ユーラシアリサーチ 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心に旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

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 もう出張からは帰国した(はず)のだけど、出張帰りでバタバタしているところ(のはず)なので、ダメ押しにもう1冊、新刊紹介でしのぐことにする。『地図でスッと頭に入る地経学』(昭文社、2025年)である。先日ご紹介したとおり、私はこれのロシア編にかかわらせていただいたのだけど、「地図でスッと」がシリーズ化されているわけである。地経学は比較的新しい言葉だが、それだけに最近関連書籍が増えてきた気がする。本書の内容は以下のとおり。

 地政学と経済学を融合した「地経学」は、国際関係を理解する新たな視点を提供します。本書では、米中貿易戦争、エネルギー戦略、技術覇権など、経済が国家戦略の武器となる事例を解説。サプライチェーンの変化や経済制裁の影響など、ビジネスにも直結する知識を学べます。市場分析や国際経済の動向を読み解く力を養いたい方に最適な一冊です。複雑な国際情勢を経済の視点からシンプルに理解できる内容となっています。


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 海外出張中もブログが途切れないよう、最近出た本の中から特に気になる(しかしまだ読めてない)本を取り上げるシリーズ。今日は、リー・ネヴィル(著)・村上和久(訳)『ヴィジュアル版 現代の地上戦大全:中東、ウクライナの前線から戦術、将来戦まで』(原書房、2025年)のご紹介。内容は以下のとおり。

21世紀地上戦の全貌から「未来の戦場」まで集大成!
戦争は、時代が変わっても地上戦で決まる
21世紀の地上戦を現在に至るまで詳細に分析、さらに世界の火薬庫――台湾、南シナ海、中東をめぐる「未来の戦場」を予測、ドローンやAIなど最新兵器の情報も満載した集大成!


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 海外出張中もブログが途切れないよう、最近出た本の中から特に気になる(しかしまだ読めてない)本を取り上げるシリーズ。今日は、エドワード・フィッシュマン(著)『チョークポイント アメリカが仕掛ける世界経済戦争の内幕』(日経BP、2025年)のご紹介。ただ、この本はタイトルが誤解を招くかもしれない。チョークポイントと言うと、先日も当ブログで取り上げたように、物流のボトルネックをどうしても意識してしまうが、この本がテーマとしているのは地経学全般である。またアメリカだけでなく、ロシアに関しても詳しい記述が見られる。内容は以下のとおり。

 トランプ関税に代表されるように、米国は自由貿易に背を向け、経済を武器に自国に利益を誘導し始めている。経済面で中国に猛追されているが、米国は巨大な消費市場、インターネットや銀行間決済システム、半導体技術など世界経済の要衝(チョークポイント=相手の経済活動を締め上げ、息の根を止める急所)を押さえており、他国の米国依存を逆手にとって、攻勢を強めている。これに対し、他の大国も自国が強みとするチョークポイントを使って反撃しつつ、他国に依存するチョークポイントをなくそうと競うように動き始めている。今起きているのは、チョークポイントをめぐる世界経済戦争だ。こうした動きは一時的なものではなく、今後も続いていくと見られている。だからこそ、チョークポイントを使った経済戦争の本質をよく理解しておくことが欠かせない。経済兵器は威力も大きいが、それに伴う代償も大きい。乱用すれば、国際社会からの信用を失い孤立するおそれもある。本書は、この経済戦争の時代をいかに読み解き、生き抜くか。その知恵と未来のシナリオを提示する。


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 海外出張中もブログが途切れないよう、最近出た本の中から特に気になる(しかしまだ読めてない)本を取り上げるシリーズ。今日は、出たばかりの、松本祐生子(著)『傷ついた身体と都市:「大祖国戦争」の経験と記憶』(白水社、2026年)のご紹介。内容は以下のとおり。

 「大祖国戦争」と称される第二次大戦時の独ソ戦は、現代ロシアのナショナル・アイデンティティを構成するきわめて大きな要素だ。露宇戦争においても開戦時、プーチン大統領がゼレンスキー政権を「ネオナチ」と名指したのは、その「特別軍事作戦」の正当性を国民の「大祖国戦争」の神話に訴えかけるためであった。「大祖国戦争」の(大文字の)記憶=神話は、戦時からすでに形成されていったものではあるが、しかし、個々人の戦争の経験と記憶は一枚岩のイデオロギーに回収しつくされるものではなく、そもそもそのイデオロギーが形成される過程にもさまざまな政治的・文化的背景があったのは言うまでもない。
 本書は、戦中に870日以上の「包囲」を経験したレニングラード(現サンクト・ペテルブルク)を主たる舞台とし、この街の労働者の身体、レニングラード防衛博物館、そして都市の祝典をとりあげながら、国家の公的な「歴史」からは取りこぼされてしまう人々の「大祖国戦争」に対する「応答」の痕跡を掬いとる試みである。過去に生きた人々の営為に対して歴史研究は何ができるのか─傷ついた都市と傷ついた住民と、その復興=回復の「歴史」。


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 海外出張中もブログが途切れないよう、最近出た本の中から特に気になる(しかしまだ読めてない)本を取り上げるシリーズ。今日は、土屋大洋(著)『海底の覇権争奪 知られざる海底ケーブルの地政学』(日経BP 日本経済新聞出版、2025年)を取り上げてみることにしよう。内容は以下のとおり。

 19世紀半ば以降の電信と大英帝国、20世紀半ば以降のインターネットと米国――。それぞれの時代の国際政治の覇権国は、電気通信ネットワークの発達に深く関与してきた。その重要インフラストラクチャとして200年近くにわたって君臨しているのが、海底ケーブル。その切断はたびたびニュースとなっている。本書は、地政学の観点から海底ケーブルの現代における意義を解明。さまざまな情報の断片を掛け合わせることで知られざる実態に迫る。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さあ、今週も見逃せない曲がある。I’m So Lonesome I Could Cry - B.J. Thomasは、この名歌手にとって初の本格ヒット。オリジナルではなく、もともとはHank Williams1949年に録音したカントリーバラードだったが、BJトーマス版はかなりアレンジを変えてポップ調にしている。

その頃ソ連では
1966年4月8日:ソ連共産党第23回大会が、ソ連共産党中央委員会幹部会を廃止し、ソ連共産党中央委員会政治局を復活させる。同時に、党中央委員会書記長の職も復活。それまで党中央委員会第一書記であったL.ブレジネフが書記長に就任。

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 海外出張中もブログが途切れないよう、最近出た本の中から特に気になる(しかしまだ読めてない)本を取り上げるシリーズ。これは、界隈では話題作だろう。太田就士『ロシア革命の歩き方: ペトログラード・ガイドブック』(パブリブ、2026年)である。個人的にも、世が世なら、この本片手にペテルブルグをそぞろ歩きたいが、そんな日は来るだろうか? 内容は以下のとおり。

サンクトペテルブルクに遺る共産主義革命聖地を巡礼する!
★タヴリーダ宮殿 ペトログラード・ソヴィエト樹立
★冬宮殿 10月革命で臨時政府崩壊
★フィンランド駅 レーニン封印列車で凱旋帰国
★クシェシンスカヤ邸 レーニンがバルコニーから四月テーゼを演説
★スモーリヌイ女学院 ボリシェヴィキの革命司令部
★ネフスキー大通り デモ行進武力衝突の舞台
★巡洋艦アヴローラ 冬宮殿攻撃の合図となった空砲を放った艦
★モイカ宮殿 ラスプーチン暗殺現場
★ツァールスコエセロー ニコライ2世家族居住地
★グランドホテルヨーロッパ 外交官・諜報員の溜まり場
★「戦時下ロシア渡航方法」「革命を目撃した日本人・芦田均」等のコラム


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 昨日から海外出張中であり、旅先ではブログが更新できるか、心許ない。なので、更新が途切れないよう、甚だ簡単な内容ながら、出張期間中の記事をあらかじめ書き溜めて予約しておくことにする。今回は、最近入手した書籍の中で、特に気になっている(しかしまだ読めていない)ものを、1日1冊紹介する。

 まずは、こんな本から始めてみようか。ドミトリー(ディマ)アダムスキー(著)・岡田美保(訳)『ロシアによる「抑止」の技法:戦略文化、 強制、戦争』(芙蓉書房出版、2025年)である。 内容は以下のとおり。

 ロシアは何を抑止し、いかに強制するのか――本書は、その鍵を握る「戦略文化」と「抑止」を正面から解き明かす一冊である。第一章では、戦略文化論と抑止論という二つの分析概念を定義し、研究動向を概観。以後の章で用いる用語と視座を提示し、読者が本書の主張を素早く把握できる設計となっている。
 本書の白眉は、ロシアの「強制」行動の系譜を辿り、その文化的・理念的・歴史的要因を掘り下げることで、ウクライナ戦争の前後を貫く行動の源泉を読み解く点にある。これにより、ロシア的抑止の理論と実践の今後の展開を見通すための思考枠組みが手に入る。
 さらに本書は、核抑止だけでなく、政治エリートから社会・価値観へと広がる「情報抑止」や「あらゆるものの抑止」といった近年の概念を射程に収め、ロシアの「戦略的抑止」を全領域的・ツール横断の発想として捉え直す。戦略環境の不確実性が増す現在、政策・安全保障・国際政治を学ぶ者にとって実務的示唆に富む内容である。
 国際政治・安全保障の基礎を学ぶ大学生から、政策立案に携わる実務家まで。ロシアをめぐる意思決定の「内側」を読み解くための、必携の一冊である。


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 『L&A Network』という物流関係の業界誌があり、このほど発行された2026年4月号で、「世界のチョークポイントが国際間物流に与える影響」という特集が組まれている。私はこの特集号に、「中国~欧州物流の裏技『中欧班列』の現在地」と題するレポートを寄稿した。

 それにしても惜しいと思うのは、この特集が基本的に、現在大問題となっているホルムズ海峡危機の前に企画され、各レポートも対イラン戦争後の状況を取り入れられなかったことであろう。チョークポイントという特集の着眼点は素晴らしかったが、時期的に2ヵ月くらい後ろで、今日の危機を活写できたら、もっと価値の高い特集号になっただろう。


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 このほど昭文社から刊行された『地図でスッと頭に入るロシア』で、私・服部が監修を務めましたので、ご紹介いたします。地理だけでなく、ロシアの様々な基礎知識、政治、宗教、資源と経済、外交および対日関係、文化などが学べるようになっています。ぜひ手に取っていただければ幸いです。電子版もあります。


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CBAM

 鉄鋼関係の調査会社であるGMKが発表したこちらのレポートは、EUの国境炭素調整措置(CBAM)がウクライナの鉄鋼産業とマクロ経済に及ぼす影響を評価し、CBAMがはウクライナの鉄鋼産業に重大な競争上の不利をもたらし、長期的には産業縮小とGDP低下を引き起こす恐れがあると論じている。以下、レポートの要旨をざっとまとめておく。

 ウクライナの鉄鋼業は、サプライチェーンを含めGDPの約7%を占める中核産業であり、輸出主導型の経済構造の柱でもある。しかしロシアの侵攻によって設備投資や脱炭素化プロジェクトが停止し、エネルギー価格の上昇もあって産業の競争力はすでに低下している。このような状況でEUがCBAMを導入したことは、ウクライナの鉄鋼産業にとって重大な追加的負担になる。

 ウクライナの鉄鋼輸出は現在EU市場への依存度が非常に高く、2025年には輸出の約8割がEU向けだった。中国やロシアの鋼材が中東・トルコなどウクライナにとってのこれまでの主力市場で競争力を持つようになったため、EUが事実上唯一の大規模市場になっている。このためEUの環境規制はウクライナ鉄鋼産業の存続を左右する要因となる。

 さらに、ウクライナの鉄鋼生産構造自体がCBAMに対して脆弱である。同国では高炉を中心とした従来型の製鋼プロセス(BF系)が生産の約9割を占めており、電炉主体の生産に比べて炭素排出量が大きい。このためEU域内の電炉メーカーやEAF型の輸出国と比較して、CBAMによる負担が相対的に重くなる。

 制度設計上の問題もある。CBAMでは排出量データが検証されるまで暫定的に「デフォルト値」が使われるが、この値が実際より高く設定されているため、輸入鋼材に過大な負担を課す可能性がある。また検証作業を2026年に実施することが難しいこと(戦時下での監査困難など)も取引不確実性を高める。結果としてEU向け取引ではリスクが輸出側に転嫁される契約形態が増えている。

 EUのCBAMは、2023~2025年が移行期間(報告のみ)で、今年2026年から課金制度が開始された(ただし精算は翌年)。2027年以降に制度が完全に運用されることになっている。

 実際の貿易データを見ると、CBAM導入直後から影響が表れている。2026年初めにはEUの鉄鋼輸入が前年比18%減少し、ウクライナの鉄鋼輸出も14%減少した。特に条鋼では輸出が64%減少するなど打撃が大きく、ウクライナの条鋼メーカーはEU市場から事実上締め出されつつある。一方で熱延鋼板などのフラット製品は、EU市場での価格上昇によってCBAMコストをある程度価格転嫁できるため、影響は比較的小さい。

 将来見通しとしては、CBAM負担は年々増加する仕組みになっているため、影響は時間とともに拡大する。特に2029〜2030年には負担が大きくなり、ウクライナの条鋼やビレット輸出はほぼ停止する可能性がある。また銑鉄輸出も低炭素原料であるHBIとの競争に敗れ、EU市場から押し出される可能性が高い。

 ウクライナのマクロ経済への影響として、CBAMにより2030年までに鉄鋼輸出が大幅に減少し、サプライチェーンを含めGDPが最大2.1%押し下げられると推計される。さらに条鋼生産の高炉など複数の設備が停止し、主要製鉄所が閉鎖される可能性もある。鉄鋼産業は前線に近い東部地域の雇用を支えているため、社会的・安全保障的影響も大きい。

 以上がGMKの報告要旨だった。CBAMそのものを否定するというよりも、ウクライナに対しては特別措置が必要だという主張になっている。戦争により投資が停滞している状況で脱炭素投資を自力で進めることは困難であり、CBAMの適用延期やEUによる脱炭素投資の資金支援が不可欠だとされている。そうした措置がなければ、ウクライナは鉄鋼など輸出産業を失い、外国援助への依存がさらに強まる可能性があると警告している。


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 ロシアのインターネット空間では、銀行のカード決済、送金、現金引き出しができないという大規模な障害が発生したようである。これについて、フォーブス・ロシアがレポートを掲載したところ、当局のお気に召さなかったのか、記事は削除されたようだ。ただ、インターネットアーカイブのこちらのページで読むことは可能なので、以下主な内容をざっとまとめておく。

 ロシアのインターネット空間、いわゆる「ルネット」では、スベルバンク(Sber) をはじめとする銀行の利用者から、カード決済、送金、現金引き出しができないといった大規模な障害について多数の苦情が寄せられていた(その後、銀行側はサービスが復旧したと報告)。発生した大規模な障害の原因は、当局による各種サイトのブロッキング作業であった可能性がある。サイバーセキュリティ業界の関係者2人が 語った。通信業界の関係者の一人は、この問題は「脅威対抗技術手段」の運用によって引き起こされた可能性があると指摘した。もう一人は、これらの脅威対抗システムが「多数のブロック規則」に対応しきれず、負荷に耐えられずに停止している可能性があると付け加えた。Telegramチャンネル Mashは、銀行インフラで使用されているIPアドレスのブロックが今回のルネット障害の原因となった可能性があると報じた。

 利用者はスベルバンクのサービスに大規模な障害が発生したと報告していた。モスクワ、サンクトペテルブルグ、その他の都市や地域の住民から、スベルのカードが決済端末で使えない、モバイルバンキングで送金ができない、SBP(高速決済システム) やQR決済が通らないといった投稿が相次いだ。さらに、現金を引き出せないとの苦情も寄せられた。障害に関する報告は、1時間で5000件を超えた。その後、VTB銀行、Tバンク、アルファ銀行、Ozon銀行 など、他の大手金融機関のサービスにも不具合があるとの報告が寄せられ始めた。スベルバンクの広報は、障害が発生していた事実を認め、その後サービスが復旧したと発表した。一方、VTB銀行、アルファ銀行、Tバンクは、自社システムは通常通り稼働していると説明した。ただしTバンクは、他行の決済ネットワークやATMを利用する際、一部の顧客で「取引が成功しない場合」がある可能性があるとし、その問題は同行のシステム自体とは無関係だと述べた。

 またタス通信は、モスクワの住民の間で地下鉄や近郊列車の運賃を銀行カードで支払えない問題が発生していると報じた。その結果、モスクワ地下鉄の職員は「大規模なシステム障害」を理由に、乗客を無料で改札に通す対応を取った。

 記事はまだまだ続くが、技術的な難しい問題なので、このあたりにしておく。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 21位に魅力的な曲がいたので、これを取り上げたい。Magic Town- The Voguesがそれであり、Barry Mann作曲、Cynthia Weil作詞というブリル・ビルディング系の黄金コンビによる曲になる。理想の街(Magic Town)を探すという、当時の若者文化に多いモチーフ。

その頃ソ連では
1966年4月2日:ソ連とシンガポールが通商協定に調印。

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 昨日は、ロシア最大の石油会社ロスネフチが石油生産量を含め2025年の業績を発表したという話題をお伝えしたが、本日はロシア全体の生産量の話である。

 ロシアでは、こちらに見るように、2023年4月26日付の政府指令により、統計局の公式統計で発表が伏せられる項目に、石油および天然ガス生産量が加わった。当初その措置は2024年3月31日までとされていたが、戦争が長期化したため、1年ごとに延長。そして、こちらに見るとおり、今般出た3月31日付の政府指令により、当該措置は2027月3月31日までと、さらに1年延長されることになった。

 ところで、当該措置は石油と天然ガスの生産量を発表しないとしているのだが、私の認識する限り、実際にはその後も統計局による天然ガス生産量の発表は続いている。


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 国として経済データを公式に開示する度合いが低下しているロシアだが、企業レベルでは意外に緩いのだろうか。ロシア最大手の国営石油企業、ロスネフチの2025年の業績が、こちらのページで発表された。それを紹介したのがこちらの記事である。

 今回の発表によると、2025年のロスネフチの売上高は8兆2,360億ルーブル(前年比18.8%減)、EBITDAは2兆1,730億ルーブル(28.3%減)、純利益は2,930億ルーブル(73.0%減)であった。

 2025年の炭化水素の採掘は2億4,660万標準t(日量502万バレル相当)、うち液体炭化水素(原油とガスコンデンセート)は1億8,110万t(日量369万バレル相当)、ガスが796億立米(日量133万バレル相当)であった。なお、これらの指標の前年比増減率は示されていない。


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 Wedge ONLINEに、「中東危機で現実味を帯びるヘリウム不足…世界資源の4分の1握るロシアには有望な代替供給国になるのか?半導体や医療機器を支える素材の現在地」を寄稿しました。無料でお読みになれますので、ぜひご利用ください。


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 このほど発行された雑誌『外交』(Vol.96 2026 Mar./Apr.)に、「ロシア戦時経済の内実 —『いつ戦費が尽きるか』は愚問である」を寄稿しました。『外交』は一部の記事を無料公開することがありますが、私の論稿がその対象になるのかは不明で、もし公開されたらまた案内します。

 本稿を校了したのが3月初頭、つまりイスラエルと米トランプによるイラン攻撃が始まった直後であり、最終段階で「中東情勢で国際石油価格が上昇する可能性もあるとはいえ、ロシアの石油輸出にも恩恵が及び、歳入増に繋がるかは不透明だ」というくだりをねじ込むのが精一杯だった。それから1ヵ月が経ったが、いまだに先行きは不透明なままである。


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 ロシアがイランで建設を続けてきたブーシェフル原子力発電所の現状、ロシア人関係者の退避につき、こちらおよびこちらの記事が伝えているので、以下要旨をまとめておく。

 ロスアトムのA.リハチョフ総裁によると、イランのブーシェフル原子力発電所の敷地内の状況は悪化し続けており、給水ポンプ場の近くで弾薬が3度目の爆発を起こした。このポンプ場は、原子炉設備を含む施設に水を供給している。「敷地内の状況は悪化し続けている。昨日の夕方、稼働中の第1号発電ユニットの敷地がすでに3度目の攻撃を受けた。弾薬は、2回目の時と同様、原子炉設備にも水を供給しているポンプ場のすぐ近くで爆発した。これが核安全に直接的な脅威を生み出すことは想像に難くない。幸いにも死傷者は出ていない」と彼は述べた。また、ブーシェフル原発からの人員退避の新たな段階が完了し、163人の職員が発電所を離れたと語った。「本日、ブーシェフル原発からの人員退避の新たな段階を完了した。水曜日に発電所を離れた163人の職員はすべてすでにロシアに帰還し、現在それぞれの自宅へ向かっている。全体のプロセスは3日余りで完了し、事故もなく実施された。現在さらに2つのグループの退避を準備している。引き延ばすつもりはない。準備が整い次第、今後数日以内に仲間たちを帰国させる」と彼は述べた。さらに総裁は、発電所に残る最小限必要な要員の人数を現在検討していると述べた。その任務は、敷地内の設備の稼働状態と保全を維持するとともに、職員居住区の機能を維持することだという。「残る人数は数十人になるだろう」と彼は付け加えた。


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 こちらの記事が、ある不動産開発会社がロシア国民を対象に行った調査結果を伝えている。住宅開発会社「白い砂浜」が行ったアンケート調査の結果、ロシア国民のおよそ50%が、退職する前に海辺へ移住してリモートワークをする計画を立てていることが明らかになった。回答者の73%が、山よりも海の方により強く魅力を感じると答えた。またほぼ同程度の72%が、海辺の住宅購入を単なる夢としてではなく、現実的な選択肢として検討している。さらに回答者の47%は、退職前の段階で海辺に移住し、リモートで働くことを計画している。海を選ぶ主な理由として回答者が挙げたのは、温暖な気候(回答者の49%)と、好きなときに泳げること(40%)だった。また回答者の44%は、水辺での生活は常に休暇を過ごしているような感覚をもたらすと考えている。さらに回答者の4分の1は、海辺にアパートを所有し、自ら住みながら収益も得るという形を望んでいる。一方、山については、景観の美しさ、雄大な風景、独特の雰囲気などが評価されているが、山間部の住宅を恒久的な居住地として検討する用意があると答えたのは回答者の28%にとどまった。購入の障害としては、回答者の25%がインフラからの距離を挙げ、22%が道路事情の不便さを指摘した。また約20%は、気圧の問題や頭痛などの健康上の問題を訴えている。

 この記事をぱっと見た時には、ロシア国民の南国ビーチリゾート好きが改めて裏付けられたなという感想だった。しかし、調査を行ったくだんの住宅開発会社「白い砂浜」のことをちょっと調べてみたところ、この会社はウクライナ・ヘルソン州のロシア側占領地であるスカドフスクにおいてリゾートマンションを開発しているところであることが明らかになった。現に、同プロジェクトでは住宅ローンが年利2%という破格の低水準であることを売りにしているが、これはロシア政府が「新領土」を対象に設定している優遇ローンに他ならない。ということは、今回のタス通信の記事自体、ロシア国民の南国ビーチリゾート好きに訴求するような形で、占領地への移住を促進するキャンペーン的な位置付けの記事であると受け取って、それほど的外れではないだろう。


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 ウクライナがドルージバ原油パイプラインの復旧に消極的なことに反発したハンガリーは、ハンガリーからウクライナへの天然ガス輸出を停止する構えを見せている。それに関連して、ウクライナの「経済戦略センター」がFBページ上で上掲のような図を掲載していたので、拝見することにする。2025年にウクライナが輸入した天然ガスの相手国別内訳を示したものである。整理すると以下のとおりとなっている。

  1. ハンガリー:29.4億立米(45.5%)
  2. ポーランド:21.0億立米(32.5%)
  3. スロバキア:13.3億立米(20.6%)
  4. 南ルート1.0億立米(1.5%)

 もっとも、ハンガリーからの輸入が最も多いと言っても、当然ハンガリー産のガスというわけではなく、パイプライン容量が大きくバルカン・トルコ系ガスに接続しているハンガリーから入ってきているという形であり、状況は複雑である。


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 ロシア・ウクライナ情勢が(ついでに中東情勢も)大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、チャート上は30位とすでに下降気味だが、I Fought The Law - Bobby Fuller Fourに注目してみたい。この曲はもともと1960年にThe Cricketsが出したものだったのだが、実はシングルのB面で、それほど話題にはなっていなかった。これを、バディ・ホリーをリスペクトするBobby Fuller Fourが取り上げてヒットしたことで、その後パンク・ガレージロックのアンセムになり、1979年にはThe Clashも取り上げることになるわけである。

その頃ソ連では
1966年3月24~28日:英国外務担当国務大臣チャルフォント卿がソ連を訪問、A.グロムイコ外相と会談。

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 代わり映えがなく、恐縮である。ロシア統計局より2月の鉱工業生産統計が発表されたので、それと使い定番のグラフを更新しお目にかける。

 鉱工業全体と、その二本柱である鉱業および製造業の生産指数を見たのが、上図となる。2025年までは製造業が牽引する形で鉱工業全体が伸びていたが、2026年に入り製造業に急ブレーキがかかり、1~2月には製造業は前年同期比2.9%減を記録した。逆に、マイナスが続いていた鉱業は、今年に入り若干持ち直している。

 製造業が2025年までは伸びていたと言っても、民需や外需向けの一般的な基幹部門をピックアップした下図を見れば、2025年には軒並み落ち込んでおり、2026年に入ってからは不振がより一層明瞭となっている。

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 それでも2025年まで製造業が全体としてプラスだったのは、軍需生産の増産によるものに他ならない。しかし、下図に見るとおり、その軍需関連部門も、今年に入り減産や伸び率の鈍化に直面している。

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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2026年4月号のご案内。今号は「ユーラシアのエネルギー最新トレンド」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今号では私は、「ロシア鉱工業生産の異変 ―外需・民需の崩壊と軍需の限界」、「2025年のウクライナ貿易統計 ―食料輸出減と戦時輸入増で赤字拡大」という短い連載記事のみ書きました。

 在露ジャーナリストの徳山あすかさんによる連載「ロシアメディア最新事情」は今号で終了ということです。日本からは見えにくいロシア社会の「ひだ」の部分を伝えてくれる貴重な情報源だっただけに、残念。

 なお、『ロシアNIS調査月報』は、今号をもって紙の冊子としての印刷は終了し、全面的に電子版に移行する由。


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 ロシアの石炭産業は、採炭量という観点から見れば、上図のとおりウクライナ侵攻後も微減程度となっている。しかし、収益が非常に厳しいという現実を、こちらの記事が伝えているので、以下で記事の主要点をまとめておく。

 エネルギー省のD.イスラモフ次官がこのほど記者団に明らかにしたところによると、ロシアの石炭産業の損失は、現在の不利な市場環境が続いた場合、2026年には前年に比べて41%増加し、5,760億ルーブルに達する可能性がある。この予測は、市場環境、すなわち石炭の輸出価格、ドル為替レート、政策金利が2025年第4四半期の水準にとどまることを前提としている。エネルギー省および国際機関の見通しでは、石炭価格の本格的な上昇は2026年末、もしくは2027年になってようやく始まる。中東での武力衝突は世界の石炭市場において価格のわずかな上昇をもたらしたものの、ロシア企業には恩恵を及ぼしていない。逆に、石油製品価格が上昇し、船舶燃料の価格を押し上げ、その結果として海上運賃の急騰を招いている。

 ロシア統計局によれば、2025年の石炭産業の純損失は4,080億ルーブルで、前年の3.6倍に達した(下図参照)。

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 イスラモフ次官によると、赤字企業の数が急速に増えている。現在、62のロシアの石炭企業が「レッドゾーン」にあり、そのうち20社が採掘を停止している。さらにその中の14社は、操業の休止または清算を決定した。石炭産業の債務(買掛債務)は1.5兆ルーブルを超えた。その一方で、多くの企業が政府支援として、鉱物資源採掘税および社会保険料の支払い猶予を受けている。具体的には、138社が支払い猶予を受けており、これらの企業で国内石炭生産の約90%を占めているという。これらの支払いに関する未払い額は、3月1日時点で約660億ルーブルに達していた。これらの資金が企業の手元に残ったことで、企業は流動性を高め、運転資金を維持することができた。対ロシア制裁のもとで、またそれに伴う物流や決済の複雑化により、企業は輸出した石炭の代金をすぐには受け取れない状況にある。ロシア石炭産業における赤字企業の割合は下図のとおりとなっている。

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 ロシア政府の広報は3月24日、ロシア石炭産業の企業に対する支援措置の期限を延長したと発表した。これに関する政令は3月20日にミハイル・ミシュスチン首相が署名した。鉱物資源採掘税および社会保険料の支払い猶予は、2026年4月30日まで有効となる。さらに分割払いも認められており、企業は2026年5月から11月末までの期間、毎月均等に分割して未払い額を返済することができる。石炭企業への支援措置は、プーチン大統領の指示に基づき、政府が2025年6月に導入した。支払い猶予は2025年6月1日から適用されている。当初は2025年11月30日までの措置とされていたが、その後12月に2026年2月28日まで延長されていた。


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 イラン情勢による資源パニックが石油・ガス以外にも広がる中で、憂慮されている資源の一つがヘリウムである。では、ロシアの地歩はどうなのかと関心を抱いたところ、折よくこちらの記事で最新の生産動向が伝えられた。これによると、2025年のロシアのヘリウム生産量は1,730万立米で、前年比32%増だったということである。2022~2024年の生産量はこちらの記事に出ていたので、両者を合わせ上掲のグラフを作成してみた。

 グラフを見ると、右肩上がりで急上昇しているが、実はこの生産動向は事故による紆余曲折と結び付いている。2025年の時点で、ロシアのヘリウム生産の95%は、アムール・ガス加工工場一箇所に集中している。そして、同工場では2021年6月に稼働開始したものの、10月に火災が、2022年1月には爆発・火災が起き、ヘリウム生産がいったんゼロになった。本来であればもっと早く生産拡大が実現したはずなのだが、2025年にかけてようやく段階的に増産が進んできたというのが真相のようである。


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 石油収入が低迷を続けていることを受け、2月25日にA.シルアノフ蔵相は2025年の連邦予算を修正する方針を明らかにした。しかし、その3日後にイスラエルと米国によるイラン攻撃が始まり、石油価格が急騰。しばらく連邦予算の修正に関する続報がロシア政府から伝わってこなかったが、最新のこちらの記事によると、どうもロシア政府は当面修正を見合わせることにしたようである。

 記事によると、イラン戦争によって引き起こされた原油価格の急騰により、ロシア政府は長期的な財政準備を増強する計画を先送りすることが可能になった。3人の関係者がロイターに語ったところによれば、これにより短期的な財政への圧力が和らいでいる。イランで戦争が始まる前、ロシアはより多くの石油収入を準備基金に回すことを目指し、いわゆる「カットオフ価格」を引き下げる計画を検討していた。また、予算支出の削減についても議論されていた。政府はこのカットオフ価格の変更を当面延期する見通しだ。また、支出削減の必要性についても疑問が生じているという。


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 ちょっと紹介が遅くなったが、ロシア統計局より2月のインフレ率(消費者物価上昇率)が発表されたので、定番のグラフを更新してお目にかける。毎度申し上げるように、ウクライナ侵攻後の物価変動を跡付けるのが目的であり、戦争が長期化するにつれグラフもどんどん横長になってしまっているので、クリック・タップし拡大してご利用を。

 さて、2月のロシアの消費者物価は、前月比0.73%増、前年末比2.36%増、前年同月比5.91%増だった。2月の前月比を部門別に見ると、食料品が0.84%増、非食料商品が0.28%増、サービスが1.10%増と、引き続きサービスの値上がりが大きい。ただ、前月と異なり、2月は住宅・光熱費などの値上がりは目立たず、主に上がったのは交通運賃や旅行料金(特に外国旅行)であった。

 なお、一部でロシア経済崩壊の兆候(!?)として注目されたキュウリに関して言うと、2月の価格は前月比7.9%増であり、高いことは間違いない。ただ、鶏卵の値上がりが9.3%で、そちらの方が大きかった。いずれにしても、ロシアでは生鮮食品は季節的要因がきわめて大きいので、月単位の上下動で一喜一憂すべきではない。

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 以前も少し触れたが、イラン情勢は石油・ガスだけでなく、その他のコモディティ市況にも影響する可能性があり、特にアルミニウムへの影響が小さくないと考えられる。こちらの記事でロシアの専門家2名が見解を示しているので、以下紹介する。

 投資ファンド「インドゥストリアリヌイ・コード」の運用責任者顧問M.シャポシニコフによると、エネルギー価格の上昇とペルシャ湾地域の生産者の問題により、2026年の世界のアルミニウム生産は最終的に300万~400万t程度不足する可能性がある。2026年のアルミニウム需要は、世界的な景気後退の可能性により150万~200万t減少するかもしれない。それでも、ペルシャ湾地域の生産者が抱える問題や、エネルギー価格の上昇に伴う電力料金の上昇の影響により、世界の生産量はおそらく300万~400万t不足することになる。また、2026年のアルミニウム価格は年末時点で1t当たり3,100~3,200ドルになると、シャポシニコフは予想する。

 一方、アルファ銀行証券市場分析部門の責任者B.クラスノジェノフによると、ペルシャ湾岸諸国からの供給が大幅に制限されるとの見方は誇張されている可能性がある。湾岸諸国は、世界の一次アルミニウム生産の約8%を占めているだけだ。バーレーンのアルミ企業ALBAの生産設備が深刻な損傷を受けたという情報は確認されていない。依然として最大のプレーヤーは中国であり、世界のアルミニウム消費と生産の約3分の2が中国に集中している。中国はアルミニウムの純輸出国であり、アルミ半製品の大きな在庫も抱えている。アルミニウム消費の増加が見られるのは中国のみであり、中国は生産能力を迅速に拡大することができる。また、中国は先進的な電解槽技術を使用しており、それは他国の競合企業の技術よりも数世代先を行っていると、クラスノジェノフは強調する。

 以上が、ロシア専門家2名の見解であった。できればロシアのアルミ産業への影響についても論じてほしかったが、その点の言及はなし。


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 調べものをしていて、ロシアの工場について調べるのに便利なサイトを見付けた。ЗАВОДЫ.РФというのがそれである。ただ、「サイトについて」というページを見ても、運営主体についての情報がなく、公的なものか私的なものかも良く分からない。

 まあ、日本にとりロシアは敵国になってしまったので、昔のように日本企業のパートナーを探せ!ということにはならないが、私はもともとロシアの経済地理のことを研究していたので、「この街にはどんな工場がある」といった情報収集には役立ちそうである。

 意外と重宝しそうなのが、企業グループについての情報である。上の画像は国家コーポレーション「ロステク」の傘下企業を地図上に表示した状態であり、国防企業がどのように分布しているかといったことを調べるのに使えそうだ。


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 このほど、こんな本が出ることになった。照井希衣著『ベラルーシ獄中留学記』(小学館)というものである。

 旧ソ連での撮り鉄活動に傾倒した「私」は、2024年12月、新たな”被写体”を求め、ヨーロッパ最後の独裁国家・ベラルーシへ向かった。撮り鉄活動は警察沙汰になってしまう。取り調べのさなか、迷惑をかけまいと友人との連絡を隠そうとしたことが仇となり、「私」は拘束され、そして投獄された。孤独の中、獄中でロシア語を学びながら「私」は考える。自身の性同一性障害のこと、父親との関係、そして人生について―― 200 日にわたる獄中”留学”記。ノンフィクション・エッセイです。

 ここだけの話だが、私はこの本の監修を引き受けた。ただ、編集側より、名前を出しても、出さなくてもいいと言われたので、熟慮の末、出さないことにした。もうベラルーシには10年以上行けていないが、もしかしたら、私自身そのうちベラルーシ渡航を試みる機会もあるかもしれない。その時に、この本の監修者として名が刻まれていたら、入国を拒否されたり現地で嫌がらせを受けるリスクはいくばくかでも高まるだろう。最初はそうしたことも含め「覚悟」をして監修を引き受けたつもりだったが、名前を出さなくてもいいというのであれば、ここは実利的に対応しておこうかと、最終的に判断した。

 著者の照井希衣さんは「海外撮り鉄」であり、旧ソ連圏自体には必ずしも詳しいわけではない。というか、現地事情を知らない著者が、投獄という逆境を逆手に取り、獄中でベラルーシという国やロシア語を学んでいくというのが、この本のストーリーである。

 そうでありながら、この本は旧ソ連圏に精通した皆さんにとっても、興味深く読め、学ぶところが多いだろう。今日、ロシアやベラルーシに渡航すること自体は難しくなく、実際に普通に行って何のトラブルもなく帰ってこられる人が大半だろう。しかし、本人も気付かぬうちに、実は塀の上を歩くきわどい状況になっていることがある。そして、ちょっと足を踏み外しただけで、塀の向こう側に転げ落ちてしまう。日本人にありがちな性善説的な発想で、「鉄道を撮って見付かれば多少は怒られたりするかもしれないが、趣味で撮っていることを説明すれば許してくれるはずだ」などとタカをくくるのは、禁物だ。現地当局は、少しでも疑うべき点があれば、徹底的に取り締まろうとする。そして、いったんその餌食になれば、先方にとっては貴重な外交カード、「飯のタネ」に化ける、というわけである。この恐ろしいメカニズムを、実際の体験者が綴ったのが、本書である。


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