ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ベラルーシ

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 こちらの記事が、ロシアのトラック新車販売市場でベラルーシのミンスク自動車工場(MAZ)が苦戦を続けているということを伝えている。

 記事によると、ロシア市場では2020年に74,800台のトラックが販売され、前年比7.3%減だった。ベスト5は以下のとおり。

  1. KamAZ:27,800台(0.6%増)
  2. GAZ:6,800台(23.1%減)
  3. スカニア:4,900台(12.4%減)
  4. ボルボ:4,500台(20.7%減)
  5. ウラル:4,100台(27.3%増)

 こうした中、ベラルーシのMAZは3,729台で前年比3.1%減、順位は7位であった。MAZは以前はロシア市場で常に5位以内に食い込んでいた。


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 GLOBE+に、「ロシアは本当に『帝国』から脱皮できるのか?」を寄稿しました。

 2020年は旧ソ連諸国で大きな政治的事件が相次いだ年でした。新年最初のコラムでは、ベラルーシ情勢のその後、政治学者D.トレーニン氏の論考などを題材としながら、ロシアとその他の旧ソ連諸国の関係について考察してみました。


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 こちらのサイトに、ウクライナ危機を発端としてロシアが欧米の一部食品に課している輸入禁止措置と、それを受けた輸入代替に関するレポートが掲載されている。

 主要な図表のみ見ておくと、禁輸対象品目の輸入額(青色)、輸入量(グレー)を跡付けたのが、上図になる。金額ベースで見ると、対象品目の輸入は、禁輸導入前の2013年の228億ドルから、2019年の134億ドルへと、41%低下した。対象国以外からの輸入に置き換わった分もあれば、ロシア国内の輸入代替生産により賄われた分もあれば、ロシアで消費が低迷して消費量自体が減ったというケースもあるだろう。

 2013年から2019年にかけて、どういう品目の輸入減少率が大きかったのかを見たのが、下図となる。青が金額、オレンジが数量ベースの減少率。左から、魚、乳製品、野菜、果物、食肉・肉製品と並んでおり、肉の減少が最も大きい。

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 なお、ロシアによる欧米産食品禁輸を活かし、ロシア市場により深く食い込んだのがベラルーシだったわけだが、ベラルーシ側から見たこの問題についてはこちらの記事がある。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2021年1月号の中身を、どこよりも早くご紹介。

  雑誌の上ではもう2021年に突入し、新色のオレンジ色の装いも新たにお届けいたします。そして、今号の特集は、「政情不安に揺れるNIS諸国」。小誌としては異色の内容ですが、8月に発生したベラルーシの脱ルカシェンコ運動を皮切りに、秋にかけその他のNIS諸国でも選挙をきっかけにした政治変動が発生、さらにはナゴルノ・カラバフで本物の戦争が勃発するに至って、これはNIS諸国の今後を左右するだけでなく、ロシアの行く末にも大きく影響する現象であり、やはり正面から受け止めて特集を組むべきだと判断しました。

 いつもは表紙をお目にかける程度ですが、今回の「政情不安に揺れるNIS諸国」は渾身の特集ですので、特集記事のタイトルと執筆者を以下のとおりご紹介します。

  • 2020年ベラルーシ大統領選挙の顛末 ―人々は恐がることを止めた―(友繁弥寿志)
  • モルドバ大統領選挙の争点とロシアの影響力(六鹿茂夫)
  • 第2次ナゴルノ・カラバフ紛争 ―凍結された紛争の再燃―(立花優)
  • 2020年ジョージア総選挙 ―コロナ禍・米大統領選・カラバフ戦争の嵐の中で―(前田弘毅)
  • 混迷極めるキルギス第3次革命(中馬瑞貴)
  • ロシアとの関係強化を模索するウズベキスタン(中馬瑞貴)
  • タジキスタンの盤石な政治体制と脆弱な経済(中馬瑞貴)
  • ウクライナで実施された奇妙な国民意識調査(服部倫卓)
  • ロシア国民は周辺国の事件をどう見ているか(服部倫卓)
  • サンタ・ブレモルはルカシェンコの味方か敵か(服部倫卓)
  • ナゴルノカラバフ、見えない未来(小熊宏尚)

 以上です。12月20日発行。


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 朝日新聞社から出ている『月間Journalism』2020年12月号に、「迷走するルカシェンコ独裁 野望を砕くプーチンの思惑」を寄稿しました。

 ベラルーシ情勢については様々なメディアに色んな文章を書いてきましたが、今回はこれまでのテキストとは差別化するために、ルカシェンコとプーチンの関係性という観点にフォーカスしてまとめました。そういう内容なので、当方は「プーチンとルカシェンコ 交錯する2人の独裁者」というタイトルで出したのですが、編集側のご意向で上掲のようなタイトルとなりました(こういう一般向けのメディアに出す論考のタイトルは、基本的に編集側にお任せしています)。

 『月間Journalism』は、硬派な雑誌の割には741+税と比較的手頃で、電子版はさらに安いので、ご興味があったら参照してみてください。


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 これは個人的に見落としていた動きで、遅れ馳せではあるが、取り上げておきたい。

 こちらのサイトに見るとおり、10月28日の出来事だったようだが、ベラルーシおよびロシアのエコノミスト60名以上が、ベラルーシ社会に向けて公開書簡と称するものを発表した由である。ベラルーシは近くルカシェンコの暴力支配から解放されて、民主的に選出された指導者の下で新たな歩みを踏み出すはずだが、ルカシェンコ政権下で形成されてきた特殊な経済体制を考えると、その改革には多大な苦難が予想される。そこで我々エコノミストが、専門知識を活かし、指針を授けて差し上げよう。そのような発想にもとづいて、発表されたものである。詳細は省かせていただくが、その際に原則となる11項目が掲げられている。そして、現時点で62名の経済専門家の署名が見られる。一応、ネット上で署名できるようにもなっていて、私も枯れ木の賑わいで署名してみようかなどと考えたが、これは単なる署名活動ではなく、今後本格的な政策プラットフォームに発展していく可能性もあり、その際に議論に加わる余力が自分にあるとは思えないので、ちょっとやめておいた。

 ちなみに、この署名の存在について知ったのは、こちらに出ているロシアのYe.ゴントマヘル氏というエコノミストのインタビュー記事の中であった。この方の発言は私の認識に近く、大いに意を強くした。ゴントマヘル氏は、クレムリンはルカシェンコがカラー革命で倒れることは望んでいないが、ルカシェンコに手を焼いて退任させることを視野に入れていることは間違いなく、ベラルーシのシラビキのうち親ロシア派を使うか、あるいは経済的に圧迫するか、またはその両方の手段を使って、ルカシェンコに退位を迫る可能性が高いと見ている。また、ロシアがウクライナとEUの連合協定に激しく反発したのは、その先にあるウクライナとNATOの接近を許容できなかったことが本当のところで、その点ベラルーシにはNATOへの接近志向が皆無なので、アルメニア型のユーラシア経済連合に加盟しつつEUとの最大限の協力関係も推進するというシナリオが可能だと指摘している。


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 ベラルーシの政治情勢は、相変わらず膠着状態である。思うに、四半世紀をかけて、周到に権力・暴力装置を整えてきたルカシェンコが、力の行使により、最高権力者の地位にこれからも留まり続けること自体は、可能かもしれない。しかし、それは正常な意味で国を統治するというのとは異なる。国民の多数派は政権に服従せず、若者や有能な人材は国を離れ、経済は劣化していく。どこかで必ず、限界に直面するだろう。そんな不毛な事態になる前に、状況が打開されればいいのだが。

 そうした経済劣化の実例として、すでに動きが急なのが、IT産業である。IT産業については、以前のコラム「デジタル社会の反乱でつまずいた独裁者ルカシェンコ」で解説したとおりだ。ミンスクに開設されたベラルーシ・ハイテクパークを基盤に、ベラルーシはソフトウェア・アウトソーシングのメッカとなり、そのサービスが一躍ベラルーシ経済の有力な輸出産業として台頭していた。しかし、夏以降の政治危機の中で、ルカシェンコ政権側がたびたびインターネットの強制遮断のようなICT産業の基盤を脅かす措置をとったこともあり、多くの企業がベラルーシから撤退しつつある。周辺国のウクライナ、ポーランド、リトアニアなどは、ベラルーシのIT専門家を積極的に迎え入れる構えであり、政治危機が長期化すれば、ベラルーシのIT産業が本格的に空洞化していくことになりかねない。

 前置きがだいぶ長くなったが、NAVINY.BYのこちらのサイトに、ベラルーシが失おうとしているIT産業の重要性を示した図解・解説資料が出ていたので、それをチェックしておこうかと思った次第である。冒頭に示した図は、ベラルーシ、リトアニア、ラトビア、ポーランド、ロシア、ウクライナにおいて、GDPに占めるICT産業の比率がどのように推移しているかを見たものである。また、下図は、ベラルーシ経済の中で、IT部門の賃金水準が突出して高いことを示している。

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 ベラルーシで民主化運動が巻き起こってから早3ヵ月が経ちました。その間にキルギス、ナゴルノカラバフで大事件が起きたことに加え、直近では世界が米大統領選挙に釘付けに。こうなると、日本でのベラルーシ問題への注目度は下がり、報道量もめっきり減りました。しかし、ベラルーシの問題は何一つ解決しておらず、深刻な状況が続いています。せめて、我々のような旧ソ連クラスタの中だけでも、関心を持ち続けなければならないと強く感じます。

 そんなわけで、GLOBE+の連載でも、約1ヵ月振りにベラルーシを取り上げてみました。今回のテーマは宗教であり、「正教もカトリックも手玉に取るルカシェンコが唯一支配できないのは?」と題しお届けしております。


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 こちらの図解資料によれば、2020年1月1日現在ベラルーシで登録されている乗用車は309万4,600台であり、人口1,000人当たりに換算すると329台になるということである。過去20年ほどの推移は上図のようになる。2000年代に入りベラルーシ国民の所得も上がり、急激にモータリゼーションが進んだが、2010年代の後半は頭打ちだったようである。

 この資料によると、登録されている乗用車で最多の台数を誇るのは独系のフォルクスワーゲンであり、41万8,900台に上るということである。周知のとおり、フォルクスワーゲンはドイツの「国民車」という意味だが、今日ではベラルーシでも国民車になっているわけである。

 具体的な数字はないが、ソ連時代や独立当初は、ベラルーシでもソ連の国民車であるラーダ(ジグリ)が一番多かったはずだ。今日ではフォルクスワーゲンが最多であり、これはベラルーシの乗用車市場では欧州からの輸入中古車が幅を利かせているからであろう。そして、ルカシェンコ政権は中国との合弁「ベルジー」を設立し、目下ベラルーシ独自の国民車を生み出そうとしているわけだが、果たしてどこまで市場に浸透するか。


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 一般の方には何のこっちゃという話だろうけど、当ブログ既報のとおり、9月14日のルカシェンコとプーチンの首脳会談において、合意された事項として意外と重要だったのは、従来バルト3国の港で処理されていたベラルーシの輸出用貨物を、ロシアのサンクトペテルブルグ・エリアの港にシフトするという点だった。しかし、懲りない男ルカシェンコは、またも約束を反故にし、実際にはバルトの港を使い続けているということである。こちらの記事の中で、L.シェピロフという論者が論じているので、以下のとおり要旨を整理しておく。

 ルカシェンコはベラルーシ産の石油製品を、リトアニアの港を経由して輸出するのを止め、ロシアのレニングラード州の港にシフトすると9月に約束し、その実現は目前に迫っているとされている。だが、現在のところリトアニア経由のトランジットは縮小していないし、今後しばらくは続く見通しだ。

 ベラルーシ側の見解によると、ネックとなっているのは相変わらずの原因である。ベラルーシ側は、ロシアの鉄道および港湾料金の見積もりがバルト3国のそれよりも有利になることを求めている。

 もう何年も、バルト3国の港、特にリトアニアのそれが、安定的な収益を確保しているのは、ベラルーシ貨物、なかんずく石油製品、石油化学製品のお陰である。ゆえに3国とも、ベラルーシ貨物に低目の料金を設定してきている。

 興味深いのは、ルカシェンコ体制を批判する側に回っているウクライナも、ベラルーシ向け貨物のトランジットを止めることはなく、料金を据え置いていることである。1月から10月半ばまでに、ウクライナはアゼルバイジャン石油をベラルーシ向けに8万t以上トランジット輸送した。

 これらの要因が、ベラルーシがロシアに対し、少なくともバルトやウクライナと同等のトランジット条件を提示しろと要求することを可能としているのである。

 ベラルーシのビジネス上の利害は理解できるが、ルカシェンコがプーチンに対して貨物シフトを約束した際の政治的状況を想起すべきだろう。リトアニアやEUはルカシェンコ大統領を承認せず、制裁を打ち出している。ルカシェンコを一貫して支援しているのはロシアだけであり、ルカシェンコもそれには再三謝意を表している。今度ばかりは、政治的な配慮が、経済の実利を上回ってもよさそうなものなのだが…。

 ノヴォポロツクのナフタン製油所幹部は、技術的には我が社の製品は明日からでもロシアの港に移行できる、ただトランジットに関する経済的問題が残っている、輸送路を多様化しロシアの港にシフトする作業は本年開始され現在も精力的に続いている、ベラルーシ政府と国営コンツェルン「ベルネフチェヒム」が取り組んでおりすでに輸送会社と数回面談した、などと発言している。

 ロシア鉄道はすでにベラルーシ貨物をトランジットする料金の大幅値下げを表明しているのだが、今のところレニングラード州の港が同様の優遇措置を打ち出すに至っていない。港で値下げの対象となる貨物の量についても未定である。こうした状況から、ベラルーシはバルトとロシアを天秤にかけ、戦略的同盟国ロシアと駆け引きをしているわけである。

 これまでの経緯を整理すると、ロシア鉄道はすでに数年にわたりベラルーシの石油製品およびその他の貿易貨物を全面的に引き受ける意向を示しており、2016~2017年には交渉も行われた。だが、ベラルーシ側の鉄道・港湾料金値引きの要求が法外だったため、最終決定はなされなかった。2016年10月にはロシア鉄道はベラルーシの石油製品に25%の値引きを提供し、2017年3月からはそれを50%まで拡大しているのに、これ以上は困難である。ロシア鉄道幹部が最近述べたところによると、くだんの50%値引きは2025年まで有効であり、しかも空になったタンク車をベラルーシに戻すのにも適用されるという。

 さらに言えば、ベラルーシの製油所で生産される石油製品は、95%はロシア産原油を原料としているのである。ベラルーシ側にとっては、そんな事実よりも、ロシアから最大限のトランジット料値引きを取り付けることの方が、大事なようだ。


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20201026

 HP更新しました。マンスリーエッセイ「未来少年コナンから何を学ぶか」です。よかったらご笑覧ください。


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 本日10月25日は、例のチハノフスカヤがルカシェンコに突き付けた「国民による最後通牒」の期限なのだけど、果たして何かが起こるのだろうか?

 さて、ベラルーシ情勢で、研究する側にとって非常に困るのは、まともな世論調査や出口調査等が実施できないことである。なので、「おそらく8月の大統領選でルカシェンコはチハノフスカヤに負けていたのではないか」と推測しても、それを裏付けるしかるべきデータが存在しないということになる。

 そうした中、こちらのページに見るように、英国のチャタムハウス(王立国際問題研究所)がベラルーシでの世論調査を敢行したということであり、あっぱれである。「コンピュータ支援ウェブ調査(Computer Assisted Web Interview)」という方法を用いた由である。サンプルは899名とあまり多くないが、回答をベラルーシ都市部の性別・年齢・居住地の規模の構造に合わせて補正することによって数字を導き出しているということだ。コンピュータおよびネットのユーザーが回答者なので、社会的により活発な市民であることが想定され、反ルカシェンコ派がやや過大に、親ルカシェンコがやや過小に代表されている可能性があると説明されている。調査実施時期は2020年9月22~28日。

 ともあれ、きわめて貴重な調査結果なので、その概要を見ていくとすると、まず、先の大統領選で投票したという回答者は80.7%、しなかったという回答者は19.3%だった。

 いつ投票をしたかという設問では(当然、投票した人のみが回答したのだろう)、8月9日の本投票日が85.9%、期日前投票が14.1%という結果となった。中央選管の公式発表では、41.7%の有権者が事前に投票を済ませたとされていたので、そもそもそれが相当インチキだったことになる。

 最も興味深い、実際に誰に入れたかという質問に対しては、上図に見るとおり、S.チハノフスカヤ52.2%、A.ルカシェンコ20.6%、A.ドミトリエフ2.7%、S.チェレチェニ0.9%、A.カノパツカヤ0.3%、それ以外の候補9.2%、投票用紙を破棄した0.4%、回答拒否が13.7%となっている。最後の回答拒否が、チハノフスカヤに入れながらいまだに恐怖ゆえそれをカミングアウトできないということである可能性もあるが、いずれにしてもチハノフスカヤに有利な数字が出やすいこの調査で、同氏の数字が52.2%であるとすると、「第1回投票でチハノフスカヤが過半数をとって当選を決めていたはずだ」とまでは言い切れないだろう。ルカシェンコに対してリードを奪っていたことは事実だろうが。

 あと、色々な設問があるが、それらを眺めながらざっくり言うと、現時点でルカシェンコ体制をいまだに支持しているのが2割くらい、チハノフスカヤおよび反ルカシェンコ運動の側に立っているのが6割くらい、残りは無関心か中立、といった比率になっているようである。もちろん、上述のとおり、若干、反ルカシェンコ派に有利な調査方式という前提ではあるが。


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 こちらの記事などが伝えているように、昨日10月22日、ロシアからS.ナルイシキン対外情報庁長官がベラルーシに来訪し、ルカシェンコと会談するという動きがあった。

 これに関し、ベラルーシの政治評論家V.カルバレヴィチ氏がこちらの記事の中で論評している。いわく、今回ナルイシキンは、ソチでの会談でルカシェンコが負うことになった宿題を、ルカシェンコが果たしていないではないかというプーチンの不満を伝達するためにやって来た。第1に、ベラルーシはガスプロムに対するガス債務を完済したと称しながら、実際には払い終えていない。第2に、ルカシェンコはベラルーシの貨物をロシアの港にシフトすると約束したが、実際の動きはない。第3に、ルカシェンコはいまだに大規模抗議運動を沈静化させることができていない。ロシア側は、沈静化のためには、力だけでなく、歩み寄り(ロシア側が言うところの「社会との対話」)も必要だと見なしているのだが。ルカシェンコが表明した憲法改革は、ベラルーシ社会を満足させるものではないと、プーチンは見なしている。ロシア側は、憲法の採択時期・方式を明示し、前倒し大統領選をいつやるのかを明らかにし、社会を落ち着かせるべきだと考えているのに対し、ルカシェンコはそれに応じていない。ルカシェンコの言動から判断して、彼はソチで課せられた宿題を実施するつもりはないのだろう。ロシアからの帰国後、ルカシェンコは、「次期大統領選は憲法に沿って行われる」と述べており、それは現行憲法に沿って5年後ということになり、つまりは今回の任期を丸々務め上げるつもりと受け取れる。今回ナルイシキンは、これらに対するプーチンの不満を伝え、それがもたらしうる帰結につき警告するために来訪した。ロシア側には、石油・ガス供給を含めた経済面、マスコミ報道など、充分な圧力のテコがある。ベラルーシのエリート層も、ロシア側の出方に敏感である。プーチンがルカシェンコの頭越しに、メルケルやマクロンとベラルーシ問題について取り決めてしまう可能性すらある。カルバレヴィチはこのような分析を示した。

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 ベラルーシ国営のベルタ通信では、大統領選の前後から、ルカシェンコ体制の経済発展の成果を誇示するような図解資料をやたらと発信している。こちらもその一つであり、ベラルーシの食料安全保障が非常に高まっているというようなことを強調する資料である。しかし、全体的にソ連時代を彷彿とさせるような指標であり、またCIS諸国と比較するというところがいかにも作為的という気がする。

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 上に見るのは、ベラルーシがじゃがいも、食肉、牛乳の国民1人当たり生産量ではCIS諸国の中で1位であり、野菜では4位、穀物では5位ということを伝えている。

 下に見るのは、主要食品の消費量が、2010年と2019年でどう変化したかを見たものである。

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 最後は、ベラルーシで小売されている主要食品に占める国産品の比率を示した図である。左上から、卵、バター、食肉・肉製品、にんじん、下段の左からチーズ、砂糖、じゃがいもとなっている。多くの食品で、ほぼ完全自給となっているが、たとえばチーズなどは種類によっては輸入品もあるということだろう。言うまでもなく、ベラルーシは畜産品などは国内消費をはるかに上回る量を生産していて、それを主にロシアに輸出している。ただ、たとえば穀物、トマトなどの野菜、果物などは、ベラルーシは輸入で賄っている部分も大きいはずだが、ここではそれらは取り上げられていない。

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 ベラルーシの首都ミンスクの郊外に、中国の出資によって建設された工業団地「グレートストーン」というものがある。ベラルーシ大統領機関紙が発信したこちらのニュースで、この工業団地が、フィナンシャルタイムズ系のFDi Intelligenceが選ぶ最優秀経済特区に選定されたということが伝えられている。

 ただ、記事をよく見ると、「中国の一帯一路構想の枠内での経済特区として最優秀」と書いてある。実際、こちらの原典に当たってみると、「中国の一帯一路構想の枠内での経済特区として最優秀」というのは、あまたある部門賞、特別賞の一つにすぎないことが分かる。ベラルーシ紙の記事だけ見ると、グレートストーンが世界で最優秀なのかと思ってしまうが、決してそういうことではない。ちなみに、総合ランキングによる世界の経済特区ベスト10は、以下のとおりということである。

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 ベラルーシの新しい統計年鑑が出たので、それを眺めてみた。ベラルーシは、五ヵ年計画の国であり、ルカシェンコの5年の任期に合わせた「社会・経済発展プログラム」が、政策の根幹になっている。それもあってか、統計年鑑には、年次データだけでなく、上掲のような5年刻みの経済指標も掲載されている(2016~2019年だけは4年だが)。昔の社会主義諸国の統計のようで、懐かしさを覚える。

 そもそも、独裁国ベラルーシの公式統計を100%信用していいのかという問題があるが、その公式統計だけからでも、2010年代にベラルーシが深刻な経済不振に陥っていたことは、歴然である。2010年代前半には経済成長率は年平均1.2%で、後半にも1.1%にすぎなかった。

 色々ある低調な数字の中でも、とりわけ厳しいのが、固定資本投資の伸び率なので、表ではそれを取り上げた。

 ルカシェンコ体制下では国がリードする形で投資主導の経済発展が目指され、2011~2015年の社会・経済発展プログラムでは5年間で固定資本投資が90~97%も増大するとされていた。しかし、表に見るとおり、現実にはこの間の固定資本投資伸び率は年平均でマイナス2.8%であり、5年間では13.2%も落ち込んだ計算となる。2016~2020年の社会・経済発展プログラムでは、5年間の固定資本投資の伸びが12.0~14.9%と、以前よりは控え目に見積もられた。現実には、2016~2019年の固定資本投資は年平均で0.5%低下していた。

 ルカシェンコ流の経済成長戦略は、過去10年ほどまったく機能していなかったことになる。


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 昨日、珍妙な出来事があった。ベラルーシのルカシェンコ自称大統領がKGBの留置場を訪れ、拘留されている反政権派の活動家らと面談したのだ。こちらこちらの記事が伝えている。

 面談相手には、大統領選出馬を試みたヴィクトル・ババリコと、その息子エドゥアルド、法律家のL.ヴラソヴァなども含まれていた。面談は4時間半にも及んだそうだ。ルカシェンコは、「対話」を求める声に応じて今回の動きに踏み切ったと説明した。ただし、「憲法は街頭で書くものではない」と戒めたということである。面談の詳しい内容は秘密とされている。

 当然、自分には「聞く耳」があるのだという、ルカシェンコのパフォーマンスの試みだろう。ベラルーシ社会向けのジェスチャーということに加えて、ロシアも広範な国民層との「対話」をルカシェンコに求めていたので、あるいはロシアに課せられた宿題をこなしたという側面もあったのかもしれない。

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 私はこれまであまり参照してこなかったが、ロシアにV.ソロヴェイ氏という政治評論家がいる。10月1日付のこちらの記事に見るとおり、そのソロヴェイ氏がウクライナのジャーナリストD.ゴルドン氏のインタビューに答え、ベラルーシ情勢の見通しについて語っているので、以下のとおり要旨を整理しておく。

 ソチでの会談でプーチンとルカシェンコは、ロシアがルカシェンコに身の安全を保障するということで合意した(当然、プーチンはルカシェンコのことは大嫌いなわけだが)。ロシア側は、革命の結果ルカシェンコが倒れることを望んでいない。それはきわめて危険な先例となる。ウクライナの苦い経験で、そのことには懲りている。

 ルカシェンコがベラルーシで政権の座に留まれないことは、最初の1週間で明白だった。問題は、どれだけ踏み留まり、いつ退任するかだけだった。現在想定されているスキームは、次のようなものである。ルカシェンコは、来年秋までに退任する。国内の危機を克服できれば、あと1年は政権の座にいられる。ソチでの会談では、融資の問題がクローズアップされたが、ベラルーシの政治情勢に関するやり取りは一般には伏せられている。プーチンはルカシェンコに、2ヵ月で国内を鎮静化するようにと言い渡した。両者が考えたのは、ベラルーシで憲法改革を始動し、前倒しの大統領選を布告し、ルカシェンコ自身はそれには出ないというものである。

 ロシア側が担ごうとしているのは、V.ババリコである。ベラルーシの野党政治家がロシア派とは限らないが、ババリコとロシアは連絡をとっている。

 結局のところ、ベラルーシはロシアへの依存度がきわめて深い。エリートだけでなく、野党も、社会全体もそうである。ウクライナとは違って、ロシアという国、ロシア人に対しての反感はない。ロシアが過度に介入すると、ベラルーシの反発を招く恐れもあるが、クレムリンはウクライナで懲りて、そうした決定は行わないだろう。

 自分(ソロヴェイ)の得ている情報によれば、プーチンはベラルーシをロシアの西部領土にすることを望んではいたが、ここに来て、それは危険であり望ましくもないということを悟った。まさに現在、ベラルーシ民族の結晶化が進んでいるからである。ロシアがベラルーシに対して余計な「兄弟的支援」を行うと、ベラルーシ国民がロシアへの敵対的感情を強めるが、ロシアはもうそうした手出しをするつもりはない。

 以上がソロヴェイ氏の見立てであるが、もし本当にこのようなシナリオを辿るならば、ベラルーシにとって理想的とは言えないまでも、まだしも救いのある展開になる。こう言っては何だが、私が以前から落しどころと考えていた線に近い。問題は、権力欲の塊であるルカシェンコが、「死んだふり」をしていったん言うことを聞いても、その後本当に退陣に応じるかという点だろう。

 なお、こちらに見るように、ソロヴェイ氏は、1ヵ月ほど前には、ルカシェンコが退任するまでに、ロシアとの統合条約を結ばされて、その頃にはベラルーシは国家主権の大部分を喪失し、実質的にロシア連邦の西部領土になっているだろうと発言していた。10月1日のインタビューで、プーチンはここに来てそれを諦めたと語っている点が注目される。


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 レアなデータでも何でもないが、こちらのサイトに、2020年に入ってからのベラルーシの金・外貨準備の推移を示したデータ出ていたので、それを当ブログにも転載させていただく。本年の年初には93億9,350万ドルだった準備高が、10月1日時点では73億2,140万ドルとなっており、約20億ドル低下したことになる。

 ちなみに、元のデータが出ているのは、ベラルーシ中銀のこちらのページである。10月1日の73億2,140万ドルの内訳は、ゴールドが29億9,330万ドル、外貨が29億5,740万ドル、SDRが5億2,350万ドル、その他が8億4,710万ドルとなっている。外貨の内訳を知りたかったのだが、ベラルーシ中銀は公開はしていないようだ。当然、ドルとユーロが中心だとは思うのだが、中国とのパイプも太いだけに、人民元も入れているのか? さらに言えば、ベラルーシにとってみればロシア・ルーブルも外貨のようなものであり、ロシア・ルーブルをリザーブしておくようなことはあるのか? そのあたりが気になるのだが、情報なし。


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 私がよく引用させてもらうベラルーシの政治評論家V.カルバレヴィチ氏が、こちらのサイトで、ベラルーシとキルギスの違いについて語っているので、以下のとおり抄訳しておく。

 キルギスがベラルーシとまったく異なっている点は、キルギスでは国民の民族・文化的な背景にもとづく2つの政治グループの間にバランスがあることである。ざっくり言えば、北部人と南部人というグループだ。両者間では、常に闘争があり、合意とバランスの保持が政治システムの重要な要素である。時折、そのバランスが崩れて、紛争に至り、武力を伴うこともある。

 ベラルーシでは権力維持のメカニズムがまったく異なり、派閥という仕組がない。派閥間、政治グループ間、オリガルヒ間の闘争というものが欠如している。民族的にも、地域的にも、かなり同質的である。ベラルーシの分裂は別のところにあり、それは政治的価値観、世界観によるものである。

 ベラルーシの政治体制は非常に強固であり、キルギスはそれとはまったく異なる。何だかんだで、キルギスの選挙では票が数えられる。多少の改竄はあるかもしれないが、その程度は、ベラルーシの比ではない。民主主義の要素は、キルギスの政治システムの方が、ベラルーシのそれよりもずっと多い。

 だが、結局のところ、旧ソ連空間に完全な民主的伝統が確立された国はない。それゆえ、様々な場所で、定期的に紛争が発生する。「純粋な民主主義」は旧ソ連のどの国にもない。ウクライナやアルメニアのような選挙が実施されている国でも、EU諸国あたりとは異なる要素があり、それが絶えず紛争を招いている。民主主義のメカニズムが上手く機能しない分、矛盾が街頭へと波及する。

 旧ソ連におけるもう一つの紛争の類型が民族紛争である。ソ連が崩壊した時点で、ジョージア、キルギス、ウズベキスタン、沿ドニエストル地域、クリミアで民族間紛争が噴出し、ナゴルノカラバフなどは古典的である。ソ連にはそれらの地雷が仕掛けられ、それが現在爆発している。

 多くの旧ソ連諸国がロシアに依存するようになり、このエリアにおいてロシアが突出した力を得ることになった。それゆえ、ロシアにはすべての紛争をコントロールしたいという願望が生まれる。ロシアは旧ソ連空間を自らの影響圏と見なし、ウクライナの例が典型的だったように、外務の勢力がこのエリアに影響力を行使しようとすることに拒絶反応を示す。ロシアは、自らがこのエリアに責任を負っていると認識しているので、ベラルーシの危機、カラバフの危機など、危機的な現象には何らかの反応を示さざるをえないのである。


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 GLOBE+に、「ベラルーシはロシアの従属国になるのか? 甦るゾンビ条約」を寄稿しました。

 ちなみに、1999年にロシア・ベラルーシ間で結ばれ、しばらく休眠状態だったものの、最近また脚光を浴びている「連合国家創設条約」に関し、これを言い当てる何か上手い表現はないかと、ここ2ヵ月くらい私はずっと考えていたのですが、たどり着いた答えが今回の「ゾンビ条約」という言葉でした。


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 もう出国してしまったが、ルカシェンコ政権からの政権移行を目指す調整評議会のメンバーの一人に、ノーベル賞作家のS.アレクシェーヴィチがいた。私のイメージでは、ベラルーシ本国では、以前はアレクシェーヴィチの知名度や人気は必ずしも高くなかったが、2015年にノーベル文学賞を受賞して以降、ベラルーシでもある程度注目される存在になった、といったところだと思う。

 それで、ベラルーシにおけるアレクシェーヴィチの位置付けをもっと客観的に示すデータはないかと思って探したところ、こちらの記事が目に留まった。ベラルーシ科学アカデミー社会学研究所が行ったアンケート調査があるそうであり(2016年に3,800人を対象にアンケート調査、K.スタセリコ上級研究員が担当)、体制寄りの研究所であるところが気にはなるものの、文学に関する調査ならそれほど偏向もないだろうということで、これを参照してみることにする。

 この調査によると、回答者のうち文学を読むという向きは49%だった。毎日本を開くという人は7%、週1が16%、月1が10%、それ以下の頻度が15%だった。

 現代ベラルーシ文学を読むかという設問では、読むが12%、読まないが57%、残りが回答困難だった。頻度は、毎日が0.5%、週1が2.0%、月1が2.7%、それ以下が7%であった。

 実際にどんな現代作家を読んでいるかというと、以下のとおりとなった。

  1. V.コロトケヴィチ:全回答者の1.3%
  2. S.アレクシェーヴィチ:1.2%
  3. V.ブィコフ:0.7%
  4. I.メレジ:0.4%
  5. N.バトラコヴァ:0.4%

 「現代の」と断った割には、この中で現在生きて活躍しているのはアレクシェーヴィチとバトラコヴァだけである。後者について、私は知らなかったのだが、恋愛小説を書いてベストセラーになった人のようだ(当然、ロシア語であり、ロシアでも読まれているようで)。

 我が国で村上春樹の『ノルウェーの森』は1,000万部を突破したということであり、つまりだいたい日本国民の10人に1人くらいは読んだということになろうか(吾輩は読んでいないが)。それに比べると、アレクシェーヴィチが1.2%の国民にしか読まれていないというのは(ノーベル賞受賞直後の2016年時点ではまだ作品があまり出回っていなかったという可能性もあるが)、だいぶ少ないなという気がする。直感的に言って、ベラルーシでも村上春樹のファンの方が多いかもしれない。

 なお、2020年3月のこちらの記事では、インターネットの検索数にもとづいた現代ベラルーシの人気作家ランキングが出ている。具体的な数字は出ていないが、ベスト5は以下のとおりだった。1~3位がロシア語作家、3~4位がベラルーシ語作家かな。グロムイコという人はコメディー・ファンタジーで人気らしい。

  1. O.グロムイコ
  2. S.アレクシェーヴィチ
  3. N.バトラコヴァ
  4. V.マルティノヴィチ
  5. A.グロブス

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 先日、『外交』誌(Vol.63, Sep./Oct. 2020)に、「ルカシェンコ大統領の命運握るロシアとの『連合国家』」と題する拙稿が掲載された旨をお伝えしました。実は『外交』では、新型コロナ感染症防止対策で読者が書店や図書館にアクセスしにくい状況に鑑み、Vol.60以降の全記事をPDF形式で無料公開しています。拙稿の載ったVol.63もこちらのページでご利用いただけますので、ぜひどうぞ。私の論考以外にも、ロシアに関連したものだけでも、「『反米親中路線』を止められないプーチンのジレンマ ―それでもロシアはトランプ再選を望む」、「プーチン体制長期化が示すもの ―個人支配化とその問題点」といった記事があります。


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 TUT.BYの資料によると、8月9日の大統領選後に、ルカシェンコと会ったのは、

  • ロシア首相
  • ロシア大統領
  • 中国の駐ベラルーシ大使
  • ロシア国防相
  • ロシアの駐ベラルーシ大使
  • (以下すべてロシアの)レニングラード州知事
  • イルクーツク州知事
  • 沿海地方知事
  • プスコフ州知事
  • オムスク州知事
  • ブリャンスク州知事

 一方、チハノフスカヤと会ったのは、

  • 米国務副長官
  • ポーランド首相
  • EU外交団トップ(誰のこと?)
  • 欧州議会議長
  • オランダ外相
  • 米国務次官補代理
  • オランダの駐リトアニア大使
  • フランス大統領

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 このほど発行された『外交』誌(Sep./Oct. 2020)に、「ルカシェンコ大統領の命運握るロシアとの『連合国家』」と題する論考を掲載しました。

 ベラルーシ情勢については、いくつかのメディアから寄稿を依頼され、内容がだぶらないよう住み分けの工夫をしているつもりです。今回は、対ロシア関係に重点を置いた内容になりました。締切から発行までにだいぶ時間があり、情勢が変わってしまわないかという懸念もありましたが、幸か不幸かベラルーシ情勢が膠着しているので、一応内容的に鮮度を保っていると思います。


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 GLOBE+に、「ロシア依存を軽減するはずが逆効果だったベラルーシ原発」を寄稿しました。

 今回のコラムでは、ベラルーシ情勢を読み解く上での一つのヒントとなる原子力発電所の問題について語ってみました。ベラルーシは、1986年のチェルノブイリ原発事故の被害国であり、これまで国内には原発が立地していませんでしたが、ルカシェンコ大統領(当時)の強い意向により、同国初となる「ベラルーシ原子力発電所」の建設が決まりました。そして、建設作業はすでに完了しており、その稼働開始が、まるでルカシェンコの新たな任期を祝うかのように設定されているのです。


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 ナゴルノカラバフでガチの戦争が起きて、ベラルーシはあっという間にオワコンか。8月から9月にかけて、日本における数少ないベラルーシ専門家として重宝されたけど、もうバブルも終わりだな。うだつの上がらない平民出に巡ってきたビジネスチャンスだったけど、短ぇ夢だったな。

 それはそうと、こちらのページに、興味深い図解資料が出ていた。旧ソ連の各国に、「ポーランドカード」がどれだけ発行されているかを比べたものである。それに加え、2段目にポーランド永住権の供与数、3段目にポーランドに留学している学生の数が出ている。

 ポーランドカードというのは、芸がないようだがウィキペディアによれば、ポーランドで2008年に発効した制度であり、旧ソ連のポーランド系住民に対し「ポーランド民族」に属すというお墨付きを与える制度で、2019年からは旧ソ連域外の人々にも適用されるようになった。制度の実質的な狙いとしては、旧ソ連の同胞を労働移民として迎え入れる点にあるということである。

 2019年の国勢調査によれば、ベラルーシには29万人のポーランド系住民が存在することになっている。一方、今回の資料によれば、ポーランドカードを取得したベラルーシ国民は14万人あまりなので、約半分がそれを取得したということになろうか。今般のベラルーシ民主化運動に至る底流として、ポーランドとの関係拡大という要因もあったという仮説が成り立つだろう。


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 むかし、「カワイイはつくれる!!」というCMがあったが、ベラルーシを見ていると、世論も作れるのかなと感じる。ベラルーシ科学アカデミー社会学研究所のこちらのページに、対ロシア関係をはじめとして、ベラルーシのあるべき対外戦略についての世論調査結果が出ていた。ただ、そもそもがルカシェンコ体制の御用調査機関であり、調査方式などについての具体的な情報が記されておらず、疑いの目を向けざるをえない。このコンテンツが発表されたのが、大統領選直後の8月14日であることから見ても、政治的意図があって発表したものではないかと、つい見てしまう。

 上に掲載したグラフは、どのようなロシアとの関係を望むかという問いに対する回答状況である。最新の2020年6月の状況で、「ベラルーシは独立国でありロシアとは国際条約にもとづいた関係を構築すべきだ」(青)が61.6%、「ベラルーシとロシアは超国家機関を創設し同権の連合関係を築くべきだ」(緑)が24.5%、「ベラルーシは連邦構成体(単数または複数)としてロシア連邦に加入すべきだ」(赤)が6.7%だったと発表されている。要するに、ロシアと国家統合を行うことを希望しているベラルーシ国民は趨勢的に減少しているという、ルカシェンコ体制にとって何とも都合の良い数字になっている。ベラルーシで対ロ統合の支持者が減っているのは事実だと思うが、ちょっとこのグラフの示すパターンは露骨すぎるのではないかという気がする。

 一応、他の設問の回答状況も見ておくと、ベラルーシの対外関係の方向性はどのようなものであるべきかという設問では、ロシア寄り23.9%、欧州寄り20.2%、中国寄り4.8%、特にどこにも依拠せず自主路線を進める28.6%、などとなった。


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 こちらのサイトで、ベラルーシの政治評論家V.カルバレヴィチ氏(写真)が、9月14日のソチ会談後のベラルーシ情勢について論評しているので、以下のとおり抄訳しておく。


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 今年の大統領選前までは、ルカシェンコは国民の支持に依拠していたが、今ではロシアに依拠するようになり、ロシアはベラルーシへの影響力を強めた。しかし、ロシアによるバックアップは、ルカシェンコにとって心許ないものであることが、徐々に明らかになっている。

 9月17日にロシアのS.ラヴロフ外相はロシアのRTVI局のインタビューに応じ、次のように発言した。「ルカシェンコ大統領自身、自分は長く政権に留まりすぎたのかもしれないと発言している。大統領が言っているように、憲法改革を経て、彼は前倒しの議会選・大統領選を宣言するかもしれない。これは、国民対話が完全な形で実施される枠組みを示している。重要なのは、ベラルーシ社会のすべての国民層が憲法改革のプロセスに参加し、この改革が完全に合法ですべての国民にとって分かりやすい形になることに尽きる。さらに、いつ、どこで、どんな形でこのプロセスが始まるかという具体的な提案が必要である。」

 かくしてラヴロフは、プーチンがソチで示したクレムリンの立場を、明らかにしたわけである。それはすなわち、ルカシェンコは5年の任期を待たずして早期に退陣すべきだというものである。

 しかし、ルカシェンコはこうしたシナリオに同意はしていない。もしかしたら、ソチでは反論はしなかったのかもしれない。しかし、帰国後は、ソチでの話を実質的に反故にしている。

 ソチ会談直後、ルカシェンコは全政権幹部を招集した。ソチでの会談で、ルカシェンコがプーチンにあまりにへりくだった態度を示したことが、ベラルーシのエリートたちに好ましくない印象を残していたので、ルカシェンコとしては早急にそれを打ち消す必要があったのだろう。

 ルカシェンコはこの席で、次回大統領選挙は憲法に沿って実施されると発言した。現行憲法に従うならば、それは2025年となり、前倒し大統領選などはなくなることになる。

 ラヴロフは国民対話について述べたわけだが、ルカシェンコが実際にやっていることは対立を煽ることだけである。くだんの政権幹部会合でルカシェンコは、大規模な抗議運動はベラルーシに対する世界的な陰謀によるものであると主張した。なぜ過去26年作動しなかったカラー革命のテクノロジーが突如として稼働したのかということにつき、ルカシェンコは説明しなかったが、いずれにせよルカシェンコの語り口は、すべての敵対者に対する敵意、内戦のレトリックであった。

 ラヴロフの要求に反し、ルカシェンコはフィクションにすぎない「全ベラルーシ大会」で憲法を討議するとしている。また、ルカシェンコは、まずは政権幹部を、次に女性大会を招集したが、憲法改革の具体的な日取りは明らかにしていない。彼は時間稼ぎをしており、状況に応じて次の手を打とうとしている。今の時点で憲法採択の、増してや前倒し選挙の日程を発表したら、レームダック化してしまう。もしもベラルーシのエリートやシラビキたちが、ルカシェンコが退陣する時期を知ったら、彼らの忠誠心が低下することになる。

 他方、ルカシェンコは、プーチンがルカシェンコを守る以外にどうしようもないということを、確信している。クレムリンにとっては、ベラルーシでカラー革命が起きるという恐怖の方が、強いからだ。

 その間、ベラルーシの西側ベクトルは、状況が悪化する一方である、ベラルーシ外交が長年にわたり目指してきた欧米との関係正常化の試みは、水泡に帰しつつある。9月17日の女性大会でルカシェンコは、西側との関係は壊滅の一歩手前だと述べ、戦争の危険について指摘し、ポーランド、リトアニア、ウクライナの首脳のことを「愚かな政治家たち」と呼んだ。

 その上でルカシェンコは、リトアニアおよびポーランドの国境を閉鎖し、ウクライナとの国境は警備を厳重にした。その結果、バルト三国から貨物を運んでくるトラックが厳重にチェックされるようになり、通過ポイントで数時間の遅れが発生している。ロシアはリトアニアからの貨物到着が最大で5日遅れるようになったとクレームをつけ始めている。ベラルーシ当局はまた、国籍に関係なく、自国民も含め、これらの国境を通過する人々を厳重にチェックするようになった。

 これらの問題は、ベラルーシの外交と経済にとって長期的なダメージとなる。ベラルーシはトランジット立国であり、そのことが外交および経済面で多大な恩恵をもたらしている。トランジットを実際に止めるのはもちろん、制限すると表明しただけで、国にとってはマイナスである。輸送会社は迂回路を探すことになる。ベラルーシは欧州地図における「ブラックホール」になりかねない。

 9月18日にはV.マケイ・ベラルーシ外相が、もしもEUがベラルーシ指導部に対する制裁を導入したら、ベラルーシはEU加盟諸国との外交関係を断絶するかもしれないと述べた。マケイはさらに、ベラルーシに対する何らかの制裁が採択されたら、ベラルーシ国家は国内政治に関連したしかるべき措置をとるかもしれず、これは政治システムおよびベラルーシに駐在している外国のマスコミにかかわる可能性があると述べた。これを普通の言葉に翻訳したら、もしもEUが制裁を発動したら、ベラルーシの支配体制は国民に対する政治的抑圧をさらに強めるということになる。


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 昨日、「ロシア語とベラルーシ語 反ルカシェンコ派の興味深い立ち位置」というコラムを発表した。ちょっとその続きの話である。

 昨日のコラムでは、ベラルーシ国民のうちベラルーシ語を母語とする者の割合、普段家庭でベラルーシ語を話している者の割合というグラフをお目にかけた。実は、コラム執筆に向け、上に見るような、都市・農村別、地域別、民族別のベラルーシ語比率という表も用意していたのだが、話が複雑になりすぎるので、割愛した次第だ。せっかく作ったので、当ブログでお目にかけることにする。

 なお、できることなら年齢層別のデータも載せたいところだったが、残念ながら原典の統計集にそのデータが掲載されていなかった。

 分かりやすいのは、都市・農村別の状況であり、ベラルーシ語の母語比率も、家庭使用比率も、農村の方が高くなっている。地域別の状況はなかなか複雑怪奇で、ブレスト州などは母語比率は高いのに家庭使用比率が非常に低いという、不可解なことになっている。

 これは以前から目立っていた現象だったが(拙著『不思議の国ベラルーシ』で詳しく論じた)、民族的なポーランド人の間では、ベラルーシ語を母語と見なす人々が非常に多く、家庭使用比率に至っては民族的なベラルーシ人すらも上回っている。ちなみに、自称ポーランド人たちの間では、ポーランド語を母語とする人も、家庭でポーランド語を話す人もごくわずかしかおらず、だいたいがロシア語かベラルーシ語かのどちらかである。貴方たちは本当にポーランド人ですか、単にカトリックなだけではないのですかと、ツッコミたくなる。


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