ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ベラルーシ

 ちょうど1年前のことでしたが、「週刊ロシア経済」というYouTube動画のシリーズを立ち上げました。しかし、予想されたこととはいえ、毎週更新するのはしんどく、本年夏に更新が途切れてしまっていました。また、内容的にも、当初想定していたような定番コーナーを設けるやり方は、マンネリとなり、手間がかかるわりにはあまり意味がないということを感じるようになりました。

 そこで、今回より、「深掘り! ロシア・ユーラシア」と改名し、各回1つのテーマに絞って、不定期に発信することにしたいと思います。リニューアル第1回の今回は、11月10日にロシア・東欧学会で「一帯一路の沿線国としてのロシア・ユーラシア諸国の経済的利害」と題する報告を行いましたので、その要旨をご紹介することにしたいと思います。


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 少々古い7月の記事だが、目に留まったので書き留めておく。こちらによると、ベラルーシの首都ミンスクで、同市の東の郊外にあるミンスク国際空港まで伸びる鉄道を整備する計画が進行しているという。建設は2020~2021年にかけて実施される見通しとなっている。記事には書かれていないが、起点はミンスク中央駅だろう。そこから、ゴロジシチェというところまでは既存の線路を使い、そこから南に向かう支線を新たに建設して、空港に至るという青写真らしい。新たな支線の距離は18kmになるようだ。ミンスク国際空港は現在のところ自動車(バス、タクシー、自家用車)でしかアクセスできず、バスは乗客を乗せきれないことも時々あり、タクシーは値段をふっかけるので、不便となっている。

 ところで、この記事によれば、新たな支線の建設には、もう一つのポイントがありそうだ。ミンスク国際空港に隣接して、中国とベラルーシの合弁でグレートストーン工業団地が造成されている。ちょうど同じ2019年7月に、この工業団地に鉄道ターミナルを建設する方針が決まっていた。したがって、新たな支線には、乗客を空港まで運ぶという役割と、工業団地に貨物(および従業員)を運ぶという、2つの役割が課せられると考えられる。


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 ベラルーシのミンスク郊外に、ベラルーシと中国が共同で設立した「グレートストーン」という工業団地がある。こちらの記事によれば、このほど同工業団地で、ベ中合弁のエンジン工場「MAZ-Weichai」が開設された。出資したのは、中国山東省濰坊市を本拠とするWeichai Powerである。2014年から、ミンスク自動車工場(MAZ)においてユーロ4、ユーロ5の環境性能に適合したWeichai ブランドのエンジンが生産されてきたが、新たに専用工場を開設したものである。これにより、従来はロシアのヤロスラヴリから調達していたディーゼルエンジンを自前で賄うことが可能となった。投資総額2,000万ドルのうち1,400万ドルを中国側が出資した。同工場での国内調達比率は30%だが、ベラルーシ政府はそれを50%に高めることを課題に掲げている。協力の次の段階として、やはり同工業団地内にトランスミッション工場が建設され、その作業はすでに始まっている。

 さらに、こちらの記事によると、グレートストーン工業団地の入居企業は、すでに55社に上っている。工業団地のA.ヤロシェンコ総裁は、入居企業数は、本年中に60に達し、2020年末までには80に増大させたいとの抱負を示した。


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 ユーラシア開発銀行が発行した中欧班列に関するレポートに、目を通してみた(こちらからPDFのダウンロードが可能)。当ブログでも何度か取り上げているように、中欧班列とは、ユーラシア大陸を横断して、中国と欧州を鉄道のコンテナ列車で結ぶ新たな輸送ルートのことである。2011年から始まり、その貨物量は年々拡大している。主なトランジット国は、カザフスタン、ロシア、ベラルーシである。

 それで、今回上掲のレポートを読んで分かったのは、その中欧班列のコンテナ輸送において、ポーランド(ポーランド・ベラルーシ国境を含む)がボトルネックになっているらしということだった。関係者の間では知られた話のようだが、上掲のレポートでは技術的な側面も含めて事実関係が良くまとめられていた。

 レポートによると、現時点で中欧班列を発展させるうえで最大のボトルネックとなっているのが、ポーランド・ベラルーシ国境における処理能力の不足である。ベラルーシのブレストとポーランドのマワシェヴィチェ間の交通量が、きわめてタイトとなっている。中欧班列の実質的にすべての列車が、このルートを通る。ポーランドのインフラ・機関車・貨車の状況を考えると、ブレスト~マワシェヴィチェのルートでのコンテナ輸送量をこれ以上拡大できるかは疑わしい。すでに現時点で、1日14本の列車の通過が合意されていながら、実際にはポーランド側は9~10本しか受け入れていない。ポーランド側は、ポーランド・ベラルーシ国境の既存の5箇所の鉄道通過ポイントをすべて稼働させ、ベラルーシ側での積み替え作業も含め、処理能力を高めることによって、状況が改善されることを期待している。

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 やや古いが、7月のこちらの記事によると、ロシア・ベラルーシ間で高速鉄道を整備する計画があるということである。7月16~18日にサンクトペテルブルグで開催された地域フォーラムで、連合国家国家書記のG.ラポタおよびYu.ヴォロビヨフ・ロシア上院副議長がその構想を明らかにした。

 ラポタ国家書記およびヴォロビヨフロシア副議長によると、本件は両国の運輸当局が加わって検討が始まったばかりである。新たな鉄道は、ロシア・ベラルーシの共通運輸空間形成の一環である。現在ではミンスクからモスクワまで鉄道で9時間、ペテルブルグまでは13時間かかるという前近代的な状況だが、サプサン車両なら4時間で可能になる。ミンスクからの列車はまずベラルーシ北東部のヴィテプスクに至り、そこからプスコフ経由ペテルブルグに向かう路線と、スモレンスク経由モスクワに向かう便に分かれる(上掲地図参照)。

 さらに、両者によれば、現代的な運輸インフラの発展は連合国家の優先的な方向性の一つであり、高速鉄道もその一環である。新路線はロシア諸都市をワルシャワ、ベルリン、ハンブルグといった欧州主要都市と結ぶ新たな窓口となり、さらにペテルブルグとの連絡のお陰でスカンジナビア欧州観光リングにも接続できる。プロジェクトの意義は、経済的にはともかく、社会的には多くの論拠がある。さらに、この高速鉄道はカザフスタン~モスクワ~ミンスクを経て欧州に至る「シルクロード」の一部ともなりうる。現在サプサンは旅客専用だが、新路線は旅客・貨物併用になる。高速鉄道は2030年までに建設されうる。

 以上が、7月に出た情報であった。なお、こちらの新しい記事によれば、ラポタ国家書記は再びミンスク~ペテルブルグの高速鉄道のプロジェクトについて語り、両国政府および専門家たちはこの構想を支持していると強調した。


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 正直言うと、これは終わってから知った話なのだが、こちらのサイトなどが伝えているとおり、9月18日にミンスクでベラルーシ日本経済フォーラムが開催されたということである。2018年5月に東京と大阪で開催された第1回に次ぐ第2回という位置付けになるらしい。参加した日本人の人数は不明だが、官民の代表が訪問したとされている。

 政治家としては、松平浩一衆議院議員(立憲民主党)が参加したということであり、ご本人のフェイスブックページで現地の様子が報告されている。

 こちらの記事によると、日本の代表団はベラルーシの軽工業企業を束ねる国営コンツェルン「ベルレフプロム」および繊維企業を訪問し、両国は革新的なスポーツ衣料生産の分野で協力していくことで合意したという。


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 現在モスクワ滞在中であり、一昨日ちょっと時間があったので、家電店のMヴィデオを覗いてきた。私は以前はロシアの家電市場の調査を熱心にやったりもしたのだが、家電市場が変質してしまったこと、日系メーカーが元気がなくなったことなどからやや熱意が薄れてしまった。それでも、たまには家電売り場を見ておかないと、時代に取り残されてしまう。

 テレビ売り場に関して言えば、相変わらず売り場の半分以上はサムスン、LGという韓国勢によって占められている。そして、両社ともロシアに自社工場があるので、当然のことながら、販売されているテレビはロシア製である。

 その他の外資系では、フィリップス、ハイアールも、ロシア製とされていた。具体的にどこの工場で組み立てているのかは不明であり、そのうち調べてみたい。

 日系メーカーでは、SONYのテレビがかなり多く置いてあり、すべてマレーシア製だった。

 台数はそれほど多くなかったが、パナソニックのテレビは、ベラルーシ製だった。ミンスクのゴリゾント社にアセンブルを委託しているのだろう。もはや日系メーカーと言えるかは微妙だが、わずかな台数置かれていたシャープもベラルーシ製で、やはりゴリゾント委託か。ゴリゾント社自身のテレビも、1台だけ置かれていた。

 昔であれば、冷蔵庫、洗濯機売り場にもベラルーシのアトラント社の製品が大量に陳列されていたわけだが、今回はまったく見かけなかった。


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 こちらの記事によると、ロシアとベラルーシは本年12月8日に二国間の統合に向けた新たなプログラム文書(複数)に調印する予定で、現在その準備作業を進めているということである。

 1999年に連合国家創設条約が成立してから、ロシア・ベラルーシ両国は野心的な統合を目指す姿勢を後退させ、さらに2015年にユーラシア経済連合が発足してからは、二国間から多国間の統合へと軸足を移していた。それが、ここに来て改めてロシア・ベラルーシ連合国家という二国間の枠組みでの統合深化がアジェンダに上ってきたということになる。

 記事によれば、ベラルーシ側のD.クルトイ経済相が、記者団に以下のように語ったということである。いわく、重要な問題が未解決だが、ロシアとベラルーシは12月8日に統合のためのプログラム文書(複数)に調印することになる。同日までに統合プログラム(単数)と、ロードマップのパッケージがワンセットで策定されることになる。12月8日というのは両国大統領がサンクトペテルブルグで合意したものであり、これは動かせない。文書には両大統領が署名することになる。また、両国は一連のデリケートな問題、とりわけ天然ガス問題についての一連の協定を準備している。それらの作業を現在行っているところであり、毎日何らかの修正が加えられ、延々と交渉が続いている。ガス価格については個別の政府間協定となり、年末までに結ばれるだろう。行動ブログラム自体は枠組み的なもので、具体的な諸問題はロードマップの方に明記される。ロードマップが策定されるのを受け、2020年を通して法令に落とし込む作業が開始される。そして、2021年1月1日から主要分野において共同市場が始動する。

 以上がクルトイ経済相の発言内容である。なお、記事の補足情報によれば、2018年12月にプーチン・ルカシェンコ両大統領の合意により、統合発展のための政府間作業グループの設置が決まり、6月末に両国首相の会合で11月までに統合のロードマップの中身につきすべて合意して12月には統合プログラムを提案するということが決まった由である。


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 中国の東莞市(とうかんし)というところについては、個人的に認識していなかった。場所は、上の地図に見るように、香港および深圳の後背地のようなところである。ウィキペディアからの丸写しになるが、「改革開放前は現在の市域の多くは赤土が広がる貧しい農村だったが、1980年代末から広州と深圳、香港の中間に位置することから、香港企業、台湾企業の委託加工先や工場建設の好適地として、衣料品、日用雑貨、玩具、電子製品、パーソナルコンピュータまで、重工業以外の各種工場が林立する工業地帯に変貌した。特に、パソコン部品は世界の供給拠点として重要な地位を占める。また、輸出に必要な包装用段ボールを製造するための製紙工業もさかんで、中国最大の工場群もある」ということである。

 さて、今回お伝えしたいのは、その東莞とベラルーシが、物流で繋がったという話である。こちらの記事が伝えている。

 記事によれば、このほど東莞の国際ロジスティクスセンターにベラルーシから貨物が到来した。ベラルーシ産木材1,500tである。ヨーロッパから鉄道を利用して東莞に外国の貨物が届くのは、これが初めてのことである。46両から成る貨物列車は、ミンスクを出発し、対ロシア国境の満州里を経由して、当地に到着。全長11,884kmの行程を、28日間で走破した。東莞から欧州方面に輸出用の貨物列車が初めて出たのは2016年6月であり、その後の3年間で16,600本の列車が運行され、計24万tの貨物を運んだ。今回、初めて輸入貨物を受け入れたことにより、広東省~欧州の中欧班列路線は、双方向の輸送ルートとなった。これにより、往路と復路のアンバランスという課題が解消に向かうことが期待される。なお、供給されたベラルーシ産木材は、家具生産に用いられるという。


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 やや古く本年4月の記事だが、ロシアのこちらの経済系サイトに、中国の主導する一帯一路の十大プロジェクトという情報が出ていた。記事によれば、中国の習近平国家主席が一帯一路政策を発表したから6年が経ち、それ以来、世界125か国および29国際機関がこの構想に参加し、その枠内で173の協力協定が結ばれた、とされている。

 それで、記事によれば、以下に見るものが、一帯一路の枠内での10大プロジェクトということである。ただし、各プロジェクトの予算規模などが記されているわけではないので、誰がどのような基準で選んだベスト10なのかは、不明である。また、以下に見る順番がプロジェクトの規模の大きさの順に並んでいるのかも、定かでない。

  1. インドネシアのジャカルタ~バンドン高速鉄道
  2. ナイジェリアのアブジャ~カドゥナ鉄道
  3. スリランカのコロンボ港
  4. ギリシャのピレウス港
  5. ブルネイのテンブロン橋
  6. バングラデシュのパドマ橋
  7. チリのプンタ・シエラ風力発電所
  8. ロシアのヤマルLNG
  9. ベラルーシのグレートストーン工業団地
  10. ジブチの国際自由貿易ゾーン

 ご覧のとおり、私の研究対象国のプロジェクトが2つ入っている。


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 第10回スラブ・ユーラシア研究東アジア大会が、昨日6月29日と、本日30日の2日間、東京大学の本郷キャンパスで開催されている。上の動画は、開会式で松里公孝先生が挨拶をされている様子。

 私自身は、昨日29日のDifferentiation or Convergence? —Changes in Political Regimes in Post Soviet Countries in the Last Decadeというパネル(下の写真参照、写っているのは私ではないが)で、“Comparing Transport Strategies of Ukraine and Belarus as Transit Nations” と題する報告を行った。ウクライナとベラルーシはともにロシアとEU、東と西の狭間に位置し、その地理的条件を活かして東西を結ぶトランジット輸送を発達させる可能性を持っている。近年は、中国の一帯一路政策が始動したことで、より一層その可能性が広がっている。現実には、ベラルーシが一定の成功を収めているのに対し、ウクライナはロシアとの対立などでそのポテンシャルを活かせていない。この報告では、初歩的な統計の整理だけになってしまったが、そうした観点からウクライナとベラルーシの実情を比較した。

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 目下当方、誰も興味のないような輸送部門の地味な研究に取り組んでいるところである。その一環として、ウクライナとベラルーシの鉄道貨物輸送の構造、趨勢を比較したこんなグラフを作成してみた。

 当方の目論見としては、「ウクライナとベラルーシは東西、ロシア・欧州の狭間に位置する国なので、鉄道輸送においても東西を結ぶトランジット輸送が重要な要素のはずである。しかし、ウクライナはロシアとの関係を悪化させ、その打撃で鉄道のトランジット輸送も低下しているのではないか。他方、ベラルーシは、以前からあったトランジット輸送に加え、近年脚光を浴びている中欧班列(中国と欧州を結ぶコンテナ貨物列車)の主たる輸送路になっているので、逆にトランジット輸送が増大しているのではないか」という事前の見立てがあった。

 実際に統計を集計してみると、グラフに見るように、ウクライナの鉄道トランジット輸送がここ数年で半分以下に落ちている事実は、確かに確認できた。それに対し、ベラルーシのトランジット輸送は、一貫して伸びているとはとても結論付けられず、これについては少々当てが外れた。

 これについての、私の解釈は次のようなものである。2018年にベラルーシ領を通過した中欧班列のコンテナは33.2万TEUだった。1TEU当たり10tくらいと考えると、332万tということになる。それに対し、ベラルーシの鉄道トランジット輸送は元々年間3,000万~5,000万tくらいあるので(重量×距離ベースの下図とは異なる)、中欧班列のコンテナが300万tくらいにまで拡大しても、数量的には、トランジット全体の1割くらいにしかならない。そもそも旧ソ連諸国の貨物輸送は、石炭、石油・石油製品、化学品、木材、金属、穀物といった重量のある商品が多く、コンテナが多少増えても、重量で見れば、全体に占める割合はわずかということになってしまうのだろう。

 ほとんど利益が出ていないはずの石炭輸送などと比べて、コンテナのトランジット輸送は高付加価値であり、収益という観点から言えば、ロシアやベラルーシの鉄道に多大な貢献をなしていると考えられる。しかし、ロシアやベラルーシは中欧班列のトランジット輸送による収入を発表していないようである。したがって、中欧班列の活況がトランジット国にどのような経済効果をもたらしているのかを定量的に把握するのは困難であるという結論になってしまった。

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 まったく恥ずかしい話だが、昨日になってようやく認識するに至った事実があったので、メモがてら書き記しておく。

 「中欧班列」と言えば、ユーラシア大陸を横断して、中国と欧州を鉄道のコンテナ列車で結ぶ新たな動脈として知られている。2011年から始まり、その貨物量は年々拡大している。主なトランジット国は、カザフスタン、ロシア、ベラルーシである。

 それで、遅れ馳せながら、このほど認識するに至ったのは、カザフスタン、ロシア、ベラルーシの国鉄は、そのトランジット輸送を行うために、「ユーラシア鉄道アライアンス」という合弁企業を設立しているという事実だった。ウェブサイトはこちら。3国の国鉄が3分の1ずつを対等出資しているが、本社はモスクワに置かれている。設立されたのは2017年12月12日だったようだが、それに先立っては前身となる「合同運輸ロジスティクス会社」という会社が存在したらしい。

 5ヵ国から成るユーラシア経済連合は、一歩前進二歩後退といった状況が続いているが、ある意味で鉄道輸送の分野では目覚ましい統合が進んでいるという見方もできそうだ。

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 昨日、「ウクライナ元運輸相が対ロシア対立の損失を指摘」という話題をお届けした。中国と欧州の間を行き来し、東西の新たな物流動脈として注目されている貨物コンテナ列車のことを「中欧班列」と呼んでいるが、ウクライナがロシアとの対立でそのビジネスチャンスを逃す一方、ベラルーシが通過ルートとして潤っているという話だった。

 そこで、ベラルーシ側からその現象を確認してみようと思い、ベラルーシ鉄道の2018年度年次報告書を紐解いたところ、ずばり上掲のようなグラフが掲載されていた。中欧班列のコンテナ列車が、ベラルーシ領をトランジットしたデータを2011年以降跡付けたものである。青の棒グラフは列車の本数、緑の丸はコンテナの数(1,000TEU)を表している。なるほど、情念で生きるウクライナと異なり、ビジネスライクが身上のベラルーシは、しっかりと通過料収入を稼いでいそうだ(具体的な金額は分からないが)。


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 日本の対ベラルーシ輸入商品構成を見てみると、一番多いのはベラルーシ名産として名高いカリ肥料なのだが、2番目に「第70類:ガラスおよびガラス製品」という項目が来ていることに気付いた。おや? これは何だろう? ひょっとして、ニョーマン社のグラス(食器)の類が、日本に輸入されているのか? そう思って、日本の通販などでベラルーシ製のグラス等が売っていないか調べてみたのだけれど、何も引っかからない。で、さらに調べてみると、日本に入ってきているベラルーシ製のガラス製品とは、グラスファイバー、グラスウールであることが判明した。様々な産業用途に用いられるが、消費者が直接触れることは少ないので、気付きにくいアイテムである。年間150万ドル程度輸入されているようだ(ただし、日本の輸入はアジアや米国からが主流であり、ベラルーシからの輸入は全体の1%にも満たない)。

 それで、それを供給しているのが、上掲動画に見るポロツク・ステクロヴォロクノという会社のようだ。動画は非常にしっかりした日本語のナレーションがあてられている。


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 こちらによると、このほどベラルーシのI.ペトリシェンコ副首相が現地紙のインタビューに応え、ロシアを中心に5ヵ国から成るユーラシア経済連合の現状を厳しく評価したということである。

 ペトリシェンコ副首相いわく、ユーラシア経済連合を経済同盟と呼びうるのは、将来的なことにすぎない。我々は実質的に、自由貿易圏(FTA)の段階に留まっている。自国の経済主体を優遇する措置を保持したまま、共同市場を形成するのは不可能である。統合の前提となるのは、お互いの商品や企業を自国のそれと同等に扱うということだが、現在のところそうなってはいない。5年間のユーラシア統合の成果を総括すると、我々は高いレベルで達成した課題もあるが、半分しか達成していないもの、まったく凍結されているものもある。ユーラシア域内市場では、各国は相変わらずお互いに非関税制限措置を、衛生検疫措置の名目で課したりしている。政府調達分野では、内国民待遇が反故にされており、当初は例外措置だったのが、恒常化している。ユーラシア域内では200以上の障壁が横行しており、2018年には13の障壁が除去される一方で、19の新たな障壁が登場している。サービス分野では、パイプライン、送電、国際自動車輸送といった重要部門が例外扱いされている。過去5年間で、エネルギー市場、政府調達、産業補助金などの共通化は、実質的に進展しなかった。それでも、ベラルーシは、これは全面的なユーラシア経済連合を形成する過程での一時的な困難であるということを願っている。

 以上がペトリシェンコ・ベラルーシ副首相の発言要旨であった。副首相の言っていることはまったく正しいが、副首相は主にロシアを念頭に置いて現状を批判しているものの、当のベラルーシも様々な障壁を設けている張本人であることは指摘せねばなるまい。


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 このところ、ベラルーシとロシアの間で隙間風が目立ち、それと裏表の現象として、ベラルーシが欧米、特にEUに接近する動きを見せている。この問題に関し、こちらのサイトでI.ザハルキンという論者が論評しているので、大意を以下のとおり整理しておく。

 2月18日にベラルーシのS.ルマス首相は欧州委員会人事・財政担当委員ギュンター・エッティンガーと会談し、ベラルーシ側としてはできるだけ早期に、協力に関するEUとの基礎協定に調印したいということを改めて表明した。しかし、両者の関係には引き続き多くの不一致があり、妥協点を見出すのは容易でない。

 A.ルカシェンコ大統領も、「ベラルーシは常にEUの頼りがいのあるパートナーであり、両者のアプローチが相互的であることを期待する」と述べている。ベラルーシ側はもうだいぶ以前からそのような立場を示しているが、現実には実務作業を開始する必要性を確認するだけで、そこから先には進めていない。

 EU側は、最近は民主化と人権の問題には目をつむるようになりりつあるが、それ以外にも関係の発展を阻害する3つの未解決の問題がある。

 第1に、本来は「2018~2020年のパートナーシップの優先事項」という文書が調印され、それが両者の関係のロードマップになるはずなのだが、現実にはそれが調印されていない。2017年に調印されるはずだったのだが、ベラルーシの原発建設にリトアニアが反発したことで、いまだに検討段階に留まっている。

 第2に、ベラルーシ・EU間で協力関係についての基礎協定が存在しないことである。形式論として言えば、上述の「優先事項」が制定されたことを受けて、ようやく基礎協定を結ぶことができる。想起すべきなのは、1995年にベラルーシとEUがパートナーシップ・協力協定に調印しながら、EU側が1997年に批准手続きを停止したことである。それゆえ、現在ベラルーシとEUの関係を規定しているのはいまだに、1989年に結ばれたソ連とECの協定となっている。この地域でEUとの本格的な関係文書を有していないのは、ベラルーシが唯一である。その結果、ベラルーシは東方パートナーシップに積極的に参加できず、EUの各種プログラムによる資金の恩恵にもあずかれていない。影響を受けているのは政治対話だけでなく、貿易関係も然りである。しかも、ベラルーシが現在盛んに言っている基礎協定とは、EUがジョージア、モルドバ、ウクライナと結んだ連合協定よりも、はるかに低いレベルのものである。

 第3に、ビザ体制の簡素化の課題が未解決である。両者はもう何年も本件につき交渉し、2018年には交渉最終段階にあるとされたが、本件が近い将来に実現する可能性について専門家はますます懐疑的になっている。

 上述の諸問題の解決が容易でないのは、それが政治体制にかかわってくるからである。ウクライナ危機後、ベラルーシ当局は政治犯を釈放したり、ビザ免除を打ち出したりしてEUに譲歩を示したが、ベラルーシ当局は相変わらず国内情勢を不安定化しかねない大胆な改革には応じるつもりはない。ベラルーシがEUとの関係正常化で望んでいるのは、制裁の解除、基礎協定の調印、貿易の差別撤廃、定期的な首脳会合などであるのに対し、EUは政治・経済の改革、人権の順守、死刑の廃止などを求めている。しかも、EUはベラルーシ当局と関係を拡大しつつも、同時に野党への支援も行っている。つまり、両者の思惑が食い違っているのだ。EUが硬直的な官僚組織であり、またリトアニアの例のように加盟各国の利害もからむとなると、ベラルーシ・EU関係で突破口を開くのはかなり難しい。


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 ベラルーシの経済成長率は、ロシアのそれとほぼ連動し、なおかつ、石油価格に大きく左右されるということが知られている。このグラフはそれを示したもので、折に触れ更新しているが、今般2018年の数字が出揃ったので、2018年まで伸ばしてみた。2018年も法則どおりの結果となった。


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 こちらの記事によると、ベラルーシは2020年半ばにもWTOに加盟する見通しだという。WTO側のフアン・マルチェッティ氏が記者団に明らかにした。同氏によると、ベラルーシは加盟条件を実質的に満たしつつあり、それにかかわる重要な決定、法整備、法慣行の面で大きな前進を見せていて、現在はすでに交渉の最終段階だ。ベラルーシ当局は2020年半ばまでの加盟ということを掲げているが、交渉完了に要する時間は1年あまりなので、それは充分に可能である。残された問題としては、サービス貿易と、投資政策が挙げられる程度だ。メルチェッティ氏は以上のように述べた。


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 GLOBE+に、「『ロシアがベラルーシを併合?』との怪情報を追う」を寄稿しました。


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 ロシアは、石油産業に由来する税収を、輸出関税から、天然資源採掘税にシフトする税制改革を進めている(それを「税制マヌーバ」と呼ぶ)。ただ、ベラルーシのようなユーラシア経済連合加盟国に対しては、元々輸出関税が課せられていなかったので、それがロシアの国内税に移行すると、ベラルーシがロシアから輸入する石油の価格に天然資源採掘税が上乗せされ割高になり、それでいて輸出関税引き下げの恩恵はない、ということになってしまう。

 本件に関し、こちらの記事によると、ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ロシアの税制改革でベラルーシはこれまでの3年間ですでに35億ドルの損害を受けており、2024年までにはさらにそれが膨らんで108億ドルの損害を被ると指摘した。ロシア記者団との会見の場で述べたもの。その上でルカシェンコ大統領は、ベラルーシ・ロシア統合が崩壊することはない、ロシア大統領と直に会って解決策を見出したいと、プーチン大統領との直接交渉に期待を寄せた。


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 GLOBE+に、「ソ連共産党と中国共産党、それぞれの誕生の地を訪ねる」を寄稿しました。以前別のところに書いた文章を再構成したものですが。


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 ロシアで、闇流通タバコがはびこっているという問題については以前も紹介したことがあるが、こちらの記事によると、問題はその後、さらに悪化しているようである。一連の外資系タバコ会社の発注を受け、このほどNielsenが取りまとめたレポートにより、明らかになった。

 これによると、2018年第3四半期の時点で、ロシアのタバコ販売に占める闇流通品(非合法にロシアに持ち込まれた製品、模造品、免税店用製品の横流し)の比率は、8.4%に達している。前年同期は4.5%であり、この比率は趨勢的に拡大している。最も多いのはベラルーシからの非合法な持ち込みで、全体の36.7%に及んでいる。アルメニアからの持ち込みが5.4%、キルギスからの持ち込みが5.3%、カザフスタンからの持ち込みが3.0%、模造品が6.6%、などとなっている。ロシアの都市の中で闇流通品の比率が大きいのは、ロストフナドヌーの32.2%、タガンログの30.7%、ミネラリヌィエヴォディの28.3%、ノヴォクズネツクの21.5%、ペンザの15.7%、オムスクの15.1%、等々である。モスクワでは4.1%、サンクトペテルブルグでは3.1%だった。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2018年12月号の中身をいち早くご紹介。12月号は、「ROTOBO会長ミッションとベラルーシ経済」と題する特集号。私自身は、「ベラルーシの通商・産業概論 ―東西架橋型加工貿易という戦略」というレポートに加え、「ベラルーシを学ぶ書籍」、「ブリヤート共和国とザバイカル地方が極東転籍」、「ウクライナの地名表記に関する雑記」といった小文を執筆。11月20日発行予定。


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 こちらの記事によると、ロシアなど5ヵ国から成るユーラシア経済連合では、すでに主要食品につき完全な自給を達成しているということである。同連合の事務局に当たるユーラシア経済委員会がこのほど明らかにした。これによると、すでに2017年に域内の完全自給を達成しているのは、穀物、植物油、卵、砂糖である。これに加えて、本年には、豚肉98%、鳥肉100%、牛乳97%の自給率が見込まれており、これらについても完全自給達成が間近である。2017年の時点で、ユーラシア経済連合の主要農産物の総合自給率は、90%を上回っている。

 以上が記事のあらましである。ただ、ユーラシア経済委員会では、「加盟諸国の共同努力により、ユーラシア経済連合域内の一連の食品についての食糧安全保障が達成されている」と強調しているものの、私の知る限り、各国はバラバラに農政を展開し、またベラルーシの畜産品の流入をロシアがたびたび遮断するなど、とても調和的な共同市場とは言いがたい状況が続いている。そりゃあまあ、ロシア・カザフスタンは穀物の、ロシアは植物油の、ベラルーシは畜産品の、それぞれ大生産・輸出国なので、5ヵ国トータルで収支を見れば自給を達成して余りあるだろうが、「だから何?」というのが偽らざる感想である。


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 というわけで、夏休みにつきロシア情勢フォローは休業し、この間は8月末から9月上旬にかけて出かけたロシア・ジョージア・ウクライナのフォトギャラリーをお届けしてきたけど、夏休みはもうとっくに終わってしまっており、フォトギャラリーもそろそろ終わりにしたい。最後にお目にかける写真は、ミンスク空港にあるロシア・トランジット専門のパスポートコントロール窓口である。

 ロシアとベラルーシが同盟関係にあるので、以前から両国間の国境は、世界でも最も開かれた国境の一つとなっている。また、最近ベラルーシは外国人向けのビザなし制度を拡大している。じゃあ、外国人がベラルーシからロシアに行くのは便利かというと、まったく逆であり、訳の分からない手続きや制度変更に翻弄され、不便なことこの上ないのだ。このあたりについては、機会を改めて論じたいと思う。


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 旧ソ連に関係している皆さんなら、モスクワに「全連邦国民経済成果展示場(VDNKh)」という広大な展示会場があったことはご存知だろう。もちろん今でもVDNKhは施設としては残っていて、ただし若干性格を変え、様々な催し物が開催される総合イベント・レジャー施設的な感じになっている。社会主義時代のVDNKhの眼目の一つが、ソ連構成15共和国がそれぞれ経済発展の成果をお披露目し合うというものだったのだが、ソ連解体後、各共和国のパビリオンは放置され荒れ果てている。

 今回の調査出張で私は別件の展示会でVDNKhを訪れたのだが、その際に異彩を放っていたのがベラルーシ館だった。ベラルーシ館は今日ではベラルーシ産品の小売販売場として利用されており、一連の旧連邦構成共和国のパビリオンの中で現在でも唯一活況を呈しているのだ。今日でも、ベラルーシ国民経済の成果をモスクワで誇示し続けるベラルーシは、VDNKh精神を最も正しく継承した共和国だなと感じ入った次第だ。


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