に影響力があるのがアルブゾフ・コロボフ・クリメンコのグループで、彼らは最近訪米して自分たち流の危機対策をプレゼンしていた。その本質は、オリガルヒとの闘争、言い換えれば大企業への課税を増やして危機を乗り切るというものである。リオーヴォチキン・ホロシコウシキー・ボイコのグループは戦略をまったく異にし、石油ガス分野の大規模プロジェクトの早期実現、欧米との関係改善に賭けようとしている。M.アザロフ首相とA.クリュエフ国家安全保障・国防会議書記は、より保守的な価値観を有している。実際に実施されるのは、この第3の、穏健なアプローチであろう。そして、アザロフはまだしばらく首相に留まる。経済情勢が急激に悪化し、たとえば通貨が大幅下落したような場合だけ、よりラディカルな戦略が実施されるだろう。

 いずれにしても、各党の政策は、それほど重大に受け止める必要がない。選挙が終われば、来たる政府が、IMF、EU、ロシアとの交渉の中で、経済プログラムを策定していくことになるからである。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 『エクスペルト・ウクライナ』誌のこちらの記事が、ウクライナ議会選で戦っている主要政党の経済政策を比較することを試みているので、以下のとおり抄訳しておく。やや長いので、2回に分けてお届けする。

 今回の議会選挙戦で特徴的なのは、各党が政策に関して議論を戦わせる共通の情報面での土俵が形成されていないことである。政治家たちは自分たちの政策を宣伝するだけで、一方マスコミは政治家の人物像やスキャンダルばかりに焦点をあてている。政治家が選挙を前に有権者と建設的な対話をすることは不可能になっている。彼らの政治的な立場は知られていても、その社会・経済政策は国民に知られないままとなっている。ただ、各党のマニフェストを注意深く読んでみれば、多くの興味深い点が見付かる。

 今日では、右派・左派という伝統的な区分に加えて、孤立主義・国際主義(近隣との統合)という新たな区分が生じている。しかも、ウクライナには親欧州と親ロシアという2つの国際主義的潮流がある。この尺度からすると、きわめて孤立主義的なのはO.チャフニボク氏の「自由」であり、同党のマニフェストではこの問題に一言も触れられていない。逆に明確に国際主義的なのは、ロシアとの統合を主張する共産党と、EU加入を掲げる野党連合「祖国」である。地域党、進めウクライナ、UDARは中間的である。

 右派・左派という区分で言えば、来たる議会には明確に右と明確に左の党が進出する見込みである。明確に左なのが経済における国家の役割強化を唱える「自由」と共産党、右がUDARと進めウクライナ、中間が地域党と「祖国」ということになる。V.クリチコのUDARは、不正蓄財の暴露や民営化の見直しを強く主張していることから見て、条件付きでリベラルと言える。地域党と「祖国」の綱領には、二面性が見られる。一方では、所有権の保護、中小企業の振興、減税、民営化をうたっている。他方では、社会保障、医療支出の増大を主張している。しかし、鉱工業生産が4ヵ月連続で落ち込み、財政赤字も予算を上回るという状況下で、いかにして社会保障を拡充するのかは、不明であるが。

 地域党にしても、「祖国」にしても、綱領が矛盾を含んでいるのは、毛色の違う複数のグループがそれを起草しているからである。「祖国」の綱領は、A.ヤツェニュークのリベラルな政策と、Yu.ティモシェンコの社民主義の折衷である。プログラムには、年金改革の中止(社会保障歳出の増大を意味する)と、税負担の軽減(年金受給開始年齢の引き上げなしには不可能)が同居している。

 同様の矛盾は地域党のマニフェストにもあって、同党は平均賃金を8,000フリヴニャに引き上げることを公約する一方(これは現状3,000フリヴニャを下回っている公務員賃金を2.5倍も引き上げることを含意する)、一層の規制緩和、行政のビジネス圧迫の軽減を約束しているのである。この二重性は、地域党のプログラムが4つの影響力グループの妥協の産物であることに起因している。まず、V.ルィバコフ、V.デミトコを筆頭とする古参党員が、プログラムに社会主義的な規定を盛り込んだ。次に、大統領府長官のS.リオーヴォチキン、Yu.ボイコ・エネルギー相らのグループが、エネルギー依存の脱却、石油ガス採掘への投資増というテーゼを盛り込んだ。さらに、D.タバチニク教育相をはじめとする親ロシア的な文化政策担当者がおり、彼らは地域ごとにロシア語を国家言語とすることを可能とする法律を推進している。最後に、副首相・社会政策相のS.チヒプコ、I.アキモヴァ大統領府第一副長官らのリベラル派が、規制緩和の推進、税負担の軽減、電子政府の導入、新たな雇用の創出といったリベラル政策を盛り込んだ。しかし、驚くべきは、V.ホロシコウシキー第一副首相も、P.ポロシェンコ経済発展・商業相も、S.アルブゾフ中銀総裁も、プログラムの策定に参加していないとされる点である。64歳のM.アザロフ首相が退任したあかつきには、一体誰がこのプログラムの実施を担うのであろうか?

 続きは、また明日。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 ウクライナ最高会議(議会)選挙の投票が10月28日に迫るなか、こちらの記事で「状況モデル化エージェンシー」のV.バラ所長が、誕生する新議会についての持論を披露している。ウクライナでは、オレンジ革命直後の2004年12月8日に憲法改正が行われ(発効は2006年1月1日)、政体が大統領・議会制から議会・大統領制に移行した。しかし、2010年にヤヌコーヴィチ政権が誕生すると、同年10月1日に憲法裁判所が上記の憲法改正を審議・採択の手続き違反を理由に無効とし、結局大統領権限の強いオリジナルの1996年憲法に逆戻りしたという経緯がある。これに関し今回バラ所長は、新議会は召集から1ヵ月以内に自らの権限を拡大し、かつての権限を取り戻すべきだと唱えたものである。

 バラ所長は、以下のように述べた。もしも新議会が最初の1ヵ月間で権限の回復に関する法案の1本も提案・採択しなければ(とりわけ財政分野など)、我々はウクライナにおいて主な決定がどこで下されるのか、思い知ることになるだろう。議会は、単に公式的なスタンプを押すだけの機関になってしまう。ウクライナがどのような議会を持つことになるのか、最初の1ヵ月で明らかになるだろう。

 バラ社長はさらに、新議会における野党連立の成立は、小選挙区にかかっている、ただ野党連合「祖国」はここに来て支持を失っており、それはリーダーのティモシェンコを外そうとしていることから来ていると指摘した。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらの記事によると、ウクライナの世界政治研究所が最高会議(議会)選挙後の対EU関係に関し3つのシナリオを占った調査報告をまとめ、このほど発表したということである。研究所のS.ソロトキー第一副所長が記者会見で明らかにした。

 それによると、研究所は、議会選挙後のウクライナ・EU関係の展望につき、EUの外交官・関係者30名に聞き取り調査を行った。その結果、3分の2の回答者が、選挙後も関係はまったく変わらず現状維持となるという見解を示した。両者間で連合協定が調印される見通しは、現時点では半々と見られる。ただし、仮に調印されたとしても、EU側がウクライナに出している3つの条件、すなわち司法の選別性の問題の解決、民主的な選挙の実施、国家の一層の改革という条件が満たされなければ、EUによる批准は期待できない。ティモシェンコが調印を望むということを明言していることからも、調印自体はありうる。だが、EU側は圧力のテコを残しておきたいので、現時点で調印するという言質は与えようとしない。EUの関係者たちは、ウクライナはベラルーシではないので、協力を全否定することはないとしている。選挙が全面的に民主的などということは誰も信じないので、最低限の民主的な選挙のレベルに達しているとEUが認めれば、協定は調印されうる。EUは、投票だけでなく、投票後の動き、特に議会における多数派の形成過程も注視することになる。EUは2010年のウクライナ議会の醜態、すなわち議員たちが多数派に逃げ込んでしまったことに、狼狽してしまった過去があるので。EUの専門家たちは、ウクライナ議会選のあとウクライナをどうしていいか態度を決めかねており、困惑している様子が見られるという。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらの記事に、ウクライナ議会選について何人かの専門家が示した展望がまとめられている。社会学者による座談会のようなものが開かれたらしく、各参加者の主な発言を記事にしたもののようだ。以下でその要旨を紹介しよう。

 M.チュリロフ(TNSウクライナ副所長):野党連合「祖国」は、農村の有権者が活発化することによって、票を伸ばすかもしれない。選挙の投票率は50~60%になると予想されるが、都市では50%を超えないのに対し、農村では80%を上回る可能性がある。「祖国」の支持者は主に農村に居住しており、したがってその得票率は世論調査を上回るかもしれない。

 V.フメリコ(キエフ国際社会学研究所所長):農村では、現政権の支持勢力である地域党および共産党に投票する用意のある有権者が、27%しかいない。逆に、野党への支持は、41%に上る。したがって、野党の得票が多少増えるかもしれないという見方に、自分も賛成する。

 I.ベケシキナ(民主イニシアティブ基金所長):「祖国」とUDARが2位争いを繰り広げる中で、おそらく2位になるのは祖国だろう。というのも、UDARの支持者のかなりの部分は青年で、彼らの多くは大都市では住民登録をした場所以外のところに住んでおり、今回の選挙では投票場所を変更できるのは1つの選挙区内に限られるからである。「自由」は、ウクライナ東部・南部に一部の隠れ支持者がいるので、一定のチャンスがある。

 Ye.コパチコ(リサーチ&ブランディング・グループ社長):現時点で、かなりの勢いで有権者の支持獲得が進んでおり、すでに70%の有権者が態度を決めた。比例区ではそれほどの番狂わせが起きるとは予想されず、せいぜい「祖国」とUDARの2位争いや、「自由」が足切りラインを突破できるかが注目される程度である。一方、小選挙区ではまだ形勢が固まっていない選挙区が多く、主なドラマは小選挙区で生じるであろう。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 私はこれまで認識していなかったが、「グローバル・イノベーション・インデックス」というものがあるらしい。最新の2012年版の報告書は、こちらで閲覧・ダウンロードできる。また、稚拙な翻訳ながら、こちらのサイトでその概要が日本語で紹介されている。

 最新の2012年版から、上位10ヵ国と、その他重要国、私の関係国の順位を示してみる。

1.スイス
2.スウェーデン
3.シンガポール
4.フィンランド
5.英国
6.オランダ
7.デンマーク
8.香港
9.アイルランド
10.米国
15.ドイツ
21.韓国
24.フランス
25.日本
34.中国
50.モルドバ
51.ロシア
63.ウクライナ
64.インド
68.モンゴル
69.アルメニア
71.グルジア
78.ベラルーシ
83.カザフスタン
89.アゼルバイジャン
108.タジキスタン
109.キルギス
127.ウズベキスタン

 こういうランキングには付き物だが、だいぶ合点の行かない面がある。モルドバみたいな果樹園しかなくて出稼ぎで生きていくしかない国がなぜロシアより上なんだよとか、モンゴルのイノベーションって何?(放射性廃棄物埋設施設の建設構想が評価でもされたか?)とか。まあ、評価基準とか突っ込んで調べているヒマはないので、何とも言えないが、こういうランキングがあり、一目置かれているらしいということは、押さえておくべきなのだろう。

 ロシアの順位の推移を見ると、2009年:68位、2010年:64位、2011年:56位、そして2012年:51位と、年々上昇はしている。そして、こちらのニュースによると、ロシア政府は2015年までにはこのランキングにおける順位で40位以内に入ることを目標としているとのことだ(というか、このニュースで、ランキングの存在を知ったのだが)。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 やや古い情報だが、10月28日に投票が行われるウクライナ最高会議(議会)選挙に関し、こちらの記事で、ウクライナ科学アカデミー付属全ウクライナ社会調査局のB.サハラコフ研究部長が、同調査局が行った世論調査結果を踏まえながら展望を語っているので、その要旨をまとめておく。なお、世論調査は全国の2,500名の回答者を対象に、10月5~7日に実施された。

 投票に参加するつもりかどうかを回答者に問うたところ、必ず参加する:44.5%、おそらく参加する:35.6%、おそらく参加しない:9.0%、絶対に参加しない:4.1%、回答困難:5.6%、だった(注:合計が100%にならないが?)。

 投票に参加するつもりの有権者に(注:44.5%+35.6%のことだろう)、どの党に入れるつもりかを尋ねたところ、地域党:23.6%、祖国:18.5%、UDAR:16.7%、共産党:11.4%、自由:7.3%、進めウクライナ:5.4%、我らがウクライナ:5.4%、だった。

 サハラコフによれば、下3つの党のうち、議席獲得の可能性が一番大きいのは「自由」であり、それは安定的な支持者の比率が大きいから。共産党、自由という極端な立場の党は、安定的な支持者の比率が大きい。安定した支持者の比率は、共産党:58.1%、祖国:54.2%、地域党:50.5%、UDAR:38.6%、我らがウクライナ:38.6%となっている。

 サハラコフによれば、民族・民主主義の陣営では、3つのかなり強力な勢力がせめぎ合う状況が長らく続いている。以前はティモシェンコの存在ゆえに祖国が優勢だったが、現在は我らがウクライナや「自由」が勢力を伸ばしており、一部の有権者はUDARが奪っていて、祖国は同勢力のリーダーの役割を果たせなくなっている。最近になって我らがウクライナが伸びてきているのは、ノスタルジア効果によるもので、専門家は予想していた。リーダー(ユーシチェンコ)の名前とともに、インテリは言論の自由を、企業家は企業活動の自由を懐かしく思い出している。2004年の大統領選で地域党が敗北し、立ち直るのは不可能と思われたのに、2006年の議会選で巻き返したという例もある。

 サハラコフによると、祖国や地域党が2~3%得票を増減させるといったことは、議会の勢力図において大きな意味はない。むしろ、新たな勢力が議会に進出すると、新たな提携を迫られる。以前は社会党が、最近ではリトヴィン氏の人民党がキャスティングボートを握っていたことを想起すべきである。

 サハラコフによれば、選挙戦で主要勢力は政敵への批判に重点を置いている。地域党も、オレンジ派も、敵方の政権下ではいかに酷かったかということを語っている。具体的な争点は欠如している。こうした状況では、一定の流れを作ることはできても、結果が決まるのは最後の3週間である。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

20121022rosnano

 私は以前、ロスナノ社に関するレポートを執筆したことがある。同社はロシアのナノテクノロジー分野の国策企業であり、当初は国家コーポレーションだったものがその後2011年3月に株式会社に転換された。

 ロスナノの機能として重要と思われるものの一つに、「ナノテクノロジー・センター」のネットワーク構築が挙げられる。これは、自力では大規模な設備導入が難しい中小企業の利用などを想定して、ナノテク関連の共同利用施設をロシア各地に設置するというもので、ロシア政府の方針に則ってロスナノが推進している。ロスナノでは、総額で約190億ルーブルの拠出を予定している。その設立地は公開入札で選定されることになっており、2010年3月以降順次選考が実施されてきている。

 それで、こちらのニュースで、ロスナノの支援する「ナノテクノロジー・センター」のネットワーク構築に関する続報が伝えられている。これによれば、ロシア全土に12箇所のセンターが設立される予定である。2009~2011年に4次にわたる選考が実施された。すでにナノテクと大多数のセンターとの間で投資契約が調印された。今般、レニングラード州ガッチナに設立される「北西ナノテクノロジー・センター」とロスナノの間で、投資契約が結ばれた。ガッチナのナノテク・センターは、放射線技術、ナノエレクトロニクス、ナノ素材の3分野を専門とする。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらのニュースによると、バルト海に面したロシアの飛び地であるカリーニングラード州では、州都カリーニングラード市の海沿いの郊外に、腫瘍療養センターを建設することを州行政府が計画しているということである。温泉療養地であるバーデンバーデン(独)やドルスキニンカイ(リトアニア)などにならったプロジェクトであり、そのマスタープランが3ヵ月後に提案される予定である。N.ツカノフ・カリーニングラード州知事が発表した。

 10月17日にD.メドヴェージェフ首相がカリーニングラードを訪問した際に、腫瘍療養センター建設費を2014年予算案に算入することを提案するよう、ツカノフ知事に指示していた。ツカノフ知事によると、計画されているセンターは、バルト海沿岸に整備予定のメディカルタウンの中核となるプロジェクトであるという。2.5万~3万人が滞在できる保養地型のコンパクトなメディカルタウンが想定されている。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらのニュースによると、サマラ州のトリヤッチでシボレーニヴァ・ブランドの車を生産している合弁企業GM-AvtoVAZが、新たにトリヤッチ経済特区で生産を行うことが決まった。10月18日、トリヤッチ特区の理事会がGM-AvtoVAZのビジネスプランを承認したもの。GM-AvtoVAZはトリヤッチ特区でボディ生産およびプレス生産向けの建屋を建設し、また実験場およびロジスティクス・センターを設ける。総投資額は62億ルーブル。サマラ州行政府が発表した。

 理事会を総括してN.メルクシキン・サマラ州知事は、GM-AvtoVAZのような大口投資家の特区入居は、地域にとって重要な出来事であり、サマラ州の自動車コンポーネント部門に多大な投資と新テクノロジーをもたらし、数千以上の質の高い職を創出するとして、歓迎の意を表した。理事会の出席者たちからも、GM-AvtoVAZの参入により、特区の区画がより早く埋まっていくことになり、特区入居企業間の技術的連関も発達することになるという見解が示された。V.トレチャコフ・ロシア連邦経済発展省経済特区・プロジェクトファイナンス局副局長も、今回の申請はトリヤッチ特区発展の大きな節目であり、自動車コンポーネントのサプライヤーたちはトリヤッチで新たな自動車組み立て企業の受注を期待できるようになったとコメントした。GM-AvtoVAZのジェフリー・グローヴァー社長は、トリヤッチ特区は我が社に1箇所の敷地で複数の生産を可能にしてくれ、そのことが我が社の生産拡張と、ロシア市場に新しくより競争力のあるシボレー・ニヴァを投入することを可能にしてくれる、と述べた。

 GM-AvtoVAZは2013年春に特区で建屋の建設に着手し、生産開始は2015年末を計画している。(写真は一昨年トリヤッチに調査に行った時に撮ってきた現在のGM-AvtoVAZの社屋。)

20121020gmavtovaz

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 10月17日、ロシアでO.ゴヴォルン地域発展相がその職を解かれ、後任の大臣にはI.スリュニャエフ前コストロマ州知事が任命された。5月にメドヴェージェフ内閣が成立して以降では、初の閣僚交代となった。

 こちらの記事などにもとづいてまとめると、事の発端は9月にV.プーチン大統領が2013年予算案を検討する会議において、政策ロードマップを示した5月の大統領令をしかるべく執行していないとして、ゴヴォルン地域発展相、D.リヴァノフ教育・科学相、M.トピリン労相を激しく批判したことであった。ゴヴォルン大臣は、省が取り組みを強化すると応じたものの、その後体調を崩して公務から外れ、マスコミでは解任説が流れていた。一方のスリュニャエフ新大臣は、コストロマ州知事在任時に行われた昨年暮れの連邦下院選挙、本年3月の大統領選挙で、与党「統一ロシア」およびプーチン候補の州内での得票率が悪かったことから、4月に知事から引責辞任したという経緯がある。今回大臣に起用されたのは、メドヴェージェフ首相との知己によるものと伝えられる。コストロマ州知事時代の働きぶりに関しては評価が分かれており、数多くの文化行事を開催したと評価する声がある一方、州財政の債務の増大や、州行政で汚職やスキャンダルが多発したという面もある。

 一連の専門家は、今回の閣僚交代につき、以下のように論評している。A.ムーヒンは、スリュニャエフの任命は今のところ技術的な性格を帯びているが、ゴヴォルンよりは期待が持てるかもしれないと述べた。V.スラチノフは、知事を務めたスリュニャエフの知識と経験は、門外漢だったゴヴォルンのそれよりは地域発展相によりふさわしいという見方を示した。M.レミゾフは、ゴヴォルンは自らに対する叱責を2つの理由から理不尽と受け止めており、それは第1に在任期間がまだ短すぎ、第2に地域発展省がいくつかの政策を実施できなかったのは財務省が厳格な立場をとったからであり、地域発展省のせいではないからだ、と指摘。D.アブザロフは、ゴヴォルンが辞任を申し出たのはあまりに感情的な対応であり、他にやりようがあった、ゴヴォルンの解任は具体的な成果を出さなければ首を切られるというシグナルをすべての政権幹部に送ることになる、という見方を示した。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 前のエントリーに引き続き、Reiting.kzという調査機関のサイトに掲載されたカザフスタンのランキング資料を、もう一つ紹介したい。こちらに、カザフスタンの16地域の経済・社会発展度のランキングが掲載されているので、要点だけ整理しておく。この資料は、経済・社会・生活水準にかかわる19の統計指標について16地域を順位付けし、それを集計して16地域の経済・社会発展度の総合ランキングを弾き出している。その順位は、以下のとおりとなっている。

1.アスタナ市
2.アティラウ州
3.アルマトィ市
4.アクトベ州
5.マンギスタウ州
6.パヴロダル州
7.西カザフスタン州
8.カラガンダ州
9.アルマトィ州
10.キジルオルダ州
11.東カザフスタン州
12.コスタナイ州
13.北カザフスタン州
14.アクモラ州
15.南カザフスタン州
16.ジャンブィル州


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらのサイトに、私好みの情報が出ているので、軽く紹介しておきたい。カザフスタンの16地域(14の州および首都アスタナ市、アルマトィ市)を、重要な政治家を輩出している度合いに応じてランキングしたものであり、2012年8月9日に発表された。主要政治家232名の出生地にもとづいて、各地域が何人の政治家を出しているかを調べ、役職の重要度に応じて加重を加えて(大統領の20ポイントから市長の1ポイントまで)、人口当たりのポイントを弾き出してランク付けしている。

 その結果、各地域の順位は、以下のとおりとなった。

1.アルマトィ州
2.アティラウ州
3.アルマトィ市
4.アクトベ州
5.アクモラ州
6.キジルオルダ州
7.カラガンダ州
8.ジャンブィル州
9.コスタナイ州
10.南カザフスタン州
11.パヴロダル州
12.北カザフスタン州
13.アスタナ市
14.東カザフスタン州
15.西カザフスタン州
16.マンギスタウ州

 トップに立っているのは、N.ナザルバエフ大統領の出身地であるアルマトィ州。首位のアルマトィ州と再開のマンギスタウ州では、人口当たりの政治家輩出ポイントに9.5倍もの格差がある。実はカザフ国外で生まれた者も多く、とくにロシア出身者は9名に上っており、これは一部のカザフ国内の州よりも多い。中国出身者も2名いるようだ。

 なお、最近カザフでは首相の交代などの政権人事があったので、現在の役職にもとづいてランキングをやり直したら、多少結果が違うであろう。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 ここだけの話だが、東京にあるロシアの通商代表部というのは、なかなか救いようのない組織である。とにかく仕事をする気がまったくない。日本人のビジネスマンがロシアについて通商代表部に問い合わせをすると、我々は知らないから(私の勤務先である)ロシアNIS貿易会に訊いてくれと答えたりする。あるいは、ロシアのある州が日本で投資プレゼンテーションを開催しようという時に、駐日通商代表部に支援を求めると、これまた私どもロシアNIS貿易会に丸投げしようとする。自分たちのことを、カネをもらって外国で暮らせる特権階級と思っているのか、はたまたスパイ気取りなのか、よく分からんが、とにかくロシアの経済的利益を地道に推進するという意欲がほとんど感じられないのだ。おそらく、東京だけでなく、全世界でそうなのだろう。

 たぶん、さすがにロシア本国でも、問題視されているのだろう。こちらのニュースによると、通商代表部を所管する経済発展省のA.リハチョフ次官が、ロシアの地域のビジネス上の利益を尊重しないような在外通商代表部は、2014年第1四半期をもって閉鎖すると述べたということである。対外経済分野における経済発展省、通商代表部、地域の協力関係を討議する会議の席で述べたもの。

 次官によると、2013年を通じて在外通商代表部の大掛かりな再編を実施する予定であり、各地域は特定の国に駐在する通商代表部に輸出促進や投資誘致といった具体的な課題を委ねることができる。今後、そうした課題は通商代表部にとって、大臣の指令という形で定式化される。まずは実験的に5~6の地域が経済発展省と協定を結び、そうした課題を提示することになるという。まお、先週にはA.ベロウソフ経済発展相が、ルサール、メチェル、OAK、ノリリスクニッケル、シラヴィエ・マシーヌィ、KamAZといった一連の大企業と、やはり通商代表部の再編に関連した協力協定に調印していた。

 記事のあらましは以上のとおりだが、考えてみれば、ロシア本国から駐日通商代表部に仕事をしろというプレッシャーがかかると、困り果てて当会にまたぞろ泣きついてきそうで、それはそれで怖い。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらのニュースによると、ロシアのD.メドヴェージェフ首相がビデオログで、ロシア国民に禁煙キャンペーンに賛同することを呼びかけたという。これによると、ロシア政府は現在、公共の場所での喫煙を段階的に禁止していく法案を準備しており、これに関連して国民に呼びかけたということだ。

 メドヴェージェフ首相によると、今日ロシアは世界で最も喫煙率が高く、4,400万人の喫煙者がおり、中国に次いで世界で2番目に多い喫煙者を擁していることになる。ロシアのタバコ市場は、1990年代初頭にロシアに進出した国際的なタバコ・メーカー3社による寡占となっている。各メーカーが「女性向けの」いわゆるライトタバコの広告に資金を投入した結果、主に女性と未成年者の喫煙者の増大により、ロシアの喫煙者は倍増した。1992年には女性の喫煙率は7%にすぎなかったのに、2010年にはそれが22%になった。13歳から16歳のティーンの3人に2人は喫煙経験があり、3分の1は習慣的に喫煙している。結果、ロシアでは喫煙が原因で毎年40万人の国民が亡くなっている。そこでロシア政府は、公共の場所での喫煙を段階的に禁止する法案を起草した(保健省が起草し8月31日に政府に提出)。法案が成立すれば、2015年1月1日までに公共スペースでの段階的な禁煙化が完了する。首相は以上のように説明した。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

20121017setsuden

 毎月恒例の、電力使用量報告。今般、10月分(9月半ば~10月半ばの使用分)の請求が届き、今回は209kWhだった。前年同月からは低下したものの、前月よりは増えてしまった。ただ、前月は出張と夏休みでかなり家を留守にしたので、それと比べて増えたのはやむをえない。

 結局、この夏は自宅ではエアコンまったくなしで乗り切った。そういう根性節電は長続きしないし無意味という指摘もあるが、私なりのプロテストだし、一夏を乗り切って、ちょっとした達成感はある。秋になって、だいぶ楽にはなった。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらのサイトに、ロシアの電子書籍市場に関する記事が出ていた。熟読している余裕がないのだが、備忘録のために、書き留めておく。

 この記事に掲載された図によると、現時点で世界の主要国の書籍市場における電子書籍の比率は、米国20%、韓国15%、英国7%、日本1.5%、中国1%、ドイツ0.9%、フランス0.5%などとなっているらしい。一方ロシアは、2011年の時点で、モスクワやサンクトペテルブルグでは約20%だが、地方では5%にも達していないということだ。ただし、ロシアで流通している電子書籍のうち、合法的なそれは1割にすぎないという。

20121016ebook

ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 そろそろ、世銀/国際金融公社(IFC)から、『Doing Business』が発表される季節である。言うまでもなく、世界各国のビジネス環境の条件を調査し、順位付けして発表しているものだ。昨年発表された『Doing Business 2012』では、ロシアはビジネス環境において、世界183ヵ国中、第120位という不名誉な位置付けをされていた。それだけ、ビジネスの規制や許認可の状況が、芳しくないということであろう。ロシアは特に、「建設許可」が183ヵ国中178位、「電力へのアクセス」に至っては世界最下位となっている。ロシア当局もこの課題は認識しているようで、プーチン政権はこのランキングにおけるロシアの順位を、2015年には50位に、2018年には20位にまで引き上げる」という目標を公式に掲げている。

 そうしたなか、こちらのニュースによると、プーチン大統領は、企業の電力アクセスの分野での改善に満足しておらず、さらに障壁を撤廃すべきである旨唱えたという。電力問題に関する会合に出席したプーチンは、概略以下のように述べた。電力への接続の問題は、まだ完全には解決していない。2011年末、我々は一連の改善策に着手し、それは市場参加者から概ね高く評価され、状況を改善した。しかし、全体としてまだ不充分であり、取り組みを続けなければならない。本年中に、規制問題に関連したいくつかの決定を政府が下す予定である。それは、電力の卸売・小売市場のメカニズム、交差補助の段階的廃止、電力網に長期投資を誘致するのに必要な分かりやすく予想しやすいルールなどである。プーチンは以上のように述べた。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 こちらのニュースによると、ロシア政府は、中国との国境地帯に特別な加工区(複数)を創設し、魚、木材といった資源を加工することを検討しているという。A.シルアノフ蔵相が記者団に明らかにした。蔵相はその目的として、優遇的な税制により、投資家に投資を促し、国の重要課題である極東・シベリア開発を促すという点を挙げた。

 蔵相によると、財務省はズベルバンクの国家保有株の放出で得た資金のうち620億ルーブルを本年末までに「ロシア直接投資基金」に繰り入れ、極東・シベリアの諸プロジェクトに充てる予定である。また、2013~15年予算のインフラ関連歳出を拡大し、特に極東の空港建設などを進める。さらに、新規設立企業を念頭に置いた税制優遇措置の導入も検討している(それに関する追加情報はこちら)。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 ホームページ更新しました。マンスリーエッセイ「乳と蜂蜜のバシコルトスタン」です。よかったらご笑覧ください。私のHPは、トップページはiPadからは閲覧できませんが、サイトの中の個別のページは可能です。

http://www.hattorimichitaka.com/essay2012.html#201210


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

20121014stax

 最近買ったCDの中で、一番気に入ったのがこれ。“Nobody Wins-Stax Southern Soul 1968-75”というオムニバス・アルバム。スタックスと言えば、サザンソウルの超名門レーベルとして、黒人音楽愛好家に絶対的に支持されている存在。そして、アトランティック傘下から離れた1968~1975年の作品に関しては、コンプリート・シングル集であるCD9枚組ボックスセット×2箱があり、好事家の必須アイテムとなっている。今回の“Nobody Wins-Stax Southern Soul 1968-75”は、主にそこから漏れたB面曲、LP収録曲、未発表曲から成っており、ボックスセットを補完してくれる、まさに痒いところに手の届く内容となっている。まだ1回しか聴いていないが(笑)、私自身初めて聴いた曲が多く、しかもすべてが私好みで、一聴して気に入った。以前から知っていた曲では、The Soul ChildrenのMove Overの収録が嬉しい。これまでは、音の悪い昔のCDでしか音源を保有していなかったので。

 Move OverがYouTubeにあるかなと思って探してみたら、一応あったけど、これ、だいぶおかしい。回転が速くて、本来より高い音になってしまっており、ヘリウム声みたいで気持ち悪い。まあ、終了間際の異常なテンションだけでもお楽しみください。


 PS:その後、正常な回転の動画を見付けた。以下のものが、ノーマル版です。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

↑このページのトップヘ