ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

タグ:ユーラシア経済連合

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 昨日、ツイッターで奇妙なスライドが回ってきた。「ユーラシア経済連合の統合深度は、EUに次いで世界2位」という図である。当のユーラシア経済連合の事務局であるユーラシア経済委員会によるツイートだった。

 ものすごーく重いのでご注意いただきたいが、原資料はこちらからダウンロードできる。また、より詳しい方法論とレポートは、こちらかダウンロードできる。

 この比較作業は、ユーラシア経済委員会自身の方法論によるものであり、世界にある様々な経済統合組織を、制度、市場原則、マクロ経済の収斂度という3つの指標から調査し、統合の深度を比較するという試みである。主にEU、ユーラシア経済連合、ASEAN、南米南部共同市場(メルコスール)の4つが比較されている。そして、短期間で急激に統合の実を挙げているユーラシア経済連合が、現時点でEUに次ぎ世界で2番目に深い統合の深度を達成しているとされているわけである。

 お手盛り評価という感が強いが、よく考えてみれば、EU以外に完成度の高い経済同盟というのは、世界にそれほど存在するわけではない。ユーラシア経済連合の場合、肝心なところで骨抜きになったりしてはいるものの、少なくとも表向きの統合の射程は非常に大胆なものなので、評価の仕方によっては、EUに次ぐ世界2位ということになっても、不思議ではない。


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 こちらのコラムが、ここに来てアゼルバイジャンがロシアとの関係を重視するようになっている旨論じている。ロシア人が書いたロシア目線のテキストという感じもなきにしもあらずだが、要旨をまとめておく。

 アゼルバイジャンは優先順位を見直してロシアとの関係を重視するようになっており、それは最近の両国間の高官の往来にも表れていた。アゼルバイジャンは、運輸・エネルギーのプロジェクトで繋がりの深いトルコとの戦略的関係を保持しつつも、ロシアとの既存および計画されているプロジェクトにも関心を強めている。

 アゼルバイジャンのそうした変化の一因は、EUが新たなパートナーを受け入れる熱意が低いことである。アゼルバイジャンにとってそのことは、不利な連合協定の締結を迫られながら、その結果得たのはEUからの輸入増大やいつまで続くかも不確かなビザ免除協定だけだったという隣国ジョージアの教訓からも明らかである。

 先日、アゼルバイジャンのメフリバン・アリエヴァ第一副大統領がロシアを訪問し、国家元首でもないのにプーチン大統領が直々に会談し、二国間関係に尽したとして勲章まで与えた。一部の専門家は、プーチンはメフリバンを「未来の大統領」として受け入れたと論評した。マスコミ等では、イルハム・アリエフ大統領は次期大統領選に出馬せず、妻のメフリバンにその座を譲るという観測が絶えないからである。ただ、そのことの真偽は定かではなく、確かなのは、両国関係が拡大しているという事実である。

 アゼルバイジャンの専門家によれば、最近行われた機構・人事改革の結果、政権におけるメフリバン・アリエヴァ第一副大統領の役割は高まっており、国際舞台で国を代表する役割を与えられ、それには対ロシア関係も含まれ、今般のロシア訪問団を第一副大統領が率いることになったのもまさにそのためだった。昨年、アゼルバイジャン・ロシア経済協力二国間委員会のアゼル側の共同議長にM.ジャバロフ経済発展相が就任したが、同氏はメフリバン第一副大統領のチームの一員であるという。アゼルバイジャンはロシアとの関係で社会・経済分野を重視しており、今回のロシア訪問団にも同分野の高官が多く参加していた。そして、それらの分野の機関を束ねる役割を果たしているのがメフリバン第一副大統領である。

 ここ数年、二国間の貿易は順調に伸びており、すでに25億ドルを超え、本年は30億ドルの達成も見込まれる。経済関係における投資の役割が高まっており、しかも投資は双方向となっている。特にアゼルバイジャン企業が石油精製をはじめるとするロシアの加工部門に投資をしており、たとえば国営石油会社SOCARはロシアのアンチピノ製油所の株式を取得、実質的にロシアの石油精製市場におけるプレーヤーに躍り出ている。一方、アゼルバイジャンは同国が第三国で実施するプロジェクトにロシアの参画を得ており、たとえばSOCARがトルコに開設したスター製油所に供給される原油の半分ほどがロシア産となっている。さらに、アゼルバイジャンとトルコはガスパイプラインTANAPおよびTAPが輸送するガスの一部もロシア産とすることを検討しており、ガスプロムと交渉している。

 対するロシアは、自身が主導する国際的枠組みにアゼルバイジャンの参加を得ることを目指しており、それにはアゼルバイジャンがユーラシア経済連合に加入する可能性も含まれる。現に、プーチン大統領はアリエフ大統領をモスクワでのユーラシア経済連合サミットに招待した。


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 こちらのサイトで、アネット・ボアという専門家が、カザフスタンの対外政策、とりわけウズベキスタンを中心とした中央アジア諸国への働きかけについて論じているので、要旨を以下のとおり整理しておく。

 ナザルバエフがカザフスタンの大統領職から退き、後任がトカエフとなって、この間の注目すべき動きとして、中央アジア域内の協力関係が拡大していること、カザフの新体制が地域対話を改善しようとしていることが挙げられる。

 カザフは長らく、中央アジア固有のプレーヤーというよりも、ロシアと中央アジアを取り持つユーラシア国家としての自意識を形成してきた。しかし、2017年以降、それまで弱かった中央アジアの周辺国との協力関係強化を模索するようになった。それは多分に、ウズベキスタンという大きな市場の自由化の賜物だったが、それ以外の要因もある。

 その要因の一つは、カザフがロシアの対応を新植民地主義的なものと見なすようになっていることである。その一例がロシア主導のユーラシア経済連合であり、カザフはその実態に満足しておらず、この経済同盟に強固に縛り付けられることは望んでいない。モスクワから適度に距離を置くためにも、カザフは中央アジアの地域的な枠組みに関心を示すようになっている。

 石油依存を軽減する狙いもあり、カザフはユーラシア統合における運輸・テレコム・投資のハブになることを目論んでいる。中央アジアにおける輸送のリードタイムは世界の他地域に比べて大きいので、カザフのこの路線は中央アジア域内貿易を活性化する効果がある。

 さらに、カザフにおける人口トレンド、教育の民族主義的な方向へのシフトにより、同国指導部は中央アジア全体との紐帯を重視するようになっている。ウズベキスタンでミルジョエフ大統領が誕生し、カザフ側は両国の地理的近接性、経済的補完性、文化・歴史の繋がりなどをより意識するようになった模様である。

 また、中央アジアでは、孤立主義的なトルクメニスタンもある程度含め、域内貿易はお互いにとって利益であるという認識が広がっている。ロシアの抱える経済的問題を考えれば、なおさらである。カザフ・ウズベク関係が強化されるにつれ、中央アジア全体の域内協力が動き出し、2018年には中央アジア域内貿易が前年比35%増加した。

 ただし、カザフもウズベクも、中央アジア・レベルでの統合、機構化の議論はないとしている。以前の試みはロシアによって横取りされ、中央アジア独自の調整機構はできなかったという教訓があるのだろう。

 カザフもウズベクも、健全な競争が、外国投資の獲得など、両国経済のためになるという認識である。ただし、カザフの民間専門家の中には、ウズベクの台頭を、カザフから投資を奪ってしまうものとして、潜在的な脅威と見なす向きもある。ウズベク側はすでに一回政権交代を経験したという意味で有利なのに対し、カザフにはナザルバエフが完全に姿を消したらどうなるか分からないというハンデがある。ウズベクの人口はカザフの1.3倍で、製造業も一定の発展を見ており、安全保障面においては地域のリーダーである。その代わり、ウズベクのGDPはカザフの3分の1であり、キャッチアップ過程にある。

 カザフの貿易全体に占める中央アジア諸国のシェアは5%以下であり、ロシア、中国、欧州などの取引とは比べ物にならない。したがって、カザフは今後も、中央アジア地域のリーダーというよりは、グローバルなプレーヤーとしての立ち位置を重視し続けるだろう。


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 当ブログでも過日お伝えしたように、ウズベキスタンがユーラシア経済連合に加入するのではないかとの見方が、一部で取り沙汰されている。これに関し、こちらの記事の中で、F.ルキヤノフという有識者がコメントしているので、要旨を整理しておく。

 ルキヤノフ氏いわく、ウズベキスタンがユーラシア経済連合に加入するにはコストも要するが、プラスの方がはるかに大きく、同国にとっては条件をすべて精査し、最大限の利益を引き出すことが得策だろう。全体として言えることは、この地域においては統合が不可避ということである。行動の自由を確保しつつ、国が発展していく上での立ち位置を固めなければならない。ウクライナやモルドバにとってとは異なり、ウズベキスタンにはEUという選択肢はない。他方、中国は結局のところ自国の国益を志向しており、他の国の発展には関心を示さない。そうした中で、ユーラシア経済連合は大いに受入可能な枠組みである。

 いずれにしても、政治的決定を下すのはウズベキスタン自身であり、すべてのプラスを考慮し、必要な経済セクターを保護しようとするだろう。参加という判断が下されるにせよ、すぐにではなく、加盟条件が肝となる。ユーラシア経済連合では、共通の規定や原則はあるものの、加入条件は国ごとに異なる。加盟国の経済はまちまちで、交渉力も異なっており、厳しい駆け引きが不可避だ。EUでも、ポーランドが自国の立場を守り通したのに比べ、チェコの加入条件は不利だった。ウズベキスタンの場合、もしもユーラシア加入の条件が折り合えば、すべての国にとって得になるだろう。ルキヤノフは以上のようにコメントした。


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 ロシア・ベラルーシ・カザフスタンによる関税同盟が成立した当初は(その後5ヵ国によるユーラシア経済連合に発展)、ロシアの自動車メーカー(外資系も含む)がその枠組みに乗ってカザフスタンやベラルーシへの輸出を強化するという現象が見られた。しかし、こちらこちらの記事によると、ここに来て、カザフやベラルーシの新興自動車工場からロシアへの輸出という逆転現象も目立ってきているということである。

 ロシアAvtoVAZのカザフにおけるパートナーとなっているのが、アジアアフト社である。アジアアフトは、現在はカザフ国内市場向けのセミノックダウン生産だけを行っているが、ウスチカメノゴルスクにおける一貫生産工場の建設を2021年に完了することになっている。新工場の第1ラインの生産能力は年産6万台で、一部をカザフ国内市場に、一部をロシアを含むユーラシア経済連合諸国に供給する。

 AvtoVAZとカザフ側のビペクアフト・アジアアフトは数年前に契約を結び、AvtoVAZのシベリアおよびウラル連邦管区におけるディーラー網の経営権を後者が取得した。両社による合弁企業が2014年に設立されており、それと引き換えにAvtoVAZはカザフ市場へのアクセスを得た。現在のところビペクアフト・アジアアフトはシベリアとウラルのディーラーでロシアのトリヤッチおよびイジェフスクで生産されたラーダ社を販売しているものの、新工場が完成したらシベリアおよびウラルへの輸送が格段に楽になる。カザフ側は新工場からロシア極東への供給にも興味を示している。

 一方、ベラルーシにおいては、ミンスク州ボリソフ近郊にベラルーシ中国合弁のベルジー社による新工場が建設され、すでに年産6万台が可能であり、12万台への拡張計画もある。現時点では、セダンのEmgrand 7、クロスオーバーのEmgrand X7、そしてクロスオーバーのAtlasという3モデルが生産されている。前2者が旧モデルなのに対し、AtlasはVolvoの協力も得て開発した最新鋭モデルである(中国の吉利汽車(Geely)は2010年にVolvoを買収している)。ベルジーは2019年1~10月にロシア市場で7,260台を販売し、前年同期比213%増であった。

 専門家のS.イファノフは、アジアアフトおよびベルジーは合計でロシア市場の5%を占めることが可能であるとの見方を示す。それに対し、ロシア経済発展省の自動車部門の顧問であるS.ブルガズリエフは、両社がロシア市場でロシア工場の製品に太刀打ちするのは難しいだろうと、懐疑的な見方を示した。


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 上の図に見るように、ロシアなど5ヵ国から成るユーラシア経済連合では当初、2019年から共同電力市場が立ち上がるということになっていた。それが実際にどうなったのか、気になったので調べてみたところ、2025年まで先送りになっていたということが判明した。

 こちらの記事などが伝えるように、ユーラシア経済連合の電力共同市場に関する国際条約が、2019年5月29日にヌルスルタンで開催された首脳会議において調印されたという。この時点では、条約は6月末までに発効する予定とされていたが、実際にどうなったかは不明である。

 私が調べた範囲内では、こちらに掲載されている「ユーラシア経済連合創設条約に電力共同市場を形成する部分に関する修正を加えるプロトコール」と称するものが、当該の国際条約なのだろう。

 そして、ユーラシア経済委員会のこちらこちらのページによれば、共同電力市場は「遅くとも2025年の年初から稼働し始める」とされているわけである。共同市場の基本ルールについては合意したが、今すぐに実行に移せる準備は整っていないということだろうか。

 経済統合の推進が当初のスケジュールよりも遅れるということは、あっても不思議ではなく、そのこと自体はやむをえまい。しかし、個人的に問題だと思うのは、「当初2019年立ち上げとされていた共同電力市場が、6年も遅れることになった」ということがきちんと説明されておらず、当初のスケジュールなどなかったことのようになってしまっていることである。こういった態度では、問題点を洗い出して、その課題を着実に解決していくということが、難しくなると思うのだ。


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 ロシアなど5ヵ国から成るユーラシア経済連合は、域内の経済統合の進捗は怪しい面もあるが、域外の第三国との経済連携ネットワークの構築では意外に成果を挙げている印象がある。

 こちらのサイトによれば、ユーラシア経済連合は10月25日の政府間協議会の席で、セルビアと自由貿易協定(FTA)を締結したということである。

 上掲サイトによれば、ユーラシア諸国のうち、ロシア・ベラルーシ・カザフスタンの3ヵ国は、セルビアと個別に自由貿易取決めを有していた。今回の新協定は、それらを一本化するとともに、キルギス、アルメニアもセルビアとのFTAの枠組みに参加でき、また法規制関係を刷新することに新味があるということである。

 ただ、セルビアは数年後のEU加盟を目指しているはずであり、そうなれば独自の通商政策は消滅するので、今回のユーラシア・セルビアのFTAは短命に終わるかもしれない。他方、今回のようにセルビアがユーラシアに接近する姿勢を見せることが、同国のEU加盟交渉上どう作用するかは、微妙な問題であろう。


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 ユーラシア経済連合の話題が続いて恐縮である。ユーラシアとイランの間では、2018年5月に暫定FTAが締結され、それが本年10月27日に発効することになっている。それで、こちらの記事によると、イランとしてはそれに飽き足らず、ユーラシア経済連合の加盟国になることに前向きな姿勢を示しているということである。このほどイランのエネルギー相が、テヘランで記者団に対して、「ユーラシア経済連合はイランに対して、正式な加盟国になるための3年間の期間を与えた」と発言したという。

 ユーラシア経済連合は、旧ソ連諸国による経済統合を想定した統合機関であり、実際に現加盟5か国もすべて旧ソ連諸国。もし仮にイランの加盟が実現すれば、ユーラシアにとってまったく新たな展開となる。

 しかし、こちらの記事によると、ユーラシア諸国、特にカザフスタンは、イランを加盟国として受け入れることに後ろ向きである。FTAはともかく、米国の厳しい制裁下にあるイランを正式加盟国として受け入れるようなことは時期尚早である。イランが加盟すれば、ユーラシア経済連合が政治化し、反西側同盟のように映ってしまい、このことは石油輸出先や生産プロジェクトで欧米に依存するカザフスタンにとってまずい事態だからである。カザフ国内にはユーラシア懐疑派がおり、イランの加盟はそうした風潮を強めることになる。


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 カリモフ時代には独立独歩の外交路線を歩み、ロシア主導のユーラシア経済連合に加入する素振りも見せなかったウズベキスタンだが、ミルジョエフ現大統領になってからは、ロシアとの協力にも割と前向きになってはいた。そうした中、こちらの記事が伝えるように、ウズベキスタンがユーラシア経済連合加入を検討しているという情報が、唐突に伝えられた。タシケント訪問中のロシアのマトヴィエンコ上院議長が10月2日にその旨を明らかにしたものである。

 また、こちらの記事によれば、ユーラシア経済連合側は、仮にウズベキスタンが加入した場合の条件、リスクなどを検討する作業を2019年末までに終える予定ということであり、これもマトヴィエンコ議長が述べた。ユーラシア側は検討のための作業部会を設け、ロシア政府ではシルアノフ第一副首相が代表を率いるということである。マトヴィエンコ議長は、「ウズベキスタンの大統領は、経済統合組織への参加は今日の現実であるということを理解している。最終決定を下す前に、本格的な条件分析、経済に害がないかどうか、雇用に影響がないかを分析することが大事だということを、彼は正しく理解している」と述べた。さらに、マトヴィエンコ議長によれば、CIS集団安保機構も、ウズベキスタンの復帰の問題につき検討する用意があるということである。

 以上が、報道の伝えるところである。きわめて注目に値することは間違いないが、個人的には今のところ本件が本当に進展するかについては、半信半疑だ。ウズベキスタンの首脳ではなく、ロシアの政治家(しかもマトヴィエンコという微妙な立ち位置の人物)が表明したというところが気になる。


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 こちらのサイトこちらの記事によると、このほど(10月1日)、ユーラシア経済連合の首相定例会合であるユーラシア最高経済評議会がアルメニアの首都エレヴァンで開かれ、その場においてシンガポールのリー・シェンロン首相との間で、ユーラシア・シンガポール間の自由貿易協定(FTA)に締結したということである。ユーラシアにとってはベトナムとのFTAに次ぐ2例目となる。また、すでに締結されているイランとの暫定FTAは、10月27日に発効するということである。

 なお、こちらの記事によると、上記の会合にロシアのプーチン大統領が出席し、「ユーラシア経済連合は経済協力の地理的範囲を拡大しており、13の国、20以上の国際機関と協力交渉を行っている。インドとのFTA交渉も近く開始される」と述べた由である。


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 これは、ロシア極東のウラジオストクで開催されている東方経済フォーラムの枠内での出来事である。こちらの記事によると、ロシアのプーチン大統領は4日にインドのモディ首相と会談し、その後の共同記者会見で、(ロシアなど5ヵ国から成る)ユーラシア経済連合とインドは、自由貿易圏(FTA)創設のための交渉を行う用意があると表明した。プーチン大統領は、「FTAの創設により貿易を多様化する新たな可能性が生まれると確信する。これは双方共通の目的であり、近いうちに当該協定を策定するための交渉第一ラウンドが行われることになる」と発言した。

 服部の理解によれば、これまでユーラシア経済連合はインドとは単なる「協力協定」のようなものを結ぶ意向とされていたので、FTAという話は今回初めて出てきたものではないかと思う。

 なお、いつも申し上げるように、ユーラシア経済連合という多国間組織の通商戦略を、ロシア一国の大統領が軽々しく発言してしまうのは、不適切であろう。同じことをキルギスの大統領がやったら、ロシアは激怒するはずである。


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 前々回前回に引き続き、小泉悠さんの新著『「帝国」ロシアの地政学 』(2019年、東京堂出版)の紹介を続けたい。

 本書においては、プーチン政権のロシアによるユーラシア統合の試みと、EUによる欧州近隣諸国政策~東方パートナーシップという東西の政策的なイニシアティブがせめぎ合って、ウクライナ危機を招来したことが、中心的なトピックの一つとして取り上げられている。本件は、私自身も研究に取り組んだので、本書の関連個所はとりわけ注意深く読んだ。

 当該の問題に関し、著者は次のような見解を述べている。

 プーチン首相が2011年に提起したEEU(ユーラシア経済連合)は、旧ソ連諸国内の経済統合による経済発展というポジティブな性格を装いつつ(実際、そのような効果は見込まれていたとしても)、それらの国々がEUの経済圏に取り込まれるのを防ぐこと=経済面でロシアの消極的勢力圏に留め置くという、よりネガティブな性格も有していたことになる。

 小泉氏のこの視点は、私にとっては新鮮で、「なるほど」とうならされた。ただ、私自身は、ユーラシア統合がロシア経済に及ぼしうるポジティブな効果(少なくともロシアの政策担当者はそのように信じた)に着目する分析を続けてきただけに、そうした側面ももう少し考慮に入れる方が公平ではないかと考える。2011年のプーチンのユーラシア統合構想は、ロシア・ベラルーシ・カザフスタンという3国の関税同盟がそれなりに上手く機能したことを前提にしたものだったし、当時ロシアの近代化が国是とされる中で、ロシアにとっての市場拡大や、イノベーション的発展といった要請が、ユーラシア統合構想に繋がった面があった。ウクライナは、単に潜在的な市場規模が大きいだけでなく、ロシアが戦略的に重視する航空・宇宙産業や原子力産業においてもパートナーと位置付けられていた。

 とはいえ、ウクライナ危機が激化するに連れ、もともとそれなりにあったと私が考えるユーラシア統合によるポジティブな経済効果といった要素は吹き飛び、小泉氏の指摘するようなネガティブな側面だけが前面に出る結果になったのは、そのとおりであろう。本書にある、「中長期的に見た場合、ロシアのこうした振る舞い(勢力圏を率いようとする大国的振る舞い)は周辺諸国の警戒感を強め、結果的に勢力圏を衰退させる作用を持つのではないだろうか」との指摘には、首肯せざるをえない。


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 こちらに、ちょっと興味深い話題が出ている。ロシアなど旧ソ連5ヵ国から成るユーラシア経済連合の枠内で、統一バスケットボールリーグが創設されるというのである。最初は、「お、凄い」と思ったが、良く読んでみると、そこまで本格的な話ではないようだ。

 国境の垣根を越えた国際的なリーグ戦と言えば、たとえば米・加をまたにかけたMLBとか、欧州諸国を網羅したUEFA CLとか、そういう最高峰のコンペティションが想像されるところである。ところが、今回話に出ているユーラシア経済連合の統一バスケットボールリーグというのは、どうもそういうものではないらしい。

 ロシアのバスケットボールについては、以前当ブログで、「バスケットボールの『VTB統一リーグ』」という記事を書いたことがある。このVTB統一リーグは、ロシア国内で最もカテゴリーが上の大会であり、それと同時に、エストニア、ラトビア、カザフスタン、ベラルーシという近隣諸国のチームも加わる国際リーグ戦にもなっていることを紹介した。なお、その後、ラトビアが抜け、ポーランドの1チームが加わったようである。

 今回の記事によれば、ユーラシア経済連合の統一バスケットボールリーグに参戦するのは、アルメニアのアラガツ、ベラルーシのモギリョフ州のチーム、カザフスタンのアティラウ、そしてロシアのアルセナル・トゥーラの4チームということらしい。

 このうち、アルセナル・トゥーラに関して言えば、ロシア・スーパーリーグ2部に所属するクラブであり、上から数えれば3番目のカテゴリーにすぎない。そもそも、4チームで戦うリーグ戦に、コンペティションとしての魅力などはない。してみると、今回浮上したユーラシア経済連合の統一バスケットボールリーグなるものは、常設のリーグ戦というよりは、ユーラシア統合をスポーツ面からも演出するための、国際定期交流戦のようなものになるのではないか。


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 ロシアなど5ヵ国から成るユーラシア経済連合と、イランは、2018年5月17日に暫定自由貿易協定というものに調印している。これは、両者間において、すべてではなく、限定的な品目表についてFTAを形成し、しかる後に、全面的なFTAの締結を見込むというものである。こちらの記事によれば、ロシアは2018年11月に協定の批准を行い(ロシア以外のユーラシア諸国の批准状況は不明)、イランは2019年6月10日(?)に批准を行った。そして、イランのロウハニ大統領は、暫定協定を実施するための法案を関係省庁に送付した。

 暫定FTAはあくまでも経済の協定であり、ロシアとイランの地政学な接近と見るのは大袈裟だと思うが、米国主導でイラン包囲網を形成しようとしているまさにその時に、このような進展があると、どうしてもそのような目で見られがちである。


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 ロシアなど5ヵ国から成る経済同盟の「ユーラシア経済連合」では、EUなどと同じように、一応「大臣」というものがいる。こちらに見るとおり、2016年2月から通商大臣を務めているのが、V.ニキシナという女性である(上の写真)。この人物はロシアの代表者であり、ロシア経済発展省で要職を歴任、ロシア第一副首相補佐官を経て現職に就いた。

 それで、こちらの記事によると、このほどニキシナ通商相が、ユーラシア経済連合は第三国に対して共同で制裁措置をとりうると発言した。それは基本的にユーラシア経済連合のいずれかの加盟国が第三国から制限措置を受けた場合の対抗措置だが、場合によっては予防的に制裁を発動することもあると、大臣は述べた。大臣によれば、第三国がユーラシアの加盟国の一部に対してでも制裁を適用すれば、否定的な影響は他の加盟国にも広がるので、対抗措置は連合全体で検討することが理に適っており、共同での制裁が必要だと判断されれば、まさに連合レベルで対抗措置が導入されうる。また、法秩序、生命と健康の保護、国防および安全保障目的であれば、連合が共同で予防的な措置をとりうる、という。

 以上がユーラシア経済連合のニキシナ通商相の発言要旨であった。言っていることはむしろ当然であり、ユーラシア経済連合が関税同盟である以上、ロシアが他の加盟国の意向を無視してEUやウクライナに単独で制裁を適用していることの方がおかしいのである。ただ、ニキシナ大臣の本音は、「他の加盟国もロシアの意向に沿ってロシアによる制裁措置に付き合ってほしい」ということだろう。逆に、たとえば第三国がキルギスやアルメニアのような小国に何らかの制限措置を適用した場合に、ロシア主導のユーラシア経済連合が、連合として対抗措置をとることはありうるだろうか? おそらく、そんなことはまずあるまい。


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 まったく恥ずかしい話だが、昨日になってようやく認識するに至った事実があったので、メモがてら書き記しておく。

 「中欧班列」と言えば、ユーラシア大陸を横断して、中国と欧州を鉄道のコンテナ列車で結ぶ新たな動脈として知られている。2011年から始まり、その貨物量は年々拡大している。主なトランジット国は、カザフスタン、ロシア、ベラルーシである。

 それで、遅れ馳せながら、このほど認識するに至ったのは、カザフスタン、ロシア、ベラルーシの国鉄は、そのトランジット輸送を行うために、「ユーラシア鉄道アライアンス」という合弁企業を設立しているという事実だった。ウェブサイトはこちら。3国の国鉄が3分の1ずつを対等出資しているが、本社はモスクワに置かれている。設立されたのは2017年12月12日だったようだが、それに先立っては前身となる「合同運輸ロジスティクス会社」という会社が存在したらしい。

 5ヵ国から成るユーラシア経済連合は、一歩前進二歩後退といった状況が続いているが、ある意味で鉄道輸送の分野では目覚ましい統合が進んでいるという見方もできそうだ。

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 TASSのこちらの記事が、ロシア・韓国が自由貿易協定(FTA)交渉を正式に開始するということを伝えている。両国の外相が6月17日に会談してその旨を確認しあったという。記事によれば、露韓のFTAは、2018年6月の両国首脳による共同声明で打ち出されたものということだ。

 しかし、この話はおかしいのではないか。そもそも、ロシアはユーラシア経済連合という関税同盟に加盟しているので、ロシア単独で第三国とFTA交渉をする権利はないのである。

 そこで、こちらのサイトで、くだんの2018年6月の両国首脳による共同声明を確認してみた。すると、ここで合意されていたのは、「両国はサービスと投資の自由取引に関する協定の交渉を可及的速やかに開始するために努力する」ということだと判明した。つまり、商品の自由貿易協定はここでは埒外のはずである。

 ロシア単独では制度的に不可能だが、ユーラシア経済連合と韓国がFTAを結ぶということは、理論上は考えられる。しかし、こちらの記事は、韓国側はそれを働きかけているものの、ユーラシア諸国は産業競争力の強い韓国とのFTAに後ろ向きだと伝えており、私もそのとおりだと思う。


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