ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ウクライナ

 昨日1月17日、「ウクライナのホンチャルーク首相が辞任」という第一報を目にした時には、「ロシア内閣の交代に加え、ウクライナのことも追わなくちゃならないのか」と思って絶望的な気持ちになった。ロシア外務省のザハロヴァ報道官が「(ロシアを追うように首相が辞任とは)さすがは兄弟国」などと皮肉ったりもしていた。しかし、結論から言えばゼレンスキー大統領が首相を慰留し、元の鞘に収まったようだ。上掲の動画が手打ちの面談なのだが、ゼレンスキーがやると何でもコントに見えてしまうところが、どうもいけない。

 こちらの記事にもとづいて一応経緯を整理しておくと、騒ぎの発端は、ホンチャルーク首相の発言を隠し録りしたとされる録音がネットに流出し、その中で首相が「ゼレンスキーは経済の動きをプリミティブにしか理解していない」などと発言していた(下のYouTubeを参照)。これがスキャンダルとなり、ホンチャルーク首相は1月17日に大統領に辞表を提出、しかし大統領はそれを受理せず、ホンチャルーク内閣に仕事を続けるよう指示。これを受けホンチャルーク首相も、「我々は、与えられた責任の重さを認識し、与えられた課題をすべて実行し、我が国における体系的な変革を強化していく用意がある」と表明。どうにか、元の鞘に収まった、という経緯だった。なお、ゼレンスキー大統領は、くだんの録音の流出経路を2週間以内に調査し、同様のことが今後起きないよう指示した。


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 こちらの記事など各メディアが伝えているとおり、ウクライナのナフトガス社とロシアのガスプロム社は12月31日、年末で期限の切れた契約に代わる新たな5ヵ年の天然ガス・トランジット輸送に関する契約に調印した。輸送量は、2020年が650億立米以上、2020~2024年が400億立米以上となる(なお2019年は890億~900億立米だった)。料金は明らかにされていないが、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は5年間の総収入が70億ドル以上としており、ナフトガスのヴィトレンコ氏は5年間で72億ドル以上の収入が保証されていると述べていることから見ると、料金は現状とほぼ同じの1,000立米当たり32ドル程度と見られる。両社はまた、ガスプロムがストックホルム仲裁裁判所の裁定による29億ドルをウクライナ側に支払い(29億ドルはすでに年内に支払済み)、双方がそれ以外の訴えをすべて取り下げることでも合意した。ロシア側はウクライナに対する支払義務を認めようとせず、ウクライナがこれを取り下げることがトランジット契約延長の条件としていたが、12月19日にプーチン大統領が恒例の大規模記者会見で、「政治的なものとはいえ、裁判所の裁定が出ている以上は、それに立脚せざるをえない」と発言していた。

 さて、今回両国が「ガス戦争」には至らず、歩み寄った背景につき、こちらの記事の中で論じられているので、骨子を以下のとおり整理しておく。

 前回のトランジット契約が結ばれた2009年には、ガス戦争の状況下で、ロシアが有利な契約を取り付けることができた。当時は、欧州の需要家がガス戦争への準備ができておらず、特に冬季だったこともあって、なるべく迅速に新たなトランジット契約に調印するよう、ウクライナに圧力をかけた経緯があった。しかし、現在は状況が大いに異なる。

 第1に、現在はウクライナを迂回するノルドストリーム1が稼働しており、これによりウクライナのトランジット国としての立場が弱くなったと一般的には言われている。しかし、ノルドのお陰で供給が全面的に途絶することはないので、欧州からウクライナへの圧力が弱まるという、別の側面もある。

 第2に、ロシア産ガスの需要家たちは、2009年の教訓にもとづき、状況が悪化した場合に備えていた。EUのガス貯蔵施設は9月15日の時点で95%も満たされており、ウクライナの貯蔵施設も同様だった。

 第3に、ガスプロムは、欧州需要家がガス戦争にも備えガス供給源の多角化を目指し、米国のシェールガスとの競争が激化する中で、欧州の需要家の評判を良くしたかった。

 ノルドストリーム2が完成すれば、より本格的なウクライナ迂回が可能になり、これがロシアの立場を強める要因になるはずだった。ところが、ノルド2は2020年1月1日までに完成が間に合わなかった。コザク副首相が述べたところによれば、ノルド2の稼働は2020年中頃になるという。こうしたことから、ガス交渉で、ロシアが短期の1年契約を主張したのに対し、ウクライナ側は長期の契約を望んだ。

 攻防はぎりぎりまで続いたが、12月21日に米国による制裁を懸念した欧州のオールシーズ社がパイプライン敷設作業を停止した。ノルド2の建設には他にもイタリアのサイペン社、ロシアのメジレギオントルボプロヴォドストロイ社も参加しているが、最も長い延長のパイプを敷設していたのはオールシーズ社の3船だった。オールシーズ社は米国でもビジネスを展開しているので、今後ノルド2の作業には復帰しないことも考えられる。年末の時点で残っていたのは第1列47km、第2列70kmの工事だった。

 将来的なことについては、ロシア側は同じ条件で2025~2034年の契約を結ぶこともありうるとしているが、これはだいぶ先の話であり、ジェスチャーにすぎない。ウクライナ側は10年契約を主張しているが、そのためにはガス輸送システムを近代化するための投資誘致が必須であり、ウクライナにはそれは不可能だろう。

 一連の交渉の過程では、ロシアからウクライナに直接ガスを供給する問題も話し合われた。その場合の価格は、欧州ハブ価格(NCG)にもとづき、供給量を考慮した値引きを適用したものになる。結局、協定のパッケージには直接供給は盛り込まれず、この問題は年始休暇後に再度交渉することになった。

 ただし、12月22日の時点で、すでにウクライナ民間企業5社が1月1日からの供給につきガスプロムと契約を交わしたことが明らかになっている(会社の具体名は不明)。ポロシェンコ前大統領は、そうした契約は商業的ではなく政治的だとして、それらのウクライナ企業に制裁措置を課すことを提唱している。


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 昨日のエントリー「ノルマンディー4者会談に臨んだゼレンスキーの思惑」でまとめたように、12月9日のノルマンディー方式のウ露仏独首脳会談に出向いたゼレンスキー・ウクライナ大統領には、11月に支持率の数字が低下していたという焦りがあったという見方がある。

 そこで、こちらに出ているウクライナの「レイティング」という機関が実施した最新の世論調査の数字を参照してみることにした。最新の調査は12月13~17日に行われており、つまりはノルマンディー会談の結果を受けた数字ということになる。上の画像に見るとおり、国民のゼレンスキー支持率は最新の調査で持ち直しており、ゼ大統領としては上手く立ち回ったと言えそうだ。

 この設問は、「貴方はウクライナ大統領の仕事をどう評価するか?」というものである。満足しているという回答者は、前回調査の53%から、今回の62%へと回復した(不満足は33%から25%へ)。

 別の設問で、「貴方はゼレンスキーを信頼しますか?」というのもあり、その回答状況を整理したのが下図になる。濃い緑が完全に信頼、薄い緑がどちらかと言うと信頼、白が回答困難、紫がそんな人物は知らない、薄い赤がどちらかと言うと信頼しない、濃い赤がまったく信頼しない、となっている。上掲グラフと概ね同じ傾向となっている。

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 ロシアの『エクスペルト』誌(2019年12月16-22日号、No.51)が、12月9日のノルマンディー方式のウ露仏独首脳会談の結果についての論評記事を掲載している(A.スミルノフ氏署名)。その中から、ウクライナのゼレンスキー大統領の思惑について述べた箇所を中心に、以下で要旨をまとめておく。

 パリにやって来たのは、「公僕」ではなく、反ロシアレトリックに満ち溢れた「ニュー・ポロシェンコ」だった。会談でゼレンスキーは、前任者が結んだミンスク合意を順守することを認めざるをえなかったが、帰国後に、合意されたコミュニケのウクライナ語訳に変更を加え、またミンスク合意を修正していく意欲を示した。

 ゼレンスキーはノルマンディー会合に、米・英を加えることを求めている。仏・独がロシア寄りであると考え、米・英が加わればよりウクライナの立場が強化されるという期待に加えて、国内での政敵を牽制する思惑もある。

 ゼレンスキーという政治家の特質は、八方美人なことである。芸人の性なのか、皆に好かれようとし、両立できないような約束をしてしまうことは、米国の民主党、共和党に矛盾した約束をしたことからも明らかである。

 国民のゼレンスキーに対する支持率は、秋口までは高かったが、11月の調査で52%にまで急減した。また、約半分の国民が、いまだにホンチャルーク首相の存在を認識していない。

 ウクライナの成長率は4%で、先進国なら充分だが、ウクライナにとっては不充分である。ゼレンスキーは大胆な改革には踏み切れず、それでいて個人事業主向けのキャッシュレジスターを導入させるなど、締め付けを強めている。労働力の国外流出は続いており、2019年1~10月の国外から本国への送金額は前年同期比7%増の97億ドルに達した。

 ウクライナの公的対外債務は、上図のとおり推移している。現在のところ、IMFの融資と、米欧の支援、外資によるウクライナ国債の購入で、資金繰りに問題は生じていない。ウクライナは国債の外貨建て利回りを9%から4%に、グリブナ建てを17~19%から12~13%に引き下げることができた。これにより、債務の借り換えや財政赤字の補填が可能になっているが、ウクライナ経済の非効率という根本問題は解決しない。外貨の流入により2019年にはグリブナの対ドル・レートが20%上昇し、輸入および貿易赤字が拡大した。

 支持率が急落したことを受け、ゼレンスキーは光熱費を引き下げることを閣僚らと討議する動画を公開した。ホンチャルーク首相は、法律の制約がありこの冬は無理だが、次の冬には引き下げる可能性が生じると発言した。

 汚職対策でも、進展はない。ゼレンスキーは、前政権の関係者による汚職のうち、最も重大なものについての調査を徹底すると述べていたが、誰も罪には問われていない。それのみならず、大多数の汚職スキームを現政権の関係者が引き継いでいるという疑惑も生じている。オリガルヒとの関係にしても、ゼレンスキーはすべての大物との良好な関係をすぐに築き、誰も罪に問われたりしていない。

 ミンスクでの3者コンタクトグループでウクライナを代表しているクチマ氏はこの夏、ドネツクおよびルハンスク人民共和国との通商封鎖を解く可能性に言及した。しかし、ゼレンスキー大統領のミンスクでの代表者がそれを軌道修正し、両人民共和国で国有化された資産が元の所有者に返還されることを要求した。国有化の対象になったのが主にアフメトフ氏の企業だったことを考えれば、この方針転換を主導したのはアフメトフだったと考えることができる。

 結局のところ、ゼレンスキーは、落ち込んだ支持率を立て直すには、ドンバス和平交渉しかないと決断したのだろう。ただ、オリンピックの「参加することに意義がある」と同様に、ゼレンスキーもこの交渉で勝とうとしているのではない。ゼレンスキーとその側近たちにとって、広範な自治をドンバスに与えるというミンスク合意は、完全な履行ができないものである。それを受け入れれば、社会的支出とインフラ再建でウクライナ財政に多大な負担が生じ、その一方でキエフ中央政府がコントロールできない資金の流れが生じる。そこで、ゼレンスキーとしては、たとえ長引いたとしても、ドンバスに対する全面的支配を取り戻すことを目指し、そのために時間を稼ぐことにしたのだ。あるいは、ゼレンスキーは米国で政権交代が起きるのを待って、より支援を当てにできそうな民主党政権に期待しているのかもしれない。


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 こちらの記事によると、2019年12月18日付のウクライナ政府決定により、従来のようにウクライナ国民が国内パスポートでロシアに行くことはできなくなり、2020年3月1日からロシアに行くためには国際パスポートの携行が義務付けられるということである。

 ウクライナのクリムキン前外相によれば、2018年にロシアに出稼ぎに出たウクライナ国民は300万人に上るということであり、彼らはまさに国内パスポートでロシアに向かっていた。2019年1~6月にロシアからウクライナになされた個人送金は5億ドルに上った。2年前にEUとのビザなし協定が発効した際に国際パスポートの取得ラッシュが起きたが、その再現が起きるかもしれない。

 ただ、全ウクライナ国際就労企業協会では、調査機関レイティングの2017年の調査結果を根拠に(上掲の図参照)、現在ロシアで働くことを希望するウクライナ国民は6%しかいないと指摘している。


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 こちらこちらこちらなど各メディアで報じられているように、ロシア・ウクライナ・欧州委員会の3者は12月20日、懸案となっていたウクライナ領を通じてロシア産ガスを欧州市場にトランジット輸送する問題に関し、合意に達した。ロシアとウクライナは、輸送問題および債務問題の合意に関するプロトコールに調印した。

 2018年2月末にストックホルム仲裁裁判所が下した判決により、ロシア側のガスプロム社はウクライナ側のナフトガス社に25.6億ドルを支払う義務を負っており、金利を含んだ額は30億ドルに達している。ナフトガスはガスプロムの在外資産を差し押さえる動きをちらつかせつつ、債務額に相当する天然ガスの供給を現物支給で受ける交渉に応じる用意があるとしていた経緯がある。

 今回の合意の詳細については、12日にウクライナ・エネルギー相が会見を開いて明らかにするという。

 こちらの記事によれば、ナフトガスのコボレフ社長は、ロシア側が欧州原則にもとづくウクライナ・トランジットの長期契約に応じたのは、米国がノルドストリーム2に制裁を発動する動きを受けたものであると指摘した。


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 引き続き、12月9日にパリで開かれた「ノルマンディー方式」による首脳会談につき、こちらのサイトから、V.ミロネンコ氏(ロシア科学アカデミー・ヨーロッパ研究所ウクライナ研究センター長)のコメント要旨を紹介する。

 ロシア側は、すべては問題なく進んでおり、我が方は何も変えるつもりはなく、ボールはウクライナ側にあるという立場をとった。それに対しウクライナ側は、もはや社会的なチェルノブイリの様相を呈しているドンバスの数百万住民の境遇を何とか改善したいという立場だった。周知のとおり、ドンバスからは250万人がウクライナ本土やロシアに逃れ、残された250万住民の境遇は、年金もなく親類と連絡がとれないなど、厳しいものとなっている。

 フランス人は格好良いポーズをとるのが好きであり、マクロンは欧州の諸問題、安全保障でのリーダーになろうとしていることが見て取れた。一方、メルケルは疲れているように思える。過去数年この紛争でメルケルは的確かつ実利的な立場をとってきたが、ロシア抜きではこの問題は解決できないということを悟り、かといって原則は曲げられないというジレンマがある。

 会談の成果については、はたから見ると、ロシアが勝ったかのように思える。ロシアの政府寄りマスコミは、ウクライナが「シュタインマイヤー・フォーマット」(ドイツ大統領がミンスク合意の実現順序について行った提案)を受け入れ、ミンスク合意が再確認されたと強調している。それだけをとれば、ミンスク合意を具体化するお墨付きが得られ、ロシアの勝利であるようにも思える。

 しかし、より広い視野で見れば、勝ったのはウクライナであり、ロシアは敗者である。ロシアのある政治家は、「お嬢さん(ウクライナ)を幻想から目覚めさせてあげなければならない」と述べていたが、実際に起きたのはまさにそれだった。そして、幻想から目覚めたのは、ウクライナだけでなく、欧州も同じである。このプロセスを注視していた皆が、交渉で何かを成し遂げようとしているのがどちらか、逆にすべて現状のままにしておこうとしているのはどちらかを目の当たりにした。ウクライナ側の若手政治家たちは、もしかしたら本当に、ロシアの路線はウクライナのみならずロシアの国益にも反している(人命、制裁、発展のブレーキ等々)のだということをプーチンおよびロシア指導部に説得できると考えていたのかもしれないが、帰途に就く時にはその試みが無益だということを悟っていた。

 形式的には、両国は停戦、捕虜の交換といった些事について合意し、4ヵ月後に再会すると約したかもしれない。しかし、全体に照らしてみれば、残念ながら、ウクライナがドンバス住民を助けることはできず、せいぜい年金の支払いくらいであり、ドンバスは衰退を続けるだろう。

 ということは、ウクライナとしては自国の問題に集中し、腐敗対策、経済発展、欧州統合の加速を進めるしかない。残念ながら、ウクライナにとっては、NATOのドアをたたくことしか、自国の安全保障を確保する道はない。


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 引き続き、12月9日にパリで開かれた「ノルマンディー方式」による首脳会談につき、こちらのサイトから、今回はYe.ガルキナという有識者のコメント要旨を紹介する。

 会談の前には、ウクライナのゼレンスキー大統領の立場が非常に悪いというイメージがあった。マクロン仏大統領はロシアとの戦略的対話の必要を説いていたし、ドイツはノルドストリームを許容した。プーチンにはゼレンスキーに圧力を行使するチャンスが大きいと思われた。しかし、サミットが近付いていたタイミングで、フランス領アルプスにおけるロシア連邦軍参謀本部情報総局の拠点問題のスキャンダル、ベルリンでのロシア人によるジョージア人殺害(ドイツは犯人はロシアの連邦保安局の工作員だと見ている)が起きた。これらが明るみに出たことで、プーチンのサミットにおける立場は当初予想されていたよりも悪化した。

 パリでの会談は、全体としてウクライナにとって有利に進んだ。ゼレンスキーにとっては、捕虜の全面的な交換で合意し、完全な停戦が取り付けられれば成功だったが、それを達成した。また、首脳会談の前、ウクライナ国民は心配していたが、それに関し交渉においてゼレンスキーが明確な線引きをしたことも、成功だった。第1に、ゼレンスキーは、ウクライナは一体的な(つまり連邦制でない)国家であると明言し、その立場を譲らなかった。第2に、ゼレンスキーは、誰もウクライナに政治的な進路を指図することはできないという立場を示した。つまり、ウクライナの方向性を決めるのは国民自身ということである。ウクライナが、領土保全の見返りとして、EUやNATO加盟を諦めると、誰かに対して約束したりしないことが明らかになった。第3に、ゼレンスキーは領土面での譲歩を一切行わないということである。たとえば、ドンバスを得る代わりにクリミアを手放すといったことは拒否した。

 ロシアおよびロシア国民にとっても、パリサミットの結果はポジティブと評価しうる。というのも、ロシア国民はウクライナとの戦争を望んでいないし、クレムリンの周辺諸国に対するアグレッシブな政策は国民の利益にならないからである。一方、ロシアの指導部に関して言うと、もしも指導部がウクライナへの攻撃を望んでいるのなら、パリサミットは成功だったとは言いがたい。ゼレンスキーは何も譲歩せず、和平には関心を持っているが、ウクライナの主権・国家性を犠牲にするつもりはないという立場を示したからである。


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 周知のとおり、12月9日にパリでいわゆる「ノルマンディー方式」による首脳会談が行われた。ドンバス紛争の解決などをめぐり、プーチン・ロシア大統領、ゼレンスキー・ウクライナ大統領、マクロン仏大統領、メルケル独首相の4者が会談に臨んだものである。

 だいぶ遅れ馳せであるが、この首脳会談の結果につき、こちらのサイトでロシアの3人の有識者がコメントを寄せている。その中から、政治工学センターのA.マカルキン氏のコメント要旨を以下のとおり整理しておく。余力があれば他の人も追って紹介したい。

 今回の会談では、勝者も敗者もいなかった。拘束力のある文書は、一つも結ばれず、意図の宣言がなされただけで、ロシア・ウクライナ双方にとって利益となる捕虜の解放を約束しあっただけだった。恩赦、国境管理、選挙などについては今後さらに精査することとなり、これは長くうんざりするようなプロセスである。原則的な解決は今のところなされていない。

 今回の会談の肝心な点は、長い中断の後に、首脳レベルのノルマンティー・プロセスが再開したということだろう。今後における焦点は、ロシアが西側との関係につきどのような決定を下すかである。クレムリンには地政学的な野心があり、それに多大な資源が傾注されており、特にウクライナについてである。これが起きてから、もう6年になり、「これからどうするのか」ということが問われている。なぜなら、2014~2015年の「ノヴォロシア・プロジェクト」の本質は、ロシアの影響下にないウクライナの政権の承認は拒むというものだからである。この路線を続けるのか、それともそれを見直して、ロシアの影響外にあるウクライナという既成事実を認め、それにもとづいて西側との合意を図るかかという問題である。


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 体調が悪いので今日は簡単なネタだけで。こちらに、欧州諸国の軍事費の対GDP比(2018年の数字)を比較した図が出ていたので、ロシア・ユーラシア諸国の数字をチェックしてみたいと思う。

 この中で、一番軍事費の比率が高いのがアルメニアであり、4.8%に及んでいる。やはり、ナゴルノカラバフ紛争を経て、アゼルバイジャンとの軍事的対峙が続いているので、それが表れたものであろう。敵対するアゼルバイジャンの側も3.8%と高い。西欧や中東欧諸国では1~2%程度のところが多いのに対し、経済水準の劣るロシアは3.9%であり、不相応に重い軍事支出を負担している形である。ウクライナは、もともとはずっと低かったはずだが、2014年の危機以降、ポロシェンコ政権の下で軍事支出を拡大し、3.8%というロシアに迫る数字となっている。これといった軍事的な敵もなく紛争も抱えていないベラルーシやカザフスタンの数字の低さは素晴らしい。


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 こちらの記事によると、ロシアのトランスネフチ社と、ウクライナのウクルトランスナフタ社は12月3日、ウクライナ領を通じて石油をトランジット輸送する契約を10年間延長することで合意した。両社が既存の契約への追加契約に調印したものであり、これにより契約は2029年末まで有効となった。両社の協力関係の基本点は変わらないが、新たな合意にはこの地域における石油輸送サービスの変化を考慮した条項の修正も盛り込まれている。なお、2019年1~10月の実績で、ウクルトランスナフタは欧州およびウクライナの需要家のために1,261万tの石油を輸送しており、うちトランジットが1,064万tだった。

 焦点になっている天然ガスの話かと思ったら、石油だった。朗報なのではないだろうか。こうやって、両国の利益の一致するところから少しずつでも関係を広げていった方が、結局は両国の戦略的利益にも適うというのが、私の見解である。


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 2019年のバカンスシーズンも終わったところだが、こちらの記事によると、今年初めから現時点までにクリミアを訪れた観光・保養客は687万人に達し、これは前年同期を10%上回っているという。なお、2018年には通年で680万人で、ソ連崩壊後の最高記録だった。

 ロシアの地域別では、モスクワ市、モスクワ州、サンクトペテルブルグ市、沿ヴォルガ管区、ウラル管区の市民が、数多くクリミアを訪れている。最も客数が多い航空便はモスクワ~シンフェロポリである。

 外国人では、ウクライナ人が一番多く、本年103.5万人がクリミアで休暇を過ごしている。以下、ベラルーシ人、カザフ人、ドイツ人と続く(ドイツではクリミアへの渡航禁止とかないのだろうか?)。

 年末年始の休暇をクリミアで過ごすのも人気であり、現時点で宿泊施設はすでに70%予約で埋まっているという。


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 こちらに見るように、国際的に有力な調査機関のGfKはこのほど、欧州42ヵ国の国民の購買力を調査し、その結果概要を発表した。

 その結果、東西ヨーロッパ全体の1人当たり年間平均購買力は、14,739ユーロとなった。最も購買力が高いのはリヒテンシュタインの67,550ユーロで、以下スイス42,067ユーロ、ルクセンブルク35,096ユーロと続いている。上位グループは上掲の画像のとおりである。

 そして、ヨーロッパで最も購買力が低いのは、ウクライナの1,830ユーロだった。それに加え、モルドバ、コソボが、ワースト3だという。ただし、ウクライナの数字こそ出ているものの、残念ながら下位グループの具体的なデータはプレスリリースには掲載されておらず、重要国のロシアの数字もこれを見る限り未発表となっている。


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 こちらの記事が、ウクライナ・ロシア間の交通の問題について伝えている。ウクライナのV.クリクリー・インフラ相が現地紙のインタビューで語った内容である。

 クリクリー・インフラ相によると、ウクライナとしては2015年以来途絶えているウクライナ・ロシア間の航空直行便を再開する意向はない。ロシアは侵略国のままであり、ウクライナとしてはマレーシア航空機撃墜事件の二の舞は避けなければならない。ロシアの対ウクライナ政策を考えれば、ロシアとの航空路線の再開はまったく論外である。

 クリクリー・インフラ相によると、その一方で、ウクライナとしてはロシアとの鉄道路線を閉鎖するつもりはない。これはまったく別問題である。政治的な観点から言えば再び鉄道を閉鎖することも考えられる。しかし、2019年1~8月の鉄道貨物トランジット収入(訳注:ウクライナの鉄道がロシア←→第三国の貨物をトランジット輸送しているという意味だと思う)は35億グリブナ(1.5億ドル)に上っているのである。また、鉄道旅客輸送の面では、ウクライナ鉄道にとってロシア路線は数少ない黒字路線である(2019年1~5月にはキエフ~モスクワ便は1.2億グリブナ=450万ドルの利益をもたらし、国内路線の最も収益性の高い5路線の合計より上だった)。何らかの理由でロシアに渡らなければならないウクライナ市民はいるわけで、鉄道のロシア路線を廃止したら彼らにとっての障害を増やしてしまうだけで、彼らはたとえばベラルーシ経由での渡航を余儀なくされよう。また、もしもウクライナが第三国からロシアへの貨物トランジットを閉鎖したら、それはWTO違反になってしまう。大臣は以上のように述べた。


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 こちらの記事によると、ロシアは、国策企業の「合同エンジン・コーポレーション(ODK)」の尽力により、従来ウクライナから供給を受けていた軍艦用エンジンの国産化に成功したということである。ODKのYu.シモチン主任設計士がRIAノーヴォスチ通信に語った。

 シモチン主任設計士によると、ODKはロシア国防省から、8,000~25,000馬力のガスタービンエンジンをロシア海軍用に開発する発注を受け、M70というエンジンシリーズの開発にこぎ着け、その任務を遂行した。

 経緯を記すと、2014年にロシアとウクライナの軍需協力が途絶したあと、ロシアは軍艦向けガスタービンエンジン調達の問題に直面し、たとえば黒海艦隊向けのフリゲート艦の建造が中止に追い込まれたりした。これを受け、ルィビンスクのODKサターン工場で国産ガスタービンエンジンの生産に着手する決定がなされた。2014~2017年にサターン工場で実験・設計作業が行われ、無事開発にこぎ着けた。


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 個人的なことながら、当方、本日から2週間ほどロシア出張です。いつも申し上げることながら、このブログが入居しているライブドアブログは、ロシアではなぜかアクセス禁止であり、ブログの管理画面にもアクセスできないので、更新が不能となる。一応、奥の手を使って更新を続ける予定ではあるけれど、もしも更新が滞ったら、そのような事情によるものなので、ご容赦いただきたい。

 さて、GLOBE+に、「ゼレンスキー・ウクライナ新大統領が仕掛けた電撃戦」を寄稿しました。

 ゼレンスキー大統領率いるウクライナの新体制成立の過程を眺めていて、特徴的だと思ったのが、同政権が短期決戦志向と言おうか、非常に「急いでいる」ということです。今回のコラムでは、そのあたりを論じてみました。


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 こちらの記事などが伝えているとおり、ロシア・ウクライナ・欧州委員会の三者が、9月19日にブリュッセルにおいて、天然ガスの供給とトランジットに関する交渉を行うことが明らかになった。マロシュ・シェフチョヴィチ欧州委員会副委員長兼エネルギー同盟担当委員が、当該の情報を確認した。

 シェフチョヴィチは自らのツイッターで、「私は交渉の進展が、冬季を前に、市場と需要家にポジティブなシグナルを送ることになると確信している」とコメントした。ウクライナのN.ボイコ・エネルギー次官も、9月19日交渉実施の事実を確認している。ウクライナ側からは、O.オルジェリ・エネルギー相、A.コボレフ・ナフトガス社長が交渉に参加することになる。ロシア・エネルギー省はまだコメントを出していない。


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 ウクライナ大統領選特報:延長戦(No.28、2019年9月2日)を配信しました。昨年12月から続けてきた動画シリーズも、ついに最終回となりました。

 新たに選出された最高会議(議会)が8月29日に初招集され、同日、ホンチャルーク(ゴンチャルーク)首相率いる新内閣が発足。首相がウクライナ史上最も若い35歳であるだけでなく、内閣の平均年齢も39歳で、フレッシュな顔触れの内閣が誕生しました。

 専門家の間では、「ゼレンスキーは、自分だけに依存するような人物を首相に据えたかった」、「ホンチャルークは政治的というよりも技術的な首相である」といった指摘が目立ちます。政策的には、親欧米路線、新自由主義的な路線を採ると見られています。

 恐らく、今回の政権交代劇は、独立ウクライナ史上、最も深甚な政治体制の刷新でしょう。しかし、ウクライナの改革・再建がきわめて困難な事業であることに変わりはなく、ゼレンスキー政権の前途は多難なものになると予想せざるをえません。


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 こちらの記事などが伝えるように、新たに選出されたウクライナの国会、最高会議は8月29日に初招集され、ゼレンスキー大統領率いる公僕党が提案したオレクシー・ホンチャルーク(ゴンチャルーク)氏を首相に承認した。290の賛成で可決された。

 ゼレンスキーは事前に、実績のあるエコノミストを首相に起用したいというようなことを述べていたので、どちらかというと法律専門で知名度もやや劣るホンチャルークの起用は、少々意外だったかもしれない。ビジネス環境を重視した人選だろうか。


 オレクシー・ホンチャルーク氏は、1985年7月7日生まれの35歳。出身地は不明であり(ヴィンニツャ州との説あり)、チェルニーヒフの学校を卒業したことは知られている。大学で法学を専攻し、民間企業で法務関係の仕事をした。2009年に被害投資家救済協会のトップに就任。第一ウクライナ工業投資会社の副社長を務める。2015年に「効率的管理オフィス(BRDO)」のトップに就任し、2019年5月まで務めた(BRDOはEUの支援で創設された分析センター)。2013年に仲間とともに「人々の力」党を創設し、2014年に議会選を前にA.サドヴィーの自助党と合併交渉を行ったが、自助党による吸収合併を主張したサドヴィーと折り合わず、「人々の力」は議会選に独自に打って出て0.1%の得票に終わった。この間、ゴンチャルークはI.シェフチェンコ環境・天然資源相の顧問を務める。2014年にはS.クビフ第一副首相・経済相の顧問。2019年5月28日にゼレンスキー新大統領の下で大統領オフィス副長官に任命されていた。

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 これは結構ビックリなニュースだ。ウクライナ南東部のザポリージャに、モトル・シチというエンジンメーカーがある。ロシアの軍用ヘリに搭載されるエンジンも生産している名門企業で、現在ロシアは必死に同社への依存脱却を図っているところだ。それで、こちらの記事によると、そのモトル・シチの株式の50%超を、中国のSkyrizon社およびXinwei Groupが買収したということである。モトル・シチの広報担当重役が明らかにした。現在、ウクライナ独禁庁の許可を待っているところだという。

 それで、この話には、宇・中・露だけでなく、米もかかわってくるのである。上掲の記事によると、米トランプ政権のボルトン補佐官が中国企業による買収を安全保障上の脅威と受け止め、水面下でその阻止に動いているということである。ちなみに、モトル・シチに関しては2年前にも中国系の投資家による50%超の買収話が持ち上がり、その時にはウクライナ保安庁が株式を差し押さえて取引が中止になったという。


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 ウクライナ大統領選特報:延長戦(No.27、2019年8月15日)を配信しました。要旨は以下の通り。

  • 7月21日に投票が行われた最高会議(議会)選挙の結果、投票率は49.8%と振るわなかったものの、大統領与党の公僕党は予想以上の大勝を収めた。公僕党が、比例区はともかく、小選挙区においても199議席中130議席を獲得したのは驚き。結果、公僕党はつごう254議席を獲得し、ウクライナの歴史上初めて、一つの党による単独過半数が成立した。
  • 既成政党が軒並み苦戦し、特に民族主義勢力は退潮。一方、確かな存在感を示したのが、「野党プラットフォーム・生活党」。
  • 今回の議会選は、「実質的に大統領選の第3回投票だった」とも言われ、大統領選の延長上で、国民がポロシェンコ前政権、既存のエスタブリッシュメント全体にノーを突き付ける結果となった。
  • 国民による旧体制否定の裏返しとして、公僕党に加え、ロック歌手のS.ヴァカルチュークが率いる新党「声」も議会に進出した。
  • 公僕党の候補者名簿には、議員経験のある候補者は一人もいなかった。つまり、新しいウクライナ議会は、「杉村太蔵」が200人も300人もいるような、そんな風景になる。
  • 選挙前には新党「声」が公僕党の潜在的な連立パートナーと考えられていたが、最新の情報によれば、公僕党は「声」と連立交渉は行っていないとされ、単独政権を発足させる見通し。最高会議は8月29日に招集され、早速組閣を行うことになる。
  • 議会選で大統領与党が圧勝したことは、大統領・議会・内閣のねじれを回避するという意味では、好材料。しかし、今後は全責任が大統領および与党にのしかかり、結果を出せなかった時には国民の批判を一身に浴びることに。

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 こちらのニュース、しばらく前のものだが、見落としていたので、ちょっとメモしておく。記事によると、このほどウクライナ内閣は「2030年までのウクライナ語普及戦略 ―強い言語=成功した国家」と題する政策文書を採択したということである。7月17日付の内閣指令第596号によって採択された。この戦略を実施する結果、2030年までに、日常的にもっぱらウクライナ語を用いる、または主としてウクライナ語を用いるウクライナ国民(子供も含む)の比率が社会調査において75%以上になり、また国勢調査においてウクライナ語を母語であると申告する国民が80%以上になるという青写真が描かれている。

 以上が記事の伝えるところだが、ただし、市民の使用言語についての数値目標を国家が設定することは適切なのかという疑問は、拭えない。また、すでに新大統領が就任し、もうすぐ新議会および新内閣も発足するというタイミングで、前政権の残滓であるフロイスマン内閣が向こう10年の言語政策を決定することの適否も問われるだろう。さらに言えば、ウクライナの場合には、国民のウクライナ語使用比率云々といったこともさることながら、人口危機や国外への労働力の流出こそが喫緊の問題なのであって、ウクライナ市民が国内にしっかりと根を張って社会や経済を支えてくれるなら、何語を話そうが御の字ではないかという究極のツッコミを入れたくなる。


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 ちょっとお知らせです。旬報社より、『新 世界の社会福祉』という全12巻のシリーズが出ることになりました。その中の第5巻、仙石学先生の編による「旧ソ連東欧編」において、私が「欧州化をめざすウクライナ社会福祉のジレンマ」を執筆しています。社会福祉という分野は初めて挑戦したので、個人的には大変でしたが、ご興味のある方は手に取っていただければ幸いです。


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 こちらの記事によると、過去5年で(つまりロシアにより併合されてから)、クリミアのワイン(スティルワイン)生産が3倍に伸びているそうである。この間、クリミアのワイン醸造業には12億ルーブルの補助金が投下され、しかもその額は年ごとに拡大している。現在ではクリミアのメーカーは年間30万tのブドウを加工し、5,000万デカリットルのワインを生産することが可能である。

 以上が記事のあらましである。ただし、いくらワインの増産に成功しようが、観光客が増えようが、ロシアによるクリミア併合が正当化されないことは、言うまでもない。


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 GLOBE+に、「旧ソ連諸国の国名をめぐるモヤモヤが止まらない」を寄稿しました。先日ブログでも触れた例の「ウクライーナ」の話題を、改めて論じてみました。


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 こちらの記事によると、ウクライナがロシア産品に対して、特別関税を導入したということである。

 記事によると、この措置は5月15日の内閣決定により決まったものであり、8月1日から施行された。ほぼすべてのロシア産品が対処となり、例外は石炭、コークス、ガソリン、液化ガス、医薬品だけである。徴収された追加関税は、国家財政の特別基金に納入され、その資金は輸入代替政策の実施に用いられる。

 また、記事によれば、さらに7月17日付の内閣決定により、パイプライン経由で輸入されるロシア産の軽油と、液化ガスについては、別途、特別関税が導入された。税率は、軽油については8月1日からは3.75%、10月1日からは4%、液化ガスは8月1日からは1.75%、10月からは3%である。この措置を受けて、主な3つの輸入業者のうち、Wexler Groupは8月からロシアからの調達を取り止め、残りの2業者も他国産に切り替える予定である。ゼレンスキー大統領は、ウクライナの軽油市場は影響を受けないと説明している。


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 ロシア産のガスをウクライナ経由で欧州市場向けにトランジット輸送する現行の契約は、2009年に結ばれたものだが、本年2019年末をもって満了することになっており、今後どうするかが大問題となっている。本件につき、こちらに出ている概説記事のポイントだけ整理しておく。

 ストックホルム仲裁裁判所の判決で、ナフトガス・ウクライナがロシア・ガスプロムに2013~2014年のガス供給に対する債務20億ドルを負っている一方、後者は前者に対してトランジット代金の未払い47億ドルがあることが確認され、相殺後にガスプロムの対ナフトガス債務が25.6億ドル存在することが認定された。ガスプロムはそれを不服とし、2018年3月に契約を解消する手続きを始めた。現在のロシア・ウクライナ間のガス論争で、ロシア側はストックホルム判決の問題を解消することを条件に掲げており、7月半ばにプーチン大統領がその点を明言した。だが、ロシア・ウクライナ・EUという交渉当事者3者の利害は大きく食い違っており、契約が切れるまでに残された時間は少ない。

 ロシアは短期のトランジット輸送契約を結び、ノルドストリーム2、トルコストリームというパイプラインプロジェクトを推進することを望んでいる。先日、ロシア・トルコ政府間委員会の席で、A.ノヴァク・エネルギー相が、ウクライナとのトランジット契約を1年延長することを提案していると述べた。

 ウクライナはロシアからのガス輸入を2015年に停止し、現在は長期トランジット契約を結ぶことを希望している。EUも同様の立場であり、1月の3者会合の際には新たなウクライナ・トランジット契約の主要点を提示した。年間900億立米、最低輸送料を600億立米とする10年以上の輸送契約を結ぶというものだった。

 次の3者交渉は、2019年9月にブリュッセルで開かれる。立場を明確化し、妥協を見出すために残された時間は多くない。ロシアにとってはストックホルム判決の問題を解決するのが重要だが、同時に、ノルドストリーム2、トルコストリームが遅延することによるリスクも承知している。対するウクライナとEU側は、10年契約を主張。お互いの請求を放棄する、あるいは中期契約を結ぶといった妥協的を探すことになるのかもしれない。


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 個人的に、ウクライナ情勢のフォローが後手に回っている。日本であれば、投票が締め切られた瞬間にテレビの選挙特番で大勢が伝えられ、だいたいその日のうちに開票作業はすべて完了するのではないか。そして、翌朝の新聞には、もう国会の新たな勢力図がグラフで分かりやすく伝えられるはずである。しかし、ウクライナの主な情報サイトを見ても、比例区の政党別得票率の開票途中経過が伝えられるだけで、比例による具体的な獲得議席数と、小選挙区の結果を合わせて分かりやすく伝えてくれる情報がなかなか見当たらなかった。まあ、こまめに探せばどこかにあるのだろうが、個人的にそういうことをしている余裕がなかったわけである。

 それで、日本時間の7月24日時点ではまだ開票が完全には終わっておらず、途中経過ということになるが、こちらのサイトに非常に分かりやすい形で政党別の獲得議席数を図にまとめたものが出ていたので、それを紹介させていただく。それにしても、比例区で公僕党が圧勝することは織り込み済みだったが、何と小選挙区では比例以上の勢いを見せ、129議席もとったというのには驚いた。まあ、選挙の常識から言えば、小選挙区の方が劇的変化が起きやすいので、今回小選挙区で公僕党大旋風が吹き荒れたことは説明はつくのだが、何しろウクライナの選挙区には海千山千のセンセイ方がたくさんいるわけで、公僕党が小選挙区でそれらの古株を抑えてまさかここまで勝つとは思わなかった。結果、公僕党はつごう252議席で、堂々の単独過半数である。

 引き続き、できる範囲でフォローに努めたい。


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 日本の参院選と同日という形になったが、昨日7月21日、ウクライナ最高会議(議会)選挙の投票が実施された。小選挙区・比例代表並立制であり、小選挙区を含めた選挙結果が判明するのにはもう少し時間がかかると思うが、「ナショナルエグジットポール」という出口調査の比例区に関する調査結果がこちらに出ているので、上掲のとおり紹介する。

 先日、「ウクライナ大統領選特報:延長戦」で、レイティングという調査機関による政党支持率をお伝えしたが、ナショナルエグジットポールの数字は、概ねレイティングの事前調査に見合っている。ただ、ゼレンスキー与党の公僕党が思ったほどは伸びなかったというのと、ティモシェンコの祖国が事前調査よりも若干数字を上積みした点が注目される。いずれにしても、比例区で議席を獲得できる5%以上得票の政党は、公僕党、野党プラットフォーム、欧州団結党、祖国党、ヴァカルチュークの「声」の5政党で決まりであることは間違いない。

 選挙結果については、順次続報をお届けしたい。


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 こちらのサイトに見るように、このほど駐日ウクライナ大使館より重大な意思表明があった。ウクライナの地名を、ウクライナ語の発音に即して表記するべきだとのメッセージである。具体例を示したのが上掲のものである。

 ここで主張しているのは、「ロシア語読みではなく、ウクライナ語読みで」ということなので、私個人は以前からその方針をとっているし、当方としてまったく異存はない。私が編集した『ウクライナを知るための65章』でも、そうなっている。しかし、上で充てられているカタカナ読みを見ると、ムィコライヴのように、ロシア語との違いを過度に強調した翻字になっている気がするし、そもそも日本外務省が最近「ヴ」を使わないという方針を打ち出した中で、果たしてこれだけ「ヴ」を多用する方式が日本に定着するのかという疑問がある。

 最大の問題は、国名自体を、ウクライーナと、長音にすべきだとしている点だろう。もちろん、発音がそれに近いことは、そのとおりであろう。でも、それを言うなら、ロシアだって、現地語発音はラシーヤである。ロシア人が、「我が国の言語と独自性を尊重するため、ロシアではなくラシーヤと呼んでください」などと主張するだろうか? 日本には日本の読みやすさ、これまでの経緯というものがあるのであり、読み方が完全に間違っているというならともかく、伸ばす伸ばさないなどは日本人の感覚や慣習が優先されるべきだと、個人的には思う。

 前にも言った通り、ウクライナ国家が日本政府にこうした読み方の受入を正式に要請して来て、それが公式に決まったら、個人的にもその方式に移行することはまったくやぶさかでない(ただし「ヴ」のあるクィイヴは日本政府は使わないだろうが)。それは、単なる「決め」の問題である。


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