先日、「紅海危機という追い風で勢いを取り戻した中欧班列」という話題をお届けしたが、その補足である。
繰り返しになるが、「中欧班列」とは、中国と欧州を結ぶコンテナ鉄道輸送サービスであり、その主要部分はカザフスタン~ロシア~ベラルーシ領を経由する。ロシアのウクライナ侵攻で、このルートのトランジット輸送はいったん下火になり、中国⇔ロシア・ベラルーシの貨物増により補われる状態が続いていたが、2023年終盤にイエメンの武装組織フーシ派の商船に対する攻撃が発生すると、東西輸送の「裏技」として再び中欧班列のトランジット輸送への需要が盛り返した。
それで、本日は、こうした変動の前提となっている海運の動きにつき、補足的にお伝えしたい。国際的な海運のボトルネックとなりうるような難所のことを「チョークポイント」と呼ぶが、上掲のグラフはその中でも重要なパナマ運河、スエズ運河、喜望峰周りの船舶通航数を図示している。パナマ運河は、降雨不足による水位の低下で2023年終盤に利用制限が課せられ、現在はそれからの回復途上にある。問題はやはり2023年暮れから生じたスエズ運河利用の急減であり、これがまさにフーシ派問題の影響によるものである。そして、スエズ運河航行数と反比例するように、喜望峰周りが拡大し、船舶が大回りを余儀なくされていることが確認できる。
私の集計によれば、2023年から2024年にかけて、パナマ運河は10,870隻から8,760隻へと19.4%減、スエズ運河は26,884隻から12,059隻へと55.1%減、喜望峰周りは17,862隻から29,043隻へと62.6%増だった。
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