ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ロシア

 昨年6月にジョージアで反ロシア・デモが発生し、プーチン大統領がロシア・ジョージア間の直行便禁止、旅行会社によるジョージア商品販売自粛を命じたことで、近年観光立国として成長が目覚ましかったジョージアが窮地に陥ったかと思われた。本件については、7月に「反ロシアデモ勃発で観光立国ジョージアが直面する試練」と題するコラムを発表している。このほど、ジョージア観光庁から2019年のインバウンド観光実績のデータが発表されたので、答え合わせをしてみたい。

 ジョージアを訪問した観光客の国別内訳をまとめたのが、下図になる。結論から言えば、2019年にジョージアは773万人の外国人観光客を受け入れ、前年を上回っただけでなく、過去最高記録となった。そして、注目すべきことに、ロシアからの観光客も、2019年通年では、前年を上回っている。

423

 しかし、2019年上半期の勢いからすれば、ロシアからの観光客はもっと増え、それにつれてジョージアのインバウンド全体ももっと伸びるはずだったのである。下図に見るとおり、反ロシア・デモが起きて以降、ロシアからの観光客が目に見えて減少し、書き入れ時の夏に思うように稼げなかったことが分かる。上半期の勢いからすれば、2019年の国別の内訳でロシアがトップになるかと思われたが、終わってみればアゼルバイジャンにその座を譲った。

422

 しかし、上図を見ると、ロシアからの客足は徐々に戻っており、12月には前年同月を上回っていたことが確認できる。危機的な状況は、ひとまず乗り切ったと見ていいかもしれない。

 それに関連して、重要なポイントは、ロシア・ジョージア間の直行便がどうなったかである。調べてみたのだが、「まだ禁止されたまま」、「すでに飛んでいる」、「2020年前半に復活する」など様々な情報が飛び交っており、正確なところが確認できなかった。ただ、昨日トビリシ空港の運航状況をチェックしてみたところ、下に見るように、モスクワからトビリシにジョージア航空の直行便が飛んでいるようなのである。摩訶不思議だ。

421

 訂正:その後、さらに調べてみたところ、下に見るように、モスクワ→エレヴァン、エレヴァン→トビリシと、1回乗り換えることが判明した。ということは、やはりまだ直行便は飛んでいないという理解でいいのか。

425

ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

129

 こちらのページに見るとおり、世銀のGlobal Economic Prospectsの最新版(2020年1月版)が発表されたので、その中からロシア・NIS諸国の経済見通しの部分を抜粋して上表のとおりお目にかける。

 最大国のロシアに関して言うと、前回2019年6月に発表された経済見通しと比べ、2019年についてはプラマイゼロだったが、2020年の予測が0.2%ポイント下方修正された。この地域においては、ロシアがその低成長によって地域全体の景気の足を引っ張るという現象がすっかり定着している(ロシアへの依存度が強く経済がより脆弱なベラルーシの成長率はさらに低いが)。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

128

 昨年GLOBE+に書いた「ロシア版の新幹線計画がまさかの大迷走」というコラムは、幸いにして多くの読者に読んでいただけたようだ。ただ、サンクトペテルブルグ路線とカザン(当面はニジニノヴゴロドまで)路線が競合し、2019年末までにどの路線にGOサインを出すのか最終結論を出すと言われていたにもかかわらず、結局年内には明確な決着が着かなかったようで、相変わらず雑多な情報が飛び交っている。以下では、雑駁になるが、11~12月に出た報道を整理しておく。

 11月半ばのこちらの記事によると、ロシア運輸省は、サンクトペテルブルグ~モスクワ~ニジニノヴゴロド高速鉄道プロジェクトを、ナショナルプロジェクトの一環である「インフラ近代化総合計画」に追加で盛り込むことを主張している。ティトリフ運輸相が11月12日に述べた。モスクワ~ニジニノヴゴロドについてはすでに総合計画に盛り込まれている。まず2024年までにモスクワ~ニジニノヴゴロドを完成させ、サンクトペテルブルグ~ニジニノヴゴロド全体は2026年開通を目指す。モスクワ~ニジニは421kmで費用5,300億ルーブル、モスクワ~ペテルブルグは659kmで費用1.59兆ルーブルと想定されている。

 こちらに見るとおり、プーチン大統領は11月に出席した経済フォーラムで高速鉄道についてのビジョンを尋ねられ、以下のように回答した。「私の立場は、市場的なもので、試算が必要だ。長いこと試算をしているのは事実だが、それでも必要だ。我々は高速鉄道が多くの国で発展していて、その経済的成果というものも知っている。どんなやり方が我が国にとって最適なのか、最終的な決定を下さなければならない。高速鉄道なのか、それとも単なる急行列車にするのか。貨物、旅客の兼ね合いもある。資金は割り当てられており、拠出は基本的に可能だ。国民福祉基金からも可能である。それをどう回収するかというのが肝心である。遠い将来ではなく、せめて中期的に回収できるようにすべだ。これが事業の前提である。」

 12月12日のこちらの記事によると、オレーシキン経済発展相は、モスクワ~サンクトペテルブルグ高速鉄道に公的資金を投入することは可能である、しかしそれはプロジェクトの正確な総額が明らかになった後のことだ、現時点では政府は費用を1.5兆ルーブルと見積もっている、などと述べた。

 12月23日のこちらおよびこちらによると、㈱ロシア鉄道はモスクワ~サンクトペテルブルグ路線建設の設計・予算文書案を、2022年までに策定することになった。ロシア鉄道ではモスクワ~ペテルブルグ、モスクワ~ニジニを一体のプロジェクトと位置付けており、その総額を2.3兆ルーブルと見ている。ニジニ路線は2024年、ペテルブルグ路線は2026年の開通を見込む。

 12月27日のこちらの記事によれば、ゴーリキー鉄道管区の次長代行は、モスクワ~カザン高速鉄道中止という決定は下されておらず、その設計作業はまだ続けられていると発言した。

 一方、だいぶ趣が異なる情報になるが、12月10日のこちらの記事によれば、ロシア・ベラルーシ連合国家の枠内のプロジェクトとして、サンクトペテルブルグからドイツのハンブルグに至る高速鉄道(「マギストラーリ」という名称)を建設する計画が検討されているという。連合国家のラポタ国家書記(同氏はロシア側の代表)が明らかにした。同氏は、ロシアではモスクワ~カザン高速鉄道計画があるが、我々は高速鉄道網の西部分を推進し、その際に主として民間資金に依拠する別のモデルをとることにした、潜在的なステークホルダーとはすでに交渉しており、ドイツ鉄道、ドイチェバンク、シーメンスから成るドイツのコンソーシアムの参加が想定されている、ハンブルグ市および港湾当局とも協議している、環境を重視する欧州の潮流にも合致する、ポーランドとはまだ直接交渉はしていないが好感触は得ている、費用は400億ユーロを要すると見られる、などと述べた。また、ロシア科学アカデミーのセルゲエフ総裁は、もしも欧州側に委ねるとミンスク~ベルリンだけで高速鉄道が建設されてしまい、そうなると貨物のコントロールはEUに移り、ロシア~ベラルーシ間では高速鉄道ができなくなってしまうので、連合国家の軸となる高速鉄道を建設して地域の貨物および旅客の流れをコントロールできるようにすべきだと主張している。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

0091

 GLOBE+に、「まだだいぶ遠いロシア全地域制覇への道」を寄稿しましたので、ぜひご笑覧ください。

 新年第1回のコラムは、まだお屠蘇気分が抜け切っていないということで、シリアスな内容ではなく、気軽な話題をお届けいたします。筆者はここ15年くらい、所属団体の業務として、ロシアの地域開発、経済特区、工業団地を調査する事業を、毎年のように担当してきました。その現地調査のために、ロシアの地方を訪問する機会が、数多くありました。気付けば、結構な数のロシアの地域を訪れてきたなあという感じがします。ですので、今回のコラムではその行脚の記録を披露してみたいと思います。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

414

 昨年の12月4日のものだが、こちらの記事がトルクメニスタンの対中国天然ガス輸出、露中パイプライン「シベリアの力」稼働の影響につき論じているので、要旨を以下のとおりまとめておく。

 ロシアの中国向け天然ガス輸出パイプライン「シベリアの力」は12月2日に稼働した。2024年までには年間の輸送量が380億立米に達すると見られる。

 トルクメニスタンにとっては穏やかでない。中央アジア~中国パイプラインの最初のA列が2009年に稼働して以来、トルクメンは中国へのガス供給で主導的な地位にあった(上掲グラフでグレーが中国の輸入全体、ブルーがうちトルクメンから)。中国への輸出量は2010年の40億立米から2018年の330億立米へと急増し、中国のガス輸入全体の27%を占める最大の供給国となった。

 これで、トルクメンが価格交渉で優位に立ったと思われるかもしれない。しかし、トルクメンは公表していないものの、専門家によれば価格は非常に安いとされる。さらに言えば、トルクメンが代金をキャッシュで受け取っているのか、それとも中国の武器やガスインフラの提供とのバーターになっているのかも不明である。

 中国の需要は引き続き旺盛に伸びているので、シベリアの力が開通したからといって、トルクメンが直ちに脅威にさらされるわけではない。中国は2019年に2,800億立米のガスを消費したが、2030年には5,100億立米にまで伸びると予想されている。しかも、中央アジア~中国パイプラインはいまだフルに活用はされておらず、トルクメンは中国への年間供給量をさらに50億立米拡大することも可能である。

 それでも、シベリアの力は、それでなくても弱いトルクメンの交渉力をさらに低下させる。中国がトルクメンのガス輸出の80%を占めている状況では、ほぼ唯一の買い手としての中国の立場の方が強く、そこにロシアからのガスが流入すれば、中国のトルクメン依存度はさらに低下する。

 それがまさにシベリアの力がトルクメンにとって痛いところである。中央アジア~中国パイプラインの4本目のD列は、300億立米の輸送能力を追加し、2016年までに完成させる構想があったが、無期延期となっている模様である。南アジアに向かうTAPIパイプラインが進捗しているという確たる証拠もない。欧州向けの輸出構想は、不確実性に満ちている。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

dcece4569d3a84ee64bf3ad8b1ce936b

 昨日のエントリーで、石油の供給をめぐるベラルーシとロシアの契約は2019年中にまとまらなかったが、両国は差し当たり条件等について合意し、契約なしでも年明けも供給を続けることになった、とお伝えした。しかし、こちらこちらの記事によると、現実には年明け以降、ベラルーシの製油所に石油は届いていないということである。

 上掲記事によると、ベラルーシの2箇所の製油所では現在、備蓄していた石油を用いて、定格量ぎりぎりで最小限の生産を続けている。国営コンツェルン「ベルネフチェヒム」の幹部によれば、1月およびその後当面の国内の石油製品の需要を満たすのに充分な備蓄はあるので、国内でガソリン不足などが生じることはない。また、国内でも原油が産出されているし、「ゴメリトランスネフチ・ドルージバ」の技術的石油という国家備蓄もある、ということである。なお、ロシアのトランスネフチによれば、ベラルーシ領を経由した石油のトランジット輸送は通常どおり続いている。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

413

 大晦日の記事だが、こちらの記事が、石油および天然ガスをめぐるベラルーシとロシアの交渉が結局年内には完全決着に至らず、ほぼ越年したということを伝えている。要旨は以下のとおり。

 ロシアがベラルーシに石油を供給する現行の契約は2019年末で満了したが、両国は2020年の石油供給の条件で結局折り合えなかった。ベラルーシ側はロシア以外の供給ルートを模索しようとしている。立場が隔たっていたのは、ベラルーシ側が値下げを要求していた価格の問題である。ただし、ベラルーシへの供給は年明け以降も続けられることになると見られる。一方、天然ガスの価格については、年末にひとまずの合意にこぎ着けた。

 ルカシェンコ・ベラルーシ大統領とメドヴェージェフ・ロシア首相は電話会談で、石油供給契約についての交渉を継続することで合意した。無契約状態でベラルーシに供給を続けることについて両国は、具体的なスケジュール、供給する石油会社などにつき合意した。

 石油の供給・トランジット契約と、ガス供給契約は、12月31日に満了した。それに先立ち、両国大統領が電話会談したが、具体的合意には至らなかった。結局、新年までに合意できない場合には、暫定的な条件で石油・ガスを供給するよう、政府間で調整することになった。

 その後明らかになったところによると、結局ガスプロムのミレル社長とベラルーシのセマシコ駐ロシア大使が12月31日、2020年1~2月のガス価格についてのプロトコールに調印した。ガスプロム・トランス・ベラルーシとのトランジット・供給契約は2020年一杯延長される。ガス供給・トランジット量は2019年の水準に維持される。

 関係筋によると、年明けからベラルーシの製油所への供給は停止されず、契約がなくても供給される。不一致の主原因は、ベラルーシが値下げを要求していることである。

 石油のトランジットは、すべてのスケジュールで合意し当該の契約が結ばれているため、通常の体制で実施される。一方、ルカシェンコ大統領は政府に対して、ロシアの代替となる石油供給源からの輸入を近日中に開始するよう指示した。

 天然ガス供給をめぐる対立は、ベラルーシがその価格をロシア国内と同等にまで引き下げることを要求していることに起因している。2019年のベラルーシ向けの価格は1,000立米当たり127ドル、供給量は約200億立米となっている。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

411

 こちらの記事など各メディアが伝えているとおり、ウクライナのナフトガス社とロシアのガスプロム社は12月31日、年末で期限の切れた契約に代わる新たな5ヵ年の天然ガス・トランジット輸送に関する契約に調印した。輸送量は、2020年が650億立米以上、2020~2024年が400億立米以上となる(なお2019年は890億~900億立米だった)。料金は明らかにされていないが、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は5年間の総収入が70億ドル以上としており、ナフトガスのヴィトレンコ氏は5年間で72億ドル以上の収入が保証されていると述べていることから見ると、料金は現状とほぼ同じの1,000立米当たり32ドル程度と見られる。両社はまた、ガスプロムがストックホルム仲裁裁判所の裁定による29億ドルをウクライナ側に支払い(29億ドルはすでに年内に支払済み)、双方がそれ以外の訴えをすべて取り下げることでも合意した。ロシア側はウクライナに対する支払義務を認めようとせず、ウクライナがこれを取り下げることがトランジット契約延長の条件としていたが、12月19日にプーチン大統領が恒例の大規模記者会見で、「政治的なものとはいえ、裁判所の裁定が出ている以上は、それに立脚せざるをえない」と発言していた。

 さて、今回両国が「ガス戦争」には至らず、歩み寄った背景につき、こちらの記事の中で論じられているので、骨子を以下のとおり整理しておく。

 前回のトランジット契約が結ばれた2009年には、ガス戦争の状況下で、ロシアが有利な契約を取り付けることができた。当時は、欧州の需要家がガス戦争への準備ができておらず、特に冬季だったこともあって、なるべく迅速に新たなトランジット契約に調印するよう、ウクライナに圧力をかけた経緯があった。しかし、現在は状況が大いに異なる。

 第1に、現在はウクライナを迂回するノルドストリーム1が稼働しており、これによりウクライナのトランジット国としての立場が弱くなったと一般的には言われている。しかし、ノルドのお陰で供給が全面的に途絶することはないので、欧州からウクライナへの圧力が弱まるという、別の側面もある。

 第2に、ロシア産ガスの需要家たちは、2009年の教訓にもとづき、状況が悪化した場合に備えていた。EUのガス貯蔵施設は9月15日の時点で95%も満たされており、ウクライナの貯蔵施設も同様だった。

 第3に、ガスプロムは、欧州需要家がガス戦争にも備えガス供給源の多角化を目指し、米国のシェールガスとの競争が激化する中で、欧州の需要家の評判を良くしたかった。

 ノルドストリーム2が完成すれば、より本格的なウクライナ迂回が可能になり、これがロシアの立場を強める要因になるはずだった。ところが、ノルド2は2020年1月1日までに完成が間に合わなかった。コザク副首相が述べたところによれば、ノルド2の稼働は2020年中頃になるという。こうしたことから、ガス交渉で、ロシアが短期の1年契約を主張したのに対し、ウクライナ側は長期の契約を望んだ。

 攻防はぎりぎりまで続いたが、12月21日に米国による制裁を懸念した欧州のオールシーズ社がパイプライン敷設作業を停止した。ノルド2の建設には他にもイタリアのサイペン社、ロシアのメジレギオントルボプロヴォドストロイ社も参加しているが、最も長い延長のパイプを敷設していたのはオールシーズ社の3船だった。オールシーズ社は米国でもビジネスを展開しているので、今後ノルド2の作業には復帰しないことも考えられる。年末の時点で残っていたのは第1列47km、第2列70kmの工事だった。

 将来的なことについては、ロシア側は同じ条件で2025~2034年の契約を結ぶこともありうるとしているが、これはだいぶ先の話であり、ジェスチャーにすぎない。ウクライナ側は10年契約を主張しているが、そのためにはガス輸送システムを近代化するための投資誘致が必須であり、ウクライナにはそれは不可能だろう。

 一連の交渉の過程では、ロシアからウクライナに直接ガスを供給する問題も話し合われた。その場合の価格は、欧州ハブ価格(NCG)にもとづき、供給量を考慮した値引きを適用したものになる。結局、協定のパッケージには直接供給は盛り込まれず、この問題は年始休暇後に再度交渉することになった。

 ただし、12月22日の時点で、すでにウクライナ民間企業5社が1月1日からの供給につきガスプロムと契約を交わしたことが明らかになっている(会社の具体名は不明)。ポロシェンコ前大統領は、そうした契約は商業的ではなく政治的だとして、それらのウクライナ企業に制裁措置を課すことを提唱している。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

0090

 GLOBE+に、「プーチンが最高指導者になって20年目の今日考えたい 2010年代のロシア」を寄稿しました。

 本日、2019年12月31日は、「2010年代最後の日」ということになりますね。幕を閉じつつある2010年代は、ロシアにとってどんな時代だったのでしょうか? 本日2019年12月31日は、プーチンがロシアの最高指導者の座に就いてから20年目の節目でもありますので、1990年代、2000年代とも対比しながら、この10年のロシアの総括を試みました。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

7

 12月7日配信とやや古くなってしまった記事だが、今年のニュースは今年のうちにということで、軽くメモしておきたい。こちらの記事によると、トルクメニスタンで2020年に永世中立国25周年を祝う拡大閣僚会議が開催され、ベルディムハメドフ大統領が演説を行った。この中で大統領が外交政策の優先的なパートナーを挙げており(だいぶ総花的ではあるが)、ロシアと国連についてのみ「戦略的パートナー」という言葉を使ったことが注目されている。

 演説の中で大統領はまず、中央アジア、アフガニスタン、イラン、アゼルバイジャンといった近隣国との伝統的な善隣関係を強化することを掲げ、トルコとの関係拡大の方針にも触れた。

 そして、「数世紀にわたり友好関係を維持しているロシア連邦は、トルクメニスタンの戦略的パートナーである。両国の協力関係の歴史的経験に依拠し、我々は今後も政治・外交、通商・経済、文化・人道分野でのロシアとの協力を拡大していく」と述べた。

 天然ガスの輸出先として重要度の高まっている中国との関係に関しては、中国との実り多く意義深い協力を維持して、その関係を拡大するためにあらゆる可能性を利用すると述べた。

 大統領はさらに、トルクメニスタンの外交の優先国には、日本、韓国、マレーシア、インド、パキスタン、中東諸国などがあると指摘した。その後、大統領はさらに、欧州、米州、アフリカなどにも一通り言及した。

 国際機構に関しては、国連(戦略的パートナー)、OSCE、CIS、EU、非同盟諸国会議、イスラム協力機構という順で言及した。地域国際機構として、経済協力機構(10ヵ国の中東および中央アジアの非アラブ・イスラム諸国から成る国際組織)、上海協力機構、ユーラシア経済連合、ASEAN等と協力していく抱負を述べた。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

6

 ロシアの『エクスペルト』誌(2019年12月16-22日号、No.51)が、12月9日のノルマンディー方式のウ露仏独首脳会談の結果についての論評記事を掲載している(A.スミルノフ氏署名)。その中から、ウクライナのゼレンスキー大統領の思惑について述べた箇所を中心に、以下で要旨をまとめておく。

 パリにやって来たのは、「公僕」ではなく、反ロシアレトリックに満ち溢れた「ニュー・ポロシェンコ」だった。会談でゼレンスキーは、前任者が結んだミンスク合意を順守することを認めざるをえなかったが、帰国後に、合意されたコミュニケのウクライナ語訳に変更を加え、またミンスク合意を修正していく意欲を示した。

 ゼレンスキーはノルマンディー会合に、米・英を加えることを求めている。仏・独がロシア寄りであると考え、米・英が加わればよりウクライナの立場が強化されるという期待に加えて、国内での政敵を牽制する思惑もある。

 ゼレンスキーという政治家の特質は、八方美人なことである。芸人の性なのか、皆に好かれようとし、両立できないような約束をしてしまうことは、米国の民主党、共和党に矛盾した約束をしたことからも明らかである。

 国民のゼレンスキーに対する支持率は、秋口までは高かったが、11月の調査で52%にまで急減した。また、約半分の国民が、いまだにホンチャルーク首相の存在を認識していない。

 ウクライナの成長率は4%で、先進国なら充分だが、ウクライナにとっては不充分である。ゼレンスキーは大胆な改革には踏み切れず、それでいて個人事業主向けのキャッシュレジスターを導入させるなど、締め付けを強めている。労働力の国外流出は続いており、2019年1~10月の国外から本国への送金額は前年同期比7%増の97億ドルに達した。

 ウクライナの公的対外債務は、上図のとおり推移している。現在のところ、IMFの融資と、米欧の支援、外資によるウクライナ国債の購入で、資金繰りに問題は生じていない。ウクライナは国債の外貨建て利回りを9%から4%に、グリブナ建てを17~19%から12~13%に引き下げることができた。これにより、債務の借り換えや財政赤字の補填が可能になっているが、ウクライナ経済の非効率という根本問題は解決しない。外貨の流入により2019年にはグリブナの対ドル・レートが20%上昇し、輸入および貿易赤字が拡大した。

 支持率が急落したことを受け、ゼレンスキーは光熱費を引き下げることを閣僚らと討議する動画を公開した。ホンチャルーク首相は、法律の制約がありこの冬は無理だが、次の冬には引き下げる可能性が生じると発言した。

 汚職対策でも、進展はない。ゼレンスキーは、前政権の関係者による汚職のうち、最も重大なものについての調査を徹底すると述べていたが、誰も罪には問われていない。それのみならず、大多数の汚職スキームを現政権の関係者が引き継いでいるという疑惑も生じている。オリガルヒとの関係にしても、ゼレンスキーはすべての大物との良好な関係をすぐに築き、誰も罪に問われたりしていない。

 ミンスクでの3者コンタクトグループでウクライナを代表しているクチマ氏はこの夏、ドネツクおよびルハンスク人民共和国との通商封鎖を解く可能性に言及した。しかし、ゼレンスキー大統領のミンスクでの代表者がそれを軌道修正し、両人民共和国で国有化された資産が元の所有者に返還されることを要求した。国有化の対象になったのが主にアフメトフ氏の企業だったことを考えれば、この方針転換を主導したのはアフメトフだったと考えることができる。

 結局のところ、ゼレンスキーは、落ち込んだ支持率を立て直すには、ドンバス和平交渉しかないと決断したのだろう。ただ、オリンピックの「参加することに意義がある」と同様に、ゼレンスキーもこの交渉で勝とうとしているのではない。ゼレンスキーとその側近たちにとって、広範な自治をドンバスに与えるというミンスク合意は、完全な履行ができないものである。それを受け入れれば、社会的支出とインフラ再建でウクライナ財政に多大な負担が生じ、その一方でキエフ中央政府がコントロールできない資金の流れが生じる。そこで、ゼレンスキーとしては、たとえ長引いたとしても、ドンバスに対する全面的支配を取り戻すことを目指し、そのために時間を稼ぐことにしたのだ。あるいは、ゼレンスキーは米国で政権交代が起きるのを待って、より支援を当てにできそうな民主党政権に期待しているのかもしれない。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

407

 RIAノーヴォスチのこちらのページに、2019年のロシアの十大ニュースというのが出ているので、以下のとおり項目だけ簡単に整理しておく(ロシア圏のこの手の企画は、キリの悪い数字である場合が少なくないが、今回はたまたまキリ良く十大になっている)。順番が重要性に応じているのかは不明。経済以外の分野の十大ニュースも出たら追ってお伝えしたい。

  1. 「ナショナルプロジェクト」が始動
  2. 「シベリアの力」で天然ガスを東方シフト
  3. 天然ガスのウクライナ領トランジット継続で合意
  4. 石油パイプライン「ドルージバ」が有機塩素化合物で汚染
  5. 米国の制裁でロシアがドル建て債を起債できなくなる
  6. 付加価値税を18%から20%に増税
  7. 個人事業者を対象とした簡易課税制度導入
  8. 中銀、段階的な利下げ策に転じる
  9. 自動車保険の国家統制を緩和
  10. 主権インターネット法

ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

ivan02

 HP更新しました。マンスリーエッセイ「『イワン・チャイ』って知ってますか?」です。よかったらご笑覧ください。

 個人的に、今年度はロシア北方地域の調査事業を抱えているので、9月と10月に現地調査に出かけ、結局「マンスリーエッセイ」でも年内はその土産話に終始することとなりました。ロシアの北方諸地域、シベリアなどでは、森の恵みが名物になっている場合が多いですね。土産物売り場を覗いてみると、ハーブティーが陳列されているのを、よく目にします。その中で、「イワン・チャイ」と銘打った商品が多いことに気が付いた、というお話です。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

123

 こちらの記事によると、2019年12月18日付のウクライナ政府決定により、従来のようにウクライナ国民が国内パスポートでロシアに行くことはできなくなり、2020年3月1日からロシアに行くためには国際パスポートの携行が義務付けられるということである。

 ウクライナのクリムキン前外相によれば、2018年にロシアに出稼ぎに出たウクライナ国民は300万人に上るということであり、彼らはまさに国内パスポートでロシアに向かっていた。2019年1~6月にロシアからウクライナになされた個人送金は5億ドルに上った。2年前にEUとのビザなし協定が発効した際に国際パスポートの取得ラッシュが起きたが、その再現が起きるかもしれない。

 ただ、全ウクライナ国際就労企業協会では、調査機関レイティングの2017年の調査結果を根拠に(上掲の図参照)、現在ロシアで働くことを希望するウクライナ国民は6%しかいないと指摘している。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

117

 12月20日にサンクトペテルブルグでユーラシア経済連合の首脳会議が開催された。こちらのページでその主な成果が論じられているので、主要部分を箇条書きしておくことにする。

  • 域内貿易の制限撤廃の例外措置となっている品目が、現時点で30以上存在し、しばしば加盟諸国の経済主体間で対立点となっている。2010年代初期には40以上あったので、縮小していることは事実だが、制限措置の撤廃に向けた作業を加速すべきであるということが強調された。
  • ルカシェンコ・ベラルーシ大統領は、ユーラシア経済連合とのFTAを希望している第三国は50カ国にも達すると指摘した。
  • 今回のサミットには、アゼルバイジャンのアリエフ大統領、モルドバのドドン大統領が、オブザーバーとして出席した。両国はユーラシア統合に傾斜しつつあり、実際、モルドバはCIS自由貿易協定の加盟国だし、アゼルバイジャンも同条約に加わることを計画している。
  • 調印された重要な文章の一つが、ユーラシア経済連合における労働者の年金保障に関する協定だった。この協定により、今後連合域内の労働者は、自国で働いた期間だけでなく、ユーラシア経済連合の他の加盟国で働いた期間に対しても、年金が受け取れるようになる。なお、各加盟国は、自国の法律にもとづいて、年金を支払う。今回のルールには大部分の種類の年金と、それに付随する給付金が含まれる。協定は2020年に発効する予定である。
  • 2025年から電力共同市場を始動させるための優先的措置の計画が承認された。国をまたぐ電力網の発展、これらの電力網への接続契約の形式、中央化された取引(電子形態も含む)のルールなどを盛り込むこととなる。これにより、発電所の側は販路を全ユーラシア市場に拡大し、需要家および売電会社は最適な価格でユーラシアのパートナーから電力を購入できるメリットが生じる。
  • 単一サービス市場を機能させるための作業を活発化させることでも合意した。2015年から現在までのところ、サービス市場の60%に当たる53分野で単一市場が機能している。2022~2023年までにすべての分野での単一市場を成立させるべく、近日中に提案を取りまとめることになった。
  • 電力のみならず石油、天然ガス、石油製品の単一市場の形成も加速していくことになった。それを可能にしたのは、2018年に加盟各国がそれらの単一市場を形成するための共通化された国家プログラムを採択し、2019年には共通電力市場形成の条約に調印したということがある。
  • ユーラシア経済委員会の閣僚は4年ごとに交代しており、首相職には、アルメニアのサルキシャン氏に代わって、2020年2月1日からベラルーシのミャスニコヴィチ氏が就任することになった。

ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

n5miMaeszzZe

 こちらこちらこちらなど各メディアで報じられているように、ロシア・ウクライナ・欧州委員会の3者は12月20日、懸案となっていたウクライナ領を通じてロシア産ガスを欧州市場にトランジット輸送する問題に関し、合意に達した。ロシアとウクライナは、輸送問題および債務問題の合意に関するプロトコールに調印した。

 2018年2月末にストックホルム仲裁裁判所が下した判決により、ロシア側のガスプロム社はウクライナ側のナフトガス社に25.6億ドルを支払う義務を負っており、金利を含んだ額は30億ドルに達している。ナフトガスはガスプロムの在外資産を差し押さえる動きをちらつかせつつ、債務額に相当する天然ガスの供給を現物支給で受ける交渉に応じる用意があるとしていた経緯がある。

 今回の合意の詳細については、12日にウクライナ・エネルギー相が会見を開いて明らかにするという。

 こちらの記事によれば、ナフトガスのコボレフ社長は、ロシア側が欧州原則にもとづくウクライナ・トランジットの長期契約に応じたのは、米国がノルドストリーム2に制裁を発動する動きを受けたものであると指摘した。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

rube

 前のエントリーでも触れられている、ロシアの石油税制マヌーバ実施によって生じるベラルーシ側の損失をロシアが補填するという問題、実は12月18日のこちらのニュースなどで、進展が伝えられている。結論から言えば、両国の税法典を共通化し、その上で、ベラルーシの製油所に「逆物品税」を適用するということである。逆物品税というのは、ロシア政府がロシア国内の製油所と協定を結び、特定の設備投資を行うことを条件に与えている優遇措置であり(こちらなど参照)、それをベラルーシの製油所にも認めようという話のようである。以下で記事の要旨を整理しておく。

 ベラルーシ側はマヌーバ実施による2019~2024年の自国の損失を105億~100億ドルと見積もっている。従来は、実質的にベラルーシが補助金を受け取っている形だったが、ロシア政府が2019年から段階的に石油輸出関税を廃止して地下資源採掘税によって置き換えることに伴い、補助金のスキームが機能しなくなる。

 両国間の交渉の事情を知る筋によると、交渉の結果、ロシアはベラルーシの製油所にマイナスの物品税を適用することになった。これは2019年以降の税制マヌーバの枠内で、ロシアの製油所に適用されている措置である。こうした解決策が交渉されていることは、11月にコザク副首相も述べていた。同氏によれば、経済統合の一環として税法典が共通化されれば、ベラルーシの製油所はマイナス物品税を受け取れるようになるということだった。

 しかし、このメカニズムでは補償にならないと、交渉担当者は指摘する。ベラルーシの駐ロシア大使であるセマシコが12月初頭に述べたところによると、逆物品税が現実的に導入されるのは早くても2022年である。それまでは、ロシアが補償を行うにしても、石油の価格によって、一部だけという形になる。

 いずれにしても、まず税法典を共通化しなければならず、現在その交渉が行われているわけである。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

rube

 先日も取り上げたが、12月7日の首脳会談でもすれ違いに終わったロシア・ベラルーシ関係につき、ロシア政治工学センターのこちらの記事の要旨を以下のとおり整理しておく。

 7日の会談後、ロシアの代表団で唯一、結果についてコメントしたのが、オレーシキン経済発展相だった。大臣によれば、交渉は実り多いものであり、農業、通信、税関、石油市場といった一連の分野で大幅な前進があり、石油およびガス市場に関しては両国の立場は限りなく合意に近付いた、という。

 一方、テレグラムの「ネズィガリ」というチャンネルがまことしやかに伝えたところによると、閣僚も参加して行われた会談の中で、やり取りが感情的になり、個人攻撃も伴った。ルカシェンコは何度か取り乱し、平静を取り戻すために中断を余儀なくされた。メドヴェージェフ首相はルカシェンコに対し、ロシアの閣僚に対して暴言を吐いたことを公式に謝罪するよう求めた。ロシア側からルカシェンコに対し、次期大統領選に出馬することは考え直した方がいいのではないかと指摘される場面もあった、ということである。

 セマシコ大使によれば、31項目の工程表のうち、7日の会談で3項目につき合意し、残るは8項目だという。解決できたのは、電力問題と、税関問題だった(注:あと1つは?)。一方、折り合いがついていないのが税法であり、これについては期限を1年伸ばすことになった。税制マヌーバに伴う全面的な補償は、2022年1月1日以降に解決されることになる。ロシアは2015年から税制マヌーバを開始した。世銀の専門家は、ロシア側がその補償を支払わなければ、ベラルーシは経済危機に陥る恐れがあると指摘する。

 ベラルーシはこれとは別に、4月に石油パイプライン「ドルージバ」で有機塩素化合物により汚染された石油が輸送された事件に対する補償7,000万ドルも求めている。ドルージバのベラルーシ区画で汚染が発見されたのは4月19日だった。ベラルーシの2つの製油所は生産を縮小し、うちモズィリ製油所では稼働停止が報告された。ポーランド、ドイツ、スロバキア、ハンガリーが汚染された石油の受入を拒否したため、ドルージバによる輸送は一時停止した。正常な石油がロシアからベラルーシに到達したのは、やっと5月の初頭だった。7月にトランスネフチは、パイプラインを汚染したことに対する補償を最大で1バレル当たり15ドル支払う用意があることを表明した。

 難航している税関の問題に関しては、2020年6月1日までにロシア・ベラルーシ双方の法基盤を正すことになっている。この問題は、ロシアに制裁対象商品が流入してしまっているグレースキームとかかわるだけに、喫緊である。9月に『コメルサント』が報じたところによると、両国の税関を一体化することまでが想定されている。しかし、ロシア側が一体の税関を創設し実質的に自分でそれをコントロールしたいのに対し、ベラルーシ側は緩やかな結び付きを求めており、折り合いが付かない。ロシア国内でも利害の食い違いがあるという指摘もある。

 「ブレミナ・グループ」というところが、ベラルーシ東部オルシャに巨大なロジスティクスセンターを建設しており、国際貨物航空便を受け入れ、入荷した第三国の商品をベラルーシ製としてロシアに輸出するというプロジェクトを進めていることも、ロシア側を懸念させている。

 ルカシェンコにとっては当然、ロシアの既存の政財界派閥で、ベラルーシとのパートナー関係から利益を得ているような勢力がプーチン体制で力を持ってくれることが、都合が良い。それは、石油利権や制裁を回避する転売ビジネスを背景とする役人・政治家たちである。それは、ロシア・ベラルーシ連合国家の現状に適応し、グレースキーム・密輸体制の中で居心地の良さを味わい、しばしばロシア国庫で儲けることも含め、会計・税制・補助金の盲点を利用している人々である。

 ロシアとベラルーシの新たな文書調印の動きに反発して、ベラルーシのミンスクでは、12月7日に700~1,000人、8日に数百人の抗議デモが発生した。こうした動きは、規模からしても、大多数の国民が反ロシア主義に共感していないことからしても、ルカシェンコにとって危険ではない。むしろ、「ルカシェンコが譲歩を迫られたら、より大規模な抗議活動を呼び起こしかねない」という形で、モスクワに対する圧力の手段として利用できるという面もある。

 そうした中、ルカシェンコは政権幹部人事を進めている。新たに大統領府長官に起用されたセルギエンコは、大統領の息子ヴィクトルのお気に入りである。セルギエンコはベラルーシKGBの幹部として、防諜、ロシアに対する謀略、ロシア・スパイ一掃の専門家であった。ルカシェンコ一家の利益のために働き、最も信頼の厚い一人である。セルギエンコ起用は、ルカシェンコがロシアと一戦交える覚悟であることを物語っている。

 大統領府副長官に起用されたチュプリスは法律家であり、憲法改正への布石との受け止め方がある。連合国家の目的のための憲法改正という見方もある一方で、より可能性が高そうなのが、ルカシェンコがカザフスタンのナザルバエフのように、将来退陣する場合に備え、国家体制を部分的に非属人化しようとしているというシナリオである。

 ルマス現首相は2018年8月に就任したばかりだが、すでに何度も大統領に辞意を伝えていると言われる。首相候補として、ベラルーシとしては異色だが、改革派のルディ駐中国大使が取り沙汰されている。ルカシェンコは2020年に政府を改造するということをすでに表明している。現在は、ルマス首相がロシアとの工程表交渉に当たっているのですぐに解任するのは難しいが、年末までにそれが達成されるにせよ未達成にせよ、それが一段落すれば可能性は出てくる。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

96991

 引き続き、12月9日にパリで開かれた「ノルマンディー方式」による首脳会談につき、こちらのサイトから、V.ミロネンコ氏(ロシア科学アカデミー・ヨーロッパ研究所ウクライナ研究センター長)のコメント要旨を紹介する。

 ロシア側は、すべては問題なく進んでおり、我が方は何も変えるつもりはなく、ボールはウクライナ側にあるという立場をとった。それに対しウクライナ側は、もはや社会的なチェルノブイリの様相を呈しているドンバスの数百万住民の境遇を何とか改善したいという立場だった。周知のとおり、ドンバスからは250万人がウクライナ本土やロシアに逃れ、残された250万住民の境遇は、年金もなく親類と連絡がとれないなど、厳しいものとなっている。

 フランス人は格好良いポーズをとるのが好きであり、マクロンは欧州の諸問題、安全保障でのリーダーになろうとしていることが見て取れた。一方、メルケルは疲れているように思える。過去数年この紛争でメルケルは的確かつ実利的な立場をとってきたが、ロシア抜きではこの問題は解決できないということを悟り、かといって原則は曲げられないというジレンマがある。

 会談の成果については、はたから見ると、ロシアが勝ったかのように思える。ロシアの政府寄りマスコミは、ウクライナが「シュタインマイヤー・フォーマット」(ドイツ大統領がミンスク合意の実現順序について行った提案)を受け入れ、ミンスク合意が再確認されたと強調している。それだけをとれば、ミンスク合意を具体化するお墨付きが得られ、ロシアの勝利であるようにも思える。

 しかし、より広い視野で見れば、勝ったのはウクライナであり、ロシアは敗者である。ロシアのある政治家は、「お嬢さん(ウクライナ)を幻想から目覚めさせてあげなければならない」と述べていたが、実際に起きたのはまさにそれだった。そして、幻想から目覚めたのは、ウクライナだけでなく、欧州も同じである。このプロセスを注視していた皆が、交渉で何かを成し遂げようとしているのがどちらか、逆にすべて現状のままにしておこうとしているのはどちらかを目の当たりにした。ウクライナ側の若手政治家たちは、もしかしたら本当に、ロシアの路線はウクライナのみならずロシアの国益にも反している(人命、制裁、発展のブレーキ等々)のだということをプーチンおよびロシア指導部に説得できると考えていたのかもしれないが、帰途に就く時にはその試みが無益だということを悟っていた。

 形式的には、両国は停戦、捕虜の交換といった些事について合意し、4ヵ月後に再会すると約したかもしれない。しかし、全体に照らしてみれば、残念ながら、ウクライナがドンバス住民を助けることはできず、せいぜい年金の支払いくらいであり、ドンバスは衰退を続けるだろう。

 ということは、ウクライナとしては自国の問題に集中し、腐敗対策、経済発展、欧州統合の加速を進めるしかない。残念ながら、ウクライナにとっては、NATOのドアをたたくことしか、自国の安全保障を確保する道はない。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

96991

 引き続き、12月9日にパリで開かれた「ノルマンディー方式」による首脳会談につき、こちらのサイトから、今回はYe.ガルキナという有識者のコメント要旨を紹介する。

 会談の前には、ウクライナのゼレンスキー大統領の立場が非常に悪いというイメージがあった。マクロン仏大統領はロシアとの戦略的対話の必要を説いていたし、ドイツはノルドストリームを許容した。プーチンにはゼレンスキーに圧力を行使するチャンスが大きいと思われた。しかし、サミットが近付いていたタイミングで、フランス領アルプスにおけるロシア連邦軍参謀本部情報総局の拠点問題のスキャンダル、ベルリンでのロシア人によるジョージア人殺害(ドイツは犯人はロシアの連邦保安局の工作員だと見ている)が起きた。これらが明るみに出たことで、プーチンのサミットにおける立場は当初予想されていたよりも悪化した。

 パリでの会談は、全体としてウクライナにとって有利に進んだ。ゼレンスキーにとっては、捕虜の全面的な交換で合意し、完全な停戦が取り付けられれば成功だったが、それを達成した。また、首脳会談の前、ウクライナ国民は心配していたが、それに関し交渉においてゼレンスキーが明確な線引きをしたことも、成功だった。第1に、ゼレンスキーは、ウクライナは一体的な(つまり連邦制でない)国家であると明言し、その立場を譲らなかった。第2に、ゼレンスキーは、誰もウクライナに政治的な進路を指図することはできないという立場を示した。つまり、ウクライナの方向性を決めるのは国民自身ということである。ウクライナが、領土保全の見返りとして、EUやNATO加盟を諦めると、誰かに対して約束したりしないことが明らかになった。第3に、ゼレンスキーは領土面での譲歩を一切行わないということである。たとえば、ドンバスを得る代わりにクリミアを手放すといったことは拒否した。

 ロシアおよびロシア国民にとっても、パリサミットの結果はポジティブと評価しうる。というのも、ロシア国民はウクライナとの戦争を望んでいないし、クレムリンの周辺諸国に対するアグレッシブな政策は国民の利益にならないからである。一方、ロシアの指導部に関して言うと、もしも指導部がウクライナへの攻撃を望んでいるのなら、パリサミットは成功だったとは言いがたい。ゼレンスキーは何も譲歩せず、和平には関心を持っているが、ウクライナの主権・国家性を犠牲にするつもりはないという立場を示したからである。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

96991

 周知のとおり、12月9日にパリでいわゆる「ノルマンディー方式」による首脳会談が行われた。ドンバス紛争の解決などをめぐり、プーチン・ロシア大統領、ゼレンスキー・ウクライナ大統領、マクロン仏大統領、メルケル独首相の4者が会談に臨んだものである。

 だいぶ遅れ馳せであるが、この首脳会談の結果につき、こちらのサイトでロシアの3人の有識者がコメントを寄せている。その中から、政治工学センターのA.マカルキン氏のコメント要旨を以下のとおり整理しておく。余力があれば他の人も追って紹介したい。

 今回の会談では、勝者も敗者もいなかった。拘束力のある文書は、一つも結ばれず、意図の宣言がなされただけで、ロシア・ウクライナ双方にとって利益となる捕虜の解放を約束しあっただけだった。恩赦、国境管理、選挙などについては今後さらに精査することとなり、これは長くうんざりするようなプロセスである。原則的な解決は今のところなされていない。

 今回の会談の肝心な点は、長い中断の後に、首脳レベルのノルマンティー・プロセスが再開したということだろう。今後における焦点は、ロシアが西側との関係につきどのような決定を下すかである。クレムリンには地政学的な野心があり、それに多大な資源が傾注されており、特にウクライナについてである。これが起きてから、もう6年になり、「これからどうするのか」ということが問われている。なぜなら、2014~2015年の「ノヴォロシア・プロジェクト」の本質は、ロシアの影響下にないウクライナの政権の承認は拒むというものだからである。この路線を続けるのか、それともそれを見直して、ロシアの影響外にあるウクライナという既成事実を認め、それにもとづいて西側との合意を図るかかという問題である。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

0088

 GLOBE+に、「プーチンは21世紀のポップ・アイコンか?」を寄稿しました。

 いつの頃からだったでしょうか、ロシアではプーチン大統領を主役としたカレンダーが、定番商品として定着しました。最近では日本でもプーチン・カレンダーが一部で話題になったりしており、ネット通販で購入することも可能です。プーチンの写真や絵をデザインに取り入れたTシャツ、マグカップ、バッグなどが、土産物として売られているのもよく見かけるようになりました。今回は、そんな現象を手掛かりに、「ポップ・アイコン」としてのプーチンについて考えてみました。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

rube

 ロシア・ベラルーシ間では、1999年12月8日に結ばれた「連合国家創設条約」から20年が経つのを記念して、先日12月8日に統合を深化させるための新たな「工程表」に調印するということが、1年前から予定されていた。しかし、現実には両国の隔たりは埋まらず、12月8日の調印にこぎ着けることができなかった。一連の経緯につき、ベラルーシの専門家V.カルバレヴィチ氏によるこちらこちらのコラムにもとづきながら、以下のとおりまとめておく。

 過去1年間、ロシアとベラルーシの両国は、統合を深化させるための31項目にわたる「工程表」に調印すべく、交渉を重ねてきた。調印に設定された12月8日は、1991年にソ連解体を決めたベロヴェージ協定が結ばれた日だというニュアンスもある。

 しかし、期限となる12月8日が近付くにつれ、状況は混沌とし、11月28日にはロシア『コメルサント』紙が「共同石油・ガス市場、税制の統一をめぐって暗礁に乗り上げている」旨報じた。また、12月8日にプーチン・ルカシェンコ両大統領が首脳会談を開くという日程自体、不透明となっていった。

 対立点の一つが、ロシアがベラルーシに供給する天然ガスの価格である。これに関しては、ロシアがウクライナ領を経由して欧州に輸出するトランジット契約の延長問題がこじれている背景があり、代替の輸送路としてのベラルーシの重要度が高まるので、それがベラルーシにとって価格交渉上有利に働くという面もある。

 結局、12月8日の首脳会談は開催されず、「大山鳴動して鼠一匹」という結果となった。工程表の大部分では合意しており、残り3~4項目を首脳会談に委ねるとされていたが、不首尾に終わった。そもそも、8日の代わりに、両首脳は7日に首脳会談を行い、このことだけでも連合国家創設条約20周年という祝賀的な意味合いは失われた。しかも、20年前にはクレムリンで条約に調印したのに対し、今回はプーチンのソチでの別荘が選ばれ、これによりロシア側は今回の会談を通常の交渉へと格下げした。

 会談冒頭、マスコミの前で、ルカシェンコ側は、ベラルーシが重視するのは「平等な経済活動条件」、つまり、ロシアがベラルーシにロシア国内価格でエネルギーを供給することだと述べた。それに対しプーチンは、必要なのは統合であり、それによりベラルーシは恩恵を得るだろうと指摘した。

 会談は全体で5時間半に及んだ。最初の2時間は随行員を交えて会談し、昼食時には一対一、その後再び随行員を交えた会談となった。会談終了後、記者会見が行われなかったことを考えると、何も合意できなかったのだろう。

 ただ、20周年ということを考えると、たとえ工程表のすべてに合意できなくても、合意できた分だけでも、華々しく調印してもよさそうなものである。そうなれば、時間はかかるかもしれないが、統合は進展しているという体裁を取り繕うことができる。それすらも行われなかったということは、いかに両国の立場が隔たっていたか、推測できる。

 ソチ会談の前には、両国の専門家らは、何だかんだで妥協するのではないかと見ていた。つまり、ベラルーシがすべてではないにせよ何らかの文書に署名し、ロシア側がガスの優遇価格といった何らかの報奨を与えるというものである。しかし、どうやらロシアは、オールorナッシングの立場を貫いたようだ。31項目の工程表すべてを受け入れれば経済支援を再開するが、そうでなければベラルーシは自力でやれということである。つまり、1年前にメドヴェージェフ首相が表明した立場を貫徹したということである。ベラルーシは、「結局ロシアは以前のように助けてくれるのではないか」と高を括っていたが、今回ばかりは違った。

 12月20日に両大統領がサンクトペテルブルグで再会するということだけは決まった。つまり、交渉が続いているという表向きを取り繕うということだけは、合意したということである。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

pic780

 ロシア『フォーブス』誌の2019年9月号に、「ロシアの10大富裕ファミリー」という記事が掲載された(初めてではなく、毎年掲載されるらしい)。秋にロシア出張に行った時にこの雑誌を買い、いつかネタに使おうと思ってとっておいたのだが、そろそろ年末で大掃除をしたいということで、いつまでも雑誌を手元に置いておくのはなんだから、今回これを取り上げて廃棄することにする。上の画像は、たぶん雑誌だけについていた付録である。ただし、雑誌の記事自体は、こちらのサイトで閲覧することができるので、より詳しい情報を知りたい方はそちらをチェックされたい。

 ロシアでも、大企業ランキングとか、個人レベルの資産のランキングというのはよくあるが、フォーブス誌の今回のネタは、一族の単位で資産を比較していることに面白みがある。ロシアでオリガルヒが誕生してから20~30年が経過し、そろそろ初代が子供に資産を引き継ぐような動きも出てくるはずで、ファミリーという単位での比較は意味があるだろう。10大富裕ファミリーとその資産額は、以下のとおりということである。正直言うと、初めて聞いた名前もある。

  1. グツェリエフ家:66億ドル
  2. ロテンベルグ家:52億ドル
  3. シャイミエフ家:28億ドル
  4. ガポンツェフ家:20億ドル
  5. エフトゥシェンコ家:19億ドル
  6. ラヒムクロフ家:19億ドル
  7. リンニク家:16億ドル
  8. サルキソフ家:16億ドル
  9. バジャエフ家:15億ドル
  10. ミハイロフ(ミハイロヴァ)家:12億ドル

ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

gasplmap

 なんだか、やらなければならないこと、調べなければいけないこと、読まなければならない資料などが多すぎ、途方に暮れる。そんな中で、最近は、天然ガスおよび同パイプラインに関する大きなニュースが多いということを改めて感じるわけである。

 そんな中、『エクスペルト』誌の最新の2019年12月9-15日号(No.50)に、「シベリアの力」稼働を受けた天然ガスパイプラインに関する特集記事が出ており、記事全体をすぐに熟読する余裕がないので、せめてその冒頭に掲げられた地図だけでもしみじみと眺めてみようかと思うわけである(上の地図はクリックすると拡大するはず)。

 しかし、改めてこうやって見ると、天然ガス部門においてロシアは、欧州とアジアの二正面作戦を戦っているというか、もっと言えば一人で天然ガス世界大戦を戦っているような、そのくらいの戦線を抱えている。国力のかなりの部門をこの闘争につぎ込んでいるであろうことが伺える。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

202001

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2020年1月号。雑誌の上ではもう、2020年代の幕開けです。新しいディケイドも、よろしくお願いいたします。表紙の色も緑系の新色となり、装いも新たにお届けいたします(色決めには結構苦労した)。

 その2020年代最初の号では、「ROTOBOが切り開くロシアの新ビジネス」と題する特集をお届けいたします。基本的には、最近私どもロシアNIS貿易会が実施した事業の成果を報告する内容です。以前も、2007年8月号において、同趣旨の特集を組んだことがあります。ただ、最近当会で実施している対ロシアビジネス促進事業は、IT、医療、美容といった新規分野に関連するものが多いので、「新ビジネス」と銘打った次第です。

 服部自身は、小さな記事だけですが、「ユーラシア統合と一帯一路の『結合』は後退」、「深まるウクライナの出稼ぎ依存」を執筆。12月20日発行。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

400

 体調が悪いので今日は簡単なネタだけで。こちらに、欧州諸国の軍事費の対GDP比(2018年の数字)を比較した図が出ていたので、ロシア・ユーラシア諸国の数字をチェックしてみたいと思う。

 この中で、一番軍事費の比率が高いのがアルメニアであり、4.8%に及んでいる。やはり、ナゴルノカラバフ紛争を経て、アゼルバイジャンとの軍事的対峙が続いているので、それが表れたものであろう。敵対するアゼルバイジャンの側も3.8%と高い。西欧や中東欧諸国では1~2%程度のところが多いのに対し、経済水準の劣るロシアは3.9%であり、不相応に重い軍事支出を負担している形である。ウクライナは、もともとはずっと低かったはずだが、2014年の危機以降、ポロシェンコ政権の下で軍事支出を拡大し、3.8%というロシアに迫る数字となっている。これといった軍事的な敵もなく紛争も抱えていないベラルーシやカザフスタンの数字の低さは素晴らしい。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

0087

 GLOBE+に、「ロシア版の新幹線計画がまさかの大迷走」を寄稿しましたので、ぜひご笑覧いただければ幸いです。

 ロシアでは10年ほど前に、首都モスクワからカザン市まで高速鉄道を建設するという構想が浮上しました。同プロジェクトは多分に、2018年に開催されるサッカーのワールドカップをにらんだものでした。ところが、当初目標にしていたW杯も過ぎ去ったというのに、このプロジェクトはいまだ着工にも至っていません。中国の協力を取り付け、設計作業は2018年までに完了したものの、建設工事は始まらず、2019年4月にこの事業はいったん白紙に戻ってしまいました。そうした中、別ルートのモスクワ~サンクトペテルブルグ高速鉄道を優先する動きも出てきたのです。ロシア版の新幹線計画をめぐって、何が起きているのでしょうか?


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

11

 こちらのコラムが、ここに来てアゼルバイジャンがロシアとの関係を重視するようになっている旨論じている。ロシア人が書いたロシア目線のテキストという感じもなきにしもあらずだが、要旨をまとめておく。

 アゼルバイジャンは優先順位を見直してロシアとの関係を重視するようになっており、それは最近の両国間の高官の往来にも表れていた。アゼルバイジャンは、運輸・エネルギーのプロジェクトで繋がりの深いトルコとの戦略的関係を保持しつつも、ロシアとの既存および計画されているプロジェクトにも関心を強めている。

 アゼルバイジャンのそうした変化の一因は、EUが新たなパートナーを受け入れる熱意が低いことである。アゼルバイジャンにとってそのことは、不利な連合協定の締結を迫られながら、その結果得たのはEUからの輸入増大やいつまで続くかも不確かなビザ免除協定だけだったという隣国ジョージアの教訓からも明らかである。

 先日、アゼルバイジャンのメフリバン・アリエヴァ第一副大統領がロシアを訪問し、国家元首でもないのにプーチン大統領が直々に会談し、二国間関係に尽したとして勲章まで与えた。一部の専門家は、プーチンはメフリバンを「未来の大統領」として受け入れたと論評した。マスコミ等では、イルハム・アリエフ大統領は次期大統領選に出馬せず、妻のメフリバンにその座を譲るという観測が絶えないからである。ただ、そのことの真偽は定かではなく、確かなのは、両国関係が拡大しているという事実である。

 アゼルバイジャンの専門家によれば、最近行われた機構・人事改革の結果、政権におけるメフリバン・アリエヴァ第一副大統領の役割は高まっており、国際舞台で国を代表する役割を与えられ、それには対ロシア関係も含まれ、今般のロシア訪問団を第一副大統領が率いることになったのもまさにそのためだった。昨年、アゼルバイジャン・ロシア経済協力二国間委員会のアゼル側の共同議長にM.ジャバロフ経済発展相が就任したが、同氏はメフリバン第一副大統領のチームの一員であるという。アゼルバイジャンはロシアとの関係で社会・経済分野を重視しており、今回のロシア訪問団にも同分野の高官が多く参加していた。そして、それらの分野の機関を束ねる役割を果たしているのがメフリバン第一副大統領である。

 ここ数年、二国間の貿易は順調に伸びており、すでに25億ドルを超え、本年は30億ドルの達成も見込まれる。経済関係における投資の役割が高まっており、しかも投資は双方向となっている。特にアゼルバイジャン企業が石油精製をはじめるとするロシアの加工部門に投資をしており、たとえば国営石油会社SOCARはロシアのアンチピノ製油所の株式を取得、実質的にロシアの石油精製市場におけるプレーヤーに躍り出ている。一方、アゼルバイジャンは同国が第三国で実施するプロジェクトにロシアの参画を得ており、たとえばSOCARがトルコに開設したスター製油所に供給される原油の半分ほどがロシア産となっている。さらに、アゼルバイジャンとトルコはガスパイプラインTANAPおよびTAPが輸送するガスの一部もロシア産とすることを検討しており、ガスプロムと交渉している。

 対するロシアは、自身が主導する国際的枠組みにアゼルバイジャンの参加を得ることを目指しており、それにはアゼルバイジャンがユーラシア経済連合に加入する可能性も含まれる。現に、プーチン大統領はアリエフ大統領をモスクワでのユーラシア経済連合サミットに招待した。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

 上掲のとおり、世界主要国の鉄道貨物輸送量(トン・キロベース)の推移を見せる動画がYouTubeにあった。ロシアのほか、ウクライナ、カザフスタンも出てくるので、とても興味深い。ちなみに、日本は国土の特性上、鉄道による貨物輸送量は決して多くはないということらしく、まったく登場しない。

 1990年代は米国がトップで、ソ連崩壊後の混乱から脱していなかったロシアは3位だった。そこから近年盛り返し、米国・中国とデッドヒートを繰り広げたすえ、最新の2017年ではロシアが世界一になっている。しかし、先日「こんにちはシベリア鉄道」と題するコラムにも書いたとおり、ロシアの貨物輸送は石炭に偏重しており、石炭輸送が国策的に奨励されているからこそそれが不釣り合いに増大してきたというのが真相である。ロシア鉄道にとってはほとんど利益にならないし、もっと言えばグローバルな環境問題に及ぼす弊害も懸念される。ロシア経済が未来志向の発展を遂げつつあって、その結果として自然にロシア鉄道の貨物輸送量も増えているというのならいいのだが、現実はそれとは異なるのだ。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ

↑このページのトップヘ