
ごく個人的な話で恐縮だが、私の勤務先では『ロシアNIS経済速報』というニュースレターを出しており、普段は統計などの軽めの情報が多いのだが、新年一発目の1月15日号は、年頭に当たっての大所高所からの論考を披露するようにしている。今年は、ユーラシア経済連合が成立してから5周年ということもあり、ロシアとNIS諸国の関係性に着目した「2020年代のロシア・ユーラシア地域秩序を占う」という論考を私が執筆し、昨日その前編を配信したところである。
昨日夕方頃、この号の最終的な編集作業に取り組んでいる際に、ロシアでプーチン大統領による年次教書演説が始まり、「せっかく年頭レポートを出すのに、その日にプーチンが教書って、ヤナ感じだな」などと思っていた。そうは思いつつ、出来上がったレポートを出すしかないので、それを配信し、やれやれと帰宅したところで、衝撃の報道に接した。プーチンが教書で憲法改革を提唱し、その後メドヴェージェフ内閣を総辞職させたというのである。
私としては、ここ1~2ヵ月くらい準備を進めてきたレポートがようやく完成し(まだ前編だけだが)、本日1月16日は当会の創立記念日で休日であり、今日だけは一切仕事をしないで羽を伸ばそうと思っていたのだ。いつかプーチンがメドヴェージェフを解任する時が来るとは思っていたが、2020年1月15日だけは、本当に勘弁してほしかった。個人的に、まだその心の準備はできていなかった。
プーチンは、メドヴェージェフに代わる首相候補として、M.ミシュスチン連邦税務庁長官を指名した。はっきり言って、私を含め、専門家もノーマークだった人物だ。A.クドリン蔵相時代の2010年に税務庁長官に就任したことからもうかがえるとおり、クドリン門下生と見てよさそうである(上のアイスホッケー装束の写真で右がクドリン、左がミシュスチン)。税務庁長官としての仕事振りは、称賛されているようだ。ロシアの首相の場合、実務を粛々とこなすだけの「技術的な」首相なのか、それとも大統領の後継者となりうるような政治的な首相なのかということが注目点であるが、今のところ前者という見方が優勢のようだ。今日のところは以上。
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