ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ウクライナ

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 ウクライナの貿易データを整理していたら、重大なことに気付いた。2019年、中国が初めて、ウクライナの最大の貿易相手国に躍り出たのである。

 伝統的に、ウクライナ最大の貿易相手国は、ロシアであった。2014年の政変後は、ロシアとの貿易は急減したが、それでも2018年までは国単位で見ればロシアが最大の貿易パートナーである状態が続いていた。しかし、2019年になって、ついにそれに終止符が打たれた。同年には中国がウクライナの輸出入総額の11.5%を占め、9.2%のロシアを抜いて、トップに立ったのである。表に見るように、輸出入とも、中国が1位、ロシアが2位となっている。2019年には、ウクライナの対中国輸出が63.3%増、輸入が20.9%増であったのに対し、対ロシア輸出は11.2%減、輸入は13.6%減であり、その勢いの差が出た。

 ウクライナの愛国者の皆さんは、「不俱戴天の仇が最大の貿易相手国」という不名誉な状態が解消され、喜んでおられるだろうか。


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 ウクライナ統計局より、このほどようやく、2019年のGDP統計が発表された。2019年の名目GDPは3兆9,746億グリブナ。2019年の実質経済成長率は、3.2%となった。2018年が3.4%だったから、やや減速した形である。

 若干気になるのは、2019年第1~3四半期までは成長が見られたものの、第4四半期になってそれがストップしてしまったことである。すなわち、各四半期の成長率は(季節調整値の前期比)、第1四半期0.8%、第2四半期1.0%、第3四半期0.3%、第4四半期0.0%となっている。

 2019年には、家計による最終消費が11.9%、総固定資本形成が14.2%伸びており、これが成長の要因と考えられる。また、主な産業部門の成長率は、農林水産業1.3%、鉱業▲1.5%、製造業1.0%、建設業23.0%、商業3.6%、運輸3.5%、ホテル・外食7.1%、情報・通信7.5%などとなっている。


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 先日も書いたように、現在のウクライナの経済状態をどう見るかについては、意見が分かれている。そうした中、先日、フィナンシャルタイムズに、「Ukraine’s recovery is a headache for Putin」と題する記事が掲載され(読むのにはログインが必要)、ウクライナ経済が上向きであることが論じられた。だいぶ好意的な論調だが、影響力あるメディアの論評なので、以下でそれを抄訳しておく。

 ウクライナに関する否定的なニュースには事欠かないが、経済についてはその多くがポジティブな内容となりつつある。6年前の政変とロシアの介入により、ウクライナ経済は下降線を辿ってきたが、改革派のゼレンスキー大統領と議会に導かれてそこから抜け出そうとしており、向こう数年間で経済的離陸のチャンスが充分にあると考える専門家もいる。

 ウクライナは1月、12.5億ユーロの起債に成功したが、その利回りは4.37%で、1年前から半減している。2019年に通貨グリブナが17%切り上がった効果もあり、外貨準備は1月に2012年以来の水準にまで拡大した。公的債務も、2016年のGDP比81%から、51%にまで低下している。

 ポロシェンコ前大統領の時代に、その基礎は築かれていた。問題点もあったが、ポロシェンコ時代の歴代内閣は困難な課題に取り組み、その政治的な代償として選挙に敗れた。長らく補助金漬けだったガス価格を市場価格にまで値上げし、家計に苦しみを強いつつも、財政を改善した。中央銀行は、闇経済に染まり非効率だった銀行部門を健全化した。前政権時代に導入された汚職対策が、ようやく実を結ぼうとしている。

 ウクライナの労働移民の本国送金も、プラスに働いている。世銀によれば、ウクライナから500万人強が国外に働きに出ており(ポーランドだけで100万~200万に達する)、2018年のレミッタンスは144億ドルとなり、ヨーロッパ最大の受け手となっている。ただ、ウクライナ経済が回復し、2019年には実質賃金が10%ほど上昇したことから、ウクライナの労働移民は帰国し始めており、その結果として2019年の流入は120億ドルに低下したと見られる。

 ゼレンスキー氏が大統領に選出され、その公僕党が議会選で勝利したことから、改革関連法案が大量に可決され、国際社会は「急ぎすぎて質を犠牲にすることのないように」と釘を刺したほどである。中でも画期的なのは、長らく禁止されていた農地売買が10月に解禁されることであり、これにより農業・食品産業の生産性が高まることが期待されている。

 ただし、政治的なリスクも2つある。第1にオリガルヒが改革を骨抜きにすることである。中でもゼレンスキーの大統領就任を手助けしたコロモイスキーが、国有化されたプリヴァトバンクの奪還を目指しているのが不安材料である。これについては、かつてコロモイスキーの顧問弁護士だったボフダン大統領オフィス長官を、ゼレンスキーが2月に解任したことは良い兆候である。第2のリスクは最大のもので、クレムリンに由来する。ウクライナの成長率がロシアのそれよりも高いのは、プーチンにとって面白くない事態である。最近生じたドンバス情勢の激化は、ロシアが依然として行使できるテコの存在を改めて想起させた。


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 また随分読みにくい名前の人がウクライナの新首相になったものだ。ウクライナ語の綴りはДенис Шмигальなんだけど、Шを「シ」と読むのか「シュ」と読むのか、миを「ムィ」と読むのか「ミ」と読むのか(ウクライナ語のиはロシア語のыに対応)、гаを「ガ」と読むのか「ガー」と読むのか「ハ」と読むのか「ハー」と読むのか、льを「リ」と読むのか「ル」と読むのか? 組み合わせを計算すると、32通りあることになり、気が遠くなる。まあ、とりあえず個人的には、シミハリ新首相ということにしておこうか。

 そもそも、事の発端は、1月に「ウクライナの首相辞任騒ぎはどうにか収束」というエントリーでお伝えしたとおり、ホンチャルーク首相がゼレンスキー大統領の悪口を言っている音声が暴露され、両者の関係が気まずくなったことだ。しばらく前から、ホンチャルーク内閣の退陣に関する情報が取り沙汰され、結局3月4日の最高会議に諮られホンチャルーク内閣の退陣が決定、同日シミハリを新首相に承認、新内閣についても承認した、というわけである。

 新首相のシミハリ氏(上掲写真)は、1975年10月15日の生まれなので、44歳ということになる。生まれは西ウクライナのリヴィウということなのだが、非常に変わった苗字であり、民族的には何系なのだろうか? 経歴を見ると、民間企業(リヴィウ自動車工場など)で働いていたこともあれば、リヴィウ州行政府で働いていたこともあれば、NGOをやっていたこともあれば、最高会議議員に無所属で立候補したこともあり、掴みどころがない。では一貫して西ウクライナのリヴィウかというと、ここ2~3年はアフメトフ氏のDTEKで電力部門の要職を占めていたりもしていて、ますます意味不明である。ヤヌコーヴィチ政権時代にエリートとして取り立てられたという情報があるので、リヴィウとはいえ、バリバリのナショナリストということはないのだろう。最近になって、2019年8月1日にイヴァノフランキフスク州行政府議長、2020年2月4日に副首相兼社会・地域発展相と、頭角を現していたところだった。


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 ウクライナの現在の経済状況に関しては、評価が分かれているようなのだが、ここでは楽観論の方を紹介してみよう。こちらに見るとおり、Dragon Capitalという投資会社のトマシュ・フィアル社長が、2月上旬に開催された実業界の会議の席で、ウクライナ経済は過去20年でほぼ最良の状態にあると発言した由である。

 フィアル社長いわく、ウクライナの経済成長率は、2019年の3.2~3.3%から、2020年には4%へと加速する。インフレ率は、2019年が4.1%、2020年が5.2%となろう。ただ、2021年の経済成長率は3.7%に減速し、インフレは6.1%に高まる。年平均為替レートは、2019年の1ドル=25.8グリブナが、2020年には24グリブナとなる。グリブナ高の結果、ドル換算のGDPは、2015年には900億ドルだったが、2019年には1,500億ドルに、2020年には1,750億ドルになる(注:ちょっと計算が合わないような気がするが)。その効果で、国家債務の対GDP比は、80%から51%に低下しよう。ウクライナ経済にとってのリスクは、政府がIMFとの協力を打ち切る危険性と、国際商品価格、とりわけ金属と穀物のそれである。フィアル社長は以上のように述べた。


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 我が国にウクライナという国の「ファン」がどれくらいいらっしゃるかは分からないが、その酔狂たちのバイブルになりそうな本が出版された。平野高志『ウクライナ・ファンブック』(パブリブ、2020年)である。

 パブリブと言えば、最近世界のマニアックな地域に関する新感覚の書籍を、意欲的に出しているところである。本書、224頁とそれなりにボリュームもあり、全編カラー印刷なのに、価格は2,300円+税と、ずいぶん良心的なものになっている。

 ウクライナにお出向きになる際には、当方の編集した『ウクライナを知るための65章』とあわせて(笑)、本書『ウクライナ・ファンブック』もお手に取られると、予習バッチリであろう。


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202003

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2020年3月号の中身を、どこよりも早くご紹介。今号は、「ロシア・NIS電力業の諸様相」と題する特集号となっております。

 服部自身は、特集の枠内で「ユーラシア経済連合の共同電力市場」というミニ・レポートを、枠外では「2020年代のロシア・ユーラシア地域秩序を占う」(先日『経済速報』に掲載した拙稿を再録)、「メドヴェージェフ内閣からミシュスチン内閣へ」(中馬瑞貴との共同執筆)、「ウクライナで一人気を吐く農業」といったレポートを執筆。

 発行日は2月20日ですが、今回は若干お届けが遅れるかもしれません。ご容赦を。


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 こちらに見るとおり、ウクライナ統計局が2019年の同国の鉱工業生産実績を発表したので、軽くチェックしておく。

 2019年のウクライナの鉱工業生産は、前年比1.8%減となった。2018年は1.6%増だったから、ここに来て不振に陥ったことになる。2019年の鉱工業生産のうち、鉱業は前年比プラスマイナスゼロだったが、製造業が2.0%減と精彩を欠き、電力・ガス・水道業も4.1%減だった。機械部門の不振が色濃く、特に電気機械が19.9%減、自動車等が9.7%減だった。


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 この週末はウクライナの農業というテーマに取り組んでいるのだけれど、その関連でウクライナ統計局の統計データにもとづき、上掲のような図を作成してみた。

 ウクライナの農業生産は1990年代の落ち込みが激しかったので、現時点でようやくソ連末期の生産水準を回復しつつある段階である。近年の農業生産の伸びを牽引しているのが、農作物を生産する耕種農業であり、穀物および採油用種子がその中心だが、同部門は天候に左右されて年ごとの変動が大きいという特徴がある。一方、畜産は成長がほとんど見られない。

 私の計算によれば、体制転換前の1990年の生産水準を100とすると、2019年の農業生産は98.9で、30年近くかかってようやく社会主義時代の生産水準をほぼ回復した。うち、耕種農業が141.0、畜産が51.8と、完全に明暗が分かれている。これは、市場原理に沿って淘汰が進んだという評価もできるが、見方を変えれば、独立後のウクライナが高付加価値化に失敗したということでもある。


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 こちらのサイトが、ウクライナのEU向け農産物輸出、特に無税枠である関税割当の消化状況につき伝えている。

 EUがウクライナ向けに36の品目で関税割当を設定している中で、2019年12月24日現在、ウクライナは12の品目でその無税枠を使い切った。具体的には、はちみつ、砂糖、穀物のひきわりおよび粉、デンプンの加工品、加工トマト、ぶどう・りんごジュース、小麦、トウモロコシ、鶏肉、バター、穀物の加工品、デンプンの12品目となっている。

 一方、2018年には完全に紹介されていた麦芽・小麦グルテンの関税割当は、2019年には83%しか消化されなかった。逆に、2018年には砂糖の関税割当は58%しか利用されなかったが、2019年には輸出が伸び、完全に枠が消化された。

 なお、2017年10月からは、3年間の期限で、8つの品目に対する暫定的な追加割当が与えられている。具体的には、はちみつ、穀物のひきわりおよび粉、加工トマト、ぶどう・りんごジュース、オート、小麦、大麦、トウモロコシに対してである。それらの追加枠は2019年には、はちみつ、加工トマト、小麦、トウモロコシという4品目で完全に消化され、これは2018年と同様の状況であった。


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 昨日1月17日、「ウクライナのホンチャルーク首相が辞任」という第一報を目にした時には、「ロシア内閣の交代に加え、ウクライナのことも追わなくちゃならないのか」と思って絶望的な気持ちになった。ロシア外務省のザハロヴァ報道官が「(ロシアを追うように首相が辞任とは)さすがは兄弟国」などと皮肉ったりもしていた。しかし、結論から言えばゼレンスキー大統領が首相を慰留し、元の鞘に収まったようだ。上掲の動画が手打ちの面談なのだが、ゼレンスキーがやると何でもコントに見えてしまうところが、どうもいけない。

 こちらの記事にもとづいて一応経緯を整理しておくと、騒ぎの発端は、ホンチャルーク首相の発言を隠し録りしたとされる録音がネットに流出し、その中で首相が「ゼレンスキーは経済の動きをプリミティブにしか理解していない」などと発言していた(下のYouTubeを参照)。これがスキャンダルとなり、ホンチャルーク首相は1月17日に大統領に辞表を提出、しかし大統領はそれを受理せず、ホンチャルーク内閣に仕事を続けるよう指示。これを受けホンチャルーク首相も、「我々は、与えられた責任の重さを認識し、与えられた課題をすべて実行し、我が国における体系的な変革を強化していく用意がある」と表明。どうにか、元の鞘に収まった、という経緯だった。なお、ゼレンスキー大統領は、くだんの録音の流出経路を2週間以内に調査し、同様のことが今後起きないよう指示した。


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 こちらの記事など各メディアが伝えているとおり、ウクライナのナフトガス社とロシアのガスプロム社は12月31日、年末で期限の切れた契約に代わる新たな5ヵ年の天然ガス・トランジット輸送に関する契約に調印した。輸送量は、2020年が650億立米以上、2020~2024年が400億立米以上となる(なお2019年は890億~900億立米だった)。料金は明らかにされていないが、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は5年間の総収入が70億ドル以上としており、ナフトガスのヴィトレンコ氏は5年間で72億ドル以上の収入が保証されていると述べていることから見ると、料金は現状とほぼ同じの1,000立米当たり32ドル程度と見られる。両社はまた、ガスプロムがストックホルム仲裁裁判所の裁定による29億ドルをウクライナ側に支払い(29億ドルはすでに年内に支払済み)、双方がそれ以外の訴えをすべて取り下げることでも合意した。ロシア側はウクライナに対する支払義務を認めようとせず、ウクライナがこれを取り下げることがトランジット契約延長の条件としていたが、12月19日にプーチン大統領が恒例の大規模記者会見で、「政治的なものとはいえ、裁判所の裁定が出ている以上は、それに立脚せざるをえない」と発言していた。

 さて、今回両国が「ガス戦争」には至らず、歩み寄った背景につき、こちらの記事の中で論じられているので、骨子を以下のとおり整理しておく。

 前回のトランジット契約が結ばれた2009年には、ガス戦争の状況下で、ロシアが有利な契約を取り付けることができた。当時は、欧州の需要家がガス戦争への準備ができておらず、特に冬季だったこともあって、なるべく迅速に新たなトランジット契約に調印するよう、ウクライナに圧力をかけた経緯があった。しかし、現在は状況が大いに異なる。

 第1に、現在はウクライナを迂回するノルドストリーム1が稼働しており、これによりウクライナのトランジット国としての立場が弱くなったと一般的には言われている。しかし、ノルドのお陰で供給が全面的に途絶することはないので、欧州からウクライナへの圧力が弱まるという、別の側面もある。

 第2に、ロシア産ガスの需要家たちは、2009年の教訓にもとづき、状況が悪化した場合に備えていた。EUのガス貯蔵施設は9月15日の時点で95%も満たされており、ウクライナの貯蔵施設も同様だった。

 第3に、ガスプロムは、欧州需要家がガス戦争にも備えガス供給源の多角化を目指し、米国のシェールガスとの競争が激化する中で、欧州の需要家の評判を良くしたかった。

 ノルドストリーム2が完成すれば、より本格的なウクライナ迂回が可能になり、これがロシアの立場を強める要因になるはずだった。ところが、ノルド2は2020年1月1日までに完成が間に合わなかった。コザク副首相が述べたところによれば、ノルド2の稼働は2020年中頃になるという。こうしたことから、ガス交渉で、ロシアが短期の1年契約を主張したのに対し、ウクライナ側は長期の契約を望んだ。

 攻防はぎりぎりまで続いたが、12月21日に米国による制裁を懸念した欧州のオールシーズ社がパイプライン敷設作業を停止した。ノルド2の建設には他にもイタリアのサイペン社、ロシアのメジレギオントルボプロヴォドストロイ社も参加しているが、最も長い延長のパイプを敷設していたのはオールシーズ社の3船だった。オールシーズ社は米国でもビジネスを展開しているので、今後ノルド2の作業には復帰しないことも考えられる。年末の時点で残っていたのは第1列47km、第2列70kmの工事だった。

 将来的なことについては、ロシア側は同じ条件で2025~2034年の契約を結ぶこともありうるとしているが、これはだいぶ先の話であり、ジェスチャーにすぎない。ウクライナ側は10年契約を主張しているが、そのためにはガス輸送システムを近代化するための投資誘致が必須であり、ウクライナにはそれは不可能だろう。

 一連の交渉の過程では、ロシアからウクライナに直接ガスを供給する問題も話し合われた。その場合の価格は、欧州ハブ価格(NCG)にもとづき、供給量を考慮した値引きを適用したものになる。結局、協定のパッケージには直接供給は盛り込まれず、この問題は年始休暇後に再度交渉することになった。

 ただし、12月22日の時点で、すでにウクライナ民間企業5社が1月1日からの供給につきガスプロムと契約を交わしたことが明らかになっている(会社の具体名は不明)。ポロシェンコ前大統領は、そうした契約は商業的ではなく政治的だとして、それらのウクライナ企業に制裁措置を課すことを提唱している。


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 昨日のエントリー「ノルマンディー4者会談に臨んだゼレンスキーの思惑」でまとめたように、12月9日のノルマンディー方式のウ露仏独首脳会談に出向いたゼレンスキー・ウクライナ大統領には、11月に支持率の数字が低下していたという焦りがあったという見方がある。

 そこで、こちらに出ているウクライナの「レイティング」という機関が実施した最新の世論調査の数字を参照してみることにした。最新の調査は12月13~17日に行われており、つまりはノルマンディー会談の結果を受けた数字ということになる。上の画像に見るとおり、国民のゼレンスキー支持率は最新の調査で持ち直しており、ゼ大統領としては上手く立ち回ったと言えそうだ。

 この設問は、「貴方はウクライナ大統領の仕事をどう評価するか?」というものである。満足しているという回答者は、前回調査の53%から、今回の62%へと回復した(不満足は33%から25%へ)。

 別の設問で、「貴方はゼレンスキーを信頼しますか?」というのもあり、その回答状況を整理したのが下図になる。濃い緑が完全に信頼、薄い緑がどちらかと言うと信頼、白が回答困難、紫がそんな人物は知らない、薄い赤がどちらかと言うと信頼しない、濃い赤がまったく信頼しない、となっている。上掲グラフと概ね同じ傾向となっている。

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 ロシアの『エクスペルト』誌(2019年12月16-22日号、No.51)が、12月9日のノルマンディー方式のウ露仏独首脳会談の結果についての論評記事を掲載している(A.スミルノフ氏署名)。その中から、ウクライナのゼレンスキー大統領の思惑について述べた箇所を中心に、以下で要旨をまとめておく。

 パリにやって来たのは、「公僕」ではなく、反ロシアレトリックに満ち溢れた「ニュー・ポロシェンコ」だった。会談でゼレンスキーは、前任者が結んだミンスク合意を順守することを認めざるをえなかったが、帰国後に、合意されたコミュニケのウクライナ語訳に変更を加え、またミンスク合意を修正していく意欲を示した。

 ゼレンスキーはノルマンディー会合に、米・英を加えることを求めている。仏・独がロシア寄りであると考え、米・英が加わればよりウクライナの立場が強化されるという期待に加えて、国内での政敵を牽制する思惑もある。

 ゼレンスキーという政治家の特質は、八方美人なことである。芸人の性なのか、皆に好かれようとし、両立できないような約束をしてしまうことは、米国の民主党、共和党に矛盾した約束をしたことからも明らかである。

 国民のゼレンスキーに対する支持率は、秋口までは高かったが、11月の調査で52%にまで急減した。また、約半分の国民が、いまだにホンチャルーク首相の存在を認識していない。

 ウクライナの成長率は4%で、先進国なら充分だが、ウクライナにとっては不充分である。ゼレンスキーは大胆な改革には踏み切れず、それでいて個人事業主向けのキャッシュレジスターを導入させるなど、締め付けを強めている。労働力の国外流出は続いており、2019年1~10月の国外から本国への送金額は前年同期比7%増の97億ドルに達した。

 ウクライナの公的対外債務は、上図のとおり推移している。現在のところ、IMFの融資と、米欧の支援、外資によるウクライナ国債の購入で、資金繰りに問題は生じていない。ウクライナは国債の外貨建て利回りを9%から4%に、グリブナ建てを17~19%から12~13%に引き下げることができた。これにより、債務の借り換えや財政赤字の補填が可能になっているが、ウクライナ経済の非効率という根本問題は解決しない。外貨の流入により2019年にはグリブナの対ドル・レートが20%上昇し、輸入および貿易赤字が拡大した。

 支持率が急落したことを受け、ゼレンスキーは光熱費を引き下げることを閣僚らと討議する動画を公開した。ホンチャルーク首相は、法律の制約がありこの冬は無理だが、次の冬には引き下げる可能性が生じると発言した。

 汚職対策でも、進展はない。ゼレンスキーは、前政権の関係者による汚職のうち、最も重大なものについての調査を徹底すると述べていたが、誰も罪には問われていない。それのみならず、大多数の汚職スキームを現政権の関係者が引き継いでいるという疑惑も生じている。オリガルヒとの関係にしても、ゼレンスキーはすべての大物との良好な関係をすぐに築き、誰も罪に問われたりしていない。

 ミンスクでの3者コンタクトグループでウクライナを代表しているクチマ氏はこの夏、ドネツクおよびルハンスク人民共和国との通商封鎖を解く可能性に言及した。しかし、ゼレンスキー大統領のミンスクでの代表者がそれを軌道修正し、両人民共和国で国有化された資産が元の所有者に返還されることを要求した。国有化の対象になったのが主にアフメトフ氏の企業だったことを考えれば、この方針転換を主導したのはアフメトフだったと考えることができる。

 結局のところ、ゼレンスキーは、落ち込んだ支持率を立て直すには、ドンバス和平交渉しかないと決断したのだろう。ただ、オリンピックの「参加することに意義がある」と同様に、ゼレンスキーもこの交渉で勝とうとしているのではない。ゼレンスキーとその側近たちにとって、広範な自治をドンバスに与えるというミンスク合意は、完全な履行ができないものである。それを受け入れれば、社会的支出とインフラ再建でウクライナ財政に多大な負担が生じ、その一方でキエフ中央政府がコントロールできない資金の流れが生じる。そこで、ゼレンスキーとしては、たとえ長引いたとしても、ドンバスに対する全面的支配を取り戻すことを目指し、そのために時間を稼ぐことにしたのだ。あるいは、ゼレンスキーは米国で政権交代が起きるのを待って、より支援を当てにできそうな民主党政権に期待しているのかもしれない。


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 こちらの記事によると、2019年12月18日付のウクライナ政府決定により、従来のようにウクライナ国民が国内パスポートでロシアに行くことはできなくなり、2020年3月1日からロシアに行くためには国際パスポートの携行が義務付けられるということである。

 ウクライナのクリムキン前外相によれば、2018年にロシアに出稼ぎに出たウクライナ国民は300万人に上るということであり、彼らはまさに国内パスポートでロシアに向かっていた。2019年1~6月にロシアからウクライナになされた個人送金は5億ドルに上った。2年前にEUとのビザなし協定が発効した際に国際パスポートの取得ラッシュが起きたが、その再現が起きるかもしれない。

 ただ、全ウクライナ国際就労企業協会では、調査機関レイティングの2017年の調査結果を根拠に(上掲の図参照)、現在ロシアで働くことを希望するウクライナ国民は6%しかいないと指摘している。


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 こちらこちらこちらなど各メディアで報じられているように、ロシア・ウクライナ・欧州委員会の3者は12月20日、懸案となっていたウクライナ領を通じてロシア産ガスを欧州市場にトランジット輸送する問題に関し、合意に達した。ロシアとウクライナは、輸送問題および債務問題の合意に関するプロトコールに調印した。

 2018年2月末にストックホルム仲裁裁判所が下した判決により、ロシア側のガスプロム社はウクライナ側のナフトガス社に25.6億ドルを支払う義務を負っており、金利を含んだ額は30億ドルに達している。ナフトガスはガスプロムの在外資産を差し押さえる動きをちらつかせつつ、債務額に相当する天然ガスの供給を現物支給で受ける交渉に応じる用意があるとしていた経緯がある。

 今回の合意の詳細については、12日にウクライナ・エネルギー相が会見を開いて明らかにするという。

 こちらの記事によれば、ナフトガスのコボレフ社長は、ロシア側が欧州原則にもとづくウクライナ・トランジットの長期契約に応じたのは、米国がノルドストリーム2に制裁を発動する動きを受けたものであると指摘した。


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 引き続き、12月9日にパリで開かれた「ノルマンディー方式」による首脳会談につき、こちらのサイトから、V.ミロネンコ氏(ロシア科学アカデミー・ヨーロッパ研究所ウクライナ研究センター長)のコメント要旨を紹介する。

 ロシア側は、すべては問題なく進んでおり、我が方は何も変えるつもりはなく、ボールはウクライナ側にあるという立場をとった。それに対しウクライナ側は、もはや社会的なチェルノブイリの様相を呈しているドンバスの数百万住民の境遇を何とか改善したいという立場だった。周知のとおり、ドンバスからは250万人がウクライナ本土やロシアに逃れ、残された250万住民の境遇は、年金もなく親類と連絡がとれないなど、厳しいものとなっている。

 フランス人は格好良いポーズをとるのが好きであり、マクロンは欧州の諸問題、安全保障でのリーダーになろうとしていることが見て取れた。一方、メルケルは疲れているように思える。過去数年この紛争でメルケルは的確かつ実利的な立場をとってきたが、ロシア抜きではこの問題は解決できないということを悟り、かといって原則は曲げられないというジレンマがある。

 会談の成果については、はたから見ると、ロシアが勝ったかのように思える。ロシアの政府寄りマスコミは、ウクライナが「シュタインマイヤー・フォーマット」(ドイツ大統領がミンスク合意の実現順序について行った提案)を受け入れ、ミンスク合意が再確認されたと強調している。それだけをとれば、ミンスク合意を具体化するお墨付きが得られ、ロシアの勝利であるようにも思える。

 しかし、より広い視野で見れば、勝ったのはウクライナであり、ロシアは敗者である。ロシアのある政治家は、「お嬢さん(ウクライナ)を幻想から目覚めさせてあげなければならない」と述べていたが、実際に起きたのはまさにそれだった。そして、幻想から目覚めたのは、ウクライナだけでなく、欧州も同じである。このプロセスを注視していた皆が、交渉で何かを成し遂げようとしているのがどちらか、逆にすべて現状のままにしておこうとしているのはどちらかを目の当たりにした。ウクライナ側の若手政治家たちは、もしかしたら本当に、ロシアの路線はウクライナのみならずロシアの国益にも反している(人命、制裁、発展のブレーキ等々)のだということをプーチンおよびロシア指導部に説得できると考えていたのかもしれないが、帰途に就く時にはその試みが無益だということを悟っていた。

 形式的には、両国は停戦、捕虜の交換といった些事について合意し、4ヵ月後に再会すると約したかもしれない。しかし、全体に照らしてみれば、残念ながら、ウクライナがドンバス住民を助けることはできず、せいぜい年金の支払いくらいであり、ドンバスは衰退を続けるだろう。

 ということは、ウクライナとしては自国の問題に集中し、腐敗対策、経済発展、欧州統合の加速を進めるしかない。残念ながら、ウクライナにとっては、NATOのドアをたたくことしか、自国の安全保障を確保する道はない。


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 引き続き、12月9日にパリで開かれた「ノルマンディー方式」による首脳会談につき、こちらのサイトから、今回はYe.ガルキナという有識者のコメント要旨を紹介する。

 会談の前には、ウクライナのゼレンスキー大統領の立場が非常に悪いというイメージがあった。マクロン仏大統領はロシアとの戦略的対話の必要を説いていたし、ドイツはノルドストリームを許容した。プーチンにはゼレンスキーに圧力を行使するチャンスが大きいと思われた。しかし、サミットが近付いていたタイミングで、フランス領アルプスにおけるロシア連邦軍参謀本部情報総局の拠点問題のスキャンダル、ベルリンでのロシア人によるジョージア人殺害(ドイツは犯人はロシアの連邦保安局の工作員だと見ている)が起きた。これらが明るみに出たことで、プーチンのサミットにおける立場は当初予想されていたよりも悪化した。

 パリでの会談は、全体としてウクライナにとって有利に進んだ。ゼレンスキーにとっては、捕虜の全面的な交換で合意し、完全な停戦が取り付けられれば成功だったが、それを達成した。また、首脳会談の前、ウクライナ国民は心配していたが、それに関し交渉においてゼレンスキーが明確な線引きをしたことも、成功だった。第1に、ゼレンスキーは、ウクライナは一体的な(つまり連邦制でない)国家であると明言し、その立場を譲らなかった。第2に、ゼレンスキーは、誰もウクライナに政治的な進路を指図することはできないという立場を示した。つまり、ウクライナの方向性を決めるのは国民自身ということである。ウクライナが、領土保全の見返りとして、EUやNATO加盟を諦めると、誰かに対して約束したりしないことが明らかになった。第3に、ゼレンスキーは領土面での譲歩を一切行わないということである。たとえば、ドンバスを得る代わりにクリミアを手放すといったことは拒否した。

 ロシアおよびロシア国民にとっても、パリサミットの結果はポジティブと評価しうる。というのも、ロシア国民はウクライナとの戦争を望んでいないし、クレムリンの周辺諸国に対するアグレッシブな政策は国民の利益にならないからである。一方、ロシアの指導部に関して言うと、もしも指導部がウクライナへの攻撃を望んでいるのなら、パリサミットは成功だったとは言いがたい。ゼレンスキーは何も譲歩せず、和平には関心を持っているが、ウクライナの主権・国家性を犠牲にするつもりはないという立場を示したからである。


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 周知のとおり、12月9日にパリでいわゆる「ノルマンディー方式」による首脳会談が行われた。ドンバス紛争の解決などをめぐり、プーチン・ロシア大統領、ゼレンスキー・ウクライナ大統領、マクロン仏大統領、メルケル独首相の4者が会談に臨んだものである。

 だいぶ遅れ馳せであるが、この首脳会談の結果につき、こちらのサイトでロシアの3人の有識者がコメントを寄せている。その中から、政治工学センターのA.マカルキン氏のコメント要旨を以下のとおり整理しておく。余力があれば他の人も追って紹介したい。

 今回の会談では、勝者も敗者もいなかった。拘束力のある文書は、一つも結ばれず、意図の宣言がなされただけで、ロシア・ウクライナ双方にとって利益となる捕虜の解放を約束しあっただけだった。恩赦、国境管理、選挙などについては今後さらに精査することとなり、これは長くうんざりするようなプロセスである。原則的な解決は今のところなされていない。

 今回の会談の肝心な点は、長い中断の後に、首脳レベルのノルマンティー・プロセスが再開したということだろう。今後における焦点は、ロシアが西側との関係につきどのような決定を下すかである。クレムリンには地政学的な野心があり、それに多大な資源が傾注されており、特にウクライナについてである。これが起きてから、もう6年になり、「これからどうするのか」ということが問われている。なぜなら、2014~2015年の「ノヴォロシア・プロジェクト」の本質は、ロシアの影響下にないウクライナの政権の承認は拒むというものだからである。この路線を続けるのか、それともそれを見直して、ロシアの影響外にあるウクライナという既成事実を認め、それにもとづいて西側との合意を図るかかという問題である。


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 体調が悪いので今日は簡単なネタだけで。こちらに、欧州諸国の軍事費の対GDP比(2018年の数字)を比較した図が出ていたので、ロシア・ユーラシア諸国の数字をチェックしてみたいと思う。

 この中で、一番軍事費の比率が高いのがアルメニアであり、4.8%に及んでいる。やはり、ナゴルノカラバフ紛争を経て、アゼルバイジャンとの軍事的対峙が続いているので、それが表れたものであろう。敵対するアゼルバイジャンの側も3.8%と高い。西欧や中東欧諸国では1~2%程度のところが多いのに対し、経済水準の劣るロシアは3.9%であり、不相応に重い軍事支出を負担している形である。ウクライナは、もともとはずっと低かったはずだが、2014年の危機以降、ポロシェンコ政権の下で軍事支出を拡大し、3.8%というロシアに迫る数字となっている。これといった軍事的な敵もなく紛争も抱えていないベラルーシやカザフスタンの数字の低さは素晴らしい。


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 こちらの記事によると、ロシアのトランスネフチ社と、ウクライナのウクルトランスナフタ社は12月3日、ウクライナ領を通じて石油をトランジット輸送する契約を10年間延長することで合意した。両社が既存の契約への追加契約に調印したものであり、これにより契約は2029年末まで有効となった。両社の協力関係の基本点は変わらないが、新たな合意にはこの地域における石油輸送サービスの変化を考慮した条項の修正も盛り込まれている。なお、2019年1~10月の実績で、ウクルトランスナフタは欧州およびウクライナの需要家のために1,261万tの石油を輸送しており、うちトランジットが1,064万tだった。

 焦点になっている天然ガスの話かと思ったら、石油だった。朗報なのではないだろうか。こうやって、両国の利益の一致するところから少しずつでも関係を広げていった方が、結局は両国の戦略的利益にも適うというのが、私の見解である。


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 2019年のバカンスシーズンも終わったところだが、こちらの記事によると、今年初めから現時点までにクリミアを訪れた観光・保養客は687万人に達し、これは前年同期を10%上回っているという。なお、2018年には通年で680万人で、ソ連崩壊後の最高記録だった。

 ロシアの地域別では、モスクワ市、モスクワ州、サンクトペテルブルグ市、沿ヴォルガ管区、ウラル管区の市民が、数多くクリミアを訪れている。最も客数が多い航空便はモスクワ~シンフェロポリである。

 外国人では、ウクライナ人が一番多く、本年103.5万人がクリミアで休暇を過ごしている。以下、ベラルーシ人、カザフ人、ドイツ人と続く(ドイツではクリミアへの渡航禁止とかないのだろうか?)。

 年末年始の休暇をクリミアで過ごすのも人気であり、現時点で宿泊施設はすでに70%予約で埋まっているという。


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 こちらに見るように、国際的に有力な調査機関のGfKはこのほど、欧州42ヵ国の国民の購買力を調査し、その結果概要を発表した。

 その結果、東西ヨーロッパ全体の1人当たり年間平均購買力は、14,739ユーロとなった。最も購買力が高いのはリヒテンシュタインの67,550ユーロで、以下スイス42,067ユーロ、ルクセンブルク35,096ユーロと続いている。上位グループは上掲の画像のとおりである。

 そして、ヨーロッパで最も購買力が低いのは、ウクライナの1,830ユーロだった。それに加え、モルドバ、コソボが、ワースト3だという。ただし、ウクライナの数字こそ出ているものの、残念ながら下位グループの具体的なデータはプレスリリースには掲載されておらず、重要国のロシアの数字もこれを見る限り未発表となっている。


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 こちらの記事が、ウクライナ・ロシア間の交通の問題について伝えている。ウクライナのV.クリクリー・インフラ相が現地紙のインタビューで語った内容である。

 クリクリー・インフラ相によると、ウクライナとしては2015年以来途絶えているウクライナ・ロシア間の航空直行便を再開する意向はない。ロシアは侵略国のままであり、ウクライナとしてはマレーシア航空機撃墜事件の二の舞は避けなければならない。ロシアの対ウクライナ政策を考えれば、ロシアとの航空路線の再開はまったく論外である。

 クリクリー・インフラ相によると、その一方で、ウクライナとしてはロシアとの鉄道路線を閉鎖するつもりはない。これはまったく別問題である。政治的な観点から言えば再び鉄道を閉鎖することも考えられる。しかし、2019年1~8月の鉄道貨物トランジット収入(訳注:ウクライナの鉄道がロシア←→第三国の貨物をトランジット輸送しているという意味だと思う)は35億グリブナ(1.5億ドル)に上っているのである。また、鉄道旅客輸送の面では、ウクライナ鉄道にとってロシア路線は数少ない黒字路線である(2019年1~5月にはキエフ~モスクワ便は1.2億グリブナ=450万ドルの利益をもたらし、国内路線の最も収益性の高い5路線の合計より上だった)。何らかの理由でロシアに渡らなければならないウクライナ市民はいるわけで、鉄道のロシア路線を廃止したら彼らにとっての障害を増やしてしまうだけで、彼らはたとえばベラルーシ経由での渡航を余儀なくされよう。また、もしもウクライナが第三国からロシアへの貨物トランジットを閉鎖したら、それはWTO違反になってしまう。大臣は以上のように述べた。


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 こちらの記事によると、ロシアは、国策企業の「合同エンジン・コーポレーション(ODK)」の尽力により、従来ウクライナから供給を受けていた軍艦用エンジンの国産化に成功したということである。ODKのYu.シモチン主任設計士がRIAノーヴォスチ通信に語った。

 シモチン主任設計士によると、ODKはロシア国防省から、8,000~25,000馬力のガスタービンエンジンをロシア海軍用に開発する発注を受け、M70というエンジンシリーズの開発にこぎ着け、その任務を遂行した。

 経緯を記すと、2014年にロシアとウクライナの軍需協力が途絶したあと、ロシアは軍艦向けガスタービンエンジン調達の問題に直面し、たとえば黒海艦隊向けのフリゲート艦の建造が中止に追い込まれたりした。これを受け、ルィビンスクのODKサターン工場で国産ガスタービンエンジンの生産に着手する決定がなされた。2014~2017年にサターン工場で実験・設計作業が行われ、無事開発にこぎ着けた。


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 個人的なことながら、当方、本日から2週間ほどロシア出張です。いつも申し上げることながら、このブログが入居しているライブドアブログは、ロシアではなぜかアクセス禁止であり、ブログの管理画面にもアクセスできないので、更新が不能となる。一応、奥の手を使って更新を続ける予定ではあるけれど、もしも更新が滞ったら、そのような事情によるものなので、ご容赦いただきたい。

 さて、GLOBE+に、「ゼレンスキー・ウクライナ新大統領が仕掛けた電撃戦」を寄稿しました。

 ゼレンスキー大統領率いるウクライナの新体制成立の過程を眺めていて、特徴的だと思ったのが、同政権が短期決戦志向と言おうか、非常に「急いでいる」ということです。今回のコラムでは、そのあたりを論じてみました。


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 こちらの記事などが伝えているとおり、ロシア・ウクライナ・欧州委員会の三者が、9月19日にブリュッセルにおいて、天然ガスの供給とトランジットに関する交渉を行うことが明らかになった。マロシュ・シェフチョヴィチ欧州委員会副委員長兼エネルギー同盟担当委員が、当該の情報を確認した。

 シェフチョヴィチは自らのツイッターで、「私は交渉の進展が、冬季を前に、市場と需要家にポジティブなシグナルを送ることになると確信している」とコメントした。ウクライナのN.ボイコ・エネルギー次官も、9月19日交渉実施の事実を確認している。ウクライナ側からは、O.オルジェリ・エネルギー相、A.コボレフ・ナフトガス社長が交渉に参加することになる。ロシア・エネルギー省はまだコメントを出していない。


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 ウクライナ大統領選特報:延長戦(No.28、2019年9月2日)を配信しました。昨年12月から続けてきた動画シリーズも、ついに最終回となりました。

 新たに選出された最高会議(議会)が8月29日に初招集され、同日、ホンチャルーク(ゴンチャルーク)首相率いる新内閣が発足。首相がウクライナ史上最も若い35歳であるだけでなく、内閣の平均年齢も39歳で、フレッシュな顔触れの内閣が誕生しました。

 専門家の間では、「ゼレンスキーは、自分だけに依存するような人物を首相に据えたかった」、「ホンチャルークは政治的というよりも技術的な首相である」といった指摘が目立ちます。政策的には、親欧米路線、新自由主義的な路線を採ると見られています。

 恐らく、今回の政権交代劇は、独立ウクライナ史上、最も深甚な政治体制の刷新でしょう。しかし、ウクライナの改革・再建がきわめて困難な事業であることに変わりはなく、ゼレンスキー政権の前途は多難なものになると予想せざるをえません。


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 こちらの記事などが伝えるように、新たに選出されたウクライナの国会、最高会議は8月29日に初招集され、ゼレンスキー大統領率いる公僕党が提案したオレクシー・ホンチャルーク(ゴンチャルーク)氏を首相に承認した。290の賛成で可決された。

 ゼレンスキーは事前に、実績のあるエコノミストを首相に起用したいというようなことを述べていたので、どちらかというと法律専門で知名度もやや劣るホンチャルークの起用は、少々意外だったかもしれない。ビジネス環境を重視した人選だろうか。


 オレクシー・ホンチャルーク氏は、1985年7月7日生まれの35歳。出身地は不明であり(ヴィンニツャ州との説あり)、チェルニーヒフの学校を卒業したことは知られている。大学で法学を専攻し、民間企業で法務関係の仕事をした。2009年に被害投資家救済協会のトップに就任。第一ウクライナ工業投資会社の副社長を務める。2015年に「効率的管理オフィス(BRDO)」のトップに就任し、2019年5月まで務めた(BRDOはEUの支援で創設された分析センター)。2013年に仲間とともに「人々の力」党を創設し、2014年に議会選を前にA.サドヴィーの自助党と合併交渉を行ったが、自助党による吸収合併を主張したサドヴィーと折り合わず、「人々の力」は議会選に独自に打って出て0.1%の得票に終わった。この間、ゴンチャルークはI.シェフチェンコ環境・天然資源相の顧問を務める。2014年にはS.クビフ第一副首相・経済相の顧問。2019年5月28日にゼレンスキー新大統領の下で大統領オフィス副長官に任命されていた。

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moto

 これは結構ビックリなニュースだ。ウクライナ南東部のザポリージャに、モトル・シチというエンジンメーカーがある。ロシアの軍用ヘリに搭載されるエンジンも生産している名門企業で、現在ロシアは必死に同社への依存脱却を図っているところだ。それで、こちらの記事によると、そのモトル・シチの株式の50%超を、中国のSkyrizon社およびXinwei Groupが買収したということである。モトル・シチの広報担当重役が明らかにした。現在、ウクライナ独禁庁の許可を待っているところだという。

 それで、この話には、宇・中・露だけでなく、米もかかわってくるのである。上掲の記事によると、米トランプ政権のボルトン補佐官が中国企業による買収を安全保障上の脅威と受け止め、水面下でその阻止に動いているということである。ちなみに、モトル・シチに関しては2年前にも中国系の投資家による50%超の買収話が持ち上がり、その時にはウクライナ保安庁が株式を差し押さえて取引が中止になったという。


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