ユーラシアリサーチ 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心に旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

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 正直私は知らなかったのだが、ウクライナ出身で現在は英在住のアリョーナ・フリウコという女性の政治評論家がいるそうである。こちらの記事で、同氏がロシア・ウクライナ戦争とそれをめぐる諸問題についてのインタビューに答えているので、以下発言要旨を整理しておく。

 ウクライナによる製油所・石油インフラ攻撃は、すでにロシアの石油収入に目に見える打撃を与えている。2026年5月だけでロシアの石油収入は計画比7.1億ドル減少し、月間計画を10%下回った。 モスクワやサンクトペテルブルグ周辺にまで及ぶ長距離攻撃能力は、ロシアの戦争遂行能力を徐々に削いでいる。

 米イラン間の緊張が収まれば、ワシントンの関心は再びウクライナに向かうだろう。ホルムズ海峡正常化で原油価格が下落すれば、ロシアの戦費調達能力も低下する。ただ、最近の米国は親ウクライナ的でも中立的でもなく、むしろロシア寄りの姿勢すら見せている。

 ロシア軍は戦場で戦術的に劣勢にあり、春季攻勢は事実上失敗した。Starlink利用制限やウクライナの中距離攻撃能力がロシア軍の計画を狂わせた。ロシアは地上戦で成果が出ないため、民間人へのテロ攻撃を強化してウクライナの士気をくじこうとしている。

 ウクライナの弱点は防空能力である。パトリオット迎撃ミサイルの供給国は限られており、米国在庫も中東情勢で消耗している。ウクライナには将来的に、自国製の「安価なパトリオット」を開発できる可能性がある。

 ロシアのエリート層には、戦争への満足感はない。しかし、軍需経済から利益を得ており、体制転覆に向かうほどの不満もない。反戦感情は徐々に育つだろうが、独裁国家なので時間がかかる。いずれ異論が形成されるのは不可避だが、いつ誰かがプーチンを排除するかは分からない。

 ウクライナは防衛している側であり、戦争を止めるかどうかを決める立場ではない。戦争を終わらせられる唯一の主体は侵略者であるロシア。欧州は当初米国任せだったが、米国の後退により主導的役割を果たそうとしている。欧州が米国のように領土放棄をウクライナに迫るべきではない。

 戦争後、制裁解除やエネルギー収入回復が進めば、ロシアがさらに大胆になる可能性がある。ロシアの目的はバルト三国占領そのものよりも、「NATOは実際には機能しない」ことを証明することかもしれない。NATO諸国はロシアとの直接戦争を恐れており、その弱さをクレムリンは試そうとしている。NATOが機能しないと示されれば、中国も勢いづき、第三次世界大戦の危険が高まる恐れがある。

 ベラルーシのルカシェンコがゼレンスキーに融和的な姿勢を見せたのは、自立した指導者としての立場を演出しようとしているため。ウクライナによる攻撃を恐れている面もある。しかし、こうした東西間のバランス外交は従来からの常套手段であり、信用すべきではない。

 考えられる停戦の姿は、東部に厳格な停戦ラインを設ける、英仏を中心とする西側部隊をウクライナに駐留させる、強力に武装したウクライナを維持する、ロシアの脅威は次世代にも続くと覚悟するというもので、「公正で永続的な平和」は現状の西側指導者の下では困難。

 プーチン・ゼレンスキー会談が動き出すのは、プーチンが行き詰まった時。プーチンが軍事的にこれ以上得るものがなくなり、欧米を揺さぶる余地も失われ、ウクライナ優勢が長期間続く、そのような状況になって初めてプーチンはゼレンスキーとの直接会談に応じるだろう。また、今年の冬はウクライナのインフラが傷んでいるため厳しい季節になるが、ロシア側にとっても厳しい冬になる。


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 こちらの記事は、ロシア当局が「反詐欺」「デジタル主権」の名の下にTelegramやWhatsAppの通話機能を制限した結果、企業のコミュニケーションが再び伝統的な電話へ回帰していることを伝えている。以下、記事の要旨をまとめておく。

 自動発信サービス「スコラズヴォン」が、15地域・9業種の3,000社を対象に調査を実施した。その結果によると、2025年の企業による発信件数は15億7,000万件で、2024年の13億5,000万件から16.5%増加した。

 2025年には、TelegramおよびWhatsAppを利用した通話の遮断、通信事業者に全通話の発信者表示(マーキング)を義務化、利用者は大量自動発信を拒否可能、といった対策が導入された。

 メッセンジャー経由の業務連絡が制限されたことで、企業活動そのものが減ったわけではないが、コミュニケーション手段が再び音声通話へ戻る現象が見られた。また、発信者が画面に表示されるようになったことで、利用者の警戒感が弱まり、メガフォンによれば営業電話の成約率(コンバージョン率)は25%上昇したという。

 関係者は、番号偽装、匿名SIM、詐欺的な大量発信といった「灰色市場」が縮小し、企業の電話が認証された透明なチャネルに集約された結果、統計上の通話量が増えて見えている面もあると説明している。

 2025年の発信件数上位は、1.金融業:2億3,090万件(全体の36.6%)、2.医療:1億410万件、3.製造業:1億290万件で、以下、不動産、IT、教育、自動車、物流、建設などが続く。

 実際につながった電話の割合は、2024年の21.4%から、2025年には22.8%に上昇した。これは企業側がビッグデータを利用して無効な番号やロボット番号を除去し、顧客データベースの質を改善したためと考えられる。

 成功した通話の平均時間は、2024年の1分55秒から、2025年の1分34秒へと、18%短縮した。短い通知・確認電話が増え、利用者が長電話を嫌うようになったためとみられる。一方、ビーラインは、メッセンジャーやモバイルインターネットへの制限によって、B2B分野では逆に通話時間が13%伸びたと説明している。


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 「クリミアに『歴史』が戻ってきた」と題するエキスパートトピを書きましたので、ご利用ください。


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 ベラルーシ出身の政治評論家V.カルバレヴィチ氏が、こちらのコラムでウクライナ・ベラルーシ関係について論じているので、以下のとおり要旨を整理しておく。

 今回のゼレンスキーの最後通牒的な発言の背景にあるのは、ウクライナが自信を深め、ベラルーシをロシア・ベラルーシ軍事同盟の「弱い環」と見なすようになり、中立を装うミンスクに対し代償を求め始めたことにある。つまり、最近ベラルーシ側が何か新しい挑発をしたからではなく、戦争4年目を経て、ウクライナの対ベラルーシ姿勢が変化したのだ。

 ベラルーシ軍は参戦せず、当国からのミサイル発射も2022年秋以降は行われていない。ベラルーシはその一方で軍需産業や石油製品供給で利益を得た。また、ルカシェンコは「平和の保証人」というイメージを国内で確立した。戦争のマイナスはロシアが負い、ベラルーシは利益を享受してきた。今回のゼレンスキーの圧力は、この比較的快適な状況を壊すものである。

 もしルカシェンコが、ドローン中継設備を撤去したり、軍需支援や燃料供給を縮小するなら、ロシアから裏切りと受け取られる。一方、何もしなければ、ウクライナのドローン攻撃を受ける危険がある。したがって、「良い手が存在しない」という、チェスでいうツークツヴァンクの状態にある。

 もしウクライナがベラルーシ国内を攻撃した場合、ロシアは再びベラルーシからのミサイル攻撃を再開するかもしれず、ベラルーシとロシアは一体化した軍事陣営になる。ベラルーシ主権はさらに失われる。西側諸国も戦争の欧州接近を歓迎しない。ベラルーシ反体制派への弾圧も激化する。このように、ウクライナ側にも利益があるとは限らない。

 ゼレンスキーの要求は曖昧に書かれている。20日の発言は19日よりもトーンダウンしている。ウクライナもリスクを理解している。したがって、当面は心理的圧力と見るべきだ。


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 結局、6月19日に開催されたロシア中央銀行の政策決定会合の結果、政策金利は0.25ポイント引き下げられ、14.25%に設定された。本日22日から適用される。病気を理由にしばらく公の場に現れなかったE.ナビウリナ総裁が久し振りに登場し、会合後の会見に加わった。

 とはいえ、ナビウリナ総裁の長期不在は、当然様々な憶測を呼んだ。今回は、政策決定会合の前の6月16日付の記事になるが、T.ルィバコヴァという論者によるこちらの記事の要旨を以下のとおりまとめておく。

 ナビウリナ総裁は、ペテルブルグ国際経済フォーラムや、プーチン大統領との経済会議を欠席したため、プーチンとの対立、早期辞任、自宅軟禁や拘束など様々な噂が流れた。中銀は「重い風邪」と説明し、6月19日の政策金利会合後の記者会見で復帰すると発表した。

 重要なのは、本人の健康状態ではなく、「鉄の女」として高金利でインフレ抑制を行ってきたナビウリナの時代が終わりつつあることである。当のプーチンが「インフレが低下したので利下げできる」と発言した。

 ナビウリナが築いてきたマクロ経済の規律が破壊されつつある。新たな予算法改正によって、政府は予算法を改正せずに歳出を増やせることとなり、軍事支出の詳細を公表しなくてもよく、国内債務増加の制限が事実上なくなり、地域への低利融資や債務返済猶予が認められ、地域予算を住宅・公共サービスではなく「特別軍事作戦」に回せるなど、戦争遂行のために財政規律が緩められた。

 軍需部門は優遇融資や前払いを受けるため、高金利の影響を受けにくい。民間部門だけが高金利の負担を負い、結果として人・資金が軍需部門へ流れた。すでにその移転が完了したため、これからは利下げして民間部門から税収を吸い上げ、戦争資金を確保する段階に移った。

 今後予想されるのは、インフレ加速、スタグフレーション、ルーブル下落、現金利用への規制、失業増加である。

 ナビウリナが国や国民を守るために体制内に残っているというのは疑わしく、結局はプーチンの意向に従わざるを得ない。


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 プーチン体制に批判的なエネルギー専門家として知られているM.クルチヒン氏が、こちらの記事で、ウクライナの攻撃によるロシア石油部門への打撃についてインタビューに答えているので(記事配信は6月16日)、以下クルチヒン氏の発言要旨をまとめておく。

 ロシア政府が石油生産・精製・燃料生産の統計を非公表としているため、正確な状況は誰にも分からない。Energy Intelligenceなどが「製油能力の3分の1が停止」と報じているが、これは推測に過ぎない。市場の動きを見る限り、欧露部を中心に実際の能力低下は15~20%程度ではないか。多くはドローン攻撃後の「予定外修理」によるもの。

 情報秘匿がパニックを助長している。在庫量や地域別の不足状況が秘密になっているため、市場参加者も実態を把握できない。不透明感から買い急ぎが起こり、地域によってはガソリンスタンドで品切れが発生している。大手系列のスタンドは営業を続けられても、中小の販売業者は値上げや閉鎖を余儀なくされる。

 ウクライナによる攻撃の効果が大きくなった理由は、①攻撃回数の増加、②命中精度の向上である。従来は貯蔵タンクへの攻撃が中心だったが、現在は交換に数カ月から数年かかる精製設備、中国製部品を調達しなければならない装置などが狙われるようになった。一部設備の復旧には2年を要する可能性もあり、打撃は非常に大きい。

 ロスレゼルヴ(国家備蓄)の基地も攻撃対象になっている。ルイビンスクやロストフ近郊の大規模油槽所火災により、非常時用の備蓄燃料そのものが失われた。これは戦略備蓄の消耗を意味する。

 幹線パイプラインのポンプ施設攻撃が新段階に入っている。特に、西シベリア→欧露部への原油幹線、モスクワ方面への石油製品パイプラインのポンプステーションへの攻撃である。これによって単なる製油所被害ではなく、物流システム全体が攪乱されるようになった。

 燃料不足は21~25地域に拡大している。不足は前線地域だけではなく、カムチャッカ、極東、イルクーツク州など遠隔地にも及んでいる。イルクーツク州では農業用ディーゼルが不足し、現地農業者は悲鳴を上げている一方、その燃料が不足する欧露部(クラスノダル地方など)へ回されている。

 今後1~2カ月不足が続けば、農業、商品配送業者、食品供給網が最初に影響を受けると予想される。ロシアの流通は自動車輸送への依存度が高いため、ディーゼル不足が進めば食品や生活必需品の供給障害に発展しかねない。

 現状は「本格的危機の入り口」であり、根本的な解決策は戦争の停止以外にない。


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 政府から独立した世論調査機関として知られるロシアの「レヴァダ・センター」に、A.レヴィンソン氏という専門家がいる。そのレヴィンソン氏が、3月のコラム「冷蔵庫の中のテレビ:ロシア国民は貧しくなっているが引き続き体制への忠誠を示している」、5月のインタビュー「みんな、自分たちは何者なのかを考えよう」で述べている発言要旨を、以下のとおり整理しておく。なお、前者のタイトルにある冷蔵庫は庶民の生活を、テレビは政治によるプロパガンダを象徴している。

 1月の調査によれば、66%が「国は正しい方向に進んでいる」と答え、プーチン支持率も高水準。一方、国の路線を誤りと見る人は22%、プーチン不支持は12%程度で、政権運営に不満を持つ人は成人の約4分の1と推計される。もっとも、その中にもウクライナ戦争支持者は少なくなく、政権批判と戦争反対は一致しない。

 2025年を振り返ると、自分の生活が悪化した:25%、国民全体の生活水準が悪化した:39%、 医療サービスが悪化した:35%、良い収入を得る機会が悪化した:33%、富の分配の公正さが悪化した:改善の3倍と、多くの分野で「停滞か悪化」が優勢だった。特に管理職層では経済悪化の認識が強い。

 言論の自由や政治参加の分野では、「自由に意見を述べる機会」は減ったという回答が増え、「一般国民が国家に影響を及ぼす能力」も後退したとの見方が優勢だった。職場では「余計なことは言うな」という空気が広がっていることを示唆する。

 多数の人が西側やNATOとの関係悪化を認めながらも、「ロシアの国際的地位は改善した」と考えている。つまり、国際社会の中心はもはや西側ではなく、「どこか別のところ」にあるという世界観が広がっている。

 生活苦が深まれば、いずれテレビの宣伝効果は失われるという見方があるが、これは「粗雑な経済決定論」。人々自身が、生活条件は悪化しても、国家の象徴的な鎧(テレビ)と国家の機関(警察・治安機関)は強くなっていると感じており、それが続く限り支持も続く。国家の暴力装置と組織化された宣伝装置は、物質的条件よりも強力でありうるというのが、歴史の教訓だ。

 社会は「特別軍事作戦」によって破壊されてはいない。人々はそれと共に生きることを覚えた。人々は戦争を日常生活から切り離している。「引っ越しや住宅問題などの苦労はあるが、それは戦争とは別の話だ」と心理的に原因と結果を分離している。

 人々は「悪いことが起こる」と強く恐れているわけではなく、「何かが起こるはずだ」「戦争はどう終わるのか」という漠然とした緊張状態にあるだけ。NATOとの全面戦争への恐怖も以前ほど強くない。

 政権支持率低下(80%→75%未満)とインターネット障害・規制との関連が認められる。特に、専門職、管理職、中小企業経営者などで不満が強く、「商売はTelegramで回っているのに、どうすればいいのか」という戸惑いが聞かれる。さらに、年金生活者も意外にネットを利用しており、「テレビだけ見ている層」ではない。

 文学、芸術、演劇、映画、哲学者や知識人といった、社会を解釈し意味付けする「工房」が機能していない。社会は20年間の安定の中で暮らしてきたが、突然「栓が抜かれて」未知の方向へ流されているのに、「我々はどこへ向かっているのか」「戦争後、我々は何者になるのか」を考える人々や制度が不足している。だから、みんな、自分たちは何者なのかを考えよう。

 中小企業の弱さは、単なる経済問題ではない。起業に失敗した人々は、貧困に陥るわけではないが、起業する気力を叩き潰される。そして、自分で事業を営む人ほど、市民としての責任感を持つ。 中小企業層の弱体化は、市民社会の弱体化でもある。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 先週に引き続きFunk Brothersものということになるのだが、チャート上はやや下降気味ながら、今週30位の(I’m A) Road Runner - Jr. Walker & The All Starsは個人的なフェイバリットの一つである。このグループでは前年の「ショットガン」の方がより特大のヒットだったものの、個人的好みでは「ロードランナー」に軍配が上がる。Jr. Walker & The All Starsはバンドではあるが、レコーディングにおいてはFunk Brothersが大きく関与し、この曲もバンドとFunk Brothersのハイブリッド演奏だったらしい。この曲の美品オリジナルシングルを入手できたのは、最近あった良いことの一つ。

その頃ソ連では
1966年6月30日:ソ連とフランスが共同宣言、宇宙の平和利用協定、科学技術・経済協力協定に調印。

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 こちらの記事が、ロシアの穀物生産・輸出動向について伝えているので、以下ざっと抄訳しておく。なお、以下に見るとおり、ロシアの穀物収穫・輸出に関しては7月始まり・翌年6月終わりの年度が一般的に用いられる。

 ロシアの2026/27年度の穀物(小麦、トウモロコシ、大麦)の収穫量は、前年並みの1億4,400万tとなる可能性が高く、輸出余力は6,200万t(前年比3.3%増)に達し、ロシアは穀物貿易で世界トップ3の地位を維持するとともに、小麦貿易では引き続き首位を保つ見通しである。エイレル社の専門家N.コヴァリョフ氏が指摘した。同氏は、ロシア産穀物の輸出価格が前年比10%上昇して1t当たり256ドルになると想定しており、主な価格上昇は新シーズン後半に生じると予測している。

 コヴァリョフによれば、2025/26年度はロシアの農家と輸出業者にとって厳しいシーズンとなった。収穫量は前年比11%増と記録的水準に近かったものの、国南部の主要輸出地域であるクラスノダル地方、ロストフ州、スタヴロポリ地方では収量が低かった。ただし、これら地域の現在の作柄は非常に良好であり、前年並みの収穫量を維持しつつ、生産の地域的偏在が緩和されると見込まれる。

 コヴァリョフによれば、前シーズンの国内小麦価格は、高水準の在庫とルーブル高を背景に前年比15%下落し、1t当たり1万3,166ルーブルとなった。一方、2026/27年度には3%の上昇を予想している。しかし、それは農家のコスト上昇を補う程度であり、生産の収益性改善にはつながらないと見られる。

 2025/26年度にロシアは小麦輸出(4,600万t)で世界首位を維持し、穀物輸出全体でも6,000万tで世界トップ3に入った。ロシアの世界小麦輸出に占めるシェアは約20%である。100カ国以上がロシア産穀物を輸入しており、主要な小麦輸入国はエジプト、トルコ、バングラデシュ、イラン。ロシアの戦略的優位性としては、生産コストの低さと安価な肥料が挙げられる。

 国際市場では、2025/26年度は穀物の豊作と需給バランスの改善が特徴となった。世界の穀物生産量は前年比6%増の23億1,000万tとなった。特に米国ではトウモロコシ生産が前年比5,400万t増加し、EUとアルゼンチンでも小麦収穫量が合計4,000万t増加したことが大きく寄与した。穀物在庫は依然として世界消費量の26%と適度な水準にあり、過去10年間の平均である30%を下回っている。2026/27年度の世界穀物生産量は22億7,000万t(前年比2%減)と予測される。

 主要輸出地域における国際穀物価格は前シーズンの低水準にとどまっており、FOBノヴォロシースクは1t当たり234ドル、米国メキシコ湾岸のFOBガルフは241ドルとなっている。コヴァリョフは、これは2022~2023年の価格高騰からの正常化や豊作だけでなく、主要輸出国間の激しい競争と、小麦およびトウモロコシ価格の下落を見込んだ投機的な動きによるものだとみている。同氏は新シーズンの価格を、FOBノヴォロシースクで256ドル、FOBガルフで265ドルと予測している。

 一方で、世界の生産者や穀物商社の経営は悪化しており、とりわけEUの一部地域、東欧、米国中西部、カナダでは景気循環上の底に近づいている。生産者は作付面積を縮小し、肥料使用量を減らし、農業機械の更新を先送りしている。

 穀物価格と原油価格には歴史的に高い相関関係があり、中東紛争は従来型の穀物供給危機ではなく、肥料供給と農家が利用するエネルギー価格の上昇という形でショックをもたらしている。コヴァリョフによれば、これらの費用は世界の農家の生産コストのうち、それぞれ40%と10%を占めている。さらに、中東諸国は世界の穀物需要の20%を占める重要な輸入地域でもあるという。同氏は、肥料使用量の減少による影響は1~2シーズン後に顕在化すると予想しており、最も影響を受けやすい作物として、1ヘクタール当たり平均400キログラムの肥料を投入するトウモロコシ、次いで同200キログラムの小麦を挙げている。

 ロシア統計局によれば、「新領土」を除くロシアの2025年の穀物収穫量は1億4,120万tで、このうち小麦が9,110万tであった。6月末の農業省拡大会議でO.ルト農相は、2025年の穀物収穫量は1億4,460万tと、ロシア史上3番目の豊作になり、このうち小麦は9,380万tであったと報告した。農相は2025/26年度の穀物輸出量を6,000万tと見積もっており、そのうち5,000万tが小麦である。農業省は2026/27年度の収穫量および輸出見通しをまだ公表していない。

 農業市場情勢研究所のD.ルィリコ所長は、新シーズンのロシアの穀物生産量を暫定的に1億4,200万t、このうち小麦を9,150万tと予測している。同氏は2026/27年度の輸出余力を、穀物全体で6,920万t、小麦で4,750万tと見積もっている。プロゼルノのV.ペトリチェンコ社長は、新領土を除くロシアの新シーズンの穀物収穫量を1億3,740万t、このうち小麦を8,930万tと予測している。


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 THE BELLのこちらのポストが、上掲のような地図とともに、興味深い情報を伝えている。ウクライナによるロシア製油所への攻撃激化により、中央ロシアの主要石油関連施設のほぼ全てが減産または操業停止を余儀なくされている。その結果、まずクリミアでガソリン販売制限が導入され、その後急速に全国へ波及しているという。THE BELLの集計では、53地域で一般向け給油制限、18地域では50リットルまたは満タン1回まで、クリミア、ヘルソン、ザポリージャ、ドネツク、ルガンスクの各地域でも50リットル制限、11地域では数量制限こそないが広範なスタンドで品切れ報告となっているということである。

 そして、こちらの記事によると(元記事はロイターと思われるが)、ロシアはついにガソリンの輸入を始めようとしているということである。アジアから、海路で輸入すると伝えられている。もっとも、ロシア国内のガソリン需要は年間4,000~5,000万t規模なので、仮に数十万t程度の輸入を行ったとしても、それは国内需要全体から見れば数%未満となる。つまり、ロシアがガソリン純輸入国になるといったことではなく、今のところは、地域的・一時的不足を埋めるための緊急輸入という理解が適切であろう。


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 ホルムズ海峡危機に出口が見えたことで、ロシアへの影響はどうかということに関し、昨日は『ロシア新聞』の記事をご紹介したが、『ヴェードモスチ』にも分析記事が出たので、本日はそれを以下のとおり抄訳してお伝えする。

 ホルムズ海峡の封鎖解除が見込まれることは、ルーブル安要因となり得ると専門家らはみている。ただし、その影響が現れるまでには1.5~2カ月の遅れがあり、急激な変動は予想されない。為替相場は他の要因と相まって、早ければ秋には1ドル=85ルーブル方向へ動き始めると予測されている。

 アナリストらによれば、ロシアの輸出企業は依然として、春季の原油高によって得られた多額の外貨収入を市場に供給し続けている。外国資本の流入が制限されているため、国内為替市場は主として目先の外貨需給に左右されており、そのため現時点では影響は確認されていないという。中銀データによれば、年初の為替レートは1ドル=76~78ルーブルの範囲にあったが、3月には84.84ルーブルまで急上昇した。その後、ドルはルーブルに対して下落し始め、4月末には74.9ルーブル、5月末には71ルーブルとなり、6月17日時点でロシア中央銀行は72.14ルーブルの公式レートを設定している。

 原油価格の下落による外貨供給減少の効果が顕在化するのは、早くても8月以降になるという予想がある。夏の終わりには、石油・ガス部門以外の輸出企業による外貨売却が減少し、財務省による外貨購入の累積効果も現れ始める。下半期に季節的な外貨需要が高まることや、金融政策のさらなる緩和に伴い、ルーブルは徐々に下落していくとの指摘もある。

 足元のルーブル高を支えている要因には、資源価格の高止まり、輸入代金支払いや資本流出のための外貨需要の低さ、そして高金利を挙げている。厳格な金融政策は消費と投資の需要を抑制し、輸入需要を低下させるとともに、ルーブルに対する投機的取引の妙味を減少させている。輸出企業にとっては、当面の支出を賄うためにルーブル建てで借り入れるよりも、外貨収入を売却する方が有利である。

 専門家らは、ホルムズ海峡の航行が再開された後も、原油価格が急落するとは予想していない。エコノミストらによれば、航路の完全な復旧には1~2カ月を要する見込みである。専門家のポタヴィンは、たとえホルムズ海峡の通航再開が6月後半に始まったとしても、ペルシャ湾岸諸国が増産するまでには年末近くまで時間がかかるとしている。別の専門家のフョードロフによれば、紛争中に備蓄を大きく取り崩した輸入国が石油備蓄を再び積み増す必要性も、市場を下支えする追加要因となり得る。

 こうした背景から、フョードロフは2026年第3四半期のブレント原油平均価格見通しを1バレル80ドル、第4四半期を70ドルに据え置いている。ポタヴィンは、海峡の封鎖解除後もブレント価格は1バレル75~85ドルの範囲にとどまる可能性が高いとみている。ソフコムバンクは、第3四半期のブレント原油平均スポット価格を88ドル、ウラル原油平均価格を68ドルと予想している。第4四半期の見通しは、ブレント80ドル、ウラル62ドルである。別の専門家のコーキンは、航行が完全かつ迅速に回復した場合には、ブレント価格が短期的に65~70ドルまで下落する可能性を否定していない。ただし、より可能性が高いシナリオは段階的な海峡封鎖解除であり、その場合にはブレント価格は数カ月にわたり75~80ドルの範囲を維持すると同氏は指摘している。

 和平合意の報道を受けて、原油価格は下落し始めた。ロンドンICE取引所におけるブレント原油8月限先物価格は、6月16日の取引で1バレル80ドルを下回り、これは2026年3月3日以来初めてのことであった。この1年間の瞬間的なピークは、紛争開始直後の3月31日に記録され、ブレント価格は1バレル118.57ドルに達した。これは2022年6月以来の高値であった。その後相場は下落に転じ、6月1日時点でブレント先物価格は92.02ドルとなっていた。

 影響はロシア産原油価格にも及んだ。経済発展省のデータによれば、2026年2月のウラルス原油平均価格は1バレル44.59ドルであったが、3月には77ドルへ上昇し、4月には94.87ドルに達した。その後、5月には86.52ドルへ低下している。NRA格付けサービスのクリセンコ専務によれば、和平の報道を受け、積出港におけるロシア産ウラル原油は、他の国際指標原油に対して1バレル20ドル超のディスカウントで取引されている。さらに、米国が現在の制裁緩和を延長しなければ、この価格差は一段と拡大する可能性があるという。専門家のヴァシリエフは、ウラルのブレントに対するディスカウント幅は、第3四半期に1バレル20ドル、第4四半期に18ドルになると予想している。

 ヴァシリエフは、石油・ガス収入の大幅な不足は予想されず、仮に財政赤字が拡大したとしても、当局は追加的な連邦国債の発行や財務省の積立残高を活用することで補うことが可能だと考えている。

 専門家のスミルノヴァによれば、原油価格の下落は予算にとってリスク要因となるものの、年末時点でウラル価格が財政ルール上の基準価格である1バレル59ドルを下回ることはないとみられる。ウラ原油価格は1カ月で約30%下落したが、石油・ガス収入の規模は世界の原油価格だけでなく、輸出量、ロシア産原油のディスカウント幅、そしてルーブル相場にも左右されると、ポタヴィンは指摘している。

 前出のクリセンコは、石油・ガス収入計画の達成に対するリスクはすでに部分的に現実化していると述べた。というのも、2026年予算は1ドル=92ルーブルを前提として編成されていたからである。同氏は、海峡再開後にロシア産原油価格が1バレル60~65ドルの水準に戻り、なおかつ現在のルーブル高水準が維持される場合、石油・ガス歳入計画を達成することは極めて困難になると警告した。

 スミルノヴァは、ロシア産原油の年間平均価格が1バレル75~80ドルとなれば、基礎的な石油・ガス収入だけでなく追加的な石油・ガス収入も確保できる可能性があるとみている。一方で、石油・ガス収入に関する主要な財政リスクは2027~2028年に集中していると彼女は警告する。情勢が正常化するにつれて原油価格が1バレル50~55ドル、あるいはそれ以下に下落する可能性があるためである。また、財政ルール上の基準価格を1バレル50ドルに引き下げる見直しが行われれば、こうしたリスクを部分的に緩和できる可能性があるという。


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 「キーウ・ペチェールシク修道院への攻撃に見る『救いのなさ』」というエキスパートトピを書きましたので、よかったらご覧ください。


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 KGB上がりの、うだつの上がらねぇ大統領に巡ってきた幸運だったが、短けぇ夢だったな、とプーチンが言ったかどうかは知らないが、米国とイランの合意達成で、ホルムズ海峡危機は解消される可能性が出てきた。それによるロシアの石油輸出への影響が気になるところなので、ロシア政府機関紙のこちらの記事の内容を以下のとおり抄訳しておく。

 米国とイランの停戦、およびホルムズ海峡の航行再開は、世界の石油市場の緊張を和らげることになるだろう。しかし、原油価格が急落することはない。海峡の機雷除去、生産の回復、そしてペルシャ湾諸国からの石油輸出再開には時間がかかるためである。

 停戦の報道を受けて原油価格は1バレル当たり5%下落した。しかし、昨年末のブレント原油価格が1バレル約60ドルだったことを思い起こせば、現在の83ドルという水準は市場に安心感を与えるものではない。実需の面では依然として原油不足の状態が続いている。

 多くの予測が一致しているのは、この地域で原油生産を直ちに増やすことは不可能だという点である。国際エネルギー機関(IEA)は、ペルシャ湾諸国の生産量が夏の終わりまで戦前水準を日量1,010万バレル下回ると見ており、市場が完全に回復するのは早くても2027年半ばになると予測している。

 加えて、当事者が合意を本当に履行するのかについても大きな疑念が残る。もし6月19日にイランと米国が軍事行動の停止および海峡の自由航行再開に関する覚書に署名したとしても、それは和平条件を巡る60日間の交渉の開始を意味するにすぎない。米国から何らかの確固たる保証を得ない限り、イランが直ちに積極的な機雷除去を始めるとは考えにくい。テヘランにはワシントンの約束を信用しない十分な理由がある。米国はこれまでもイランとの合意を繰り返し破ってきたからである。したがって、少なくとも今後60日間はホルムズ海峡における正常な(戦前並みの)航行は回復しないことになる。

 大半の予測では、原油価格は引き続き比較的高い水準を維持すると見られている。米エネルギー省は、ブレント価格が年末までに1バレル70ドル程度まで低下すると予想している。ゴールドマン・サックスは年間平均価格が90ドル前後になると見込んでいる。フィッチは価格の緩やかな低下を予測しており、2026年のブレント平均価格は約87ドルになると見ている。

 ただし、より急激な値下がりを予想する見方もある。エネルギー専門家のK.ロジオノフ氏は、ブレント価格はすでに80ドルに向けて下落しており、今週中にも70ドルを下回る可能性があると述べた。2026年3月に価格が急速に100ドルを超えた際と同様、市場は実際の供給動向ではなくニュースに反応するが、今度はそれが価格下落要因として作用するという。

 同氏は、中東で「供給競争」が始まると予想している。サウジアラビア、イラク、クウェート、UAEは、OPECプラス協定の緩和を背景に、年末までに戦前以上の供給量を市場に戻す可能性がある。また、米国によるイラン産原油輸出への制裁緩和あるいは全面解除も供給拡大を後押しするだろう。そうなれば、すでにUAEの離脱によって「風前の灯火」となっているOPECプラス協定にとどめを刺すことになる、と同氏は考えている。

 ロジオノフ氏によれば、米国とイランの合意は石油市場における地政学的プレミアムを縮小させる。その結果、2026年後半にはロシア産ウラル原油の価格は1バレル60ドルを下回ることになるという。

 なお、こちらの記事が、ロシアの輸出するウラルおよびESPO原油が、ブレントに対してどれだけ値引きされており、それが今後どうなると予想されるかということを伝えている。そこに出ていたグラフが便利だったので、以下のとおりシェアさせていただく。ただし、記事は6月10日付なので、まだ米国・イラン合意が成立する前に出された見通しということになる。

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 ロシア政府から独立した調査機関として定評のあるレヴァダ・センターは、定期的な世論調査において、「貴方が最も憂慮する社会的問題は何か?」ということを継続的に問うている。こちらのページに、2026年5月の最新調査結果が出ており、それが上図のとおりである。

 20%を超えた上位だけまとめておくと、以下のとおりとなる。

  1. 物価の上昇:55%
  2. 特別軍事作戦、西側との紛争、制裁:35%
  3. 自分の居住地における爆発その他のテロの脅威:27%
  4. 汚職・賄賂:26%
  5. 住宅問題:24%
  6. 年金受給年齢引き上げ、年金改革:24%
  7. 外国人・移民の急増:23%
  8. インターネットへのアクセス、モバイルインターネット遮断、ブロック等の問題:22%

 こうやって見ると、物価の問題がダントツのトップで、「やっと制裁が効き始めたのだな」と喜びたくなる人もいるだろうが、ちょっと注意が必要である。確かに物価を気にしている国民は多いが、1990年代から、この回答がほぼ一貫して常にトップであり、歴史的に見ると今はむしろこの回答は低水準にあり、ウクライナ侵攻が始まってから有意に上がったとも言えないからである。

 一方、ウクライナ侵攻を開始してから、有意に上昇したのが、自分の居住地における爆発その他のテロの脅威という回答である。ウクライナによるロシア本土へのドローン攻撃が本格化した2023年に上昇し、以来高止まりしている。

 また、今回22%に上ったインターネットへのアクセス、モバイルインターネット遮断、ブロック等の問題という回答は、今回調査から新たに加わった選択肢であり、これも新しい現象と言える。

 以上に鑑みるに、ロシア国民は自分の身に直接影響が及ばない限り、戦争のことを自分事として捉えにくいが、現状ではその影響は経済面よりも(経済的な憂慮を示す回答は歴史的に見て現在はむしろ低目)、ドローン攻撃が身近に迫ったり、またそれとも関連してインターネット規制が発動されるといった形で実感されていると言えそうである。


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 BBCのこちらの記事が、最近になりウクライナがロシア占領地およびロシア南部の燃料供給網に対するドローン攻撃を強化しており、その影響で現地では深刻な燃料不足が発生していることを伝えている。上掲地図も記事に添えられていたもの。

 記事によると、ウクライナ軍はここに来て、ロシア占領地およびロシア南部の燃料供給網に対するドローン攻撃を強化している。その影響で、クリミアでは深刻な燃料不足が発生している。とくにロストフ州からマリウポリを経由してクリミアへ至る補給路は、ロシア軍の南部占領統治を支える大動脈とされるが、ウクライナは5月以降、このルート上の輸送車両に約300回の攻撃を実施し、その中には燃料輸送車も含まれる。その結果、クリミアではガソリンスタンドに長蛇の列ができ、購入制限や公共交通への影響も生じている。さらに、チョンハル橋(その位置は上掲地図参照)などの重要インフラへの攻撃も、補給を困難にしている。

 専門家は、ウクライナの戦略が、従来の大規模製油所攻撃から、地域の燃料配送網や物流網への攻撃へと重点を移しつつあると分析する。こうした攻撃はロシア側の市民生活にも影響を与えているが、ロシア軍の兵站能力を低下させる効果もあるとみられ、占領地統治のコストを高めるとともに、ゼレンスキー大統領の掲げる「戦争をロシア側に持ち帰らせる」戦略の一環となっている。BBCは以上のように伝えている。


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 「石油王国ロシアで起きているガソリン不足をどう読むか」と題するエキスパートトピを書きましたので、よかったらご笑覧ください。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 個人的な趣味丸出しで恐縮だが、今週9位のCool Jerk - Capitolsは大好物だ。この曲はモータウンのハウスバンドFunk Brothersの闇バイト演奏曲として知られていて、彼らが同じデトロイトにあったマイナーレーベル「カレン」に出向いて演奏をつけたものというのが定説だ。Cool Jerkは、その後より有力な存在のAtlanticによって全国配給され、大ヒットとなった。言うまでもなくJerkというのは当時流行したダンスのスタイル。

その頃ソ連では
1966年6月20日~7月1日:フランスのドゴール大統領がソ連を公式訪問。

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 こちらの記事によると、6月19日にロシア中央銀行の政策決定会合があり、それに向けてヴェードモスチ紙が専門家19人に金利に関する予想を示してもらった。その結果、19名中14名までが、現行の14.5%から、14.0%への利下げを予想し、現時点ではこのあたりが最大公約数的な予想になっているということである。各専門家の金利予想は上図のとおり。

 他方、金利がどうなるかという以前の問題として、E.ナビウリナ中銀総裁の去就が注目を集めている。ナビウリナ氏は、亡くなった同僚の葬儀に参列することを理由に、予定されていたサンクトペテルブルグ国際経済フォーラムへの出席を見合わせ、その後も重要な会合を欠席しているからである。本件について、こちらの記事が関係者の証言を伝えている。それによると、ナビウリナの任期(法律上認められた3期目にして最後の任期)は2027年6月に終了するが、ナビウリナはすでにプーチン大統領に対し、来年に任期が満了するまでは職務を続ける意思があると伝えている。ただし、それは戦争が今よりもエスカレートしない場合に限るという。もし戒厳令が導入され、国境閉鎖が始まるような事態になれば、任期途中で辞任するつもりだという。「彼女はそのことを大統領に伝えたうえで、外交的に『病気になり』、現在はその返答を待っている」と、関係者は述べた。別の関係者は、ナビウリナが実際に健康上の理由で病気休暇を取得していたことは事実だが、すでに職務復帰しつつあると語った。また、政府の経済ブロックの事情に詳しい別の情報源は、これはいわゆる「外交的病気」だった可能性も排除できないと指摘した。つまり、健康状態の悪化は、経済フォーラムで演説を行わないための口実にすぎなかった可能性があるという。


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 ロシア統計局より、5月のロシア・インフレ率(消費者物価統計)が発表されたので、定番のグラフを更新してお目にかける。毎度申し上げるように、ウクライナ全面侵攻後の推移を俯瞰するのが目的であり、戦争が長期化するにつれどんどん横長になって見づらくなっているので、クリック・タップし拡大してご利用を。

 さて、5月のロシアの消費者物価は、前月比0.17%増、前年末比3.29%増、前年同月比5.31%増だった。物価全体としては足元で概ね落ち着いた状況にある。

 ただ、物価を食料品・非食料商品・サービスに分けて跡付けた下図を見ると、際立った傾向は、サービスだけが突出して値上がりして、それが物価全体を押し上げている現象である。足元で食品が値下がりしているのは、ロシアでは夏になると青果物が安くなるという季節的な現象であろう。非食料商品は、輸入品の比率が高いので、ルーブル高もあって値上がりはわずかだ。

 では、なぜサービスだけが大きく値上がりしているかというと、一つにはこれは現下ロシアの人手不足に起因している可能性があるかもしれない。食品や消費財であれば、モノがなければ中国あたりから買えばいいのに対し、サービスは人間の労働に依存する部分が大きいので、それだけ人手不足の影響が出やすいと考えられるのだ。

 なお、政治的に機微なガソリンの価格は、前月比0.85%増、前年同月比12.92%増であり、中東情勢も考えれば、極端に値上がりしているわけではない。しかし、広いロシアのこと、地域差も大きく、ロシア政府の対応が焦点になる。

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 ロシアのシンクタンク「発展センター」が定期的に発表している「コンセンサス予測」は、当ブログでは以前よく取り上げていたのだが、マンネリ化していたので、最近はご無沙汰していた。今般、5月18~27日に内外の主要専門家を対象に実施したアンケート調査の平均に基づく最新のコンセンサス予測が発表されたので、久し振りにこれを拝見することにしよう。上が年ベース、下が四半期ベースの予測である。

 はっきり言って、ロシア経済で最大の焦点は、足元の石油高がどの程度持続するかという一点であろう。その意味では、今回ばかりは下に見る四半期別予測のウラル原油価格が、最も興味深い。

 そして、専門家たちのウラル原油価格予測は、かなり弱気である。2026年Q2では89.4ドルのウラルが、Q3には75.5ドル、Q4には65.7ドル、2027年Q1には60.6ドルと推移すると見られている。中東情勢による油価高騰の恩恵は、急激に剥落していくという見通しである。多くの専門家が、「ウラルが1バレル100ドルの状態が1年くらい持続すれば、ロシアの財政はかなり好転する」と見ているので、今回のコンセンサス予測が的中すれば、結局ロシア財政は好転しないという結論になる。

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 6月3~6日にロシアの北都で開催されたサンクトペテルブルグ国際経済フォーラムに関し、こちらの記事が結果概要を伝えているので、簡単にまとめておく。

 サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)には、142カ国から2万4,500人以上が参加した。参加者らは総額6兆6,420億ルーブルに上る1,084件の協定を締結した。この数字は、1,030件・総額6兆3,000億ルーブル超の協定が結ばれた前年(SPIEF2025)の実績を上回った。ロシア大統領顧問であり、SPIEF2026組織委員会責任書記を務めたA.コビャコフが閉幕記者会見で明らかにした。

 SPIEF2026には、過去10年間で初めて米国の公式代表団が参加した。代表団を率いたのは、米国政府の美術委員会(Commission of Fine Arts)委員長ロドニー・クックであった。米国代表がこのレベルで同フォーラムに参加するのは2017~2018年以来となる。クックは「ロシア―米国:文化対話」と題する分科会で講演した。

 また、フォーラムでは欧州議会議員とロシア国家院(下院)議員との会合も開催された。討議の結果、欧州連合(EU)とロシアとの公式対話の再開を促進する用意があることを表明した宣言が採択された。さらに、ドイツ、フランス、オーストリア、英国をはじめとする欧州諸国の代表団もフォーラムに参加した。

 フォーラムの主要来賓としては、ウズベキスタンミルジヨエフ大統領、タンザニア大統領、中国国家副主席、アブハジア大統領のほか、ベトナムおよびミャンマーの代表団、さらにAPEC、OPEC、国連貿易開発会議などの地域・国際機関の代表らが出席した。なお、本フォーラムの招待国はサウジアラビアであった。

 フォーラムで締結された主な合意としては、ロシアとキューバのがんワクチン共同開発に関する覚書、ならびにロシアとサウジの間で締結されたエネルギー、観光、教育などの分野における30件の協力協定が挙げられる。また、ロシア直接投資基金はアラスカ・トンネル建設計画に関する協定にも署名した。

 フォーラムでは複数の技術・産業分野の新製品も披露された。Aurusは高級車Senat、Senat Longの改良型およびカブリオレ仕様を公開したほか、Senat 900を一般向けに初公開した。また、新たなプレミアムブランド第2弾となるセダンSenat 1000の試作車も展示された。一方、AvtoVAZ はSUV「Lada Niva Legend」の改良モデルを公開した。Sberbank は、人工知能、バイオメトリクス、ローカルコンピューティングを統合したAI対応決済端末「Neo」を発表したほか、AI向けの汎用光学コンピュータも披露した。また、PSB のブースでは、太陽光エネルギーを利用し、高度25kmまで上昇可能で、最大40日間連続飛行できる無人機「Argus」が展示された。

 フォーラム総括にあたり、前出のコビャコフは「ロシアの孤立など存在しないし、存在し得ない」と強調した。同氏によれば、今回のフォーラムは、西側投資家がロシア市場への復帰に向けて慎重ながらも前向きな姿勢を示していることを明らかにしたという。また、今回のフォーラムのテーマである「実利的対話」は、世界に向けた一種のメッセージとなったと述べた。ロシアは常にこの原則に従って行動してきたのであり、対話のための扉を閉ざしたことは一度もない、とコビャコフは語った。


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 先週の水曜、BS11の「報道ライブ インサイドOUT」に出演し、元NHKの石川さんとともに、ロシア情勢について解説しました。当初はスタジオにうかがう予定でしたが、台風の直撃で、札幌からのリモート出演となりました。上掲のとおりアーカイブ視聴が可能となっていますので、よかったらご利用ください。


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 「プーチンはいまだ強気も、ロシア経済の外堀は埋まったのか?」と題するエキスパートトピを書きましたので、よかったらご笑覧ください。


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 ベラルーシとロシアは、カリ肥料の世界的な生産・輸出国という共通点がある。一時は両者による価格カルテルが成立したのだが、利害の対立から喧嘩別れして現在に至っている。そうした中、先日、ロシア側のカリ肥料産業の大立者であるD.マゼピン氏(実はベラルーシ出身)が、ベラルーシの独裁者A.ルカシェンコ氏と対面する機会があった。この動きに関し、こちらの記事が詳しく分析しているので(I.レンケヴィチ氏署名)、以下主な内容をまとめておく。

 2005年、ロシアのウラルカリとベラルーシのベラルーシカリは提携を結んだ。両カリ肥料大手の製品を共同輸出するためのトレーダーとして、ベラルーシ・カリ会社(BKK)が設立された。BKKの株式は、ベラルーシカリが45%、ベラルーシ鉄道が5%、ウラルカリが50%を保有していた。

 しかし、2012年までには両国間で意見の対立が生じていた。ベラルーシ側は、共同トレーダーを通じたロシア側の輸出比率が増加し、その分ベラルーシカリが不利益を被っていることを快く思っていなかった。実際、2011年にはBKKの輸出に占めるウラルカリの比率は40%だったが、2012年には52%に達していた。この時点で、BKKは世界のカリ市場の43%を占めていた。事実上、カリ肥料市場のほぼ半分を支配するカルテルが形成されていたのである。

 両国の対立は深まった。2012年末、ルカシェンコはBKKによるベラルーシカリ製品の独占販売権を剥奪し、同社はBKKを介さずに自社製品を輸出するようになった。これに対し、2013年7月、ウラルカリはBKK経由での輸出を停止し、自社のスイス系トレーダーであるUralkali Tradingを唯一の輸出ルートとすることを決定した。ウラルカリのバウムゲルトネル社長は8月、ベラルーシのM.ミャスニコヴィチ首相との交渉のためミンスクを訪れるが、そこで逮捕された。彼は私的利益のための職権乱用およびベラルーシの国家・社会的利益への重大な損害を与えたとして告発された。9月には、BKK幹部らに対する刑事事件の被告として、ロシアのオリガルヒでありウラルカリ株の最大保有者(21.75%)であったS.ケリモフも訴追対象となった。彼は国際刑事警察機構(インターポール)を通じても指名手配された。スキャンダルは11月まで続き、最終的にバウムゲルトネルはロシアへ引き渡された。モスクワからの圧力の下で、ルカシェンコは譲歩を余儀なくされたが、ベラルーシ側が求めていた「損害」の補償を勝ち取ることはできなかった。

 2013年12月、カリ肥料戦争を終結させるため、ケリモフが保有していたウラルカリ株は、M.プロホロフのオネクシムと、ベラルーシ出身のロシア実業家D.マゼピンのウラルヒムによって買い取られた。一説には、プロホロフがマゼピンをこの取引に誘ったのは、彼ならルカシェンコと意思疎通を図り、ベラルーシカリとの提携を復活させられると期待したからだという。そして2014年、新たなウラルカリ株主となったマゼピンはルカシェンコと交渉を行った。マゼピンは1990年代末からルカシェンコと面識があったとされ、ベラルーシカリとのカルテルを迅速に復活させ、カリ価格の暴落を食い止められると期待された。交渉の場で双方は、カリ肥料をめぐる対立がどちらにも利益をもたらさなかったことでは一致したものの、協力関係を復活させることはできなかった。2017年にはベラルーシカリのI.ゴロヴァティ社長が、新たな提携の必要性は見いだせないと述べている。彼によれば、ベラルーシ企業は単独でも十分にうまくやっているということであった。

 その後、マゼピン自身も、ルカシェンコの怒りを買う一因となった。2020年8月、ベラルーシ政治危機の真っただ中で、マゼピンは「国民を代表して当局と対等に対話できる国家救済委員会を設立する」よう呼びかけた。マゼピンは「ロシアおよびベラルーシのビジネス界を代表して」、ルカシェンコに対し、「社会における抗議的緊張という明白な事実を認め、時間を失うことなく平和的かつ詳細な交渉のテーブルにつくこと」を求めた。その交渉は「政治的不安定からの脱却という結果に結実しなければならない」とされた。マゼピンの提案は、2020年の選挙で候補となれなかったV.ツェプカロによって即座に支持された。一部の観測筋は、ツェプカロが多くのロシア企業とつながりを持ち、彼の政治キャンペーンへの資金支援はマゼピンのウラルカリを通じて行われていたと指摘した。1980年代末から1990年代初頭にかけて、マゼピンとツェプカロは同じ時期にモスクワ国際関係大学で学んでいた。

 マゼピンは、EUによる制裁発動後にウラルヒムの持ち株比率を引き下げ、ウラルカリの支配株主ではなくなり、同社の経営からも退いている。では、ルカシェンコが今なおマゼピンに関心を示しているのはなぜなのだろうか。その答えは、マゼピン本人の発言に見て取れる。「私は依然としてウラルカリの株主。会社の経営には携わっていないが、それでもウラルカリとベラルーシカリの利益、そして市場で起きていることは重要な問題だ」。ルカシェンコとの会談後、マゼピンはこう述べた。彼によれば、会談ではカリ肥料分野における協力についても話し合われたという。

 どうやら、マゼピンがルカシェンコの信頼を回復する機会を得られた背景には、独裁者の息子V.ルカシェンコと、ベラルーシ首相A.トゥルチンの後押しがあったようだ。2024年からロシア水泳・水上競技連盟会長を務めるマゼピンは、昨年、ベラルーシ国家オリンピック委員会会長のヴィクトルと会談した。そしてヴィクトルは、ロシアとベラルーシの選手たちを国際舞台へ復帰させるために共同で取り組もうと提案した。実際、国際競技連盟は水上競技におけるロシアおよびベラルーシの選手の大会参加を認めた。したがって、マゼピンのロビー活動能力こそが、今度は彼自身をルカシェンコに売り込む根拠となったのかもしれない。

 今回ルカシェンコは、ベラルーシの出自を持つマゼピンに対し、「祖国」のために働くことで過去の「罪」を償うよう提案したという。マゼピンがベラルーシを助ける方法は、ウラルカリが多少譲歩し、ベラルーシカリ製品により有利な輸出条件を提供することかもしれない。ベラルーシ産カリ肥料の輸出に利用されているロシアの港湾能力には限界がある。ロシアの荷主およびロシアの物流事業者は、依然として自国のインフラにおける船積み枠や物流枠の配分で優先権を維持している。実際には、鉄道による貨物搬入が安定していても、ベラルーシ側はロシアの港湾段階で定期的に遅延に直面していると、ベラルーシ側は問題視している。つまり、自国産とベラルーシ産のカリ肥料のどちらを積み出すかとなれば、ロシア側は自国メーカーを優先するのである。バラ積みターミナルへのアクセスもウラルカリが握っており、ベラルーシカリは採算の劣るコンテナ輸送を余儀なくされている。マゼピンが必要とされたのは、こうした問題の解決を後押しするためなのかもしれない。

 あるいは、もっと野心的な計画が存在する可能性もある。最近、米国はベラルーシカリおよびBKKに対する制裁を解除した。ならば今こそ、ベラルーシカリとウラルカリによるカルテルを復活させ、米国市場で大きなシェアを獲得し、共同で価格を維持する時ではないのだろうか。ウラルヒムは米国市場でかなり順調に事業を展開しているようだ。しかし、ベラルーシのパートナーと共にさらに大きな成果を狙わない理由があるだろうか。マゼピンは、ルカシェンコと組み、米国市場で大きな利益を得ることを期待してゲームに参加する用意があるのだ。米国にも独自の利害がある。ベラルーシ産カリ肥料の輸入は、現在米国の総輸入量の少なくとも60~70%を占めるカナダ産肥料への依存を減らすことを可能にする。また、カナダに価格引き下げを迫ることもできるはず、という指摘がある。そして、マゼピンとの関係が指摘されるツェプカロは、自分が週に一度、米大統領特使ジョン・コールと電話で話し、助言まで与えていると自慢していた。しかも報道によれば、コールはベラルーシ産カリ肥料のバルト海港経由輸出を妨げている欧州制裁の解除を働きかける中心人物の一人である。リトアニアおよびポーランドの当局に対し、ベラルーシ産カリ肥料の通過を認めるよう非公式に要請したのも彼だった。

 ロシア側にとっても、ベラルーシが米国市場へ参入することは重要である。現在ベラルーシは中国やインドの買い手とかなり安い価格で契約を結んでおり、それが市場全体に悪影響を与えている。もしミンスクに米国市場という代替先が生まれれば、中国やインド向けに極端な値引きをしなくなる可能性がある。そうなればロシア企業はアジア市場でより高い価格水準を実現する機会を得られるだろう、という指摘がある。

 ルカシェンコにとって、米国市場へのアクセスと、マゼピンとのカルテルは大きな追い風となるはずだ。そのためなら、多くのことを許す価値がある。2020年のマゼピンの政治的振る舞いさえも。今回、ルカシェンコはマゼピンに、マゼピンの母親がまだミンスクに住んでいることに言及し、人質的なニュアンスをほのめかした。それは、2013年のような事態が再び起きず、カルテル参加者間で達した合意が少なくともロシア側によって破られないことを保証する、なかなか有力な担保でもあるのだ。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 本シリーズでストーンズを取り上げるのは、久しぶりかな。Paint It, Black - The Rolling Stonesが1位に輝いた。ロックにインド楽器のシタールを取り入れたのはビートルズの「ノルウェーの森」が嚆矢だったが、ストーンズの「黒くぬれ!」はより大胆にシタールをフィーチャーしたダークなサウンドが鮮烈で、サイケデリックロックの先鞭をつけた。

その頃ソ連では
1966年6月8日:モスクワにおいて、エロール卿を団長とするロンドン商工会議所代表団が、ソ連対外貿易相N.パトリチェフと会談。

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 このほど発行された『経済』(No.370、2026年7月号、33-38頁)に、「不透明感を拭えないロシア経済 ―イラン危機の延命効果は限定的か」と題する論考を寄稿しました。


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 ロシアには重要な国営企業が色々とあり、当然のことながら、それが株式会社であれば、配当が国の出資比率に応じて国庫に納入される。こちらの記事が、会計検査院の報告に基づいて、2025年に国への配当支払いが大きかった国営企業はどこかということを伝えているので、それを拝見することにする。

 これによると、2025年に国庫に納入された国営企業の配当は6,138億ルーブルで、前年比60%拡大した。計画額も31%上回った。これは一連の企業が予定外の配当を行った結果だという(歳入不足に苦しむ政府が強引に吐き出させた?)。

 国への配当支払いが大きかった企業は、冒頭図のとおりである。全部で105社が国への配当支払いを行ったが、上位12社の合計で5,107億ルーブルと、一部の企業に集中している。特に大きかったのは、ロシア政府が石油・ガス大手の株式を保有するための持株会社「ロスネフチェガス」の1,931億ルーブル、大手国営銀行「VTB」の1,365億ルーブル、石油パイプライン会社「トランスネフチ」の1,129億ルーブルなどであった。

 なお、ロシア最大のパスタ・製粉メーカーで、2024年に国有化された「マクファ」が、初めて上位に顔を出した。最近のロシアでは、空港、港湾、穀物会社、鉱山会社などでも同様の「国有化」が進み、そこからの配当が国庫に流入するという流れがあって、マクファはその代表例と言えそうだ。


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 こちらの記事によると、フランスのTotalEnergies社が、ロシア北極圏の液化天然ガスプロジェクトであるアークティックLNG2の持ち株を売却したということである。

 記事によると、このほどプーチン大統領が、トタルがアークティックLNG2の持ち株10%を売却することに許可を与えた。売却先はノルドライン社だが、同社はノヴァテックの子会社である。ノヴァテックは元々、アークティックLNG2の60%を握っていたので、今回の取引の結果、持ち株比率が70%になる。ただし、くだんの10%を他社に転売する可能性もある。今回の売却の詳細は明らかになっていないが、一般に外国企業がロシア資産を売却する際のディスカウント率は60%であり、また35%の「撤退税」も支払うことになる。

 今回トタルがアークティックLNG2の持ち株売却を決めたのは、同工場が米制裁のSDNリストに掲載されていることを考慮したものとされる。ただし、トタルは依然として、ノヴァテックそのものの株を19.4%保有しており、ヤマルLNGにも20%出資しており、今回の売却をもってロシアLNG事業から完全撤退するわけではない。


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 こちらの記事によると、ロシアのコンサルティング会社Regroupが、同国のCEOおよびCEO-1(事業部門や機能部門の責任者)へのオンラインアンケートと詳細インタビューを実施したということであり、同記事がその結果概要を伝えている。

 今回の調査結果によると、2030年になってもロシア経済における人材危機は解消されず、企業成長の障害となる可能性があると、ロシア企業のCEOたちは考えている。不確実性の高まりと競争激化の中で、経営者たちは、変化する状況への適応力、リスクを引き受ける能力、そして事業拡大を計画する能力が極めて重要になるとみている。

 回答者の82%が、企業が2030年に向けて成長していく上で、人材不足の問題を課題として挙げた。次いで、デジタル化(65%)、販売市場における競争激化(57%)、全般的な不確実性(51%)、そして制裁(32%)などの課題が挙がった。

 人材不足が一貫して最大の問題とみなされていることは、この問題が通常の人事施策だけでは解決できないことを意味している。調査では、この問題には「経営トップのレベルでの体系的なビジネス対応」が必要であると指摘されている。

 Regroupによれば、「制裁のカーテンの希薄化」とアジア企業による代替製品・サービスのロシア市場への流入によって、質的に新しい競争環境が形成されつつある。しかし、大多数の企業はこうした環境変化への体系的な準備を行ってこなかった。また、地政学や制裁の影響力は低下しつつあり、これは企業が外部からの制約の下で事業を行うことを学習したことを示している。

 全体として、調査結果から明らかになった2030年に向けたCEOの目標トップ3は、ロシア企業が適応の段階を終え、事業拡大(エクスパンション)の段階へ移行しようとしていることを示している。利益と売上高の拡大という目標が、初めて最重要課題となった(68%。2023年比で9ポイント上昇)。

 CEOが掲げる目標のうち、第2位はイノベーションとデジタル変革(回答者の64%)、第3位は強固なチームの構築(61%)であった。これらの課題は、もはや「火急の問題」ではなく、企業の業務運営の論理に組み込まれた、定着した戦略的優先事項へと変化しつつあると指摘されている。

 CEOに求められる能力についても、その重点は変化している。柔軟性と適応力が最重要項目となり(回答者の80%、2026年時点の見通しから8ポイント上昇)、第1位に浮上した。これは、不確実性がロシア企業のCEOにとって恒常的な経営環境となったためである。

 コンサルティング会社Birgeのマネージング・パートナーであるゲンナジー・ヴァーニン氏は、2030年のCEOにとって最大の課題は、技術・ビジネスモデル・人材の適応スピードを管理するとともに、国家との関係を適切にマネジメントすることになると考えている。「未来の成功するCEOとは、慎重に計算されたリスクを引き受け、自らの意思決定に責任を負う勇気ある人物である。また、年齢、準備状況、忠誠度の異なる人々を迅速にまとめ上げ、緊急課題の解決に向けたチームを構築できる人物でもある」と同氏は述べている。CEOに求められる能力のうち、第2位は計画立案能力(74%)、第3位は有能な人材の獲得・維持能力(66%)であった。Regroupのマネージング・パートナーであるオクサナ・モルシナ氏は、「2030年には、人材の獲得と定着がCEOの重要な能力となるだろう。なぜなら人材危機は解消されるのではなく、管理すべき恒常的な変数として受け入れられているからだ」と述べている。


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 本日開幕する第29回サンクトペテルブルク国際経済フォーラムに関し、こちらの記事がその概要を伝えているので、以下ざっとまとめておく。

 サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)は6月3日から6日まで開催される。フォーラムの主催者はロスコングレス財団。総合情報パートナーはタス通信である。

 メインテーマは「実利的な対話―安定した未来への道」である。フォーラムのプログラムは、世界経済の変容という状況下での新たなグローバル発展モデルの形成に充てられている。プログラムには、中小企業フォーラム、クリエイティブ産業フォーラム、国際青年フォーラム「未来の日」、フォーラム「医薬品安全保障」が含まれる。文化プログラムの一環として、「ペテルブルグ・シーズンズ」フェスティバルおよび恒例のSPIEFスポーツ大会も開催される。

 サンクトペテルブルグのA.ベグロフ市長は、「複雑な地政学的状況にもかかわらず、本フォーラムは世界経済の諸問題を議論する主要な場であり続けている。開催期間中、わが市は国際社会の注目の中心となる。各国首脳、政府首班、世界有数の企業のトップ、学者や専門家が多くの国から集まる。市の各機関はSPIEF-2026を前に計画された主要な準備作業を完了した」とコメントしている。

 SPIEF参加者の移動ルート沿いでは緑化が行われ、262本の樹木、6,000本超の低木、1万平方メートルの芝生が植えられた。また、およそ600基の花壇、100基超の垂直型花壇、および3,000基の吊り下げ式花飾りが設置された。道路も適切な状態に整備され、ヴィテプスク大通りからプルコヴォ街道までのペテルブルグ街道や、ヴォズネセンスキー大通りに隣接するピロゴフ横丁などが対象となった。スヴォロフ広場およびトロイツカヤ広場では路面電車軌道の修繕が行われた。また、M11「ネヴァ」高速道路681キロ地点において、プルコヴォ空港へのアクセス道路を備えたジャンクションが予定より1年早く開通した。

 市政府広報部によると、SPIEF参加者および来賓向けに文化・スポーツプログラムが用意されている。一部のイベントは市民も参加可能である。6月4日には恒例の歴史地区マラソン大会が開催される。今年のスローガンは「闘い、そして勝利せよ」である。6月3日から6日まで、「要塞の島々」公園で「クロンシュタットの帆」フェスティバルが開催される。6月5日には、「ペテルブルグ・シーズンズ」プロジェクトの一環として、宮殿広場でロシアの人気ポップ歌手らが出演するコンサートが開かれる。

 ロスコングレス財団広報部によると、フォーラムでは20を超えるロシアの地域と、連邦機関、開発機関、青年団体が主要プロジェクトを紹介する。たとえば、カスピ海沿岸における最大級の開発プロジェクトの一つであるリゾート都市Sea Breezeが、今回初めてSPIEFで紹介される。各展示は、ロシアの発展における主要分野(工業、科学、技術、物流、観光、クリエイティブ経済、若者起業)を反映したものとなる。

 なお、上掲記事にはないが、こちらの情報によると、6月5日にフォーラムの全体会合が開催され、そこでV.プーチン大統領が基調報告を行う。全体会合が金曜日に開催されるのはこのフォームの伝統である。プーチン氏の他に、ウズベキスタン、タンザニアの国家元首、中国の国家副主席、サウジアラビアのエネルギー相が演説を行い、その後に討論も行われる。


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