ユーラシアリサーチ 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心に旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

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 Wedge ONLINEに、「米国のベネズエラ奇襲にプーチンが沈黙するのはなぜ?ロシアにもたらす収支勘定から分かること」と題する論稿を寄稿しました。無料でお読みになれますので、ぜひご利用ください。


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 こちらの記事が、2025年のロシア鉄道の輸送実績につき伝えているので、以下整理しておく。

 2025年の通年の結果、ロシア鉄道の路線網における貨物積載量は前年と比べて5.6%減少し、11億tとなった。

 距離も加味した2025年の貨物輸送量(t・km)は1.8%減少し、2兆4,783億タリフt・km(つまり貨物を積んで料金を得た上で運んだ分)となり、空車走行距離を含めると3兆751億t・km(1.2%減)となった。

 2025年は複数の外部的な悪条件が積載量に影響し、その結果、建設資材の積載は10.5%減、鉄鋼は17.7%減、石炭は2.1%減となった。製油所の修理のため、石油関連貨物の積載も5.0%減少した。穀物貨物の積載量は、天候不順の影響により年間で12.2%減少した。このような状況の中で、東方方面への輸出貨物は6.5%増加し、1億6,350万tに達した。

 石炭以外の貨物の東方輸出は7.6%増の4,530万tとなり、内訳としては、肥料(62.6%増)、原油および石油製品(4.3%増)、鉄鉱石(9.2%増)、およびコンテナ輸送貨物(13%増)などから成る。石炭の東方輸出も6.1%増加した。

 2025年12月29日、ロシア鉄道の取締役会は2026年の投資プログラムを承認した。投資額は前年より20%減少し、7,136億ルーブルとなる。このうち5,314億ルーブルは、固定資産の維持および輸送の安全確保に充てられる予定である。また、新型機関車を最大400両、旅客車両を最大190両購入する計画で、これらの目的に1,617億ルーブルが割り当てられる。高速鉄道プロジェクトには1,200億ルーブル、幹線インフラの発展プロジェクトには622億ルーブルが充てられる。


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 個人的にきちんと認識していなかったが、モスクワ周辺のロシアの古都群を呼ぶ「黄金の環」という呼称、あれは自然発生的な呼び名ではなく、Yu.ブィチコフという文芸家が1967年にそのように命名したものということだ。

 そして、来年「黄金の環」誕生から60周年を迎えるということで、こちらに見るとおり、このほどロシア政府は「黄金の環」につき、従来の9都市に、新たに49都市・集落を追加することにした由である。何やら、日本の「小京都」のように、乱発という気がしないでもないが、ともあれ、今回ロシア政府が新たに指定したところをロシア語のままで恐縮ながら以下整理しておく。コンプリートするのは大変そうだ。

  • ウラジーミル州(Владимирская область):Г. Александров, п. Боголюбово, г. Вязники, г. Гусь-Хрустальный, г. Гороховец, с. Кидекша, г. Киржач, г. Кольчугино, пгт Мстёра, г. Муром, г. Юрьев-Польский.
  • ヤロスラヴリ州(Ярославская область):С. Вятское, с. Годеново, д. Карабиха, г. Мышкин, г. Рыбинск, г. Тутаев, г. Углич.
  • イヴァノヴォ州(Ивановская область):Г. Гаврилов Посад, г. Кинешма, пгт Палех, г. Плёс, д. Холуй, г. Шуя, г. Южа, г. Юрьевец.
  • コストラマ州(Костромская область):Г. Галич, г. Нерехта, пгт Красное-на-Волге, пгт Судиславль, пгт Сусанино.
  • モスクワ州(Московская область):С. Абрамцево, с. Гжель, г. Ликино-Дулево, д. Мураново, пгт Софрино, г. Хотьково.
  • トヴェリ州(Тверская область):Г. Калязин, г. Кашин.
  • ニジェゴロド州(Нижегородская область):Г. Арзамас, г. Богородск, г. Выкса, с. Большое Болдино, г. Городец, с. Дивеево, с. Пурех, г. Нижний Новгород, г. Павлово, г. Чкаловск.

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 こちらの記事が、ロシア農業が内需・外需の双方で苦戦していることを伝えており興味深いので、以下抄訳しておく。

 2025年のロシアは前年より穀物の収穫が良く、総収穫量(純重量)は公式推計で1.37億tに達して前年比7%増となる見込み。しかし、「たくさん獲れたのに儲からない」という状況。背景には、肥料・種子・燃料・農薬・賃料・人件費・物流費など生産コストの上昇がある一方で、国内の買い取り価格が採算ラインを大きく下回っていることがある。さらに輸出でも、世界的な豊作と競争激化によって価格が伸びず、農家も輸出業者も利幅を確保しにくい状況である。

 12月中旬時点で収穫面積の97%(約4,450万ha)が処理済みで、多くの地域で単収が前年を上回るという。輸出余力についても、約5,000万tという見方や、業界団体の5,700万~6,100万tといった強気の推計が並び、5年ぶりの高水準の収穫が世界市場への供給増につながるとされる。小麦だけでも約4,450万tを輸出できる可能性があるという。

 ところが、供給過剰が価格を押し下げた。持ち越し在庫が約1,000万tあることも、供給の厚みをさらに増やしている。具体的な国内価格としては、2025年12月5日時点で3等小麦が1t当たり14,460ルーブル(前年同月比約18%下落)、4等小麦が13,325ルーブル(同約18%下落)など、主要品目の多くが前年より大きく安い水準となっている。年末にかけては、製粉・製パン用や輸出向けにも使われる3等小麦の「引き取り(自家搬入)価格」が1t約13,600ルーブル程度まで下がり、採算確保に必要な水準を大きく下回っている。加えて、南部で不作・ヴォルガや中部で豊作という地域差が価格の地域的な揺れも生んでいる。

 内需価格の弱さには複数の要因があり、①高収穫見通しによる価格期待の低下、②ルーブル高による輸出採算の悪化、③加工業者側の需要が限定的であること、が挙げられる。こうした価格環境ではコスト増を吸収できず、生産拡大の意欲も削がれる。生産コストについては、当事者の声として「すべてが値上がりしている」とされ、種子・肥料・農薬・燃料・地代・物流費・賃金まで幅広く上昇している。コスト上昇率は10〜20%、播種に関わる総コストで約15%増という試算もある。

 採算面では、2025年夏時点で小麦生産の収益性が15%まで低下したと見られ、地域や経営規模によっては「臨界点」に近いほど採算が悪化しているという。特に乾燥しやすい南部では、春の遅霜と夏の干ばつが重なり、多くの生産者が赤字すれすれに追い込まれた。ある大手農業企業の例では、冬小麦の収量自体は前年より増えた一方で、全体の総収穫は期待を15%下回ったとも述べられる。さらに、2025年1〜8月の穀物・油糧作物生産者の税引前利益が前年同期比25%減の670億ルーブルに縮小したり、債務負担の拡大(2025年11月1日時点で買掛金等が約2.99兆ルーブル、前年比8.4%増)、農機販売の減少、老朽コンバイン比率の上昇、過去5年で約3.5万の農家が廃業したという厳しい状況も見られ、特に小規模・中規模農家の打撃が大きい。

 輸出も万能薬になっていない。2025/2026シーズンのロシア小麦輸出価格は、国内供給の厚さと世界市場での競争によって抑えられてい。ロシアだけでなく、オーストラリア、カナダ、アルゼンチンなど主要輸出国も豊作で、国際市場は供給増に傾いている。国際穀物理事会の見通しとして、世界の小麦増産の主役はロシア・EU・カナダで、世界の穀物貿易量は2025~2026年に4億9,340万t(前シーズン比1.4%増)に達する。価格面では、輸出相場が1t当たり228〜230ドル程度で、年末時点でタンパク質12.5%小麦のFOB価格が225〜230ドルに落ち着いた。これは米国産(236ドル)やフランス産(228ドル)と比べ競争力はあるが、輸出業者の利幅は縮む。好況だった2021〜2022年頃はFOBで300〜320ドルに達し、2022年には需給逼迫や物流混乱で350〜380ドルに跳ね上がった局面もあったわけで、現状は最良期より25〜35%安い。国内価格と輸出価格の差(輸出ディスカウント)が縮小し、場合によってはほぼ消えたため、輸出しても思うように儲からない。

 物流と競争の制約も重い。アジアや南米市場では、世界的な供給増と物流費の高さがロシア産の競争力を制限する中で、輸出業者は中東・アフリカなど伝統的な買い手により注力することになる。需要面では、トルコ、イラン、パキスタン、バングラデシュ、エジプトなどが今季の小麦調達を増やしており、一定の追い風もある。ロシア産小麦はエジプト輸入の80%、モロッコの40%、アルジェリアの35%を占め、サハラ以南アフリカ向けが43%増の600万tに伸びたことは販路多角化の成功例。ただし、輸出業者側も「高金利の資金調達」「為替・決済リスク」「低い利幅」という三重苦の中で、量よりも取引の質と収益性、すなわち調達から港湾、物流までのサービス品質が重要になっている。

 今後については、2026年半ば頃に在庫が減って旧穀の圧力が弱まり、2026/2027の収穫見通しが形成されてくるにつれて価格が上向く可能性があるという見立てがある。他方、悲観シナリオとして、世界供給がさらに増え、ルーブル高も進めば、2026年のFOB価格は220〜230ドルへ小幅下落する可能性もある。輸出採算の悪化が進めば、規制強化なども絡んで輸出余力そのものが損なわれかねず、政府支援策としては農業向け金利を1〜5%水準に抑えること、被害農家の税支払い猶予・再編、肥料や燃料、種子のコスト補填などが考えられる。

 こうした「穀物が儲からない」現実は作付け構造を変えつつある。2025年12月初め時点の冬作(秋播き)の播種面積は約1,980万haで前年並みだが、内訳では穀物が前年差で20万ha減ったという。逆に、冬作の菜種は約6万ha増え、前年より8%増とされる。数年前から続く傾向として、小麦などの伝統的穀物よりも採算の良い油糧作物、トウモロコシ、工芸作物の比率が上がっており、2026年もこの構造転換が続くと見られる。機関予測として、小麦の作付面積は2,690万haから2,630万haへ縮小し、平均単収も3.3t/haから3.2t/haに下がる一方、ヒマワリ・大豆・菜種は過去最大の作付になる、という見通しがある。ただし、油糧作物の拡大には輪作上の制約や加工能力不足というボトルネックがあり、どこまでも増やせるわけではない。

 気象リスクも大きい。今季最大のリスクとして暖冬が挙げられ、積雪不足や早すぎる生育の進行、害虫増などが冬作物の一部枯死につながれば、春播きへの切り替えが増え、結果として油糧作物へのシフトがさらに強まる可能性がある。2026/2027シーズンの小麦収穫は8,380万〜8,800万tと予測され、2025/2026の8,850万tから減る見通しで、これも低採算に反応した農家の行動の結果だと位置づけられる。

 最後に、2026年に向けた市場環境として、国内価格は供給過多に加え、2026年2〜6月に輸出割当(クオータ)2,000万トンが導入されることで、さらに圧力を受ける可能性がある。輸出量が制度的に抑えられれば国内に滞留しやすくなり、価格が上がりにくいからだ。こうした中で、農業企業は販路の多角化(輸出先の見直し、地域間販売、買い手のタイプ分散)を迫られている。また、輸出だけでなく国内のトレーディングが収益機会になり得るとして、加工工場が「後払い・受け入れ時の品質評価」を望むのに対し、農家は「前払い・出荷時の品質(書類)基準」を望むため、その間を埋めて資金繰り・物流・品質リスクを引き受けられるトレーダーが仲介者として価値を持つ。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、今週21位のJenny Take A Ride! - Mitch Ryder & The Detroit Wheelsは、これ以降もまだ順位を上げるのだが、大好きな曲なので待ちきれず、もう取り上げてしまう。チャック・ベリーやリトル・リチャードら、ロックンロールの先人たちのフレーズを大胆に縫合し、ソウルフルなシャウトと暴走するビートで押し切るスタイル。Mitch Ryder & The Detroit Wheelsを敬愛するブルース・スプリングスティーンがステージでDetroit Wheelsの曲をメドレーで演ることでも知られる。

その頃ソ連では
1966年1月10日:ソ連のA.コスイギン首相の仲介の下、タシケントで開催されたパキスタンのムハンマド・アユブ・カーン大統領とインドのラヴィンドラ・バチャチャンドラ・シャストリ首相との会談の結果、「タシケント宣言」が調印される。前年の両国間の戦争後の印パ関係正常化が目的。

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 こちらの記事が少々気になった。これによると、ロシアは2025年1~11月に、鳥の羽毛およびダウン(羽毛)の輸出を4%増やし、約2,100万ドルに達した。連邦センター「アグロエクスポルト」が明らかにした。2025年の最初の11か月間で、ロシアは詰め物用に使われる鳥の羽毛およびダウンを計1,700t、総額約2,100万米相当で海外市場に供給したと見られる。前年同期と比べ、金額ベースで輸出は4%増加したという。金額ベースの輸入国上位5ヵ国には、中国、ドイツ、ポーランドなどがある。アグロエクスポルトによれば、ロシアは2025年に、2021年以来初めて台湾向けの輸出も再開し、11ヵ月間で30tが200万ドル超で出荷された。加えて、日本向けの輸出も大幅に増加した。前年の同期間には3.5t、約50万ドル相当だったのに対し、今年は9.6t、150万ドル超に達した。

 以上が記事の中身である。我々は羽毛・ダウンというと、通販番組や量販店売り場でプッシュされているポーランドやハンガリー産などを連想する。しかし、最大の輸出国は、中国のようだ。ポーランド産、ハンガリー産ホワイトグースなどと、産地ブランド化されており、中東欧は「伝統的農業」「寒冷地で育った大粒ダウン」「EU品質管理」といった日本人消費者に響く物語を作りやすい。実際に中東欧は加工・製品輸出国として強いわけだが、原毛の一部または全部がロシア産・中国産である可能性は十分にあり、「原産国表示」と「ダウンの原産地」は別物なので、それで特に問題はないのだそうだ。


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 こちらの記事によると、2025年にロシアの漁業者はスケトウダラの漁獲量で過去最高記録を更新し、漁獲量は210万tを超えた。ロシア連邦漁業庁が発表した。

 同庁の発表によると、主要な漁業対象種の一つであるスケトウダラの漁獲量が210万tを超えた。これは過去25年以上で最高の結果であるという。ロシアはスケトウダラの漁獲量で世界最大の国であり、同魚種は国内総漁獲量の40%以上を占めている。2024年の実績では、199万tが漁獲された。


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 よく、日本のニュース番組などで、「新年から(あるいは新年度から)何がこう変わります」みたいな話題が伝えられる。こちらの記事はそのロシア版であり、2026年からロシアで何がどう変わるか伝えていて興味深いので、以下整理しておく。

  • 徴兵が「年間通じて」へ(いわゆる「永遠の徴兵」):2026年は1月1日〜12月31日まで、通年で徴兵が行われるようになる。目標は約261,000人の徴兵確保。通常の召集時期(春・秋)は残るが、徴兵局の対応は年間通じて行われる。これにより、連絡や召集を無視した場合の制約が厳しくなる可能性がある。
  • 付加価値税が 20%から22%へ引き上げ:社会的に重要な商品には低税率の10%が維持されるが、それ以外のほとんどの商品・サービスに新税率が適用される。この変更は物価や企業負担にも影響すると見られている。
  • 最低賃金の引き上げ:全国の最低賃金が27,093ルーブルに引き上げられる(2025年比で大幅アップ)。地域によっては、さらに高い最低賃金が設定される場合もある。
  • 公務員の年次収入申告が廃止:公務員はこれまで毎年提出していた収入申告を提出しなくてもよくなる。提出が必要なのは任命時・異動時・大きな支出がある場合など、限定されたケースのみに。この制度は永続的なものとされ、公表義務も停止される。
  • 「外国エージェント」への税制変更:指定された「外国エージェント」は、個人所得税30%の一律課税となる(控除や免税も制限)。これは対象者の税負担を重くするもの。
  • 最低アルコール価格がさらに上昇:ウォッカやブランデー、コニャックなどの最低販売価格が引き上げられる(たとえばウォッカは0.5Lで最低409ルーブルへ)。
  • 銀行・安全関連の変更:ロシア中央銀行は詐欺の疑いがある送金の基準を拡大し、対象となる取引の監視を強化する。マネーロンダリング対策として、一定条件の送金が一時的に停止される可能性がある。
  • 公共サービス料金(光熱費など)の引き上げ:2026年は住宅・公共サービス料金が段階的に上昇する。1月から最初の引き上げが実施され、10月にもさらなる値上げが計画されている。
  • その他の変更点:労働時間に関する休日の整理や手続きの変更も行われる(パスポートや運転免許証の更新制度の調整など)。最低生活保障(年金や手当)の支給額も増える見込み。

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 暮れに出たこちらの記事で、2025年のロシア・中国関係の10大ニュースというのが伝えられていたので、その中身を要約してご紹介する。国営メディア系なので、政府主導のポジティブな話題ばかりだが、悪しからず。

  1. 両国首脳の会談と戦略的信頼の強化:中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が複数回会談し、相互理解と戦略的パートナーシップを一段と強化した。両国の指導者は世界の不確実な情勢の中で安定を重視する姿勢を示した。
  2. 上海協力機構(SCO)天津サミットでの連携:天津で開催された上海協力機構(SCO)の首脳会議において、中国とロシアは多国間の協力強化を推進した。このサミットはSCO史上最大規模となり、地域協力の深化の象徴となった。
  3. 高官・議会間交流の活発化:両国間の高レベル接触が活発で、政府関係者や議員、政策担当者の相互訪問が増加。対話と協議が強化された。
  4. ビザなし渡航の試験的導入:2025年、中国とロシアは国民同士の交流を促進するため、試験的にビザなし渡航制度を開始した。これにより人的交流や観光・ビジネス往来の拡大が期待されている。
  5. 両国間の貿易が堅調推移:経済面では、2025年1〜11月の貿易額が約2,036億ドルと、3年連続で2,000億ドルを超える大規模な取引が継続。中国企業のロシア進出や投資も増加傾向。
  6. 物流インフラと輸送協力の強化:鉄道や自動車輸送などのロジスティクス面で具体的な改善策が合意され、越境貨物の流通や輸送効率の向上が進められた。
  7. 農業・生物資源分野での協力:農業、植物・動物保護などの分野で共同プロジェクトが拡大。種子供給や家畜育成技術など、実務的な協力が進展した。
  8. 中国・ロシアメディアフォーラムの開催:北京で第6回中国・ロシアメディアフォーラムが開催され、両国メディア機関間で協力を進める新たな合意が成立した。
  9. 中国・ロシア友好・発展委員会の新体制始動:両国の友好・発展委員会が定期的な運営体制を整え、今後の協力課題・交流計画を策定した。
  10. 文化交流「中国・ロシア文化年」の成功裏の終了:「中国・ロシア文化年」のイベントが盛況に終了し、芸術・文化交流を通じた国民間の理解深化につながった。

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 ロシアの貿易統計、軍需生産、制裁逃れなどを考える上で非常に気になる情報がこちらで伝えられていたので、以下で抄訳しておく。

 The Insiderが調べたところ、2025年のロシアの税関データには、180のカテゴリーに分類される技術的に複雑な商品(主にエレクトロニクスおよび工業生産分野)の供給に関する情報が欠落している。輸入業者がその活動を停止していないことを考慮すると、供給に関するデータが税関データベースに登録されなくなっただけだと考えられる。このように、当局は「グレー」な輸入に関する情報を隠蔽し、特に軍需産業にとって極めて重要な商品の供給業者に対する新たな制裁を回避しようとしている。こうした不正行為の代償として、国家の管理・計画に問題が生じる可能性がある。なぜなら、ロシア統計局のデータの信頼性が低下するからだ。

 ロシア当局は、社会的に重要なデータを隠す方法をずっと前から学んできた。たとえば、EGRUL(統一国家法人登録簿)は「戦略的に重要な」企業の所有者に関する情報のアクセスを閉鎖し、Rosreestr(ロシア連邦不動産登録局)は汚職者の財産に関する情報のアクセスを閉鎖し、ロシア国立図書館は盗作が発覚することを恐れた一部の役人の学位論文へのアクセスを数年前から閉鎖している。ロシア政府が、国家統計の信頼性に大きな影響を与えるデータを直接削除し始めたのは、今回が初めてと思われる。The Insiderが明らかにしたところによると、2025年、ロシア税関は、中央データベースからかなりの数の商品カテゴリーを削除した。

 以前、The Insiderは、例えばイランから供給される「シャヘド」が「ボート」と表示されていたことを報じたが、そのような事例はむしろ例外的だった。しかし今では、商品は名称変更も他のカテゴリーへの再分類も行われず、単に表示されなくなるだけとなっている。

 これは、以前はマイクロチップなど非常に狭い品揃えを専門としていた企業の財務諸表の分析から明らかになっている。他の商品(例えば、マイクロチップを「マッチ」や「釘」として登録するなどの方法)で大きな売上高を計上する代わりに、これらの企業は税関のレーダーから完全に姿を消してしまった。しかし、連邦税務局のデータによると、これらの企業が閉鎖、事業停止、または大幅な売上減少の兆候は見られない。

 2024年には、機械製造、電子機器、冶金などの分野で、制裁対象製品が220億ドル相当ロシアに輸入された。その内訳が冒頭の図である。

 これらの商品は、民需と軍需の両方で使われてる。だが、The Insiderが再三明らかにしてきたように、今の状況では、一見平和的な商品も戦争に使われている。例えば、「リチウムイオン電池」は、主にドローンに使われるので、重要な軍事商品である。The Insiderの一連の報道が明らかにしたように、加工センターや旋盤も、何よりまず軍需関連企業から需要がある。

 2025年には、EUと米国が制限を課したこれらの業界における主要輸入品の構造が変化した。2025年の輸入統計からは、コンピュータ機器、ルーター、集積回路、ビデオカメラ、無線部品、周波数発生器、レーダー機器、航法装置、電気モーター、集積回路製造装置、その他多くの電子機器が完全に姿を消した。また、掘削機、工業用炉、その他一部の機器など、合計約180品目が消えた。これらの供給は現在ゼロということになっている。どれもEUまたは米国の決定によりロシアへの供給が制限されている品目だ。2025年の最初の3か月だけで、ロシアには制裁対象商品が57億ドル以上輸入された。

 ロシア税関の月次報告書の分析により、これらの通関コードが2024年末から統計に反映されなくなったことが判明した。さらに、The Insiderは3つの重要な特徴に注目した。第1に、これらの変化は同時に発生した。第2に、特定の種類の商品を輸入していた企業、特に高度に専門化された企業は、市場で積極的に活動を続けていた。そして第3に、2025年のこれらの種類の商品の取引は、厳密にゼロである。これらすべてを総合すると、税関分野における大規模な「登録の改ざん」があったと結論づけられる。

 以前チップの供給に従事していた高度に専門化された企業の輸入売上高を比較してみると、もし彼らが単に商品の表示を変更しただけだった場合(税関職員の許可または直接の指示により)、売上高はおおむね同水準を維持していただろう(これらの商品の消費が劇的に減少したわけではないことを考慮すると)。

 どうやら、これらの通関コードが付いた商品の通関書類が記入されると、その情報は税関の中央サーバーには保存されないようだ。一方、データベース内の他の品目の商品は、引き続き正常に表示されている。

 この工作は、実体経済セクターにおける経済活動を合理的に分析し予測することを不可能にする可能性がある。したがって、間接的に、このような「対抗制裁」政策によって、統計局、国民経済を研究する学術機関、および計画と分析を担当する政府部門が被害を受けることになる。


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 Wedge ONLINEに、「ロシアの未来を抵当に入れ、戦争を続けるプーチン、財政を犠牲に国民の不満爆発を回避、ウクライナ侵攻前後の「連邦財政の見通し」を比較してみると…」と題する論考を寄稿しました。無料でお読みになれるので、ぜひご利用ください。


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 昨日に引き続き、ロシア版フォーブスに掲載された同編集部M.ペレヴォシチコヴァによる2026年のロシア経済展望の後編をお届けする。

 2024年に財務省は、次の3カ年を対象とする連邦予算を編成する際、2025年の財政赤字を1兆1,700億ルーブル(GDP比0.5%)と予測し、その後の年も2兆8,000億ルーブルを超えないと見込んでいた。しかし実際には、状況はまったく異なるものとなった。2025年1~11月の累計で、赤字はすでに4兆3,000億ルーブル、GDP比2.0%に達し、通年では5兆7,000億ルーブルに拡大すると予測されている。原因は、2025年に個人および企業の税負担が増加したにもかかわらず、非石油・ガス歳入が想定を下回った(「取りこぼし」が生じた)ためである。2026年の財政赤字は、財務省の見通しでは約3兆8,000億ルーブル(GDP比1.6%)となり、その後は縮小し、2027年には約3兆2,000億ルーブル(GDP比1.2%)、2028年には3兆5,000億ルーブル(GDP比1.3%)になるとされている。

 赤字拡大の問題に対処するため、財務省は不人気な措置に踏み切ることを決めた。それが増税である(付加価値税の引き上げ、簡易課税制度を利用する企業の免除上限の引き下げ、中小企業向け社会保険料優遇の廃止など)。「我々は単純な選択に直面していた。予算には原資が必要だが、それをどうするのか。経済から資金を吸い上げるのか、それとも借入を増やすのか。最終的に、債務を増やせば、商業銀行から借り入れる形でより多くの資金を経済から吸い上げ、その資金が再び商業銀行に戻り、結果としてマネーサプライの増加につながる、という結論に至った」と、A.シルアノフ蔵相は説明している。

 2028年時点の非石油・ガス歳入は、名目ベースで2025年比約30%増の36兆1,640億ルーブルに達し、石油・ガス歳入は約13%増加する見通しだ。今後3年間を通じて、非石油・ガス歳入はGDP比13%以上を維持する一方、石油・ガス収入は4%未満にとどまることになる。しかしブクレミシェフは、予算の前提となっている歳入見通しは過度に楽観的であり、「結局は財政赤字を膨らませざるを得なくなるだろう」と指摘する。

 こうした状況下では、税務当局は税務調査において非常に財政重視(プロ・フィスカル)な姿勢を取るようになるだろうと、税務・法務コンサルタントのM.オルロフは述べる。さらに、すでに実施された税負担の変更も「これで最後ではない」と彼は見ている。

 2026年のロシア経済にとって主要なリスクの一つは、「財政部門の利害やニーズが、他のすべてに対して絶対的な優先順位を持つようになること」だと、格付け会社エクスペルトRAのチーフエコノミスト、A.タバフは語る。「我々は、厳格なマクロ経済政策を維持しようとする姿勢、税制分野でかなり強硬かつ急進的な措置を取る用意、そして全体として国家による圧力が強まっていることを目の当たりにしている。ある意味では、2016~2018年の状況に戻りつつある。あの時期は、金融政策も財政政策も厳しかったが、今回はより高い水準の政府支出のもとでそれが行われている」と彼は分析する。財政問題は主として経済活動の減速と高いルーブル相場に起因している。主要な政策金利の水準以上に重要なのは、2026年に財政がどのように乗り切れるのか、そして予算上の必要によって国債市場や金融政策全体が押しつぶされないかどうかだと、同氏は結論づけている。

 ロシア経済に対する外的リスクとして、Forbesの取材に応じた専門家たちは、世界市場の環境、すなわち輸出品や原油の価格、そして制裁圧力の強化を挙げている。

 戦闘開始以降、貿易フローは再編されたものの、ロシア経済が世界の資源市場の動向に依存している状況は依然として変わらないと、ガイダル研究所の金融政策ラボ所長Ye.ゴリュノフは述べる。JPモルガンやゴールドマン・サックスといった投資銀行のアナリストによれば、現在は原油が供給過剰の状態にあるため、近い将来価格は下落し始める見込みだ。2025年12月12日時点で、ブレント原油の価格は1バレル61.19ドルである。経済発展省は、2026~2027年のブレント原油価格をバレル70~72ドルと予測している。一方、米エネルギー省は、2025年の平均価格を68.91ドル、2026年は55.08ドルと見込んでいる。

 同時に、ロシアにとって重要なのはブレント価格そのものだけでなく、そこからのディスカウント、物流や保険に対する制限、さらに輸出企業に対する制裁であると、「テクノロジー・オブ・トラスト」のA.ヴィノグラードフは指摘する。すでに原油および石油製品からの収入は減少しており、インフラは頻繁に攻撃や制裁の対象となっているため、供給と収入の変動性は高まっている。「その結果、財政と国際収支は、あらゆる新たな外部ショックに対して極めて脆弱なままだ」と彼は述べる。

 シバノフによれば、米国が対ロ圧力をさらに強化し、ロシア産原油や石油製品を購入する国々からの輸入品に非常に高い関税(500%関税)を課す可能性もあるという。一方で、2026年には原油供給が需要を上回ると見込まれており、「仮にロシアの供給が減少しても、他国にとっては大きな問題にはならない」と彼は述べる。

 最近の痛みを伴う制裁の一つとしては、米財務省外国資産管理局(OFAC)が秋に発動した、ロスネフチおよびルクオイルというロシア最大の石油会社、ならびにそれらの子会社に対する制裁が挙げられる。これらの制裁には、米国およびその他の外国組織がこれらの企業と取引することを禁じる措置も含まれている。

 今後、状況を大きく悪化させ得るのは、原油および石油製品輸出に対する制限の大幅な強化、たとえば「影の船団」の相当部分に対する保険や用船の禁止、決済や物流を担う第三国のトレーダーや銀行に対する攻撃的な二次制裁だと、ヴィノグラードフは予測する。さらに、仲介企業への罰則強化、技術やサービス輸出に対する禁止措置の拡大も、状況を悪化させる要因になり得るという。

 ロシア経済にとって最大のリスクは地政学的なものであり、特別軍事作戦の行方に関連していると、国立研究大学高等経済学院の経済学部准教授V.ベソノフは総括する。「現在、我が国の経済が直面している問題は、第1に軍事行動を遂行することによる負担が原因だ。制裁も一定の影響を及ぼしているが、特に鉱物資源の採掘分野において顕著だ」と彼は語る。「特別軍事作戦向けの生産は、消費財やサービスに裏付けられていない所得を生み出す。この不均衡はインフレを招き、その抑制策が『民生』部門の活動を圧迫する。問題は特別軍事作戦が終了するまで続くだろう」と、同氏は結論づけている。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、巨大ヒットというわけではないが、楽しい曲がチャートインしてきたので、これを取り上げよう。今週81位のCall Me - Chris Montezがそれである。初期にはティーン向けのロックンロール/ロカビリー系歌手だったクリス・モンテスが、英国勢の侵略を受けてよりポップで洗練されたバラード/ミドルテンポ路線へと転換し、ラテン色と都会的センスをミックスして放った一曲だった。

その頃ソ連では
1966年1月14日:ソ連の宇宙ロケット開発の父、S.コロリョフが逝去。

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19660108a
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 昨年の12月25日に出たものだが、2026年のロシア経済を展望したこちらの論説が目に留まったので(ロシア版フォーブス編集部M.ペレヴォシチコヴァ署名)、以下で抄訳しておく。長いので上下2回に分けて紹介し、本日は前編。

 2026年にロシア経済が直面し得る主要な課題としては、経済活動の制御不能な減速、より高いインフレ率、それに伴う政策金利の上昇、さらにより大規模な財政赤字が挙げられる。

 過去2年間のロシア経済を高熱に苦しむ人にたとえるならば、2025年には回復の兆しを見せ始めたと言える。年末時点のインフレ率は、中央銀行の予測レンジの下限を大きく下回る可能性がある。労働市場の人手不足も、もはやそれほど深刻には見えない。供給拡大の余地が需要の伸びに追いつかずに生じていた経済の過熱は、すでにピークを越えた。

 もっとも、過熱状態からの脱却は別の問題を伴う可能性がある。すなわち、経済の痛みを伴う減速、2026年にインフレ率およびそれに伴う金利が予測を上回った場合の特定産業の問題、さらには財政赤字拡大の可能性である。加えて、地政学や制裁に関連する、ロシア経済にとってすでに常態化したリスクも依然として消えてはいない。

 Forbesは、2026年にロシア経済が直面する主な課題について、マクロ経済学者たちに意見を聞いた。調査対象となったマクロ経済学者の多くは、2026年のロシア経済にとって最大のリスクは過度な減速にあると見ている。経済発展省の9月予測によれば、2025年のロシアのGDP成長率は1.0%、2026年は1.3%とされている。春時点の予測(それぞれ2.5%、2.4%)と比べると、大幅な下方修正である。ロシアのGDP成長率の鈍化は、2026年の主要な課題の一つだと、ロシア国民経済・公共行政アカデミー応用経済研究所の構造研究ラボ上級研究員V.エレムキンは指摘する。

 しかも、その困難は複数の方向で同時に生じる可能性がある。第1に、自己資金および借入資金の不足、さらに一部産業におけるプロジェクトの先行き不透明感により、投資活動が顕著に冷え込むと予想される。企業の税負担は増加し、総需要の減速を背景に市場利益は低下し、高金利のために借入資金は引き続き調達しにくい状況が続く、と彼は列挙する。経済発展省の予測では、2026年の固定資本投資は、基礎シナリオで0.5%、保守的シナリオでは1.3%減少する見込みだ。

 第2に、家計所得の伸びが鈍化し、ローン貸付も抑制されたままとなるため、需要も減速する。財政余力が限られているため、政府支出による景気刺激も弱まると、エレムキンは続ける。消費需要が大きく経済を支えてきた中で、その需要が弱まること、さらに財政支出の制限や財政再建が進むことを背景に、「制御不能な」経済冷却のリスクは確かに存在すると、ロシア科学アカデミー国民経済予測研究所所長のA.シロフも同意する。

 一方で、経済活動を刺激する余地は限られると、モスクワ大学経済学部経済政策研究センター所長のO.ブクレミシェフは指摘する。財政面の余力は、おそらく想定よりも小さく、経済成長を加速させるための追加的な予算資金は確保できないだろう。他方、金融政策も高い確率で、経済が減速から回復するには過度に引き締め的なものとなる。こうして「ロシア経済が深刻な危機に陥るリスクがある」と、ブクレミシェフは論じる。

 2026年の大きな焦点の一つは、増税や各種負担金の引き上げがインフレにどのような影響を与えるかである。中央銀行は、付加価値税を20%から22%に引き上げた場合、2026年のインフレ率を0.8ポイント押し上げると見積もっており、その影響は2025年末から2026年初頭に集中するとしている。同時に、中銀は、自らの予測が主に2019年の前回VAT引き上げ時の経験に基づいていることも認めている。当時はインフレ率もインフレ期待も低かった。2026年からの税金や物品税の引き上げはインフレ圧力を生み出す可能性があり、中銀が利下げを渋る姿勢は引き続き経済全体に悪影響を及ぼすだろうと、エレムキンは指摘する。ただし、急激な利下げはインフレの急騰やルーブル安など、二次的な影響を引き起こしかねないとも彼は付け加える。

 「現在、中銀が想定している政策金利の軌道は13〜15%だ。しかし、予測に反してインフレが迅速に鈍化しなければ、金利はさらに高くなる可能性がある。これはロシア経済の複数の産業にとって深刻な問題となり、大規模な債務リスケ、あるいは倒産の増加につながりかねない」と、ロシア経済大学院のO.シバノフ教授は警告する。

 現時点では、企業部門の不良債権はわずかに増えているにすぎない。2025年最初の3四半期で、その比率は0.2ポイント増の4%にとどまり、主に中小企業向け融資によるものだ。しかし、信用負担の問題はこのセグメントに限られない。状況は産業によって大きく異なり、不良債権の増加が特に目立つのは、鉄鋼業、鉱業、建設業、自動車産業である。最大規模の非金融企業89社のうち、すでに17社は債務を十分に返済できていない。銀行融資に依存する資本集約型で低利益率の産業が特に打撃を受けていると、コンサルティング会社「テクノロジー・オブ・トラスト」のA.ヴィノグラドフは述べる。まさにこれらの分野で、債務再編や局所的な倒産が顕著に増加する可能性があり、困難に直面する産業では統合も高い確率で進むだろう。

 厳しい貸付条件の継続は、2026年に企業が直面し得る問題の一部にすぎない。税制や料金負担の変更もまた、負の変化を引き起こす可能性がある。すなわち、企業コストの上昇や利益率の低下が中小企業の財務を悪化させ、一部の事業が地下経済に流れる要因となり得ると、エレムキンは指摘している。

 (続く)


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20251231e

 (昨日ですが)HP更新しました。マンスリーエッセイ「戦時下ロシア極東・シベリアの旅:バルナウル編」です。よかったらご笑覧ください。


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57

 目下、ロシアの冶金産業は絶不調なのだが、それでも金属の輸出額は伸びており、これは金(ゴールド)の需要増や価格高騰に起因しているのではないかと、個人的にはにらんでいる。ことほどさように、ロシアの場合は石油・ガスを追い詰めたつもりでも、二枚腰・三枚腰があるわけだ。

 個人的には金採掘業は不案内な分野だが、「南ウラル金会社グループ」(ПАО "Южуралзолото группа компаний" (ЮГК))という会社がある。そのHPを見ると、上の画像に見るとおり、2024年の販売量は33万トロイオンスでロシア4位、埋蔵量は4,600万トロイオンス相当でロシア2位ということである。

 さて、同社の株式の67.25%をオリガルヒのK.ストルコフが所有していたのだが、今年夏に検察が同氏に嫌疑をかけ、国が没収していた経緯があった。こちらの記事によると、このほどA.シルアノフ蔵相は、これらの持ち株を競売で売りに出すと発言したということである。同社を含んだ一連の売却により、国庫は1,000億ルーブル近くを調達できると、蔵相は見通しを語った。

 実業家に嫌疑をかけて国が資産を没収 → それを競売で売却し売上を国庫に納入 ということを繰り返していったら、ロシア財政は永久機関としてずっと戦費を賄い続けられるのかもしれない。


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libanova

 ウクライナにいつ「戦後」が訪れるのかはまだ分からないが、停戦に向けた外交が活発化しているためか、ウクライナでは「戦後」についての展望を論じるような議論が散見されるようになっている。そうした中で、ウクライナ科学アカデミー人口・社会研究所のエラ・リバノヴァ所長がこちらで戦後のウクライナの人口問題について語ったインタビューが目に留まったので、以下発言要旨をまとめておく。

 第二次世界大戦後のような出生率の急回復、「戦後ベビーブーム」は、現代のウクライナでは起こらない。①現代では子どもは「経済的資産」ではなく、高い教育・生活コストを伴う存在。②避妊と家族計画が普及し、出産は個人の合理的判断に基づく。③戦争による不安、住宅・雇用の不安定さが出産意欲を抑制。

 戦前(2021年)にすでに低水準だった出生率は、戦時中に約0.7まで低下したとされ、戦後に回復しても最大で1.6程度が限界で、人口を維持できる水準(約2.15)には届かない。

 政府による児童手当や出産支援金は、出生率向上策というより、子育て世帯の貧困対策。金銭的インセンティブだけで出産行動は大きく変わらない。むしろ「給付開始待ち」による出産の先送りが起きる場合もある。つまり、出生率問題は 経済支援だけで解決できる単純な問題ではない。

 戦争によって国外に移住したウクライナ人は約500万人規模と推定され、多くの女性や子どもが含まれる。結果として、①国内人口の高齢化が急速に進行。②労働力人口が縮小。③年金・医療など社会保障への負担が増大。戦後に一定の帰還は見込まれるものの、大多数が戻るという楽観的シナリオは現実的ではない。

 戦後の人口政策として重視すべきは、①早期の国勢調査による正確な人口把握。②出生率幻想に依存しない長期的人口戦略。③労働移民の受け入れを含む現実的な労働力政策。若年層が「戻り、暮らせる」経済・住宅環境の整備。人口問題は、復興政策の「周辺課題」ではなく、国家存続に直結する中核課題。


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 ロシアの「世論基金」が、2025年のロシアと世界の重大ニュースに関する国民の意識調査を実施し、その結果がこちらのページに出ている。

 まず、ロシアの重大ニュースとしては、以下のものが挙がっている。

  1. ウクライナにおける特別軍事作戦、ロシア軍の戦果:11%
  2. トランプ大統領が進める和平交渉:5%
  3. 大祖国戦争の戦勝80周年:2%

 以下はすべて1%なので、省略。

 次に、世界の重大ニュースとしては、以下のものが挙がっている。

  1. プーチン・トランプ会談、露米関係改善:10%
  2. ウクライナにおける特別軍事作戦、和平交渉の試み:8%
  3. トランプ大統領の就任
  4. 中東での戦争、ガザ情勢:4%
  5. ロシアと他の国々との関係強化:2%

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 12月19日にプーチン・ロシア大統領が恒例の「今年の総括」と題する大型会見を開き、その席で「鉱工業生産は1%増加し、うち製造業は3.1%の増加だ」と発言した。実はこれは1~10月の前年同期比であり、その5日後の12月24日に発表された1~11月の数字はそこから悪化していた。というわけで、定番のグラフを更新してお目にかけるわけだが、上図に見るとおり1~11月の鉱工業生産は0.8%増、うち製造業は2.6%増だった。まあ、意図的に1~11の発表を遅らせたとは思わないが、1%増と0.8%増、3.1%増と2.6%増では、かなり印象が異なることは否定できない。

 製造業の主要部門をまとめた下図を見ると、相変わらず全部門で調子が悪い。ウクライナのドローン攻撃にさらされている石油精製の不振がクローズアップされがちだが、こうやって見るとむしろ一番マシな数字である。

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 そして、今回衝撃だったのは、軍需関連部門の動きをまとめた下図で、戦車や軍用艦船などを含む「他のグループに含まれない自動車以外の輸送機器」が、1~11月についにマイナスになったことである。月別に見ると、9月の前年同月比15.1%減から様子がおかしくなり、10月は30.6%減、11月は35.7%減だった。修理して使えるような廃戦車のストックが尽きたのか。

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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、思いっきりベタではあるが、Simon & Garfunkel - The Sounds of Silenceが、S&Gとしてのデビュー曲にして見事に1位に輝いたので、今回はこれを取り上げよう。曲自体は1964年に発表されていたもので、当初は静かな弾き語りだったものに、後からドラムやエレキギターのリズムを重ねた編曲版がヒットした。映画『卒業』の主題歌として使われたことで一気に注目を集め、若者の心情を表現した曲として愛されるようになった。

 そんなわけで、今年の「60年前のBillboard Hot 100」はこれでおしまい。また来年お会いしましょう。

その頃ソ連では
1966年1月1日:ソ連で、前年以降のコスイギン改革を受け、既存の国家委員会を基盤とし、産業部門別の管理機関が復活。17の連邦・共和国合同の産業関連省と11の連邦の産業関連省が設置される。

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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2026年1月号のご案内。今号は「ユーラシアのアグリフード最前線」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回服部は、いずれも特集の枠外ですが、「ロシア国民の消費マインドは落ち込んでいるのか」、「ゼレンスキー最側近辞任の衝撃」という短い連載記事を書きました。


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 まあ、今年はねえ。あまり多くの研究業績を出したとは言えない年だった。そんな中、年度で言うとギリギリ昨年度にはなってしまうのだけど、今年3月に出た田畑伸一郎(編)『ロシア北極域経済の変動 サハ共和国の資源・環境・社会』の中で、「ダイヤモンド:制裁で交錯するグローバルとローカル」という章を書いたのが、唯一学術論文らしきものだったか。

 そんなわけで、サハ共和国のダイヤモンド大手「アルロサ」社のことは引き続き気になっているので、同社の近況を伝えるこちらの記事を以下のとおり抄訳しておく。

 アルロサは2025年のダイヤモンド採掘計画を完全に達成し、見込まれるダイヤモンド採掘量は2,970万カラットに達する。これは、2025年におけるアルロサの財務・経済活動の成果および2026年の計画に関する会合の終了後に、サハ共和国政府が発表したリリースの中で明らかにされた。

 それによると、アルロサは2025年のダイヤモンド採掘計画を完全に達成し、世界最大のダイヤモンド採掘会社としての地位を維持しつつ、世界全体の採掘量のおよそ3分の1を供給した。ダイヤモンド市場が長期的な低迷局面にあるにもかかわらず、予想される採掘量は2,970万カラットに達するという。

 アルロサのP.マリニチェフ社長は、同社が業界最高水準の財務的安定性と収益性を維持していると述べ、「危機および制裁圧力の下にあってもアルロサは黒字を維持しており、これは現在の世界的なダイヤモンド採掘業界において例外的なことだ」と付け加えた。

 また、アルロサは2025年に主要鉱床における鉱物資源基盤を大幅に拡大し、埋蔵量および資源量の増加を確保した。これにより、今後25~30年にわたる同社の安定操業が保証されると見込まれている。

 サハ共和国政府によれば、アルロサは基幹鉱床の操業寿命延長や地下採掘の発展に引き続き投資している。ウダチヌイ鉱山への投資により、2055年まで採掘を継続することが可能となり、さらに地下鉱山「ミール・グルボーキー」および「ユビレイナヤ」パイプ鉱床での地下鉱山プロジェクトも進行中であると強調した。

 さらに、同社は金採掘分野の開発にも成功している。主要プロジェクトはマガダン州にある「デグデカン」で、2030年までに年間3.3tの金生産能力に達する計画である。2025年には、アルロサはアナバール盾状地において沖積金の採掘を開始した。

 アルロサの広報部は、2026年には長期的な持続可能性の確保、技術的リーダーシップの強化、そして世界のダイヤモンド市場における新たな成長サイクルへの準備に注力する方針であると付け加えた。

 アルロサは、サハ共和国およびアルハンゲリスク州で採掘事業を行っている。同社は、ダイヤモンド原石の探査・採掘・販売、ならびに研磨加工を手がけている。ロシア連邦政府がアルロサの株式33.03%を保有し、ヤクーチア共和国が25%、同社が事業を行う共和国の各地区(ウルス)の行政機関が計8%を保有している。約34%の株式は市場で自由に流通している。


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 全ロシア人民戦線は、プーチン政権を支える翼賛的な政治・社会団体である。ウクライナにおける「特別軍事作戦」開始後、人民戦線は「すべてを勝利のために」という前線の兵士のための寄付・寄贈活動を手掛けている。元々、ロシアでは地方などから兵士が出征する際に装備が充分でなく、「手ぶらでウクライナに送るのは忍びない」ということで、ドローンや装備品を買い与えてあげようという草の根的な運動があった。人民戦線は、プーチン政権の意向により、そうした運動をより大規模かつ組織的に行っていると言える。前置きが長くなったが、こちらの記事がその件について伝えているので、以下抄訳しておく。

 ロシアでは、「特別軍事作戦」の開始以降、国民および各種団体が前線の必要のために総額628億ルーブル超を集めた。ロシア大統領府・社会プロジェクト総局のS.ノヴィコフ局長が、人民戦線中央本部の会合で明らかにした。ノヴィコフ局長は、人民戦線のプロジェクト「すべては勝利のために」が、戦闘員たちを支える力強く、感情に訴える支援のシグナルとなっていると指摘した。

 さらにノヴィコフ局長は、「前線の兵士たちにとって、自分たちのことを気にかけ、思いやり、 その家族のことまで考え、支援してくれている人々がいるのを知るのは極めて重要だ。そうすることで彼らは、自分たちの家族が後方で支えを失うのではないかと心配することなく、落ち着いて戦闘任務に集中することができる。これもまた勝利への貢献であり、現在その額は628億7,100万ルーブルに達している」と述べた。


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 次、ロシアに行けるのはいつなのかは見当がつかず、もしかしたら9月のアレが最後だったのかもしれないが、それでもロシア旅行にかかわる諸々のことが話題になると、それなりに気になってしまうものである。こちらのニュースが、ロシアのフラッグキャリアであるアエロフロートで、搭乗手続きに生体認証が導入されるということを報じているので、以下で記事を抄訳しておく。ただし、手続きが全面的に生体認証に置き換わるというよりは、それを選択できるようになるということのようだ。

 アエロフロートは、生体認証によって航空機に搭乗できるサービス「ミゴム」の試験に成功したと、同社の広報部が発表した。乗客は2026年後半からこのサービスを利用できるようになる。

 アエロフロートは12月、プルコヴォ空港および生体認証技術センターと共同で、「ミゴム」サービスの試験運用を成功裏に実施した。同社の発表によると、このサービスでは、パスポートを提示することなく、生体認証を用いて出発前の各種手続きを行うことができる。

 またアエロフロートは、乗客が事前に航空会社の公式サイトでこのサービスを有効化し、空港では生体認証データを用いて搭乗手続きを行い、ターミナルの「制限区域」へ入場し、ゲートで直接航空機に搭乗できるようになると説明した。次の段階として、関係する国家機関と協力し、必要な規制要件の整備を含め、サービスの本格運用に向けた準備が進められる。

 本プロジェクトの実現に向け、アエロフロートは子会社のIT企業「AFLTシステムズ」の参加のもと、自社サイトに必要な技術的改修を施し、統一認証・認可システムおよび統一生体認証システムとの連携を確保した。サービスの暗号技術による保護は、「クリプトプロ」のソフトウェア製品を用いて行われている。

 アエロフロートでは、「航空機搭乗サービス『ミゴム』は、国家の統一生体認証システムを基盤として実現されています。乗客は常に、パスポートによる搭乗か、生体認証による搭乗かを自ら選択することができます」としている。

 これに先立ち、A.ニキチン運輸相は、ロシアの空港における生体認証の導入は数年以内に始まる可能性があり、そのための必要な技術的ソリューションはすでに開発中であると述べていた。また、今年末までに乗客識別システムの試験運用を行う計画であるとしていた。

 生体認証が最初に導入される空港は、サンクトペテルブルグのプルコヴォ空港となる見込みである。パイロットプロジェクトの枠組みで、同技術は早ければ来年にも利用が開始され、その後、他地域へと展開される予定だ。ニキチン大臣は、生体認証による出発前手続きが、シェレメチェヴォ空港のような主要航空ハブでは、2028~2029年頃に利用可能になる可能性が高いと指摘していた。

 運輸省によると、この技術は旅客対応の迅速化とサービス品質の向上を可能にする。生体認証は搭乗手続きや搭乗時に使用できるが、識別方法の選択は常に乗客自身に委ねられるという。


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 こちらの記事が、ロシアが開発を進めている小型航空機「バイカル」が、もうすぐ初飛行を迎えそうだということを伝えている。以下、記事を抄訳しておく。

 国産エンジンVK-800を搭載した航空機「バイカル」の初飛行は近く実施される見込みで、すでに機体およびエンジンの試作機が製造されている。ロシア連邦産業・商業省が明らかにした。

 これに先立ち、ロスアヴィアツィヤ(ロシア連邦航空庁)は、VK-800エンジンおよびAB-901プロペラの認証が2026年第1四半期に予定されていると発表していた。また、それらを搭載した「バイカル」試作機の初飛行は2025年末までに実施される予定だとしていた。

 同省によると、株式会社「ウラル民間航空機工場」により、LMS-901型機およびVK-800エンジンの試作機が製造され、ヤコヴレフYak-40飛行試験機(フライング・ラボラトリー)においてVK-800エンジンの試験が実施された。現在は認証試験が進められており、近くVK-800エンジンを搭載した航空機の初飛行が見込まれている。

 軽量多目的機LMS-901「バイカル」は、ソ連時代の多目的機An-2の後継機となる予定で、座席数は9席である。巡航速度は最大300km/h、最大航続距離は3,000km(有効搭載量2t時は1,500km)とされている。


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 先日、「ロシア財政(少なくとも)2042年までずっと赤字」というエントリーをお届けした。その補足である。前回お伝えしたとおり、ロシア政府は長期財政見通しを6年に1回改訂することになっている。今般発表された2042年までの財政見通しを、前回2019年3月に策定された2036年までの見通しと対比したグラフを作成してみた。

 その結果は一目瞭然であり、ロシアの財政シナリオがウクライナ侵攻の前と後とで、一変したことが確認できた。まず財政赤字を見た上図では、確かに2019年の予測でも赤字が続く想定になっていたが、その規模は対GDP比で見てごく低い水準で横這いで推移することになっていた。なお、2019年の予測で、2030年以降は保守シナリオよりも基礎シナリオのほうが赤字が大きくなるのは、基礎シナリオではプーチン政権が掲げた国民的目標への国家投資が積極的に行われることとなり、保守シナリオではそれが上手く行かずに国家投資が滞るという筋書きになっていたからだと考えられる。

 このように、2019年の予測では、毎年の赤字がごく小規模とされていたため、下図に見る政府債務残高も16~17%程度で横這いになるという超安全運転が想定されていた。プーチン政権はその安定をかなぐり捨て、赤字・債務が膨らんででもウクライナを支配下に置くことを目指したということになる。

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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 今週1位に輝いたのは、Over And Over - Dave Clark Five。実を言うと、DC5は個人的にこれまでほとんど通ってこなかったグループである。「(ビコーズを例外として)やかましいだけのグループ」みたいな風評があって、ちょっと避けてきた感じなのだ。当シリーズで取り上げることだし、これではいけないと思い、ベストCDを発注したところ。

その頃ソ連では
1965年12月30日:ソ連・エジプトの1966~1970年商品相互供給協定が結ばれる。

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19651225a
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85ab

 地味な話題で恐縮だが、こちらの記事がロシアにおける肥料の国内供給の状況につき報じているので、以下抄訳しておく。

 ロシア肥料生産者協会(RAPU)は、ロシアの生産者がロシアの農業事業者の肥料需要を100%満たしており、春の農作業に向けた供給もすでに開始していると表明した。

 農業省の12月8日時点のデータによると、農業事業者は、既存の在庫を含めて、有効成分100%換算(有効成分ベース)で560万tの肥料を購入した。肥料消費の内訳は、窒素肥料が53%、リン含有肥料が41%、カリ肥料が6%となっている。RAPUによれば、消費地域の分布は過去数年と比べて大きな変化はなく、購入量の3分の1以上を中央連邦管区が占め、約30%を南部連邦管区および北カフカス連邦管区の農家が購入し、15%強を沿ヴォルガの農家が購入している。

 協会のA.グリエフ会長は、ロシアにおける肥料の供給は安定しており、不足はなく、今後もその見通しはないと改めて強調した。また現在、肥料メーカーはロシアの農業生産者に対し、2022年秋の価格と同等、もしくはそれを下回る価格で製品を供給しているという。

 グリエフ氏によると、現在、上限価格の指数改定を行うための客観的な前提条件がいくつも整っており、この問題は業界が投資プログラムを継続して実施できるかどうかに直接影響するという(訳注:つまり、拡大再生産のためにも、国内供給価格の基準を上げてくれという政府へのアピール)。一方で、価格の指数改定は、国民向けの食品価格にはほとんど影響を与えないとも付け加えた。


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vkusno

 Wedge ONLINEに、「〈ロシア版マクドナルドも体験〉現地から見えたロシア経済の実情、制裁下での国民生活は?庶民の声に弱いプーチン」と題する論考を寄稿しました。ロシア旅行記三部作の最終回です。無料でお読みになれますので、ぜひご利用ください。


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 正直知らなかったが、ロシア政府は18年間というスパンの財政見通しを作成しており、それを6年に1回改訂しているとのことである。そして、こちらのページに見るように、ロシア政府は12月11日付の政府指令で、2042年までの連邦財政の見通しを示した。

 付属文書に様々な数値指標が示されているが、一番分かりやすいのは連邦財政赤字の対GDP比なので、とりあえずそれを上掲のとおりグラフにまとめてみた。なお、ロシアの通例どおり、見通しはベースとなる「基礎シナリオ」に加えて、より慎重な「保守シナリオ」という二段構えとなっており、グラフではそれを青と赤で示した。

 基礎シナリオでは、当面は財政赤字は2025年の2.6%がピークであり、2026年以降は低下していくことになっている。だが、2030年代半ばから再び赤字が拡大するのは、たぶん人口動態が悪化し社会保障負担が増えると想定しているからだろう。他方、保守シナリオでは、2026年以降も財政赤字は横ばいで、それが2030年代に入ると大きく膨らむと想定されている。というわけで、ロシアの連邦財政は、少なくとも今回見通しが示された2042年まではずっと赤字が続くと考えられ、しかも図に見るトレンドからして、2043年以降に改善に向かうとも考えにくく、保守シナリオでは赤字がさらに膨張することになる。

 当然、毎年赤字を出し続ければ、政府債務残高が拡大していく。それを、やはり2つのシナリオに沿ってまとめたのが、下図となる。ロシアは、ウクライナ侵攻を始める前までが超健全財政だったので、出発点の債務残高が国際的に見てきわめて低い水準だったことが見逃せない。したがって、基礎シナリオにあるように2042年に債務残高がGDP比32.2%になっても痛くも痒くもないし、保守シナリオの69.4%でも、国際的に見て決してものすごく高い水準ではない。

 この見通し自体が甘いのではないかということはひとまず置くとして、問題は債務の絶対的な水準というわけではあるまい。ロシアの場合、これからずっと赤字が続くことが確実で、債務に歯止めをかける仕組みが用意されておらず、しかも戦争・制裁や「中国ショック」などでさらに条件が悪化しかねないなど、構造的な不安要素が大きいことが問題と言えそうである。

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