ユーラシアリサーチ 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心に旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、今週1位に立ったのが、Monday, Monday - Mamas & the Papasである。前作California Dreamin’が売れるのにかなり時間がかかったのに対し、このMonday, Mondayは瞬く間にチャートを駆け上がった。最初からシングルとして作られた曲ではなく、アルバム『If You Can Believe Your Eyes and Ears 』に収録されていた曲だった。California Dreamin’の成功を見て、レーベルのDunhill Recordsは「アルバムからもう1曲シングルを切る」と判断し、そこで選ばれたMonday, Mondayが大成功を収めたという経緯だった。

その頃ソ連では
1966年5月3~10日:英国通商担当国務大臣R・メイソン氏がソ連を訪問。

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 こちらの記事が、イラン情勢で、ロシア連邦予算の石油・ガス歳入がどう影響を受けているかを伝えているので、以下抄訳しておく。

 ロシア財務省が5月6日に発表した資料によれば、2026年4月のロシア連邦財政の石油・ガス歳入は前月比38.7%増の8,556億ルーブルとなった(上掲グラフ参照)。年初以来、追加的な石油・ガス歳入がプラス圏に転じたのは初めてである。基準額8,346億ルーブルに対し、追加歳入は210億ルーブルとなった。3月には歳入が2,343億ルーブル不足していた。A.シルアノフ財務相は5月初旬、好調な市場環境により国庫には約2,000億ルーブルの追加歳入が入る見込みだと述べていた。「追加的な石油・ガス歳入を期待している。ただし、この2カ月間の増収・減収の水準はほぼ同程度だ。規模としては約2,000億ルーブルである」と同相は語っていた。

 石油・ガス歳入は基準額からの乖離があるものの、年初以来、月ごとに増加している。1月は3,933億ルーブル、2月は4,323億ルーブル、3月は6,170億ルーブルだった。ただし、2026年4月の数値は前年同月比ではなお21.2%低い。2025年4月の石油・ガス歳入は1兆860億ルーブルであった。

 4月の増収は、3月分の石油・ガス採掘税収によってもたらされた。価格が上昇した背景には、米国とイランの対立激化およびその後のホルムズ海峡封鎖がある。その結果、ロシア産原油やLNG、アルミニウムなど各種資源商品の価格が大幅に上昇した。ウラル原油の平均価格は2月には1バレル44.6ドルだったが、3月には77ドルに上昇した。

 これにより、鉱物資源採掘税による歳入は倍増し、前月の4,430億ルーブルから9,168億ルーブルに達した。この数字は、2025年4月の7,690億ルーブルを19.2%上回る。また、炭化水素採掘に対する追加所得税歳入は3月の1,915億ルーブルから2,600億ルーブルに増加した。輸出関税歳入も、前月の366億ルーブルから562億ルーブルに拡大した。

 もっとも、石油企業への支払い増加が、こうした増収効果を一部相殺した。4月には、国内燃料価格抑制のための「ダンパー制度」に基づき、石油企業は2,075億ルーブルを国から受け取った。一方、3月には逆に150億ルーブル、2月には188億ルーブルを企業側が国庫に支払っていた。ダンパー制度は、輸出の方が国内供給より有利になった際に、国内燃料価格を抑制するため石油会社に補助金を支給する仕組みである。逆に価格差がマイナスの場合には、石油企業が国庫へ支払う。また、石油原料に対する「逆物品税」も、3月の616億ルーブルから1,518億ルーブルへと増加した。

 ロシア財務省は5月8日から6月4日にかけ、2026年3月および4月分の繰り延べ取引を考慮したうえで、1,103億ルーブルを外貨および金の購入に充てる計画である。1日当たりの取引額は58億ルーブルとなる。財務省は2026年3月、予算法における基準原油価格パラメータ変更を予定していることを理由に、2026年7月1日まで財政ルールに基づく取引の実施を停止していた。しかし、4月17日にシルアノフ蔵相は、「状況変化に応じて、より柔軟である必要がある」と述べ、より早期に取引を再開する可能性を示唆した。

 ロシア財務省によれば、2026年4月の国民福祉基金の残高は2,006億ルーブル減少し、13.2兆ルーブルとなった。うち流動資産は3.6兆ルーブルである。前月には1,350億ルーブル、2月には905億ルーブル縮小していた。一方、2026年1月と2025年12月には、それぞれ2,241億ルーブル、1,560億ルーブル増加していた。財務省は、財政ルールで定められた基準価格を超える原油売却歳入を基金に積み立てている。2026年のウラル原油の基準価格は1バレル59ドルであり、歳入がこれを下回る場合には、財務省が外貨や金を売却する。

 専門家のD.カサトキンによれば、4月の石油・ガス歳入が3月比で増加したのは、第1四半期分の追加所得税の四半期納付と、3月の原油価格上昇が鉱物資源採掘税に反映され始めたためである。また、前年同月比21.2%減という数字は、必ずしも税収基盤の弱体化を意味しないという。追加所得税を除外すると、2026年4月の歳入は約5,960億ルーブルであり、2025年4月の約5,970億ルーブルとほぼ同水準で、基礎的部分は実質的に前年レベルに回復しているとカサトキンは指摘する。

 別の専門家のS.テレシキンによれば、石油・ガス歳入増加の主因は石油の鉱物資源採掘税歳入であり、2026年3月の3,270億ルーブルから4月には7,710億ルーブルへと2倍以上に増えた。また、天然ガスおよびガスコンデンセート向け同税も、同期間に合計290億ルーブル増加し、1,450億ルーブルとなった。もっとも、ダンパー制度や逆物品税による逆方向の支払いが、外部環境改善による恩恵を一部相殺したことも確認されている。2026年3月にはダンパー、逆物品税、投資加算分の支払い総額は550億ルーブルだったが、4月には3,780億ルーブルに達したという。

 さらに、追加所得税歳入が前年4月の4,892億ルーブルから2026年には2,597億ルーブルへ減少したのは、この税がルーブル建て利益に依存しているためである。ルーブル高、第1四半期におけるUrals価格のドル建てベースの弱さ、収益性低下への敏感さが、税収減少を招いた。

 カサトキンによれば、現在の市場環境は予算にとってむしろ好ましい。ペルシャ湾からの供給途絶リスクを背景に原油価格が上昇し、Uralsのディスカウント幅も縮小している。また、インドと中国の需要がロシア産輸出を支えている。天然ガスについては効果は限定的で、価格上昇は全体的な追い風にはなっているものの、現時点で予算への主要な恩恵は石油経由でもたらされているという。

 中東情勢によって、年間ベースの石油・ガス歳入不足を完全に埋め合わせることは難しいが、大幅に縮小することは十分可能だとカサトキンはみている。ただし、1~4月ですでに大きな遅れが蓄積しており、完全な回復には一時的な価格高騰ではなく、Urals価格が1バレル80ドル超で長期間維持されること、さらにルーブル安が必要だという。また、予算上限シナリオを実現するには、高値の原油に加え、現在よりも高い為替レート、そして金利低下による新規油井開発コストの軽減が必要だと述べる。

 カサトキンは、5月の石油・ガス歳入は9,500億~1.1兆ルーブルになると予想している。4月分の鉱物資源採掘税は、中東危機を背景としたより高い価格を基に計算されるため、5月の歳入は年初以来初めて2025年5月の水準に並ぶか、あるいはやや上回る可能性があるという。テレシキンも、5月の炭化水素関連歳入は4月を上回るとの見方で一致している。4月のUrals課税価格は3月の77ドルに対し95ドルへ上昇していたためである。ただし同氏は、現在の市場はすでに米国とイランの和平合意の影響を受け始めており、それがBrent価格の上昇を抑制しているとも指摘した。


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 Wedge ONLINEに「多重苦にあえぐロシア・サッカー、世界基準のサッカー専用スタジアムを建設しても、国民のサッカーへの関心度はいかに?」を寄稿しました。無料でお読みになれます。


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 ウォールストリートジャーナルのこちらの記事は、米国がロシアやイランへの「デュアルユース(民生・軍民両用)」製品の流入を阻止できずにいる現状、とりわけ中国企業が果たしている役割について論じている。以下、要旨をまとめておく。

 記事によると、2025年3月、米軍とイスラエル軍がイランを攻撃していた最中、中国・厦門(Xiamen)の企業「Victory Technology」が、イラン向けにドローン用エンジンを売り込むメールを送っていた。同社が扱っていたのは、ドイツ設計のLimbach L550エンジンで、これはイランの自爆型ドローン「シャヘド136」に使用されている重要部品である。ロシアも同型ドローンをウクライナ戦争で大量使用しており、米国は同エンジンのロシア・イラン向け輸出を禁じているのだが、中国企業はかなり公然と販売活動を行っている。

 中国企業はエンジン、半導体、光ファイバーケーブル、ジャイロ装置、リチウムイオン電池など、多様な軍民両用品をロシアやイランへ大量輸出している。以前は制裁回避のために貨物名を偽装していたケースも多かったものの、最近では隠そうとすらしない例が増えている。

 特に問題視されるのがドローン戦争である。冷戦期には核兵器や弾道ミサイルの拡散防止が中心課題だったが、現在のドローンは比較的低価格で、市販部品を組み合わせて製造できるため、追跡や規制が難しい。さらに、中国が西側製部品の「中継地」となってきただけでなく、最近では中国国内で類似部品そのものが生産されるようになり、小規模企業が制裁を恐れず供給している。

 また、香港のペーパーカンパニーを利用した調達ネットワークも存在する。米財務省はイラン系業者ハメド・デフガーン関連企業に制裁を科したが、翌年には別の香港企業群が新たなフロント企業として登場し、いたちごっこが続いている。中国政府は「法令に従って輸出管理を行っている」と主張しているが、元米財務省高官らは、中国当局は実質的に見て見ぬふりをしていると批判する。

 さらに、2024~25年にはロシア向け光ファイバーケーブル輸出が急増した(上掲グラフ参照)。これは、ロシア軍が有線式FPVドローンを活用してウクライナ軍の妨害を回避したことと関係しているとみられる。ロシア国内工場が攻撃された後、中国からの輸出はさらに拡大した。リチウムイオン電池輸出も同様に増えており、軍用ドローン生産との関連が濃厚である。

 米国の狙いは完全阻止ではなく、ロシアとイランの調達コストを引き上げることにある。質の低い中国製部品を使わせることで性能低下を招き、一部のロシア製シャヘド型ドローンが墜落しているとの報告もある。ただし、現代戦では「高性能少数」より「低性能多数」が有利な場合もあり、米側も「100機の短時間飛行ドローンと、50機の高性能ドローンのどちらが脅威か」という難しい問題に直面している。


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 何度か言っていることだが、ロシアでバター、キュウリ、ガソリンなどの品薄や高騰が生じると、欧米や(それを拝借した)日本のマスコミで、「すわっ、ロシア経済ついに崩壊か」といった感じで大袈裟に取り上げられることが多い。しかし、それらは往々にして一時的・季節的な現象だったりする。むろん、ロシア経済が危機的な様相を見せ始めているのはそのとおりだし、将来的に重いツケを支払うことになると個人的には思っているが、局所的な現象を捉えてロシア経済の全面崩壊が間近に迫っているかのように早合点しない方がいい。

 欧米や日本のマスコミ報道は、特定商品の需給に問題が生じた時には大きく取り上げるが、その問題が沈静化すると、それ以上のフォローアップはしないのが常である。まあ、読者は「ロシア国民は侵攻を受け入れた罰を受けている。ロシアは経済がガタガタで、もう長く侵攻を続けられない」という物語を読みたいものなので、そういう対応になるのは仕方がない。ただ、私は「ロシアが実際にどうあるか」ということにしか興味がないので、時流にはそぐわないひねくれた情報発信を続けているわけである。

 さて、本日は卵について触れたい。卵は、ロシアがウクライナ侵攻を始め、割と早くに需給が不安定化した品目である。2023年末から2024年初頭にかけて問題が持ち上がり、政府は緊急輸入などに追われた。

 こちらの記事によると、ロシア農業省はこのほど、ロシアにおける鶏卵の生産増加により、国内市場の需要を完全に満たすとともに、輸出の拡大も可能になっていると発表した。同省によれば、2026年もロシアの養鶏場は生産拡大を続けており、2026年1~3月に農業組織で生産された鶏卵は100億個を超え、前年同期比3.2%増加した。生産の増加により、国内市場の需要を完全に満たすとともに、輸出の拡大が可能になっている。輸出は企業にとって重要な販路であり、追加的な収益源でもあるため、養鶏業の経済を支え、投資能力を高める。2026年第1四半期のロシアの生鮮鶏卵輸出は暫定で、数量ベースで10%、金額ベースで21%増加している。また同省は、社会的に重要な食品である鶏卵を含め、国内市場への安定供給の問題について、業界団体、生産者、小売チェーン、関係省庁と常時連携していると強調した。養鶏業者支援については、ロシア農業省は産業・商業省、連邦反独占庁、経済発展省および下院議員らとともに、食品供給における長期契約の義務的割合を定める法案の検討を引き続き進めている。養鶏企業の収益性を維持するため、短期および投資向けの優遇融資などを含む一連の国家支援措置が講じられている。

 なお、こちらの記事によると、2026年1~3月の鶏卵の主な輸出先は、モンゴル190万ドル、UAE170万ドル、カザフスタン100万ドル、アブハジア70万ドル、キルギス30万ドルなどとなっている。


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 初耳だったが、グループ7/89という調査会社の業界団体があるそうで、こちらの記事によると、その団体がロシアの成人市民2,042名を対象に本年2~3月に、ロシアから撤退した西側ブランドに関する意識調査を実施したということである。以下、記事の要点をまとめておく。

 記事によると、回答者の56%は1つ以上の分野での西側企業の復帰を望んでいる。逆に、まったく望んでいないという回答者は27%だった。17%は無回答だった。

 上掲グラフに見る通り、最も大きく復帰が望まれているのは西側の自動車メーカーで、41%だった。以下、映画・音楽・コンピュータゲームの分野が28%、ソフトウェア企業が27%、家具・建材メーカーが25%、食品・飲料メーカーが23%、化粧品メーカーが22%などと続いた(複数回答可能)。

 下図に見る通り、回答者の年齢が若いほど、撤退したブランドのロシア復帰を望む人の割合が高い。例えば、18~29歳の層ではその割合が84%に達する一方、60歳以上では38%にとどまる。また、男女ともに、西側企業のロシア復帰を望む割合はほぼ同程度(男性55%、女性57%)である。ただし、復帰を望まないとする割合は男性の方が高く(32%)、同様の見解を持つ女性は23%にとどまる。さらに、居住地の規模が大きいほど、住民がロシア市場に西側メーカーが再び参入することを望む傾向が強い。

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 社会調査基金のディレクターであるV.ズヴォノフスキーは、特定の製品カテゴリーを懐かしむ人々は、通常、他のブランドの復帰も同時に望む傾向があると指摘する。彼によれば、これは個別的な不足というよりも、西側ビジネスの存在そのものに対する包括的な需要を示している。最も大きな打撃が感じられたのは自動車市場であり、他の分野における西側製品への需要はそれほど強くはない。また、西側製品の消費経験が豊富な層ほど、その復帰を支持する傾向が強い。若年層の回答者は、企業撤退という決定に対して相対的に否定的である。加えて、農村部の人々は情報量の少なさや消費水準の低さから、西側の消費市場から最も切り離された存在になっていると、ズヴォノフスキーは指摘する。

 ロシア政府付属金融大学のA.サフォノフ教授によれば、西側ブランドの撤退の影響は、まず第一に比較的高所得の大都市住民にとって顕著である。これに対し、西側企業が撤退する以前から主に低価格帯の商品を利用してきた平均的な家庭の日常生活には、大きな変化はなかった。また、西側自動車ブランドの復帰に対する高い需要は、輸入代替をめぐるいくつかの重要な問題が消費に影響を及ぼしていることと関係している。具体的には、信頼性や使用性能、部品やサービスの入手可能性、そして価格といった点である。西側車の価格は賃金の伸びを上回って上昇した。資金さえあれば購入自体は依然として可能だが、物流、並行輸入、リサイクル税(廃車税)の影響で、そのプロセスはより複雑になった。したがって、問題は物理的な不足ではなく、入手の難易度とコストの上昇にあると、サフォノフは結論づけた。


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 田畑伸一郎(編著)『ロシア北極域経済の変動 ―サハ共和国の資源・環境・社会』(北海道大学出版会、2025年)で、私は「ダイヤモンド:制裁で交錯するグローバルとローカル」という章を書いたのだが、同書が世に出てから1年余りが経った。その後もロシアのダイヤモンド採掘をほぼ独占するアルロサ社のことは気になっているのだが、このほどこちらの記事が制裁等で経営状況が厳しくなってきていることを伝えたので、以下抄訳しておく。

 世界最大のダイヤモンド生産企業である「アルロサ」は、7月1日に予定されていた従業員給与の恒例の物価連動の賃上げを延期すると発表した。理由として、同社は業界における「前例のない危機」、売上の落ち込み、そして人件費の最適化の必要性を挙げている。副社長兼人事部長のO.マカロヴァが、「通常、当社は7月1日から物価連動の賃上げを実施してきたが、残念ながら今回はその時期に実施することができず、延期せざるを得ない。この問題は一連の最適化措置の中で最も敏感なもの」と発言した。

 実際、アルロサの財務指標は芳しいものではない。2025年の売上高は2,411億ルーブルとほぼ横ばいだった一方、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は26%減の578億ルーブルへと急落した。この結果、同指標に基づく利益率は、販売価格の下落とコスト上昇を背景に、33%から25%へと低下した。

 危機の要因としては、第1に、制裁圧力がある。西側の制裁により、アルロサは主要市場から締め出された。アジア市場へのシフトも進めているが、ディスカウント販売や物流コストの増大を伴っている。第2に、世界需要の低迷がある。世界のダイヤモンド市場は、循環的ショックと構造的ショックの双方に直面している。前者はインドでの在庫過剰や中国での需要減退に起因し、後者は合成ダイヤモンドの人気上昇や若年層の消費嗜好の変化に関連している。2026年初時点で、1カラットダイヤモンドの価格指数は、2025年同時期と比べて10%下落している。第3に、ルーブル高がある。輸出企業である「アルロサ」は為替レートの影響を受けやすく、ルーブル高は輸出契約から得られるルーブル建て収入を減少させる。第4に、在庫の問題がある。アルロサは依然として「在庫積み上げ型」の操業を続けており、ダイヤモンドの生産量(2,970万カラット)が販売量を上回っている。在庫は1,485億ルーブル分に達し、これは同社時価総額の約49%に相当する。

 問題の深刻さは株価の動きにも表れている。2026年4月末時点で、モスクワ証券取引所におけるアルロサの株価は1株30ルーブルを下回り、過去12年間で最低水準を更新した。2021年9月のピーク時(約154ルーブル)からは、時価総額が80%減少している。

 「売上を増やすことができない」状況の下で、同社は雇用維持のために、コスト削減を余儀なくされている。具体的には、賃上げの延期、高度技能・人材不足分野における賃率や時給の個別見直しのための追加資金の見送り、トップマネジメントの人件費および人数、さらに専門職・事務職の削減を決めている。

 もっとも、厳しい状況の中でも、経営陣や一部アナリストは回復の可能性を見ている。最大の期待は、世界市場でのダイヤモンド不足の発生にある。アルロサの企業財務部門責任者S.タヒエフによれば、2022~2023年に積み上がった在庫は、毎年1,500万~2,000万カラットのペースで減少している。すべての宝石における供給不足は、早ければ2026年末にも生じる可能性がある。特に大型のダイヤモンドや宝石ではすでに価格回復の兆しが見られる一方、中小サイズでは動きがまちまちである。

 マカロヴァは、経営陣が状況を継続的にモニタリングしており、市場の持続的回復の兆しが現れ次第、賃上げの問題を再検討すると約束した。また、2026年予算には引き続き四半期および年次のボーナスが盛り込まれている。

 さらに前向きな材料として、アナリストは2025年分の配当として1株あたり2.5ルーブルの支払いが行われる可能性を指摘しており、これは現在の株価水準に対して約6.2%の配当利回りに相当する。


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 ロシアが「南北輸送回廊」と称すると、それは普通、ペテルブルグ~モスクワ方面からカスピ海エリアを通りイラン領を抜けインド洋に達する輸送ルートを意味する。しかし、北東アジアにおいても、やはり南北の輸送回廊が構想されており、それは中国からサハ共和国を通って北極海に出るルート案ということらしい。こちらの記事がそれについて報じているので、以下抄訳しておく。なお、上掲地図は記事とは関係ないが、地理的なイメージを掴みやすいようにこちらから拝借した。

 中国企業は、サハ共和国を経由して北極域へと至る「南北」の国際輸送回廊プロジェクトに関心を示している。共和国のA.ニコラエフ首長が明らかにした。プロジェクトはすでに実行段階に移行しており、サハ共和国ではモヘ~ナイバ区間の整備が始まっている。計画が実現すれば、サハは大きな変化を迎えることになるだろう。そして同時に、アジアと欧州を結ぶ貨物輸送システム全体にも影響が及ぶ。

 このルートは、鉄道・河川・海上輸送を組み合わせた複合輸送(マルチモーダル輸送)を想定している。第1段階では、中国からの貨物が鉄道でジャリンダ~モヘの国境通過地点まで運ばれる。その後、ヤクーツク近郊のニジニベスチャフまで輸送され、そこで河川輸送に積み替えられ、ナイバの海港まで運ばれる。最終段階では海上輸送に切り替えられ、西方へ、北極海航路などを経由して輸送される。

 このプロジェクトを実現するためには、大規模なインフラ整備が必要となる。具体的には、アムール川を渡る鉄道橋の建設、中国との国境通過拠点の整備、スコヴォロジノ~レイノヴォ鉄道の近代化、さらにニジニベスチャフ~ティクシ間の新線建設などが挙げられる。これらはいずれも、より広範な北極海横断輸送回廊構想の一部である。

 このルートが重要とされる最大の理由は、距離を大幅に短縮できる点にある。北極海航路は、欧州とアジアを結ぶ最短の海上ルートである。スエズ運河経由では輸送に38~38日を要するのに対し、北極海航路ではわずか19~20日で済む。ほぼ半分である。

 ロスアトムのA.リハチョフ総裁によれば、中国側パートナーはすでにこのルートの「魅力を味わい始めている」。昨夏のパイロットプロジェクトは、現在では継続的な商業輸送へと発展している。

 ルートの要となるレナ川も、大きな潜在力を持つ。専門家の試算では、その物理的輸送能力は航行期間中に1,000万~1,500万tに達しうるとされる。ソ連時代には2,000万tという予測もあった。比較として、2024年のレナ川流域での輸送量は290万tにとどまっている。

 しかし、こうした野心的な計画には厳しい制約も存在する。第1に、航行期間の短さである。北極は決して好条件の環境ではなく、輸送可能な期間は限られている。多くの区間で通年運用の能力が整っていない現状では、大規模化には疑問が残る。第2に、輸入技術への依存である。ポンプや制御システム、砕氷設備など、多くの重要部品はいまだに海外からの調達に依存している。国産化は進められているものの、その進展は遅い。

 北極域におけるいかなるプロジェクトも、必然的にコストが高くなる。物流費の上昇、並行輸入の必要性によるサプライチェーンの複雑化、建設期間の長期化、これらすべてが運用コストの増大につながる。さらに「北極プレミアム」とも言うべき要素、すなわち資材・機材・人員に対するより高い要求も加わる。その結果、北極プロジェクトは温帯地域の同種プロジェクトに比べて著しく高コストとなる。

 ロシアにとって、北極海航路の発展は構造的な利点をもたらす。経済面では、資源採掘・加工に関わる北極プロジェクトの進展、輸出拡大、新たな物流ルートの創出が挙げられる。産業面では、砕氷船やクレーン、特殊機械に対する需要を背景とした国内機械工業の発展が期待される。地政学的には、重要なトランジット・ルートに対する支配力の強化と、スエズ運河やマラッカ海峡への依存低下につながる。中国にとっては、既存のルートに代わる選択肢となる。

 また、ムルマンスク州知事は、現在鉄道で輸送されている貨物の一部を北極海航路へと切り替えるべき段階に来ていると指摘している。インフラと船隊はその準備が整っているという。さらに、サハ共和国経由のプロジェクトが実現すれば、中国は北極域への直接かつ短距離のアクセスを得ることになる。一方ロシアにとっては、国内でも最も困難でありながら将来性の高い地域の発展に向けた強力な推進力となる。


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 こちらの記事が、UAEのOPEC脱退がロシアにどう影響するかについて論じているので、以下要旨を整理しておく。

 アラブ首長国連邦(UAE)は、2026年5月1日をもってOPECおよびOPEC+の枠組みから離脱する。長年にわたり市場をコントロールしてきたこの石油同盟にとって、これは2019年のカタールの離脱以来、最大の打撃となる。制裁と財政収入確保の必要性の間で3年にわたりバランスを取ってきたロシアにとっては、その影響は決定的なものとなり得る。

 UAE自身は、長期的な戦略的ビジョンおよび国家利益への集中の必要性によるものだと説明している。同国エネルギー相は、この措置が同国のエネルギー戦略を綿密に分析した結果であると述べた。同時にUAEは、今後も世界市場において「責任ある役割」を果たし続けると強調している。

 しかし、こうした外交的な表現の背後には強い不満がある。UAEは以前から、自国の増産計画を抑制する割当制度に不満を示してきた。今回、制約から解放されたことで、同国は需給の独自判断に基づいて生産を拡大できるようになる。

 この決定の背景には、地域の激動がある。米国・イスラエルとイランの対立は、すでに世界のエネルギー市場に不安定性をもたらしている。しかし、それとは別に、あまり公にはされていない要因も存在する。UAE大統領の外交顧問は、湾岸諸国の同盟国がイランの攻撃からUAEを守るために十分な対応をしなかったとして、公然と批判した。同顧問は、湾岸協力会議(GCC)諸国の対応を政治的・軍事的に「史上最も弱いもの」と評した。事実上、アブダビは「我々が離脱するのは、あなた方が我々を守らなかったからだ」との立場を示したのである。

 ウクライナへの全面侵攻開始後、前例のない制裁を受けているロシアにとって、OPEC+は長らくサウジアラビアや他の主要産油国との協調のための主要な枠組みであった。この合意は価格のコントロールを可能にし、安定した輸出収入を確保する役割を果たしてきた。UAEの離脱は、この枠組みを揺るがすものである。

 ロシアにとってのリスクは、第1に、交渉力の低下である。OPEC+は主要プレーヤーの一つを失うことになる(UAEはロシアやサウジアラビアと並び、自主減産を行う「8カ国」の一員である)。これにより、同盟内におけるロシアの交渉上の重みは低下する。第2に、価格戦争の可能性である。UAEが増産に踏み切れば、原油価格が急落する恐れがある。1バレル当たり60~70ドルを前提に編成されているロシアの財政にとって、これは財政赤字の発生と歳出削減の必要性を意味する。第3に、割当制度のタガが外れる可能性である。最大級の産油国の一つがシステムを離脱することは、同様に制約に不満を抱く他国へのシグナルとなる。OPEC+内部の規律は最終的に失われかねない。第4に、影響力の低下である。ロシアは「大規模石油合意」における一極として自らを位置づけてきた。UAEの離脱は、国家利益や安全保障がかかれば、長年の同盟であっても崩れ得ることを示している。

 皮肉なことに、UAEのOPEC+離脱は、ロシアがすでに事実上、自国の生産を「手動操作」で管理せざるを得なくなっている時期に起きている。専門家が指摘するように、ロシアの増産能力を制約しているのは、もはや割当ではなく、制裁である。すなわち、設備供給の禁止、物流上の問題、そしてインドや中国の買い手に対して提示せざるを得ない値引きなどである。そこに今回、外部ショックが加わることになる。これまでOPEC+は価格下落の歯止めとして機能してきたが、その仕組みに亀裂が入った。

 OPEC+は、UAEの離脱について6月の会合で協議するとしている。事実上の盟主であるサウジアラビアは事態の収拾を図るだろう。しかし、前例はすでに作られた。ロシアにとってそれが意味するのは一つである。すなわち、大規模輸出国との合意に支えられた予測可能な石油収入の時代は終わりつつあるということである。今や、原油価格はウィーンでの会合ではなく、中東情勢がどれほど激化するかによって左右される、動揺の時代に入ろうとしている。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、チャートを眺めると、興味深い現象が生じている。Beach Boysのロック史上に残る名作アルバム、Pet Sounds関係の曲が2曲チャートインしているのである。今週3位のSloop John B. - Beach Boysは、もともとはバハマの民謡をブライアン・ウイルソンがアレンジし、録音は1965年夏とかなり早い時期だった。なので、本来はPet Soundsのセッションとは関係なく、ブライアンはこの曲を内省的なアルバムに入れることに反対したようだが、「アルバムにはヒット曲が必要」という会社の声に押されて、収録することにしたらしい。一方、今週36位のCaroline, No - Braian Wilsonは紛れもなくPet Soundsセッションで録音されたが、他の収録曲以上にブライアンの個人色の強い曲となったので、BBではなく個人名義で先行シングルとして発売された。

その頃ソ連では
1966年4月26日:ウズベク共和国のタシケントで大地震発生、街の中心部に甚大な被害。

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 GW読書シリーズ。2年ほど前に出たものだけど、個人的にはこのほどようやく読むことのできた、小宮山功一朗・小泉悠『サイバースペースの地政学』 (ハヤカワ新書、2024年)である。例によって紹介文を引用させてもらうと、

「千葉や北海道に、なぜ巨大データセンターが続々建つのか?」
「世界のインターネットは574本の海底ケーブルに依存!?」
「ロシア秘密海中工作部隊の真の狙いとは?」
「日本が守るべきサイバー世界の要衝とは?」
インターネット上に広がる「サイバー空間」とはそもそもいかなるもので、世界はどのように繋がっているのか? その手触りを求めてサイバーセキュリティと軍事のプロが向かった先は、千葉に林立する巨大データセンター、日本サイバー史の重要地点・長崎、人知れず活躍する海底ケーブル船、北の大地のAIデータ拠点、そしてロシアの隣国エストニア。情報インフラと安全保障の要でありながら実態の見えにくいサイバー空間の「可視化」に、気鋭の研究者二人が大胆に挑んだ渾身の現場ルポ。

 読んでみたところ、この本は割と企画色が強く、小宮山さんの方が本来の専門であるサイバー関係の基本的なところを解説し、小泉さんが今日のロシア・ウクライナ戦争にも引き付け軍事面の生々しい動きを論じるという分担になっている。大胆な組み合わせであるが、破綻することなく、上手く補完し合っている。内容的には、事前に想像していたよりも、サイバー関係のハードというか物理的な側面にかなり重点を置いた本であり、データセンター、ケーブルおよびその敷設船などに関する記述が詳しい。

 個人的には、北海道で働いていながら、札幌の自宅と研究室以外の場所にほとんど出没していないという反省があるのだが、それだけに札幌市からほど近い石狩市のデータセンターの様子がレポートされている点が、とりわけ印象的だった。サイバースペースにおける「距離」という問題に関し、これまで考えたことがなかったので、その点の学びが大きかった。


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 こちらの記事が、ロシアがポテトチップスの輸出国として世界5位に浮上したということを伝えている。

 記事によると、連邦センター「アグロエクスポルト」はこのほど、2025年の実績として、ロシアがポテトチップスの輸出額で世界5位に入ったことを明らかにした。専門家の推計によれば、2025年にロシアは約5.6万tのチップスを世界市場に供給し、その金額は2億4,800万ドル強に達した。2024年と比べて、数量ベースで6%、金額ベースで23%増加しており、過去最高記録となった。アグロエクスポルトによれば、1位はオランダ(6億6,400万ドル)、2位はベルギー(5億3,850万ドル)、3位は米国(3億5,600万ドル)、4位はカナダ(2億6,600万ドル)で、ロシアはそれに次ぐ5位となった。拡大は今年に入ってからも続いており、2026年第1四半期にロシアは、約1.1万t、5,000万ドル超のチップスを輸出し、これは前年同期比で、数量ベースで16%増、金額ベースで42%増となっている。


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 ロシア語圏のインターネット空間のことを、「ルネット」と呼ぶ。こちらの記事は、そのルネットにおけるデジタル経済の市場概要につき、最新の動向を伝えているので、以下抄訳しておく。

 2025年のロシア・インターネット経済(ルネット経済)は38.3兆ルーブルに達した。ロシア電子コミュニケーション協会(RAEC)の調査で明らかにされたもので、前年の結果を30%上回った。牽引したのは電子商取引であり、この市場のプレーヤーは年間で23.2兆ルーブル(全体の60%)を稼ぎ、前年比40%増となった。

 また、35%(13.7兆ルーブル)は情報通信技術(ICT)部門が占め、前年比12%増となった。残り(1兆5,700億ルーブル)は広告・プロモーション分野で、こちらは前年比27.6%の伸びである。

 RAECによればICT部門のデータは暫定値であるが、内訳はソフトウェア開発やコンサルティングなどのサービス(7.6兆ルーブル)、コンピュータ・電子・光学機器の製造(3兆ルーブル)、通信事業(1.7兆ルーブル)、IT関連事業(1.4兆ルーブル)などとなっている。

 分野別では、2025年にソフトウェア分野は前年比22.5%増の1.5兆ルーブル、ITサービスは13.6%増の1.4兆ルーブル、ハードウェア産業は17.2%増の9,707億ルーブル、AI関連機器は24.6%増の1,121億ルーブルとなった。一方、ネットワーク機器とデータストレージ分野はそれぞれ2,196億ルーブルと1,753億ルーブルで、ほぼ横ばいと評価されている。

 同調査によると、ルネットの企業規模トップ5は、ヤンデックス(2026年2月時点でフォーブス推計243億ドル)、Ozon(134億ドル)、RWB(126億ドル)、Avito(55億ドル)、Cloud.ru(31億ドル)である。トップ10にはこのほか、MWS、VK、カスペルスキー研究所、СКБ Контур、hh.ruが名を連ねる。これら企業の総評価額は47%増の910億ドルに達した。

 12歳以上のインターネット利用者数は2025年に100万人増加し1億500万人となり、ロシア人口の86%に相当する。また、電子商取引の利用者数はロシア連邦税務局のデータによれば7.4%増の2億8,000万人となった(訳注:ロシアの総人口よりも多く、原因は不明だが、1人の市民が複数アカウントを有しているような場合に重複カウントされているのかもしれない)。さらに、ロスコムナゾールのデータでは、稼働中のSIMカード数は20%増の3億1,700万枚に達した。

 一方で、違法(海賊版)メディアの消費は合法的なものの2倍に達している。これはインターネット動画協会のA.ブィルジン会長が述べたもので、もし違法消費が合法市場に転換されれば、オンライン動画・音楽・ゲーム・電子書籍などのデジタルコンテンツ配信業者の収益は、2025年の実績2,900億ルーブルに加えて5,000億ルーブル増加し、現在の約3倍規模になり得るという。

 ただしこの試算は仮説に基づくものであり、違法サイト自体の広告収入(F6によれば3,440万ドル)とは別である。現在、違法サイトの主な広告主は海外のオンラインカジノやブックメーカーであり、これらはロシアのインターネット広告統一登録簿にも含まれず、3%課徴金も支払われていないため、ルネット経済やロシアの金融圏には含めにくいとされる。

 モスクワ大学の専門家T.ヴォローニン氏は、これらの数値は現在のマクロ経済環境を反映した妥当なものと評価する。地政学的状況の結果、国内資本が主に国内に滞留するようになり、それがヤンデックスやOzon、RWBといったロシアIT大手の企業価値の大幅上昇につながったという。また、デジタル主権を重視する政策や、外国製ソフトウェアの迅速な代替の必要性が、ITおよびクラウド分野への安定した投資流入を生み出しているとも指摘した。

 物流分析会社Data InsightのS.セムコ氏によれば、2025年のロシアのオンライン取引は83億件、金額にして13.4兆ルーブルに達した。マーケットプレイスは注文数の81%、販売額の62%を占めている。また、「Infolineアナリティカ」のM.ブルミストロフ氏によると、実物商品のオンライン販売額は24.5%増の14.1兆ルーブルとなった。さらに、越境電子商取引も39.4%増の4,600億ルーブルと大きく伸びたという。


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 こちらの記事が、ロシア住宅市場の変容について伝えているので、以下抄訳して紹介してみたい。

 2026年第1四半期に、ロシアの主要35都市における中古マンションの販売は前年同期比で18%増加したのに対し、新築はわずか4%の増加にとどまった。住宅取引全体に占める中古の割合は63.2%に達した。これは需要のシフトによるものと説明される。新築物件の価格の高さ、ファミリー向け住宅ローン条件の厳格化、さらにリフォーム費用の上昇を背景に、購入者はますます中古物件を選ぶようになっている。

 2026年1~3月に、ロシアの主要35都市の中古市場では12万2,700戸が販売された。前年同期比で18%増であり、新築セグメント(7万1,500戸)における伸びを14ポイント上回った。住宅取引全体に占める中古の比率は、この1年で60.2%から63.2%へ上昇した。

 中古住宅需要の先行的な伸びは、ロシアの中核市場でも確認される。モスクワでは第1四半期の中古住宅販売が前年同期比で25%増加した一方、新築の販売量は37%減少した。とりわけ顕著な変化が見られるのはトリヤッチで、中古の販売は55%増加したのに対し、新築は31%減少した。

 Cianの主任アナリスト、Ye.ボブロフスカヤは、この傾向を需要のシフトに結び付け、「購入者は“通常の”中古住宅を優先し、近代的な新築住宅の購入を断念するケースが増えている」と指摘する。その主因として、政府が年利6%の優遇ローンを提供するファミリー向け住宅ローンプログラムの条件変更を挙げる。2026年2月1日以降、この制度では1世帯につき1件のローンしか利用できなくなった(以前は夫婦それぞれが利用可能であった)。これにより、支払い能力のある購入層が縮小したと、開発会社「ウダーチャ」のオーナー、V.プロホロフは述べる。多くの購入者は現在、さらなる金利低下を期待して様子見の姿勢を取っているという。

 「グラヴストロイ・レギオン」の販売部長A.アルトシンは、市場金利の住宅ローンはもはや大衆的な金融手段として機能していないと指摘する。金利が12%を超える水準では、大多数の潜在的購入者にとって利用不可能である。消費者は全体としてより慎重になっており、それも中古を選ぶ動きを促している。

 需要シフトのもう一つの重要な要因は価格差である。ボブロフスカヤによれば、現在平均すると中古の方が新築より23%高い(訳注:これは逆ではないだろうか)。都市によってはその差はさらに大きく、例えばノヴォクズネツク、バルナウル、トリヤッチでは49~68%に達する。これは、優遇住宅ローンが広く利用されていた時期に新築価格が長期間にわたり先行して上昇し、販売を大きく刺激した結果である。

 「ラスツヴェタイ・ストリツァ」の販売部門責任者S.イヴァノフは、現在のデベロッパーの価格は多くの場合過大であると指摘する。従来、新築は中古より10~15%程度高いに過ぎなかったとし、現在の価格差は需要の「雪崩的な」シフトを引き起こしているとみる。また、RedCatの住宅ローン部門責任者エレーナ・クドリャフツェヴァは、リフォーム費用の上昇にも注目し、新築の内装仕上げが100万ルーブル未満で済むことはもはや不可能だと述べる。一方で中古住宅は、購入後すぐに入居できる利点がある。

 クドリャフツェヴァは、購入者が中古住宅へシフトする傾向は2026年第2~第3四半期も続くと予想している。その後の動向は、優遇制度を含む住宅ローン金利の水準に大きく左右されるだろう。


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 普段、「おっ、これは!」と思って本を買っても、すぐには読む時間がなく、「とりあえずツンドク」になりがちである。ゴールデンウィークの季節となったので、この連休中にはなるべく多くの本を本棚からサルベージし、読んでおきたいと思っているわけである。そんなわけでGW読書シリーズと銘打って、実際に読んだ本を紹介していきたい。

 まず、浜由樹子『ネオ・ユーラシア主義:「混迷の大国」ロシアの思想』(河出新書、2025年)を取り上げたい。1年ほど前の本ではあるが、個人的にこのほど読了し重要作と認識したので、紹介させていただく。

 ウクライナ侵攻におけるプーチン・ロシアの思想的根拠として注目を集めた「ネオ・ユーラシア主義」。その見立ては正しいのか。大国の戸惑いを反映する思想の実相を、第一人者が解き明かす。
 「我々は誰なのか」「ロシアとは何なのか」——ソ連崩壊を契機として、ロシアのアイデンティティを問い直す思想潮流「ネオ・ユーラシア主義」が立ち現れた。ロシア・ウクライナ戦争の陰には、プーチンに強い霊感を与えたこのイデオロギーの存在がある……という見立ては正しいのか? ドゥーギンをはじめ、多様な論客が名を連ねる思想の実相とは? 見取り図を第一人者が描出する。

 ところで、この本を読みながら、思い出したことがある。先日NHK-BSで放送されたフランス制作のドキュメンタリー番組「プーチン大統領が狙う“5つの海” -覇権拡大への戦略-」のことである。普段、NHKは良質な番組を届けてくれ、私なども学ぶことが多いが、ことこの「プーチンの5つの海」に関しては感心しなかった。「プーチン政権が長年追い求める“5つの海”構想からロシアの地政学戦略を読み解く。大統領が独自の論理を披露するアーカイブ映像や専門家のインタビューを交えながら黒海・アゾフ海・カスピ海・バルト海・北極海でのロシアの軍事活動や開発計画を解説。プーチン大統領の領土的野心の源は何なのか。ロシアの覇権拡大の意思と目的を解き明かす調査報道」と言うのだが(なお、番組では北極海ではなく白海とされていたはずである)、「5つの海」というありもしないグランドストラテジーを見立て、ロシアに関連して起きた紛争を無理やりそれにこじつけるという内容であった。ロシアがあちこちで問題行動を起こしていることは事実だが、それは往々にして異なる文脈で生じてきた状況への場当たり的な対応の積み重ねであり、何かご立派な経典のようなものがありそれを一貫して実践しているかのようにプーチン・ロシアを捉えたら、ある意味で「買いかぶり過ぎ」であろう。そのような誇大妄想を抱けば、ロシアの実像も見誤るし、我々諸外国の対応も見当違いなものになってしまう。

 本書『ネオ・ユーラシア主義:「混迷の大国」ロシアの思想』も、一脈通じる警鐘を鳴らしている。「アレクサンドル・ドゥーギン氏はプーチンの影のメンターであり、そのネオ・ユーラシア主義がプーチンをウクライナ侵攻へと向かわせた」といった週刊誌・ワイドショー的俗説を退けることに、本書は向けられている。そのために、1920年代の元祖ユーラシア主義から説き起こし、現代のアレクサンドル・ドゥーギン、アレクサンドル・パナーリンらの思想を検証して、プーチン体制との関係を冷静に分析したのが、本書ということになる。

 本書のより詳しい書評は別のところに書くことにしたので、今日のところはこのへんで。


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 ウクライナの地名をウクライナ語読みで読みましょうというのは分かるのだが、ことチェルノブイリに関してだけは、個人的に依然としてロシア語読みがしっくり来る。そんなわけで、昨日4月26日、1986年の原発事故から40周年という節目を迎えた。

 この事故では、実は最大の被害国はベラルーシであり、放射性降下物の7割がベラルーシに降り注いだと言われている。それに関連し、こちらの記事が目に留まった。ベラルーシ戦略研究所のアナリストであるS.ジューク氏がタス通信に語ったところによると、40年前に起きたこの災害は、20世紀においてベラルーシ国民にとって、大祖国戦争に次ぐ規模の存亡的危機であった。ベラルーシ領土の放射能汚染は程度の差こそあれ共和国全体に及んだ。国土の23%以上が、心血管疾患や代謝障害を引き起こす可能性のある放射性核種セシウム137に汚染された。特に大きな被害を受けたのは、ベラルーシのゴメリ州、モギリョフ州、ブレスト州であった。汚染地域には3,678の居住地が含まれ、そこには約220万人が暮らしていた。479の居住地は消滅した。立入禁止区域の面積は約1,700平方キロメートルに及ぶ。13.7万人以上が強制移住を余儀なくされた。この災害の規模を踏まえ、1990年にはベラルーシ・ソビエト社会主義共和国は環境災害地域と宣言された。しかし、ベラルーシは汚染地域における経済の回復に成功した。数十万ヘクタールの土地が再び経済活動に復帰し、産業構造の転換が図られ、世界に類例のない放射線管理システムが構築されたと、ジューク氏は語った。

 他方、この間、ベラルーシ自身が独自の原発「ベラルーシ原発」を手にし、これが今日ではベラルーシの電力供給の主力となっている現実がある。こちらの記事によると、このほどベラルーシ・エネルギー省は、その成果につき次のように誇示した。ベラルーシ原発はこれまでの累計で、600億キロワット時の電力を発電した。これにより、約160億立方メートルの天然ガスの節約が可能となった。発電所の各発電ユニットは、1日あたり約2,800万キロワット時の電力を生産している。ベラルーシにおける総発電量に占める原子力発電の割合は、およそ40%に達している。ベラルーシ原発は、我が国のエネルギー安全保障に寄与し、国民および経済への安定した電力供給を確保するとともに、天然ガスの使用削減を可能にしていると、エネルギー省は成果を誇ってみせた。


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 こちらのサイトに、2026年第1四半期(1~3月期)のロシア港湾による取扱貨物量が出ているので、以下整理してお伝えする。

 2026年第1四半期にロシア港湾が処理した貨物の総量は2億1,010万tで、前年同期比0.6%増だった。うち、輸出貨物が1億6,670万t(1.1%増)、輸入貨物が990万t(1.8%減)、トランジット貨物が1,450万t(19.8%減)、内貿貨物が1,900万t(20.7%減)であった。

 海域別では、バルト海が6,430万t(5.6%減)、極東が6,020万t(10.6%増)、黒海が5,930万t(5.8%減)、北極海が2,420万t(12.2%増)、カスピ海が210万t(24.1%)だった。いわゆる「東方シフト」が一層進んだ形だ。

 貨物の種類別では、液体貨物が1億760万t(2.0%減)、うち原油が6,490万t(0.2%減)、石油製品が2,970万t(8.6%減)、液化ガスが1,080万t(11.7%増)などだった。固形貨物は1億250万t(3.5%増)で、うち石炭が4,540万t(3.0%増)、穀物が1,310万t(39.4%増)、コンテナ貨物が1,340万t(2.0%減)、肥料が1,160万t(3.8%減)、鉄鋼が560万t(4.8%減)、鉱石が340万t(17.4%増)だった。


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 以前、照井希衣著『ベラルーシ獄中留学記』を紹介しましたが、それに関連する企画として、ベラルーシ情勢について私がインタビューに応じたものがこちらこちらに出てますので、よかったらご笑覧ください。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、何といっても、Good Lovin’ - Young Rascalsである。デビューシングル:I Ain't Gonna Eat Out My Heart Anymoreは中ヒットだったが、このGood Lovin'で一気にチャートのトップまで上り詰めた。白人グループが黒人R&Bに肉薄するという作風であり、赤黒のAtlanticレーベルから白人グループの作品が出るということ自体、時代の変化を感じさせる。

その頃ソ連では
1966年4月23日:ソ連とチェコスロバキアが文化・科学協力協定に調印。

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16.00.03

 こちらに見るとおり、ロシア版フォーブスがロシアの富豪資産ランキングの2026年最新版を発表したということなので、軽く紹介しておく。

 なお、資産10億ドル以上の富豪(多くの場合、家族の資産も含む)がランキングの対象になっているのだが、その条件を満たし今年のランキングに登場したのは155人だった。それらの資産合計額は6,965億ドルとなり、史上最高額を記録したということである。

 以下ではベスト10の顔ぶれだけ確認しておく。金額単位は100万米ドル。なお、ロシアのオリガルヒは制裁を避けるため表向きは一線を退いた形になっている場合が多く、フォーブスでは現在の表向きの名誉職な役職を記載している。ただ、それはあまり本質的な情報ではないので、そうした場合には「実際には」という形で補足した。

  1. A.モルダショフ(セヴェルスターリ):37,000
  2. V.ポターニン(インターロス、ノリリスクニッケル):29,700
  3. V.アレクペロフ(「われらの未来」財団、実際にはルクオイル):29,500
  4. L.ミヘリソン(ノヴァテック):28,300
  5. S.ケリモフ(上院議員、実際にはウラルカリ):25,700
  6. V.リシン(ロシア・スポーティング射撃連盟理事長、実際にはノヴォリペツク冶金コンビナート):25,500
  7. G.ティムチェンコ(コンチネンタルホッケーリーグ理事長、実際にはノヴァテック等):24,200
  8. A.メリニチェンコ(個人投資家、実際にはエヴロヒム):20,400
  9. M.フリードマン(元アルファグループ、実際には今も総帥):16,500
  10. A.ウスマノフ(USM):14,500

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 昨日、ロシア統計局より、2026年3月(したがって2026年第1四半期も)の鉱工業生産統計が発表されたので、早速紹介してみたい。2月までは総崩れの様相を見せていたロシア鉱工業生産だったが、3月にはじわりと回復の傾向を見せており、中東情勢との関連が注目されるところだ。

 まず、鉱工業全体と、その2本柱である鉱業と製造業の生産動向を見たのが、冒頭のグラフである。鉱工業生産は、1~2月の時点では前年同期比マイナス0.8%だったが、1~3月ではプラス0.3%になった。単月では、1月が前年同期比0.8%減、2月が0.9%減だったものが、3月には2.3%増になった。3月には鉱業・製造業ともにプラスを示しているが、製造業の改善の方が目覚ましかった。

 製造業の主要部門と、軍需関連部門の生産動向を示したのが、下の2つのグラフとなる。ここでも、3月になって数字が改善した部門が多かった。

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 内陸国のモルドバながら、実は南部にジュルジュレシュティ港という河川港を有し、そこから黒海にアクセスが可能である。こちらの記事が、同港をルーマニアが買収したということを伝えているので、以下抄訳しておく。

 ジュルジュレシュティ港は、黒海から133kmの地点、プルート川とドナウ川の合流地点に位置している。同港は、国境の村パランカ付近の自動車道路の区間と引き換えに、モルドバがウクライナから430mの河岸地帯の引き渡しを取り付けた後、2006年に建設された。港には、6.3万tの貯蔵能力を持つ石油ターミナル、2つの穀物ターミナル、その他貨物用ターミナル、およびビジネスパークがある。この港の建設により、モルドバは黒海への出口を得ることができた。

 2021年、欧州復興開発銀行(EBRD)は、同港を運営していたダニューブ・ロジスティクス社の資本100%を取得した。2025年、EBRDの広報部は、港湾オペレーター売却のための入札手続きを開始したと発表した。同行によれば、この手続きは「モルドバ政府との完全な協力の下で」進められているという。ジュルジュレシュティ港への関心は、その貨物取扱量と同様、ウクライナ情勢を背景に大きく高まった。港の所有者変更をめぐる取引については、モルドバの野党が批判しており、同港はモルドバ国家が所有すべきだと主張している。

 今般、黒海のコンスタンツァ港を運営するルーマニアの企業「ルーマニア海港管理会社」が、モルドバのジュルジュレシュティ国際自由港の所有者となった。ルーマニア政府がこれを発表した。コンスタンツァの国営企業「ルーマニア海港管理会社」が、EBRDからジュルジュレシュティ国際港のオペレーターであるICSダニューブ・ロジスティクス社を取得する取引が成功裏に完了した、とされている。

 ルーマニア政府によれば、この投資により、コンスタンツァ港は黒海地域における戦略的役割を強化し、EUと周辺地域を結ぶ地域ハブとなることを目指す。これは、現在の地域情勢の中で新たな輸送ルートを開拓するという文脈においても重要である。ルーマニア企業は、ジュルジュレシュティ国際港の長期的発展のための投資を計画しており、その処理能力の拡大、インフラの近代化、そしてそれに伴う黒海地域およびドナウ川流域における地位の強化を目標としている。これらの投資の結果として、同港の戦略的役割は高まり、将来のウクライナ復興の過程においても活用され得る立地にある。さらに、この取引はルーマニアとモルドバとの経済・貿易関係の強化にも寄与すると、ルーマニア政府は説明している。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2026年5月号のご案内。毎年5月号はロシアに関する総論的な特集となっており、今回の特集は「混迷する国際情勢とロシア経済の行方」と題しております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回私は、「戦争と制裁下で再編されるロシアの企業城下町」と題する比較的まとまった調査レポートを書きました。「安全保障にかかわるロシアの政策文書体系」、「戦禍に耐えるウクライナ鉄鋼業」という短い連載記事も執筆。


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 昨日の話の続きである。今年度うちの大学院で修士課程に入ってきた皆さんのために、研究と論文執筆の方法を手ほどきする講義を担当していて、学生の皆さんに研究対象地域を学ぶのに有益な基礎的な文献を整理し伝えてあげようという話である。その一環として、ユーラシアブックレット/文庫のことを紹介してあげたいと考えた。実にバラエティ豊かなタイトルが出ているので、学生さんの研究テーマがどんなものでも、関係するものが1、2点くらいはあるのではないか。

 ここで改めておさらいをするなら、「ユーラシアブックレット」は、2000年から2015年まで、「政治・経済・社会・歴史から文化・芸術・スポーツなどにまで及ぶ幅広い分野にわたって、ユーラシア諸国についての信頼できる知識や情報をわかりやすく伝えること」をモットーとして、200号にわたって刊行された。しかし、残念ながら、発行元の東洋書店の倒産により、終止符が打たれた。私の聞いている話では、ユーラシアブックレットは好調だったものの、本業と言うべき医療関係の書籍などの採算が厳しく、経営が行き詰ったようだ。

 ユーラシアブックレットは、なかなか便利なフォーマットだった。我々の業界では、このシリーズで初めて本を出したという人も多かったのではないか。そんなわけで、惜しむ声も多く、結局、NPO法人ユーラシア研究所が、その精神を引き継ぎ、2015年から「ユーラシア文庫」を刊行することになり(発行元は群像社)、現在に至っている。ただし、刊行のペースはだいぶ落ちた印象である。

 それで、学生の皆さんに、ユーラシアブックレットから具体的にどんなタイトルが出ているかを整理して見せてあげたかったのだけど、さすがに東洋書店が倒産してしまったこともあり、一覧表をまとめるのに苦労した。主にこちらの情報に依拠しながら、ユーラシアブックレット全200タイトルの一覧表を作成した。まず、No.1から50までを見てみよう。こうやって見ると、旧ソ連・東欧時代からの重鎮がいらっしゃる一方、今も一線で活躍する研究者のデビュー作的なものも散見され、興味が尽きない。良く見ると、サッカーW杯日韓大会で日本とロシアが激突した年に、大平陽一『ロシア・サッカー物語』があざとく出てたんだなあ。いいなぁ、売れたのかなぁ。

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 次に、No.51から100まで。ここで服部倫卓先生登場。実を言うと、岩下明裕さんが、当時出した本に書ききれなかったこぼれ話をブックレットにしたという話を聞いて、私も『不思議の国ベラルーシ』に書ききれなかった話を『歴史の狭間のベラルーシ』にしたのだった。そんな企画全部受け入れてるから倒産すんだよなどと言っても後の祭り。

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 次に、No.101から105まで。個人的には、蓮見雄『琥珀の都カリーニングラード:ロシア・EU協力の試金石』、嵐田浩吉『オデッサ:黒海に現れたコスモポリス』あたりが思い出深いかな。

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 そして、No.151~200までだが、これで終わってしまった。キリの良い200まで出そうという出版社の心意気だったのか。今をときめく小泉悠さんも、これが処女作? 服部倫卓先生が再び登場し、『ウクライナ・ベラルーシ・モルドバ経済図説』を上梓しているが、その直後に表紙がカラー化され、地団太を踏んだ思い出がある。なお、2011年に出た本なので、印税(ユーラシアブックレットはちゃんと印税があった)は全額被災地に寄付しました。

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 そして、ユーラシア研究所に管轄が移ってからのラインナップが、以下のとおり。今後も本シリーズの末長い発展をお祈りします。

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 今年度うちの大学院で修士課程に入ってきた皆さんのために、研究と論文執筆の方法を手ほどきする講義を担当している。その一環として、学生の皆さんに研究対象地域を学ぶのに有益な基礎的な文献を整理し伝えてあげようということを思い立った。となると、筆頭に挙がるのが、例の明石書店さんから出ている「エリアスタディーズ」、つまり『●を知るための●章』のシリーズであろう。

 そこで、現在までに「エリアスタディーズ」のシリーズで刊行された作品の中から、スラブ・ユーラシア(旧ソ連・東欧)に関係したものを、上表のとおり整理してみた。かなり大変な作業だったので、このブログにも流用する次第である。

 私自身、すでに3冊の編者を務めさせていただき、いま現在ひそかに企画しているものもあったりする。なお、上表はロシア~西NIS~バルト~中東欧~バルカン~モンゴルといった並びになっているが、これはもちろん国の優劣などとは関係なく、私が前の勤務先である貿易会で一覧表を作る時にこんな並びにしていたので、それを何となく踏襲したまでである。最後の4つは、スラブ・ユーラシアそのものの研究ではないが、同地域を学ぶ上で大いに参考になりそうなので、加えておいた。

 「エリアスタディーズ」も、かなりシリーズが進んでいるので、スラブ・ユーラシアでまだ国単位で取り上げられていないのは、モルドバ、ジョージア、キルギス、トルクメニスタン、タジキスタン、ブルガリアとだいぶ少なくなってきた。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、今週2位と大ヒットとなっているBang Bang (My Baby Shot Me Down) - Cherだが、個人的には良く知らない曲だった。子供の頃の遊びを思い出しつつ、大人になって失恋で本当に心を撃ち抜かれるというドラマチックな内容らしく、メロディ的にはヨーロッパ的な雰囲気がある。

その頃ソ連では
1966年4月23日:ソ連とイタリアが経済・科学技術協力協定に調印。

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2025gdp

 2025年のロシアのGDPに関し当ブログでは、2月上旬に最初の速報値が出た時に紹介済みだが、4月10日により精緻な推計値が統計局から発表されたので、改めてそれをチェックしておくことにする。

 ただ、4月の発表は、2月の前回発表から大枠がほとんど変わっておらず、2025年通年の成長率は1.0%で変わらなかった。

 2025年第4四半期の成長率は、今回初めて推計値が発表された。整理すると、2025年Q1が前年同期比1.3%増、Q2が1.0%増、Q3が0.8%増、そしてQ4が1.0%増とされている。

 主な経済部門別の成長率も、2月の発表の時とほとんど変わっていないが、改めて上掲のグラフに示してみた。目立って修正されたのは建設くらいであり、2月の発表では2.7%増とされていたが、今回1.2%増へと下方修正された。


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5.Sotsialnye-seti

 ロシア当局がかなり大掛かりなネットおよびSNSの規制に乗り出し、それが言論空間だけでなく庶民の日常生活にも影響するようになってきている。ロシアの政治情勢を読み解く上で、きわめて重要な要因になっていくだろう。そうした観点から、ロシアのネット・SNS事情の基礎的なところを確認できるレヴァダ・センターによるこちらの調査結果は、ぜひチェックしておきたいところである。

 3月にレヴァダ・センターがロシア全土で18歳以上の回答者を対象に行った今回の調査結果によれば、ネットを日常的に利用しているという者は83%で、ここ1年は横這いだった。

 SNSにアクセスする頻度は、ほぼ毎日が58%、週に数回が10%、週に一度以下が8%、まったくアクセスしないが24%、分からないが1%だった。

 では、何にアクセスしているかという回答結果を時系列的に追ったのが、冒頭のグラフである。直近では、フコンタクチェ:53%、テレグラム:46%、TikTok:21%、Odnoklassniki:18%、YouTube:18%、RuTube:10%、インスタグラム:10%、Dzen:9%、Moy Mir:2%、フェイスブック:1%、X:1%となっている。

 ロシア版フェイスブックと呼ばれることの多いフコンタクチェが、何しろ強い。テレグラムも強いが、絶賛規制中。YouTubeにも規制が入り、ロシア版の動画サイトRuTubeに誘導されている。先日、ある人の研究計画で、「Xを手掛かりにロシアの言論空間を解析する」といった構想があって、ダメダコリャ感を抱いたが、やはりロシアではXはほとんど存在感がない。

 なお、同じくレヴァダ・センターによる3月のこちらの調査では、過去1か月で携帯からのネットアクセスに問題が生じたという者が77%、生じていないという者が19%、分からないが4%だった。


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 もう出張からは帰国した(はず)のだけど、出張帰りでバタバタしているところ(のはず)なので、ダメ押しにもう1冊、新刊紹介でしのぐことにする。『地図でスッと頭に入る地経学』(昭文社、2025年)である。先日ご紹介したとおり、私はこれのロシア編にかかわらせていただいたのだけど、「地図でスッと」がシリーズ化されているわけである。地経学は比較的新しい言葉だが、それだけに最近関連書籍が増えてきた気がする。本書の内容は以下のとおり。

 地政学と経済学を融合した「地経学」は、国際関係を理解する新たな視点を提供します。本書では、米中貿易戦争、エネルギー戦略、技術覇権など、経済が国家戦略の武器となる事例を解説。サプライチェーンの変化や経済制裁の影響など、ビジネスにも直結する知識を学べます。市場分析や国際経済の動向を読み解く力を養いたい方に最適な一冊です。複雑な国際情勢を経済の視点からシンプルに理解できる内容となっています。


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 海外出張中もブログが途切れないよう、最近出た本の中から特に気になる(しかしまだ読めてない)本を取り上げるシリーズ。今日は、リー・ネヴィル(著)・村上和久(訳)『ヴィジュアル版 現代の地上戦大全:中東、ウクライナの前線から戦術、将来戦まで』(原書房、2025年)のご紹介。内容は以下のとおり。

21世紀地上戦の全貌から「未来の戦場」まで集大成!
戦争は、時代が変わっても地上戦で決まる
21世紀の地上戦を現在に至るまで詳細に分析、さらに世界の火薬庫――台湾、南シナ海、中東をめぐる「未来の戦場」を予測、ドローンやAIなど最新兵器の情報も満載した集大成!


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