ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

カテゴリ: ベラルーシ

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 Geelyブランドで知られる中国の吉利汽車は、ベラルーシのミンスク近郊に合弁工場「ベルジー」を建設し、ジーリーブランド車の現地生産を行っている。その2023年の活動実績がこちらで伝えられたので、整理しておく。

 以前当ブログでお伝えしたとおり、ベルジーの乗用車生産台数は、2021年は約3万台、2022年は24,833台であった。それが、今回の記事によると、2023年には67,800台が生産されたということなので、前年の2.7倍程度に増えたことになろう。

 今回の記事によると、生産された67,800台のうち、52,000台がロシアに輸出された。生産の77%ほどがロシア向けだったということになる。一方、ベラルーシ国内の乗用車販売市場に占めるベルジーのシェアは、2022年の31.7%から、2023年には82.6%に高まった。


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 2023年のロシアで社会を悩ませた卵騒動。これまでロシアは国産に加えて、主にEUとベラルーシから卵を輸入してきた。統計が不完全なので推測が混じるが、2023年に卵の不足が生じたのは、EUからの輸入に異変が生じたからではなかったのだろうか。その結果、ベラルーシ一国に頼るようになり、供給量が充分でなくなったのではないかという気がする。

 2023年のロシアにおける鶏卵の国内生産は381億個で、前年比1.8%増だった。統計に不備があり判然としないのだが、ロシアは年間だいたい6億~7億個くらいの卵を輸入していたのではないかと思う。

 こちらの記事によると、2023年にロシアはベラルーシから5億1,080万個の鶏卵を輸入した。アゼルバイジャンからの輸入が2023年11月に決定され、12月後半に入荷。トルコからも無関税での輸入が決まった。

 2024年に入ってからは、1月26日現在で計6,070万個の鶏卵が輸入され、うちベラルーシが5,400万個、450万個がアゼルバイジャン、220万個がトルコとなっている。輸入はこの3国からのみである。1月の輸入はすでに前年同月の数字から倍増している。小売価格も沈静化しつつある。


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 こちらのサイトで伝えられているとおり、12月25日、ロシア主導のユーラシア経済連合および加盟5ヵ国は、イランとの自由貿易協定(FTA)に調印した。

 ただ、サイトの情報によると、25日にペテルブルグに署名のために集まったのは、国家元首や首相ではなく、ユーラシア経済委員会こそ事務方トップのM.ミャスニコヴィチ委員長だったが、ユーラシア側の5ヵ国は副首相クラスだった。イランに至っては、産業・鉱業・商業大臣だった。そんなに高い意義付けではないことを申し合わせていたような感じだ。

 実は、ユーラシア経済連合とイランの間では、2019年から暫定FTAが発効していた。その効果もあり、両者間の貿易は2019年の往復24億ドルから2022年の62億ドルへと拡大していた経緯がある。ただし、これはあくまでも暫定FTAで、対象となるのは一部の農産物・鉱工業製品に限られた。

 それに対し、今回は全面的なFTAが調印されたわけである。ミャスニコヴィチ委員長によれば、今回のFTAでは品目表の90%が網羅され、貿易取引の95%がその対象となる。


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 ロシアから欧州方面に伸びる石油パイプライン「ドルージバ」は、上掲地図に見るとおり、ベラルーシ領で南支線と北支線に分かれる。なお、ベラルーシ領での輸送を管理しているのが、ゴメリトランスネフチ・ドルージバという会社である。こちらの記事が、ベラルーシ領の通過料金についての動きを報じているので、以下まとめておく。

 記事によると、このほどゴメリトランスネフチ・ドルージバは、ロシア側のトランスネフチと、南支線の輸送料金を2月1日から10.2%引き上げることで合意した(注:記事には明記されていないが、1t当たり188ルーブル程度になると見られる)。ベラルーシ側は夏頃には1.8倍もの値上げを要求していたが、徐々に要求を引き下げ、今回の合意に至った。

 北支線に関しては、EU側の制裁でロシア産原油の輸送は停止されており、カザフスタン産の輸送に利用されている。そして、北支線の輸送料金を43%引き上げ、1t当たり653.8ルーブルとすることをベラルーシは要求している。今後の交渉に委ねられるが、カザフ側は反発している。

 ベラルーシが頻繁に料金の値上げを要求していることから、ベラルーシ・ルートの輸送は今後伸びそうにないと、専門家らは指摘している。


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 こちらこちらこちらなどが伝えるところによると、EU理事会は11月27日、2024~2026年の魚介類原料の輸入にかかわる自主関税割当(Autonomous Tariff Quotas=ATQs)の方針を決定した。これにより、ロシアからの輸入が同制度の適用外になり、代表的なスケトウダラをはじめ、ロシアからの加工用魚介類の輸入関税率は、これまで0%だったものが、2024年の年初から13.7%に引き上げられる。

 これは、一連の対ロシア制裁パッケージとは若干位置付けが異なる。要するに、EUとしても域内の漁業は大事にしたく、外から入ってくる魚介類には普通に関税を課したいが、EUの自給率はしょせん限られているので(現状では39%止まりの由)、EU域内での加工産業に必要な魚介類原料の輸入は、特例的に無税にしようよ、という趣旨である(当然、域内の漁業者はこの措置に不満)。なので、すべての魚介類が対象ではなく、あくまでもEUの加工産業の原料になるものだけが対象で、完成品の魚製品は対象外となる。

 つまり、特例と言っても、域内の食品加工業に配慮したものであって、輸出する側の国を優遇するという意味合いではない。実際、これまではロシアもその対象に加えられていたものの、さすがにこのご時世でロシアから同スキームで輸入するのは問題と認識され、今回ロシアを除外することになったというのが真相である。なお、ベラルーシもロシアと同時に除外された。


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 ベラルーシにとって、ロシアから輸入した原油を国内2か所の製油所で精製して外国に輸出するビジネスは、ドル箱産業であった。その近況、特にロシアとの関係に関し、目に留まったいくつかの情報を整理しておく。

 6月に出たこちらの記事では、ベラルーシのD.クルトイ駐ロシア大使が、両国の経済関係についてインタビューに応じている。この中で対しは、ベラルーシにとってロシアは決して伝統的な石油製品輸出国ではなかったが、今年になってロシアへの供給を本格化しており、例年のベラルーシの輸出総量が600万~700万tであるところ、今年のロシア向けの輸出は100万tに達するかもしれず、これは前例のないことだと語っている。しかし、私の知る限り、例年のベラルーシの輸出総量が間違っているし、ベラルーシは時期により増減はあったがこれまでもロシア市場に供給してきたはずだ。

 8月のこちらの記事では、燃料の補助金にまつわる問題が触れられている。背景として理解すべきは、ロシアの石油精製部門には「ダンパー」という補助金制度があり、これによりガソリンと軽油の国際価格と国内価格のギャップを調整していることである。しかし、上記の記事によると、いくらベラルーシが統合相手だからと言って、ベラルーシ産の燃料は「外国産」として、この補助金の対象にならなかった。そこで、2022年9月より、ロシアのプロムスィリヨインポルト社がベラルーシ産の燃料を買い上げ、それをサンクトペテルブルグ国際商品・原料取引所で売却することによって、補助金受給を可能にするというスキームが編み出された。ところが、ロシアで今年9月から補助金額が半減されたことで、ベラルーシの燃料を取引所で販売する旨味が薄れ、今後はベラルーシ産が出回らなくなる可能性があるという。ベラルーシ産の比率は決して大きくないが、ペテルブルグでは一定のシェアもあり、ベラルーシ産が消えることになると、価格面で影響してくると、記事では述べられている。

 最新のこちらの記事は、ロシアの石油税制改革に伴い、ベラルーシに支払われる補償金について伝えている。ロシアでは、石油の輸出関税を段階的に廃止し、地下資源採掘税にシフトする税制改革が進められてきた。ベラルーシはロシアの統合パートナーなので、もともと石油輸出関税なしでロシアの原油を輸入でき、他国に比べ有利だったわけだが、この税制改革が完了すると、そのアドバンテージが消えてしまう。そこで、ベラルーシが散々ゴネまくって、昨年のロシア・ベラルーシ財務省間の間接税共通化に関する協定により、ベラルーシの石油精製業者もロシアのそれと同等に逆物品税という形で補償金を得られることになった。今回の記事によると、これによりベラルーシの国庫に入る資金は2023年に17億ベラルーシ・ルーブルで、2024年の予算案では21億ベラルーシ・ルーブルに上るという。ただし、それは石油価格次第であると、記事では指摘している。


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 先日、「ルカシェンコが作り出した中東系移民・難民問題は今?」というエントリーをお届けした。そうしたところ、こちらの記事で、興味深い関連情報が伝えられていたので、これを取り上げておきたい。

 とくに、上掲のように、移民・難民の具体的な数をグラフにしたような資料は、個人的に今まで見たことなかった。これは、ベラルーシ・EU国境を突破しようとした移民・難民の週ごとの数を示しており、見づらいが、一番左が7月1~7日、一番右が9月18~24日である。一番下の紫がラトビア、真ん中の赤っぽいところがリトアニア、上の青っぽいところがポーランドを示している。関係がありそうな出来事も上部に示されている。こうやって見ると、不法移民は毎週1,000人前後に上っており(同じ人が何度もトライしたりするのだろうか?)、ちょっと沈静化したとは言えない気もしてきた。行き先がポーランドからラトビアにシフトしているのは、前回紹介したとおりだ。結局ラトビアは9月18日にウルバヌィ・シレネの国境通過ポイントを閉鎖したということである。

 今回の記事では、G.コルシュノフという有識者が、次のように指摘している。ベラルーシは移民危機を演出するに当たって、相手国ごとに対応を変えている。ルカシェンコ体制は、ポーランドおよびバルト諸国による共同戦線を、それほど強固なものと受け止めておらず、それぞれ個別の主体と捉えている。ポーランドの強硬姿勢は国内向けのものと見切り、同国とは慎重に和解の道を探っている。リトアニアとの関係はより複雑であり、現状は「中立化の努力」と言える。同国との関係では移民カードは使い果たし、かといって他のネタもない。ラトビアとの関係では、同国に期待するところもなければ、逆に懸念するところもないので、特に同国に働きかけようとはしていない。現在移民の矛先をラトビアに向けているのは、単に消去法的な選択である。コルシュノフは以上のように指摘した。


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 2年前に世間を騒がせた、中東系移民・難民がベラルーシの対EU国境に殺到した問題。その後、あれはどうなったのだろうか? こちらの記事の中でが、A.フリードマンという専門家が最新の動きを語っているので、同氏の発言要旨を以下整理しておく。なお、上図はこちらのサイトから拝借したもので、ベラルーシと近隣諸国の国境通過地点を示している。

 ルカシェンコの仕掛けた移民・難民問題は、当初の対リトアニア、ポーランド国境から、現在は対ラトビア国境に焦点が移っている。ベラルーシ・ラトビア間には2箇所の国境通過ポイントがあるが、ラトビアではそのうちの1箇所であるウルバヌィ・シレネ通過ポイントを閉鎖するという議論が持ち上がっている(上掲地図の21番)。

 現時点では、対ポーランド、リトアニア国境では情勢が安定しており、リトアニアでは対ベラルーシ国境を閉鎖する必要はないと示唆しているほどである。ルカシェンコ体制としては、こうした2国との関係を荒立てるよりは、移民たちをラトビアに向かわせ、ラトビアの出方、同国がポーランド・リトアニアとどこまで連帯しているかを見極めようとしている。

 他方で、現時点で一定数の移民たちがまだベラルーシに留まり、ルカシェンコ体制としてはこれをどうにかして片付けなければならない。そこで、これまでは主流ではなく、最も対応が弱いラトビアに向けているという面がある。

 その結果として、ラトビアが2つの国境通過ポイントのうち1つを閉鎖することになるかもしれないが、ベラルーシにとりその痛手は大したものではなく、それくらいで済めばむしろラッキーと言える。

 現在は、仮にルカシェンコ体制が移民・難民危機を再び演出しようとしても、移住希望者をリクルートする可能性が低下している。2021年には、たまたまクルド情勢がルカシェンコに味方した形だったが、現在はそのようなリクルート適地はない。

 ルカシェンコ体制は、再び大規模な移民・難民危機を起せば、EUから国境を閉鎖されたり、ロシアと同等の制裁を科せられたりといったリスクがあることを、よく分かっている。体制は、ロシアをめぐる危機に巻き込まれることを望んでいないように思える。


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 久し振りに雑誌『世界』に書かせていただきました。本日8月8日発行の2023年9月号に、「『プリゴジンの乱』後のワグネル ―ベラルーシが安住の地に?」を寄稿したものです。雑誌の一番冒頭の「世界の潮」というコーナーに載っているようで、ちと照れますね。


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 Wedge ONLINEに、「ワグネルで息を吹き返すベラルーシ 次なる触手は」を寄稿しました。無料でお読みになれますので、ぜひご利用ください。


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 こちらの記事が、ベラルーシの上海協力機構加盟をめぐる動きを取り上げているので、以下要点を整理しておく。

 ベラルーシの独裁者ルカシェンコはこのほど、上海協力機構の枠内で調印されていた22の条約にベラルーシが参加する旨の法律に署名し、7月13日に法令ポータルに掲載された。この法律は、ベラルーシの上海協力機構正式加盟に向けたプロセスの一環として採択された。

 ベラルーシは、2024年初頭にも、上海協力機構に正式加盟すると見込まれている。

 専門家のP.マツケヴィチは、ルカシェンコにとり上海協力機構は都合の良い舞台であると指摘する。欧米諸国と異なり、上海協力機構加盟諸国はすべて、ルカシェンコを正式に選出された大統領と認めている。そのサミットでは、4ヵ国が核保有国の元首であり、ルカシェンコは彼らと同格のパートナーという実感を味わえる。それは、ベラルーシがいまだに主権国家であり、ルカシェンコが引き続き多元外交の姿勢を崩していないと誇示する場となる。もやはロシアと西側の間でバランスをとるのは不可能なので、新たな支柱、とりわけ中国に頼ろうとしている。

 別の専門家のR.トゥラルベコヴァは、次のように指摘する。ベラルーシにとり東方ベクトルは新しいものではない。イデオロギー的にはルカシェンコの勝利のように見えるが、欧米市場を失った損失は、基本的にロシア市場で埋めている。中国との貿易はわずかながら拡大しているが、二国間貿易はベラルーシ側の入超である。

 マツケヴィチによれば、上海協力機構の経済ポテンシャルは確かに大きく、自由貿易圏の創設も検討されている。加盟諸国がベラルーシのカリ肥料や農産物購入を拡大することは考えられるし、加盟により輸送問題の解決、たとえばイラン経由でアフリカ市場にアクセスすることが促されるかもしれない。

 ただし、トゥラルベコヴァが指摘するように、上海協力機構は経済援助組織ではない。先日カザフスタンのトカエフ大統領は、上海協力機構は20年で大規模な経済プロジェクトを一つとして実現できなかったと批判した。同機構の弱点は、金融機関を有していないことである。したがって、ベラルーシもプロジェクトファイナンスには期待できず、ルカシェンコはそうした問題を加盟諸国との交渉で自力で解決しなければならないと、トゥラルベコヴァは指摘する。


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 もう一個告知。最近、ネット版のWedge ONLINEに書かせてもらうことが多いけど、今回は紙の雑誌版のWedge8月号に寄稿しました。「ロシアの愚行でとばっちり 大回り強いられる『中欧班列』」という論考であり、私の隠し芸的な研究分野の最新動向をまとめたものです。編集側が見やすい地図を作ってくれて良かった。こちらも本日7月20日発行。


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 こちらのサイトに出ている情報が興味深かった。ロシアで販売されている乗用車のブランド別内訳というデータはありふれており、当ブログでも扱ったことがある。それに対し、今回見付けたデータは、ロシアで販売されている乗用車がどの国で生産されたかという内訳を示したものである。日本ブランド車でも、ロシアで現地生産されるものあれば、日本や第三国で生産され輸出されるものもあったわけで、そうした生産国という観点でまとめた資料は意外に今まで見た覚えがなかった。

 この資料によれば、まず2021年にロシアで販売された乗用車の生産国内訳が、下図のとおりだったという。ロシア製が82.9%で、以下、ドイツ製5.5%、中国製3.8%、日本製3.4%、ベラルーシ製1.6%、カザフスタン製0.4%、その他2.5%と続いた。

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 それが、2022年になると、下図のとおり変貌した。ロシア製74.2%、中国製11.1%、ドイツ製3.7%、日本製2.9%、ベラルーシ製2.7%、カザフスタン製2.1%、その他3.2%となっている。2022年には、ロシアブランド車のシェアは拡大したが、欧米日韓メーカーがロシアでの現地生産を打ち切った結果、ロシア製のシェアは逆に低下したわけである。

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 ちなみに、2022年にロシアで販売された中国ブランド車の生産国内訳を示したのが下図であり、中国製57.6%、ロシア製27.3%、ベラルーシ製14.3%、カザフスタン製0.9%となっている。

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 私がぜひ知りたいと思っていたのは、ロシアで販売されている中国車「GEELY」のうち、ベラルーシに所在する中・ベ合弁「ベルジー」で生産された割合がどのくらいかということだった。この記事にその答えが示されており、2022年のロシアにおけるGEELY車販売が2万7,300台、うちベラルーシからの供給が1万7,400台と見られ、ベラルーシ製の比率が63.7%と推定される、ということである。


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 昨日まで、気の張る仕事が続き、ようやくそれらが一段落したところである。昨日出勤した分、本日は代休ということで、ブログは手抜きバージョンとさせていただく。

 さて、先日、上海協力機構のサミットがオンラインで開かれた。TASSのこちらのページに、同機構に関する図解資料が出たので、安直ながらそれをシェアさせていただく。

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 設立文書に明記されているかどうかは未確認だが、上海協力機構は元々は、中国とロシア、そしてその狭間に位置する中央アジア諸国を地理的範囲としており、その後広がりを見せているとはいえ、基本的にアジアを対象領域とする枠組みとして続いてきた。

 ただ、地理的要因もさることながら、強権的な国の集まりという側面も否定できず(インドは世界最大の民主主義国を自任するが)、そこで、地理的には欧州国ながら、欧米から相手にしてもらえないベラルーシも、同機構に関心を寄せ、2015年にはオブザーバーの資格を獲得した。そして、2022年にベラルーシは正式加盟を申請しており、反対する国もないことから、近く承認される見通しである。先日のサミットの際も、プーチンがベラルーシの正式加盟を改めて後押しするリップサービスをしている。

 なお、上掲地図に見るように、ベラルーシの他にはアフガニスタンとモンゴルがオブザーバー国となっているわけだが、この2国に関しては正式加盟を目指す動きがあるとは、個人的に認識していない。

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 上掲は、ロシア語のままで恐縮ながら、様々な指標において上海協力機構諸国が世界の中でどれだけのシェアを占めているかを示したものである。

 今般、中国・杭州で9月に開幕する第19回アジア競技大会に、ロシアとベラルーシの選手最大500人が中立の立場で参加することが認められたということが報じられた。このままベラルーシはどんどんアジア国と化していくのだろうか。


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 このほど国際政治関係のサイト「フォーサイト」に、「ルカシェンコがプーチン・プリゴジンと織り成す奇妙な三角関係」と題する論考を寄稿しました。ただし、同サイトの閲覧は有料であり、無料で読めるのは最初の方だけです。今回の論考は、後半に面白い話が詰まっているので(笑)、有料購読をご検討ください。今後、ちょくちょく寄稿することになると思います。


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 HP更新しました。マンスリーエッセイ「ユーラシアの新興国を牛耳るアラ古希おじさんたち」です。よかったらご笑覧ください。


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 朝日新聞のこちらの記事で、プリゴジンの乱、ルカシェンコの仲介に関する私のコメントが掲載されました。


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 昨日は、以前から依頼を受けていたベラルーシ情勢に関するレポートの締切日で、かけられる時間は1日しかないので、とにかく一心不乱にそれに取り組んで一気に仕上げようと思っていたのだけど、プリゴジンの乱でそれどころではなくなってしまった。ベラルーシ情勢自体、プーチン体制の行方次第というところがあるので、流動的な情勢の中では原稿をまとめようがなく、結局リスケしてもらった。

 ところで、私はベラルーシ情勢に関するくだんのレポートのタイトルとして、「ベラルーシの独裁者ルカシェンコは万策尽きたのか」という案を考えていた。ところが、今朝起きてみると、プリゴジン氏はワグネルの兵を引くことに同意し、しかもその交渉をルカシェンコが仲介したというではないか。もし本当に、プーチン政権最大の危機の収拾に、ルカシェンコが一役買ったのだとしたら、プーチンに多少は貸しを作ったことになり、また少し話が変わってくる。

 要するに、プーチン側にしても、プリゴジンにしても、本物の内戦をするわけには行かず、プリゴジンを訴追はしない代わりに、ベラルーシに亡命することで、手打ちにしたということか。

 ここで良く分からないのが、ルカシェンコが本当に主体的に仲介役を果たしたのか、それとも実際の交渉はプーチン政権とプリゴジン間で行われたが、ベラルーシに身を寄せることになったので、ルカシェンコが仲介したというストーリーを後付けで加えたのか、ということである。

 ベラルーシ大統領HPを見ると(私はルカシェンコがベラルーシの正式な大統領とは認めていないが)、ベラルーシ大統領はロシア大統領の了解を得た上で、ワグネルの指導者プリゴジンとの交渉を行った、交渉は1日を通じて行われた、その結果ロシア領で流血の戦争は許容されないとの点で合意し、プリゴジンはワグネル軍の進軍を停止し緊張緩和に向けたさらなる措置を採ることに関するルカシェンコ大統領の提案を受け入れた、と経緯が説明されている。果たしてどうか。


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 このほど発行された『外交』Vol.79, May/Jun. 2023に、拙稿「独裁を守るためロシアに従属するベラルーシ」が掲載されています。同号は、拙稿を含め、こちらのページからすべて無料で読めるようになっているので、ぜひご利用ください。

 私のベラルーシについての原稿は、4月に書き上げたものでしたが、そのあと、ルカシェンコの重病説、戦術核配備のロシア・ベラルーシ合意文書調印などの動きがありました。『外交』の今号は、広島サミットの内容を反映するため、例外的に締切が延ばされていたそうで、土壇場でそれらの最新の動きを無理やりねじ込みました。


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 重篤説、モスクワ病院搬送説が出ていたベラルーシの暴君ルカシェンコだったが、昨日ロシア中銀総裁のE.ナビウリナと会談した様子が公開され、ひとまずその説は打ち消された形となった。そもそも、本件のソースはV.ツェプカロ氏が発信した未確認情報だけだったわけで、終わってみれば、信憑性の低い情報に各メディアが振り回されたなという印象だ。

 上掲のツイートで示されているのが、昨日の会談の様子である。場所はお馴染みのルカシェンコ執務室であり、チャップリン作『独裁者』を彷彿とさせる地球儀が目印だ。それにしても、ナビウリナも多忙だと思うのに、なぜわざわざベラルーシに出張したのだろうか。連合国家の枠組みで、ロシアとベラルーシの中銀総裁が交互に相互訪問するような慣習があり、たまたまその訪問がルカシェンコ健在を示すためのダシに使われたような形か。

 ルカシェンコ・ナビウリナ会談における前者の発言振りは、こちらのニュースが伝えており、この中でルカシェンコはロシアとベラルーシの通貨統合の展望について語っているので、一応それを整理しておく。

 ルカシェンコいわく、単一通貨の導入は、容易ならざるプロセスである。おそらくそれは、喫緊の課題ではない。そのことについてはロシア大統領とも意見が一致している。それでも、ロシアおよびベラルーシの愛国的な人々は、しばしば本件を主張する。本日の機会に、貴方の見解をお聞きしたい。貴方は制裁の条件下でもロシアの経済、通貨問題を素早く立て直した能力の持ち主で、その手腕は広く認められている。ルカシェンコは以上のように述べた。

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 ほう、ベラルーシ国営ベルタ通信のサイトには、「政治」というジャンルよりも前に、「大統領」というジャンルがあるのか。ルカシェンコの動静を把握するのに便利だ。もちろん、大統領の公式HPにも、動静は出ているが。

 これらを見ると、重篤でモスクワの病院に運ばれたという未確認情報が流れる中でも、昨日5月28日に、ルカシェンコ絡みの動きはいくつか伝えらえている。

 具体的には、昨日28日、エルドアン・トルコ大統領に再選の祝電を送り、アリエフ・アゼルバイジャン大統領に独立記念日の祝電を送り、国立プレスセンターの30周年を祝い、国境警備兵の記念日を祝い、エチオピアの独立記念日を祝ったということになっている。なかなか盛沢山だ。

 むろん、これらの挨拶は事前に用意されていたテンプレ文なので、ルカシェンコが健在である証拠にはならない。エルドアンに生電話する様子がテレビででも伝えられれば別だが、実際にはモスクワでの公式行事以来、ルカシェンコが生きて動いている姿は確認されていないのだと思う。なので、もしかしたら本当にモスクワの病院に収容されているのかもしれないし、ドロズディの大統領公邸でくつろいでいるのかもしれない。

 昨日までは、土日だったので、大統領が姿を現さなくても、それほど不自然ではなかった。週が明けて、労働日になっても、ルカシェンコが何日か姿を現さないようなことがあれば、モスクワで集中治療しているかどうかは別として、少なくとも入院くらいはしているのかもという推測が成り立ちそうである。もうしばらく様子を見よう。

 ちなみに、ベラルーシ国営ベルタ通信が大統領重篤説を伝えていないのは当然として、ベラルーシの独立系メディアも、その話題に触れているケースが今のところ見当たらない。外国のメディアやSNS界隈の方が騒がしい印象である。


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 以前私が編集長を務めていた『ロシアNIS調査月報』、その役目を離れてからも、寄稿は続けている。このほどその6月号が発行されたので、ご紹介する。

 毎年6月号は、ロシア以外のNIS諸国を特集することになっている。今回私は、その枠内で「制裁下のベラルーシにおける基幹産業の動向」という長目のレポートを執筆した。残念ながら、ルカシェンコ健康不安説が浮上したのは、本稿を脱稿した後だったので、その話題に触れることはできなかったが、内容的に産業動向を掘り下げたものなので、まあ特に問題はないだろう。

 もう一つ、特集の枠内で、「農産物輸出めぐりウクライナ・EU間で不協和音」という短目のレポートも書いている。また、メインレポートの「2022~2023年のロシア・NIS諸国の経済トレンド」の中でも、ウクライナの部分を担当している。

 さらに、これは特集の枠外になるが、INSIDE RUSSIAと題するロシア連載で、「ワグネルの創設者プリゴジンの主張」を執筆した。

 ロシア・ウクライナ・ベラルーシは、自分が主たる研究対象と位置付ける3国なわけだが、さすがに一つの号でその全部についてレポートを書くのは、少々骨が折れた。


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 上掲動画の中で、有識者2名が、戦勝記念日に露呈したルカシェンコの健康問題についてコメントしているので、要旨をまとめておく。

 V.カルバレヴィチ(ベラルーシの政治評論家):ルカシェンコの健康問題の兆候は以前にもあったが、その時はテレビカメラに映らないことで、一般の目から隠すことができた。それに対し今回は、健康悪化と戦勝記念日という神聖な日付が一致してしまい、隠れることができなくなくなり、それゆえに今回の騒動となった。体調は悪かったが、ルカシェンコが戦勝記念日にモスクワに行かないという選択肢はなかった。モスクワに行かずにミンスクだけの式典に出たら各方面でロシアへの敵対行為と受け取られるし、両方に欠席したらそれ以上の大きな憶測を呼んだはずなので、結局モスクワに行くという無難な選択をした。

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 P.スヴェルドロフ(ユーロラジオ編集長):ルカシェンコの健康はベラルーシ医療を総動員して守ってきたが、歳には勝てず、病気のルカシェンコがモスクワに来ることになった。5月7日に彼の声はしわがれ、9日には足を引きずって、300メートルを歩くことがでずカートで移動した。ただ、現時点でこの問題を重大視したり、増してや彼が亡くなることを想定したりするのは時期尚早だ。他方、今回浮き彫りとなったのは、ルカシェンコは自分の行動をすべて自分では決められないという現実で、明日どこで何をするのかもロシアに指図される。プーチン自身70歳で、ルカシェンコの健康問題も承知のはずだが。


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 以前も申し上げたとおり、現在ウクライナ大統領オフィス長官顧問を務めるM.ポドリャク氏は、かつてベラルーシでジャーナリストとして活躍し、ルカシェンコ体制の内幕に迫る良い仕事をしていた。私はその時代に大使館で同氏と対面したことがある。今だから言うが、外務省からとあるムネオチルドレンがベラルーシを訪問することになり、なるべく多くの面白い有識者に会いたいというので、個人的に注目していたポドリャク氏と引き合わせ、私も立ち会ったのだった。そして昨年、久し振りに同氏の名前を聞いたと思ったら、ウクライナでえらく出世していたので、驚いたわけである。

 そのポドリャク氏が、ベラルーシ系のメディアのインタビューに答えており、例のルカシェンコ重病説などについてコメントしている。考えてみれば、この人ほどベラルーシ・ウクライナ関係を的確に見ることのできる人はいないだろう。以下、発言内容を整理しておく。

 ロシアにとっても、ベラルーシにとっても、ルカシェンコの健康に多くがかかっている。クレムリンは戦争に関連し、情報、プロパガンダ、領土の提供などで、ベラルーシに期待している。ルカシェンコの健康に関するニュースは、ロシア指導部を慌てさせている。本件は、戦争のすべてのプロセス、少なくともその北部方面を、根本的に変えるものである。

 ウクライナは、ルカシェンコの健康に関する情報に関しては、中立的な立場である。ウクライナにとって肝心なのは、ベラルーシ当局がいずれかの時点で、ウクライナの戦線で現実に起きていることを、悟ることだ。なぜロシアの敗北が不可避なのか、なぜベラルーシの不適切な対外路線が自国の未来にとって重大な結果をもたらすのかを、悟ってほしい。

 (ルカシェンコが国連総会に招待されたことに関しては?)戦争の行方に大きな影響を及ぼすものではない。むろん、ウクライナとしては外交ルートを通じて不快感を示し、あらゆる法的・外交的手段でそれを阻止することになる。

 (5月9日にウクライナの特務機関がベラルーシでテロを起そうとしたと、ベラルーシ当局が非難していることに関しては?)まったくばかげている。ウクライナが戦っているのはもっぱら防衛戦争である。たとえウクライナ侵略に加担しているからといって、ウクライナが第三国でテロを起こすことはありえない。

 (ベラルーシ側が対ロシア国境の管理を強化していることに関しては?)ロシアではこれまで一貫して優位だったシラビキの権力体系が急激に弱体化しており、これから武器をもった人々が社会復帰をすると、その武器を使って不法行為を働く可能性がある。ベラルーシは、今後ロシアに到来するそのような犯罪の波を、本能的に感じ取っている。ロシアで起きようとしているのは、古典的な革命ではなく、武器を使った広範な反乱であり、ベラルーシはそれから逃れようとしている。


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 ロシアも、ベラルーシも、世界的なカリ肥料の生産・輸出国となっている。ただ、ロシア統計局が今のところ肥料の生産量の発表を続けているのに対し、ベラルーシは肥料生産量の公表を止めてしまった。

 そうした中、米地質調査所が発表しているこちらの年次レポートに、2022年のベラルーシによるカリ肥料生産量の推計値が出ていたので、それを拝見しておくことにする。

 これによると、ベラルーシの塩化カリウムの採掘量は、2021年の763万tから、2022年の300万tへと、6割ほども激減したと見られるということである。

 レポートによると、2021年にEUと米国がベラルーシに対する経済制裁の一環としてベラルーシ産カリ肥料の輸入を禁止した。それを受け、2022年1月、リトアニア政府は国家安全保障上の問題を理由に、ベラルーシカリ社の唯一の海上輸出施設であるバルト海のクライペーダ港からカリを出荷することを可能にしていた鉄道輸送契約を解除した。一部のベラルーシのカリ肥料は、ロシアを経由して地域の他の国に鉄道で出荷され、年の後半にはロシアの港からも出荷されたが、2022年のベラルーシによるカリ肥料の生産と輸出は大幅に減少した、ということである。


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 全般的に天然資源にそれほど恵まれていないベラルーシながら、同国の南東部では石油が産出される。ベラルーシの石油は、ロシア産のウラル原油のような重質・高硫黄ではなく、軽質で品質の良いものである。ベラルーシには2箇所の製油所があるが、両者はウラル原油の精製に特化しているので、ベラルーシは伝統的に生産した原油を全量ドイツに輸出してきた。もっと言えば、ドイツにあるロスネフチ系の製油所がそれを買い上げてきた。

 しかし、以前も報告したように、2021年12月2日に追加されたEUによる経済制裁により、ベラルーシの石油事業を担う国営ベラルーシネフチ社がEU制裁の対象になった。これにより、ベラルーシはドイツに石油が輸出できなくなった。これを受けドイツ社はただちにベラルーシからの石油輸入を停止し、2022年の契約もキャンセルした。

 ところが、こちらのインタビュー記事の中で、A.フディク天然資源・環境保護相が述べているところによると、2022年のベラルーシの原油生産は181万tとなったということである。こちらの記事によると、これは前年比4.2%増であり、過去20年で最高記録だった由だ。

 一体この181万tは、どこに向かったのだろうか? 実は、ロシアと同じく、ベラルーシも2022年の貿易統計をごく断片的にしか発表しておらず、商品別・国別の輸出状況などは闇の中である。

 ならば、一応ドイツ側の輸入統計を調べてみようかと思ったのだが、そこで奇妙な事実に気付いた。2021年まで、ベラルーシ側の統計ではドイツに原油を輸出していることになっていたのに、ドイツ側の統計ではベラルーシからの原油輸入はゼロに近かったのである。はて、これはどうしたことか? ベラルーシ産原油はドルージバ・パイプラインによりドイツまで輸送されていたので、ウラル原油と一緒くたの分類になり、ロシアからの輸入としてカウントされていたのだろうか?

 いずれにせよ、2022年にドイツがベラルーシから原油を輸入しなかったのは、確かだと思う。ならば、過去20年で最高を記録したベラルーシの原油は、どこに消えたのか。現時点で私が推測しているのは、やむをえずベラルーシ国内の製油所に回し、その分ロシアからのウラル原油の輸入を減らしたのではないか、ということだ。上述のとおり、ベラルーシの製油所はウラル原油の精製用に設計されており、ベラルーシ国産原油は良質でオーバースペックとなるものの、工程を調整すれば精製自体は可能なはずである。しかし、ドイツ向け輸出は貴重な外貨収入源だったわけで、それを失い痛いことは間違いない。


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202304

 HP更新しました。マンスリーエッセイ「MVC受賞はコメント人生の励み」です。よかったらご笑覧ください。


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 このほどWedge ONLINGに、「プーチンとルカシェンコ 腐れ縁でも核兵器については……」を寄稿しました。無料でお読みになれますので、ぜひご利用ください。


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 ベラルーシにおける中国ブランド車Geelyの生産は、ルカシェンコが自らの夢と語った国民車プロジェクトだった。ベラルーシ国内市場は小さいので、ロシアにどれだけ輸出できるかが鍵になる事業でもある。その生産を担うベルジー社の2022年の生産動向がこちらの記事に出ていたので、取り上げておく。

 上掲記事によると、2022年のベルジーの生産は24,833台で、前年の約3万台から、17%縮小した。2022年のベラルーシ市場における全ブランドの新車販売は17,234台で、これは前年比実に63.2%減だったが、うちGeely車は4,355台であった。Geelyは、Lada3,782台、Kia1,462台、GAZ1,271台などを抑え、トップではあった。

 2022年のベルジー不振の原因は、中国側が国際的な制裁圧力を受け、第2、3四半期にベラルーシ向けのコンポーネント供給を停止したことによる。9月になりようやくコンポーネントの定期的な供給が再開された。

 なお、こちらの記事によると、2022年にロシア市場では26,694台のGeely車が販売されたということである。そのすべてがベラルーシ産とは限らず、中国から輸出されている分もあると考えられるが、いずれにせよベラルーシで生産されたGeely車の大半はロシアに出荷されているということだろう。


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 今般、ルカシェンコが中国に出向いて、ベラルーシと中国の関係につき改めて考えてみたのだが、つらつらと思いを巡らせていたところ、昔ミンスクに台湾通商代表部があったなということをふと思い出した。台湾は、ほとんどの場合、外国に大使館を開設できないので、その代わりに経済・文化代表部を置いており、それがベラルーシにもあったということだ。しかも、日本大使館が入居していたのと同じビルに台湾代表部があったので、我々にも身近な存在だった。天皇誕生日レセプションとかに呼んだかな? それはちょっと覚えていない。いずれにしても、あれは今でもあるのだろうか?と思い立ち、ちょっと調べてみたのである。

 そうしたところ、こちらの記事が目に留まった。結論から言えば、ミンスクにあった台湾代表部は2006年に消滅してしまったということのようである。

 記事によると、台湾は当時、国連および世界保健機関への加盟を目指し国際社会に働きかけていた。台湾としては、諸外国が台湾の国際機関加盟を支援してくれないまでも、少なくとも反対はしないということが重要だった。ところが、ベラルーシは中国と完全に歩調を合わせ、台湾の国連・WHO加盟に明確に反対をした。これが主原因となり、台湾はベラルーシとの協力に見切りをつけ、ミンスクにおける代表部も閉鎖した。以後、その業務はモスクワにある在ロシア台湾代表部によって引き継がれたと、記事は伝えている。

 もう2006年の時点で、ルカシェンコは北京べったりだったわけだ。今般の首脳会談後、ルカシェンコ側が「いかなる形の『台湾独立』にも反対する」と中国に最大限同調してみせたのも、道理という他はない。


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