ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ベラルーシ

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 こちらのサイトで、I.ザハルキンという論者が、ベラルーシとウクライナの経済関係について論じているので、以下のとおり要旨を整理しておく。

 1年前にウクライナでゼレンスキー大統領が就任し、ベラルーシ当局はこれでウクライナとの関係が活発化し、新たな協力のレベルに達すると期待した。しかし、1年経ってみて、ベラルーシはウクライナの対外関係の優先度で低いままであり、ベラルーシ側が目論んだ計画はまったく実現していない。それのみならず、二国間関係は、ウクライナの国内の力学により、損なわれている。

 依然としてベラルーシ側の期待は大きく、7月初めにベラルーシのI.ソコル・駐ウクライナ大使は、いつかウクライナがベラルーシにとって最大の貿易・経済パートナーになることを望むと発言した。つまり、ベラルーシの経済パートナーとして、ウクライナがロシアをも抜くというのである。

 専門家の見るところ、現時点でその経済的根拠はない。2020年1~5月に、両国の貿易は前年同期比22.8%も低下した。コロナの影響もなくはないが、それが主原因ではない。最大の問題は、今年に入りベラルーシのロシアからの原油輸入が途絶し、その影響で、ベラルーシからウクライナへの石油製品の輸出が縮小したことである。

 2019年にはベラルーシは、前年を4.6%上回る330万tの石油製品をウクライナに輸出した。2020年にはベラルーシの2箇所の製油所は近代化を終え、軽油の輸出を300万t拡大しようとしていたが、その大部分はウクライナ向けが想定されていた。ところが、5月までのウクライナ向けの石油製品輸出は68万tで、前年同期比27.7%だった。

 過去2年間で、ウクライナの軽油市場におけるベラルーシ産の比率は、43%から30%に低下し、さらに落ち込みが続いている。また、ベラルーシ側としてはガソリンにも多くは期待できない。ウクライナはかなり前から、市場の40%を占めるベラルーシ産ガソリンに苛立っており、国産を拡大して国内需要を自給する意向があるからである。もっとも、クレメンチューク製油所での精製を年産300万tから500万tに高めるという計画は机上のものであり、ベラルーシ側はその実現を疑っているが。しかし、今後もウクライナ側がベラルーシからの供給を黙って見ているとは思えず、増してやウクライナ国内のオリガルヒがその利権を争っている。

 ウクライナのオリガルヒたちにとって、ベラルーシの生産者が主たるライバルだと見られていることは、多くの事実が物語っている。まず、近年ウクライナがロシアおよびベラルーシ産品に対して多数のアンチダンピング(AD)関税を適用し、実質的にウクライナから締め出していることがある。ゼレンスキー大統領が登場し、2019年10月には地域フォーラムでルカシェンコと親しげに抱擁したが、AD関税は停止されるどころか、さらに勢いを加速している。しかも、ウクライナはベラルーシの最もデリケートな部門を狙い撃ちにする。

 具体的には、ベラルーシ産の建材が、だいぶ前からその対象になっている。ベラルーシの4社は、2019年の段階でウクライナの建材市場で11%のシェアを占めた。これに対し、2019年5月にウクライナは、ベラルーシからのセメントに5年間のAD関税を導入した。2020年2月にはこれに軽量気泡コンクリートも加わった。

 他方、2019年12月にウクライナは、ベラルーシとモルドバからの鉄筋の輸入に、期間5年でAD関税を導入している。また、ベラルーシとロシア産のマッチに対するAD関税もある。

 さらに、ベラルーシ原発が稼働目前だが、ウクライナは長らく沈黙したすえ、突然バルト諸国に同調し、同原発から電力を輸入しないことを決めた。販路の確保に苦慮する中で、ウクライナは主要市場と位置付けられていたのである。2019年には、ウクライナ電力市場が自由化されたことを受け、ベラルーシはウクライナへの電力輸出を8.5億kWhにまで、売上を4,560万ドルにまで拡大した。ベラルーシは原発の完成後は50億~60億kWhを輸出したいとしていたが、ウクライナは必要としていないことが明らかになった。ウクライナの電力バランスでは、2020年の輸入は21億kWhとされており、それを今後引き下げる予定である。

 しかも、ウクライナは今後、欧州のエネルギー共同体の外部からは電力を輸入しないという方針を示している。これに伴い、ロシアおよびベラルーシからの電力輸入を、2021年12月31日までに禁止することを盛り込んだ法案が準備されている。これには、ウクライナの電力部門を支配するR.アフメトフや、I.コロモイスキーらオリガルヒの意向も働いているとされる。


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 昨日、化学肥料の価格が低迷しており、ロシアやベラルーシが苦しんでいるということをお伝えした。実は、カリ肥料の分野では、他ならぬロシアとベラルーシの業界の振る舞いが、価格下落を誘発してしまった面があったのである。少々古いが、ロシア『エクスペルト』誌2019年9月30日~10月6日号が良くまとまった記事を掲載しているので(S.クジヤロフ氏署名)、以下要旨を整理しておく。

 ロシアのカリ肥料の大手「ウラルカリ」と、ベラルーシの独占企業「ベラルーシカリ」は、2005年にBKKという共同販売会社を設立し、その世界シェアは当初30%、後の買収でさらに43%に達した。かくして、両国の価格カルテルが形成された。

 しかし、2011年にウラルカリがロシアの別の大手シリヴィニトと合併したことで、両国の力関係が変わる。条件に不満を感じたベラルーシのルカシェンコ大統領は2012年12月、ベラルーシのカリ肥料を輸出する上でBKK以外の業者にも権限を与える大統領令に署名した。かくして、BKKの枠組みを通じた独占輸出と価格カルテルは、崩壊したのである。2013年8月には、ミャスニコヴィチ首相の招聘に応じてベラルーシを訪問したウラルカリの社長が逮捕されるというスキャンダルも発生した。

 この顛末の後は、ベラルーシ側は輸出量を重視する方針に転換した。過去5年間で、ベラルーシカリの生産能力は年間1,000万tから1,300万tへと急増している。輸出量は、2012年は610万tだったが、現在は1,000万tである。しかし、価格の下落により、輸出額はカルテル解消前と同じレベルとなっている。ベラルーシは2013~2018年にカリ肥料輸出で143億ドルを稼いだが、もしもカルテルが健在なら、610万tのままでも、150億ドルを稼げただろう。

 ベラルーシ側はさらに生産能力を拡大しようとしている。ベラルーシカリはゴメリ州で年産150万tの鉱山を建設中だし、M.グツェリエフのスラヴカリは2022年に年産200万tの鉱山を稼働させる予定である。

 ロシア側も、エヴロヒムが2018年にウソリエ鉱山を稼働させ、2024年までには(ヴォルガカリも含め)年産800万tを達成する計画である。ウラルカリも、2024年までには1,400万tを、2025年以降には1,700万tを達成したいとしている。

 専門家によれば、全世界のカリ肥料メーカーの生産能力は2031年までに1億900万tに達し、その際に需要は9,600万tに留まる。世銀もカリ肥料の価格は継続的に低下すると予測している。

 すべてのカリ肥料メーカーが価格低迷で苦しんでいるが、ウラルカリは軽微である。BKKとの破談の時点で同社の生産コストは1t当たり60ドルで、ベラルーシカリの半分、米国のライバルの3分の1ないしは4分の1にすぎなかった。2018年の年次報告によれば、さらに下がって42.5ドルである。現在ウラルカリが債務返済のため価格安定を望んでいることは確かだが、おそらくは、いつまでもこんな状態では市場がもつはずはないと考えているのだろう。


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 時々やる、「ちょっと用事があってこんな図表作ってみました」シリーズで、今回は無機肥料(およびその原料)の国際価格の推移を示したものである。

 ロシアの定義によれば、肥料は「非エネルギー・非原料商品」ということになっており、伸ばしていきたい付加価値部門の一つである。しかし、現実には無機肥料は原料直結型の産業であり、価格変動が激しい。過去十余年の動きを見ると、2008年にバブル的な価格高騰があったが、それがリーマンショックで吹き飛び、その後は一進一退ながらも、どちらかと言えば低迷傾向である。特に2018年終盤以降は、価格下落局面となっている。グラフは2020年5月までであるが、直近のコロナショックも、やはり価格を押し下げる方向に作用しているようだ。

 石油・ガスに比べて注目されることは少ないものの、実はロシアは世界第1位の肥料輸出国である。また、ベラルーシはほぼカリ肥料のみであるが、そのカリ肥料の輸出でベラルーシとロシアはカナダに次ぐ世界第2位の座を争っている。肥料の価格低迷は、両国の経済をじわりと苦しめる要因である。


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 ベラルーシ国営ベルタ通信のサイトを眺めていたら、こちらのページに、上掲のような図解資料が出ていた。ベラルーシが優れている点を、医療・健康面で示したものである。8月に大統領選挙を控えたルカシェンコ政権が、自らの実績を誇示しようというキャンペーンの一環だろう。

 これによれば、ベラルーシにおける国民の医療サービスへのアクセスは、ブルネイ、カナダと並んで、世界で1位である。また、国連開発プログラムによる「人間開発指数」というランキングにおいて、人口1万人あたりの病床数という指標で、ベラルーシは世界3位である、という。

 しかし、医療がそこまで充実しているのなら、なぜにベラルーシの女性の平均寿命は79歳、男性に至っては69歳に過ぎないのかという疑問は、当然出てくるだろう。ちなみに、ベルタの資料では、ベラルーシの人間開発指数そのものが良好な印象を与えるミスリーディングな形になっているが、実際にはその指数は全世界で50位にすぎず、あまたある様々な指標から、「人口当たり病床数が世界3位」というのを強調している格好である。

 「旧ソ連の中では、比較的恵まれた方で、少なくともウクライナよりはマシ」という話なら、個人的に認めるのにやぶさかではないが。


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 RIAノーヴォスチのこちらのサイトに、興味深い図解資料が出ていたので、これをチェックしてみることにする。欧州各国において、平均賃金で、どれだけのガスを購入できるかというのを比較したものである。当然、ガス料金の水準と、平均賃金により、左右されることになる。カザフスタンやロシアなどは、EU諸国などに比べれば所得水準は低いが、それを補ってあまりあるガスの安さで、このランキングの上位に来る。逆にドイツや英国などは、賃金水準の高さゆえに、上位に来るというパターンだろう。

 ただ、賃金の要因は別として、単純に、家庭向けのガス料金がどうなっているかを比較してみたい気もする。それを試みたのが下表であり、家庭向けのガス料金が安い順に並べると(1,000立米当たりドル)、カザフスタン44.7ドル、ロシア87.9ドル、ベラルーシ134.1ドル、ウクライナ149.6ドルなどと続いている。

 このロシアとベラルーシの差を見ると、ルカシェンコが「差別だ!」と怒るのも、一理あるかなという気がしないでもない。あと、ウクライナの家庭向けのガス料金がここまで低いのも驚いた。これでは、逆ザヤではないのだろうか。IMF等のご指導もあり、家庭用公共料金を引き上げることは試みているものの、低所得家庭向けの補助があるようで、ガス輸入国としては(しかもロシアと決別しEUから割高な輸入を迫られている国の割には)異例の低価格となっている。

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 ロシア・ヤマル半島の天然ガス産地から、ベラルーシ、ポーランドを経由して欧州市場に至る「ヤマル~欧州天然ガスパイプライン」というものがある。稼働したのは1999年だった。ただ、通過国のポーランドとロシアの政治関係は緊張をはらんでおり、そのあたりについてこちらの記事が論じているので、以下要点を整理しておく。

 ガスのトランジット輸送に関するガスプロムとポーランドの歴史的な25年契約が、5月17日に満了した。今後も同パイプラインを通じた輸送は続けられるが、それを取り巻く環境は変容している。

 パイプラインのロシアおよびベラルーシ領部分の所有者はガスプロム、ポーランド部分はEuRoPol Gaz、ドイツ部分はWINGASである。輸送能力は年間329億立米で、トルコストリームのそれに匹敵する。建設当時は唯一のウクライナ迂回ルートであり、それゆえにポーランドを含むすべての当事国が建設に利益を見出した。オレンジ革命後のウクライナの立ち位置もあり、パイプラインはスケジュール通りに建設された。2009年のロシア・ウクライナガス戦争の際も、被害を受けた中東欧諸国と比べ、ドイツやポーランドはヤマル~欧州PL経由で通常通りの輸入を続けられた。

 しかし、2011年にはノルドストリームの1列目が完成し、550億立米の輸送能力が加わったことで、ウクライナやポーランドの「半独占者」としての地位は失われた。ノルド1の能力が充分ではなかったことから、その2国、特にウクライナは一定の意義を保ったが、低減したことは間違いない。トルコストリームも完成した。ポーランドは、政治的影響力の低下が生じると懸念し、ノルドの建設には真っ向から反対したし、現在もノルド2に反対することに全力を傾注している。

 ウクライナと異なり、ポーランドがヤマル~欧州PLのトランジットから得ている収入は少額であり、年間2,100万ズロチを超えることはない。ただし、その代りポーランドにはパイプライン会社の株式の52%が与えられた。1996年の契約で、ポーランドは2022年までガスプロムから年間100億立米を購入する義務を負った。2012年には追加契約が結ばれ、ガス価格の10%引き下げが取り決められた。だが、2016年2月にポーランドはストックホルム仲裁裁判所にガスプロムを訴え、欧州価格に見合った価格の導入を求めた。2018年6月にポーランドPGNiGは暫定的な勝訴を発表し、2020年3月には最終的な勝訴を発表した。ポーランド側は、従来の価格は非市場的なもので、今後は西欧市場に見合った新たな価格に移行するとともに、2014年以降の差額15億ドルを返還すべきとしている。ただし、ガスプロムはその2つとも今のところ履行していない。

 こうした背景を考えると、ガスプロムとPGNiGがヤマル契約を更新するとは考えにくく、両者とも契約延長の意向はなく、交渉も行われていないという。ガスプロムとしてはノルド2、トルコストリームの開通をにらんでおり、2019年末にウクライナ・ナフトガスとの契約も結ばれたので、ポーランドとの新たな長期契約は不要である。ポーランド側は政治的な動機であり、その他の供給源からのガス調達比率を増やして、ロシアからのエネルギー独立の路線をとっている。多様化の手段としては、米、カタール、ノルウェーからのLNG購入増や、デンマークからのガスパイプラインを建設しノルウェー産ガスを購入する計画もある。

 なお、トランジット契約満了後は、ポーランド領パイプラインの利用は、利用予約をオークションで販売する形で行われる。一方、ポーランドがロシア産ガスの購入を完全にやめることはないだろう。その他の供給源からの調達可能性を手にしたら、今後は商業的な観点を重視するようになり、条件が有利ならガスプロムからの購入を続けるということになるだろう。


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 ベラルーシはEUと無協定状態が続いており、形式論から言えば旧ソ連諸国の中でEUと最も疎遠な国の一つということになる。しかし、現時点で関係がきわめて険悪かというと、そういうわけでもなく、むしろ実務的には粛々と協力しているという印象が強い。そして、2020年1月8日には、ビザ制度の簡素化に関する協定がベラルーシ・EU間で調印されるという注目すべき進展があった。

 こちらの記事によると、欧州連合理事会は5月27日、ベラルーシとのビザ簡素化協定を批准する決定を下した。ベラルーシ側はすでに批准を済ませており、協定は7月1日に発効することになった。協定により、大部分のベラルーシ市民がEUの(シェンゲンの?)ビザを取得する際の手数料は80ユーロから35ユーロへの引き下げられ、ビザ発給についての決定が10日以内になされ、非商業目的の渡航に際し無料でビザが発給される理由の一覧が拡大される。一方、EU側の市民がベラルーシに滞在できる日数は、90日から180日に拡大される。


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 また、誰も興味のないようなベラルーシ自動車産業の話で恐縮である。最近でこそ、ベラルーシの乗用車生産の主軸は、中国との合弁のベルジー社となっている。しかし、それ以前から存在したユニゾン社の存在も忘れてはならない。元々は米フォードがベラルーシ政府と合弁で工場を開設したものだったが、フォードのプロジェクトが頓挫し、2000年に英国企業が買い受けて新たにユニゾン社が誕生した。一時はイラン・ホロド社のモデルを生産したりもしていたが、ここ数年は中国の浙江衆泰控股集団のZotyeというブランドの乗用車(上掲写真参照)を生産し、基本的にロシア市場に供給してきた。

 こちらの記事が伝えているように、ユニゾンはZotye車をロシア市場に、2017年には1,088台、2018年には3,175台、2019年には1,373台供給したが、2020年4月になって今後Zotye車はベラルーシからでなく中国から供給されることとなり、ユニゾンでの生産は終了となった。これは、ユニゾンは当初はアセンブル用の部品輸入に優遇関税を適用されていたが、2018年にその措置が打ち切られ、その後も残っていた優遇措置の割当を使い切ったことにより、ロシア市場での競争力が低下したからである。

 ベルジーの場合も、ロシア市場への輸出を当て込んで、年産6万台の計画を立てていたのだが、現実にはロシアでの販売が伸びず、2019年の生産は2万台強に留まった。ロシア市場向けの生産拠点をベラルーシに設けるというビジネスプランは、一見上手く行きそうで、実際には失敗することが多い。


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 ベラルーシの乗用車(新車)販売台数については、なかなかまとまった信頼できるデータがないが、上に見るのはこちらに掲載されているベラルーシ自動車協会の発表データである。2019年は、前年ほどの急増ではなかったが、一応販売の伸びは続き、64,504台を記録したということである。ただ、これは協会加盟企業による販売のみをカウントしたものであり、どこまで網羅的なのかは判然としない。

 それで、関係者が2019年の新車販売に悪影響を及ぼした要因としてやり玉に挙げているのが、2019年4月の大統領令である。こちらに見るとおり、2019年4月10日付の大統領令第140号により、身体障害者、多子家族という社会的弱者が外国から中古車を輸入する際には、関税および税金の支払を半減するということが取り決められたのだ(4月13日発効)。しかし、「個人使用目的に限る」とされていたにもかかわらず、現実には優遇条件で輸入された中古車を転売するビジネスが発生し(容易に想像できることである)、社会的弱者を反社会的行為に巻き込むという嘆かわしい状況が発生しているという。ベラルーシ自動車協会のS.ミフネヴィチ会長はこちらの記事の中で、2019年にこのスキームで輸入された中古車は2万台に上ると指摘している。


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 先日、「ロシア乗用車輸出 ユーラシア向けが大部分だが、統合の効果は?」というエントリーをお届けした。せっかくだから、乗用車(HS8703)だけじゃなく、貨物自動車(HS8704)輸出のグラフも作ることにした。

 貨物自動車の輸出も全体像は乗用車とだいたい似通っており、ユーラシア経済連合域内市場を中心とした輸出となっている。ただ、乗用車と違い、貨物自動車ではベラルーシも一大輸出国なので、両者間の利害はより一層複雑なものとなる。乗用車と異なり、貨物自動車では、ユーラシア経済連合発足後、キルギスやアルメニアへの輸出にも一定の伸びが見られる。乗用車と異なり、貨物自動車では、EUへの輸出実績はほとんどなく、その代り「その他世界」への輸出が少なくない。ただ、その中には一定量、新興国・途上国向けの軍用車両も含まれているはずである。なので、相手国によっては単価が不自然に高いケースが出てくる。たとえば、2019年にザンビア向けの貨物自動車輸出が急増しているが(特に金額面で)、これなどは明らかに軍需であろう。


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 「ちょっと用事があってこんな図表を作ってみた」シリーズで、今回は、ロシアの乗用車輸出相手国・地域を跡付けたグラフである。

 この数年間で、なかなかドラマチックに変化している。ポイントを整理すれば、こんなところか。

  • ロシアの乗用車輸出(ロシアブランド、外国ブランド、両方ある)は、ユーラシア経済連合のパートナーであるベラルーシとカザフスタン向けが圧倒的な割合を占める。しかし、ベラルーシ向けは順調に拡大しているものの、カザフスタン向けはユーラシア経済連合が成立した2015年以降、かえって縮小している。これは、カザフスタンが2015年11月30日にWTOに加盟した結果、カザフの乗用車輸入関税がユーラシア共通関税率の25%から、WTO加盟条件の15%に引き下げられ、カザフ市場でロシア生産車がその他の国からの輸入品とのより厳しい競争を迫られるようになったからだろう。
  • ユーラシア経済連合には、その他にもキルギス、アルメニアという加盟国があるが、小国で購買力も低いので、ロシアからの乗用車輸出は微々たる量。
  • かつては「その他CIS」も重要な輸出先だったが、その最大の市場はウクライナであり、政治関係の対立から2014年以降激減した。
  • 2015~2016年頃から、EUをはじめとするCIS域外への輸出もそれなりの規模になっている。これは、ロシアの経済危機、油価下落などを受けロシア・ルーブルが下落し、ロシア生産車がCIS域外でも一定の価格競争力を持つようになったからである。

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 個人的には、ロシアを中心とした国際的なアイスホッケーリーグ「KHL」には注目し期待しているのだが、どうも聞こえてくるのは(直近のコロナ危機を別としても)景気の悪い話が多い。こちらの記事が、ベラルーシのディナモ・ミンスクの経営難につき伝えている。

 記事によると、これまでディナモ・ミンスクではカリ肥料の独占企業「ベラルーシカリ」がスポンサーを務めてきたが、契約が2019年で終了し、新たな契約は結ばれていない。その結果、選手への給与未払いが発生し、一部のプレーヤーはすでにチームを去った。ディナモは、このほど終了した2019/20シーズンでは、全チームの中で最低の成績を収めた。こうしたことから、ディナモ・ミンスクがKHLを脱退するのではないかとの噂がささやかれていた。しかし、ディナモ・ミンスクのD.バスコフ社長は、脱退は検討しておらず、来シーズンもKHLに参戦するために必要な書類を揃えリーグに提出した旨を明らかにした。給与の未払いも近く解消するとしている。


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 「ちょっと用事があってこんな図表を作ってみた」シリーズ(?)で、今回お目にかけるのは2019年のベラルーシの主要輸出入相手国の表である。

 ベラルーシの場合、とにかく顕著なのは、輸出入とも、半分前後がロシア相手ということである。まあ、それは独立以来、ずっと変わっていない。

 実は、今回は中国の位置を確認したくて、この表を作ってみたのだが、輸入はともかく、輸出では中国の順位は9位にしかすぎないことが判明した。ベラルーシの場合、遠隔市場に供給して競争力を持ちうるのは、カリ肥料くらいしかないので、中国への輸出も自ずと限定的になる。ブラジル向けの輸出も同様にカリ肥料主体だろう。

 私の主たる研究国であるロシア・ウクライナ・ベラルーシのうち、最も中国との協力にのめり込んでいるのがベラルーシと言っていいと思う。しかし、ロシアおよびウクライナの最大の輸出入相手国がすでに中国になっているのに対し、ベラルーシだけそうではないというのは、興味深い現象だ。ベラルーシの場合、中国との経済協力は、貿易もさることながら、直接投資や融資の獲得という方向に向かっているのだろう。

 整理すれば、ベラルーシの主要輸出相手国のうち、1位のロシアは機械製品や食品の輸出先、2~8位の国は主に石油製品の輸出先、9位の中国と10位のブラジルは主にカリ肥料の輸出先、ということになるだろう。


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 こちらの記事が伝えているとおり、ベラルーシ下院は5月8日、本年夏に予定されていたベラルーシ大統領選の投票日を、8月9日に決定したということである。

 選挙戦は、公式的には、5月9日にスタートする。候補者擁立のためには10万人以上の署名集めが必要であり、その期間が5月21日から6月19日までで、それを6月19日までに地域選管に提出する。7月5日から14日にかけて選管による候補者の登録が行われる。期限前投票の実施期間は8月4~8日。投票結果を、中央選管は8月19日までに発表する。第1回投票で過半数を得る候補者がいない場合には、上位2名の決選投票が8月23日に実施される。


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 いつも同じようなことばかり言って恐縮だが、ちょっと用事があってこんなグラフを作成したので、お目にかける。ベラルーシにおける自動車(乗用車・トラック・バス)の生産動向である。

 ベラルーシにはもともと乗用車メーカーがなく、自動車産業と言えば商用車(トラック、ダンプカー、バス)という状況が、ソ連時代から長らく続いてきた。しかし、ルカシェンコ大統領が自前の乗用車生産を悲願に掲げ、中国Geely社と「ベルジー」という合弁を設立し、ここに来て乗用車の方が勢いを見せている。

 ベラルーシの場合、国内市場が小さいので、産業政策が輸出政策、とりわけロシア向け輸出とセットになっている。ベルジーでも、生産の約6割がロシア向けとされている。

 乗用車はまあいいとして、本来の基幹産業であるMAZ(ミンスク自動車工場)によるトラック・バス生産が、ロシア市場への輸出不振により低迷しているのが、痛いところである。特に、ユーラシア統合に参加してからかえって不振の色が濃くなっているというのが、大いなるジレンマである。


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 こちらの記事によると、ベラルーシのルカシェンコ大統領は4月29日に署名した大統領指令により、同国東部のゴメリとゴルキを結ぶ石油パイプライン建設プロジェクトを2020~2023年にかけて実現するよう指示した。両都市の位置関係は、上の地図をご覧いただきたい(地図ではベラルーシ語読みでホメリ、ホルキと表記されているが)。

 事業主となるのは、同国の国策企業「ベラルースネフチ」であり、設計と建設を担うのは公開型株式会社「ゴメリトランスネフチ・ドルージバ」である。

 本プロジェクトの目的は、石油パイプライン「ドルージバ」のベラルーシ部分の、北部区画と南部区画を結び、両者間の輸送を可能にすることにある。これにより、南寄りのモズィリ製油所と北寄りのナフタン製油所間が双方向で輸送可能になり、オデッサ~ブロディで輸送された石油を北に、またポーランドから輸送された石油を南に流すことができ、両製油所が原料を融通し合う可能性が得られる。


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 またまた、用事があってこんな図を作ったので、お目にかける。ロシア・ウクライナ・ベラルーシの3国につき、総固定資本形成の対GDP比の推移を見たものであり、要するに固定資本投資がどれだけ盛んかという指標である。

 ロシアは、高度成長への移行のために投資が必要と叫ばれていながら、実際にはウクライナ危機で落ち込んだままであり、ここ数年まったくの横這いである。

 ウクライナは、元々病的なまでの低投資の国だった。2016年以降は回復基調にあるが、いかんせん水準が低すぎる。

 最後にベラルーシは、この3国の中では圧倒的に投資性向の強い国だった。しかし、ロシアの危機が増幅されて波及する国なので、ここ数年投資が不振のようである。


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 GLOBE+に、「欧州最後の独裁国ベラルーシの奇抜すぎるコロナ対策」を寄稿しました。

 ベラルーシは、人口950万人ほどの小国ということもあって、普段日本で注目を浴びるようなことは、まずありません。「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領の奇矯な言動や、チェルノブイリ原発事故の汚染被害(原発そのものはウクライナに所在)、美人が多いといったことが、時折話題になる程度です。

 しかし、新型コロナウイルスのパンデミック以降、この国がネットニュースなどを騒がす機会が増えてきました。まず、旧ソ連諸国もヨーロッパ諸国もこぞって感染拡大防止の厳戒態勢をとる中で、ベラルーシは非常に緩い対策しか講じていません。また、ルカシェンコ大統領が、コロナなど恐るるに足らずといった放言を繰り返しています。そして、政権がコロナ問題を重大視していない表れとして、当国ではサッカーの試合がいまだに普通に観客を入れて開催されているのです。本コラムではベラルーシの今について報告するとともに、なぜにベラルーシのコロナ問題への対応がかくも独特なのかを解き明かしてみたいと思います。


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 ロシア・ベラルーシの経済成長率を、石油価格と対比しつつ示すこの図は、時々更新しているのだけれど、2019年の数字が出揃ったので、それを反映して最新版を作成した。見づらかったら拡大表示してください。

 ロシアの経済成長率が油価とほぼ連動しているのはご存じの方も多いだろうが、実はベラルーシも同じである。ベラルーシでは、ロシアから原油を輸入して、それを石油製品に加工し、欧州市場等に輸出することが、最大の稼ぎ口だからである。それに加え、ロシアへの経済依存度が高いために、ロシアが油価に翻弄され、さらにそのロシアにベラルーシが翻弄されるという作用も生じる。


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 GLOBE+に、「中国がユーラシアに築く新型コロナ対策のシルクロード」を寄稿しました。

 中国での新型コロナウイルス感染拡大にもブレーキがかかり、3月10日に武漢を視察した習近平国家主席は、湖北省での感染は基本的に抑え込んだと宣言しました。この「勝利宣言」あたりが転換点だったでしょうか、中国は支援を受ける側から、遅れて感染が広がった諸外国を支援する側へと回ります。ロシア・ユーラシア諸国も例外ではなく、現在では同諸国のほとんどが、何らかの形で、新型コロナ対策の支援を中国から受け入れています。今回のコラムでは、この現象を取り上げています。


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 この週末に開幕したベラルーシのサッカーリーグは、今日の世界ではきわめて稀なことに、観客を入れて普通に開催されている。個人的にFBやツイッターで、「皆でベラルーシリーグを観よう!」と呼び掛けたりしたのだが、どうやって観たらいいのかというごもっともな声を想定し、上に開幕節の一つであるシャフチョール・ソリゴルスクVSトルペドBelAZのダイジェスト動画を貼っておく。なるほど、客入りの悪さは気になるが、確かに普通に観客を入れている。こうやって見ると、ベラルーシのサッカーリーグというのも、それなりにヨーロッパのプロのサッカーリーグらしくなってきたという気がする。それと、この対戦は、ベラルーシカリとBelAZという、ベラルーシを代表する国営大企業同士のダービーマッチという萌えポイントもある。世界屈指のカリ塩鉱脈と、世界最大のダンプカーの対決だ。

 さて、このサッカーの話でも象徴的なように、西欧も、旧ソ連圏も、どちらも厳戒態勢になる中で、その狭間に位置するベラルーシが、なぜ一人だけのんびり構えているのかというのは、なかなか不思議である。ちなみに、ベラルーシは何もしていないのに、周りの国がすべて国境を封鎖してしまったものだから、結果的にベラルーシも周辺国との往来が閉ざされた格好になっている。

 いみじくも、こちらの記事が、ルカシェンコ大統領の思考と行動について論じている。かいつまんで言うと、次のようなことだという。ルカシェンコにとってみれば、国のトップは国家そのもので、秩序こそ肝要であり、国家指導者がパニックを見せるなどもってのほか。ルカシェンコは自らが作り上げてきた安定神話の囚人となっており、長年にわたりベラルーシは世界の荒波の中の安定の孤島であるとしてきた。リーマンショックの時でさえ、ベラルーシには危機はないとうそぶいた。現在もそれを繰り返し、「世界はコロナウイルスのせいで正気を失っている」と称しているのである。また、ルカシェンコはソ連崩壊、カラー革命、リーマンショックなど、すべて誰かの陰謀のせいにする。鳥インフルエンザの時には、製薬会社の陰謀だと指摘した。しかし、こうした姿勢をとり続けることは、ルカシェンコにとってリスキーでもある。もしもベラルーシ国内でコロナウイルスの犠牲者が急増するようなことがあったら、自分が非難されるからである。一方、ロシアが国境を封鎖したことについてルカシェンコが憤慨したのは、それにより「連合国家」などというものが存在しないことが白日の下にさらされてしまったからである。ベラルーシは長年にわたりロシアの特別な同盟国を自任してきたわけだが、ロシアはカザフスタンやアゼルバイジャンとの国境は封鎖していないのに、ベラルーシとの国境は閉じてしまった。かつて対ロシア国境開放に立ち会ったことを拠り所にしているルカシェンコにとって、「国境封鎖」という言葉は屈辱的である。しかも、事前通告なしに。むろん、経済的損失も生じる。ルカシェンコは、周囲で生じている変化に適時に対応することができず、残された唯一可能なことは憤慨することだけだったのだ。


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 YouTubeの「深掘り! ロシア・ユーラシア」のシリーズで、「ユーラシア経済連合の共同エネルギー市場」という動画を配信しました。

 何度か申し上げたとおり、2月16日(日)に立教大学で公開シンポジウム「エネルギー安全保障:欧州の経験とアジアへの示唆」が開催され、私はそこで「ユーラシア経済連合の共同エネルギー市場」という報告を行いました。せっかくパワーポイントを作ったので、それを利用して、シンポジウムにおける報告要旨をご紹介するものです。


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 こちらの記事などが伝えているとおり、昨年末から揉めていた石油の供給をめぐるロシアとベラルーシの対立は、ようやく解決を見た模様である。2月9日、ソチでプーチン・ロシア大統領とルカシェンコ・ベラルーシ大統領が閣僚らを交えて交渉した結果、合意が達成された。ベラルーシの製油所はロシアの石油会社から、国際相場に応じた価格で石油を調達することになった。ベラルーシのD.クルトイ第一副首相によると、これはベラルーシ側が交渉で再三主張していた点であり、ベラルーシ側が求めているのは特別な優遇条件などではなく、単に国際相場にもとづいて購入したいという点に尽きる。プーチンもそれに同意し、石油各社や輸送会社のトランスネフチに働きかけを行うと約束するとともに、最近まで副首相としてエネルギーを担当していたD.コザク大統領府副長官をベラルーシとの石油関係担当者に指名した。一方、天然ガスの価格に関しては、1,000立米あたり127ドルだった2019年の条件よりも悪くしないということで合意し、現在はこの127ドルが交渉の基本線となっている。

 一方、国際相場にもとづいた石油価格が、具体的にどういうものなのかということについて、こちらの記事の中で、クルトイ第一副首相の補足的な説明が伝えられている。これによると、国際相場にもとづくが、ロシアが輸出関税を課さない分、世界価格の83~85%程度の水準となる。プレミアム(割増)については、ベラルーシの製油所がロシアの石油会社と個別に交渉することになる。ちなみに、2019年には輸出関税抜きで、世界価格の80%の水準だった(2019年1~11月にベラルーシは平均価格1バレル50ドル強、総計59.3億ドルでロシアの石油を輸入しており、一方ロシア財務省によれば同期のUralsは65.3ドルだったので、その差は21%)。プレミアムに関しては、2019年には1t当たり10ドルで、ベラルーシ側は撤廃するか、せめて半減してほしいと希望しているが、ロシアの石油会社側は貪欲に1t当たり15~20ドルを求めている、という。2020年1月のロシアからの石油供給は50万tに留まり、これはベラルーシの想定の4分の1だった。供給を行ったのはサフマル社だけで、同社は1~2月に95万tを供給しようとしており、それ以外にベラルーシはノルウェーの石油8.6万tを輸入した。さらに、ベラルーシは自国産の原油は従来は輸出に回していたが、今年に入ってからはそれも国内の製油所に回している。


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 最近、ポンペオ米国務長官がベラルーシを訪問したりして、すっかり気が大きくなったのか(?)、ベラルーシのルカシェンコ政権がロシアに対する毅然とした態度を強めている。

 下の動画や、こちらの記事に見るとおり、2月6日にベラルーシの政権幹部会合が開かれ、そこでロシアとの関係で生じている問題、それへの対応が話し合われたようである。その中でS.ルマス首相が述べたところによると、ロシアの石油税制改革によって2019年にベラルーシに生じた損害は3億3,000万ドルであり、うちベラルーシ財政の損害が1億3,000万ドル、製油所の損害が2億ドルであったという。また、ルカシェンコ大統領は、政府間合意によりロシアはベラルーシに毎月200万tの石油を供給する義務を負っているにもかかわらず、1月の供給は50万tに留まったと指摘した。


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 地味な話題だが、こちらが2019年のベラルーシ鉄道によるコンテナ貨物輸送の実績につき報じているので、メモしておく。

 2019年にベラルーシの鉄道によるコンテナ輸送は、73万2,900TEUで、前年比15%増だった。うちトランジット輸送は50万TEUで8.7%増、さらにそのうち中国~欧州間コンテナは33万8,500TEUだった。

 記事には、中~欧トランジットがどれだけ増えたか明記されていないのだが、私が以前作成した図表に当てはめると上掲のとおりであり、前年比わずか2.1%増と、頭打ちの傾向が生じたようである。

 記事によれば、中国向け輸出貨物輸送の増強が図られている。2019年にはコンテナによるベラルーシ商品の輸出が9万7,600TEUに上り、前年の1.3倍となった。特に、株式会社「食肉・乳製品会社」の商品、木材製品などが中国に輸出された。今後は、グレートストーン工業団地の入居企業とのコラボなどを見込んでいる、という。


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 既報のとおり、価格で折り合いがつかず、ベラルーシがロシアから石油を輸入する契約が結べないままとなっている。ベラルーシはロシア以外の供給源を模索しているわけだが、こちらの記事が、そのうちカザフスタンからの調達の試みについて論じている。

 記事によると、ベラルーシの国営コンツェルン「ベルネフチェヒム」から、カザフスタンのエネルギー省に石油供給の打診がすでに届いている。1月20日に両者が交渉を行う予定であり、カザフ側は条件が折り合えば供給の用意があるとしている。

 しかし、専門家らは懐疑的な見方を示す。AMarketsのA.デエフの指摘によれば、ベラルーシは国内市場を満たすのに600万tの、輸出向け石油精製のために1,200万~1,800万tが必要である。この量は、ウクライナ、ポーランド、カザフスタンが揃って供給をしてようやく可能となる分量である。カザフの石油はロシア領のパイプライン(アティラウ~サマラ)を経由してベラルーシに供給されることになる。しかし、BKSブローカーのN.アヴァキャンによれば、そのためにはロシアのトランスネフチとの交渉が必要であり、ロシアは2025年にユーラシア経済連合の共通石油・石油製品市場が発足するまでは、そうした輸送に応じることはありそうもない。しかも、カザフの石油はロシアよりも割高となり、これは経済的には無意味であり、むしろロシアとの政治的な駆け引きである。


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 こちらのページに見るとおり、世銀のGlobal Economic Prospectsの最新版(2020年1月版)が発表されたので、その中からロシア・NIS諸国の経済見通しの部分を抜粋して上表のとおりお目にかける。

 最大国のロシアに関して言うと、前回2019年6月に発表された経済見通しと比べ、2019年についてはプラマイゼロだったが、2020年の予測が0.2%ポイント下方修正された。この地域においては、ロシアがその低成長によって地域全体の景気の足を引っ張るという現象がすっかり定着している(ロシアへの依存度が強く経済がより脆弱なベラルーシの成長率はさらに低いが)。


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 昨年GLOBE+に書いた「ロシア版の新幹線計画がまさかの大迷走」というコラムは、幸いにして多くの読者に読んでいただけたようだ。ただ、サンクトペテルブルグ路線とカザン(当面はニジニノヴゴロドまで)路線が競合し、2019年末までにどの路線にGOサインを出すのか最終結論を出すと言われていたにもかかわらず、結局年内には明確な決着が着かなかったようで、相変わらず雑多な情報が飛び交っている。以下では、雑駁になるが、11~12月に出た報道を整理しておく。

 11月半ばのこちらの記事によると、ロシア運輸省は、サンクトペテルブルグ~モスクワ~ニジニノヴゴロド高速鉄道プロジェクトを、ナショナルプロジェクトの一環である「インフラ近代化総合計画」に追加で盛り込むことを主張している。ティトリフ運輸相が11月12日に述べた。モスクワ~ニジニノヴゴロドについてはすでに総合計画に盛り込まれている。まず2024年までにモスクワ~ニジニノヴゴロドを完成させ、サンクトペテルブルグ~ニジニノヴゴロド全体は2026年開通を目指す。モスクワ~ニジニは421kmで費用5,300億ルーブル、モスクワ~ペテルブルグは659kmで費用1.59兆ルーブルと想定されている。

 こちらに見るとおり、プーチン大統領は11月に出席した経済フォーラムで高速鉄道についてのビジョンを尋ねられ、以下のように回答した。「私の立場は、市場的なもので、試算が必要だ。長いこと試算をしているのは事実だが、それでも必要だ。我々は高速鉄道が多くの国で発展していて、その経済的成果というものも知っている。どんなやり方が我が国にとって最適なのか、最終的な決定を下さなければならない。高速鉄道なのか、それとも単なる急行列車にするのか。貨物、旅客の兼ね合いもある。資金は割り当てられており、拠出は基本的に可能だ。国民福祉基金からも可能である。それをどう回収するかというのが肝心である。遠い将来ではなく、せめて中期的に回収できるようにすべだ。これが事業の前提である。」

 12月12日のこちらの記事によると、オレーシキン経済発展相は、モスクワ~サンクトペテルブルグ高速鉄道に公的資金を投入することは可能である、しかしそれはプロジェクトの正確な総額が明らかになった後のことだ、現時点では政府は費用を1.5兆ルーブルと見積もっている、などと述べた。

 12月23日のこちらおよびこちらによると、㈱ロシア鉄道はモスクワ~サンクトペテルブルグ路線建設の設計・予算文書案を、2022年までに策定することになった。ロシア鉄道ではモスクワ~ペテルブルグ、モスクワ~ニジニを一体のプロジェクトと位置付けており、その総額を2.3兆ルーブルと見ている。ニジニ路線は2024年、ペテルブルグ路線は2026年の開通を見込む。

 12月27日のこちらの記事によれば、ゴーリキー鉄道管区の次長代行は、モスクワ~カザン高速鉄道中止という決定は下されておらず、その設計作業はまだ続けられていると発言した。

 一方、だいぶ趣が異なる情報になるが、12月10日のこちらの記事によれば、ロシア・ベラルーシ連合国家の枠内のプロジェクトとして、サンクトペテルブルグからドイツのハンブルグに至る高速鉄道(「マギストラーリ」という名称)を建設する計画が検討されているという。連合国家のラポタ国家書記(同氏はロシア側の代表)が明らかにした。同氏は、ロシアではモスクワ~カザン高速鉄道計画があるが、我々は高速鉄道網の西部分を推進し、その際に主として民間資金に依拠する別のモデルをとることにした、潜在的なステークホルダーとはすでに交渉しており、ドイツ鉄道、ドイチェバンク、シーメンスから成るドイツのコンソーシアムの参加が想定されている、ハンブルグ市および港湾当局とも協議している、環境を重視する欧州の潮流にも合致する、ポーランドとはまだ直接交渉はしていないが好感触は得ている、費用は400億ユーロを要すると見られる、などと述べた。また、ロシア科学アカデミーのセルゲエフ総裁は、もしも欧州側に委ねるとミンスク~ベルリンだけで高速鉄道が建設されてしまい、そうなると貨物のコントロールはEUに移り、ロシア~ベラルーシ間では高速鉄道ができなくなってしまうので、連合国家の軸となる高速鉄道を建設して地域の貨物および旅客の流れをコントロールできるようにすべきだと主張している。


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 昨日のエントリーで、石油の供給をめぐるベラルーシとロシアの契約は2019年中にまとまらなかったが、両国は差し当たり条件等について合意し、契約なしでも年明けも供給を続けることになった、とお伝えした。しかし、こちらこちらの記事によると、現実には年明け以降、ベラルーシの製油所に石油は届いていないということである。

 上掲記事によると、ベラルーシの2箇所の製油所では現在、備蓄していた石油を用いて、定格量ぎりぎりで最小限の生産を続けている。国営コンツェルン「ベルネフチェヒム」の幹部によれば、1月およびその後当面の国内の石油製品の需要を満たすのに充分な備蓄はあるので、国内でガソリン不足などが生じることはない。また、国内でも原油が産出されているし、「ゴメリトランスネフチ・ドルージバ」の技術的石油という国家備蓄もある、ということである。なお、ロシアのトランスネフチによれば、ベラルーシ領を経由した石油のトランジット輸送は通常どおり続いている。


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 大晦日の記事だが、こちらの記事が、石油および天然ガスをめぐるベラルーシとロシアの交渉が結局年内には完全決着に至らず、ほぼ越年したということを伝えている。要旨は以下のとおり。

 ロシアがベラルーシに石油を供給する現行の契約は2019年末で満了したが、両国は2020年の石油供給の条件で結局折り合えなかった。ベラルーシ側はロシア以外の供給ルートを模索しようとしている。立場が隔たっていたのは、ベラルーシ側が値下げを要求していた価格の問題である。ただし、ベラルーシへの供給は年明け以降も続けられることになると見られる。一方、天然ガスの価格については、年末にひとまずの合意にこぎ着けた。

 ルカシェンコ・ベラルーシ大統領とメドヴェージェフ・ロシア首相は電話会談で、石油供給契約についての交渉を継続することで合意した。無契約状態でベラルーシに供給を続けることについて両国は、具体的なスケジュール、供給する石油会社などにつき合意した。

 石油の供給・トランジット契約と、ガス供給契約は、12月31日に満了した。それに先立ち、両国大統領が電話会談したが、具体的合意には至らなかった。結局、新年までに合意できない場合には、暫定的な条件で石油・ガスを供給するよう、政府間で調整することになった。

 その後明らかになったところによると、結局ガスプロムのミレル社長とベラルーシのセマシコ駐ロシア大使が12月31日、2020年1~2月のガス価格についてのプロトコールに調印した。ガスプロム・トランス・ベラルーシとのトランジット・供給契約は2020年一杯延長される。ガス供給・トランジット量は2019年の水準に維持される。

 関係筋によると、年明けからベラルーシの製油所への供給は停止されず、契約がなくても供給される。不一致の主原因は、ベラルーシが値下げを要求していることである。

 石油のトランジットは、すべてのスケジュールで合意し当該の契約が結ばれているため、通常の体制で実施される。一方、ルカシェンコ大統領は政府に対して、ロシアの代替となる石油供給源からの輸入を近日中に開始するよう指示した。

 天然ガス供給をめぐる対立は、ベラルーシがその価格をロシア国内と同等にまで引き下げることを要求していることに起因している。2019年のベラルーシ向けの価格は1,000立米当たり127ドル、供給量は約200億立米となっている。


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