ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ウクライナ

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 日本の参院選と同日という形になったが、昨日7月21日、ウクライナ最高会議(議会)選挙の投票が実施された。小選挙区・比例代表並立制であり、小選挙区を含めた選挙結果が判明するのにはもう少し時間がかかると思うが、「ナショナルエグジットポール」という出口調査の比例区に関する調査結果がこちらに出ているので、上掲のとおり紹介する。

 先日、「ウクライナ大統領選特報:延長戦」で、レイティングという調査機関による政党支持率をお伝えしたが、ナショナルエグジットポールの数字は、概ねレイティングの事前調査に見合っている。ただ、ゼレンスキー与党の公僕党が思ったほどは伸びなかったというのと、ティモシェンコの祖国が事前調査よりも若干数字を上積みした点が注目される。いずれにしても、比例区で議席を獲得できる5%以上得票の政党は、公僕党、野党プラットフォーム、欧州団結党、祖国党、ヴァカルチュークの「声」の5政党で決まりであることは間違いない。

 選挙結果については、順次続報をお届けしたい。


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 こちらのサイトに見るように、このほど駐日ウクライナ大使館より重大な意思表明があった。ウクライナの地名を、ウクライナ語の発音に即して表記するべきだとのメッセージである。具体例を示したのが上掲のものである。

 ここで主張しているのは、「ロシア語読みではなく、ウクライナ語読みで」ということなので、私個人は以前からその方針をとっているし、当方としてまったく異存はない。私が編集した『ウクライナを知るための65章』でも、そうなっている。しかし、上で充てられているカタカナ読みを見ると、ムィコライヴのように、ロシア語との違いを過度に強調した翻字になっている気がするし、そもそも日本外務省が最近「ヴ」を使わないという方針を打ち出した中で、果たしてこれだけ「ヴ」を多用する方式が日本に定着するのかという疑問がある。

 最大の問題は、国名自体を、ウクライーナと、長音にすべきだとしている点だろう。もちろん、発音がそれに近いことは、そのとおりであろう。でも、それを言うなら、ロシアだって、現地語発音はラシーヤである。ロシア人が、「我が国の言語と独自性を尊重するため、ロシアではなくラシーヤと呼んでください」などと主張するだろうか? 日本には日本の読みやすさ、これまでの経緯というものがあるのであり、読み方が完全に間違っているというならともかく、伸ばす伸ばさないなどは日本人の感覚や慣習が優先されるべきだと、個人的には思う。

 前にも言った通り、ウクライナ国家が日本政府にこうした読み方の受入を正式に要請して来て、それが公式に決まったら、個人的にもその方式に移行することはまったくやぶさかでない(ただし「ヴ」のあるクィイヴは日本政府は使わないだろうが)。それは、単なる「決め」の問題である。


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 先日、ウクライナが米国産の石油を購入するという動きがあった。この出来事をどう読むべきか、こちらの記事が論じているので、要旨をまとめておく。ロシアのリア・ノーヴォスチの記事なので、ウクライナの動きを辛辣に論評する内容になっているが、悪しからず。

 クレメンチューク製油所に、米国からのバッケン種の石油が入荷しようとしている。7月4日にタンカー「ウィズダム・ヴェンチャー」がオデッサ港に入港し、そこからパイプラインを通じてクレメンチュークに運ばれている。購入したのは、製油所を保有するI.コロモイスキーのウクルタトナフタ社である。

 マスコミでは今回の取引を、6月1日に発効したロシアの石油禁輸への対抗策だと論じている。しかし、対抗策としては、弱い。2018年のウクライナの石油輸入が800万t超えだったのに対し、今回の輸入はわずか7.5万tだ。確かに、8月にもう一度、同量を輸入する予定だが、たとえウクルタトナフタが毎月7.5万tを輸入したとしても、ウクライナの輸入全体の数%にすぎない。

 クレメンチューク製油所一つにとってみても、これは多い量ではない。クレメンチュークに主に石油を供給しているのは、半官半民のウクルナフタ社であり、2018年の国内採掘量は145万tであり、そのほぼ全量をクレメンチュークに供給した。また、クレメンチュークはアゼルバイジャン石油も購入している。クレメンチュークは2018年にはトータルで220万tの石油を調達した。

 2017年にクレメンチュークの石油精製量は12%増加して250万tに達し、それをさらに拡大していく計画を立てていた。しかし、ガソリンの販売不振で、実際には生産が低下する。2018年夏には貯蔵施設が石油製品で一杯になり、そのため生産量を技術的に許容されるぎりぎりの日産5,000tまで引き下げた。製油所を抱えるウクルタトナフタの経営陣は、販売不振はベラルーシからの輸入のせいだとし、2018年11月、国家安全保障国防会議に、ベラルーシ産ガソリンに対するアンチダンピング調査を開始するよう要請した。同社は、ベラルーシとロシアは石油製品輸出に補助金を適用していると主張したが、ウクライナ政府はこの要請を無視した。2019年3月、製油所は政府に石油製品に対する輸入割当を導入するよう要求したが、これも受け入れられなかった。コロモイスキーは作戦を変え、ガソリン物品税を25%引き下げることを主張したが、政府は応じなかった。

 そうした中、ガソリン価格は、ウクライナのドライバーたちにとって受け入れられないほど、割高なものとなっていた。所得に対するガソリン価格という指標で、ウクライナはあるランキングの61ヵ国の中で、59位という劣悪な結果になった。こうしたことから、ウクライナのドライバーたちはガソリン車をLPG車に改造し、ガソリンの半額程度のLPGにシフトするようになっており、現在ウクライナにはLPG改造車が300万台も走っていると言われる。

 こうした状況下では、米国石油の調達は、経済的にはまったくの焼け石に水である。大洋の向こうの国から石油を買ってガソリンを生産しても、とてもウクライナの消費者には買う余裕がない。しかも、ロシアは7月1日からLPG輸出を全面的に再開しており、またカザフスタンの製品についてもロシア領を経由してウクライナに輸出することを認めているわけで、したがって今後もウクライナではガソリン需要低下が続くだろう。

 というわけで、ウクライナが米国産石油を買った理由は、一つしかない。それは、ワシントンに恭順の姿勢を示すことである。それにより、第1にノルドストリーム2の問題で、第2にドンバス和平の問題で、米国の全面バックアップを取り付けようとしているのだろう。しかし、ウクライナの購入量は微々たるものだし、そもそも米国はウクライナによるロシア産ガスのトランジットが止まり、欧州により高値でLNGを輸出したいと思っているので、ウクライナの思惑は外れることになるだろう。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2019年8月号の中身を、どこよりも早くご紹介。今号では、「日ロ経済関係は仕切り直しへ」と題する特集をお届けしております。大阪でのG20関連と、ペテルブルグ国際経済フォーラムでの日ロ会合の模様を報告することを軸とした内容。過去数年の日本の対ロシア・アプローチは、経済協力の拡充により、領土問題解決および平和条約の締結に向けた環境を醸成するというものだったと思います。しかし、ここに来て、積年の懸案の解決のためには、より一層粘り強い取り組みが求められることが、浮き彫りとなってまいりました。「仕切り直しへ」というタイトルには、そのようなニュアンスを込めたつもりです。私自身は、今回は完全な脇役で、「ウクライナとベラルーシの鉄道トランジット輸送」、「2019プーチン・ホットライン」という記事を書いただけです。7月20日発行予定。


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 第10回スラブ・ユーラシア研究東アジア大会が、昨日6月29日と、本日30日の2日間、東京大学の本郷キャンパスで開催されている。上の動画は、開会式で松里公孝先生が挨拶をされている様子。

 私自身は、昨日29日のDifferentiation or Convergence? —Changes in Political Regimes in Post Soviet Countries in the Last Decadeというパネル(下の写真参照、写っているのは私ではないが)で、“Comparing Transport Strategies of Ukraine and Belarus as Transit Nations” と題する報告を行った。ウクライナとベラルーシはともにロシアとEU、東と西の狭間に位置し、その地理的条件を活かして東西を結ぶトランジット輸送を発達させる可能性を持っている。近年は、中国の一帯一路政策が始動したことで、より一層その可能性が広がっている。現実には、ベラルーシが一定の成功を収めているのに対し、ウクライナはロシアとの対立などでそのポテンシャルを活かせていない。この報告では、初歩的な統計の整理だけになってしまったが、そうした観点からウクライナとベラルーシの実情を比較した。

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 昨年の8月に、「今度は鉄道路線を廃止? どこまで続くウクライナ・ロシアの泥仕合」というコラムを発表した。そのあと、実際に両国間の鉄道路線がどうなったのかということがずっと気になっていたのだが、調べられずにいた。今般、鉄道だけでなく、航空、海運、バスも含め、両国間の交通路線がどうなっているのかについてまとめたこちらの記事を見付けたので、メモがてら書き留めておく。

 結論から言えば、ロシア・ウクライナ間の鉄道旅客輸送は、いまだに停止はされていないということである。ロシア鉄道の側は乗客の減少を理由に2014年12月にウクライナ領への乗り入れを停止したものの、ウクライナ鉄道およびモルドバ鉄道が引き続きウクライナ・ロシア間の列車を運行しているということだ。ウクライナ・インフラ省は再三にわたりロシア乗り入れ停止を唱えているものの、ロシア路線に収益を依存するウクライナ鉄道がそれに同意していないという構図らしい。また、ロシア・ウクライナ間の鉄道貨物輸送も保持されており、これは主としてウクライナ側がロシア産の石炭を輸入する必要によるものとのことである。ただし、両国とも相手国の主要鉄道輸送会社に制裁を課しており、それらの会社による自国向け輸送を禁止した状態にある。


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 目下当方、誰も興味のないような輸送部門の地味な研究に取り組んでいるところである。その一環として、ウクライナとベラルーシの鉄道貨物輸送の構造、趨勢を比較したこんなグラフを作成してみた。

 当方の目論見としては、「ウクライナとベラルーシは東西、ロシア・欧州の狭間に位置する国なので、鉄道輸送においても東西を結ぶトランジット輸送が重要な要素のはずである。しかし、ウクライナはロシアとの関係を悪化させ、その打撃で鉄道のトランジット輸送も低下しているのではないか。他方、ベラルーシは、以前からあったトランジット輸送に加え、近年脚光を浴びている中欧班列(中国と欧州を結ぶコンテナ貨物列車)の主たる輸送路になっているので、逆にトランジット輸送が増大しているのではないか」という事前の見立てがあった。

 実際に統計を集計してみると、グラフに見るように、ウクライナの鉄道トランジット輸送がここ数年で半分以下に落ちている事実は、確かに確認できた。それに対し、ベラルーシのトランジット輸送は、一貫して伸びているとはとても結論付けられず、これについては少々当てが外れた。

 これについての、私の解釈は次のようなものである。2018年にベラルーシ領を通過した中欧班列のコンテナは33.2万TEUだった。1TEU当たり10tくらいと考えると、332万tということになる。それに対し、ベラルーシの鉄道トランジット輸送は元々年間3,000万~5,000万tくらいあるので(重量×距離ベースの下図とは異なる)、中欧班列のコンテナが300万tくらいにまで拡大しても、数量的には、トランジット全体の1割くらいにしかならない。そもそも旧ソ連諸国の貨物輸送は、石炭、石油・石油製品、化学品、木材、金属、穀物といった重量のある商品が多く、コンテナが多少増えても、重量で見れば、全体に占める割合はわずかということになってしまうのだろう。

 ほとんど利益が出ていないはずの石炭輸送などと比べて、コンテナのトランジット輸送は高付加価値であり、収益という観点から言えば、ロシアやベラルーシの鉄道に多大な貢献をなしていると考えられる。しかし、ロシアやベラルーシは中欧班列のトランジット輸送による収入を発表していないようである。したがって、中欧班列の活況がトランジット国にどのような経済効果をもたらしているのかを定量的に把握するのは困難であるという結論になってしまった。

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 一般の方々にとっては面白くもなんともないネタだが、個人的に今日は一日ずっとこんなデータを集計していた。ウクライナのサービス輸出のうち、最大の項目は輸送サービスであるが、では具体的にどの国・地域に輸送サービスを提供しているかをまとめたものである。

 グラフに見るとおり、昔も今も、ウクライナの輸送サービス輸出の約半分は、ロシアを対象としたものである。そして、ロシア向け輸送サービス輸出の大部分は、パイプライン輸送であり、これは石油も少しだけあるはずだが、ほぼ全面的に天然ガスのパイプライントランジット輸送による収入と考えられる。

 2014年以降、ウクライナとロシアの国家間関係が険悪化してにもかかわらず、ウクライナのロシア向け輸送サービス輸出はそれなりに持ち堪えていたことが分かる。しかし、それはロシア・ガスプロム社がやむなく欧州向けガス輸出ルートとしてウクライナを活用してきたからである。輸送契約は本年で切れることになっており、ウクライナの年間30億ドル規模の収入が現在存亡の危機に立っているわけである。ロシア:その他というのは、具体的には鉄道、自動車、海運、空運などであり、これらはウクライナ・ロシア関係の悪化をダイレクトに反映して、激減している。

 「欧州」というのは、EU諸国を中心に、その他の西欧・東欧諸国も加えたものである(CIS諸国は除外)。2014年以降、ウクライナはEU統合を前面に掲げているにもかかわらず、欧州向けの輸送サービス輸出も減っている。これは、ウクライナの欧州向け輸送サービス輸出は、そのほとんどが、欧州の貨物をロシア向けにトランジット輸送することによって成り立っているからだろう。つまり、ウクライナがロシアと正常な関係を築けなければ、ロシア向けだけでなく、欧州向けの輸送サービス輸出も減る一方ということである。


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 こちらのニュースが、興味深い事実を伝えている。米国の地名評議会がこのほど、ウクライナの首都キエフの米国における正式な表記を、 "Kiev" から "Kyiv" へと変更したということである。つまり、従来のロシア語風の読み方の「キエフ」から、ウクライナ語風の読み方の「キーイウ」に変えたということだろう。

 日本でも、ウクライナ関係者の間では、ウクライナの地名・人名はウクライナ語風にカタカナに置き換えるべきだというコンセンサスがあるが、こと「キエフ」については日本でもある程度定着した読み方なのでそのままでいいのではないかという有力な意見があり、私が編集した『ウクライナを知るための65章』でもその方式で臨んだ。ただ、米国へ右へ倣えの日本国なので、今後日本での正式な呼び方も「キエフ」から「キーイウ」もしくは「キーウ」などへの変更が検討されるかもしれない。グルジアからジョージアに変更された時と同じように、もしもウクライナが国として日本に正式に要請してきたら、確実にそうなるだろう。まあ、私自身は、そうなった時は、それに倣うのみである。


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201907

 編集作業が終わったばかりの(文字通り、今終わった)『ロシアNIS調査月報』2019年7月号の中身を、どこよりも早くご紹介。今号では、小誌としては初めての試みとして、サービス貿易に焦点をあてた特集をお届けしております。もちろんこれまでも輸送や旅行といったサービスに関連した個別の記事はありましたが、サービス貿易という括りを前面に掲げた特集としては、これが初です。

 私自身は、特集の枠内では「ロシア・NIS諸国のサービス貿易を見る視点」、「ロシアのサービス輸出拡大目標」、「インバウンド観光促進を目指すロシア」を執筆、さながら一人特集のようになってしまいました。特集の枠外でも、「ウクライナのゼレンスキー劇場は第2幕へ」、「ロシア・サッカーの2018/19シーズン終了」、「キエフで堪能するクリミア・タタール料理」といったものを書いています。正直この号では楽をさせてもらおうかと思っていたのに、終わってみれば一人で50ページも書く羽目になり、なんでこんなことになったのか。6月20日発行予定。


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 毎年恒例のペテルブルグ国際経済フォーラムが昨日開幕し、ロシアの経済ニュースはそれ一色のようになっている。

 それで、ウィキペディアの同フォーラムに関するページを眺めていたら、意外なことに気付いた。このページにはフォーラムに出席したことのある外国元首の一覧が出ているのだが(上の画像はその一部を切り取ったもの)、その中にV.ユーシチェンコ氏の名前があったからだ。当時ウクライナ大統領だったユーシチェンコ氏は、2007年、2008年と2度にわたってフォーラムに参加したようである。ウクライナ危機以降、ロシアのビジネスイベントが「踏み絵」のようになってしまい、それに参加することはロシアへの恭順の姿勢と同義みたいになってしまったが、10年くらい前はまだ、フォーラムのプラグマティックな意義の方が前面に出ており、親欧米と呼ばれたユーシチェンコ氏が出席する余地もあったのだなと、そんな感慨を覚えた。


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 ウクライナのV.フロイスマン首相(写真)は、V.ゼレンスキー新大統領の意向を受け、5月23日に最高会議に対し辞任の申し出を行っていたが、こちらの記事などが伝えるとおり、5月30日に決議案が最高会議によって否決された。出席した297人の議員中、賛成したのは97人だけであった。会派別の賛成人数を見ると、ポロシェンコ・ブロックが7人、人民戦線が2人、祖国が9人、急進党が14人、自助党が12人、野党ブロックが19人、人民の意志が0人、ルネサンス・グループが3人、無会派が31人だった。


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 こちらの記事によると、ウクライナのYe.チェルヴォネンコという元運輸相が、ロシアとの対立がウクライナの経済に及ぼしている巨額の損失についてテレビ番組で語ったということである。なお、チェルヴォネンコ氏の経歴はこちらに見るとおりで、運輸相を務めたのはオレンジ革命後の2005年2~9月のティモシェンコ内閣においてであり、ごく短期間だったようである。

 記事によれば、チェルヴォネンコ元大臣は概要以下のように発言した。ロシアとの対立で、ウクライナには巨額の損失が生じている。ウクライナは、もしも中国から欧州への列車がウクライナ領を通っていたら巨額の資金を得られるはずだったが、ロシアと対立したことで不可能となり、結局その全額はベラルーシが受け取っている。2014年にウクライナは欧州から中国への列車を通過させる目前だったが、クーデターが起き実現しなかった。スロバキアから中国に向かうコンテナ列車を通すはずで、すでにスロバキアに待機しており、2014年3月7日にヤヌコーヴィチ大統領がキエフで式典をするはずだったのだが、政変が起きた。現在では、このスキームで、週に75本の列車がベラルーシを通過している。ヨーロッパのビジネスマンたちは内輪の話では、なぜウクライナ当局がこのようなビジネスチャンスをみすみす放棄しているのかと、あきれかえっている。もしもロシアとの対立を解決し、互恵的なシルクロードを築けば、ウクライナの収入は300億ドルにまで高まるだろう。チェルヴォネンコはこのように指摘した。


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 2019年ウクライナ大統領選特報(No.22、2019年5月20日)を配信しました。本日、ゼレンスキー新大統領の就任式があり、議会解散宣言がありましたので、急遽お届けすることにしました。


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 日取りがなかなか決まらなかったウクライナのゼレンスキー新大統領の就任式、こちらの記事などが伝えているとおり、本日5月20日、現地時間10:00から始まるということである。記事によると、どうも型通りの就任式ではなく、テレビドラマ「公僕」の脚本家が演出に加わるなどして、型破りの就任式になる模様である。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2019年6月号の中身を、どこよりも早くご紹介。令和最初の号ですが、毎年6月号は、ロシア以外のNIS諸国をまとめて詳しく取り上げることが恒例となっており、今回もNIS総論特集となっております。その際に、ここ1年あまりの間に、NIS諸国は重要な選挙があったり、大統領・首相が代わったりしているところが多いので、その点に着目して「特集◆転換点に差し掛かるNIS諸国」と題してお届けしております。それにしても、3月にナザルバエフ・カザフスタン大統領が突然「終活」を始めたのには驚きましたが、今回、宇山智彦先生にご寄稿いただいた論考は、この問題に関する決定版とも言うべき考察になっております。

 私自身は、「2019ウクライナ大統領選挙の顛末 ―異例の政権交代はなぜ起きたのか」、「第4期プーチン政権下の政策進捗状況」というレポートを書いたほか、2018年のロシア・NIS諸国全般、ウクライナ、ジョージアの経済パフォーマンスについてのレビューを執筆。

 本来の発行日は5月20日ですが、今号は大型連休のしわ寄せで、4~5日ほど遅れることになりそうです。ご容赦ください。


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 私はウクライナのゼレンスキー新大統領の就任式は6月3日だと理解していたのだけれど、これは遅くとも6月3日までにやるということであり(5月4日に大統領選決選投票の最終結果が官報に掲載され、そこから1ヵ月以内という意味)、具体的な日取りは議会(最高会議)が決定するのだそうだ。それで、こちらの記事によると、まだその日取りが流動的なままとなっている。すでに議会には、就任式の日を5月19日にするとの決議案と、6月1日にするとの決議案が出ているということである。そして今般新たに、就任式を2段階に分けて実施し、まず第1段階では5月19日に議会で就任式を行い、第2段階として6月3日にキエフのオリンピックスタジアムで一般国民や外国の賓客を招いて実施するという提案がポロシェンコ・ブロックの議員から寄せられた、ということである。


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 個人的に、3月に出たこちらの情報を、非常に興味深く感じた。記事によると、ウクライナ側の2018年10月の措置に対抗し、同年12月にロシアが導入した追加制裁により、ウクライナ企業製の電気機関車用のモーターおよび発電機が輸入できなくなった。具体的には、ハルキフのエレクトロチャジマシ社と、スミラ電気機械工場(チェルカスィ州)の製品が対象になっている。ところが、これによりロシア鉄道の機関車更新プログラムの実施が苦境に立たされており、これらの製品を制裁対象から外すよう、このほどロシア鉄道の幹部が産業・商業省を通じて政府への陳情を行ったということである。ウクライナ側の措置から対抗措置を講じるまでに2ヵ月ほどの期間があったにもかかわらず、その間に政府がロシア鉄道の意向を確認するようなことはなされず、またロシア側でウクライナ製品に代わる製品の生産を立ち上げる具体的な動きも今のところないという。


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 ちょっと用事があって、上に見るように、ロシアの商品貿易に占める対CIS諸国取引の比率というグラフを作成した。その比率は年々低下しており、2018年には過去最低の11.8%に落ち込んだ。うち、ロシア側の輸出では12.2%、輸入では11.0%である。

 それで、CISと言えば、ロシアと決別したウクライナが、2018年にCIS脱退宣言をしたことが記憶に新しい。しかし、ウクライナがすでに完全にCISから抜けたのか、今現在すでにメンバーでないのかというのは、きわめて不明確な状態である。試しに、ロシア連邦関税局の発表した2019年1~2月の貿易動向をチェックしてみたところ、下の表のように、ウクライナは依然としてCIS国としてカウントされている。

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 CISとウクライナの関係性については、英語版ウィキペディアのこちらのページに見るように、込み入った法律論になってしまい、白か黒かはっきりしない。実はウクライナはそもそも、CISの基幹文書であるCIS憲章に調印しておらず、それをもって、我が国はCISの加盟国ではなくオブザーバーであるとの立場を以前からとってきたのだが、ここに来てかえってそれがアダになっているような印象がある。というのも、ジョージアの場合であれば、CIS憲章条約に調印していたので、同条約から離脱することによって、正式にCISからの脱退手続きをとることができた。それに対し、元々CIS憲章条約に参加していなかったウクライナは、ジョージアのような手続きを踏むことができないのである。むろんウクライナ自身はもはやCISとは無関係という立場をとるだろうが(ゼレンスキー次期大統領が政策変更する可能性はなくもないが)、ロシアやCIS事務局側はウクライナがCIS当事国のままという建前を崩さないと見られ、いわばウクライナは「CISの罠」にはまったような恰好である。


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 ウクライナ大統領選で、ティモシェンコは割と家族の存在をアピールし、ポロシェンコもよく奥さんを伴って公の場に表れたが、ゼレンスキーについては家族と一緒の写真や動画を見た記憶がなく、どうなっているのか気になったので調べてみた。

 その結果、ゼレンスキーには普通に妻子がいるということが確認できた。奥さんは、オレーナ・ゼレンスカといって、夫ヴォロディーミルとは同郷かつ同い年、つまり1978年ドニプロペトロフスク州クリヴィーリフ生まれの41歳である。ヴォロディーミルとオレーナは同じクリヴィーリフのギムナジウムで学んだが、クラスが違い、当時は知り合うことはなかった。出会ったのは、ヴォロディーミルがクリヴィーリフ経済大学で、オレーナがクリヴィーリフ国民大学で学んでいた時であり、その8年後の2003年に結婚したという。2人の間には、2005年に生まれた娘と、2013年に生まれた息子がいる。オレーナは夫のテレビ制作会社「クヴァルタール95」でも仕事をしているようだ。


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 YouTubeの「2019年大統領選特報」が滞っているが、何とか今夜あたりに1本出せないかなと思っている。

 それに向けて資料に目を通している中で、ロシア『エクスペルト』誌2019年4月8-14日号(No.15)に出たA.スミルノフという人の解説記事を読んでいるところである。ロシアのメディアでウクライナ情勢をフォローするのは邪道かもしれないが、多少の偏りはあるような気もするものの、やはりそれなりに鋭い内容のものは多いと思う。

 それで、このスミルノフ氏の解説記事の中で、気になったのは、今回の大統領選に、ウクライナきっての大富豪R.アフメトフ氏の果たした役割である。スミルノフ氏によれば、V.ヤヌコーヴィチ時代の与党だった地域党の残党である「野党ブロック」が、今回の大統領選で分裂選挙になったのは、アフメトフがYu.ボイコを決選に進ませないように、O.ヴィルクルを担ぎ出したからだったという。というのも、各種世論調査によれば、現職のP.ポロシェンコが決選投票で勝てる相手は、ボイコしかいなかったからだ。アフメトフは、自らの事業地域が戦線で分断されていることが不満で、一向にドンバスに和平をもたらすことができないポロシェンコに苛立っており、政権交代を起こしたかったのだと、スミルノフ氏は論じている。

 私自身は、アフメトフはドンバス紛争で不利益は被ったものの、ポロシェンコ政権から有利な条件を引き出し、電力部門でそれを補って余りあるほどの利益をあげているので、ポロシェンコ体制の継続を望んでいると理解していた。なので、スミルノフ氏の見立ては、個人的に意外なものだった。


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