
ロシアのサッカーがUEFAから出場禁止処分を受け、ロシアとしては友好国の多いアジアのAFCに転籍すべきではないかと議論されていた問題。結局、12月30日に開催されたロシア・サッカー協会の実行委員会の会合の結果、結論は持ち越しとなった。
本件につき、こちらの記事に見るように、会合後に協会のA.ジューコフ会長が会見に応じているので、以下ジューコフ会長の発言要旨を整理しておく。ざっくり言うと、当然のことながらUEFAに残って大会に参加できる可能性があるのなら、その方が望ましいのは言うまでもなく、ギリギリまでUEFAとの妥協の余地を探りたい、ということだろう。また、仮にAFCに転籍したとしても、当面の最大の関心事である2026年W杯のアジア大陸予選に出場できる保証はないという認識もあるようだ。
本日の会合の結論として、作業部会を設置し、そこに3人の代表を送ってほしいと、UEFAに提案することになった。同様にFIFA、IOCにも代表者を出すよう提案する。
作業部会の目的は、情勢を見極め、クラブおよび代表が国際大会に復帰できるよう、打開策を練ることである。作業部会は新年休暇が明け次第早急に設けたい。3月末までに打開策の工程表を策定したい。作業部会設置につきUEFAとは大筋で合意している。
本日の会合では、即座にUEFAを脱退し転籍すべきだとの提案もなされたが、作業部会を設置してUEFAと交渉することで多数の支持が得られ、この決定に反対する向きはなかった。
代表のV.カルピン監督の意見も考慮された。監督の立場は、どんな形にせよ試合をしたいというものであり、協会の決定もなるべく早く競技に復帰することを旨としている。
我々はUEFAと交渉し、合意も達成しつつあるが、FIFAに問い合わせると何も分からないという反応である。作業部会はこのプロセスを加速することになる。これが機能しないと分かったら、やり方を変えるまでだ。
クラブに関して言えば、過半数がアジアへの転籍を支持しており、それは変わっていない。
(アジアへの転籍の可能性はなくなったのか?)作業部会を設けようとしているところであり、我々の課題はなるべく早く代表およびクラブが国際大会に参加できるようにすることである。早期のUEFA大会復帰を探っているが、それが不可能なことが判明すれば、転籍が浮上してくる。
FIFA、IOCには、作業部会参加の打診をまだ行ってはいないが、確実に応じてくれるだろう。アジアへの移籍の問題が検討されているというわけではなく、公式国際大会への復帰を模索しているということである。
(なぜもっと前に作業部会設置が提起されなかったのか?)それは5~6ヵ月前には不可能だった。対話を試みたが、作業部会といった話まではできなかった。その後、状況がかなり変わった。政治がサッカーに影響を及ぼすべきではなく、ロシア・サッカー協会にとり政治は別物である。
(UEFAは、ロシア協会を失いかねないと悟って、建設的な対話に乗り出したということか?)そういう見方は正しくない。半年前も、1週間前も、UEFAがロシア協会を失いたくないと思っていることに変わりはない。ロシアと決別したいのなら、そういう決定を下していたはずである。UEFA、サッカー関係者は、ロシアとの関係を維持したいと思っている。
(協会の最優先課題は、2026年のW杯予選にロシア代表が参加することではないか?)最優先課題は、なるべく早く公式国際大会に復帰することである。むろん、2026W杯に出ることは大事であり、それゆえに解決策を見出さねばならない。具体的にいつまでに国際大会に復帰すべきかは難しい問題で、実行委員によっても見解は異なるが、私は2026年W杯予選出場を課題とは捉えている。ただ、W杯は唯一の国際大会ではなく、クラブもあれば、育成年代もあれば、女子代表もある。
アジアへの転籍は可能かもしれないが、そうした場合にも、W杯アジア予選に出場できる保証はなく、決められるのはFIFAだけである。
AFCはロシアを受け入れると言ってくれており、文書で確認されているわけではないが、信じない根拠はない。クラブレベルでもアジアの大会に参加する可能性はあるが、その場合でも、2023年に実現するかは疑問である。
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