ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

カテゴリ: ウクライナ

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 ロシア・ウクライナ戦争勃発後、我が国で刊行された関連本の中で、最大の話題作と言っていいのが、松里公孝著『ウクライナ動乱:ソ連解体から露ウ戦争まで』(ちくま新書1739, 2023年, 512 ページ)ではないでしょうか。このほど私がその書評を執筆し、最新の『ロシア・東欧研究』に掲載されました。こちらから無料で閲覧可能ですので、よかったらどうぞ。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年6月号のご案内。毎年5月号がロシア総論特集となっているのに対し、6月号はロシア以外のNISの特集。今回は、「脱・ロシア依存に向かうNIS経済」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 服部は、特集の枠内で「経済の脱ロシア依存を進めるモルドバ」という調査レポートを書き、「ウクライナのレミッタンス受入に生じている変調」という連載記事も。特集の枠外では、「ロシア農業の現場からの声」を執筆。

 今号は、表紙の写真も服部によるもので、4月のモルドバ出張で撮影してきた製菓会社ブクレアの直営店の風景です。


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 こちらの記事によると、ウクライナのH.ハルシチェンコ・エネルギー相は5日、再生可能エネルギーも、ウクライナがブラックアウトを回避する上で貢献しうると発言した。大臣によれば、太陽光および風力発電は、地理的・気象的条件により冬季はかなり限界があるのに対し、春・夏には電力供給源として機能する。したがって現状では電力バランスの上で助けになっていると、大臣は述べた。

 上図は、別の用事があって私が作ったグラフだが、侵攻前の状況で、太陽光が全体の4.5%、風力が2.4%だった(大臣の発言によれば、春・夏はこの比率がもっと高まるのだろう)。ウクライナ電力システムの救いにはならないが、助けにはなるといったところか。言い換えれば、主力ではなかった太陽光・風力に期待せざるをえないほど、火力がだいぶやられてしまったということだろう。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年5月号のご案内。毎年5月号はロシアに関する総論的な特集と決まっており、今回は「激動の中のロシア経済と社会」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 服部自身は今回は連載記事として、「プーチン5期目の目玉政策に浮上した高速鉄道整備」、「ウクライナの国外避難民に生じている変化」という短めの記事を書きました。


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 ちょっと用事があって、世銀のデータベースを眺めていたら、ドキっとした。ウクライナの総人口が、わずか3,800万人とされていたのである。ウクライナは独立後、一貫して人口を減少させていたわけだが、さすがに4,000万人の大台を割り込んだ数字を見るのは初めてだった。

 当然、それをもたらしたのは、戦争に他ならない。上図に見るとおり、2022年にガクっと減っている。一番大きい要因は、現状で600万人以上の国民が外国に避難していることだろう。なので、戦争が終わり避難民が帰国すれば、ウクライナの人口もある程度回復することは期待できる。

 旧ソ連で、最大国のロシア以外で、人口の多い国と言えば、ウクライナとウズベキスタンだった。ウクライナとは対照的に、ウズベキスタンでは人口増加が続いている。ウクライナの戦争、避難生活、領土の行方はまだ見通せないものの、場合によっては、ウクライナとウズベキスタンの総人口が逆転するような日が遠からず訪れるかもしれない。


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 こちらのページに見るとおり、IMFが2024年4月版の世界経済見通しを発表した。その中から、私の関係国であるロシア・NIS諸国のGDP成長率の数字を抜き出し、上表のように整理してみた。

 ロシアに関しては、IMFによる今年1月の予測では2024年が2.6%成長とされていたのだが、今回の予測で3.2%へと上方修正された。2025年についても1.1%から1.8%へと上方修正された。IMFはロシア経済に関してはすっかり藪医者と化しており、当初冴えない予測を示して、その後それを上方修正するということが続いている印象だ。

 ウクライナに関しては、2025年以降の高い成長率が示されているが、これは「その頃には戦争も終わり、復興景気が訪れているのではないか…」という希望的観測によるものではないか。現実には戦争の行方に左右されることは言うまでもない。

 カザフスタン、アルメニア、ジョージアといった国は、ロシアからの出国者が押し寄せたり、ロシア向け迂回取引のルートになったりして、その恩恵で高い成長率が続いており、今後もしばらく続く見通しのようだ。

 ところで、IMFはアゼルバイジャン・アルメニア・ジョージアを「中東・中央アジア」の中に分類しており、さすがにそれはどうなのかと感じた。アゼルバイジャンは中東産油国そのものだろうが、ジョージアは仮にもEU加盟候補国であり、アルメニアもその方向にシフトしている。

 


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 「黒海穀物イニシアティブ」をめぐる攻防の際に浮き彫りとなった現実として、実はウクライナからの最大の穀物輸入国は中国であった。具体的に言うと、中国はウクライナから飼料用トウモロコシを大量に買い付けていた。

 ところが、こちらの記事によると、今般、中国はウクライナからのトウモロコシ輸入のキャンセルに動いているということである。政治的な悪意があるわけではなく(ウクライナ産を狙い撃ちにしているわけでもない模様)、国内経済事情によるもののようだが、気になるので以下記事の中身をざっと紹介しておく。

 中国のバイヤーは、国内農家を支援するための政府の新たな措置に従い、トウモロコシの輸入をキャンセルしている。

 関係者によると、中国の輸入業者は、4月から6月にかけて予約されていたウクライナ産トウモロコシの4~6カーゴを受け入れない予定だという。これらのキャンセルは過去2週間以内に行われたもので、欧州方面からの今後の輸入がさらに中止される可能性があるとのことだ。

 米国とブラジルで豊作が続いた後、世界的な価格下落の圧力が生じている。

 中国の税関当局は、作付けシーズン前を前にして、国内の供給過剰を緩和し、生産者価格を下支えすることを目的として、外国産トウモロコシの輸入を制限するよう、業者に要請した。今般生じているキャンセルは、それを受けたものである。


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 遅くなりましたが、北大SRCの講演シリーズ「危機を生きるウクライナと世界」の一環として2月21日に服部が行った「経済から見たロシア・ウクライナの継戦能力」と題する講演を、このほどYouTubeにアップしましたので、ぜひご覧いただければ幸いです。

 なお、同じシリーズの講演動画も、以下のとおりご紹介しておきます。

YouTube用20240221服部

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 こちらの記事は、ウクライナの鉄鋼輸出を最も阻害している輸入制限措置は、米国によるものだという看過できない事実を指摘している。上図に見るとおり、各国の制限措置によるウクライナの年間鉄鋼輸出の喪失は、米国が80.5万t、エジプトが50.0万t、ロシア主導のユーラシア経済連合が32.5万t、その他が7.0万tだという。以下、記事の要旨を整理しておく。

 現時点で、ウクライナ産鉄鋼に対し、11ヵ国(または経済ブロック)が計33の輸入制限を科している。

 このうち、EUは、戦争で苦しむウクライナの苦境に配慮し、6の制限措置を一時的に停止しており、それにはセーフガード関税割当も含まれる。現在、海路での輸出が制約されている中で、地続きのEUによるこの措置は重要なものだった。

 一方、米国は、通商拡大法232条をウクライナに対し免除しているが、その特例は2024年半ばをもって切れる。しかも、米国によるウクライナ産鉄鋼に対する7のアンチダンピング措置は今でも有効である。これらの措置はウクライナ産鉄鋼のすべての商品グループをカバーしており、米国への完成鋼材の輸出はほぼ不可能となっている。

 その結果として生じているウクライナの輸出機会の喪失は、年間80.5万tに及ぶ。敵国ロシアが盟主となっているユーラシア経済連合の5措置による喪失すらも上回っている。

 米国の7の措置のうちの4は、2004年以前に導入されたものだ。当時ウクライナは2,800万tの鉄鋼を輸出していたわけで、2023年の330万tは比べ物にならないほど少なく、米国の措置は完全に時代遅れになっている。

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 私が注目し追っている統計に、ウクライナの個人送金(レミッタンス)受入額というものがある。このほどウクライナ中央銀行が2023年のデータを発表したので、上表を更新した。クリック・タップで拡大してご利用を。

 要するに、国内で良い働き口が乏しかったウクライナでは、多くの国民がEU圏などの外国に働きに出ており、そこから本国への仕送りが国民経済にとり重要な要素となってきたわけである。ウクライナにとり「影の基幹産業」だったと言っていい。

 ロシアのウクライナ侵攻は、当然レミッタンスにも小さからぬ影響を及ぼしているはずである。成人男性は基本的に出国を禁止されており、国外に避難している女性・子供・お年寄りでは現地の労働力ニーズにマッチするとは限らないからである。

 上表に見るとおり、個人送金の受入は、ここ数年はGDPの8%前後で推移していたが、2023年には5.3%に低下し、やはり若干下火になったことをうかがわせる。

 なお、隣国ポーランドをはじめとするEU諸国からの送金の比率が年々高まっており、2023年には69.6%に達した。


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 ちょっと変なことに気が付いてしまったので、メモがてら記しておく。ロシアの各地域にはГИБДДというコード番号が割り振られており、基本的には自動車のナンバーで使用するためのものだが、他の用途に使われることもある。上掲の地図を参照。

 それで、ロシアが併合を宣言しているウクライナ南部・東部の4地域に、すでにそのコード番号が割り当てられたことが判明した。「ドネツク人民共和国」が80、「ルガンスク人民共和国」が81、ヘルソン州が84、ザポロジエ州が85となっている。

 それで、番号が飛んでいて変だなと思ったのだが、調べてみたところ、ロシアではプーチン体制下で「自治管区」が廃止された経緯があり、それによって生じた空き番号を、ウクライナから奪った4地域に割り振ったことが分かった。

 具体的に言うと、80はザバイカル地方に吸収されて消滅したアガ・ブリヤート自治管区、81はペルミ地方に吸収されて消滅したコミ・ペルミャク自治管区、84はクラスノヤルスク地方に吸収されて消滅したタイムィル自治管区、85はイルクーツク州に吸収されて消滅したウスチオルタ・ブリヤート自治管区の番号だった。自治管区番号のお古とは、雑な扱いという気がしないでもないが。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年4月号のご案内。4月号は、「ロシア・中央アジアのエネルギーをめぐる攻防」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで(と言いつつ、まだHPに当該号の情報が出ていないが…)。

 服部自身は、今回の役目は軽めで、「ロシアの経済活動分類表における軍需部門の扱い」、「輸出の苦境が目立った2023年のウクライナの貿易」という短い連載記事のみ書いております。なお、前者は、3月号で書いた「ロシアの軍需産業は覚醒したのか ―戦車と無人航空機を中心に」の補足。3月20日発行予定。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年3月号が発行されたので、ご紹介。3月号は、「ロシア・ウクライナをめぐる地政学と地経学」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 私自身は、いずれも特集の枠内で、「ロシアの軍需産業は覚醒したのか ―戦車と無人航空機を中心に」というレポートを寄稿したほか、「ウクライナの農業と鉄鋼業に光明は見えたか」、「港湾貨物量で見る侵攻後のロシア産業・物流」という連載記事を書いております。


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 キーウ国際社会学研究所が、ウクライナ国民の戦争に関する全国意識調査を1月に実施し、その結果を過去の数字と合わせて示したものを、こちらで発表した。重要なので紹介するわけだが、日本語化とグラフを作成するだけで疲労困憊してしまったので、解説やコメントなしで、グラフだけお目にかける。分かりやすく作ったつもりなので、見ていただければ分かると思う。

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 このほどロシアが占領を完了したドネツク州のアウジーウカには、有名なコークス化学工場がある。これまではR.アフメトフ氏率いる財閥SCM傘下であった。アウジーウカ・コークス化学工場はしばしば、欧州最大のコークス化学工場であると言われる。

 ただ、私の認識によれば、コークス炉は普通、製鉄所の敷地内に設けられるものではないか。それに対し、ドンバス地方では(旧ソ連全域?)、なぜか製鉄所とは別の場所にコークス化学工場を配置する傾向があるように見受けられ、それでアウジーウカの工場が「欧州最大」になっているのではないかと推察する。

 コークス化学工場はアウジーウカの中核企業であり、マリウポリのアゾフスターリ同様、ウクライナ軍の立てこもりの舞台にもなった。ロシア側が長期にわたってこの街を支配することになるのかどうかは分からないが、経済地理オタクとしては、ロシア側がコークス化学工場をどうするのかが気になるところである。

 前置きが長くなったが、こちらの記事が、コークス化学工場は再建可能だというM.アザロフ元ウクライナ首相(!)の見解を紹介しているので、要点を整理しておく。アザロフ氏いわく、すべては現在需要があるかどうか次第だ。必要性があれば、工場の再建は可能だろう。まずは最初に工場の状態を精査し、再建が理に適っているかを見極める必要がある。第二次大戦後には、ドンバス地方の工場は、大変骨が折れる作業ではあったが、かなり迅速に復興した。たとえばアルチェウシク・コークス化学工場も、実質的に廃墟になったが、1年で再建された。他方、ロシア軍が工場を占領した後も、工場の地下に残っているウクライナ軍の残党が脅威となる可能性がある(「ドネツク人民共和国」のYa.ガギン首長顧問はマリウポリのアゾフスターリと同様に一定数のウクライナ軍人がコークス化学工場の地下壕に潜伏していると指摘している)。アザロフ氏は以上のように述べた。


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 本日開催するオンライン無料講演会「侵攻2年を経て変容するロシア・ウクライナ」の準備が大変で、ブログは簡単に済ませたい。講演準備のために、ロシアとウクライナの経済状況を比較する資料をいくつか作ったのだが、そのうちの一つをお目にかける。両国による商品輸出入額の推移である。上図はクリック・タップし拡大してご利用を。

 両国の貿易動向を簡単に言えば、まずロシアは2022年に異常に輸出が膨らみ、過去最高の貿易黒字を記録したが、2023年は割と平年の水準に戻ったという感じてある。他方のウクライナは、輸出の苦境が続く中、輸入の水準は一定を保っている。これは、外国からの無償援助も、貿易統計上はその相当額が輸入額として記録されるからだと思われ、ウクライナが自力での購買力を維持していることを必ずしも意味しない。


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 これを言うと驚く人が多いが、ウクライナは今でも、ロシアの天然ガスを欧州市場向けにトランジット輸送する業務を続けている。2つあったルートのうちの1つは閉めてしまったが、もう1つはまだ生きており、それを利用した輸送はかろうじて続いている。

 昨年11月に出たこちらの記事に、便利な図解資料が掲載されていたので、上掲のとおり転載させていただいた。上のグラフで、青はウクライナによる実際のロシア産ガス輸送量(10億立米、2023年は1~7月時点)、黄色は2019年契約で取り決めた輸送量(10億立米)、緑はそれにより得られるトランジット収入(10億ドル、小数点の位置に注意)を示している。

 さて、2019年に結ばれたくだんの輸送契約は、本年末をもって期限が切れることになっている。ロシア側のこちらの記事が、この契約がどうなるのかについての見通しを伝えているので、以下要旨を整理しておく。

 ウクライナの立場:2023年、ウクライナ・エネルギー相は、ウクライナはロシアと通過契約の延長について交渉しないと述べた。しかし、2024年1月、スロバキア首相は、ウクライナ首相との会談の後、2025年以降契約が延長される可能性があると述べた(ウクライナはその後、契約延長はないと改めて表明)。と同時にウクライナ政府は、ウクライナがEU加盟国と「自国のガス輸送網の利用」について話し合う可能性があることを認めた。このように、ウクライナは現在の契約を延長するつもりはないが、2024年以降自国のガス輸送網を通じてロシアのガスを供給する可能性自体は否定していない。

 ロシアの立場:ロシア側も正式な交渉は認めていないが、同様にウクライナのガス輸送網が利用される可能性については排除していない。特にエネルギー相は、第三者の仲介によってウクライナ経由のトランジットに関する解決策が見つかる可能性があることを認めた。

 EUの立場:2月15日、欧州委員会エネルギー担当委員は、EUが通過協定を延長することに関心がないことをウクライナに通知したと述べた。同委員は、ウクライナ経由でロシアのガスを受け取っている国のために解決策を見つけると約束した。「ウクライナのガス貯蔵システムをガスの貯蔵やリバース供給に利用することができるだろう」と同委員は言った。ちなみに、ウクライナのガス輸送網を通じたガスプロムのガスは、スロバキア(2023年の場合全体の86.8%)とモルドバ(13.2%、主に沿ドニエストル)に直接流れている。スロバキアからさらにオーストリアに向かい、ヨーロッパ最大のガスハブのひとつであるバウムガルテンに至る。しかし、大部分はオーストリアとスロバキアで消費される。

 今後に関しては、①現行契約が延長される、②契約が満了し輸送が停止する、③現行契約は満了するが新たな条件でのトランジット輸送が維持される、という見方があり、専門家の見解も分かれている。


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 またまた告知で恐縮です。2月21日にオンライン講演会「侵攻2年を経て変容するロシアとウクライナ」を開催いたします。ロシアによる侵攻から2年という節目を捉えた企画であり、時節柄、同じような企画が乱立しているとは思いますが、今回の我々の講演会は戦争そのものというよりも、大串さんが政治、服部が経済という形で分担し、戦争により変容しつつある両国の国の姿に迫ろうとする点に独自性があります。オンラインで無料で参加できますので、ぜひチェックしてみてください。


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 私は以前はウクライナ港湾管理局発表の統計にもとづきウクライナの港湾取扱貨物量のデータを整理することを習慣として続けていた(誰も見向きもしないような仕事ではあったが)。ロシアとの戦争が始まって、ウクライナの港湾データはにわかに重要性を増す一方、ウクライナ港湾管理局が以前のようにまとまった統計を出さなくなってしまった。断片的な数字が飛び交うばかりであり、私自身このブログなどでもそうした数字を引用したりはしていたものの、もうちょっときちんとした全体像は得られないものかと思っていた。

 そうしたところ、依然断片的ではあるが、ウクライナ港湾管理局によるまあまあ使えるデータを見付けたので、それを使って上掲のようなグラフを作成してみた。2022年の数字はこちら、2023年の数字はこちらからとったものである。

 ウクライナの港湾の柱は、ピウデンヌィ(旧ユジネ)、チョルノモルシク(旧イリチウシク)、(狭義の)オデーサの3港であり、これら3港を総称して大オデーサ港と呼ぶ。グラフではそれを青系で示したが、侵攻前まではそれが全体の3分の2くらいを占めていた(2021年の場合は66.1%)。2021年までは「その他」もそれなりに大きく、具体的には食料輸出を担うミコライウ港、SCM財閥御用達のマリウポリ港などが重要だった。他方、2021年まではドナウ川港湾(グラフで赤系で示した3港)は吹けば飛ぶような存在であり、2021年にはシェアわずか5.5%にすぎなかった。それが、2023年には、大オデーサ港が48.2%、ドナウ川3港が51.5%と、様相が様変わりした。

 ただ、2023年7月に暗礁に乗り上げた黒海穀物イニシアティブに代わり、同年8月からウクライナ独自の輸送回廊が開設され、それがかなり機能するようになってきたので、黒海の制海権に大きな変化さえなければ、2024年は大オデーサ港完全復活の年になるかもしれない。

 なお、ウクライナの港湾配置図に関しては、とりあえずこちらのサイトに出ていた下図を参照。

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 ウクライナのGMKセンターというところは、同国の鉱山・冶金産業についての有益な情報源だが、比較的新しいこちらの記事が、ウクライナの製鉄所別の稼働状況というデータを掲載しており、興味深い。

 これによると、2023年時点で各製鉄所の稼働率(銑鉄・粗鋼につき)は、以下のとおりとなっているという。

  • ザポリジスターリ(65~75%):休止していた第2高炉を、2023年3月に再稼働。それ以来、4つの高炉のうち3つが稼働している。2023年には272万tの銑鉄(前年比35.3%増)、247万tの粗鋼(65.4%増)、205万tの鋼材(57.2%増)を生産した。
  • カメトスターリ(65~75%):3つの高炉のうち、2つが稼働している。2023年1~9月の銑鉄生産量は130万t(前年同期比11%増)、粗鋼150万t(17%増)だった。2023年第3四半期には第1高炉の停止により銑鉄生産が低下したが、これは定期修繕のためである。
  • インテルパイプ・スターリ(50~55%):2023年1~9月の粗鋼生産量は53.0万t(前年同期比14.5%増)だったが、これは秋・冬の停電の発生に備えて在庫を積み増した結果とされている。鋼管生産量は30.9万tでほとんど増減なしだった。
  • アルセロールミタル・クリヴィーリフ(20~30%):4つの高炉のうち1つしか稼働していない。2023年上半期の粗鋼生産量は39.0万tで、前年同期比56.2%減だった。
  • ドニプロ冶金工場(データなし):ここでは、粗鋼はカメトスターリから供給されており、圧延工程のみが行われている。2023年1~11月の鋼材生産は10.0万tだったが、本来の年間の生産能力は110万tなので、そこから稼働率を出すとすれば10%程度ということになる。

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 HP更新しました。マンスリーエッセイ「マイ・ウクライナ10周年」です。よかったらご笑覧ください。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年2月号が発行されたので、ご紹介。2月号は、「中央アジアでビジネス機会を切り拓く」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 服部は、今回は特集絡みの寄稿はなく、「ロシア金融市場を脅かす住宅ローンの官製バブル」、「ウクライナ経済はどこまで耐えられるか」と、特集の枠外での連載記事のみとなります。住宅ローンのレポートは結構力を入れて書きました。


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 U.ブカチュークという記者が、こちらの記事で、2023年にウクライナの軍需産業が挙げた成果について論じている。同じ筆者によるより詳しい記事はこちらだが、有料版になる。

 ブカチューク氏が、ウクライナ高官から得た情報によると、ウクライナの軍需産業は2023年に30億ドルの生産を行い、これは前年の3倍の規模となる。

 2023年にウクライナは、装甲戦闘車両の生産を数十倍に、ドローンの生産を数百倍に伸ばした。独自の火砲システム「ボグダン」の量産が始まり、NATOの155ミリ口径砲弾の現地生産でも前進した。

 軍需産業の躍進により、ウクライナのGDPは1.5%ポイント押し上げられた。

 ウクライナ軍需生産は、2024年に150億ドルを達成する能力があり、そうなれば前年の生産からは5倍拡大することになり、2023年の調達からは2倍拡大することになる(訳注:ちょっと意味が分かりにくい)。

 12月19日、V.ゼレンスキー大統領は2023年を締めくくる記者会見で、ウクライナは2024年にドローンを100万機生産すると述べた。

 12月20日、O.カムイシン戦略産業大臣は、ウクライナは2024年に100万機のFPVドローン、1万機以上の中距離攻撃ドローン(航続距離数百km)、1,000機以上の長距離(航続距離1,000km以上)のドローンを生産できると発言した。「すべての生産能力は準備できており、2024年の契約は始まっている」とされた。

 D.シュミハリ首相は、2024年に政府は武器と弾薬の製造に480億フリヴニャを、ドローン編隊の編成にさらに480億フリヴニャを充てると述べている。


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 こちらに見るように、ウクライナ鉄鋼業の業界サイトであるウクルメタルルフプロムに、2023年のウクライナ鉄鋼業の生産実績が掲載された。しかし、一見して、分かりづらいものである。

 というのも、2022年2月までは、マリウポリの2大製鉄所がまだ生きていた。したがって、2023年の生産量を、前年のそれと比べる場合に、マリウポリを含んだ2022年の生産量と比べるのか、含まない2022年の生産量と比べるのかで、印象が変わってくるわけである。

 整理すると、2023年の生産実績は、以下のとおりとなる。

  • 銑鉄:600.3万t(6.1%減、ただしマリウポリの数字を除くと17.0%増)
  • 粗鋼:622.8万t(0.6%減、ただしマリウポリの数字を除くと26.9%増)
  • 鋼材:537.2万t(0.4%増、ただしマリウポリの数字を除くと31.2%増)

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 我が北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターではこのほど、「ウクライナ及び隣接地域研究ユニット(URU)」というものを立ち上げました。その取り組みの一環として、私が中心になり、講演シリーズ「危機を生きるウクライナと世界」というものを定期開催していくことになりました。

 その記念すべき第1回として、2月2日(金)15:00~16:30に國谷光司さんに、「この足で歩いた戦時下のウクライナ」と題する講演をご披露いただきます。國谷さんは我が国のウクライナ界隈では良く知られた方で、非常に活動的であり、現地の人脈も豊富です。2023年の後半に、数十日にわたってウクライナ各地を訪ね、現地の情勢をつぶさに見てこられたので、今回はそのお話をたっぷりと聞かせていただく予定です。

 無料で、リモートでご視聴いただけますので、こちらのページからぜひ参加登録ください。


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 こちらに見るとおり、世界銀行が最新の2024年1月版世界経済見通しを発表したので、私の関係国のGDPの表を上掲のとおり拝見しておく。2021~2022年が実績、2023年が見通し、2024~2025年が予測ということになる。なお、上図の右3列は、前回2023年6月の予測からの修正幅を示している。

 2023年の成長率に関して言うと、私と関係の深い国の成長率が、軒並み上方修正された、2023年の成長率は、ロシアが2.6%(2.8%ポイントの上方修正)、ウクライナが4.8%(2.8%ポイントの上方修正)、ベラルーシが3.0%(2.7%ポイントの上方修正)といった具合である。わずか半年ちょっと前の予測がここまでブレると、果たして意味があるのかという気もしてくる。

 ロシアについての解説文は、以下のようになっている。

 ロシアでは、2023年のGDPは推定2.6%拡大した。この予想以上の回復は、追加軍事費を含む大幅な財政支援によって促進された。石油生産と輸出は小幅に縮小し、当局は2023年末に日量30万バレルの輸出抑制の延長と、2024年1月から日量20万バレルの輸出抑制の深化を発表した。為替レートの下落はインフレ率の上昇につながり、その後の政策金利の引き上げを促した。侵攻後、中央アジアからロシアへの移住が増加し、2023年には全移住者の43%が就労目的で移住した。

 ウクライナについての解説文は以下のとおり。

 ウクライナでは、前年の急減速を受け、2023年の成長率は推定4.8%拡大した。それでも、2023年の生産高は侵攻前の水準を約30%下回ったままである。成長は、財政赤字と経常赤字の拡大という犠牲を伴ったとはいえ、電力アクセスの改善、豊作、政府支出の追加によって下支えされた。2023年7月の黒海穀物イニシアティブの崩壊は、穀物輸出に引き続き下押し圧力をかけているが、ウクライナは穀物輸出の代替ルートの開拓に成功し、穀物セクターを支えている。


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 こちらの記事の中で、ウクライナのK.オリンチャクという専門家が、2023年のウクライナ鉱業の5つのトレンドということを語っている。整理すると、以下のとおり。

  1. 法制が刷新された
  2. 海路での鉄鉱石輸出が可能になった
  3. 他業種から鉱業への参入という現象が生じた
  4. ウクライナで鉱業を営むロシア人や対露協力者への制裁導入
  5. 鉱業へのデジタル技術の導入

 個人的に一番気になるのは2の海路による鉄鉱石輸出なので、その部分の要旨をまとめておく。

 記事によると、ロシアによる侵攻開始後、ウクライナ鉄鉱石の販路は、国内と、陸路で隣接する中東欧市場だけになっていた。それが、2023年8月半ばから、ウクライナ軍の開設した黒海からの「一時的な輸送回廊」により、海路での輸出が可能になった。大オデーサ港から、4ヵ月で300隻あまりが出港し、1,000万tの貨物を輸出した。うち、11%、すなわち110万tが鉄鉱石である。10月にはピヴデンヌィ港からの4隻が50.7万tの鉄鉱石を、11月にはオデーサ港およびピヴデンヌィ港からの14隻が62.0万tを運んだ。現在では、最大の中国をはじめ、南欧、イタリア、トルコ、エジプトに販路が広がった。その結果、鉄鉱石鉱山の稼働率も35~40%にまで上がった。


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 こちらのページに見るとおり、ウクライナ財務省が2023年の政府財政実績を発表したというので、そのデータを2022年までのそれと対比しながら、整理してみようと試みた。ところが、この作業に結構苦戦してしまった。

 というのも、ウクライナで歳出・歳入とされるデータには、いくつかの種類があることが分かった。まず、中央政府だけの数字と、地方財政も含めた一般政府全体の数字とがある。ウクライナの場合、地方分権があまり進んでいないからなのか、一般政府の数字が重視される傾向にあるようだ。

 次に、ウクライナにも我が国で言うところの一般会計と特別会計のようなものがあり、歳出・歳入の数字を見る際に、一般会計だけなのか、特別会計も含んでいるのかで違ってくるということが分かった。特別会計は、収入や支出が特定目的に限定されたものであり、規模は一般会計の数分の1程度ではあるが、いずれにしてもこのことを理解していないと、財政の数字が整合しなくなってしまうわけである。

 今般ウクライナ財務省から発表されたのは、確認してみたら、一般会計のみの数字だった。それにもとづいて、2018~2023年の歳入・歳出・収支を、上掲のようなグラフにまとめてみた次第である。

 ところで、ウクライナ財政でもう一つややこしい問題として、歳入・歳出の他に「融資」という項目があることも分かった。普通に歳入・歳出に組み込んでほしい気もするが、返済を想定した支出を「融資」としているようであり、したがって年によってプラスになったりマイナスになったりする。上掲のグラフで、歳入-歳出=収支に完全にはなっていないのは、少額の「融資」の存在に起因する。

 グラフに見るとおり、当然のことながら戦争が始まってからウクライナの財政は一気に苦境に陥り、2023年にはさらに苦しさが増した。2023年1~11月の時点で、ウクライナの一般政府歳入の17%(実額で4,050億フリヴニャほど)は、国際機関・外国からの贈与となっている。また、2023年に、財政赤字をファイナンスするために、5,526億フリヴニャの国債が発行される一方、国際機関・外国からの借入が1兆1,300億フリヴニャに上った。ざっくり言うと、歳出の約半分を、国際機関・外国からの贈与または借入で賄っている格好である。


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 ロシアによる軍事侵攻前の状況として、ウクライナの港湾の貨物量は、だいたい年間1億5,000万tくらいだった。それが、2022年2月のロシアによる全面侵攻後にウクライナにとっての海路は実質的に閉ざされ、一時は黒海穀物イニシアティブで農産物だけは輸送ができていたものの、昨年7月にその有効期限が切れてしまったことは、周知のとおりである。その後、ウクライナはドナウ川の河川港からの積出に引き続き努力するとともに、ウクライナ独自の輸送回廊と称して、主力の大オデーサ港から自力で安全を確保して貨物を輸出する試みを続けてきた。

 それで、最新のこちらの記事によると、ウクライナ港湾管理局のYu.リトヴィン局長の話として、大オデーサ港からのウクライナ独自の輸送回廊による輸出が、半年足らずで1,000万t強に上ったということである。ウクライナ軍の尽力により、ロシア軍が黒海で守勢に回ったことで、それが可能になった。他方、ドナウ川港湾からの輸出量は、1年間で3,000万tだった。


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 昨年暮れに出た情報で、やや古い話題になってしまったが、こちらが伝えている、マリウポリのイリチ記念冶金コンビナートが生産を再開したというニュースには、個人的に驚かされた。同じくマリウポリに所在するアゾフスターリ同様、戦争で破壊されて再生は不能と思っていたからである。以下、記事を抄訳しておく。

 ドンバス最大の冶金企業であるイリチ冶金コンビナートが、生産を再開した。現在3つの作業現場が稼動しており、3,000人以上が生産現場で働いている。製品は、自社の工場再建に用いられるほか、ドネツク人民共和国の破壊された町や村の再建向け送られる。

 2022年春、ウクライナ海兵隊第36旅団が、イリチ工場の高炉、圧延ライン、鋳物作業所、その他の作業場に立てこもった。1週間の戦闘の後、V.バラニューク大佐率いる約4,000人のウクライナ兵は投降した。このおかげで、ウクライナ最大のコンビナートは、アゾフスターリとは異なり、大規模な破壊を免れた。

 戦闘が止むと、14,000人以上の従業員を抱える街の中核企業の再開が課題となった。問題は、いかにして生産を再開するかということだけでなく、多くの労働者が難民となったり死亡したりしたため、いかにして新たな人材を育成するかということだった。そこでまず、訓練センターの建物を部分的に修復し、工場のための電気技師、溶接工、冶金工、その他の専門家が養成が行われた。

 現在、350人の若者たちがこの学校で新しい専門技術を学んでいる。建物には電気も暖房も水道もないため、まだリモートでの研修だが、講師たちは実りある仕事へのやる気に満ちている。

 コンビナートの復旧は2023年から2025年まで段階的に行われる予定だ。非常事態省、ロシア連邦親衛隊、ロシア国防省の工兵部隊による爆発物処理はすでに完了している。彼らは約5,000発の不発弾、迫撃砲地雷、グレネードランチャー、その他の爆発物を無力化した。

 工場再建の第1段階では、スラグ加工と消費財生産の作業所が整備され、トタン、Lアングル、コの字のチャンネル、その他建設用の資材が生産されている。生産量の一部は、まずコンビナートの再建に使われ、一部はマリウポリの住宅建設にも使われる。

 2年後には、銑鉄の主原料である鉄鉱石の焼結処理を完全に確立し、銑鉄、粗鋼、熱延板、コイルを生産する計画である。約2万4,000人の雇用が創出される。

 現在、工場では12,000ルーブルから40,000ルーブルと、悪くない給料が支払われている。熱延工程の元従業員は、「工場がフル稼働すれば、多くの従業員は仕事が懐かしくなり、喜んで働きに来るだろう」と語った。


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