ロシアの北極・凍結海域向け船舶需要 国産だけで満たすのは非現実的

こちらの記事が、ロシアの北極・凍結海域向け船舶需要と、実際の造船能力とのギャップについて論じていて興味深いので、以下要点をまとめておく。
ロシアの中央海運研究所は、2030年までにロシア企業には少なくとも52隻の砕氷・耐氷船が追加で必要になるとの試算をまとめた。対象となるのは、北極海航路やバルト海など凍結海域で進む大型プロジェクトであり、需要は以下のように見積もられている。総載貨重量(デッドウェイト)は170万t超になるという。
- Arc7級原油タンカー(12万DWT)10隻以上
- Arc7級LNG船(17.4万㎥)5隻以上
- Arc7級LPG船3隻
- Arc7級ガスコンデンセートタンカー2隻
- Arc7級大型コンテナ船5隻
- Arc7級バルカー5隻
- Arc5級一般貨物船3隻
- Arc5級石油製品タンカー1隻
- Ice2級LNG船10隻
- Ice2級LPG船5隻
想定される発注者には、ロスネフチ、ノヴァテク(Arctic LNG 2)、ロスアトム(北方補給・北極海航路輸送)、ルスヒムアリヤンス、ガスプロム・ドブィチャ・タンベイ、AEON、バイムスキー鉱山などが含まれる。さらに、ガスプロムネフチのノヴォポルト油田、ルクオイルのヴァランデイ基地で運航されている2010年代建造のシャトルタンカーも更新時期を迎える。
現状の耐氷船隊についてみると、2026年5月時点でロシア商船隊は、商船:1,459隻、総デッドウェイト:約2,240万tとなっている。このうち高い耐氷性能を持つ船は、Arc4~Arc6:221隻、Arc7:16隻しか存在しない。つまり、最高クラスのArc7船は極めて少ない。
過去10年間でロシアは246隻の商船を建造した。2030年までにさらに113隻が建造予定だが、その大半は河川・海洋兼用船、補助船、原子力砕氷船であり、大型Arc7商船はほとんど含まれていない。中央海運研究所は、問題は造船所の能力だけではなく、大型耐氷船向け機関・推進装置など必要機器をロシア国内で生産できないことを最大の制約としている。推進装置については中国製の利用も選択肢としているが、制裁圧力が緩和されることを前提としている。
InfolineのM.ブルミストロフは、2030年までに50隻建造するのはロシアの造船能力では不可能とみる。大型船を建造できる実質的な造船所は極東のズヴェズダ造船所しかなく、同造船所も既に北極海航路向け26隻の受注を抱えている。そのため、Arc7だけはロシア国内建造、Arc4・Arc5の一般船は中国建造、あるいは中古船購入という役割分担が現実的である。さらに、ムルマンスクとカムチャッカの積替えハブを活用し、Arc7船から通常船へ積み替えることで必要船腹を減らせる。それでも、少なくとも2035年頃までは船不足がロシア北極開発最大の制約になると、ブルミストロフ予測する。
サンクトペテルブルグの専門家A.ドミトリエフは、解決策として、中国造船所への発注、ロシア設計+中国建造、中古船購入、複数造船所によるブロック建造(セクション生産)を提案する。ただし最後の案には、工場間物流の高度な整備が不可欠になるという。
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ロシアで起こるガソリンパニック! アダとなった“ガソリン車信仰”、ウクライナのドローン攻撃で燃料不足が社会を直撃、特有なEV事情

Wedge ONLINEに、「ロシアで起こるガソリンパニック! アダとなった“ガソリン車信仰”、ウクライナのドローン攻撃で燃料不足が社会を直撃、特有なEV事情」を寄稿しました。無料でお読みになれるので、ぜひご利用ください。
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石油輸出増でロシアの貿易は一層のアジアシフト
ロシア税関の発表に基づき、こちらの記事が2026年1~5月のロシアの商品貿易動向を伝えているので、図に日本語を当てて上掲のとおりお目にかける。単位は10憶ドルである。
2026年1~5月のロシアの商品輸出は1,774億ドル(前年同期比8.5%増)、輸入は1,183億ドル(8.1%増)、収支は590億ドルの黒字であった。
現在、ロシア当局が発表している貿易データは、大陸別の取引額と、ごく大まかな商品分類だけである。上図は大陸別の貿易額で、ご覧のとおり今年に入ってアジアへのシフトがより一層進んでいる。特に輸出がより一層アジアに偏重するようになっているが、これはホルムズ危機でロシアの石油輸出額が高まり、その大部分がアジア(中国、インド)に流れた結果であろう。
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露に「爆発的」銀行危機リスクか 大量ドローン戦争「新局面」
ダッチロールを続けるロシア国産スーパージェット開発

ロシア国産のリージョナルジェット機としてデビューしながら、販売不振や制裁で一頓挫したのが、SSJ-100(スホーイスーパージェット)だった。現在はエンジン等を国産に切り替え、SJ-100として出直そうとしているところである。最新のこちらの記事が、関連情報を伝えているので、以下要旨をまとめておく。
ロシアの航空機メーカーを束ねる統一航空機コーポレーション(OAK)は、ロシア国内で運航中のSSJ-100のうち約50機(全保有機数の約3分の1)を対象に、仏露共同開発エンジンSaM146を、ロシア製PD-8へ換装(リモーター化)する構想をまとめた。作業開始は2029年末頃を想定しており、それまでの間は既存のSaM146の寿命延長を図りながら運航を継続する方針である。
換装費用は1機当たり約23億ルーブル、総額約1,150億ルーブルと試算されている。これは旧SSJ-100の販売価格にほぼ匹敵する一方、新型SJ-100を新造するコスト(約55億ルーブル)よりはかなり安い。費用の半分は産業・商業省の支援で賄い、残りは運輸省予算や航空会社・機体所有者の負担とする案が検討されている。
背景には、2022年の制裁でフランスSafranがSaM146エンジンの保守・部品供給から撤退したことがある。その結果、ロシア国内では既存機の維持が大きな課題となった。現在ロシア国内には約160機のSSJ-100が残っており、その約半数を航空会社「ロシア」が保有しているほか、Red Wings、アジムート航空、ヤマル航空などが運航している。
一方で、この計画の経済合理性については評価が分かれている。肯定派は、「新造機に50~70億ルーブルを投じるよりも、約20億ルーブルで既存機を延命した方が財政負担は小さい」と主張する。慎重派は、「エンジンを交換しても機体そのものは古く、残存耐用年数は短い。新型SJ-100と市場で競合するだけで、長期的には非効率だ」と指摘する。
また、今後の機体寿命についても不透明である。頻繁な運航を控えれば寿命を延ばせる可能性がある一方、エアインテークや風防ガラスなど代替の利かない部品が不足すれば、想定より早く退役する可能性もある。
そのため、業界では「SaM146の寿命延長」と「PD-8への換装」は対立する選択肢ではなく、前者によって2029年頃まで運航を維持し、その後に後者へ移行する補完的な戦略と見る向きも多い。
さらに、PD-8の量産能力については以前より悲観論が後退している。SJ-100の生産計画自体が大幅に縮小され、2030年までの需要見通しも142機から60機程度へ下方修正されたため、PD-8エンジンを既存SSJ-100の換装にも振り向けられる余地が生じてきたという。もっとも、SJ-100については現時点で確定受注はまだなく、航空会社側の需要見込みも40~50機程度とされている。
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2026年上半期のロシア乗用車販売は反動増
アフトスタットがこちらの記事で、ロシアにおける2026年上半期(1~6月期)の乗用車(新車)販売動向について伝えているので、軽く紹介する。上半期の販売台数は60.9万台で、前年同期比14.8%増だった。特に6月は前年同月比29.0%と大きく伸びている。
しかし、これは乗用車販売が活況を呈していることを意味するものではなく、昨年が悪すぎたことによる反動増という側面が大きい。昨年の前半は、超高金利、2025年のリサイクル税引き上げを見越し2024年後半に生じた駆け込み需要などの要因で、とにかく販売が振るわなかったのだ。
ブランド別に見ると、ロシアのAGR Holding(旧フォルクスワーゲン・カルーガ工場のオーナー)と、中国の自動車関連企業Defetooとの合弁事業として立ち上げられたブランドのTENETが、急激に躍進している。生産は旧VWカルーガ工場で行われ、当初はCKD/SKD組立から始まり、徐々に現地調達率を引き上げる構想となっている。
また、日本メーカーが直接関知しているものではないとはいえ、トヨタ、マツダの販売増も注目される。
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ガソリン危機で試されるロシア国家と社会の「適応能力」
軍事費優先で経済プロジェクトが先送りされるロシア

こちらの記事は、ロシアが軍事支出を優先するあまり、大規模な経済プロジェクトが軒並み停止されていることを伝えている。以下要旨をまとめておく。
ロステクのチェメゾフ社長は2025年6月にプーチン大統領と面談し、「廃棄物焼却施設3基の建設を『金利が下がるまで』凍結せざるを得ない」と報告した。ロステクはロシア兵器の約8割を生産する中核企業であり、利益は大幅に増えたにもかかわらず、長期インフラ投資は断念せざるを得ない状況にある。
過去3年間で38件、総額約23億ドル相当のデータセンター建設計画が停止された。ロシア政府は「主権AI」の構築を掲げているが、その基盤となるデータセンター整備が進まないという矛盾がある。その原因は、政策金利が2025年には21%、2026年でも14%超と高水準であること、データセンターは投資回収まで約10年を要するため、この金利では採算が合わないこと、モスクワ周辺では電力容量にも余裕がなく新規接続がほぼ不可能になっていることである。
もう一つ、投資プロジェクトが止まっている実例が、ムルマンスクのラヴナ港である。港自体は2025年に開業しているが、接続鉄道の建設はロシア鉄道の資金不足で中断された。その結果、開業後7か月間の取扱量は設計能力のわずか3%にとどまった。さらに、ムルマンスク商業港の石炭取扱量も前年より40%以上減少し、ラヴナ港の主な供給元であるクズバス炭田では石炭生産そのものが落ち込んでいる。こうしたことから、たとえ鉄道が完成しても、積み出す石炭自体が不足する可能性がある。
2026年上半期の財政赤字は年間目標を大幅に上回っている。政府は軍事・防衛産業への資金供給を最優先している。その結果、それ以外の戦略的投資は後回しになっているのである。
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アゾフ・ドン運河の航行停止などでロシアの穀物輸出に暗雲

こちらの記事がアゾフ・ドン運河の航行停止などで、ロシアの穀物輸出に暗雲が垂れ込めていることを伝えている。以下記事を抄訳しておく。
ロイター通信が穀物輸出業界の関係者3人の話として伝えたところによると、ロシアはドン川とアゾフ海を結ぶアゾフ・ドン運河の航行を停止した。この措置は、ウクライナの無人機がアゾフ海でロシア船13隻(うちタンカー10隻)を攻撃したことを受けて決定されたという。ロイターが取材したアナリストらによれば、世界最大の小麦輸出国であるロシアの小麦輸出の最大4分の1がアゾフ海経由で行われている。
また、ロイターの別の情報筋によれば、ロシア国境警備当局は、アゾフ海と黒海を結ぶケルチ海峡の通航申請の受け付けを停止したことを海運会社に通知したという。通知では、こうした制限措置がいつ解除されるかについては明らかにされていない。
アゾフ海沿岸には、ロシア最大の穀物生産地であるロストフ州とクラスノダル地方が位置している。さらに、ケルチ海峡周辺には、ロシア黒海沿岸で第2位の取扱量を誇る港湾がある。航行停止の報道を受けて、7月10日の欧州先物市場Euronextでは小麦価格が4%上昇し、約6週間ぶりの高値を付けた。
ここ数週間、ウクライナはアゾフ海のロシア船舶やロシア国内の石油精製所への攻撃を強化しており、その結果、ロシアでは過去最大規模の燃料危機が発生している。国際機関や業界アナリストはこれまでも、ウクライナでの戦争が世界の穀物貿易にリスクをもたらしていると繰り返し警告してきた。というのも、黒海海域はロシア、ウクライナ両国にとって依然として最も重要な穀物輸出ルートの一つだからである。しかしロイター通信は、この4年半に及ぶ戦争の間、世界市場への穀物供給に深刻な支障が生じたことは、これまでのところ一度もないと指摘している。
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60年前のBillboard Hot 100(1966年7月10-16日)
ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。
さて、今週1位のHanky Panky - Tommy James & the Shondellsという曲を、個人的には良く知らなかったのである。実はこの曲は1964年録音で、発売当初はまったく売れなかったが、2年後にピッツバーグのDJが中古レコード店で見つけて放送したところ、地元で爆発的な人気となり、全米ヒットに波及したということだ。今日では、この曲は、後のガレージ・ロック、パンク・ロック、パワーポップへつながる重要作として評価されている由。なお、「hanky-panky」は英語の俗語で「いちゃつく」というニュアンスがあり、歌詞自体は露骨ではないが、当時としては少しきわどい曲だったということだ。
その頃ソ連では
1966年7月30日:FIFAワールドカップ・イングランド大会の決勝。「疑惑のゴール」でイングランドが初優勝を遂げたが、そのゴール判定を下したのはソ連人(民族的にはアゼルバイジャン人)のバフラモフ副審だった。
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ロシア連邦財政 6月には今年初めて単月で黒字

ロシア財務省より、6月の(したがって上半期全体も)ロシア連邦予算執行状況が発表されたので、いつも作成しているグラフを上掲のとおり更新しお目にかける。月別に見ると、6月には今年初めて、単月で黒字になっている。ただ、ホルムズ危機による石油・ガス歳入拡大というよりは、非石油・ガス歳入の貢献度の方が大きい。その原因については、追って検討したい。
差し当たり、こちらの記事の要旨を紹介する。上半期の財政赤字は5.7兆ルーブル(GDP比2.5%)となり、前年同期の3.4兆ルーブル(GDP比約1.5%)から大幅に拡大した。ただし、5月末時点では赤字が約6兆ルーブルまで膨らんでいたため、6月単月では一定の改善が見られた。
春先には原油価格の下落やルーブル高が重しとなっていたが、6月には石油・ガス収入が回復。 一方で、非石油・ガス収入も引き続き比較的堅調に推移しており、税収基盤そのものは大きく崩れていない。
財務省は従来どおり、「年初の前倒し支出」が赤字拡大の主因だと説明している。しかし、実際には軍事・安全保障を中心とする恒常的な高支出が続いていることも背景にある。
現行予算では2026年通年の赤字目標はGDP比約1.6%(約3.8兆ルーブル)だが、上半期だけで5.7兆ルーブルに達している。もっとも、ロシアでは例年、歳入が後半に集中する傾向があり、また財務省も予算修正を既に実施しているため、この数字だけで年末の着地を判断することはできない。記事は以上のように伝えている。
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ロシアの現金志向の高まりで銀行の流動性不足広がる

こちらの記事は、モバイルインターネットの遮断などが原因で、ロシアでは現金志向が高まっており、その結果として銀行に流動性不足広がっているということを伝えている。以下、記事の要点をまとめておく。
記事によれば、ロシアの銀行システムでは流動性不足が約1.9~2兆ルーブルに達している。2026年初めには約6,000億ルーブルだった不足額が、6月には約2兆ルーブルまで膨らんだ(6月24日時点では1.8兆ルーブル)。背景には、国民が銀行預金を引き出して現金で保有するようになったことがある。 「流動性」とは銀行が融資や資産運用、預金払い戻しに自由に使える資金であり、人々が現金を引き出せば、その原資が減少するため、銀行は中銀や他行から資金を調達しなければならなくなる。
専門家が挙げる原因は複数ある。第1に、最大のポイントとして挙げられるのが、モバイルインターネットの断続的な遮断である。通信障害によってカード決済やQR決済が使えなくなる事態が発生したため、人々は「いざという時のため」に現金を持ち歩くようになった。
第2に、預金金利の低下がある。2025年には高金利預金が資金を銀行に引き留めていた。しかし政策金利引き下げに伴って預金金利も低下し、銀行預金の魅力が薄れたため、一部の資金が現金へ向かった。
第3に、税制改正により、中小企業の中には、現金払いに割引を付ける、キャッシュレス決済に伴う加盟店手数料を節約するという動きも見られるようになった。
第4に、海外旅行の要因がある。ロシアの銀行カードは海外で使えない国が多いため、旅行前に外貨現金を購入する需要も現金志向を後押ししている。
ロシア中銀自身も2026年の構造的流動性不足見通しを、従来の1.9~3.0兆ルーブルから、修正後の2.4~3.6兆ルーブルへ引き上げている。その理由は、流通現金の増加見通しを大幅に上方修正したため。
もっとも、現段階では危機的状況ではない。家計預金残高は4月時点でも70.8兆ルーブルまで増えており、銀行全体としては依然として十分な預金を保有している。一部銀行では中銀からの借入が増えており、中銀には流動性供給手段が十分あり、担保として差し入れ可能な資産も豊富とされ、金融システム全体としては対応可能と考えられる。
流動性不足は銀行経営だけでなく、融資条件にも影響する。銀行の資金調達コストが上がることになる。中銀が利下げしても貸出金利はすぐには下がらず、融資審査も厳しくなる。すでにその影響は表れており、消費者ローン残高は前年比約2%減となり、(大手建設会社を除く)中小企業向け融資は約7%減となっている。もっとも、銀行は預金を集める必要があるため、預金金利をある程度引き上げる誘因も働く。
今後の見通しに関して言えば、現金への資金流出は逆流する可能性もある。通信インフラが安定し、デジタル決済への信頼が回復し、預金商品の魅力が高まり、マクロ経済環境が改善すれば、現金は再び銀行へ戻る可能性が高い。
なお、上掲の図も、記事に添付されていたものである。2025年半ばまでは銀行システムが流動性余剰の状態だったものが、2025年末を境に不足へ転じ、2026年春以降に不足額が急拡大している様子が示されている。
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揺らいでる? 揺らいでない? プーチン体制の屋台骨
ロシアの石油輸出価格、ホルムズ危機効果が剥落

ブルームバーグのこちらの記事は、中東危機が解消に向かったことで、ロシアの主力輸出油種であるウラル原油の価格は、ホルムズ海峡封鎖前の水準に戻ってしまったということを伝えている。
記事によると、ウラル原油は2026年7月初めの3日間、ロシア西部港で平均1バレル41.66ドルとなった。これは4月の中東情勢緊迫時の高値の半分以下であり、2026年予算で想定されている59ドルを大幅に下回っている。
ロシアはホルムズ海峡の実質的閉鎖により、ペルシャ湾岸産原油の供給が滞った局面では恩恵を受けた。3月以降、ウラル原油価格は毎月、予算想定の59ドルを上回り、6月も平均60.92ドルであった。その結果、石油・ガス歳入が増え、ロシア政府は約1年ぶりに予備基金の積み増しを再開し、非優先支出の削減も先送りできた。
しかし、ホルムズ海峡の通航が回復し、中東リスクによる価格上昇効果が薄れると、ウラル価格は急落。価格低下が長引けば、ウクライナ戦争が5年目に入る中で、ロシア財政赤字の管理はさらに難しくなる。2026年1~5月の財政赤字は6兆ルーブル、GDP比2.6%に達し、通年目標をすでに約60%上回っている。
ロシアの石油関連税収はタイムラグを伴って計算されるため、7月の原油価格下落は8月の予算収入に反映される見通し。また、ウラル原油のブレントに対するディスカウントは27.35ドルまで拡大した。ただし、インド到着時点ではディスカウントは8.55ドルに縮小しており、この輸送・販売マージンが最終的にロシア側に帰属するのかは不明である。ブルームバーグは以上のように伝えている。
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ロシアの製油所被害 経営にも響く大問題に発展
蝕まれるロシアの財政規律

有名な論客のプロコペンコ氏による最新のこちらのコラムは、際限のない戦費の拡大により、ロシアの財政規律が蝕まれていることを論じている。以下、主要部分を抄訳しておく。
西側では、プーチン大統領の弱体化の兆候を、本来注目すべきところではなく、別のところに求めることに慣れてしまっている。たとえば、支配エリート層の大きな分裂や、社会の雰囲気が悪化する中での支持率低下などである。確かにプーチン体制はそのような問題にも直面しているが、それに対する耐性は依然として強い。
本当に重要な意味を持つ浸食は、もっと目立たない。それはあまりにも日常的な現象として進行しているからだ。戦争のニーズは、すでに長い間、財政規律を徐々に蝕んできた。そして今では、それと同じように静かに、予算編成の手続きや議会による監視機能までもが脇へ追いやられつつある。
6月、ロシア下院はわずか72時間で、大きな議論もないまま、財務省に対し、予算法を改正することも議会で再承認を得ることもなく、予算支出を増やし、法律で定められた政府債務の上限を超えて借り入れを行う権限を与えた。財務省は、このような手続きの簡素化について、「状況の悪化には毎月や毎四半期ではなく、毎日対応しなければならない」ためだと説明している。莫大な費用を要する戦争が5年目に入った今、もともと形骸化していた議会でさえ障害物となり、取り除いてしまう方が手っ取り早い存在になったのである。
こうした権限緩和の主な目的は、歳入の流入時期にばらつきがある一方で支出が先行することによって生じる資金繰りのギャップを埋めることにある。これにより財務省は、2026年にGDP比1.6%と見込まれている財政赤字を機動的にファイナンスできるようになる。
政府がこうした措置を急いだ事情は理解できる。2026年1~5月の連邦予算赤字は6兆ルーブル、GDP比2.6%に達した。これは前年同期の2倍であり、2026年通年で予定されていた3兆8,000億ルーブルの赤字額をすでに上回っている。かつてこのような事態に備える安全弁であった国民福祉基金の流動資産は約3.4兆ルーブルまで減少し、戦前の水準と比べれば見る影もない。戦費調達のために付加価値税はすでに引き上げられた。中央銀行の政策金利は14.25%に据え置かれており、中銀はすでに「政府の借り入れが増えれば増えるほど、高金利をより長期間維持せざるを得ない」と警告している。
今回の制度変更によって、財務省は支出や政府債務を状況に応じて柔軟に見直しやすくなる。しかし、その利便性の代償はロシア経済にとって決して小さくない。マクロ経済学的に見れば、国家予算は経済主体の期待を支える錨のような役割を果たす。ロシアで財政ルールが導入されたのも、経済をより安定的かつ予測可能なものにするためだった。歳出を石油価格の変動から切り離し、すべての経済主体に共通の基準点を与えることで、為替相場の変動や、それがインフレ、財政赤字、政府借入額に及ぼす影響を和らげようという狙いがあったのである。
これらの指標が安定していることは重要だ。企業だけでなく、中央銀行もまた、財政支出が生み出す需要の大きさを見極めながら政策金利を調整しているからである。ところが、財政政策の透明性が失われ、外部からの正式な監視も受けないままリアルタイムで変更されるようになれば、中央銀行は最悪の事態を前提に政策を運営せざるを得ず、その結果、金利はより高く、より長く維持されることになる。
もちろん、議会が予算編成過程から身を引いたからといって、直ちに無制限の紙幣増発が始まるわけではない。財務省が追加で借り入れられる額は、統一国庫口座にすでに積み上がっている資金残高の範囲内に制限される。実態としては、国が自ら保有する資金を担保とした短期的な技術的オーバードラフトに近い。しかし、その口座にある資金も現在は潤沢ではない。ルーブル高に加え、ウクライナによる石油インフラへの攻撃が、中東戦争を背景とした原油価格上昇の恩恵をかなり相殺してしまったからである。その結果、ロシアの石油・ガス関連歳入は、ようやく2025年初頭の水準に追いつく程度にとどまっている。
こうした手続き簡素化の最大のリスクは別のところにある。それは、財政赤字を一段と拡大させるような歳出増加がどこまで進むかという点である。その赤字は、最終的には借金による、そしてインフレを伴う形での資金調達を必要とする。国際的な基準から見れば、ロシアの政府債務残高は依然としてGDP比20%未満と低い水準にある。しかし、高い政策金利の下では、その債務を維持・返済していくコストはますます重くなっているのである。
こうした手続きの簡素化は、財政政策の予見可能性にも深刻な打撃を与えている。すでに夏も半ばを迎えているにもかかわらず、ロシアでは企業も国民も、今年度の国家予算が最終的にどのような支出になるのかすら把握できていない。ましてや来年度予算のおおよその姿など知る由もない。その結果、ロシアの国家予算は経済活動の羅針盤としての役割を失い、部外者には見せることを想定していない単なる「歳入・歳出の一覧表」へと変質してしまった。
ほぼ20年にわたり、財政規律はクレムリンが最も誇ってきた政策の一つだった。低い政府債務、概ね均衡の取れた財政、安定化基金、そして国際的にも高く評価された経済チーム、こうした基盤があったからこそ、ロシア経済は制裁という大きな衝撃にも耐えることができたのである。しかし、いまやその規律は解体されつつある。
戦争の代償は今なお膨らみ続けている。数か月前、アントン・シルアノフ財務相は政府宛ての書簡で、2026年末までに軍および治安機関には追加で2兆ルーブルが必要になる可能性があると警告した。その相当部分は、戦死者や負傷者に対する補償費用である。
戦争の代償は先送りすることはできても、永遠に回避することはできない。今年返済期限を迎えるはずだった地方政府向けの財政融資は、返済期限が2030年まで延期され、その結果生じた余力は戦争関連支出に充てられることになった。ロシア国民はすでに、戦争の代償を支払っている。新たな国債発行によって押し上げられたインフレと、異常なまでに高い金利という形で、その負担を負わされているのである。
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ロシアのガソリン不足、ベラルーシだけでは補い切れない

ベラルーシは、国内に2箇所の立派な製油所を有し、実は知られざる石油製品輸出国である。今日のようなロシア市場の不足の局面では、ベラルーシからロシアへの輸出を拡大するという動きが出てくるのは自然な成り行きである。しかし、こちらの記事によると、実際にベラルーシからの燃料輸出は急増しているものの、それだけではロシア市場の不足を補い切れないという。以下、記事の要旨を紹介しておく。
ロシアでは2026年6月、ベラルーシからのガソリン輸入量が過去最高に達した。これはロシア国内のガソリン不足への対応策だが、専門家はベラルーシだけではロシアの需給ギャップを埋めることはできないとみている。
6月1~25日の輸入量は14.1万tで、5月全体の約2.4倍となり、過去最高を更新した。2025年秋、ロシアで燃料不足が顕在化して以降、輸入が本格的に増え始めた。2026年初からの累計輸入量は42.2万tに達している。
一方で、ベラルーシはロシア向けを優先した結果、従来中央アジア向けに輸出していたガソリンをロシア市場へ振り向け、第三国向け輸出は大きく減少した。上掲グラフでも、ロシア向け供給が急増する一方、ロシア経由の第三国向け輸送が急減していることが示されている。
6月末には複数のロシア地域で給油制限が導入された。プーチン大統領は「国内市場には燃料不足があるが、危機的水準ではない」と認めた。ノヴァク副首相はその後、「問題は物流上の一時的混乱であり、国内供給は確保されている」と説明している。また、ロシア政府はユーラシア経済連合諸国国からのガソリン輸入への補助制度(ダンパー制度)を拡充、ナフサを混合してガソリンを製造することも認めるなど、供給拡大策を相次いで打ち出した。
それでもベラルーシが不足を補うのには、限界がある。専門家によれば、ベラルーシ全体のガソリン輸出能力は年間180~200万t程度(月15~17万t)。楽観的に見ても月20万t程度が限界であり、現在の対ロ輸出はほぼ能力いっぱいに近いという。
専門家の分析では、2026年5月のロシアの石油製品生産は前年同月比13.5%減。ガソリン生産は20~25%減少した可能性がある。現在の需要に対して1日当たり1.5万~2.5万t程度の供給不足が生じているという。不足を埋めるには、さらに1日1万t程度の輸入が必要であり、ベラルーシだけでは対応できない。
専門家は、今後は、インド、トルコ、中国、カザフスタン、シンガポールなどからのガソリン輸入も検討せざるを得ない可能性があると指摘している。
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ウクライナ・サッカーで躍進するポリッシャ・ジトーミル

Jリーグが秋春制に移行し、チーム作りのシーズン前キャンプをどこでやるかという点に関し、対応が分かれている。大きく分けると、①日本国内の涼しいところでやる、②あえて日本国内の暑いところ(沖縄など)でやる、③海外でやる(Jリーグから補助も出る)、に大別されるのではないかと思う。我が清水エスパルスは③であり、オーストリアでキャンプを張り、その間に練習試合を2試合やることになっている。
それで、そのうちの一つが、7月14日に行われるウクライナ勢のFCポリッシャ・ジトーミルとの一戦となっている。ただ、私の認識にはないクラブだったので、ちょっと調べてみた。
そうしたところ、FCポリッシャ・ジトーミルは最近急激に力をつけてきた新興勢力で、2025/26シーズンにはプレミア3位に躍進していたことが分かった。あのディナモ・キーウを4位に蹴落としての快挙である。
クラブの起源は1959年までさかのぼるが、一度消滅。2016年頃から再建が始まる。2023年に初めてウクライナ・プレミアリーグへ昇格。わずか数年で上位争いをするクラブになったということだ。
近年は資金力を背景に、元ディナモ・キーウ所属選手、元ウクライナ代表選手、外国人選手を積極的に補強。市場価値もウクライナでは上位クラスで、キーウやドネツクに続くグループへ食い込もうとしている。監督が非常に有名で、かのルスラン・ロタン。元ウクライナ代表主将であり、代表で100試合以上出場し、長年、FCドニプロの中心選手だった。FCポリッシャ・ジトーミルは近年はUEFAカンファレンスリーグ予選にも出場している。
そして、FCポリッシャ・ジトーミルを短期間で強豪に押し上げたのが、ウクライナ財界ではかなり著名な実業家である、ヘンナジー・ブトケヴィチ(Геннадій Буткевич)。ブトケヴィチ氏は、ウクライナ最大級のスーパーマーケットチェーンであるATB(АТБ)の共同創業者・共同オーナー。ATBは全国に1,000店以上を展開するディスカウントスーパーで、戦時下でも事業を維持してきたウクライナ小売業の巨人。加えて、自ら設立した BGV Group Management を通じて、鉱業(ベリリウムなどレアメタル)、エネルギー、不動産開発、など幅広い事業を展開している。特にじとーみる州のペルジャンシク・ベリリウム鉱床の開発は、ウクライナの戦略鉱物政策とも関わる重要案件。2021年にBGV Groupを通じてFCポリッシャを買収。もともとクラブは市の管理下にあったが、資金難から発展が難しく、ジトーミル市長らの働きかけを受けてブトケヴィチ氏が本格的なオーナーとなった。買収前からクラブバスや設備などを支援しており、その延長線上でクラブ経営に乗り出した形ということだ。
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ロシア経済は土俵際に追い詰められたのか? —戦争・制裁下の最新動向
7月24日に「ロシア経済は土俵際に追い詰められたのか? ―戦争・制裁下の最新動向―」という講演をすることになりました。リモートかつ無料で視聴できますので、ぜひご参加ください。
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ドローン攻撃にかんがみ稼働停止が相次ぐロシアの空港

Meduzaのこちらの記事が圧巻だったので、簡単に紹介しておきたい。ウクライナのドローン攻撃への対応として、モスクワはじめロシアのヨーロッパ部では空港が一時稼働を停止される事態が頻発しており、それを集計したものである。
Meduzaの記事が指摘しているのは、「空港が攻撃される危険」そのものよりも、「航空システムが予測不能になってきた」という点。6月以降、モスクワ4空港(シェレメチェヴォ、ドモジェドヴォ、ヴヌコヴォ、ジュコーフスキー)も、ウクライナのドローン飛来に伴って何度も離着陸停止となり、数百便規模の欠航・遅延が発生した。空港自体が攻撃されることよりも、防空上の理由で空域を閉鎖するために機能が麻痺するケースが増えており、しかもそれが単発ではなく、6月以降かなり頻繁に起きているわけである。
上掲の図は、各空港で制限が導入された日数を示している。2026年の数字は、上半期だけの途中経過だが、ヨーロッパ・ロシア部の空港ではすでに2025年通年の日数と同程度か、それを上回る日数で稼働停止が発生している。そうした中、シベリア・極東の空港はほぼ無傷となっている。
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ドイツ検察がノルドストリーム爆破へのウクライナ関与につき見解示す

BBCのロシア支局が、こちらの記事で、2022年に起きたバルト海底天然ガスパイプライン「ノルドストリーム1・2」の爆破事件に関するドイツ検察の見解を伝えているので、以下のとおり抄訳しておく。
ドイツ連邦検察は、ノルドストリームの爆破事件に関与した疑いで逮捕されたウクライナ人について、「ウクライナの国家機関」の指示を受けて行動していたとの見方を示した。同人は、ドイツ刑法の複数の条項に加え、民間インフラへの攻撃という戦争犯罪の容疑でも起訴されている。
ドイツ連邦検察の発表によれば、2022年当時、セルゲイ・K(ドイツでは公式発表で氏名はイニシャル表記となるが、報道では以前、セルゲイ・クズネツォフという氏名が伝えられていた)はウクライナ軍の将校だった。ロシアによる全面侵攻開始後、彼は「他の軍人ら」とともに、「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」を爆破する計画を立案した。その目的は、ガス供給を妨害し、ロシアからガス輸出収入を奪うことにあったという。検察は、セルゲイ・Kが「ウクライナの国家機関の命令」に基づいて行動していたと主張している。
彼には、爆発物の使用、施設の破壊、公共サービスの機能妨害というドイツ刑法上の3つの罪に加え、国際法犯罪法典に基づく「民間インフラへの攻撃」という戦争犯罪の容疑もかけられている。
セルゲイ・Kのイタリア人弁護士ニコラ・カネストリーニは、検察が依頼人を戦争犯罪で起訴したことについて、「今回初めて、問題とされる行為が武力紛争、すなわち戦争という文脈の中で行われたものだと検察自身が認めたことになる」と述べた。
検察の見立てでは、セルゲイ・Kは職業ダイバー、ヨットの船長、爆発物の専門家から成るグループを組織した。2022年9月4日、彼は偽造されたウクライナ旅券を使ってポーランドからドイツへ入国し、その後、仲介者が偽造書類を用いて借りた帆船に共犯者らとともに乗り込んだ。
検察によれば、このグループは9月22日まで、デンマーク領ボーンホルム島沖のガスパイプラインに爆発装置を設置していた。そして同年9月26日、これらの装置が爆発し、その結果、「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」の双方が損傷した。
検察はさらに、爆破事件以前には、「ノルドストリーム1」はドイツのエネルギー生産に必要な年間天然ガス需要のおよそ半分を輸送していたと指摘している。
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60年前のBillboard Hot 100(1966年7月3-9日)
ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。
さて、折よく、ビートルズの来日公演60周年が話題になっている。60年前のBillboard Hot 100を見ると、Paperback Writer - The Beatlesが1位に君臨している。その時点の日本でも、同曲が最新シングルだったらしく(たぶん)、日本公演ではメンバー自身が、"We'd like to sing now a song which is our new record here in Japan. It's called Paperback Writer."と言ってから同曲を演奏したということである。
その頃ソ連では
1966年7月5~9日:英国のダグラス・ジェイ商務大臣がソ連を訪問。
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今度はベアリング会社がロシア政府の毒牙にかかる

ウクライナ侵攻後のロシアでは、非常に恣意的な形で、民間企業が国に接収される事態が相次いでいる。こちらおよびこちらの記事によると、今度はベアリング・メーカーがその被害にあったということだ。国防産業にも密接にかかわるので、手綱を握ろうとしたということか。以下、記事を抄訳しておく。
ヨーロッパ・ベアリング・コーポレーション(EPK)は、複数のベアリング工場を統合する形で、元下院議員O.サフチェンコによって2001年に設立された。当時、同グループはロシアのベアリング市場のおよそ50%を支配していた。2007年までに、EPKには「モスクワ・ベアリング」、「モスクワ航空ベアリング工場」、「ステプノゴルスク・ベアリング工場」(カザフスタン)、「ヴォルシスキー・ベアリング工場」(ヴォルゴグラード州)、「航空ベアリング工場」(サマラ)、「サラトフ・ベアリング工場」、EPK研究開発センター、「EPK商社」、そしてEPK管理会社が加わった。年間生産量は約5,000万個に達し、その製品はロシアの鉄道車両のほぼ全分野で使用されていた。2008年にはモスクワ工場が閉鎖され、生産能力はサマラへ移管された。2022年には、EPKの唯一の所有者であったA.モスカレンコが、同社株式の100%を「産業イノベーション基金」という名称の閉鎖型投資信託に売却したが、その実質的受益者は公表されなかった。2023年、EPKは米国の制裁対象となり、SDNリストには子会社も追加された。EPKの2025年の売上高は19億ルーブルであった。
そして、モスクワの裁判所はこのほど、EPKグループの工場2カ所について、検察総局の請求に基づき資産を差し押さえた。この措置は、サフチェンコ元議員らを被告として提起した訴訟の一環として行われたものである。検察総局は、サフチェンコ氏が自身の議員としての地位を利用し、自らが支配下に置く企業の利益を擁護するロビー活動を行っていたと判断している。ロシア連邦執行官局は、検察総局の請求を受けて裁判所が下したEPKグループ資産差し押さえ命令の執行に着手した。
差し押さえの根拠となったのは、モスクワのレフォルトヴォ地区裁判所が6月15日、EPKグループ傘下のサマラにある2工場に対する保全措置の実施を認めたことである。この申立ては、検察総局が提起した訴訟の一環として提出されたもので、被告にはサフチェンコ元議員、その息子で実業家のG.サフチェンコ、その他の個人が含まれている。
検察総局は、サフチェンコ氏が2003年にEPKの取締役会長を退任して下院議員となった後も、ロシアのベアリングメーカー、とりわけ実質的に自身の支配下にあった企業の利益を議会で擁護する活動を続けていたとみている。実際、サフチェンコ氏は議会での演説の一つで、外国企業、特にウクライナ企業がロシアの政府機関向けベアリング供給において不公正な競争を行っていると主張した。その結果、サラトフ、モスクワ、ヴォルシスキーの各ベアリング工場はほぼ操業停止に追い込まれたと述べ、戦略的重要企業が外国からの供給に依存する事態を防ぐよう、政府に働きかけることを議会に求めていた。
EPKグループの広報担当者は、同グループは現在、この分野における国防発注の唯一の受注企業であると説明した。一方、今回の訴訟については、「この問題には弁護士が対応している」と述べるにとどめた。
検察総局が、他のベアリング企業グループに対して国有化を目指して提起した訴訟もあった。同局は2025年12月、モスクワのガガーリン地区裁判所に対し、KIMPホールディングの没収を求める訴えを起こしている。同ホールディングには、「10-GPZ」、「OKローザ」、「GPZ-2トヴェリ」の3工場が属しており、これらはロシア軍および主要な防衛産業企業向けにベアリング製品を供給している。
一方、ロストフ州およびサマラ州では、ベアリング製造企業における横領や職権乱用に関する刑事事件の捜査が進められているか、すでに裁判に付されている。なかでも、10-GPZ工場の所有者らは、国家発注の履行に際して製品価格を水増しし、10億~20億ルーブルを超える資金を不正に取得したとして起訴されている。
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ロシア企業のドローン対策費 損金計上は可能?

こちらの記事が、ロシア企業がドローン攻撃に備えて防護手段を購入した際に、その費用を税務上の損金として計上することが可能かという問題について論じているので、一部を以下のとおり抄訳しておく。
企業が無人航空機(ドローン)による攻撃への防護手段を購入するために支出した費用は、ロシア税法第252条で定められた一般的な要件を満たす場合には、税務上の損金として認められる可能性がある。連邦税務局法人課税局のアンドレイ・コンコフ副局長が、「2026年における法人所得税」をテーマとしたウェビナーで明らかにした。
ドローン対策費用を法人所得税の計算上、損金として計上できるかという参加者の質問に対し、コンコフ氏は、税法上、損金として認められるのは、収益の獲得を目的として行われた、合理的かつ証拠書類によって裏付けられた支出であると説明した。同氏によれば、この問題は「時折持ち上がる」ものであり、企業は自社の財産を守るために様々な支出や対策を講じているという。
同氏は、「自社の支出が合理的であることに疑問がないのであれば、その費用は損金として計上すればよい。税法に特別な取扱いが定められていない以上、一般的な会計処理を適用すべきである。例えば、購入したのがドローンや電子戦システムで、価格が20万ルーブル程度であれば、それは固定資産として扱うべきだ。これは収益活動のために使用される設備であり、企業の生産設備を直接保護する役割を果たすからである」と述べた。その場合、費用は減価償却を通じて計上する必要があるという。
税法第256条第1項によれば、減価償却の対象となるのは、企業が所有権を有し、利益を得るために使用する資産である。また、耐用年数が12か月を超え、取得価格が10万ルーブルを超えることも条件となる。取得価格がこの基準を下回る場合は、設備を使用開始した時点で一括して費用計上することができる。また、その設備に一定の使用期間が設定されている場合には、その期間にわたって均等に費用計上することも可能であるとコンコフ氏は説明した。
同氏は、こうした会計処理において最も重要なのは、納税企業自身が、その支出が「通常の生産活動を維持するために必要である」と確信していることであると強調した。そして、「その設備を実際にどのように使っているかを100%把握しているのは、会社以外にはいない」と付け加えた。
昨年、大手企業はプーチン大統領に対し、ウクライナによるテロ攻撃で企業が被る損失を補償する仕組みを税法に盛り込むよう要望していた。この要望書は、ロシア産業家企業家同盟のアレクサンドル・ショーヒン会長名で提出されたもので、その中では、石油精製所、冶金・化学産業の企業、電力施設などの産業インフラが、ドローンを用いたテロ攻撃の主要な標的となり続けていることが指摘されていた。そのため企業は、安全確保のために多額の費用を負担せざるを得ず、防護フェンスや監視カメラ、防弾構造物などの受動的防護設備を導入し、電子戦システムを設置するとともに、すでに破壊された施設の復旧にも資金を投じていると説明されていた。
これに対し、アレクセイ・サザノフ財務次官兼国家書記名で送付された回答では、財務省はこの提案を支持できないとの立場を示した。その理由として、企業の対テロ安全対策費用を補償する措置は「一時的かつ個別的な性格」を有するため、この種の補償は税法改正による一般制度ではなく、「個々の案件ごとに」首相レベルで判断すべき問題だと説明した。またサザノフ氏は、法人所得税の課税所得を算定する際、企業はすでにこうした支出を損金として控除することが認められていることも改めて指摘した。
記事はまだ続くが、長くなるので、このへんで。
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「心」を狙われたウクライナがロシアの「経済」を殴る構図へ…ドローン戦が泥沼化、宗教戦争の様相にも

Wedge ONLINEに、「『心』を狙われたウクライナがロシアの『経済』を殴る構図へ…ドローン戦が泥沼化、宗教戦争の様相にも」という論考を寄稿しましたので、ぜひご覧ください。ドローン戦に関し、独自の視点から考察してみたものです。
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ロシア政府なりふり構わず:燃料の環境・品質基準を引き下げ

こちらの記事が、ロシア政府が燃料不足に対応するため、ガソリン・ディーゼル燃料の環境・品質基準を引き下げようとしているということを伝えている。以下、記事を抄訳しておく。
ロシア政府が、国内市場への燃料供給を確保するため、今後1年間、ガソリンおよびディーゼル燃料について環境基準を最大で「ユーロ2」まで引き下げた製品の生産を認める方向で検討していることが明らかになった。さらに、そのような規格のガソリンの輸入も認められる可能性がある。アナリストらは、この措置によってナフサを高度な精製工程を経ずにガソリン原料として利用できるようになり、ガソリン供給量が月間数十万t規模で増加すると見ている。一方で、こうした燃料は最新の自動車にとって安全性の面で問題を生じる恐れがある。
政府は2027年7月までの時限措置として、ユーロ2、ユーロ3、ユーロ4規格のガソリンおよびディーゼル燃料の生産・流通を認めることを検討している。ガソリン中のメタノール含有量は3%以下に制限される。また、こうした規格のガソリンについては、ユーラシア経済連合(EAEU)の技術規則への適合を求めずに輸入を認める案も盛り込まれている。
政府は2025年秋にも、一部の製油所に対し、国内市場向けにユーロ3水準のガソリン・ディーゼル燃料の生産を認めていた。この特例は、石油原料加工事業者として登録証を保有する製油所に適用され、新たな高度精製設備の導入に関する協定を締結している製油所なども対象となっていた。
現行の技術規則では、ユーロ5規格のガソリン・ディーゼル燃料の硫黄含有量は1kg当たり10mg以下と定められているのに対し、ユーロ2では500mgまで認められている。また、ユーロ2ガソリンではベンゼン含有量もより高く認められ、ディーゼル燃料では着火性を示すセタン価の基準も引き下げられる(詳細は上掲表参照)。ロシアでは2013年以降、ユーロ2規格燃料の販売は禁止されていた。
燃料市場は5月末以降、石油製品の供給減少を背景に急速に逼迫した。このため、ガソリンスタンドでの価格上昇が進み、多くの地域でガソリンやディーゼル燃料の不足が発生した。複数のガソリンスタンド・チェーンは顧客への販売数量に上限を設けている。Kplerが6月18日に公表したレポートでは、市場関係者の話として、過去3か月間にロシア国内のガソリン在庫が数十万t減少したと指摘している。アナリストらによれば、現在の状況は2025年7~9月に見られた燃料不足とよく似ているという。
プーチン大統領は6月28日に燃料市場に関する会議で、主要製油所はすべて最大能力で稼働しており、中小製油所の能力も総動員し、定期修理期間は短縮、計画修理は延期されていると述べた。また、エネルギー省のデータとして、ガソリン在庫は前年同期比4%減の170万tまで低下したことを明らかにした。
石油業界関係者は、ユーロ3まで基準を緩和しただけでは、高オクタン価ガソリンの供給拡大には十分ではなかった可能性が高いと語った。NEFT Researchの広報部長ドミトリー・プロコフィエフ氏は、決定的な違いは硫黄含有量の基準と製造工程の複雑さにあると説明する。同氏によれば、ユーロ2であればナフサを高度精製せずに直接ガソリン原料として利用できるほか、高品質燃料を製造できない設備も活用できるため、生産工程を大幅に簡略化できる。その結果、ガソリン生産は月間数十万t規模で増加する可能性があり、さらに安価な燃料の輸入余地も広がるという。ただし、それでも失われた供給量を完全に補うことは難しいとの見方を示している。Open Oil Marketのセルゲイ・テレシキン社長も、環境基準の緩和によって、特定の精製設備が停止した場合でも燃料生産への影響を小さくできると指摘する。
一方で、自動車への影響は、環境基準を引き下げた燃料がどの程度大量に流通するかによって左右されるという。プロコフィエフ氏は、現代の多くの自動車にとってユーロ2燃料の使用は安全ではない可能性があると警告する。しかし地方では依然として低品質燃料を前提に設計された車両が多く使われているため、政府は燃料の品質を犠牲にしてでも、物理的な供給量を確保することを優先したとみられるとしている。
燃料市場安定化策の一環として、政府は7月31日まで市場参加者すべてに対するガソリン輸出を禁止しており、さらにディーゼル燃料についても製油所を対象に輸出規制を拡大する可能性がある。また、7月1日から3か月間、取引所で販売すべきガソリンの最低比率は15%から10%へ引き下げられるほか、EAEU域内へのガソリン輸入に対するゼロ関税措置も延長される見通しである。
さらに下院は第3読会で法案を可決し、混合方式で製造された自動車用ガソリンについても製油所が還付型物品税を受けられるようにするとともに、EAEU加盟国や関税同盟域外で生産された燃料について価格調整補助金の算定方法を定めた。
Kplerは、燃料品質基準の引き下げや、ベラルーシ、アゼルバイジャン、中央アジア諸国、インド、トルコなどからの輸入拡大に加え、ロシア政府は政府間協定に基づくガソリン輸出を禁止したり、ガソリンスタンド価格に対する統制を緩和したりする可能性もあると分析している。ただし、価格統制の緩和については9月の選挙を前に実施される可能性は低いとの見方を示している。
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ルカシェンコのアクロバティック外交をどう読むか

こちらの記事が、ベラルーシの最高権力者であるルカシェンコ氏の最近の外交的な動きについて論じており興味深いので、記事の要旨を以下のとおりまとめておく。
ベラルーシの最高権力者ルカシェンコは6月末、まずロシア・ヴァルダイでプーチンと約2日間にわたり非公開協議を行った。初日は4時間半以上に及ぶ一対一会談で、翌日も拡大会合を実施したが、内容はほとんど公表されなかった。ルカシェンコはその直後に中国を訪問し、習近平とも3時間以上会談した。習近平は両国を「鉄の兄弟」と表現し、ルカシェンコも中国を「自宅に帰るようなもの」と評した。
ヴァルダイ会談の中心議題は、ウクライナ情勢だった可能性が高い。ただし、クレムリン報道官ペスコフは、ウクライナ問題を協議したことは認めた一方、「ルカシェンコがモスクワとキーウをつなぐ連絡役なのか」という質問には答えなかった。その理由として、本当に機能する対話ルートは、公になってはいけないと説明している。
興味深いのは、プーチン自身が、将来停戦交渉になれば、ベラルーシを交渉場所・仲介者として利用できると発言したことだ。また、ベラルーシ外務省は、西欧諸国との対話を継続していること、ウィーンなどで複数回協議を行ったことも明らかにしている。つまり、ロシアとも西側ともパイプを維持しようとしているということである。
6月にはゼレンスキーが、ロシア軍設備をベラルーシ領から撤去するよう要求。これに対しルカシェンコは、「我々を戦争に巻き込めば戦争の質は一変する」とする一方、「ウクライナ人とは戦いたくない」と発言した。ヴァルダイ会談について注目されるのは、ベラルーシ参戦の憶測が高まる中で開催されたということである。
専門家ヴァシリー・カシンは、中国訪問は以前から予定されていたもので、今回の緊急情勢とは直接結び付けるべきではないと述べている。中国にとってベラルーシは、欧州向け陸上物流ルート、中国製品のロシア市場への入口として重要であり、今回もその文脈で理解すべきだとしている。
カシンは、もしベラルーシが戦争に直接参加すれば、前線はほぼ倍に伸び、ベラルーシ軍隊も参戦し、戦略施設が攻撃対象となり、場合によっては核兵器使用に至る危険もあると警告する。その一方で、ルカシェンコ自身はエスカレーションを全く望んでいないとの見方を示している。
ヴァルダイ・クラブのアンドレイ・コルトゥノフは、ルカシェンコは外交的な行動範囲を広げたい、ロシアへの依存を多少でも緩和したい、一方で経済面ではロシアからより有利な条件も引き出したい、という複数の目的を同時に追っていると分析している。
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ウクライナのドローン大攻勢を支える「遺産」と「革新」

「ウクライナのドローン大攻勢を支える『遺産』と『革新』」と題するエキスパートトピを書きましたので、よかったらご利用ください。
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ズベルバンクのエコノミストは高金利とルーブル高を問題視

こちらの記事で、ズベルバンクのエコノミストであるA.イサコフ氏が、ロシア経済を取り巻く諸問題に関しインタビューに答えているので、以下発言要旨を整理しておく。
2026年前半にロシアで生じた景気減速は、季節要因や暖冬だけでは説明できない。真因は高金利による金融引き締めにある。特に名目政策金利ではなく実質金利が問題。インフレ率が急速に低下したため、政策金利は多少下がっても実質金利はむしろ上昇し、企業にとって借入コストは非常に高い状態が続いた。
第1四半期に投資の大幅な減少が生じた。原因は、高金利、強いルーブル、利払い負担増、輸入品との競争激化、コストを価格転嫁できない、という悪循環。企業は借金を減らして現金を積み増し、投資を先送りしている。
増税より高金利の影響の方が大きい。2025年の法人税引き上げは、影響はあるが主因ではない。 もし税制変更が主因なら、消費が先に落ちるはずだが、実際には消費、実質賃金は比較的堅調で、落ちているのは、利益、投資、企業マインドであるため、金融政策の影響の方が大きいと言える。
ロシア経済は二極化の状態にある。調子が良いのは消費、小売、サービス、実質賃金で、一方、 悪いのは、建設、輸出産業、鉱業、民間製造業、投資。つまり、半分は悪いが半分はまだ強いので、リセッションとは言えない。
強すぎるルーブルが最大の問題。現在の実質為替レートは2011~12年並みに高い。これでは、輸入品との競争が激化し、民間製造業が育たず、輸出企業が苦しい。
現在の財政ルールは、超過石油収入を外貨、金で積み立てている。これは10~15年前には合理的だったが、現在は役割を終えつつある。そこで、新しい財政ルールを提案したい。それは、準備資産をルーブルだけで保有することだ。つまり、財務省は外貨を買わず、代わりにルーブル建て資産、マネーマーケット、国債などで運用する。そうすれば、運用利回りが上がり、財政運営がシンプルになり、為替市場への介入を中央銀行へ一本化できる。
この制度なら、財務省の外貨売買を気にする必要がなくなるので、中銀はより大胆に利下げできる。すでに現在でも、インフレ率は目標近辺まで下がっているため、利下げ余地は大きい。
市場では赤字拡大が話題だが、これは大きな問題ではない。今年も財政赤字はGDP比約3%程度で、昨年と大差ないため、財政スタンス自体は概ね中立になっている。
長期成長率を、従来の1.5%から、2~2.5%へ引き上げることが可能。その要因は、AI導入による生産性向上、医薬品開発、小売、事務作業、予測能力の改善。2027年以降は、市場予想以上の成長も可能。
中東危機後も、原油市場は以前より頑健になった。ただし、中国などの備蓄積み増し需要から、2026年後半~2027年には需給が引き締まり、Brentは75~80ドル程度で推移すると予想される。
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