ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ロシア

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 GLOBE+に、「日本には真似できないロシアの『1ヵ月休業』 プーチンはコロナとかく戦えり」を寄稿しました。

 プーチン大統領は3月25日、新型コロナ感染拡大を食い止めるため、3月28日から4月5日までを休日に指定し、自宅に留まるよう国民に呼びかけました。そして、4月2日に再度、国民向けのテレビ演説を行い、この特別休日を4月30日まで延長すると表明したのです。公的機関、生産の中断が難しい企業、医療機関・薬局、生活必需品の商店および生活に必須のサービス業を除いて、基本的に企業を休業させる(ただし、その間の被雇用者の給与は保証する)という大胆な決定です。

 日本では、政府や都道府県がお願いベースで自粛を要請したり、テレワークを推奨したりする煮え切らない状態が続いてきました(そんな日本でも、いよいよ緊急事態宣言が秒読みのようですが)。是非は別として、プーチンの号令一つで、企業活動を1ヵ月以上もストップできるロシアは、やはり日本とはまったくお国柄が異なるとしか言いようがありません。


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 私が利用することの多いレヴァダ・センターの世論調査結果を見ると、ロシア国民のうちプーチンを信認するという回答者の比率は、3月に低下したようである。上の図に見るとおりだ。

 他方、全ロシア世論調査センターでは、もっとこまめに毎週調査を実施している。その結果、プーチンを信認するという回答者の比率は、下図の紫の線のようになっている。これによれば、3月15日には68.4%、3月22日には67.0%と低下したが、3月29日には71.1%と回復に転じている。

 これは要するに、ロシア国民は、3月10日の新たな改憲案(もっと具体的に言えばプーチンの任期の初期化)は否定的に受け止めた向きが少なくなかったが、コロナ問題を受けた3月25日の1週間休業宣言(その後さらに延長)は歓迎した人が多かった、ということではないだろうか。前掲のレヴァダ・センターの調査時期が明記されていないのだが、3月の半ば頃だったと考えれば、辻褄が合う。日本では、コロナ問題への対応の不手際で安倍政権の支持率が悪化しており、今のところロシアはそれとは様相が異なると言えそうである。

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 アルファバンクのN.オルロヴァ氏は、ロシアを代表する民間エコノミストだが、普段は、ロシア経済は硬直的で成長余力がほとんどないといった悲観的なことを言いがちな印象がある。しかし、最新のこちらの記事で、今般の新型コロナウイルス危機のロシア経済への影響についてのコメントを見ると、思いのほか楽観的なことを述べており、ちょっと意外な感じがする。

 オルロヴァ氏によれば、確かに2020年第2四半期(4~6月期)のGDPは強制休業の打撃を受け崩れるが、2020年通年のGDPはマイナス1.0%に留まるということである。もっと大幅なマイナス成長を予想する専門家が多い中で、あえて楽観論をとる根拠として、オルロヴァ氏は以下の7点を挙げている。

  1. 2008年、2014年は金融市場の逼迫による銀行融資危機で、2008年には銀行が流動性不足に直面して融資を引き締め、2014年には金利が急上昇した。それに対し、現在は中銀が大量の流動性を供給しており、金利政策にも変化はない。
  2. 現在最も苦しんでいるのは中小企業およびサービス部門だが、これらはロシア経済の基幹部門ではない。
  3. ロシア企業は伝統的に需要が減退すると賃金カットで対処する傾向があるが、現時点では労働市場は売り手市場であり、企業が賃金をカットすることにはなりにくい。
  4. 過去の経済危機は財政の引き締めにも起因していたが、過去2年で財政の基準となる石油価格はバレル50ドルにまで引き下げられており、仮に今後半年か1年で油価がその水準に戻れば、連邦財政が経済の縮小に拍車をかけることはなさそう。
  5. ロシアの輸出の主力は資源であり、世界の需要低下は供給量よりも価格下落に反映される(つまり実質GDPは減らない)。ルーブルの為替政策がロシア生産者の競争力を最大限に保護するものであることも、これに繋がる。
  6. 人々の移動が困難になっていることで、ロシア国民の外国旅行が減り、外国からの出稼ぎ労働者の流入が減るので、ロシアの国際収支、GDPにとっては有利となる。
  7. ロシアは広大な国土を有し、大都市では経済活動停止の影響が大きくなっても、地方ではそれが緩やかになる可能性がある。

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 ロシアの株式市場は、上図に見るとおり、一頃の急落が一段落し、若干の回復に転じているようだ。先日、当ブログで「油価およびルーブルの下落には歯止めがかかる」ということをお伝えしたら、その直後から油価が再び下落に転じるという気まずい出来事があったので、株価についても太鼓判を押すのはためらわれるのだが、一応現時点では回復基調ということになっている。

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 さて、以前「週刊ロシア経済」で「Myロシア投資」というコーナーをやり、その時に申し上げたとおり、私は少額ながら東証に上場されている「RTS連動型投信(1324)」というETFを保有し、自らロシア経済の浮沈を体感するようにしている。その過去5年間の値動きを示したのが、上図である。このETFは、ロシア本国のRTSと連動するように値決めされていくので、当然のことながら、昨今のロシアの株安に連動して、RTS連動型投信(1324)も下落している。

 ちなみに、私自身のこの銘柄の平均購入価格(何度かに分けて買った)は118円であり、今現在はそれが117円になっているので、ちょっとだけ損をしている格好だ。ただし、以前も申したとおり、私は長期保有の放ったらかし投資だから、短期的な値動きに一喜一憂はせず、また買い足すチャンスくらいにしか思っていない。

 それで、「Myロシア投資」というコーナーをやっていた時に、報告しそびれていたポイントがある。今般、確定申告に向け、自宅に届いた過去1年分くらいの書類を整理していたところ、下に見るようなものが出てきたので、ちょっとお目にかける。RTS連動型投信(1324)は、ETFとはいえ、一応は株式投資なので、年に一度配当があるのである。ロシア企業が頑張って稼いだ分を、おこぼれとして、頂戴できるのだ。

 私はRTS連動型投信(1324)を現在28万円ほど保有しているのだが、それに対して、1年間の配当は16,776円。配当利回りは6%ということになり、悪くない数字だ(ただし、昨今の油価下落は、ロシア株の配当にも響くだろう)。日本の銀行の普通預金で16,776円の利子を得ようと思ったら、いったいいくら預けなきゃいけないのかという話だ。むろん、株価変動のリスクはあり、投資は各自の自己責任でお願いしたいが。なお、下の計算書で、課税がなされていないのは、NISAだからである。

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 色々バタバタしており、ブログでは、他のところの用事のために作成した図表を転用するなどしてしのいでいるが、これもその一つ。ユーラシア経済連合の主要経済指標に、加盟各国が占めるシェアを示したグラフを更新したので、お目にかける。

 ご覧のとおり、主要指標のだいたい8割くらいをロシア1国が占めるという、非常にアンバランスな力関係になっている。ベラルーシとカザフスタンの2国はまだしも一定の寄与をしているが、キルギス、アルメニアという2つの小国の存在感は微々たるものであり、あまりにも狭いのでデータラベルも貼れないということになっている。


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rube

 ロシア・ベラルーシの経済成長率を、石油価格と対比しつつ示すこの図は、時々更新しているのだけれど、2019年の数字が出揃ったので、それを反映して最新版を作成した。見づらかったら拡大表示してください。

 ロシアの経済成長率が油価とほぼ連動しているのはご存じの方も多いだろうが、実はベラルーシも同じである。ベラルーシでは、ロシアから原油を輸入して、それを石油製品に加工し、欧州市場等に輸出することが、最大の稼ぎ口だからである。それに加え、ロシアへの経済依存度が高いために、ロシアが油価に翻弄され、さらにそのロシアにベラルーシが翻弄されるという作用も生じる。


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ig

 こちらのサイトに見るように、ロシア中央銀行は3月30日、国内市場での金(ゴールド)の買い入れを4月1日から停止すると発表した。今後の購入政策については、金融市場の動向を見ながら決めていくという。

 この中銀の決定に関し、こちらの記事が背景を解説しているので、以下のとおり要旨を整理しておく。

 ロシア中銀は2014年から積極的に金を購入していたが、2018年の880万トロイオンスという記録的な購入に比べ、2019年には510万トロイオンスに低下していた。近年の購入量を整理すれば、以下のとおりである。

2014年:550万
2015年:670万
2016年:640万
2017年:720万
2018年:880万
2019年:510万

 2014~2019年累計で4,000万トロイオンスあまりを購入した。2020年に入り、1月、2月と、それぞれ30万トロイオンスに縮小していた。

 近年、ロシア中銀は世界最大の金の買い手となっていた。専門家たちの見るところ、金購入は脱ドル化の一環であり、欧米による制裁が拡大する限り、今後もその状態が続くだろうとされていた。

 しかし、中銀は金・外貨準備に占める金の割合を、20%程度の目安に置いていたと見られる。2020年3月1日には、その比率が21%に達し、金額では1,200億ドル相当の金準備を抱えるに至った。これは、コロナ感染の影響で金の価格が上昇したため、金・外貨準備に占めるその比率が拡大したものだった。したがって、たとえ金を追加購入しないとしても、当面、金の比率が拡大していくと見られ、これは金・外貨準備の多角化という観点からマイナスである。専門家によれば、結局のところ金はそれほど流動性の高くない資産であり、現下の市場の情勢からして、流動性を確保しておく必要がある。また、財政ルールの枠内で、従来中銀は外貨を購入するだけだったが、3月には初めて売却するようにもなり、その観点からもより流動性の低い金の比率が拡大することは望ましくなかった。


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 GLOBE+に、「中国がユーラシアに築く新型コロナ対策のシルクロード」を寄稿しました。

 中国での新型コロナウイルス感染拡大にもブレーキがかかり、3月10日に武漢を視察した習近平国家主席は、湖北省での感染は基本的に抑え込んだと宣言しました。この「勝利宣言」あたりが転換点だったでしょうか、中国は支援を受ける側から、遅れて感染が広がった諸外国を支援する側へと回ります。ロシア・ユーラシア諸国も例外ではなく、現在では同諸国のほとんどが、何らかの形で、新型コロナ対策の支援を中国から受け入れています。今回のコラムでは、この現象を取り上げています。


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 多忙であり、簡単に作れるブログのネタにも事欠き、困り果てたので、時々更新している石油価格とロシア・ルーブルの対ドル為替レートのグラフをお目にかけて、お茶を濁すことにする。

 結論から言えば、油価およびルーブルの急激な下落には、ひとまず歯止めがかかった模様である。油価は3月18日が底で、それ以降は若干持ち直している。ルーブルはそれ以降も下落が続いたが、先週になって回復傾向に転じた。

 PS:週が明けて、再び油価の大幅下落が伝えられている。間の悪いエントリーになってしまい、お詫び申し上げます(昨晩用意したネタだったので)。


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 こちらのサイトに見るとおり、コロナウイルス感染の拡大を受け、全ロシア世論調査センターが3月21日に、全国の1,600人の成人回答者を対象に、買い溜めに関する意識調査を実施したということである。

 その結果、現時点で、買い溜めをしておいた方がいいという回答が11%、しなくていいという回答が87%だった(回答困難が2%)。どちらかというと、若い世代や、首都住民の方が、買い溜め志向が強い。

 そして、買い溜めをしておいた方がいいという回答者のうち、過去2~3ヵ月に実際に食料品を買い溜めしたという人が43%、まだしていないという人が57%であった。

 全回答者を対象に、どんな食料品は買い溜めしておく意味があるかを、5つまでの複数回答で尋ねたところ、穀物の挽き割り:49%、缶詰:31%、砂糖:27%、パスタ類:25%、小麦粉:22%、塩:16%、油:15%、食肉:15%、ソバの実:11%、などが挙がった(肉は冷凍しておくのかな?)。

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 以上が全ロシア世論調査センターの調査結果だが、実際にはロシア社会にはもっとパニック的な雰囲気があり、特にここ10日か1週間ほどその空気が強まっているのではないかと、個人的には推測する。


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 こちらに見るとおり、ロシアのプーチン大統領は3月25日の大統領令で、4月22日に予定されていた改憲に関する国民投票を延期することを決定した。新しい投票日はこれから調整することになる。

 本件に関し、こちらのサイトで、政治工学センターのA.マカルキン氏が論評しているので、要旨を以下のとおり整理しておく。

 改憲に関する国民投票は、年内に実施されるだろうが、その時には政治的リスクが高まっている可能性が強い。プーチンは、下院、上院、地域議会が同日に改憲案を承認し、必要な手続きは踏みながら、その発効がいつになるか分からないという、奇妙な状況を作ってしまった。

 政権は投票の実現に向けぎりぎりまで全力を挙げたが、次第に投票実施は不可能であることが明白になっていった。最初は注目を集めていた改憲問題も、コロナの流行や油価・ルーブルの下落に主役を奪われた。高齢者も多い投票組織スタッフに、この状況で作業を強いるのは、酷なことである。決定打となったのが、プーチンがコロナ対策の特別病棟を訪問し、欧州の大流行の二の舞になってはいけないと発言したことであり、それ以降、大統領の国民向けスピーチの準備が始まった。プーチンは、2014年の時と同じように、共通の敵を前にして国民を束ねる存在として、国民に語り掛けた。

 延期された投票がいつ実施されるかは、まだ明らかでない。パンデミックが落ち着いていたら6月かもしれない。あるいは、統一地方選挙と同日の9月かもしれない。しかし、国民投票と地方選挙はまったく異なる意味合いであり、たとえば不人気な現職知事が改憲を支持する発言をすると、かえって有権者が反発する恐れもある。

 さらに、政治状況は刻々と変化し、政権は次々と新たな課題に直面し、それがいつ終わるかも不明である。現時点であれば、国民のムードは読みやすく、それは「危機の時には現政権の下に団結する」というものである。しかし、パンデミックが収束した後では、団結効果が薄れている可能性がある。経済状況、失業、ビジネスへのダメージがどうなっているか不明である。ロシアはトランプの米国のような大規模な経済対策は打てない。ロシアの国家的な優先事項は安定と安全保障であり、国の支援を期待できるのは、年金生活者、公務員、軍事・治安関係者、そして経済の基幹となるような大企業だけである。旅行会社、外食といった大都市のサービス部門は、その対極にある。銀行預金の利子に対する新たな課税などは、預金が乏しい公務員や年金生活者にはウケるかもしれないが、大都市のアッパーミドルの不興を買うことになろう。

 こうした状況での国民投票実施は、政治的リスクが高まる。かといって政権が宙ぶらりんの状態を続けたり、国民投票をやめてしまったりすることもできない。投票をやめたら、政権の面目が潰れ、国民の反政権的ムードが高まる恐れがある。おそらく、中断の時期をなるべく短くし、何としても今年中に投票を実施するように全力を尽くすだろう。その際に依拠するのはやはり、安定的な支持層である年金生活者と公務員である。


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0102

 GLOBE+に、「新型コロナでの五輪延期論をも味方につけるロシア プーチンは国益を譲らない」を寄稿しました。

 前回3月17日のコラムでは、ロシアでは今のところ新型コロナウイルスの流行は比較的軽微であるということをお伝えしました。15日までの情報にもとづいて執筆したものでしたが、実はその後、ロシアでの状況は大きく変わりました。感染者数は加速的に増加し、22日までに367人に到達。もちろん、感染の中心地とされているような国に比べれば、まだ桁違いに少ないものの、ロシアももはやパンデミックと無縁ではなくなってきたことは確かでしょう。

 今回は、東京オリンピック・パラリンピックにおけるロシア選手団の処遇などを中心に語っております。


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 ウクライナの貿易データを整理していたら、重大なことに気付いた。2019年、中国が初めて、ウクライナの最大の貿易相手国に躍り出たのである。

 伝統的に、ウクライナ最大の貿易相手国は、ロシアであった。2014年の政変後は、ロシアとの貿易は急減したが、それでも2018年までは国単位で見ればロシアが最大の貿易パートナーである状態が続いていた。しかし、2019年になって、ついにそれに終止符が打たれた。同年には中国がウクライナの輸出入総額の11.5%を占め、9.2%のロシアを抜いて、トップに立ったのである。表に見るように、輸出入とも、中国が1位、ロシアが2位となっている。2019年には、ウクライナの対中国輸出が63.3%増、輸入が20.9%増であったのに対し、対ロシア輸出は11.2%減、輸入は13.6%減であり、その勢いの差が出た。

 ウクライナの愛国者の皆さんは、「不俱戴天の仇が最大の貿易相手国」という不名誉な状態が解消され、喜んでおられるだろうか。


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kouri

 ロシアで小売販売される商品に占める輸入品の比率というデータは、ロシア統計局が輸入代替の進捗状況を示すための指標として定期的に更新しているものであり、このたび2019年のデータが発表されたので、それを上図のようにグラフにしてみた。

 確かに、輸入依存度は、2000年代に比べれば、低下している。しかし、ウクライナ危機の状況下でルーブルが下落し、また欧米からの食品禁止措置を採ったことなどにより、2017年くらいまでは輸入品比率の低下が顕著に見られたものの、それ以降は輸入代替は頭打ちであり、ここ2年はかえって輸入比率が若干盛り返している。品目別の状況を見ると、輸入代替生産が着実に進捗したと評価できるのは、食肉分野くらいである。

 ただし、直近ではルーブルが急激に下落に転じており、その影響で2020年には再び国産品の優位が多少強まるかもしれない。


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 コロナ問題に起因する世界経済危機、OPEC+協議の物別れを受け、石油価格の下落が止まらない。上の図に見るのはブレント油価の推移だが、18日モスクワ時間昼過ぎに27.9ドルまで低下。28ドルを下回ったのは、2016年1月以来だという。

 ロシア経済にとっても、まったく当てが外れた格好である。下の表に見るように、ロシア政府は2020~2022年の連邦予算を編成するに当たって、石油価格の想定を、2020年57ドル、2021年56ドル、2022年55ドルとしていた。財政も黒字だし、この原資を使ってナショナルプロジェクトに邁進する構えで、そのためにこそ1月にミシュスチン新内閣が起用されたようなものだ。ところが、このところのミシュスチン内閣の政策措置を見ると、コロナ問題の緊急対策ばかりであり、ナショナルプロジェクトの話はどこかに行ってしまった感がある。しかも、油価が想定の半分程度の水準まで落ち込んだとなると、先立つものも怪しくなってくる。

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 ロシアのプーチン政権は、非原料・非エネルギー商品の輸出を拡大するという目標を掲げているわけだが、2019年は鉄鋼や穀物の市況低迷のためロシアの同輸出は伸び悩んだ。同輸出の促進を担当している「ロシア輸出センター」のウェブサイトを確認したところ、こちらのニュースのコーナーに、2019年の実績がひっそりと出ていた。結論から言えば、2019年に同輸出はどうにか縮小は免れ、微増に終わったということのようだ。

 すなわち、2019年の非原料・非エネルギー商品の輸出は1,545億ドルで、前年比0.2%増だった。微増ではあるが、これは一応、過去最高額ということになる。非原料・非エネルギー商品の輸出は、数量ベースでは、2019年に2.7%拡大した。ロシアの輸出全体に占める非原料・非エネルギー商品のシェアは、2018年の34.3%から、2019年の36.5%へと拡大した。

 多くの部門は数量ベースで輸出を拡大したが、穀物や魚介類などは数量ベースでも低下しており、これは前年が豊作などの影響で特別に輸出が盛んだったからだ。

 産業・商業省では、2019年暮れに非原料・非エネルギー輸出を計算する上での方法論を改訂しており、それに伴い過去のデータも修正した。その結果、2018年の同輸出額は1,514億ドルから1,542億ドルへと修正された。

 2019年の非原料・非エネルギー輸出1,545億ドルのうち、12.6%に当たる195億ドルが、ロシア輸出センターが参加して行われたものだった。1.1万の輸出企業が同センターのサービスを利用した。

 PS 今回ご紹介した情報をロシア輸出センターが動画にしたものが3月17日に配信されたので、以下に貼っておく。


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 GLOBE+に、「コロナ禍の世界でしたたかに立ち回るプーチン・ロシア」を寄稿しました。

 なお、本稿は3月15日までの情報にもとづいて執筆したものです。3月16日になって、ロシア政府が、3月18日から5月1日までの間、外国人の入国を制限することを決めるという大きな動きがありました。というわけで、残念ながら本稿は発表された時点ですでに情報が古くなってしまっておりますが、その点はご容赦ください。


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 こちらのサイトで、「最新グローバルデジタルトレンド2020」という情報が伝えられている。世界各国のデジタル、モバイル、ソーシャルメディアの利用状況を比較したレポートである。

 この中で、人口に占めるソーシャルメディアの利用状況を比較したのが、上図である。私の関心国であるロシアは、世界平均の49%よりもやや低い48%となっている。日本は65%。正直言えば、ロシアはもっと高いかと思っていた。

 一方、「16歳から64歳のインターネットユーザーが1日にソーシャルメディアを使用する平均時間」という指標を見ると、下図のとおり、ロシアは世界平均の2時間24分をやや上回る2時間26分となっている。全体として、途上国・新興国ほど使用時間が長く、先進国ほど少ないという傾向になっている。日本は主要国では極端に短い45分となっているが、本当だろうか?

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 もはやコロナ感染の主戦場はヨーロッパへと移り、欧州蹴球界も無観客へ、そして試合の開催自体を延期・中止へと、急激に舵を切っている。「ところで、ロシア・プレミアリーグはどうなってるのかな?」と思ってチェックしてみたところ、この週末も元気に開催しているようである。上に見るのは、昨日のアフマト・グロズヌィVSディナモ・モスクワ戦の模様。

 ご覧のとおり、バッチリ観客を入れて開催している。惜しむらくは、スタジアムも素晴らしいところなのに、集客がせいぜい数千程度と見られることか。目下最下位のアフマトは、残留争い佳境なのにな。

 いずれにしても、世界の主要リーグで、ロシアのようにいまだに普通に試合をしているところは、もはや稀だ。ロシア・プレミアリーグとしては、退屈で死にそうな世界のサッカーファンに向けて、アピールするチャンスなのではないか。

 それから、最近ロシアのサッカー事情を良くフォローしてなかったので、ロシア・プレミアリーグでもVARが導入されているということを、この動画で初めて知った。

 3月15日追記:残念ながら、その後の情報によると、本日15日のソチVSクラスノダル戦は、クラスノダル地方行政府の方針にもとづき、無観客で開催されることが決まったそうである。さらに、3月17日にロシア・プレミアリーグの総会が開かれ、その場でリーグ戦の中断が決定される可能性があるということである。


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 田畑伸一郎・後藤正憲(編著)『北極の人間と社会 ―持続的発展の可能性(スラブ・ユーラシア叢書14)』(北海道大学出版会、2020年)については、先日すでに簡単に取り上げたが、このほど月報用に書籍紹介文を書いたので、それをここで共有する形で改めて紹介させていただく。

 北海道大学出版会から今般、「スラブ・ユーラシア叢書14」として、『北極の人間と社会 ―持続的発展の可能性』が刊行された。

 我が国においては、2015年度から文部科学省の「北極域研究推進プロジェクト(ArCS)」が開始され、国際共同研究を推進するための8つのテーマ(サブプログラム)の一つとしてテーマ7「北極の人間と社会:持続的発展の可能性」が設定された。本書は、主にこのテーマ7に取り組んだ研究者たちがその成果を発表すべく、企画されたものということである。

 本書では、急変する北極域の気候変動と環境変化が、人間社会にどのような影響をもたらすのか、また、人間はそれにどのように対応するべきかを、経済発展、環境と社会、国際関係とガバナンスの視点から検討し、北極域の持続的発展の可能性を探ろうとしている。具体的には、以下のような構成となっている。

序 章 持続的発展を目指して(田畑伸一郎・後藤正憲)
第1部 北極の経済開発
第1章 北極海航路(大塚夏彦)
第2章 石油とガス(田畑伸一郎・本村眞澄)
第3章 漁業(成田大樹・平譯享)
第2部 環境と人間の相互作用
第4章 凍土と文化(後藤正憲・中田篤・飯島慈裕)
第5章 変化と適応(藤岡悠一郎・高倉浩樹・田中利和・S.グリゴリエフ)
第6章 先住民とモニタリング(近藤祉秋)
第3部 北極のガバナンス
第7章 国際関係(大西富士夫)
第8章 北極評議会(稲垣治・幡谷咲子)
第9章 国際法に基づく秩序づくり(柴田明穂)
第10章 開発と先住民族(高橋美野梨)

 『ロシアNIS調査月報』の中心的な読者層である実務家諸氏にとっては、第1部で論じられている北極海航路、石油ガス開発、漁業の各章が、とりわけ直接的な関心事となろう。特に北極海航路を扱った第1章は単独の執筆者によるものでありながら、輸送の需要とコスト、船舶の構造、航行の安全性、環境への影響など、きわめて多面的な分析が施されており、学ぶところが大きい。

 ところで、本書序章の中では、北極研究において直面した自然科学系と人文・社会科学系の研究者同士の相互理解の難しさが吐露されている。ArCSにおいては、それまで自然科学系の独壇場であった北極研究に、人文・社会科学系の研究者が参入してテーマ7が設けられた点が画期的だったのだが、超克すべき両者のギャップは大きかったということだ。

 今般完了したArCSに続いて、本年からはその続編となるプロジェクトが始動する予定と伺っているので、より一層の成果に期待したい。


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 以前、YouTubeで「週刊ロシア経済」というのをやっていた時に、「MYロシア投資」というコーナーがあった。私は東証に上場されているETF「NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信(1324)」というのをちょっとばかり持っているので、その上昇や下落によって市場を体感してみよう、という趣旨だった。

 私の投資は長期保有の放ったらかし投資なので、短期的な上げ下げには別に一喜一憂したりはしないのだが、最近の世界的株安、ルーブル安、円高で、我がロシア投資はどうなっているのかというのを、ここでチェックしておこうと思う(本当だったらロシアの改憲の問題とかを報告すべきなのだが、その余裕がなく、簡単にできるネタに逃げている次第)。なお、「NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信(1324)」というのは、ロシアの株価指数を日本円に換算したものが基本になるので、昨今のルーブル安、円高は当然不利な条件となる。

 「NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信(1324)」は、一頃まで大変に好調で、今年の1月には179円まで行った。しかし、さすがに足元のルーブル安・円高には勝てず、直近で134円まで下落しているというのが、現状である。

 まあ、ただし、私の同銘柄の平均取得価格は118円だったので、これだけの逆風が吹いても、今のところ損はしていない。個人的には、値段が下がっても、また買い足すチャンスくらいにしか思わない。


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202004

 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2020年4月号の中身を、いち早くご紹介。今号では、「ロシア極東・シベリア・北極の経済発展」と題する特集をお届けしております。

 小誌ではこれまでも、極東の特集、シベリアの特集、北極の特集、全部やったことがありましたが、その3つをいっぺんにやる欲張りな特集は、もちろんこれが初めてです。今回の特集の地理的範囲は、何とロシアの国土の81%。もちろん、そこにはロシアの人口の21%しか住んでいませんが、地域総生産の27%、鉱工業生産の31%、特に鉱業生産の68%がここで生み出されています。思いのほかバラエティ豊かな記事も集まり、充実した特集になったかと思います。

 服部自身は、「ロシアの新たな北極政策文書」、「ウクライナ内閣は半年しか持たず交代」という短いレポートを執筆したほか、田畑伸一郎・後藤正憲(編著)『北極の人間と社会 ―持続的発展の可能性』の書評を担当。

 3月20日発行予定。


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0100:ロシア

 GLOBE+に、「ロシアの地域格差は何と62倍! 極端な貧富の差が生じるからくりとは」を寄稿しました。

 我が国では、内閣府が「県民所得」という統計をとりまとめて発表しています。国内総生産(GDP)が一国全体の経済規模を示すものであるのに対し、それを都道府県の単位にブレークダウンしたのが県民所得ということになります。そして、都道府県別の経済発展水準を示すのが、1人当たりの県民所得という指標です。

 もちろん、こうした統計は日本だけでなく、世界各国が出しています。ロシアも例外ではなく、「地域総生産」という指標がそれに該当します。先日、ロシア国家統計局が最新の2018年のデータを発表しました(地域総生産は他の指標に比べて発表されるのが遅いので、今頃2018年の数字が出たわけです)。今回は、このデータを使いながら、他国との比較も交えつつ、ロシアの地域格差の問題について考えてみました。


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 先日も書いたように、現在のウクライナの経済状態をどう見るかについては、意見が分かれている。そうした中、先日、フィナンシャルタイムズに、「Ukraine’s recovery is a headache for Putin」と題する記事が掲載され(読むのにはログインが必要)、ウクライナ経済が上向きであることが論じられた。だいぶ好意的な論調だが、影響力あるメディアの論評なので、以下でそれを抄訳しておく。

 ウクライナに関する否定的なニュースには事欠かないが、経済についてはその多くがポジティブな内容となりつつある。6年前の政変とロシアの介入により、ウクライナ経済は下降線を辿ってきたが、改革派のゼレンスキー大統領と議会に導かれてそこから抜け出そうとしており、向こう数年間で経済的離陸のチャンスが充分にあると考える専門家もいる。

 ウクライナは1月、12.5億ユーロの起債に成功したが、その利回りは4.37%で、1年前から半減している。2019年に通貨グリブナが17%切り上がった効果もあり、外貨準備は1月に2012年以来の水準にまで拡大した。公的債務も、2016年のGDP比81%から、51%にまで低下している。

 ポロシェンコ前大統領の時代に、その基礎は築かれていた。問題点もあったが、ポロシェンコ時代の歴代内閣は困難な課題に取り組み、その政治的な代償として選挙に敗れた。長らく補助金漬けだったガス価格を市場価格にまで値上げし、家計に苦しみを強いつつも、財政を改善した。中央銀行は、闇経済に染まり非効率だった銀行部門を健全化した。前政権時代に導入された汚職対策が、ようやく実を結ぼうとしている。

 ウクライナの労働移民の本国送金も、プラスに働いている。世銀によれば、ウクライナから500万人強が国外に働きに出ており(ポーランドだけで100万~200万に達する)、2018年のレミッタンスは144億ドルとなり、ヨーロッパ最大の受け手となっている。ただ、ウクライナ経済が回復し、2019年には実質賃金が10%ほど上昇したことから、ウクライナの労働移民は帰国し始めており、その結果として2019年の流入は120億ドルに低下したと見られる。

 ゼレンスキー氏が大統領に選出され、その公僕党が議会選で勝利したことから、改革関連法案が大量に可決され、国際社会は「急ぎすぎて質を犠牲にすることのないように」と釘を刺したほどである。中でも画期的なのは、長らく禁止されていた農地売買が10月に解禁されることであり、これにより農業・食品産業の生産性が高まることが期待されている。

 ただし、政治的なリスクも2つある。第1にオリガルヒが改革を骨抜きにすることである。中でもゼレンスキーの大統領就任を手助けしたコロモイスキーが、国有化されたプリヴァトバンクの奪還を目指しているのが不安材料である。これについては、かつてコロモイスキーの顧問弁護士だったボフダン大統領オフィス長官を、ゼレンスキーが2月に解任したことは良い兆候である。第2のリスクは最大のもので、クレムリンに由来する。ウクライナの成長率がロシアのそれよりも高いのは、プーチンにとって面白くない事態である。最近生じたドンバス情勢の激化は、ロシアが依然として行使できるテコの存在を改めて想起させた。


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 こちらおよびこちらの記事によると、ロシア・ウラル地方のスヴェルドロフスク州にある工業生産特区「チタンバレー」で、事件があったということである。

 2月17日、チタンバレーのA.クィズラソフ総裁と、州の元経済次官のM.シリマノフが、連邦保安局によって逮捕された。特区で工事を請け負っている業者からの賄賂5,000万ルーブルを受け取った容疑であり、前者は巨額収賄、後者はそれを仲介したかどで逮捕された。シリマノフは容疑を認め捜査に協力しているが、クィズラソフは容疑を否認している。

 2月19日、エカテリンブルグ市レーニン地区裁判所が、両者を2ヵ月拘留する決定を下し、2月27日にはスヴェルドロフスク州裁判所がその決定を支持している。


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 こちらのページに見るとおり、ロシアのプーチン大統領は3月5日付の大統領令で、「2035年までの北極におけるロシア連邦の国家政策の基礎」と題する政策文書を承認した。

 これをざっと眺めても、ポイントがどこにあるかというのは、個人的にすぐには分からないが、「ロシアの地域総生産に占める北極域のシェア」というのを数値目標に据えるというくだりが見られ、興味深いと感じた。ただし、この戦略の中には、具体的な数値は挙げられていないようである。

 関心を持ったので、検索してみたところ、ロシア連邦国家統計局がこちらのページで、「ロシアの地域総生産に占める北極域のシェア」という統計データを発表していることが分かった。2017年までの実績値が出ていたので、それを上掲のようにグラフにしてみた。

 おそらく、北極域のシェアが伸びているのは、ヤマルLNG等によるヤマロ・ネネツ自治管区の成長が大きいのではないかと思われる。また、先日当ブログに書いたとおり、ロシア政府は北極域そのものを少しずつ拡大する政策をとっているので、その影響も多少はあるかもしれない。


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 先日伝えられたこちらの記事によると、スポーツ動画配信サービスのDAZNは近く世界の200程度の国(!)で新たにサービスインする予定であり、ロシアでも今年5月末までに利用できるようになるという。ただし、新たな進出国では当面、英語によるボクシング放送だけが視聴可能となる。今回決まったロシア進出はあくまでも最低限のローンチであり、本格的なロシア進出と言えるようになるには、現地のニーズを踏まえたより広範なコンテンツが必要で、またロシア語の実況を付けることも不可欠である。

 なお、記事によると、ロシアでスポーツ番組のネット配信を手掛けている既存の業者には、ヤンデックス(2019年9月にコンチネンタルホッケーリーグの3年間の放映権を獲得)、Okko(2019年4月にイングランドプレミアリーグの3年間の放映権を獲得)、Ivi(2019年10月にロシアプレミアリーグ、CL、ELの放映権をガスプロムメディアから買収)、Megogo(イタリア、スペインのサッカーリーグを中継)がある。

 ところで、個人的にはこの記事を読んで初めて知ったのだが、DAZNを保有しているのは、旧ソ連に非常に馴染みのあるレオナルド・ブラヴァトニク氏のアクセス・インダストリーズ社であるということである。同氏および同社については、以前当ブログでも、「ロシア系ファンドがワーナー・ミュージックを保有?」というエントリーで言及したことがあった。してみると、今回のDAZNによるロシア進出は、ブラヴァトニク氏の旧ソ連里帰り投資のようなものとも言えようか。

 個人的な関心事は、ロシアでDAZNがサービスインしたあかつきに、たとえばロシアに出張に出かけて、彼の地で私が日本のJリーグを見られるのか、という点に尽きる。あるいは、日本に居ながらにして、ロシアのサッカー・プレミアリーグやコンチネンタルホッケーリーグが観られるようになれば、それも歓迎だ。しかし、おそらくそうはならないだろう。想像するに、ロシアのDAZNを観るためには、日本とは別に、ロシアでもユーザー登録し料金を払わなければいけないのではないか。そして、ロシア国内でどんな番組を観られるかは、ロシアDAZNのマーケティング次第であろう。ロシアDAZNのコンテンツとして、将来的に日本のJリーグが加わる可能性もなくはないだろうが、仮にそうなっても、全試合になるか、ライブでやってくれるかなど疑問は尽きない。

 まあ、VPNだな、結論として。


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 GLOBE+に、「ロシア製品もここまで進化! 虎視眈々と日本市場を狙う企業」を寄稿しました。

 ロシア政府は「非原料・非エネルギー商品」の輸出を拡大するために、「ロシア輸出センター」という国策会社を設け、様々な輸出支援策を講じています。それには海外におけるロシア製品のプロモーション活動も含まれており、このほど日本でも関連行事が開催されました。2月27、28日に、東京駅近くの会場で、ロシア輸出センターとロシア郵便の主催による「ロシア商品フェア in Tokyo 2020」が開催されたものです。私もその様子を見てきましたので、今回はそのレポートです。


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 YouTubeの「深掘り! ロシア・ユーラシア」のシリーズで、「ユーラシア経済連合の共同エネルギー市場」という動画を配信しました。

 何度か申し上げたとおり、2月16日(日)に立教大学で公開シンポジウム「エネルギー安全保障:欧州の経験とアジアへの示唆」が開催され、私はそこで「ユーラシア経済連合の共同エネルギー市場」という報告を行いました。せっかくパワーポイントを作ったので、それを利用して、シンポジウムにおける報告要旨をご紹介するものです。


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 ロシアの北極政策を理解する上で重要なポイントの一つに、「北極域(Арктическая зона Российской Федерации)」というものがある。一般的には、全世界的にも、ロシアにおいても、北緯66度33分の「北極線(Северный полярный круг)」よりも北に位置する地域を、「北極圏(Арктика)」と呼ぶ。「北極域」というのは、それとは別であり、ロシアが北極に関する国家政策を推進していく上で指定した特定のエリアのことである。北極域は、2014年4月21日付のロシア政府決定で採択された国家プログラム「ロシア北極圏地域の2020年までの社会・経済発展」で定められたもので、ムルマンスク州、ネネツ自治管区、ヤマロ・ネネツ自治管区、チュコト自治管区の全域と、アルハンゲリスク州、コミ共和国、クラスノヤルスク地方、サハ共和国の一部の区域がその対象となった。さらに、2017年8月31日付政府決定でプログラムが改訂された際に、カレリア共和国の一部区域も加えられた。上の地図はこちらから拝借したものだが、このように後から追加されたカレリア共和国までちゃんと含んだ図は実はレアである。点線が北極線、青い範囲が現状の北極域である。

 さて、最新のこちらの記事によると、北極域の領域を、若干拡大する方向で検討が進んでいるということである。具体的には、コミ共和国、カレリア共和国、クラスノヤルスク地方の一部区域を、新たに北極域に追加する見通しとなっている。それにより、北極域でのインフラ建設をより一体的に推進することが可能になる、といった効果があるようだ。

 なお、こちらのサイトに、ロシアの北極域に賦存する地下資源というお宝マップが出ていたので、それも載せておく。

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