ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

カテゴリ: ウクライナ

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 若干ご紹介が遅れましたが、私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年12月号のご案内。12月号は、「制裁と成長の狭間で揺れるロシア経済」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回も私は脇役で、「制裁下ロシアの鉄鋼輸出動向」、「原料炭田喪失の危機に立つウクライナ鉄鋼業」という短い連載記事のみ書きました。


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 東部戦線で、ドネツク州の要衝、ポクロウシクをめぐる状況が芳しくないようだ。こちらの記事によると、「ポクロウシクのドブリャク市長は30日、露軍が同市まで約7キロの距離に迫っているとし、防衛の準備に向けて同市を『封鎖』すると発表した。ドブリャク氏は、ドネツク州のウクライナ軍の重要防衛線の一角であるポクロウシクを巡る攻防戦が近く始まるとの認識を示した形だ。ドブリャク氏によると、防御拠点を構築中の地区への住民の出入りを禁止するほか、住民避難を進める。市内には現在、子供55人を含む住民約1万2000人が残っている」ということである。

 それで、様々なメディアが、仮にウクライナがポクロウシクを失うと、同国の鉄鋼業にとっても大打撃となると伝えている。同市には、鉄鋼業に必要な原料炭を採掘する炭鉱があり、それを失えば、ウクライナ鉄鋼業が原料基盤を欠くことになるからだ。

 代表例として、英エコノミストのこちらの記事が、以下のように伝えている。2014年にウクライナがドンバスの半分を親露分離主義者に奪われ、炭鉱の80%が失われた。ウクライナ側に残ったポクロウシク炭鉱は1990年に開坑した比較的新しいもので、ウクライナ有数の富豪R.アフメトフが所有するメトインヴェスト社のものとなっている。メトインヴェストはすでに、マリウポリの2つの製鉄所とアウジイウカにあった欧州最大のコークス化学工場をロシアに破壊されている。そして今、彼はポクロウシク炭鉱も失う事態に直面している。ロシア指導部にとって、アフメトフの資産を標的にすることは、ウクライナ経済を弱体化させる以外に、復讐という意味もあると広く信じられている。2014年以前、クレムリンは間違いなく彼が分離主義やロシア側に付くと信じていた。彼がウクライナ側に付くと、クレムリンはこれを裏切りとみなし、彼の財産を差し押さえた経緯がある。ポクロウシク炭鉱は、関連する工場や管理棟と合わせて6,000人を雇用しており、そのうち約1,000人は現在軍に勤務している。ポクロフスク鉱山はウクライナ最大の原料炭の炭鉱で、ウクライナに残る鉄鋼業にとって不可欠だ。今年、同炭鉱で530万tの石炭を採掘する予定であった。2023年、ウクライナは620万tの粗鋼を生産した。しかし、マリウポリの2大製鉄所を失う前の2021年の粗鋼生産量は2,140万tだった。この年、ウクライナは世界第14位の鉄鋼生産国だったが、2023年には第24位に転落した。もっとも、ある専門家によれば、ロシア軍はウクライナに残る鉄鋼業に打撃を与えるために鉱山を奪う必要さえないという。彼らが前進するにつれて、電力供給を遮断し、石炭を西の残りの製鉄所まで運ぶ道路を封鎖しようとするだろう。そして、ウダチネの北18kmにあるドブロピリアの別の小規模鉱山でも同じことをするだろう。業界団体「ウクルメタルルフプロム」の代表先月、ポクロウシクの原料炭の喪失は鉄鋼生産量のさらなる悲惨な損失につながると述べた。今年の粗鋼生産量は750万tに達する可能性があるが、ポクロウシクが失われた場合には、200万tから300万tになってしまうと、代表は述べた。ロシアはそれを知っているのだ。


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 社会科教科書でお馴染みの帝国書院が発行している冊子『地歴・公民科資料 ChiReKo』の2024年度2学期号に、「ロシア・ウクライナ産業紀行 ―ありし日の情景をめぐって」と題するコラムを寄稿しました。無料でお読みになれますので、よかったらご笑覧ください。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年11月合併号のご案内。11月号は、「20年の節目を迎えた『中央アジア+日本』」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回は私は完全に脇役で、「ロシアが描く強気の経済・財政想定」、「ウクライナはこの冬の電力危機を耐え抜けるか」という短い連載記事のみ書きました。


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 こちらの記事が、ウクライナの鉄鉱石輸出の動向につき整理してくれていて、重宝する。上図に見るとおり、鉄鉱石輸出は昨年の終盤頃から拡大に向かい、今年5月くらいまでは順調に推移したが、ここ3~4ヵ月ほどは勢いを失っている。

 昨年終わり頃からウクライナの鉄鉱石輸出が拡大したのは、ロシアに握りつぶされた「黒海穀物イニシアティブ」に代わり、ウクライナが独自の黒海輸出回廊を確保し、遠い外国への鉄鉱石輸出が可能になったからだった。ウクライナにとり伝統的に鉄鉱石の2大輸出先は中国と中東欧諸国だが、ロシアによる侵攻後は陸続きの中東欧諸国にしか輸出できず片肺飛行だったものが、独自の輸送回廊開設で、それを打開したのだった。

 その輸送回廊はまだ機能しているのだが、それでもここに来てウクライナの鉄鉱石輸出に陰りが見えるのは、今回の記事によると、世界的な需要の減退によるものである。特に、世界の鉄鋼生産の半分あまりを占める中国での需要減が痛く、EU諸国も同様に需要は鈍っているという。


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 以前からだが、特に今年に入ってロシアはウクライナの電力インフラに執拗な攻撃を加えており、ウクライナの電力供給体制に深刻な脅威が発生しており、需要の高まる冬に向け不安が広がっている。本件は、戦争の行方そのものも左右しかねない要因になりつつある。

 ウクライナの電力網は現在、欧州のそれと接続されているので、国内の供給が低下した場合に、欧州近隣国から輸入するのが一つの対策となる。それに関し、ウクライナの「エクスプロ・コンサルティング」というところがこちらのページで有益な情報を発信しているのに気付いたので、これを取り上げてみたい。同社では上図のとおり、ウクライナの相手国別電力輸入量のデータを毎月更新し、グラフにして発表しているようである。

 記事によれば、最新の2024年8月に関しては、電力輸入量は低下した。8月は前月に比べ電力輸入量が43%低下し、47.4万MWhとなった。ポーランドからの輸入が最も減少し、57.5%減の4.8万MWhとなった。ハンガリーは引き続き輸入量の43%を占めている。ただ、2024年8月の輸入量は、前年同月と比較すると、4倍に増加している。2024年6~8月には計210万MWhの電力が輸入されたが、これは2023年通年の総輸入量のほぼ3倍である。今年の電力輸入のピークは6月で、85.8万MWhだった。なお、2024年5月12日以降、電力の輸出は行われていない。


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 あまり趣味の良い研究テーマではないかもしれないが、私はロシアがウクライナから奪った領土(いつまで支配できるのかは知らないが)をどのように経済再建しようとしているかについて観察したいと思っている。

 それに関連し、こちらの記事が、ドネツク冶金工場の再生の動きにつき伝えているので、以下要旨を整理しておく。

 記事によると、ドネツク冶金工場は1872年に設立されたドンバスで最も古い企業のひとつである。銑鉄、粗鋼、鋼管、スラグ形成混合物の生産を専門としている。2014年以来、ウクライナ側からの攻撃と経済封鎖のため、操業停止を繰り返してきた。

 今年3月末、工場はテクノロジカル・インヴェストメンツLLCという投資家にリースされた。「ドネツク人民共和国」のYe.ソンツェフ首相は6月、冶金産業の復興が同共和国の優先課題であると述べていた。

 そして、同工場は8月に約2万2,600tの製品を生産した。同社のモスカリョフ第一副社長によると、4月に新投資家が工場に乗り込んだ時点では、原料の在庫がゼロだったにもかかわらず、2024年4~8月の生産量を3倍以上に拡大した。

 こうした成果を達成できたのは、とりわけ原料供給源の多様化によるものだという。現在、工場の主要製品は連続鋳造ビレットとなっている。


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 今般の英国出張中、ロンドン中心部を歩いていたところ、王立芸術院付属の美術館で、「In the Eye of the Storm:Modernism in Ukraine, 1900–1930s」という企画展をやっているのが目に留まった。美術に関しては完全な素人ながら、地域研究者として観ておくべきだろうと思い、後日時間を見付けて見学してみた。

 王立芸術院のこちらのページに、展示の趣旨・概要は出ている。説明を抄訳しておくと、

 1900年代から1930年代にかけてウクライナで制作された画期的なモダニズム芸術に驚嘆せよ。

 ウクライナのモダニズム運動は、崩壊する帝国、第一次世界大戦、独立の戦い、そして最終的なソビエト・ウクライナの成立を背景に展開された。このような大変動にもかかわらず、この時期は大胆な芸術的実験が行われ、ウクライナの芸術、文学、演劇が真に繁栄した時代となった。

 この時代にウクライナに存在した様々な芸術様式と文化的アイデンティティを紹介するこの展覧会は、ウクライナの現代美術に関する英国で最も包括的な展覧会になる。油絵、スケッチからコラージュ、劇場デザインまで、65点の作品をご覧いただきたい。作品の多くはウクライナ国立美術館とキーウのウクライナ演劇・音楽・映画博物館から貸し出されたものである。

 カジミール・マレヴィチ、ソニア・ドローネ、アレクサンドラ・エクスター、エル・リシツキーといったアーティストから、オレクサンドル・ボホマゾフ、ミハイロ・ボイチュークといったあまり知られていないアーティストまで、それぞれがこの国の芸術と文化に忘れがたい足跡を残した。

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 私としては、やはりウクライナ国民史という観点からの関心となる。個人的には、過去に存在したものを、なんでもかんでも、今日のウクライナ・ナショナリズムに結び付けるようなアプローチには、疑問を覚える。それでも、かつてこの地に存在した芸術運動と、それが秘めていた可能性を掘り起こすことには、意味があるだろう。この企画展は、声高に政治的な主張をするのではなく、作品に語らせることで、ウクライナの問題を問うているように思えた。

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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年9-10月合併号のご案内。9-10月号は、「ウクライナ復興と企業の役割」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 服部は今回は、特集に合わせて、「ウクライナ自活の鍵を握る黒海穀物輸出」、「再建の賛否分かれるカホフカダム」を執筆しました。また、特集の枠外では「軍需主導の成長が続くロシアの鉱工業生産」という記事を書いています。


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 ロシア国営通信社の記事でウクライナ情勢をフォローするのはあまり適切でないが、こちらの記事が気になったので以下のとおり抄訳しておく。私は目下EUは無条件にウクライナからの全商品に対する輸入障壁を時限的に撤廃していると理解していたのだが、食品については関税割当(一定量までは無税で輸入できるが上限を超えると関税が課せられる仕組み)が復活したようで、この記事ははちみつのそれについて主に伝えている。

 欧州委員会は、割当量を超過したため、ウクライナからEUへのはちみつの無税輸入を停止した。欧州委員会では、2024年1月1日からのはちみつの輸入量が、2024年6月6日に採択された修正優遇措置(ATM)に規定されていた枠(44,417.56t)を超えたとしている。委員会によると、割当量を超えた時点で無税優遇措置は自動的に停止される。そして、2024年8月21日から2025年6月5日までの対ウクライナはちみつ輸入は、DCFTAに規定された割当量と関税の範囲内で、すなわち2016年以降の通常の体制で行われることになる。

 EUのウクライナからの農産物無関税輸入制度は2022年春に打ち出され、2023年に延長され、2024年6月5日には再び大々的に1年間延長された。しかし、農民の抗議運動からの圧力を受け、ブリュッセルはこの文書に、ロシアによる侵攻前の平均輸入量に基づく量的制限を盛り込み、それを超えると関税は自動的に復活することになった。早くもその2週間後の6月19日には、オート麦と穀物挽割り、さらにトウモロコシに対する関税が、そして7月2日には砂糖と卵に対する関税が復活していた。


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 いつも不思議に思うのだが、ウクライナの組織は、公式ウェブサイトでなく、フェイスブックページで有益な情報を発信する傾向があるのではないかと思う。私が以前から統計データを利用していたウクライナ港湾管理局などは、公式HPにはほとんど見るべき情報が載らない。それに対し、フェイスブックページには、貨物輸送動向などの最新情報が定期的に掲載される。

 今般も、そのFBページに、興味深い図解資料が出たので、それを紹介してみたい。まず上図は、ロシアによる全面軍事侵攻開始後に、ウクライナの食料を黒海の港から運び出せなくなり、それを見かねた国連とトルコの仲介で、ロシア、ウクライナ、国連、トルコによる合意「黒海穀物イニシアティブ」が成立し、その下で行われた大オデーサ港からの食料輸出量の月別推移を示している。2022年9月から、合意が有効だった2023年7月16日まで。

 ところが、ロシアは黒海穀物イニシアティブに様々な難癖をつけ、2023年7月に合意を葬ってしまった。ただ、その頃には、ウクライナの執拗なドローン攻撃で損害を受けたロシアは黒海艦隊をあらかた東方のノヴォロシースク方面に退避させており、黒海西方ではロシア軍の脅威が低下した。それを受け、ウクライナは独自に黒海西岸沿いを進む輸出回廊を開設した。下図は2023年9月16日~2024年8月16日の輸送量だが、黒海穀物イニシアティブが有効だった時期より輸送量は拡大しており、しかも以前のように食料(図で黄色い部分)だけでなく、鉄鉱石・鉄鋼などその他の貨物(グレーの部分)も運べるようになった、というわけである。

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 こちらの記事によると、ウクライナのT.カチカ経済次官(通商代表)が、2024年上半期のウクライナの貿易動向につき語ったということなので、それを整理しておく。

 カチカ次官によれば、2024年上半期のウクライナの商品輸出額は195億ドルであり、これはかなり低い数字であり、外貨収入は今のところ芳しくない。他方、上半期の輸入額は330億ドルだった。かくして、上半期の貿易収支は135億ドルの赤字で、毎月20億ドル強の赤字を出していることになる。これは通商代表を務める私にとっては悪い実績だ。貿易をバランスさせることが重要であり、赤字を避けつつ、貿易を拡大するようにしたい。カチカ次官は以上のように述べた。


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 ロイターがこちらで伝えているとおり、S&Pは8月2日、ウクライナの信用格付けを「選択的デフォルト(債務不履行)」に引き下げた。ウクライナが大規模な債務再編の最終段階に着手する中、外国債券の支払いを期日に行わなかったことを受けたもの。3,400万ドル相当の利払いが、1日に期限を迎えた。10日間の支払猶予期間内であるものの、ゼレンスキー大統領が債務再編が完了するまで債務返済停止を可能にする法律に署名したことを踏まえ、支払いが行われる可能性はほぼないとS&Pは判断した。S&Pは債務再編が実施されれば、ウクライナの格付けをいったんデフォルトに引き下げた上で、新たな条件などに応じてCCCかBに引き上げる可能性があるとしている。2022年のロシアによる侵攻前はウクライナの格付けはBだった。

 さて、ウクライナ債務問題の全体像を分かりやすく示したような図解資料などがないかと思って探したのだが、見付かったのはロシア・タス通信のこちらの図解資料くらいだった。ウクライナ事情をロシアメディアでフォローするのはあまりよろしくないが、まあ差し当たりこれを参照しておくことにする。

 この資料は主に上図のとおりウクライナの国家債務残高の対GDP比の推移を見たものである。2024年5月31日現在で債務残高は1,431.5億ドルであり、対GDP比は94%となっている。ただし、意外にも、ロシアによる全面軍事侵攻が始まって以降、激増したという感じにはなっていない。債務残高の内訳は、対外債務が1,027.5億ドル、対内債務が404億ドルである。

 債権者の主な内訳は下に見るとおり。なお、私の理解によれば、ここに米国の名が登場しないのは、米国の対ウクライナ支援が融資ではなく無償援助だからだろう。

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 欧米からウクライナに供与される戦闘機F-16がウクライナに届けられたという情報が伝えられているが、こちらの記事の中でロシアのD.スースロフ氏という専門家が本件につき論評しているので、以下要旨を整理しておく。スースロフ氏は、高等経済学院欧州・国際複合研究センターの副所長で、かつヴァルダイ・クラブのフェローを務める。

 スースロフ氏いわく、F-16は、破壊される可能性を最小限にするため、ウクライナの西部地域に保管されるだろう。ロシアはもちろんF-16を探し始めるだろう。F-16の損失はウクライナと西側諸国にとって非常に悪い評判となるため、F-16の損失を最小限に抑えるために、できるだけ前線から離れた場所に保管することになるだろう。ウクライナにF-16が納入されても、質的な変化にはつながらない。受け取る戦闘機の数が少なく、配備する場所も難しいため、戦場の戦力バランスが変わることはない。F-16は、防空の手段として、またロシアの陣地に対する長距離攻撃の手段として使用されるだろう。F-16譲渡の決定は以前に下されたため、配備によりロシアと欧米の関係が影響を受けることはない。ただし、エスカレーションのリスクは高まり、ロシアとNATOの直接的な軍事衝突に一歩近付いた。ウクライナに譲渡されたF-16が、NATO加盟国の飛行場にも配置される可能性があるため、紛争がエスカレートするリスクが高まる。F-16が核兵器の運搬機でもあることから、ロシアとしてはF-16と一緒にウクライナに核兵器が譲渡される可能性につき提起することになるだろう。スースロフは以上のようにコメントした。


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 先日、「カホフカダム決壊から1年 再建には異論も」という話題をお伝えした。その問題に関しては、ウクライナ水力発電公社のI.シロタ総裁も、最新のこちらのインタビュー記事の中で、(職務上、当然のことながら)再建は絶対に必要という考えを示している。

 さて、このインタビュー記事の中で、注目されたのは、総裁が、以前から計画されていたカニウ揚水式発電所を、地下に建設することによって、ロシアの攻撃に備えたいとの考えを示したことである。地下に発電所を建設するなどと聞くと、だいぶ突飛に聞こえるが、揚水式発電所の場合には、むしろよくあることのようだ。総裁によると、ロシアによる全面軍事侵攻開始後、ウクライナの水力発電施設は120回も攻撃を受けており、カホフカダムの決壊という大惨事も起きた。そこで、攻撃するのが不可能な地下の発電インフラとして、地下揚水式発電所を有望視しているということのようだ。


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 具体的な証拠があるわけではないが、おそらくロシア側の破壊により、ドニプロ川下流のカホフカダムが決壊したのは、2023年6月6日のことだった。それから1年あまりが経過した。

 個人的なことだが、最近、英エコノミスト電子版の購読を始め、同誌にカホフカダムの再建問題に関する興味深い記事があった。それによると、周辺地域の灌漑用水が失われるなど、確かにダム破壊は多大な問題を引き起こした。

 しかし、記事によると、環境活動家などの間には、ダムを再建すべきでないとの意見もあるという。そもそも、ドニプロ下流にユニークな環境が広がっていたところに、ソ連当局がダムを建設したこと自体が、間違いであった。昨年のダム破壊後、自然は驚くべき回復力を示しており、このまま手を付けなければ、3~5年以内に森林、葦原、浅い湖からなる「モザイクの風景」が形成されるとして、彼らはダム再建に異論を唱えている。


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 ロシアとウクライナの戦争は、「非対称戦争」だなということを感じるわけである。国家・経済・人口の規模は、ロシアの方がかなり大きい。黒海という海域一つとっても、2014年以降、ウクライナは海軍戦力らしきものは持ち合わせず、栄光のセヴァストーポリ港を拠点とする黒海艦隊を有するロシアに敵うはずはないと思われた。ところが、昨日の穀物輸送の話でも述べたが、ウクライナの手作り水中ドローンがかなり効果を発揮し、これ以上損害を出したくないロシアは、黒海艦隊を東方のノヴォロシースク方面に退避させ、結果ロシアが黒海西部の制海権を握る状況ではなくなっている。

 それに関連して、興味深かったのは、こちらの記事である。ロシアは、自爆したウクライナの水中ドローンの断片をかき集め、それを模倣して、自らもウクライナを攻撃するための水中ドローンを生産しようとしているというのである。

 しかし、記事によれば、そもそもウクライナ側は人間が乗るような艦船は持ち合わせていないわけだから、仮にロシアがウクライナを模倣して水中ドローンを手に入れても、ターゲットとするウクライナの標的が存在しない。ロシアによる水中ドローン模倣作戦は、少なくとも現状ではまったく的外れであり、資源の無駄遣いであると、記事では指摘している。

 ウクライナ側には水中ドローンで攻撃すべきターゲットがあるが、ロシア側にはそれは存在しない。やはり、非対称戦争だなとの思いを、強くするわけである。


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 私は、ウクライナの穀物輸出ルートの問題をずっと追ってきたわけだが、戦時下の状況に関しては、断片的なデータが飛び交うばかりであり、網羅的なデータにはなかなかお目にかかれなかった。

 そうした中で、今般見付けたのは、ウクライナの経済戦略センターというところが定期的にとりまとめているらしいグラフである。こちらのフェイスブックページに、2024年6月までのルート別穀物・採油作物輸出量の最新版が出ていたので、凡例に日本語をかぶせ、上掲のとおりご紹介することにする。

 いやホント、個人的にここまで全体像が良く分かる資料というのは、初めて見た。要するに、元々ウクライナの穀物輸出は圧倒的に黒海港湾(大オデーサ港およびミコライウ港)からが多かった。それが、ロシアの侵攻開始でストップし、従来はマイナーな存在であったドナウ川港湾にシフトしたものの、それにも限界があった。また、鉄道およびトラックという陸路で周辺の中東欧諸国にウクライナ産食品が溢れ、軋轢を生むことにもなった。その状況を見かね、国連およびトルコの仲介により黒海穀物イニシアティブが成立、2022年8月から黒海港湾経由輸出が復活したものの、その合意も2023年7月にロシアが握り潰し、黒海港湾輸出は再び暗礁に乗り上げる。しかし、その頃にはウクライナのドローン攻撃でロシア海軍による脅威が後退し、ウクライナは独自の黒海輸送路を開設、ウクライナはロシアの協力を得ずとも大オデーサ港から食料を輸出できるようになって(鉄鋼・鉄鉱石の海路輸出も復活)、現在に至るというわけである。まあ、その構図自体は知られていたが、それをここまで具体的に図示した資料は貴重である(欲を言えば各項目のデータラベルを付けてくれれば…)。


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 これは日本の報道などでも話題になっていたので、取り上げることにした。と言っても、グラフをお見せする程度だが。キーウ国際社会学研究所のこちらのページに、領土の譲歩に関するウクライナ国民の最新意識調査が出ているので、以前作成したグラフを更新してお目にかける。

 より正確に言うと、「ウクライナは、そのために戦争が長引き、独立喪失の脅威が生じたとしても、自国の領土を絶対に譲歩すべきではない」、「ウクライナは、速やかな和平と独立保持のために、自国の領土の一部を譲歩しうる」という二択の設問になっている。上図のとおり、昨年暮れ頃から譲歩論がじわりと広がり始め、最新の5月の調査では32%に達した。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年8月号のご案内。8月号は、「ロシア・NIS貿易と物流ルートの再構築」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回は私は完全に脇役で、「東方シフト2.0の行き着く先は?」、「占領されているのはウクライナ領土の17.57%」という短い連載記事のみ書きました。服部倫卓・吉田睦編著『ロシア極東・シベリアを知るための70章』の書評も掲載していただきました。


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 こちらの記事によると、現在ウクライナやルーマニアなどの黒海沿岸地域では気温が40℃を超えるような強烈な熱波が発生しており、作物に深刻な被害が出ている。

 記事によれば、ルーマニア政府は本年、農家、特にトウモロコシとヒマワリの栽培農家に対して、5億ユーロの補償を検討しており、一部はEUから支給される。それに対し、戦時下3年目のウクライナには、そのような手段はない。代表的な事業者のカーネルは、この暑さが8万ヘクタールに作付されたトウモロコシの一部を駄目にしていることを明らかにしている。ウクライナの気象当局は、この熱波によってトウモロコシの収穫量が30%も減少すると予想、「この暑さに耐えられる穀物栽培方法はない」とコメントしている。とうもろこしの生産量が落ち込むと、備蓄が打撃を受け、国際的に飼料コストが高騰する可能性がある。アフリカへの穀物輸出を含め、食料安全保障に対する広範なリスクが露呈することになる。


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 ウクライナ・ドネツク州のエナキエヴェ(ロシア語読みではエナキエヴォ)は、早くも2014年以降のドンバス紛争で親露派側に占領された。同市の中核企業であるエナキエヴェ冶金工場は、2020年から操業を停止していた。ところが、こちらの記事によると、占領側のロシアは、この製鉄所での高炉生産を再開しようとしている。

 記事によると、プーチン大統領は7月15日、リモート形式で、ロシアの一連の鉄鋼関連事業所の開所式に立ち会った。これは7月21日がロシアで冶金産業の日に指定されていることにちなんだものである。そして、今回操業開始を遂げた一連の事業所の中に、自称「ドネツク人民共和国」に所在するエナキエヴェ冶金工場の第5高炉も含まれていた。

 プーチン大統領は、エナキエヴェの高炉生産により年間100万t以上の粗鋼生産が可能になり、同工場では4,500人もが働いており、2023年の両人民共和国における冶金生産は前年比30%伸びたなどと指摘した。


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 2023年7月にロシアが「黒海穀物イニシアティブ」を握りつぶし、黒海を通じたウクライナの食料輸出に暗雲が垂れ込めたが、ウクライナのドローン攻撃でロシア黒海艦隊の脅威が後退したことから、その後ウクライナは独自の黒海輸送回廊を通じた輸出を敢行している。

 とはいえ、周辺海域では機雷の危険性が残っている。そこで、トルコが主導し、ルーマニアとブルガリアが協力する形で、3国共同で掃海作業を実施し、ウクライナからの食品輸出の一層の安全確保を図ることとなった。

 今年1月のこちらの記事によると、3国によるこの動きは、ロシアが2年近くにわたってウクライナに侵攻した結果、黒海の特定地域に漂着した機雷を除去することを目的としている。二次的な動機は、この地域の緊張をエスカレートさせないために、米国や英国を含む他のNATO加盟国を安全保障の取り組みから除外することである。ウクライナは2023年9月中旬以降、黒海回廊を通じて食料を中心に1,500万tの貨物を輸送している。また、予想を上回る豊作だった2023年の収穫高をさばくためにも、輸出の増強が必要とされている。2022年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始して以来、黒海諸国による初の大規模な共同行動となる覚書が1月11日にイスタンブールで調印された。kの枠組みに参加する3カ国はすべてNATO加盟国だが、このイニシアティブはNATOの作戦とはみなされていない。トルコは、米国を含む他のNATO諸国が黒海に海軍部隊を派遣することに反対している。トルコは先週、英国がウクライナに寄贈した2隻の機雷掃海船の通航を、戦争が進行している限り許可しないと述べた。

 そして、最新のこちらの記事によると、トルコ・ルーマニア・ブルガリア3国共同による機雷撤去作業が、このほど実際に始まった。背景として、昨年、ウクライナの主要港であるオデーサ港付近でロシアのミサイル攻撃が商船を直撃し、乗組員に死傷者が出た。大手カーギル社がチャーターした船も、11月にウクライナの港から航行中に爆発で損傷した。ウクライナは3月、黒海の港からの輸出量は、ロシアの全面侵攻以来繰り返された攻撃と混乱の後、ほぼ戦前の量に戻ったと発表した。それでも、オデーサ周辺の港湾はロシアからの頻繁な攻撃に直面しており、活動の中断が続いている。2023年8月に黒海回廊が開通して以来、ウクライナはオデーサ、チョルノモルシク、ピヴデンヌィから3,740万tの農産物を輸出していると、ウクライナ・インフラ省が先週発表した。


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Light

 私自身が登壇するわけではないのですが、ぜひ紹介したい講演があります。このほど来日した政治学者のオレーナ・ニコラエンコ教授が、7月25日(木)16:30~18:00に「ロシア・ウクライナ戦争への女性の参加(Women's Participation in the Russia-Ukraine War)」と題する講演を行います。ニコラエンコさんは、ドネツク州出身で、現在はニューヨークにあるフォーダム大学で教鞭を執っています。様々な角度から論じられてきたロシア・ウクライナ戦争ですが、女性の参加という観点からの報告は新しく、教えられるところが多いのではないかと思います。通訳なしの英語での発表とはなりますが、対面に加え、リモート視聴も可能ですので、ぜひこちらからお申込みください。

 そのニコラエンコさんは、7月末に東京に出向き、7月29日(月)15:00-16:30に東京大学先端科学技術研究センターにおいて、「ウクライナとベラルーシにおける女性と革命(Women and Revolutions in Ukraine and Belarus)」と題する講演を行います。コメンテーターが、東野篤子さん、小泉悠さんと豪華ですので、お2人のファンの方もぜひチェックしてください。こちらは対面のみとなっており、お近くの方はぜひこちらからお申し込みください。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年7月号のご案内。7月号は、「世界需給に影響を及ぼすユーラシアの資源」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 服部は、今回は短い連載記事のみで、特集の枠内で「対ロシア・ダイヤモンド制裁の効果のほどは?」を、枠外で「中銀資料にみるウクライナ経済の現況」を寄稿しました。


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uo

 先日、「GMK Centerがウクライナ鉄鋼業につき有益な資料発表」という話題をお届けしたが、また関連する情報を取り上げたい。やはりGMK Centerが、こちらに見るとおり、ウクライナの鉄鉱石輸出に関する情報を発信した。

 上図に見るとおり、今年に入ってから、ウクライナの鉄鉱石輸出は、前年を大きく上回るペースで推移している。ざっくり言うと、ウクライナの鉄鉱石輸出では伝統的に、中国と、近隣の中東欧諸国が2大市場となってきた。このうち、近隣の中東欧諸国へは陸路で輸出できるからいいが、遠隔市場の中国向けは海路で運ばざるをえず、ロシアの軍事侵攻以降、中国向けがストップしていたのだ。例の黒海穀物イニシアティブは、貨物が食料に限られたので、中国向けの鉄鉱石を載せるわけにはいかなかったわけだ。

 それが、現状でロシア海軍による脅威が黒海の西側エリアで遠のいたことで、昨年の秋以降ウクライナは、独自の黒海輸送回廊を構築し、それにより食料のみならず鉄鋼や鉄鉱石も船で出荷できるようになった。その結果、中国向けの鉄鉱石輸出も復活したわけで、上掲グラフに見る鉄鉱石輸出の伸びは、間違いなくその効果によるものであろう。


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 Yahooに出た「プーチン氏、ウクライナに4州からの軍撤退要求-和平の条件提示」という記事に、コメントした。

 その際に、現時点で実際にロシアが当該4地域のどれだけを占領し支配しているのかを確認したいと思い、調べたところ、こちらの記事が一番分かりやすかったので、それを使った。併合手続きから1年を経た昨年9月30日現在の状況を示したものであり、その後ドネツク州でロシア側が若干支配地域を広げたりしたことはあったと思うが、まあそんなに大きな変化はないはずだ。

 この資料によれば、ロシア側が占領していたのは、ルハンシク州の99%、ドネツク州の58%、ザポリージャ州の72%、ヘルソン州の82%ということだった。ただし、ヘルソン州に関しては、テキストでは82%としながら、上掲地図のように、図中では81%になっている。

 なお、Yahooのコメントに「参考になった」をいただけると、励みになります(笑)。


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uasteel

 金属産業を得意とする調査機関のGMK Centerが、こちらのページに見るとおり、Economic Impact of Iron & Steel Industry of Ukraine 2023という資料を発表した。基本点が要領良くまとめられており、英語で読めるということもあり、重宝するだろう。

 特に、上掲の地図などは秀逸だ。ウクライナに元々あった鉄鋼業関連のアセットのうち、2014年以降のドンバス紛争により失われたもの、2022年以降の全面軍事侵攻で失われたり破壊されたもの、現時点でまだキーウ側が維持しているものが、区別して示されている。

 ちなみに、2013年、2018年、2023年で、ウクライナ鉄鋼業の指標は以下のように変化したということである。キャパシティがある程度残っていても、港からの輸出ができなかったり、停電が起きたり、原料炭が手に入らなかったりで、稼働率はかなり下がっている。

  • 製鉄所の数:12→9→6
  • 粗鋼生産キャパシティ:4,200万t→2,700万t→1,780万t
  • 粗鋼生産量:3,270万t→2,100万t→620万t

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 こちらの記事によると、このほど、ウクライナ産の穀物の輸送ルートとして、ウクライナの広軌鉄道から、ルーマニアの欧州標準軌鉄道に積み替えるターミナルがオープンしたということである。穀物は、最終的にはルーマニア最大のコンスタンツァ港まで運ばれ、そこから輸出向けに船積みされる。

 記事によると、積み替えターミナルは、ウクライナとの国境に近いルーマニア・スチャヴァ県のドルネシティに開設された(上掲地図参照)。ヨーロッパ最大規模の穀物積み替えターミナルとなる。

 この施設の建設には、ルーマニアのグランペット・グループが約1,000万ユーロを投じた。 グランペット・グループの代表によると、このターミナルは年間300万トンの穀物を積み替えることができ、コンスタンツァ港への輸送ルートにおける要衝になるという。8両の貨車が同時に積み下ろし・荷積みできる。

 ターミナルの開設により、ルーマニアの道路輸送網への負荷が軽減され、輸送の安全性が確保される。このターミナルはまた、ウクライナの穀物がルーマニア市場に流入し、地元農家の商品と競合するのを防ぐのにも役立つと期待されている。


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 こちらに見るとおり、ウクライナ中央銀行が、最新の経済概況を発表した。この中で、最近のロシアによる攻撃で電力インフラが破壊されている問題への言及があるので、以下紹介したい。

 ウクライナ中銀によると、この春にはエネルギー部門を中心に重要なインフラ設備が破壊された。これらの設備を短期間ですべて復旧させることは不可能であり、既存の発電設備も計画的な修理が必要である。そのため、各地域で定期的な電力不足が発生し、当然ながら経済回復の妨げとなる。我々が2024年のウクライナの経済成長率見通しを3.6%から3.0%に下方修正したのは、まさにこのエネルギー部門の損失のためである、ということである。


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