ユーラシアリサーチ 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心に旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

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 本日開催の研究報告会「戦争が変える国際安全保障と経済 ―欧州から北極へ広がる戦略空間―」の準備が大変なので、それに向けて作成したスライドをお目にかけてお茶を濁す。

 6日には、ロシア統計局より2025年のGDP速報値だけでなく、鉱工業生産統計も発表された。全体像をまとめたのが上図であり、過去2年ほど続いた高い伸びから一転して、2025年のロシア鉱工業生産は1.3%増という地味な結果に終わった。しかも本来の花形の鉱業は1.6%減と減産からの出口が見えず、製造業の3.6%増により持ちこたえている形である。ただ、その製造業にしても2025年は主要部門が軒並みマイナスで、軍需関連部門の伸びでプラスを維持するも、その軍需にしても伸び率は鈍化している。


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 月曜開催の研究報告会「戦争が変える国際安全保障と経済 ―欧州から北極へ広がる戦略空間―」での発表に向けて準備しているわけだが、6日に発表された2025年ロシアGDPの、部門別伸び率を、上図のとおり整理してみた。

 こうやって見ると、やはり、公務、製造業といった軍事関連部門の伸びが当然大きい。

 と同時に、戦争とは関係ない成長産業があることも見逃せない。ホテル・外食は最たるもので、国内旅行ブームや、フードデリバリーが牽引していると考えられる。金融・保険では、銀行は高金利や国債引き受けで潤い、保険も損保・生保とも成長している。情報・通信も時代の趨勢ゆえか伸びている。

 建設はやや評価が難しい。政府の住宅ローン優遇制度の厳格化で、新築住宅市場は冷え込んでいるので、2025年の2.7%成長は、公共事業(軍事関連建設を含む)によるものか?

 農林水産業は、そもそもが制裁耐性が強い部門である。2025年には穀物輸出の収益が低下するも、畜産品の輸入代替などが奏功したと見られる。水産業も成長を維持している。

 鉱業の不振には出口が見えず、対ロシア制裁の効果が最も顕著な部門がこれだろう。


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 昨日ロシア統計局より2025年のロシアGDP速報値が発表されたので、それに基づいて早速上図を更新してみた(2026~2028年は政府による公式経済見通し)。統計局発表によると、2025年のロシア経済は前年比実質1.0%の成長に終わった。なお、あわせて、2024年の成長率が4.3%から4.9%へと0.6%ポイント上方修正された。

 四半期別のGDP推移も下図のとおりご紹介しておく。なお、統計局からはまだ2025年第4四半期の数字が発表されていないので、グラフでは経済発展省による最新推計値を使った。四半期データを見ると、2025年に入り失速が明瞭になっていったロシア経済が、年末にかけてある程度踏み止まったという印象を受ける。さて、これでロシア経済は底入れしたのか、それとも落ち込みに向かっていくのか。詳しくは月曜日の報告会で(宣伝かよ)。

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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、最高3位まで上がり、今週も6位に着けているNo Matter What Shape (Your Stomach’s In) - T-Bonesという曲を知らなかったので、今週はこれを調べてみた。実はこの曲、胃腸薬 Alka-Seltzer のテレビCM用に作られ、CMソングなのに大ヒットしてしまったというパターンだったらしい。だいたい、曲のタイトルからして、「お腹がどんな状態でも大丈夫」である。名義こそ The T-Bonesになっているが、実際の演奏・録音を担ったのはLAの伝説的スタジオミュージシャン集団 The Wrecking Crewだったということだ。

その頃ソ連では
2026年1月24日:ベラルーシ共和国のミンスク冷蔵庫工場が累計10万台生産達成。

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 こちらの記事が、2025年のパイプライン「シベリアの力」を通じたロシアの対中国ガス輸出量を伝えているので、それを使って従来のデータとあわせ上掲のようなグラフを作成した。せっかくなので、記事を以下のとおり抄訳しておこう。

 ロシア・ガスプロム社の発表によれば、「暫定データによると、2025年にガスプロムはガスパイプライン『シベリアの力』を通じて中国に388億立米のガスを供給した。これは2024年の実績を24.8%上回る。この結果、ガスプロムは中国向けに、欧州の非CIS諸国(トルコを含む)向け輸出の合計を上回る量のパイプラインガスを供給した」としている。

 ロシア産天然ガスの「シベリアの力」を通じた中国向け供給は、ガスプロムと中国のCNPC(中国石油天然気集団)との間で締結された長期のガス売買契約に基づき、2019年に開始された。

 2024年には、この幹線パイプラインを通じて311億2,000万立米のガスが輸出された。2024年12月1日には、当初の予定より1か月早く、「シベリアの力」における日量供給が契約上の最大水準(年換算で380億立米)に引き上げられた。

 2025年には、春季に計画されていた夏季の定期技術保守が、ガス供給を停止することなく初めて実施された。また同社は、同パイプラインを通じた日量供給の新記録がたびたび更新されたことも定期的に報告している。物理的な供給量が契約量を継続的に(たとえ小幅であっても)上回っていることは、日々の供給が安定して行われていることを示す指標となり得る。これは、現在の暖房シーズンおよび燃料使用量の増加期において、消費者にとって特に重要である。

 ロシアは、パイプラインガスおよびLNGを含め、中国にとって最大の天然ガス供給国となっており、中国の天然ガス輸入のおよそ3分の1を担っている。


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 2012年、中国の吉利汽車(Geely)がベラルーシ政府と投資契約を結び、合弁企業「ベルジー(BELGEE)」を設立、ベラルーシでのGeelyブランド車の現地生産に乗り出した。2017年11月、ベルジーによるベラルーシでの量産が始まった。独裁者のルカシェンコは、ベルジー社によるベラルーシ国民車の生産立ち上げを「私の夢」とまで呼んで熱心に推進してきた経緯があり、ついにその夢が実現した形であった。工場は当初、Geelyブランド車の生産に注力していたが、最近になり独自のBELGEEブランドにシフト、ロシア市場への供給実績も挙げている。

 そして、そのベルジー社の最近の経営実績に関し、こちらの記事が伝えているので、以下抄訳しておく。

 ベラルーシの自動車工場ベルジーは、2025年を同社にとって過去最高となる生産台数、9万台超で終える見通しで、設定された計画を上回る結果となる。同社のG.スヴィデルスキー社長が明らかにした。社長は、工場の近代化における第1段階がすでに成功裏に完了したと強調した。

 社長によれば、近代化の過程で最大の課題となったのは塗装ラインの最適化だった。この問題を解決するため、同工場ではシーリング材の塗布工程および車体塗装工程の双方において、追加のロボット化設備を導入した。さらに、「ウェット・オン・ウェット(湿式重ね塗り)」技術への移行も実施され、これによりエネルギー消費の削減だけでなく、塗装工場の生産能力を2倍に高めることが可能となった。

 ベラルーシ国内市場では、2025年に2万8,500台のベルジー車が販売される見込みで、これは前年の実績を14%上回る数字である。消費者の間で最も人気が高いのは、Belgee X50、Belgee S50、Belgee X70の各モデルで、なかでもX50が販売台数で圧倒的な首位を維持している。

 2026年の計画としては、Belgee X50のフェイスリフト(マイナーチェンジ)版の投入に加え、新型コンパクトクロスオーバーGeely Cityrayの販売開始が予定されており、同モデルはBelgeeブランドのラインナップに加えられる。これらのプロジェクトは、2026年の最優先事項となる。


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 先日、「2025年中露貿易の落ち込みを読み解く」というエントリーで、中国の対ロシア輸入に関し、「貴金属・貴石(71)などは35億ドルも増えており、もしかしたら金(ゴールド)を盛大に輸入しているのかもしれない」と記した。その後、その事実を確認できたので、追加情報をお伝えする。天下のロシア国営RIAノーヴォスチがこちらの記事で伝えていた。今のロシアでは、「ロシアが中国にこれだけ金を輸出した」と書くと怒られるけど、「中国の統計によれば中国はロシアからこれだけ金を輸入した」と書くのはOKであるという、何とも矛盾した状況である。

 ノーヴォスチの記事によると、2025年に中国はロシアからの金(ゴールド)の輸入を記録的な水準まで増加させた。中国税関のデータを基に、ノーヴォスチが算出した。輸入の総額は32億9,000万ドルに達し、これは2024年の14.6倍に相当する。輸入の重量も25.3tに増加し、9倍となった。金額、数量のいずれも、両国の貿易史上で過去最大であった。中国が主に購入しているのは、延べ棒(インゴット)形態の金である。調達は通年で定期的に行われているわけではなく、年のうち数か月に集中して行われる。例えば2025年には、供給は2~3月、10~12月に行われた。12月の輸入額は13億5,000万ドル(10t)に達し、これもまた歴史的な最高水準となった。2025年において、ロシアは中国にとって金の主要供給国トップ10入りを果たし、第7位を占めた。前年は第11位であった。なお、上位5か国は、スイス(257.3億ドル)、カナダ(110.6億ドル)、南アフリカ(94.2億ドル)、オーストラリア(87.7億ドル)、キルギス(49.5億ドル)であった。

 なお、こちらの記事によると、ロシアによる中国への金の輸出は、財政ギャップを埋めるために国民福祉基金保有の金を取り崩したものであり、それゆえに何かと入用になる年末に金輸出が集中したということのようだ。2025年のロシア財政赤字が思ったよりも膨らまなかった理由が分かった気がした。


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 昨日は中国の対露貿易のデータを概観したが、本日は中国の対ウクライナ貿易をチェックしてみることにする。過去十余年の動向が上図のとおりで、2025年には中国側の輸出が50億4,003万ドルで前年比36.9%増、中国側の輸入が27億4,900万ドルで前年比36.5%減と、輸出入でパフォーマンスが正反対となった。

 このうち、中国側の輸出に関しては、自動車をはじめ万遍なく伸びている感じであり、あまり際立った傾向性は見られない。中国側の輸入減は、穀物の取引が激減したことが大きい。2024年の19億9,541万ドルが、2025年には1億8,293万ドルに急減したもので、ちょっとまだ原因は突き詰められていないが、これが大きかった。


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 中国側の通関統計に基づき、2025年までの中露貿易の動向を跡付けると、上図のようになる。一頃は飛ぶ鳥を落とす勢いで、2023年には両国が合意した往復2,000億ドルの目標を前倒しで達成したほどだったが、2024年には頭打ちとなり、2025年にはついに減少に転じた。

 2025年の中露貿易は往復2,281億ドルで、前年比6.9%減であった。うち、中国側の輸出が1,033億ドル(10.4%減)、輸入が1,248億ドル(3.9%減)であった。

 さて、減った減ったと騒いでいるだけでは能がないので、具体的にどんな品目が減ったかを、HSコード2ケタの「類」のレベルで検証してみよう。まず、中国側の輸出では、自動車(87)が124億ドルも減っており、対露輸出の落ち込みは大部分がこの部門に起因していることが確認できた。先進国メーカー撤退後に生じた空白を、中国の乗用車が埋めていたわけだが、先日お伝えしたとおり2025年のロシア新車販売は15.6%減も落ち込んでおり、これではひとたまりもない。自動車以外では、電気機械(85)の12億ドル減、機械設備(84)の7.7億ドル減などが目立った落ち込みである。もちろん、逆に増えている品目もあり、鉄鋼製品(73)の3.2億ドル増、光学・精密機器(90)の2.4億ドル増などが挙げられる。後者は軍事用途も考えられ、気になるところだ。

 一方、中国の対露輸入では、燃料・エネルギー(27)が161億ドルも減っており、そのインパクトが絶大だ。それ以外では、鉄鋼製品(73)の3.1億ドル減、木材・同製品(44)の2.9億ドル減、穀物(10)の0.8億ドル減、鉄鋼(72)の0.8億ドル減などが減少の大きい部門である。逆に、貴金属・貴石(71)などは35億ドルも増えており、もしかしたら金(ゴールド)を盛大に輸入しているのかもしれない。鉱石(26)の30億ドル増、アルミニウム(76)の23億ドル増、銅(74)の18億ドル増、ニッケルの5億ドル増など、金属関係は案外増えているものが多い。

 要するに、ロシア市場の冷え込みで自動車輸出額が減り、エネルギー(ガスは順調なのでおそらく石油)輸入額が減ったというのが、2025年中露貿易のハイライトだったと言えそうである。


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20260131h

 HP更新しました。マンスリーエッセイ「戦時下ロシア極東・シベリアの旅:ノヴォシビルスク編」です。よかったらご笑覧ください。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 前作「ダウンタウン」で英国人女性ソロ歌手として史上初の全米No.1ヒットを放ったペトラ・クラークが好調を維持し、My Love - Petula Clarkでも連続1位を達成した。英国人女性歌手の米市場におけるこれほどまでの成功は、後にも先にもほとんど例がない。当時の英国勢の米市場浸透と言えば、ロックバンドが圧倒的に主流だったが、この曲はトニー・ハッチのプロダクションが冴えるエレガントポップとなっている。

その頃ソ連では
1966年2月3日:ソ連の「ルナ9号」が、探査機として初めて月面に着陸。月面のパノラマ写真を初めて地球に送った。

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19660205a
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 WSJのこちらの記事が、ロシア・ウクライナ戦争の3つのシナリオということを論じている。しかし、個人的に今はWSJの有料版記事を読むことはできないので、ウクライナのウニアン通信がWSJの内容を紹介したこちらの記事に基づき、3つのシナリオを整理しておく。

 シナリオその1:戦闘の継続、交渉の継続。最も可能性が高いシナリオは、消耗戦が続く中で迎える5年目の消耗しきった戦争であり、その一方で交渉は堂々巡りを続けるというものである。最大の問題は、プーチンが自らの最大限の目標以外のいかなるものも検討しようとしないことだ」と、元NATO駐在米国大使のダグ・ルートは指摘する。「それは単なる領土の問題にとどまらず、より広い意味でウクライナを支配したいという欲求の問題でもある。対してウクライナは、従属することを断固として拒んでいる。」こうした中、クレムリンは依然として、ロシア経済が先に崩れるよりも先にウクライナ軍が折れると確信しているが、ウクライナはまだ崩壊には程遠い。しかし同時に、双方とも、膠着状態にトランプが怒れば、米国が自分たちに不利な行動を取るのではないかと恐れている。ウクライナはいまだに米国の諜報およびその他の支援を必要としている。ロシアは、より厳しい制裁に対して脆弱だ。そのため双方とも、トランプに対して自分たちは建設的に行動しており、戦争が続いている責任は敵にあるのだと示そうとしている。

 シナリオその2:ウクライナが先に折れる。ウクライナにとって最大のリスクは、最終的に自国軍が消耗しきってしまうことにある。軍は歩兵不足を補うため、無人機能力を継続的に高度化させてきたが、ロシアは最近、この分野で追いついてきた。一方で軍事専門家たちは、今年になって消耗戦の性質が変わるとは見ていない。2023年末以降ほぼ途切れなく続いているドンバスでのロシアの攻勢は、軍事史上でも最も遅く、かつ最も高コストな部類に入る作戦の一つとなっている。上空にドローンがあふれている状況では、大規模な機動作戦は事実上不可能になっている。しかし、ウクライナでは予備兵力の不足により、昨年の東部防衛の強化は、ロシアが南方へ徐々に前進すること――ドニプロペトロウシク州やザポリージャ州を含む地域への進出――と引き換えに行われた。その結果、ウクライナ軍は、首か脚のどちらかを必ず露出させてしまうほど短い毛布のような状態になりつつある。もしウクライナの戦力が尽きれば、耐えがたい内容ではあるが、他の選択肢よりはましな取引を受け入れざるを得なくなるかもしれない。それには、モスクワの領土要求を受け入れること、ウクライナ軍の規模を制限すること、そして米国からの安全保障の保証が弱いまま、国内生活に対するロシアの影響力が回復することなどが含まれる可能性がある。

 シナリオその3:ロシアが疲弊する。ロシア経済は停滞しており、多くの非軍事部門が縮小し、高金利が打撃を与えている。原油価格の低迷、ウクライナによる精油所への長距離攻撃、そしてロシアの「影のタンカー船団」に対する米欧の対抗措置が、クレムリンの歳入を支えるエネルギー部門に圧力をかけている。現時点では、プーチンがエリート層やロシア社会からの否定的反応を懸念している兆候はほとんど見られない。それでも、ロシアが無期限に戦争を続けられるわけではない。制裁とその履行措置が強化されれば、その期限はさらに短くなる可能性がある。もしロシア、あるいは双方が、これ以上長く戦争を続けられないと判断すれば、交渉は、ウクライナとロシアの双方にとって最低限受け入れ可能な合意を真剣に模索する段階へと変わる可能性がある。しかし、多くのウクライナ人は、ロシアがすでにその段階に達したとは考えていない。なぜなら、プーチンはなお自らの勝利に賭け続けているからである。


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 こちらの記事が、ロシアにおける破産者の増加について報じており、気になったので、以下抄訳しておく。

 2025年、ロシアでは約56万8,000人の債務者が裁判所の手続きにより支払不能(破産)と認定された。これは前年より3割以上多い。さらに、簡易手続きによる裁判外破産で6万1,300人が同様の認定を受けた。これにより、裁判所による破産制度が導入された2015年と、裁判外制度が導入された2020年以降、支払不能と認定された市民の累計は222万人に達した。

 統計によれば、過去3年間の破産件数の増加率は年20~30%で推移している。これは、制度開始から最初の5年間に、完了した破産案件の増加率が年50~70%に達していた時期よりは低い水準である。2025年には、財産処分を伴う個人および個人事業主の裁判所破産件数は43万1,800件となり、2024年より31.5%多かった。

 一方で、債務者の申立てが債務リスケにつながったケースは減少した。2025年、裁判所が債務条件の見直しを認めたのは3万7,800人で、2024年の4万9,800人から減っている。これは一部には、債権者がリスケや支払猶予に応じるケースが増えていることによる。統計によると、こうした合意件数は2025年に2024年比で2.3倍の3,129件に増加し、全手続きに占める割合も0.3%から0.5%に上昇した。

 2025年には、裁判を経ずに支払不能の認定を受ける条件が再び緩和された。たとえば、特別軍事作戦(SVO)の参加者も簡易手続きを利用できるようになった。これらの人々については、債務に関して強制執行手続きが終了している必要がなくなり、手続きが簡素化・迅速化された。同様の緩和措置は、他の社会的弱者層にも導入された。2025年から、年金受給者や児童手当の受給者は、強制執行手続きが終了していなくても、1年以上継続している場合には、裁判外破産を申請できるようになっている。

 連邦執行官庁(FSSP)の統計によると、2025年1月から11月までの期間に、ロシアの執行官のもとで処理されていた個人向け融資・ローンの回収案件は3,330万件、総額は3兆8,000億ルーブルに上った。1人の債務者に対して複数の強制執行事件が同時に進行していることもあるため、FSSPの統計における「件数」は、負債を抱えるロシア人の人数と一致するわけではない。11月末時点で、900万件以上の信用債務に関する強制執行手続きが未完了とされており、これらの人々の債務総額は9,910億ルーブルに達していた。


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 こちらで、A.ダガエフ氏という専門家が、グリーンランド問題における中国およびロシアの要因について分析しており、両国がグリーンランドに実際に関与している度合いはごく小さいという、真っ当なことを論じている。以下では、ロシアに関連した部分のみ抄訳しておく。

 トランプ米大統領はグリーンランド支配の必要性について、そうしなければ中国とロシアが米国北部国境に近い北極圏で危険なほど存在感を強める可能性がある、といった理由を挙げて説明している。だが実際には、グリーンランドにおけるモスクワと北京の影響力は極めて限定的であり、より不安定化を招いているのは、むしろワシントン自身の行動である。

 国境や大陸棚をめぐる紛争が徐々に解決されるにつれ、グリーンランドは、カナダやノルウェーなど近隣諸国との協力を、北極環境の保護、漁業、科学研究といった分野で拡大する可能性を得ている。それに対し、中国もロシアも、グリーンランドの主要パートナーには含まれていない。

 ロシアの北極政策では、グリーンランドは他国と区別して言及されることすらない。重点は自国の北極圏、すなわち資源開発と北方航路(北極海航路)の発展に置かれている。モスクワは北極における主権の優位を主張し、ヌーク(グリーンランド政府)と同様に、北極を平和と協力の地域とすることを支持している。

 近年ロシアは、自国の北極圏で軍事インフラ整備を加速させている。旧軍事基地の再稼働、北方艦隊の強化、新たなインフラの建設が進められている。これらはすべて、グリーンランド方面から米国への攻撃が行われ得る潜在的ルートとして、米国の懸念を招いている。一方クレムリンは、地域を軍事化しているのはむしろNATO諸国の側だと非難している。

 グリーンランドは、北極対話においてロシアにとって重要なパートナーとは言えない。両者の主な接点は北極評議会の枠内での間接的なやり取りに限られてきた。ウクライナ戦争以前には漁業分野で一定の協力があったが、2022年以降、ロシアと北極諸国との対話はほぼ途絶えている。

 モスクワが北極やグリーンランドを実際の戦線に変えようとしている兆候は見られない。ロシアのこの分野での政策は、むしろ防衛と、西側の軍事インフラに対する抑止を目的として展開されている。

 現在、ホワイトハウスの主にとってグリーンランドの支配は、米国の北極圏の安全を保証するだけでなく、経済的利益を得るための鍵とも映っている。しかし実際には、中国やロシアからの想定上の脅威は、グリーンランドにとっても北極にとっても、島が「カウボーイ的に」強奪されるという見通しより、はるかに小さな危険にすぎない。

 カウボーイ・シナリオは、大西洋横断パートナーシップを損ない、国境見直しという危険な前例を作るだけでなく、ロシアと西側の鋭い対立下にあっても地域の安全と安定を保証してきた「北極の例外性」という原則そのものを破壊することになる。

 北極評議会の機能が麻痺しているとはいえ、現行の秩序は、グリーンランドにとっても、他の北極・準北極諸国にとっても、そして米国にとっても受け入れ可能なものだ。ところが、北極の中心部における米国の軍事的・政治的プレゼンスを拡大すれば、クレムリンでさえ形式上は反対している地域の軍事化を、かえって加速させるだけだろう。その結果として、米国の北方国境における危険は、ほぼ確実にさらに高まることになる。


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 こちらの記事が、2025年にロシアの資源輸出価格が総じて低下したということを伝えているので、以下抜粋・抄訳しておく。

 2025年、ロシアの主要な原材料輸出品の多くで輸出価格が大幅に下落し、その結果、価格指数センター(CCI)の原材料指数は52ポイントまで低下した。これは2021年1月以来の最低水準である。2025年1月中旬までに指数は55ポイントまで回復したものの、それでもなお長期的な最低水準付近にとどまっている(上掲グラフ参照)。

 2025年に最も大きく下落したのはロシア産原油の価格だった。ウラル原油の価格は、FOBプリモルスク(レニングラード州)およびノヴォロシースクで前年比33%下落し、1バレル当たり41.1ドルとなった。ESPO原油(東シベリア・太平洋パイプライン経由)も、FOBコズミノ(沿海地方)で31%下落し、1バレル50ドルとなった。

 価格下落の要因は、世界的な供給過剰に加え、制裁の影響でロシア産原油が国際価格に対して値引きを強いられていることにある。2025年12月には、ウラル原油のブレント原油に対する値引き幅はバレル20ドルを超えていた。

 2025年はガス、石炭、石油製品の価格も下落した。特に欧州のスポットガス価格は、2025年を通じて32%下落し、1000立米当たり338.2ドルとなった。中国向けパイプライン輸出の価格は18%下落して1000立米当たり204ドル、LNGの価格は11%下落して1000立米当たり316.6ドルとなった。

 ロシア産ディーゼル燃料の輸出価格は、FOBプリモルスクおよびFOB黒海で10%下落し、1t当たり549.3ドルとなった。一般炭(発電用石炭)の輸出価格は、FOB極東で12%下落し、1t当たり79ドルとなった。

 さらに、ロシア産小麦の輸出価格も、FOB黒海で3%下落し、1t当たり226.5ドルとなった。一方、指数全体の動きを下支えしたのは、肥料の輸出価格の上昇だった。ロシア産尿素の価格は、FOBバルト海で12%上昇し、1t当たり360ドルとなった。また、ひまわり油の価格も、FOB黒海で9.5%上昇し、1t当たり1240ドルとなった。

 CCI原材料指数は、ブルームバーグ・コモディティ指数に類似した指標で、ロシアにとって重要な輸出原材料の価格を基に算出されている。CCIはこの指数を2024年5月末に正式発表した。指数は、CCIが算出する平均輸出価格に基づいて形成され、原油、石油製品(ディーゼル燃料)、ガス、石炭、肥料(尿素)、小麦、ひまわり油の輸出価格を含んでいる。各商品の価格は、ロシア輸出に占める比重に応じて加重されており、指数はロシアの原材料輸出の70%をカバーしている。

 この原材料指数により、主要輸出企業による外貨売却額を2〜3か月先まで見通すことが可能となり、同機関はそれを基にドル/ルーブル相場を予測している。なお、指数には含まれない貴金属価格の動向や、財政ルールに基づく為替介入も考慮される。

 CCIの見通しでは、原材料価格の下落を背景に、2026年にはルーブル安が進むと予想されている。同機関のコンセンサス予測によれば、2026年末までにドル相場は1ドル=90ルーブルに達する可能性がある。直近では1ドル=76ルーブルである。

 CCI原材料指数では、原油価格の比重が最も大きく(石油製品を除いて47%)、その変動が指数全体の動きを大きく左右する、と同機関は指摘している。アナリストの予測では、2026年末までにウラル原油は国際指標に対するディスカウントの縮小によりバレル52ドル水準に戻る見込みだという。

 CCIによれば、ガス価格は2025年冬の寒波と地政学的緊張の影響で、引き続き圧力を受ける見通しである。石炭価格については、大幅な上昇は期待されていない。肥料市場では当面、価格上昇が続く一方、農産物価格は2026年に下方修正される可能性があると、同機関の専門家はみている。


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ERlogo

 私は、このブログ、別途存在するホームページ、そしてあまり活用できていないがYouTubeチャンネルに、「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」という共通のタイトルを付け、情報発信を行ってきた。しかし、このほど、思うところがあり、「ユーラシアリサーチ」に改名し、今後はそれを屋号として活動していくことにした。

 これまで、「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」と銘打っていたのは、特に深い考えもなく、単純に私の主たる研究対象国を規模の順に並べただけだった。そして、以下のような3国の国旗カラーをデザインした自作ロゴをシンボルマークとして使っていた。

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 ところが、ウクライナがロシアの影響圏を脱し、欧州に仲間入りしようと必死にもがいている中で、「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ」と国名を並べることが、ウクライナの皆さんに申し訳ないと思えてきた。上のロゴも、私がデザインした20年くらい前だったら何の問題もなかったが、今のウクライナの皆さんが見たら不快に思うだろう。個人的にウクライナの研究を止めるつもりはないが、タイトルやロゴでロシアと並べるのは時節に合わないと考えるに至った。

 そこで、具体的な国名を並べるのではなく、大陸をざっくりと示す「ユーラシア」を使うことにした。最初は「ユーラシアインテリジェンス」なんて名前が格好良いかなと考えたのだが、日本で「インテリジェンス」というと諜報・機密情報的なイメージが強すぎて(外国ではそうでもないはずなのだが)、経済統計や政策文書や政治家発言などの公開情報を主な情報源に研究する私のスタイルに合わないかと考え直し、無難なところで「ユーラシアリサーチ」とすることにした。それで今回新たにデザインしたのが冒頭のロゴである。また、下のようなアイコンも作った。

ERLG

 ところで、このブログだけでなく、ホームページも「ユーラシアリサーチ」に改名したかったのだけど、実は問題に直面している。ホームページの基礎的な共通デザインを編集するのに使う「テンプレート」というファイルが、消失してしまったのである。タイトルを表示している冒頭部分は、テンプレートで作成しているので、タイトルを直せなくなってしまった。

 そんな問題もあるので、おそらくこのブログとホームページを一本化する新サイトを、近いうちに立ち上げることになると思う。新サイトではHTMLを卒業しWordPressという新しい方式で作成して、ユーザーの皆さんにより良い体験を提供するとともに、これまでブログで蓄積してきたコンテンツもきちんと引き継ぐようにしたい。まあ、ホームページの方は、2003年に立ち上げて以来、このほど累計25万ビューを達成し、手作りサイトなので個人的思い入れも大きいのだが、あと15年は現役の研究者として働きたいので、それに向けて今、一歩踏み出すべきだと判断した。


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Foreign_Trade

 これまで何度も触れてきた問題だが、とにかく私の研究の必要上、ロシアの詳しい貿易統計が手に入らないのが困る。現時点でロシア当局が発表しているのは、輸出入の総額、その大陸別の内訳、ごく大まかな商品分類(「鉱物」とか「農産物・食品」とか「機械」というレベルに留まる)だけである。2025年にロシアが日本とどれだけ輸出入を行ったかということすら、ロシア側の統計からは確認できない。もちろん、いわゆるミラーデータ、つまり日本側の統計を見れば、日露貿易のトレンドは掴めるわけだが、すべての国が日本のように貿易統計を迅速・的確に発表するわけではないので、その方法でロシア貿易の全体像を把握するのは至難なのである。意外にもロシア税関が2023年分までは紙の通関統計集を発行していることが明らかになったので、私などはそれを使って懸命に分析作業を試みたが、それとて2023年分で途切れてしまった。

 それで、このほど所属先のスラ研図書館より、『CIS貿易統計集』の最新版が入荷するという情報が届いた。まだその現物は目にしていないが、もしかしたらCIS国際統計委員会のサイトからダウンロードできるかもしれないと思いチェックしてみたら、こちらのページから最新版(2024年のデータを採録した2025年版)がバッチリダウンロードできた。このあたりは時代の進歩を感じる。

 しかし、くだんの貿易統計集をダウンロードし目を通してみたら、その内容には失望した。この統計集は、前半はCIS全体の貿易パフォーマンスを示し、後半は国ごとにより詳しい情報を掲載するという構成になっている。ところが、ロシアとベラルーシは、後半への詳細情報の提供を一切行っていないのである。以前はデータ開示に消極的だったウズベキスタンは今ではちゃんとデータを出しているし、CIS脱退に動きつつあるモルドバですらも律儀にデータを提供しているのに、ユーラシア経済統合の中核を自任するロシアとベラルーシがCIS貿易統計集にデータを出さなくなったとは、嘆かわしい限りだ。

 私はここ3年ほど、CIS貿易統計集を見る機会がなかったので、過去に遡って調べてみた。そしたら、2022年のデータを採録した2023年版から、ロシアとベラルーシは詳細情報を出さなくなっていたようだ。不思議なことに紙のロシア通関統計集は2023年版まで出たわけだが、CIS貿易統計集での情報シャットアウトはそれより早く徹底していたことになる。


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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 さて、英国勢やモータウン、ビーチボーイズなど若者音楽が猛威を振るったこの時代、オトナの音楽もちゃんと生きていた。It Was A Very Good Year - Frank Sinatraは、今週の28位が最高位だったか。メガヒットというわけではないが、何十年たっても、心に染み入る歌声だ。

その頃ソ連では
1966年1月2日:ソ連で、原子力発電所の設計を行うための特別設計プロジェクト局が設立される。基盤となったのは、モスクワ支部で原子力発電所関連の業務を行っていた総合設計第1部門(旧・総合設計第7部門)。原子力発電所設計に関する研究所の中核部門としての機能を担い、設計の全段階において原子力発電所の総合設計を行う任務が課せられた。

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novak3

 ロシアという国の、実に良く分からないところの一つは、一連の経済指標を国家機密として非公開にしながら、政権幹部がその数字を普通に語ったりすることである。特にエネルギー担当のA.ノヴァク副首相が、毎年初頭に『エネルギー政策』という雑誌に寄稿し、前年のエネルギー関連の指標を気前良く発表することが、恒例と化している。今年もこちらのノヴァク論稿が発表され、2025年の世界とロシアのエネルギー情勢について論じている。ただ、石油生産量こそ明らかにしているが、一頃に比べるとデータを出し惜しんでいる印象がある。ともあれ、以下で論文を翻訳しておく。

 現代世界は大規模な地政学的・経済的変容の只中にあり、インフラの信頼性、技術の発展、持続可能なパートナーシップ関係は、グローバルなエネルギー需給バランスの安定を維持するために決定的に重要である。現在の状況および世界エネルギー市場の将来展望の分析、主要プレーヤーの燃料・エネルギー複合体の進化、ならびに国家と産業企業の相互協力の可能性は、エネルギー産業の協調的かつ信頼性の高い運営が世界経済の成長の見通しと人類全体の未来を左右する以上、引き続き国際社会の注目の的となっているのである。

 2025年のエネルギー部門の様相は、経済成長の重心が東方へと移行し続けていること、および世界経済全体の成長率によって大きく左右されている。年間を通じて、世界の燃料・エネルギー複合体は地政学的要因の圧力下に置かれていた。制裁は経済的威嚇の手段へと転化し、その結果、世界の分極化、技術の重複、ならびに貿易フローの再編成が進んでいる。予測に反し、従来型エネルギー源は依然として世界のエネルギーバランスにおいて主導的地位を占め続けている。石油・ガス・石炭に対する高い需要は維持されているのみならず、引き続き増加している。実際、2025年における従来型エネルギー源への需要は1%増加したのである。主要なトレンドとして、世界的な電力需要の増加が引き続き挙げられる。年末時点でその伸び率は3.3%に達し、世界経済の平均成長率(3.2%)を上回った。高い電力消費は、電力集約型の計算技術や人工知能の導入、自動車輸送、電化、ならびにロボット化の進展によってもたらされているのである。

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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2026年2月号のご案内。今号は「戦争長期化が映し出すロシアとウクライナの今」と題する特集となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今号では、私が久し振りに「主役」で、特集巻頭に「ロシアの貿易統計に見る東方シフトの虚実」と題する論文を寄稿したほか、連載記事として「ウクライナで目立ってきた『戦後論』」、「ウクライナ侵攻で一変したロシアの財政シナリオ」も執筆。さらに、表紙の写真も私の撮影によるものです。


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 こちらのページに、Avtostatの集計による2025年のロシアにおける乗用車(新車)販売データが出ているので、紹介する。

 2025年のロシアの新車販売台数は132万6,016台で、前年比15.6%落ち込んだ。ブランド別の販売台数は上表のとおりで、ロシア地場メーカーのLADAがシェア24.9%でトップに立っている。以下は中国系が多いが、5位のベルジーはベラルーシと中国の合弁。TENETというのは初顔であり、ロシアのAGR ホールディングと中国のDefetooが協力し、カルーガの元VW工場で中国の奇瑞(Chery)車をベースとしたSUV やクロスオーバーを生産しているらしい。日本のトヨタとしては、こんな「ブラックリスト」には入りたくなかっただろう。

 まあ、現状でロシアの自動車ローンは年利20%以上に上っていると見られ、普通はこの高金利ではクルマを買おうという気は起きないだろう。

 モデル別のベスト10は以下のとおりとなっている。

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 こちらのページに見るように、ロシア財務省が2025年のロシア連邦予算の執行実績(速報値)を発表したので、私が定番で作成しているグラフとともに、紹介したい。

 今回の発表によると、2025年のロシア連邦予算の歳入は37兆2,840億ルーブル(うち石油・ガス歳入が8兆4,770億ルーブル、非石油・ガス歳入が28兆8,070億ルーブル)、歳出は42兆9,280億ルーブル、財政収支は5兆6,450億ルーブルの赤字で、財政赤字の対GDP比は2.6%だった。

 2025年のロシアの連邦予算は、年度中2度修正された。6月に成立した修正法では、油価低迷を踏まえ、石油・ガス歳入が下方修正された。その時には非石油・ガス歳入の伸びに期待したのだが、それも伸び悩んだので、11月に成立した修正法で非石油・ガス歳入も下方修正され、より大きな赤字を想定することになった。上図はそのあたりの経緯を跡付けている。

 実は、2025年の終盤には、一部の専門家が、「赤字がさらに膨らむのではないか」との見方を示していた。だが、今般発表された実績は、おおむね11月の修正法に見合った水準となり、さらなる財政悪化というシナリオはとりあえず回避された。


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 こちらのサイトに、2025年のロシアの海港による取扱貨物量のデータが出ているので、以下まとめておく。

 ロシア港湾協会が入手した情報によると、2025年のロシアの海港の取扱貨物量は、前年と比べて0.4%減少し、8億8,450万tとなった。

 乾貨物の取扱量は4億4,170万t(0.2%減)で、その内訳は、石炭2億290万t(7.8%増)、穀物5,220万t(31.1%減)、コンテナ貨物5,400万t(2.7%減)、肥料4,590万t(8.0%増)、鉄鋼2,300万t(20.8%増)、鉱石1,590万t(29.1%増)、フェリー貨物830万t(3.0%増)であった。

 液体貨物の取扱量は4億4,280万t(0.5%減)で、その内訳は、原油2億7,490万t(2.8%増)、石油製品1億2,110万t(7.7%減)、液化ガス3,720万t(2.5%増)、食品系液体貨物570万t(11.4%減)であった。

 輸出貨物は6億9,660万t(0.6%減)、輸入貨物は4,120万t(3.9%減)、トランジット貨物は7,150万t(10.0%増)、内貿貨物は7,520万t(5.0%減)であった。

 北極海港湾の貨物量は8,710万t(6.3%減)で、このうち乾貨物は2,130万t(18.3%減)、液体貨物は6,580万t(1.6%減)であった。ムルマンスク港は4,700万t(9.8%減)、サベッタ港は2,910万t(0.4%減)、ヴァランデイ港は460万t(10.3%減)、アルハンゲリスク港は220万t(14.6%減)となった。

 バルト海港湾の貨物量は2億7,130万t(0.6%減)で、このうち乾貨物は1億2,680万t(2.4%増)、液体貨物は1億4,450万t(3.2%減)であった。ウスチルガ港は1億3,050万t(3.4%減)、プリモルスク港は6,390万t(5.2%増)、大サンクトペテルブルグ港は5,460万t(3.0%増)、ヴィソツク港は1,160万t(6.6%減)であった。

 黒海港湾の貨物量は2億6,540万t(3.9%減)で、このうち乾貨物は1億1,870万t(5.0%減)、液体貨物は1億4,670万t(1.5%増)であった。ノヴォロシースク港は1億6,800万t(1.9%増)、タマン港は2,950万t(4.1%増)、トゥアプセ港は2,180万t(1.7%増)、カフカス港は1,490万t(35.0%減)、ロストフナドヌー港は1,270万t(19.7%減)であった。

 カスピ海港湾の貨物量は860万t(5.4%減)で、このうち乾貨物は570万t(11.7%減)、液体貨物は290万t(10.3%増)であった。アストラハン港の取扱量は460万t(5.2%減)に減少し、マハチカラ港は350万t(6.5%増)に増加した。

 極東港湾の貨物量は2億5,210万t(6.6%増)に増加し、このうち乾貨物は1億6,910万t(9.4%増)、液体貨物は8,300万t(1.2%増)であった。ヴォストーチヌイ港は8,470万t(3.5%減)、ヴァニノ港は4,210万t(43.6%増)、ウラジオストク港は4,160万t(11.1%増)、ナホトカ港は2,810万t(2.1%減)、プリゴロドノエ港は1,340万t(1.5%増)となった。


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 私はしばらく前からYahooニュースの「エキスパート」を務め、既成の記事にコメントをしてきた。また、話題のニュースの要点を紹介する「エキスパートトピ」という機能もあり、それもすでに2度ほどやってみた。

 それに加え、Yahooニュースの「エキスパート」は、自分自身で記事を書いてYahooのプラットフォームに載せることもできる。今までやったことがなかったのだが、今般初めてそれを試し、「モルドバ大統領のルーマニアとの統一発言に思う」という記事を書いてみた。他にも色々あるので、そう頻繁にはできないが、反響を見て手応えがあったら、今後も月に1~2回くらいは書いてみようかなと思っている。


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 こちらの記事によると、ロシアのA.シルアノフ蔵相が2025年の財政赤字について述べたということである。

 記事によると、2025年の連邦財政の赤字がどうなったのかと問われたシルアノフ蔵相は、「予定通りであり、対GDP比2.6%になった」と述べた。ちなみに、2025年の当初予算は赤字1兆1,730億ルーブル(GDP比0.5%)で組まれていたが、それが1回目の修正で3兆7,920億ルーブル(GDP比1.7%)に、2回目の修正では5兆7,370億ルーブル(GDP比2.6%)に拡大した経緯がある。1~11月の時点では赤字は4兆2,760億ルーブル(GDP比2.0%)だった。


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 ロシア統計局より、2025年のロシアのインフレ率(消費者物価上昇率)が発表されたので、定番のグラフを更新してお目にかける。毎度のことながら、侵攻後の推移を跡付けることが目的のグラフであり、侵攻の長期化に伴いグラフもだいぶ横長になってしまった。クリック・タップし拡大してご利用を。2026年以降はどうするか、悩みどころだ。

 2025年12月のロシア消費者物価は、前月比0.32%増、前年同月比5.59%増だった。というわけで、2025年通年のロシアのインフレ率は、5.59%だったということになる(2025年1~12月の平均ではより高く8.69%増)。2025年のインフレ率を分野別に見ると、食料品が5.24%増、非食料商品が2.99%増、サービスが9.30%増であった。

 侵攻前の2021年12月の水準を100とし、その後の推移を跡付けたのが、下図となる。2025年の途中までサービスの値上がりが激しかったのは、住宅・光熱費、都市交通などの公共部門であり、このあたりは財政の厳しさが市民生活へのしわ寄せとして表れていると言えそうだ。

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 ロシア・ウクライナ情勢が大変だが、毎週土曜日の息抜き企画を今日もお届けする。60年前のアメリカ・ヒットチャートを振り返るシリーズ。

 それにしても、この週の前後のチャートアクションは興味深いもので、サイモン&ガーファンクルが1位に立ち、翌週それをビートルズのWe Can Work It Outが引きずりおろして2週にわたりトップに立ったかと思ったら、今週はまたS&Gが1位に返り咲いた。実は来週はビートルズがまた1位を取り戻すわけで、ビルボード史上に残るデッドヒートだったかもしれない。

 さて、そんな熾烈な上位とは別に、下の方に私のフェイバリットがいたので、今週はこれを取り上げる。ニューオリンズR&Bを語る上で重要な一曲、Get Out Of My Life, Woman - Lee Dorseyが今週68位に着けている。個人的にとにかく好きとしか言いようがない。

その頃ソ連では
1966年1月13日、ソ連・イラン間で、1970~1985年のイランの対ソ天然ガス供給、ソ連の対イラン機械設備供給に関する協定、イランにおける産業およびその他の施設建設の協力に関する協定締結。

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 どうも私の印象ではウクライナの組織というのは大事なことをHP本体よりもフェイスブックページで発表する傾向があるように感じる。以前そのことをウクライナ人に指摘したら、いやそんなことはない、フェイスブックはオワコンといった返事が返ってきたりして、定かではないのだが。

 それで、ウクライナ港湾管理局のフェイスブックページに、2025年のウクライナの港湾による取扱貨物量という情報が出たので、以下で訳しておく。

 ウクライナの海港は、港湾業界の強靭性と、戦時の脅威下でも稼働できる能力を裏付ける結果をもって、2025年を終えた。

 前例のない安全保障上の圧力、港湾インフラへの攻撃、そして度重なる大規模な空襲警報にもかかわらず、2025年のウクライナ港湾の取り扱い貨物量は、計画値の95%強の水準を達成した。

 計画によれば、2025年の海港の貨物量は8,620万tと設定されていた。実績は8,220万tで、計画比95.36%に相当し、予測値(8,176万9,000t)に対しては100.5%の達成となった。

 2025年の貨物量の中核を成したのは引き続き農産物で、4,420万t、総量の53.7%を占めた。コンテナ輸送は大幅な増加を示し、年間の取扱量は前年の12万9,902TEUに対し、21万5,748TEUに達した。ウクライナの製品は世界55か国に輸出された。

 2025年の重大な挑戦の一つは、頻発する空襲警報と港湾インフラへの攻撃であった。オデーサ州だけでも空襲警報は800回以上発表され、累計の操業停止時間は1ヵ月間以上に達し、港の運営において実質1ヵ月分の稼働損失となったのだ。

 それにもかかわらず、港湾業界は海上物流と輸出ルートの維持を確保した。ウクライナ港湾管理局は、国防軍、港湾労働者、港湾荷役会社、および業界のすべての専門家に対し、その専門性と忍耐に感謝を表するとともに、航行の安全と海上回廊の機能維持を確保したウクライナ海軍にも謝意を表する。

 以上がウクライナ港湾管理局の発表であった。上記で、2025年の実績が、計画値や、予測値と比べて悪くなかったと発表せざるをえないのが、苦しいところである。今回の発表にはないが、2024年のウクライナの港湾貨物量は9,720万tだったことが知られているので、前年比ではマイナス15%ほどの落ち込みだったはずである。だが、戦時でそのような数字を示せば士気にかかわるので、実績を計画値や予測値と比べて発表したのだろう。


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2026年2月9日ポスター

 これはかなりの勝負企画です。2月9日、東京にお邪魔し、ROLESさんと共催で、研究報告会「戦争が変える国際安全保障と経済 ―欧州から北極へ広がる戦略空間―」を開催いたします。対面・リモートのハイブリッドですが、いずれも事前のお申し込みが必要となっております。ぜひチェックしてみてください。


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 ロシアが近年進めている輸入代替政策は、だいたい掛け声倒れに終わっているが、食品の分野ではある程度進捗し、勢い余って輸出に転じているものも少なくない。そんなパターンの一例で、こちらの記事が食肉等の輸出増を伝えているので、以下抄訳しておく。

 ロシア農業監督庁によると、2025年のロシアからの食肉および肉製品の輸出は、2024年の82万4,100tと比べて10.6%増加し、91.1万t強となった。

 内訳として、家禽の肉および食用内臓の輸出は7.2%増の40万9,500t、豚肉は22.7%増の27万500t強、小型および大型家畜ならびに豚の食用内臓は34.1%増の約9万400tとなった。さらに、加工済み肉製品の輸出は8万4,100t、牛肉は3万3,300t強、乳製品は19万1,900tだった。また、生体動物の輸出も74.5%増加し、69万4,200頭に達した。

 なお、2025年の実績では、ロシアから輸出された野菜、根菜類、塊茎類は36万7,300tとなった。また、ジャガイモも多く、20万7,000tに達した。次いで輸出量が多かったのは、根菜類(ニンジン、カブ、ビート、セロリ、ラディッシュ)で、2024年比45.1%増の5万4,400t超、タマネギとニンニクが3万6,800t、キュウリが2万4,500t強だった。

 さらに、2025年には果物とナッツが9万3,700t輸出された。加えて、仁果類(リンゴ、ナシ、マルメロ)の出荷量は2.7倍の2万300tに増加し、ナッツ類は52.2%増の6,000tに達したことも報告されている。


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