ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ウクライナ

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 2019年のバカンスシーズンも終わったところだが、こちらの記事によると、今年初めから現時点までにクリミアを訪れた観光・保養客は687万人に達し、これは前年同期を10%上回っているという。なお、2018年には通年で680万人で、ソ連崩壊後の最高記録だった。

 ロシアの地域別では、モスクワ市、モスクワ州、サンクトペテルブルグ市、沿ヴォルガ管区、ウラル管区の市民が、数多くクリミアを訪れている。最も客数が多い航空便はモスクワ~シンフェロポリである。

 外国人では、ウクライナ人が一番多く、本年103.5万人がクリミアで休暇を過ごしている。以下、ベラルーシ人、カザフ人、ドイツ人と続く(ドイツではクリミアへの渡航禁止とかないのだろうか?)。

 年末年始の休暇をクリミアで過ごすのも人気であり、現時点で宿泊施設はすでに70%予約で埋まっているという。


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 こちらに見るように、国際的に有力な調査機関のGfKはこのほど、欧州42ヵ国の国民の購買力を調査し、その結果概要を発表した。

 その結果、東西ヨーロッパ全体の1人当たり年間平均購買力は、14,739ユーロとなった。最も購買力が高いのはリヒテンシュタインの67,550ユーロで、以下スイス42,067ユーロ、ルクセンブルク35,096ユーロと続いている。上位グループは上掲の画像のとおりである。

 そして、ヨーロッパで最も購買力が低いのは、ウクライナの1,830ユーロだった。それに加え、モルドバ、コソボが、ワースト3だという。ただし、ウクライナの数字こそ出ているものの、残念ながら下位グループの具体的なデータはプレスリリースには掲載されておらず、重要国のロシアの数字もこれを見る限り未発表となっている。


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 こちらの記事が、ウクライナ・ロシア間の交通の問題について伝えている。ウクライナのV.クリクリー・インフラ相が現地紙のインタビューで語った内容である。

 クリクリー・インフラ相によると、ウクライナとしては2015年以来途絶えているウクライナ・ロシア間の航空直行便を再開する意向はない。ロシアは侵略国のままであり、ウクライナとしてはマレーシア航空機撃墜事件の二の舞は避けなければならない。ロシアの対ウクライナ政策を考えれば、ロシアとの航空路線の再開はまったく論外である。

 クリクリー・インフラ相によると、その一方で、ウクライナとしてはロシアとの鉄道路線を閉鎖するつもりはない。これはまったく別問題である。政治的な観点から言えば再び鉄道を閉鎖することも考えられる。しかし、2019年1~8月の鉄道貨物トランジット収入(訳注:ウクライナの鉄道がロシア←→第三国の貨物をトランジット輸送しているという意味だと思う)は35億グリブナ(1.5億ドル)に上っているのである。また、鉄道旅客輸送の面では、ウクライナ鉄道にとってロシア路線は数少ない黒字路線である(2019年1~5月にはキエフ~モスクワ便は1.2億グリブナ=450万ドルの利益をもたらし、国内路線の最も収益性の高い5路線の合計より上だった)。何らかの理由でロシアに渡らなければならないウクライナ市民はいるわけで、鉄道のロシア路線を廃止したら彼らにとっての障害を増やしてしまうだけで、彼らはたとえばベラルーシ経由での渡航を余儀なくされよう。また、もしもウクライナが第三国からロシアへの貨物トランジットを閉鎖したら、それはWTO違反になってしまう。大臣は以上のように述べた。


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 こちらの記事によると、ロシアは、国策企業の「合同エンジン・コーポレーション(ODK)」の尽力により、従来ウクライナから供給を受けていた軍艦用エンジンの国産化に成功したということである。ODKのYu.シモチン主任設計士がRIAノーヴォスチ通信に語った。

 シモチン主任設計士によると、ODKはロシア国防省から、8,000~25,000馬力のガスタービンエンジンをロシア海軍用に開発する発注を受け、M70というエンジンシリーズの開発にこぎ着け、その任務を遂行した。

 経緯を記すと、2014年にロシアとウクライナの軍需協力が途絶したあと、ロシアは軍艦向けガスタービンエンジン調達の問題に直面し、たとえば黒海艦隊向けのフリゲート艦の建造が中止に追い込まれたりした。これを受け、ルィビンスクのODKサターン工場で国産ガスタービンエンジンの生産に着手する決定がなされた。2014~2017年にサターン工場で実験・設計作業が行われ、無事開発にこぎ着けた。


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 個人的なことながら、当方、本日から2週間ほどロシア出張です。いつも申し上げることながら、このブログが入居しているライブドアブログは、ロシアではなぜかアクセス禁止であり、ブログの管理画面にもアクセスできないので、更新が不能となる。一応、奥の手を使って更新を続ける予定ではあるけれど、もしも更新が滞ったら、そのような事情によるものなので、ご容赦いただきたい。

 さて、GLOBE+に、「ゼレンスキー・ウクライナ新大統領が仕掛けた電撃戦」を寄稿しました。

 ゼレンスキー大統領率いるウクライナの新体制成立の過程を眺めていて、特徴的だと思ったのが、同政権が短期決戦志向と言おうか、非常に「急いでいる」ということです。今回のコラムでは、そのあたりを論じてみました。


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 こちらの記事などが伝えているとおり、ロシア・ウクライナ・欧州委員会の三者が、9月19日にブリュッセルにおいて、天然ガスの供給とトランジットに関する交渉を行うことが明らかになった。マロシュ・シェフチョヴィチ欧州委員会副委員長兼エネルギー同盟担当委員が、当該の情報を確認した。

 シェフチョヴィチは自らのツイッターで、「私は交渉の進展が、冬季を前に、市場と需要家にポジティブなシグナルを送ることになると確信している」とコメントした。ウクライナのN.ボイコ・エネルギー次官も、9月19日交渉実施の事実を確認している。ウクライナ側からは、O.オルジェリ・エネルギー相、A.コボレフ・ナフトガス社長が交渉に参加することになる。ロシア・エネルギー省はまだコメントを出していない。


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 ウクライナ大統領選特報:延長戦(No.28、2019年9月2日)を配信しました。昨年12月から続けてきた動画シリーズも、ついに最終回となりました。

 新たに選出された最高会議(議会)が8月29日に初招集され、同日、ホンチャルーク(ゴンチャルーク)首相率いる新内閣が発足。首相がウクライナ史上最も若い35歳であるだけでなく、内閣の平均年齢も39歳で、フレッシュな顔触れの内閣が誕生しました。

 専門家の間では、「ゼレンスキーは、自分だけに依存するような人物を首相に据えたかった」、「ホンチャルークは政治的というよりも技術的な首相である」といった指摘が目立ちます。政策的には、親欧米路線、新自由主義的な路線を採ると見られています。

 恐らく、今回の政権交代劇は、独立ウクライナ史上、最も深甚な政治体制の刷新でしょう。しかし、ウクライナの改革・再建がきわめて困難な事業であることに変わりはなく、ゼレンスキー政権の前途は多難なものになると予想せざるをえません。


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 こちらの記事などが伝えるように、新たに選出されたウクライナの国会、最高会議は8月29日に初招集され、ゼレンスキー大統領率いる公僕党が提案したオレクシー・ホンチャルーク(ゴンチャルーク)氏を首相に承認した。290の賛成で可決された。

 ゼレンスキーは事前に、実績のあるエコノミストを首相に起用したいというようなことを述べていたので、どちらかというと法律専門で知名度もやや劣るホンチャルークの起用は、少々意外だったかもしれない。ビジネス環境を重視した人選だろうか。


 オレクシー・ホンチャルーク氏は、1985年7月7日生まれの35歳。出身地は不明であり(ヴィンニツャ州との説あり)、チェルニーヒフの学校を卒業したことは知られている。大学で法学を専攻し、民間企業で法務関係の仕事をした。2009年に被害投資家救済協会のトップに就任。第一ウクライナ工業投資会社の副社長を務める。2015年に「効率的管理オフィス(BRDO)」のトップに就任し、2019年5月まで務めた(BRDOはEUの支援で創設された分析センター)。2013年に仲間とともに「人々の力」党を創設し、2014年に議会選を前にA.サドヴィーの自助党と合併交渉を行ったが、自助党による吸収合併を主張したサドヴィーと折り合わず、「人々の力」は議会選に独自に打って出て0.1%の得票に終わった。この間、ゴンチャルークはI.シェフチェンコ環境・天然資源相の顧問を務める。2014年にはS.クビフ第一副首相・経済相の顧問。2019年5月28日にゼレンスキー新大統領の下で大統領オフィス副長官に任命されていた。

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 これは結構ビックリなニュースだ。ウクライナ南東部のザポリージャに、モトル・シチというエンジンメーカーがある。ロシアの軍用ヘリに搭載されるエンジンも生産している名門企業で、現在ロシアは必死に同社への依存脱却を図っているところだ。それで、こちらの記事によると、そのモトル・シチの株式の50%超を、中国のSkyrizon社およびXinwei Groupが買収したということである。モトル・シチの広報担当重役が明らかにした。現在、ウクライナ独禁庁の許可を待っているところだという。

 それで、この話には、宇・中・露だけでなく、米もかかわってくるのである。上掲の記事によると、米トランプ政権のボルトン補佐官が中国企業による買収を安全保障上の脅威と受け止め、水面下でその阻止に動いているということである。ちなみに、モトル・シチに関しては2年前にも中国系の投資家による50%超の買収話が持ち上がり、その時にはウクライナ保安庁が株式を差し押さえて取引が中止になったという。


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 ウクライナ大統領選特報:延長戦(No.27、2019年8月15日)を配信しました。要旨は以下の通り。

  • 7月21日に投票が行われた最高会議(議会)選挙の結果、投票率は49.8%と振るわなかったものの、大統領与党の公僕党は予想以上の大勝を収めた。公僕党が、比例区はともかく、小選挙区においても199議席中130議席を獲得したのは驚き。結果、公僕党はつごう254議席を獲得し、ウクライナの歴史上初めて、一つの党による単独過半数が成立した。
  • 既成政党が軒並み苦戦し、特に民族主義勢力は退潮。一方、確かな存在感を示したのが、「野党プラットフォーム・生活党」。
  • 今回の議会選は、「実質的に大統領選の第3回投票だった」とも言われ、大統領選の延長上で、国民がポロシェンコ前政権、既存のエスタブリッシュメント全体にノーを突き付ける結果となった。
  • 国民による旧体制否定の裏返しとして、公僕党に加え、ロック歌手のS.ヴァカルチュークが率いる新党「声」も議会に進出した。
  • 公僕党の候補者名簿には、議員経験のある候補者は一人もいなかった。つまり、新しいウクライナ議会は、「杉村太蔵」が200人も300人もいるような、そんな風景になる。
  • 選挙前には新党「声」が公僕党の潜在的な連立パートナーと考えられていたが、最新の情報によれば、公僕党は「声」と連立交渉は行っていないとされ、単独政権を発足させる見通し。最高会議は8月29日に招集され、早速組閣を行うことになる。
  • 議会選で大統領与党が圧勝したことは、大統領・議会・内閣のねじれを回避するという意味では、好材料。しかし、今後は全責任が大統領および与党にのしかかり、結果を出せなかった時には国民の批判を一身に浴びることに。

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 こちらのニュース、しばらく前のものだが、見落としていたので、ちょっとメモしておく。記事によると、このほどウクライナ内閣は「2030年までのウクライナ語普及戦略 ―強い言語=成功した国家」と題する政策文書を採択したということである。7月17日付の内閣指令第596号によって採択された。この戦略を実施する結果、2030年までに、日常的にもっぱらウクライナ語を用いる、または主としてウクライナ語を用いるウクライナ国民(子供も含む)の比率が社会調査において75%以上になり、また国勢調査においてウクライナ語を母語であると申告する国民が80%以上になるという青写真が描かれている。

 以上が記事の伝えるところだが、ただし、市民の使用言語についての数値目標を国家が設定することは適切なのかという疑問は、拭えない。また、すでに新大統領が就任し、もうすぐ新議会および新内閣も発足するというタイミングで、前政権の残滓であるフロイスマン内閣が向こう10年の言語政策を決定することの適否も問われるだろう。さらに言えば、ウクライナの場合には、国民のウクライナ語使用比率云々といったこともさることながら、人口危機や国外への労働力の流出こそが喫緊の問題なのであって、ウクライナ市民が国内にしっかりと根を張って社会や経済を支えてくれるなら、何語を話そうが御の字ではないかという究極のツッコミを入れたくなる。


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 ちょっとお知らせです。旬報社より、『新 世界の社会福祉』という全12巻のシリーズが出ることになりました。その中の第5巻、仙石学先生の編による「旧ソ連東欧編」において、私が「欧州化をめざすウクライナ社会福祉のジレンマ」を執筆しています。社会福祉という分野は初めて挑戦したので、個人的には大変でしたが、ご興味のある方は手に取っていただければ幸いです。


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 こちらの記事によると、過去5年で(つまりロシアにより併合されてから)、クリミアのワイン(スティルワイン)生産が3倍に伸びているそうである。この間、クリミアのワイン醸造業には12億ルーブルの補助金が投下され、しかもその額は年ごとに拡大している。現在ではクリミアのメーカーは年間30万tのブドウを加工し、5,000万デカリットルのワインを生産することが可能である。

 以上が記事のあらましである。ただし、いくらワインの増産に成功しようが、観光客が増えようが、ロシアによるクリミア併合が正当化されないことは、言うまでもない。


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 GLOBE+に、「旧ソ連諸国の国名をめぐるモヤモヤが止まらない」を寄稿しました。先日ブログでも触れた例の「ウクライーナ」の話題を、改めて論じてみました。


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 こちらの記事によると、ウクライナがロシア産品に対して、特別関税を導入したということである。

 記事によると、この措置は5月15日の内閣決定により決まったものであり、8月1日から施行された。ほぼすべてのロシア産品が対処となり、例外は石炭、コークス、ガソリン、液化ガス、医薬品だけである。徴収された追加関税は、国家財政の特別基金に納入され、その資金は輸入代替政策の実施に用いられる。

 また、記事によれば、さらに7月17日付の内閣決定により、パイプライン経由で輸入されるロシア産の軽油と、液化ガスについては、別途、特別関税が導入された。税率は、軽油については8月1日からは3.75%、10月1日からは4%、液化ガスは8月1日からは1.75%、10月からは3%である。この措置を受けて、主な3つの輸入業者のうち、Wexler Groupは8月からロシアからの調達を取り止め、残りの2業者も他国産に切り替える予定である。ゼレンスキー大統領は、ウクライナの軽油市場は影響を受けないと説明している。


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 ロシア産のガスをウクライナ経由で欧州市場向けにトランジット輸送する現行の契約は、2009年に結ばれたものだが、本年2019年末をもって満了することになっており、今後どうするかが大問題となっている。本件につき、こちらに出ている概説記事のポイントだけ整理しておく。

 ストックホルム仲裁裁判所の判決で、ナフトガス・ウクライナがロシア・ガスプロムに2013~2014年のガス供給に対する債務20億ドルを負っている一方、後者は前者に対してトランジット代金の未払い47億ドルがあることが確認され、相殺後にガスプロムの対ナフトガス債務が25.6億ドル存在することが認定された。ガスプロムはそれを不服とし、2018年3月に契約を解消する手続きを始めた。現在のロシア・ウクライナ間のガス論争で、ロシア側はストックホルム判決の問題を解消することを条件に掲げており、7月半ばにプーチン大統領がその点を明言した。だが、ロシア・ウクライナ・EUという交渉当事者3者の利害は大きく食い違っており、契約が切れるまでに残された時間は少ない。

 ロシアは短期のトランジット輸送契約を結び、ノルドストリーム2、トルコストリームというパイプラインプロジェクトを推進することを望んでいる。先日、ロシア・トルコ政府間委員会の席で、A.ノヴァク・エネルギー相が、ウクライナとのトランジット契約を1年延長することを提案していると述べた。

 ウクライナはロシアからのガス輸入を2015年に停止し、現在は長期トランジット契約を結ぶことを希望している。EUも同様の立場であり、1月の3者会合の際には新たなウクライナ・トランジット契約の主要点を提示した。年間900億立米、最低輸送料を600億立米とする10年以上の輸送契約を結ぶというものだった。

 次の3者交渉は、2019年9月にブリュッセルで開かれる。立場を明確化し、妥協を見出すために残された時間は多くない。ロシアにとってはストックホルム判決の問題を解決するのが重要だが、同時に、ノルドストリーム2、トルコストリームが遅延することによるリスクも承知している。対するウクライナとEU側は、10年契約を主張。お互いの請求を放棄する、あるいは中期契約を結ぶといった妥協的を探すことになるのかもしれない。


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 個人的に、ウクライナ情勢のフォローが後手に回っている。日本であれば、投票が締め切られた瞬間にテレビの選挙特番で大勢が伝えられ、だいたいその日のうちに開票作業はすべて完了するのではないか。そして、翌朝の新聞には、もう国会の新たな勢力図がグラフで分かりやすく伝えられるはずである。しかし、ウクライナの主な情報サイトを見ても、比例区の政党別得票率の開票途中経過が伝えられるだけで、比例による具体的な獲得議席数と、小選挙区の結果を合わせて分かりやすく伝えてくれる情報がなかなか見当たらなかった。まあ、こまめに探せばどこかにあるのだろうが、個人的にそういうことをしている余裕がなかったわけである。

 それで、日本時間の7月24日時点ではまだ開票が完全には終わっておらず、途中経過ということになるが、こちらのサイトに非常に分かりやすい形で政党別の獲得議席数を図にまとめたものが出ていたので、それを紹介させていただく。それにしても、比例区で公僕党が圧勝することは織り込み済みだったが、何と小選挙区では比例以上の勢いを見せ、129議席もとったというのには驚いた。まあ、選挙の常識から言えば、小選挙区の方が劇的変化が起きやすいので、今回小選挙区で公僕党大旋風が吹き荒れたことは説明はつくのだが、何しろウクライナの選挙区には海千山千のセンセイ方がたくさんいるわけで、公僕党が小選挙区でそれらの古株を抑えてまさかここまで勝つとは思わなかった。結果、公僕党はつごう252議席で、堂々の単独過半数である。

 引き続き、できる範囲でフォローに努めたい。


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 日本の参院選と同日という形になったが、昨日7月21日、ウクライナ最高会議(議会)選挙の投票が実施された。小選挙区・比例代表並立制であり、小選挙区を含めた選挙結果が判明するのにはもう少し時間がかかると思うが、「ナショナルエグジットポール」という出口調査の比例区に関する調査結果がこちらに出ているので、上掲のとおり紹介する。

 先日、「ウクライナ大統領選特報:延長戦」で、レイティングという調査機関による政党支持率をお伝えしたが、ナショナルエグジットポールの数字は、概ねレイティングの事前調査に見合っている。ただ、ゼレンスキー与党の公僕党が思ったほどは伸びなかったというのと、ティモシェンコの祖国が事前調査よりも若干数字を上積みした点が注目される。いずれにしても、比例区で議席を獲得できる5%以上得票の政党は、公僕党、野党プラットフォーム、欧州団結党、祖国党、ヴァカルチュークの「声」の5政党で決まりであることは間違いない。

 選挙結果については、順次続報をお届けしたい。


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 こちらのサイトに見るように、このほど駐日ウクライナ大使館より重大な意思表明があった。ウクライナの地名を、ウクライナ語の発音に即して表記するべきだとのメッセージである。具体例を示したのが上掲のものである。

 ここで主張しているのは、「ロシア語読みではなく、ウクライナ語読みで」ということなので、私個人は以前からその方針をとっているし、当方としてまったく異存はない。私が編集した『ウクライナを知るための65章』でも、そうなっている。しかし、上で充てられているカタカナ読みを見ると、ムィコライヴのように、ロシア語との違いを過度に強調した翻字になっている気がするし、そもそも日本外務省が最近「ヴ」を使わないという方針を打ち出した中で、果たしてこれだけ「ヴ」を多用する方式が日本に定着するのかという疑問がある。

 最大の問題は、国名自体を、ウクライーナと、長音にすべきだとしている点だろう。もちろん、発音がそれに近いことは、そのとおりであろう。でも、それを言うなら、ロシアだって、現地語発音はラシーヤである。ロシア人が、「我が国の言語と独自性を尊重するため、ロシアではなくラシーヤと呼んでください」などと主張するだろうか? 日本には日本の読みやすさ、これまでの経緯というものがあるのであり、読み方が完全に間違っているというならともかく、伸ばす伸ばさないなどは日本人の感覚や慣習が優先されるべきだと、個人的には思う。

 前にも言った通り、ウクライナ国家が日本政府にこうした読み方の受入を正式に要請して来て、それが公式に決まったら、個人的にもその方式に移行することはまったくやぶさかでない(ただし「ヴ」のあるクィイヴは日本政府は使わないだろうが)。それは、単なる「決め」の問題である。


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 先日、ウクライナが米国産の石油を購入するという動きがあった。この出来事をどう読むべきか、こちらの記事が論じているので、要旨をまとめておく。ロシアのリア・ノーヴォスチの記事なので、ウクライナの動きを辛辣に論評する内容になっているが、悪しからず。

 クレメンチューク製油所に、米国からのバッケン種の石油が入荷しようとしている。7月4日にタンカー「ウィズダム・ヴェンチャー」がオデッサ港に入港し、そこからパイプラインを通じてクレメンチュークに運ばれている。購入したのは、製油所を保有するI.コロモイスキーのウクルタトナフタ社である。

 マスコミでは今回の取引を、6月1日に発効したロシアの石油禁輸への対抗策だと論じている。しかし、対抗策としては、弱い。2018年のウクライナの石油輸入が800万t超えだったのに対し、今回の輸入はわずか7.5万tだ。確かに、8月にもう一度、同量を輸入する予定だが、たとえウクルタトナフタが毎月7.5万tを輸入したとしても、ウクライナの輸入全体の数%にすぎない。

 クレメンチューク製油所一つにとってみても、これは多い量ではない。クレメンチュークに主に石油を供給しているのは、半官半民のウクルナフタ社であり、2018年の国内採掘量は145万tであり、そのほぼ全量をクレメンチュークに供給した。また、クレメンチュークはアゼルバイジャン石油も購入している。クレメンチュークは2018年にはトータルで220万tの石油を調達した。

 2017年にクレメンチュークの石油精製量は12%増加して250万tに達し、それをさらに拡大していく計画を立てていた。しかし、ガソリンの販売不振で、実際には生産が低下する。2018年夏には貯蔵施設が石油製品で一杯になり、そのため生産量を技術的に許容されるぎりぎりの日産5,000tまで引き下げた。製油所を抱えるウクルタトナフタの経営陣は、販売不振はベラルーシからの輸入のせいだとし、2018年11月、国家安全保障国防会議に、ベラルーシ産ガソリンに対するアンチダンピング調査を開始するよう要請した。同社は、ベラルーシとロシアは石油製品輸出に補助金を適用していると主張したが、ウクライナ政府はこの要請を無視した。2019年3月、製油所は政府に石油製品に対する輸入割当を導入するよう要求したが、これも受け入れられなかった。コロモイスキーは作戦を変え、ガソリン物品税を25%引き下げることを主張したが、政府は応じなかった。

 そうした中、ガソリン価格は、ウクライナのドライバーたちにとって受け入れられないほど、割高なものとなっていた。所得に対するガソリン価格という指標で、ウクライナはあるランキングの61ヵ国の中で、59位という劣悪な結果になった。こうしたことから、ウクライナのドライバーたちはガソリン車をLPG車に改造し、ガソリンの半額程度のLPGにシフトするようになっており、現在ウクライナにはLPG改造車が300万台も走っていると言われる。

 こうした状況下では、米国石油の調達は、経済的にはまったくの焼け石に水である。大洋の向こうの国から石油を買ってガソリンを生産しても、とてもウクライナの消費者には買う余裕がない。しかも、ロシアは7月1日からLPG輸出を全面的に再開しており、またカザフスタンの製品についてもロシア領を経由してウクライナに輸出することを認めているわけで、したがって今後もウクライナではガソリン需要低下が続くだろう。

 というわけで、ウクライナが米国産石油を買った理由は、一つしかない。それは、ワシントンに恭順の姿勢を示すことである。それにより、第1にノルドストリーム2の問題で、第2にドンバス和平の問題で、米国の全面バックアップを取り付けようとしているのだろう。しかし、ウクライナの購入量は微々たるものだし、そもそも米国はウクライナによるロシア産ガスのトランジットが止まり、欧州により高値でLNGを輸出したいと思っているので、ウクライナの思惑は外れることになるだろう。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2019年8月号の中身を、どこよりも早くご紹介。今号では、「日ロ経済関係は仕切り直しへ」と題する特集をお届けしております。大阪でのG20関連と、ペテルブルグ国際経済フォーラムでの日ロ会合の模様を報告することを軸とした内容。過去数年の日本の対ロシア・アプローチは、経済協力の拡充により、領土問題解決および平和条約の締結に向けた環境を醸成するというものだったと思います。しかし、ここに来て、積年の懸案の解決のためには、より一層粘り強い取り組みが求められることが、浮き彫りとなってまいりました。「仕切り直しへ」というタイトルには、そのようなニュアンスを込めたつもりです。私自身は、今回は完全な脇役で、「ウクライナとベラルーシの鉄道トランジット輸送」、「2019プーチン・ホットライン」という記事を書いただけです。7月20日発行予定。


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 第10回スラブ・ユーラシア研究東アジア大会が、昨日6月29日と、本日30日の2日間、東京大学の本郷キャンパスで開催されている。上の動画は、開会式で松里公孝先生が挨拶をされている様子。

 私自身は、昨日29日のDifferentiation or Convergence? —Changes in Political Regimes in Post Soviet Countries in the Last Decadeというパネル(下の写真参照、写っているのは私ではないが)で、“Comparing Transport Strategies of Ukraine and Belarus as Transit Nations” と題する報告を行った。ウクライナとベラルーシはともにロシアとEU、東と西の狭間に位置し、その地理的条件を活かして東西を結ぶトランジット輸送を発達させる可能性を持っている。近年は、中国の一帯一路政策が始動したことで、より一層その可能性が広がっている。現実には、ベラルーシが一定の成功を収めているのに対し、ウクライナはロシアとの対立などでそのポテンシャルを活かせていない。この報告では、初歩的な統計の整理だけになってしまったが、そうした観点からウクライナとベラルーシの実情を比較した。

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 昨年の8月に、「今度は鉄道路線を廃止? どこまで続くウクライナ・ロシアの泥仕合」というコラムを発表した。そのあと、実際に両国間の鉄道路線がどうなったのかということがずっと気になっていたのだが、調べられずにいた。今般、鉄道だけでなく、航空、海運、バスも含め、両国間の交通路線がどうなっているのかについてまとめたこちらの記事を見付けたので、メモがてら書き留めておく。

 結論から言えば、ロシア・ウクライナ間の鉄道旅客輸送は、いまだに停止はされていないということである。ロシア鉄道の側は乗客の減少を理由に2014年12月にウクライナ領への乗り入れを停止したものの、ウクライナ鉄道およびモルドバ鉄道が引き続きウクライナ・ロシア間の列車を運行しているということだ。ウクライナ・インフラ省は再三にわたりロシア乗り入れ停止を唱えているものの、ロシア路線に収益を依存するウクライナ鉄道がそれに同意していないという構図らしい。また、ロシア・ウクライナ間の鉄道貨物輸送も保持されており、これは主としてウクライナ側がロシア産の石炭を輸入する必要によるものとのことである。ただし、両国とも相手国の主要鉄道輸送会社に制裁を課しており、それらの会社による自国向け輸送を禁止した状態にある。


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 目下当方、誰も興味のないような輸送部門の地味な研究に取り組んでいるところである。その一環として、ウクライナとベラルーシの鉄道貨物輸送の構造、趨勢を比較したこんなグラフを作成してみた。

 当方の目論見としては、「ウクライナとベラルーシは東西、ロシア・欧州の狭間に位置する国なので、鉄道輸送においても東西を結ぶトランジット輸送が重要な要素のはずである。しかし、ウクライナはロシアとの関係を悪化させ、その打撃で鉄道のトランジット輸送も低下しているのではないか。他方、ベラルーシは、以前からあったトランジット輸送に加え、近年脚光を浴びている中欧班列(中国と欧州を結ぶコンテナ貨物列車)の主たる輸送路になっているので、逆にトランジット輸送が増大しているのではないか」という事前の見立てがあった。

 実際に統計を集計してみると、グラフに見るように、ウクライナの鉄道トランジット輸送がここ数年で半分以下に落ちている事実は、確かに確認できた。それに対し、ベラルーシのトランジット輸送は、一貫して伸びているとはとても結論付けられず、これについては少々当てが外れた。

 これについての、私の解釈は次のようなものである。2018年にベラルーシ領を通過した中欧班列のコンテナは33.2万TEUだった。1TEU当たり10tくらいと考えると、332万tということになる。それに対し、ベラルーシの鉄道トランジット輸送は元々年間3,000万~5,000万tくらいあるので(重量×距離ベースの下図とは異なる)、中欧班列のコンテナが300万tくらいにまで拡大しても、数量的には、トランジット全体の1割くらいにしかならない。そもそも旧ソ連諸国の貨物輸送は、石炭、石油・石油製品、化学品、木材、金属、穀物といった重量のある商品が多く、コンテナが多少増えても、重量で見れば、全体に占める割合はわずかということになってしまうのだろう。

 ほとんど利益が出ていないはずの石炭輸送などと比べて、コンテナのトランジット輸送は高付加価値であり、収益という観点から言えば、ロシアやベラルーシの鉄道に多大な貢献をなしていると考えられる。しかし、ロシアやベラルーシは中欧班列のトランジット輸送による収入を発表していないようである。したがって、中欧班列の活況がトランジット国にどのような経済効果をもたらしているのかを定量的に把握するのは困難であるという結論になってしまった。

uaby

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uase

 一般の方々にとっては面白くもなんともないネタだが、個人的に今日は一日ずっとこんなデータを集計していた。ウクライナのサービス輸出のうち、最大の項目は輸送サービスであるが、では具体的にどの国・地域に輸送サービスを提供しているかをまとめたものである。

 グラフに見るとおり、昔も今も、ウクライナの輸送サービス輸出の約半分は、ロシアを対象としたものである。そして、ロシア向け輸送サービス輸出の大部分は、パイプライン輸送であり、これは石油も少しだけあるはずだが、ほぼ全面的に天然ガスのパイプライントランジット輸送による収入と考えられる。

 2014年以降、ウクライナとロシアの国家間関係が険悪化してにもかかわらず、ウクライナのロシア向け輸送サービス輸出はそれなりに持ち堪えていたことが分かる。しかし、それはロシア・ガスプロム社がやむなく欧州向けガス輸出ルートとしてウクライナを活用してきたからである。輸送契約は本年で切れることになっており、ウクライナの年間30億ドル規模の収入が現在存亡の危機に立っているわけである。ロシア:その他というのは、具体的には鉄道、自動車、海運、空運などであり、これらはウクライナ・ロシア関係の悪化をダイレクトに反映して、激減している。

 「欧州」というのは、EU諸国を中心に、その他の西欧・東欧諸国も加えたものである(CIS諸国は除外)。2014年以降、ウクライナはEU統合を前面に掲げているにもかかわらず、欧州向けの輸送サービス輸出も減っている。これは、ウクライナの欧州向け輸送サービス輸出は、そのほとんどが、欧州の貨物をロシア向けにトランジット輸送することによって成り立っているからだろう。つまり、ウクライナがロシアと正常な関係を築けなければ、ロシア向けだけでなく、欧州向けの輸送サービス輸出も減る一方ということである。


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bei

 こちらのニュースが、興味深い事実を伝えている。米国の地名評議会がこのほど、ウクライナの首都キエフの米国における正式な表記を、 "Kiev" から "Kyiv" へと変更したということである。つまり、従来のロシア語風の読み方の「キエフ」から、ウクライナ語風の読み方の「キーイウ」に変えたということだろう。

 日本でも、ウクライナ関係者の間では、ウクライナの地名・人名はウクライナ語風にカタカナに置き換えるべきだというコンセンサスがあるが、こと「キエフ」については日本でもある程度定着した読み方なのでそのままでいいのではないかという有力な意見があり、私が編集した『ウクライナを知るための65章』でもその方式で臨んだ。ただ、米国へ右へ倣えの日本国なので、今後日本での正式な呼び方も「キエフ」から「キーイウ」もしくは「キーウ」などへの変更が検討されるかもしれない。グルジアからジョージアに変更された時と同じように、もしもウクライナが国として日本に正式に要請してきたら、確実にそうなるだろう。まあ、私自身は、そうなった時は、それに倣うのみである。


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201907

 編集作業が終わったばかりの(文字通り、今終わった)『ロシアNIS調査月報』2019年7月号の中身を、どこよりも早くご紹介。今号では、小誌としては初めての試みとして、サービス貿易に焦点をあてた特集をお届けしております。もちろんこれまでも輸送や旅行といったサービスに関連した個別の記事はありましたが、サービス貿易という括りを前面に掲げた特集としては、これが初です。

 私自身は、特集の枠内では「ロシア・NIS諸国のサービス貿易を見る視点」、「ロシアのサービス輸出拡大目標」、「インバウンド観光促進を目指すロシア」を執筆、さながら一人特集のようになってしまいました。特集の枠外でも、「ウクライナのゼレンスキー劇場は第2幕へ」、「ロシア・サッカーの2018/19シーズン終了」、「キエフで堪能するクリミア・タタール料理」といったものを書いています。正直この号では楽をさせてもらおうかと思っていたのに、終わってみれば一人で50ページも書く羽目になり、なんでこんなことになったのか。6月20日発行予定。


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