ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ロシア

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 GLOBE+に、「ロシア依存を軽減するはずが逆効果だったベラルーシ原発」を寄稿しました。

 今回のコラムでは、ベラルーシ情勢を読み解く上での一つのヒントとなる原子力発電所の問題について語ってみました。ベラルーシは、1986年のチェルノブイリ原発事故の被害国であり、これまで国内には原発が立地していませんでしたが、ルカシェンコ大統領(当時)の強い意向により、同国初となる「ベラルーシ原子力発電所」の建設が決まりました。そして、建設作業はすでに完了しており、その稼働開始が、まるでルカシェンコの新たな任期を祝うかのように設定されているのです。


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 ベラルーシ騒ぎで、個人的には全然気付かなかったが、ロシア(旧ソ連)の原子力産業は先日の8月20日に、誕生から75周年を迎えたということだ。記念日好きのロシアらしく、上掲のようなロゴまで作られていた。こちらこちらで情報が伝えられている。

 ロシア(旧ソ連)の原子力研究の歴史は、こちらでまとめられているとおり、実はロシア革命直後の1918年に始まっていたということである。しかし、正式にロシア原子力産業誕生の日とされているのは、1945年8月20日である。この日に、ソ連国防委員会付属の「特別委員会」なるものが設置されたということだ。つまり、米国による日本への原爆投下で危機感を覚え、米国との核の均衡を達成すべく、にわかに開発に本腰を入れたということなのだろう。今般の75周年は、どちらかというと表向きは原子力の平和利用の観点で祝われているが、ルーツはやはり軍事利用だったわけだ。


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 こちらのサイトで、ベラルーシの政治評論家V.カルバレヴィチ氏(写真)が、9月14日のソチ会談後のベラルーシ情勢について論評しているので、以下のとおり抄訳しておく。


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 今年の大統領選前までは、ルカシェンコは国民の支持に依拠していたが、今ではロシアに依拠するようになり、ロシアはベラルーシへの影響力を強めた。しかし、ロシアによるバックアップは、ルカシェンコにとって心許ないものであることが、徐々に明らかになっている。

 9月17日にロシアのS.ラヴロフ外相はロシアのRTVI局のインタビューに応じ、次のように発言した。「ルカシェンコ大統領自身、自分は長く政権に留まりすぎたのかもしれないと発言している。大統領が言っているように、憲法改革を経て、彼は前倒しの議会選・大統領選を宣言するかもしれない。これは、国民対話が完全な形で実施される枠組みを示している。重要なのは、ベラルーシ社会のすべての国民層が憲法改革のプロセスに参加し、この改革が完全に合法ですべての国民にとって分かりやすい形になることに尽きる。さらに、いつ、どこで、どんな形でこのプロセスが始まるかという具体的な提案が必要である。」

 かくしてラヴロフは、プーチンがソチで示したクレムリンの立場を、明らかにしたわけである。それはすなわち、ルカシェンコは5年の任期を待たずして早期に退陣すべきだというものである。

 しかし、ルカシェンコはこうしたシナリオに同意はしていない。もしかしたら、ソチでは反論はしなかったのかもしれない。しかし、帰国後は、ソチでの話を実質的に反故にしている。

 ソチ会談直後、ルカシェンコは全政権幹部を招集した。ソチでの会談で、ルカシェンコがプーチンにあまりにへりくだった態度を示したことが、ベラルーシのエリートたちに好ましくない印象を残していたので、ルカシェンコとしては早急にそれを打ち消す必要があったのだろう。

 ルカシェンコはこの席で、次回大統領選挙は憲法に沿って実施されると発言した。現行憲法に従うならば、それは2025年となり、前倒し大統領選などはなくなることになる。

 ラヴロフは国民対話について述べたわけだが、ルカシェンコが実際にやっていることは対立を煽ることだけである。くだんの政権幹部会合でルカシェンコは、大規模な抗議運動はベラルーシに対する世界的な陰謀によるものであると主張した。なぜ過去26年作動しなかったカラー革命のテクノロジーが突如として稼働したのかということにつき、ルカシェンコは説明しなかったが、いずれにせよルカシェンコの語り口は、すべての敵対者に対する敵意、内戦のレトリックであった。

 ラヴロフの要求に反し、ルカシェンコはフィクションにすぎない「全ベラルーシ大会」で憲法を討議するとしている。また、ルカシェンコは、まずは政権幹部を、次に女性大会を招集したが、憲法改革の具体的な日取りは明らかにしていない。彼は時間稼ぎをしており、状況に応じて次の手を打とうとしている。今の時点で憲法採択の、増してや前倒し選挙の日程を発表したら、レームダック化してしまう。もしもベラルーシのエリートやシラビキたちが、ルカシェンコが退陣する時期を知ったら、彼らの忠誠心が低下することになる。

 他方、ルカシェンコは、プーチンがルカシェンコを守る以外にどうしようもないということを、確信している。クレムリンにとっては、ベラルーシでカラー革命が起きるという恐怖の方が、強いからだ。

 その間、ベラルーシの西側ベクトルは、状況が悪化する一方である、ベラルーシ外交が長年にわたり目指してきた欧米との関係正常化の試みは、水泡に帰しつつある。9月17日の女性大会でルカシェンコは、西側との関係は壊滅の一歩手前だと述べ、戦争の危険について指摘し、ポーランド、リトアニア、ウクライナの首脳のことを「愚かな政治家たち」と呼んだ。

 その上でルカシェンコは、リトアニアおよびポーランドの国境を閉鎖し、ウクライナとの国境は警備を厳重にした。その結果、バルト三国から貨物を運んでくるトラックが厳重にチェックされるようになり、通過ポイントで数時間の遅れが発生している。ロシアはリトアニアからの貨物到着が最大で5日遅れるようになったとクレームをつけ始めている。ベラルーシ当局はまた、国籍に関係なく、自国民も含め、これらの国境を通過する人々を厳重にチェックするようになった。

 これらの問題は、ベラルーシの外交と経済にとって長期的なダメージとなる。ベラルーシはトランジット立国であり、そのことが外交および経済面で多大な恩恵をもたらしている。トランジットを実際に止めるのはもちろん、制限すると表明しただけで、国にとってはマイナスである。輸送会社は迂回路を探すことになる。ベラルーシは欧州地図における「ブラックホール」になりかねない。

 9月18日にはV.マケイ・ベラルーシ外相が、もしもEUがベラルーシ指導部に対する制裁を導入したら、ベラルーシはEU加盟諸国との外交関係を断絶するかもしれないと述べた。マケイはさらに、ベラルーシに対する何らかの制裁が採択されたら、ベラルーシ国家は国内政治に関連したしかるべき措置をとるかもしれず、これは政治システムおよびベラルーシに駐在している外国のマスコミにかかわる可能性があると述べた。これを普通の言葉に翻訳したら、もしもEUが制裁を発動したら、ベラルーシの支配体制は国民に対する政治的抑圧をさらに強めるということになる。


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 当ブログでは、ネタに困ると、ロシア圏の図解資料を紹介してお茶を濁すということをよくやるわけだが、意外とそういうものの方がウケたりして、???という思いがするものである。

 そんなわけで、今回も図解資料の紹介。こちらのサイトに、ロシアにおける学校の科目についての意識調査の結果が出ていたので、これを見てみることにする。4,500人を対象とした調査ということだが、回答しているのは実際に学校に通っている学童ではなく、大人のようだ。図は非常に分かりにくく、ピンク色の部分がその科目を重要だと思っている回答者の割合、青の斜線部分がその科目を学校時代に嫌いだったという回答者の割合となっており(複数回答可能)、両者を積み重ねて表示するというところにセンスの悪さを感じる。

 ともあれ、重要視されている順に並べられており、上から、ロシア語、数学、外国語、歴史・社会、文学、情報学、物理、体育、地理、化学、生物学、安全な生活の基礎、音楽となっている。数学などは、重視されている割には、嫌いだった人が多いという、あるあるな結果となっている。

 ベラルーシでは、ベラルーシ語とロシア語がともに科目として必修になっているわけだが、ベラルーシでアンケートをとったらどんな結果になるのかというのは興味のあるところだ。


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 9月14日にルカシェンコが訪ロしてプーチンとの間で行った会談については当ブログで既報のとおりだが、ルカシェンコは9月16日に政権関係者らを前にして、会談の具体的な内容につき明かしたということである。ベラルーシ国営ベルタ通信がこちらの記事で伝えている。私の研究分野に近い事柄としては、ベラルーシの貨物を現状利用しているバルト三国の港からロシアのサンクトペテルブルグの港にシフトさせるという話が新味があった。以下、ルカシェンコが述べた要旨を箇条書きしておく。

  • 約5時間にわたって、あらゆる問題を話し合った。プーチンと一緒に、今後の交渉の計画を作った。外務省、政府、大統領から成る枠組みは、選挙前に形成されていたものだ。
  • 何よりエネルギー問題を協議した。具体的な数字などは出なかったが、駐ロシア大使で対ロシア交渉担当の副首相でもあるセマシコがロシアのエネルギー関係者と交渉している。
  • 市場アクセスの問題も協議した。プーチンが、両国の持ち株会社、産業大企業の関係を活発化させ、その接触や取引を促そうと提案してきたので、私はOK、自分も賛成だと答えた。
  • (15億ドルの融資については)これは私からの依頼だった。ベラルーシは今年、ロシアに対する旧債務の返済で10億ドルを支払う必要があり、首相と蔵相は支払うことを提案しており、我が国はどんなに困難でも支払うつもりだった。ただ、私はロシア指導部に、今年の支払は見送り、来年に繰り延べてほしいと依頼した。金利は許容範囲である。したがって、これは繰り延べである。
  • 9月の末に両国の地域間フォーラムがあるので、知事たちの間の交流を活発化させる。セマシコがソチからの帰路に報告してきたところによれば、彼はロシアの産業相とロシアを行脚し、BelAZやMAZの供給など、2.9億ドルの契約をまとめてきた。
  • ベラルーシの貨物をバルト三国の港からペテルブルグの港にシフトさせる問題も、真剣に協議した。私はプーチンに、ロシアがバルト三国と同等の条件を提示できるなら、我が国はバルトの港にこだわるものではないと伝えた。まだ私がソチにいる間に、プーチンは事務方に検討と提案を指示した。
  • 交渉では、軍需産業および軍事分野の協力を特に重視した。当方からは演習を提案した。他国が何と言おうと、気にする必要はない。戦えない軍隊は軍隊ではなく、少なくとも演習は必要である。

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 こちらに見るように、ロシアのレヴァダ・センターが2020年8月20~26日にロシアで全国調査を実施し、ロシアにとっての友好国および非友好国についての意見を調べ、それを過去の調査結果と対比しつつ発表している。

 まず、どんな国を、ロシアにとっての友好国、同盟国だと思うかというのを、5つまでの複数回答で答えてもらったところ、その結果は上表のようになった。数字は全回答者に占める当該国を挙げた回答者の比率(%)。原典ではもっと多くの国が示されているが、ここでは上位30ヵ国に限定して紹介する。不動の1位はベラルーシであるが、近年は中国の台頭が目覚ましい。ウクライナは、ウクライナ側の政権の変化によって起伏が激しい。日本は決して高くはなく、2020年現在で30位だった。

 次に、ロシアにとって最も非友好的、敵対的な国はどこかというのを、やはり5つまでの複数回答で答えてもらったところ、下表のような結果となった。まあ、だいたい、友好国ランキングの裏返しという感じである。米英、ウクライナおよびジョージア、ポーランドおよびバルト三国といったあたりが上位の常連である。ウクライナは地域党政権時代も含め常に一定のネガティブ票を集めているのが興味深い。

 日本は、領土問題を抱えている割にはそれほど非友好国とは見なされていない。特に安倍政権時代には、数字が改善されていたようにも受け取れる。ただ、いずれにしても、良い意味でも悪い意味でも、ロシア国民を高揚させるような存在感は希薄と言えようか。

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 ナヴァリヌィ氏の暗殺未遂事件を受けて、ロシアと欧米の対立が激しさを増し、ノルドストリーム2への風当たりが強くなったことを受けたものだろう。ロシア『エクスペルト』誌の2020年9月14-20日号に、ロシアおよびガスプロム社による天然ガス輸出の問題を取り扱った記事が掲載された。ここでは、簡単に図表だけ参照しておくことにする。欧州方面への輸出インフラ・実績を見たのが上の地図である。

 下に見るのは、ガスプロム社による2019年の販売先の内訳である。

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 昨日は、夕方から研究会で2時間発表、夜にラジオ出演で1時間解説と、ずっとしゃべりっぱなしだった。無理してしゃべりすぎたのか、そのあと、顎がつるという、初めての体験をした。そんなわけで、だいぶグロッキー気味なので、ブログは簡単なネタでご容赦いただく。

 悪名高きベラルーシ国営ベルタ通信のこちらのページに、ベラルーシとロシアの貿易関係に関する図解資料が出ていたので、それを見てみることにする。まあ、数字が羅列してるだけで、図解効果はそれほどないが。

 この資料は、ルカシェンコが訪ロした9月14日に発信されたものである。ベラルーシ当局は普段、ロシアへの経済依存度が高いことをことさらに強調しようとしたりはせず、むしろベラルーシは多角的な通商関係を目指して取り組んでいるという立場を示す傾向がある。なので、ベラルーシの貿易は輸出も輸入も半分前後がロシア相手ですということをあえてこういう目立つ資料に仕立てたということ自体、ある種のメッセージ性がある。

 2019年の場合、輸出の41.5%がロシア向け、輸入の55.8%がロシアからだった。注目されるのは、ロシア向けの主要輸出品目であり、多い順に以下のとおりとなっている。以前のコラムで論じたように、ベラルーシは実は畜産品輸出大国であり、そのほとんどをロシアに向けているわけだが、乳製品や食肉がここまで重きをなしているとは、認識を新たにした。

  1. 牛乳・乳製品:20億3,940万ドル
  2. 貨物自動車:7億5,060万ドル
  3. 食肉・同製品:5億9,650万ドル
  4. 農業機械:3億2,000万ドル

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 コメルサントのこちらの記事が、昨日9月14日にロシア南部ソチで行われたプーチン・ロシア大統領とルカシェンコ・ベラルーシ大統領の会談の主な結果につき箇条書きで整理しているので、以下のとおり要旨を整理しておく。

  • ロシアはベラルーシに15億ドルの融資を提供し、その一部は旧債務の借り換えに充てられる。
  • ロシアは対ベラルーシ国境付近に集結させていた予備兵力を解除し、元の勤務地に戻す。
  • プーチンは、憲法改革を実施するというルカシェンコの意向を支持する。ただし、ロシアも、その他の欧州勢力も、内政干渉してはならないという立場。
  • ロシアはルカシェンコをベラルーシの合法的な大統領と認める。ペスコフ・ロシア大統領報道官によれば、ロシアは、ルカシェンコを支持していてもいなくても、ベラルーシ国民のことを兄弟国民と見なす。
  • 両大統領は、両国間の交通の往来を再開するよう事務方に指示、近く担当大臣が会うことになった。
  • プーチンは、コロナウイルスのワクチンをベラルーシにも提供するよう指示。
  • 両大統領はエネルギー供給の問題を協議し、ペスコフ報道官によれば結果は建設的だった。
  • 両国は、それぞれの諸地域が参加するフォーラムの準備を継続する。
  • 両大統領は、様々な政府間委員会、各部門の企業の協業を活発化させることで合意。
  • ベラルーシ領にロシア軍基地を置く問題は話し合われなかった。

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 GLOBE+に、「安倍・プーチン時代の日露経済関係を振り返る」を寄稿しました。

 2012年12月に第2次内閣を発足させて以降、安倍首相はロシアとの間で北方領土問題を解決し、平和条約を締結することに強い意欲を示してきました。そして、それに向けた環境作りの一環として、ロシアとの経済協力を積極的に推進しました。

 北方領土と平和条約の交渉に関しては、朝日新聞の駒木明義論説委員が最近、『安倍vs.プーチン ―日ロ交渉はなぜ行き詰まったのか?』(筑摩選書)という著作を発表し、話題となっています。この本を読むと、多くの日本国民の抱いた期待が、いかに現実からかけ離れていたかを思い知らされ、愕然とします。

 政治・外交的な観点は、駒木さんの著書によって余すところなく論じられていますので、ぜひそちらを参照していただければと思います。今回のこのコラムでは、安倍・プーチン交渉をサイドストーリーとして彩った日露経済協力につき、簡単に振り返ってみました。


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 今後のベラルーシの命運を左右するであろうルカシェンコのロシア訪問だが、こちらなどが伝えているとおり、一昨日9月11日、日取りが発表された。9月14日にプーチンとの会談が行われるということである。

 ただし、交渉が1日で終わるのかというのは、良く分からないところである。ちょっと前には、両者が数日間にわたるマラソン交渉をしたこともあった。ルカシェンコはさておき、プーチンは多忙なので、どのくらい時間を割けるのかは不明だが、1日で終わらない可能性もなきにしもあらずだ。

 場所は、モスクワではなく、ロシア南部のソチに決まった。ソチは、米外交でしばしば重要な舞台となる大統領別荘があるキャンプデービッドのようなものであり、プーチンの公式別荘があって、プーチン自身モスクワよりはソチで来賓をもてなすことを好む。

 会談において、プーチンとルカシェンコは、「『連合国家』の枠組みでの統合推進の展望について協議する」とされている。私は、連合国家条約が起草されていた1999年当時から、この条約について研究してきたわけだが、まさか今頃になってこんな条約がゾンビのように復活し、国際政治の焦点になるとは、思いもしなかった。

 ルカシェンコが国を離れることをきっかけに、ベラルーシでもっと大規模な民衆蜂起が起きるとか、あるいはロシアでルカシェンコの身に何かが起きるとか、ドラマチックな出来事が起きるかもしれないが、それは私の想像力の範疇を超えている。


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 多忙につき、ブログは小ネタでご容赦いただく。こちらのページに、欧州諸国の飲酒量を比較した図解資料が出ていた。各国の15歳以上の国民の一人当たり純アルコール換算消費量を比較したものである(ただし、順位の数字が明らかに間違っているが)。ロシア=酔っ払い超大国というステレオタイプがいまだに根強いかと思うが、以前「今こそ『ロシア人とお酒』についての真実を語ろう」というコラムで書いたとおり、最近は決してそんなことはない。今回の調査を見ても、ロシアの飲酒量は欧州で21位に沈んだ格好になっている。以下、私の関係国の数字を整理しておく。

15位:ベラルーシ:11.5リットル
20位:モルドバ:11.4リットル
21位:ロシア:11.2リットル
35位:ジョージア:8.3リットル
36位:ウクライナ:8.3リットル
43位:アルメニア:5.6リットル
44位:アゼルバイジャン:4.4リットル


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 ロシアは2014年から欧米産の主要食品の輸入を禁止しているが、これはユーラシア経済連合としてではなく、ロシア単独の措置である。そこで、禁輸品目がベラルーシなどのユーラシア経済連合諸国に輸入され、それがロシア市場に違法に持ち込まれるという現象が、以前から知られていた。この問題に関し、こちらの記事が近況を伝えているので、要旨を以下のとおり整理しておく。

 なお、このような問題があるので、ベラルーシがロシアの保護国になったら、ロシアはベラルーシとの税関業務を統合する、言い換えればベラルーシの税関業務が実質的にロシアの管理下に置かれることになると、私は見ている。

 ロシアに非合法に再輸出される制裁対象食品の量は、縮小していない。ロシア市場における食品の供給量は、過去3年間、正式に登録された量(訳注:国内で生産された量+正式な輸入量という意味だろう)を少なくとも20%上回っている。少なくともその半分は、制裁対象品目である。さらにその半分強は、その他のユーラシア経済連合加盟国を経由してもたらされたものである。

 ロシア農産物監督局のS.ダンクヴェルト長官は先日、制裁対象食品の密輸はますます巧妙になっているとして、対策を厳格化することを提案した。特に、輸送業者および運転手を処罰することが必要であり、トラックおよび商品を押収し、業務を5年間禁止すべきである、という。

 もう何年も、ユーラシア経済委員会、ロシア税関局、その他のロシアの関係省庁は、ユーラシア経済連合加盟国を通じた再輸出を問題視している。しかし、その防止を難しくしている一連の要因が残っている。

 これに対し、ベラルーシ税関委員会のYu.セニコ委員長は、ベラルーシからロシアにもたらされる禁輸品目はほとんど、他ならぬロシアの業者によって販売されていると指摘した上で、我が国はその防止に全力を挙げていると弁明している。2019年には600のケースが摘発されたが、多くはロシアの業者による違反だったという。ロシアの業者は、輸入品をベラルーシで調達し、その後ベラルーシ産品であるなどという偽造文書を用いて、ロシアに持ち込むということである。

 このこと自体は、ロシア側も否定していないが、かといって、すべてがロシアの密輸業者の仕業だとは考えにくい。2018年の数字だが、輸出によって国庫にもたらされる歳入のうち、合法および非合法の再輸出に由来する歳入の比率は、ベラルーシでは約4分の1、カザフスタンでは20%強、キルギスでは3分の1にも上っているのである。


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 ロシアにしても、ベラルーシにしても、長期政権の弊害は大きいと痛感するわけである。個人的に、日本の政治にもうんざりした思いしかないが、まだしも、安倍氏には潮時を悟る理性は残っていたし、トップが去れば、何人かの人間は早速、後継に名乗りを上げたりもする。国民は置いてきぼりながら、政治の上層部では一応は競争的な関係も機能している。

 それに対し、たとえばベラルーシ。独立して30年近く経つのに、いまだに本物の政治家はルカシェンコ一人といった様相である。ベラルーシを研究している私ですら、首相の名前がとっさに出てこなかったりする。もちろんこれは、ルカシェンコが自分を脅かすような存在が台頭しないよう、周到に人事をローテーションし、また野党リーダーはことごとく潰してきたからなわけだが。逆に言えば、今日のベラルーシの民主化運動は、カリスマ的なリーダーもいないのに、市民が自発的に立ち上がっている側面が強く、感心させられる。

 さて、ロシアのレヴァダ・センターが、こちらに見るとおり、もしも近々大統領選挙があったら誰に入れようと思うかという全国調査を実施したので、今回はそれを見てみたい。結果の表を日本語にしたのが上掲の表である。

 やはり、プーチンの他には、これといった名前が挙がってこないのだ。ジリノフスキー、ジュガノフなどは、プーチン登場のはるか前の1990年代からずっとロシア政治の名脇役を務めており(前回大統領選ではジュガノフに代わりグルジニンが共産党を代表して出馬したが)、それ自体は大したものだと思うが、いかんせん新味は乏しい。

 明確な反プーチン派としては、ナヴァリヌィ氏が3位に食い込んでいるものの、その支持率は最新の2020年8月の時点でわずか2%。なお、8月の調査は20~26日に実施された由であり、20日に発生した毒殺未遂事件が結果に影響しているかどうかは微妙なところである。


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 最近のベラルーシ研究で困るのは、過去4年ほど、まともな世論調査が実施できなくなり、ベラルーシの人々の心持ちが実際のところどうなのかというのを、客観的に知る手立てがなくなってしまったことだ。

 そうした中、昨年、ロシアのモスクワ国際関係大学の研究者らが、ベラルーシ国民の対ロシア統合に関する意識を調査しており、これなどはかなり貴重な調査結果ということになる(ただ、7,000以上の電話をかけてようやく500の回答を得たということであり、いくら何でも回収率が悪すぎはしないだろうか?)。ざっと検索した限り、調査結果の全貌を記したレポートなどは見当たらなかったが、こちらの論考などは比較的まとまっている。

 この調査で、回答者たちがどのようなロシアとの関係を望んでいるかを問うたところ、57.6%が「連合関係」、31.8%が「パートナー関係」、10.2%が「中立的関係」、0.2%が「敵対的関係」を望んでいるという結果となった(0.2%が回答困難)。

 それで、興味深いのは、この設問の地域別回答状況である。調査結果が全面的に開示されていないのが惜しいが、最も緊密な「連合関係」を望んでいるという回答者は、地域別に以下のとおりであった。多い順に並べる。

  • ゴメリ州:69.0%
  • ブレスト州:66.7%
  • グロドノ州:62.0%
  • モギリョフ州:56.4%
  • ヴィテプスク州:56.3%
  • ミンスク州:54.2%
  • ミンスク市:38.9%

 これはなかなか衝撃的なデータである。EUに隣接している西のブレスト州やグロドノ州で、対ロシア統合へのかなり高い支持があるという結果となっている。逆に、ロシアと隣接したヴィテプスク州、モギリョフ州の数字は、全国平均より低い。結局のところ、ベラルーシにおいてはウクライナのような東西による地政学的選好の違いは見られず、首都ミンスクVS地方という差しかないのだというのが、この調査の結論となっている。

 もちろん、回収率が異常に低かった調査であり、ロシア側の研究者グループが実施したものなので、バイアスが発生した可能性については留意すべきだろう。ちなみに、こちらに見るとおり、本件調査に関し、ベラルーシ科学アカデミー社会学研究所は、「モスクワ国際関係大学は、対ロシア統合に関するベラルーシ国民の意識を調査する権利はない」と批判した(いや、あるだろ)。


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 ロシア国民のプーチンに対する支持率の動向を見るために、個人的によく使うのが、レヴァダ・センターの調査データである。「貴方はプーチンの仕事振りをどう評価しているか」という設問への回答状況であり、いわゆる支持率というのとはちょっと違うとは思うが、レヴァダ・センターという信頼性の高い機関の数字であり、長期継続的な数字が月ベースで得られるので、重宝している。ここでは単純に「支持率」と呼ぶことにする。

 それで、最新の8月の調査結果までが出ているのだが、上のグラフに見るとおり、8月の支持率が随分と回復していたことが判明した。コロナ危機やプーチンの任期初期化で、だいぶ民心が離れていた様子だったが、4月59%、5月59%、6月60%、7月60%と推移したあと、8月には66%まで回復したのである。誤差というには、大きい変化だ。

 8月の出来事で、思い当たる点としては、ベラルーシ情勢が挙げられるだろう。個人的には、ハバロフスクの反政府デモから、ベラルーシの反ルカシェンコ運動へと続き、ロシア国民のプーチン体制への造反的なムードがより一層強まることがあるのかなと、注目していた。

 しかし、もしかしたら、ベラルーシ情勢はロシア社会に、別の作用を及ぼす可能性もあるのかもしれない。ロシア国民の多数派は、2014年にウクライナで親欧米的な方向性の政変が起きたことことに危機感を抱き、プーチンがクリミア併合という形でリベンジすると、それに拍手喝采を送った。愛国主義を背景に、プーチン支持率はかつてなく高まった。それと同じように、ロシア国民が今般のベラルーシ国民の反ルカシェンコ運動を、親欧米/反ロシア的なものだというステレオタイプで見ているとしたら(実際には反ロシア的なものではないわけだが)、またぞろロシアの愛国主義が高まり、結果的にプーチン支持率が上がるという、そんな作用もあるのかもしれない。


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 だいぶ紹介が遅くなりましたが、『ロシアNIS調査月報』2020年9-10月合併号が発行されました。 今号では、「ポストコロナの医療・医薬品産業」と題する特集をお届けしました。コロナ危機についての特集は7月号ですでに手掛けており、その続編的な位置付けでもあります。ただ、医療分野や医薬品産業にとっては、コロナ危機が大きな転機、さらにはビジネスチャンスになる可能性がありますので、そのような現象を切り取ってみました。

 服部自身は、特集の枠外ですが、「極東でつまずいたプーチン政権」、「ウクライナのトランジット輸送の逆説」と、短いレポートを2本書いています。


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 当ブログでも最近はベラルーシの話題ばかりになっていたが、当然のことながら、そうする間にも、ロシアをはじめとする他の国の情勢も動いている。

 このところのロシアの動きの中で、個人的に気になっていたのが、連邦政府のミシュスチン首相による極東行脚だった。8月中旬に、丸々1週間をかけて極東各地を訪ね歩いたものだ。よくある政府高官のとんぼ返り的な地方訪問ではなく、非常に丁寧に地方を視察し現地と対話しようとしている様子が(もちろんパフォーマンスという側面もあるだろうが)見て取れたわけである。知事解任に起因してハバロフスク地方の情勢が不穏となり、それが極東全域に広がることに歯止めをかけようという予防外交的な動きと受け取れた。

 それで、ミシュスチン首相による極東行脚に関し、こちらの情報が良くまとまっていた。各地域でどんな対話をしたかといったことがまとめられていて、便利である。ただ、個々の話は置くとして、この記事の中にも書かれている大きな注目点は、主に2つだろう。

 第1に、今回首相が訪問したのは、チュクチ自治管区、カムチャッカ地方、アムール州、マガダン州という、どちらかと言えば辺境系の地域だった。一方、騒乱に揺れるハバロフスク地方や、「極東の首都」である沿海地方は、訪れなかった。また、比較的経済力の強いサハリン州、サハ共和国も訪問の対象外となった。

 第2に、極東政策の元締めであるトルトネフ副首相・極東連邦管区大統領全権代表は、今回首相に随行しなかった。トルトネフはそのしばらく前に新型コロナウイルスの症状が出て、結局陽性と判定されたのだ。ミシュスチン首相が各地でこなした対話に、トルトネフがリモートで参加するという見方もあったが、実現しなかった。記事によると、最近トルトネフは影響力を失っており、特にハバロフスク地方で不穏な情勢が続いていることが同氏にとっての痛手となっており、ハバロフスク地方知事代行にトルトネフが推した候補者も採用されなかった、ということである。


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 現在のベラルーシで反ルカシェンコ派を代表しているチハノフスカヤ、ババリコ、ツェプカロらは、いわゆる東西選択、すなわちロシアとEUのどちらを戦略的パートナーとして選択するのかという問題について、ほとんど立場を明らかにしていない。ただ、1999年にロシアとの間で結ばれた連合国家条約に関してだけは、一様に懐疑的な見解が示されている。

 チハノフスカヤは、こちらの書面インタビューの中で、「私は、ベラルーシに連合国家は必要ないと思う。ベラルーシは独立した、自立的な国家であるべきだ。我々に必要なのは普通の国家間関係であり、追加的条約などは一切必要ない。そうすれば、誰かをどこかに編入するといった余計な誘惑も生じない。……ロシアとの善隣関係には賛成だが、連合国家には反対だ」と発言している。

 ババリコは、ロシア『フォーブス』誌とのこちらのインタビューの中で、「昨年暮れ、ベラルーシでも、ロシアでも、連合国家の『工程表』調印の問題が、活発に議論された。それは誰も目にしていないが、全般的な印象から、工程表はベラルーシの経済的・政治的主権の喪失につながるものであることは理解できた」と指摘し、連合国家がベラルーシの主権・独立にとっての脅威となるという認識を示している。

 なお、こちらに見るように、ババリコは連合国家の枠組みでのロシアとの通貨統合に前向きであるかのように伝えられた。しかし、こちらに見るように、それは真意ではないと後日釈明している。ババリコいわく、『モスコフスキー・コムソモーレッツ』でのインタビュー記事がベラルーシの『ナーシャ・ニヴァ』紙に元々の文脈から切り離されて引用されてしまった、私が言いたかったのは、経済的に合理的ならば検討には値する、EUでのユーロ導入という例もある、多くの通貨が存在することは経済的には非効率であり、近い将来に通貨の数は減っていくだろうという一般論にすぎなかった、との由。

 一方、ツェプカロは、こちらに見るとおり、動画インタビューの中で、連合国家についての認識を以下のように示した。いわく、連合国家条約は、今とは根本的に異なる歴史的条件の中で結ばれたものであり、根本的な修正が必要である。今日存在しているような形態では、通貨統合の問題は解決できない。ベラルーシには独自の優先事項、独自の経済政策、独自の財政政策、税制があるべきだ。


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 ロシア税関局から、2020年上半期(1~6月期)の通関統計が発表されたので、恒例作業として、ロシアの貿易相手国上位20ヵ国を示した表を更新してみた(クリックまたはタップで拡大)。まあ、こうやってデータだけ見ても、色々と味わい深いものである。

 まず、ピンク色で示した日本。シェアはここ4年ほどほぼ横ばいだが、順位は2020年上半期にはベストテン圏外に消え、11位に沈んだ。周知のとおり、日本政府主導の経済協力で、北方領土問題解決と平和条約締結の環境を醸成するという戦略だったわけだが、現実にはその間に、ロシアの貿易相手国としての日本の地位は低下していたのである。むろん経済関係は貿易だけではないとはいえ、シンゾーとウラジーミルが駆けて駆けて駆け抜けた日々は一体何だったのかと言いたくなることは事実である。

 次に、今が旬、緑色のベラルーシを見てみよう。小国ベラルーシにとってはロシアが圧倒的に最大の貿易相手国だが、ロシア側にとってもここ数年は第4位の相手国であり、5%前後のシェアをコンスタントに占めている。しかし、2020年上半期には、輸出入総額が前年同期比で21.8%も減少していた(うちロシアの輸出が30.5%減、ロシアの輸入が7.8%減)。これは主に、年初に契約がまとまらず一時期ロシアからベラルーシへの石油輸出が途絶えた(しかも再開しても価格が下落していた)ことを反映していよう。今見る政治変動の遠因の一つがここにあった。

 青で示したウクライナは、元々はロシア屈指の貿易相手国だったが、2014年の事件以降は低下の一途を辿っている。2020年上半期には、貿易額が前年同期比でほぼ半減したということが話題になっている。具体的には、輸出入合計で46.0%減、うちロシアの輸出が56.1%減、ロシアの輸入が28.9%減である。

 表を見れば一目瞭然のように、不動の1位は中国であり、しかも年々そのシェアが拡大している。天然ガスパイプライン「シベリアの力」が本格的に稼働するにつれ、さらに数字が膨らんでいくと見られる。

 ところで、ロシアの貿易統計を見る限り、2020年に入っても、英国がEUに分類されている。私は英国はもうEUの埒外にいると理解しているのだが、このあたり、どうなっているのであろうか?

 小さなことだが、ロシアの貿易相手国の上位20位に、近年では初めてウズベキスタンが入ったことが見逃せない。ウズベキスタンの開放政策の表れと言えよう。


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 毎度おなじみ、ロシアの政治評論家A.マカルキン氏(上掲写真)がこちらのサイトで、ベラルーシにおける独裁者ルカシェンコ誕生の教訓を、1996年のロシアと比較しつつ論評しているので、以下のとおり要旨を整理しておく。

 ベラルーシにおけるルカシェンコ大統領の軌跡は、1996年のロシア大統領選を想起させる。1996年のロシアでは、体制側があの手この手で強引にエリツィン再選を達成したわけだが、もしも共産党のジュガノフが大統領になっていたら、その後のロシアでは、選挙の公正さは完全に順守され、ロシアの民主主義は順調に発展したのではないかといった考え方がある。

 しかし、ベラルーシの事例は、こうした見方が危ういということを示している。1994年には在野候補のルカシェンコが公正な選挙で勝利したわけだが、当選後は、短期間で権威主義体制を構築し、野党を圧迫した。ロシア共産党も、いったん政権を握ったら、決してそれを手放さなかっただろう。当時のロシア共産党は、今のような穏健派ではなく、ソ連的な復讐を党是とし、政敵を尊重することなど一切なかった。ジュガノフ党首自身、ポーランドのクワシネフスキやハンガリーのホルンなどとはまったく様相が異なった(注:両者とも東欧革命後に政権に就いた元共産派)。また、モルドバでは、ヴォローニン率いる社会主義者党が政権を奪取した事例こそあるが、その当時にはルーマニアのEU加盟プロセスが始まっており、それがモルドバのエリートや庶民に大きな影響を与えていた。ロシアにも、ベラルーシにも、そうした要因はなかったのである。


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 こちらのサイトに、今般のベラルーシ大統領選を受けたベラルーシ・ロシア関係、両国による統合枠組み「連合国家」の現状と見通しに関する論考が掲載されているので(O.デルクル署名)、以下のとおり要旨をまとめておく。なお、分析のすべてに私が同意しているわけではないので(特にベラルーシでの反体制運動における外部からの影響力を大きく見る点)、悪しからず。

 これまでの選挙で、ルカシェンコが西側の扇動を仮想敵にしていたのに対し、今回の選挙ではロシアをベラルーシの安定にとっての主たる脅威と見立てることになった。ロシアの侵攻からベラルーシの独立を守る守護者をもって任じれば、無敵だという思いがあった。そうすることによって、伝統的な親欧米野党や、V.ババリコ、V.ツェプカロといった出馬を目指したエリートと同じ立ち位置に立とうとしたのである。ちなみに、ババリコやツェプカロは、ベラルーシのCIS集団安保機構、ベラルーシ・ロシア連合国家からの脱退、ロシアによって建設されたベラルーシ原発の封鎖、欧米との関係発展を主張していた。S.チハノフスキーはより過激な反ロシア姿勢を示していたが、その逮捕後は妻のS.チハノフスカヤが夫に代わり選挙を戦うことになった。

 ルカシェンコは「マイダン」(ウクライナ型の民衆暴動による政変)に対抗してきたわけだが、近年は西側とも関係を構築しようとし、多元外交を志向してきた。そこで、ロシアおよびユーラシア統合への反対という路線を我が物とし、反体制側の基盤を奪うとともに、西側から選挙結果の承認を取り付けようとしたのである。しかし、選挙後の様子を見ると、ほとんど効果はなかった。

 他方で、ロシアとの関係は、特にベラルーシ側が民間軍事会社「ワグネル」の所属とするロシア市民33名が逮捕されて以降、完全に冷え切っている。ロシア外務省のM.ザハロヴァ報道官は、彼らの罪は一切示されておらず、この芝居に関して言えば、彼らに問題はないし、ベラルーシ側もそれは承知の上だと指摘した。ルカシェンコとプーチンの電話会談でも、紛争の解決には至らず、8月4日の教書演説ではルカシェンコが「南に移動した別の分隊についての情報があった。ベラルーシ情勢を爆発させないでほしい」とまで述べている。ルカシェンコが、ドンバス紛争で戦ったロシア市民についてはウクライナ側に引き渡す用意があると発言したのは、非常にきわどい場面だった。

 反ロシア的な言辞を軸とした戦略により、ルカシェンコは政治的孤立という窮状に陥った。ロシアの選管は監視員の派遣を断った。欧米の支援を期待するのは虫が良すぎるだろう。ロシアの対外戦略の中核が、カラー革命を阻むことである事実を考えれば、「ロシアがマイダンを組織しようとしている」と非難するのも、まったく理屈に合わない。

 政治評論家のYe.ミンチェンコは、次のように指摘する。ベラルーシの抗議行動に、ロシアの影響を見るのは、ナンセンスである。これは米国スタイルであり、ソーシャルメディアやメッセンジャーアプリを使った動員も米国式だ。技術的な準備が万端であることが見て取れる。2019年に香港のために特別に作成されて利用されたプログラムが使われている。当局が携帯電波を遮断してもブルートゥースでデータをやり取りできるようになっている。これによって、近くにいる参加者たちが自分たちの動きを調整できるようになっている。組織的に良く準備され、資金も豊富なことは、今回のデモの参加者に、非常に良く出来た手引書が出回っていることからも分かる。

 別の政治評論家のS.マルコフは、次のように指摘する。ベラルーシのデモには、ウクライナの時のように米国ではなく、ポーランドの影がちらつき、そしてそれにウクライナの特務機関も関与している。ただ、全体を仕切っているのが米国の特務機関であるのは当然。鎮圧を招き、犠牲者が出て、それをロシアやワグネル、さらにはルカシェンコのせいにするというシナリオ。しかし、ロシアの特務機関がウクライナ機関のこの計画を暴いた後、用意されていたこの計画が実行されるかどうかは不明だ。

 ただし、米国ではルカシェンコの処遇につき、まだ表面化はしていない2つのシナリオも用意されている。第1に、ジェイムスタウン基金によるものであり、ルカシェンコをスターリンと戦ったユーゴスラビアのチトーのような存在にするというものである。第2に、ランド研究所によるものであり、これまで米国が追求してきたベラルーシにおけるルカシェンコ体制を終わらせるという目標は、現在かつてなく喫緊であり、なぜならそれによりベラルーシをユーラシア経済連合発展を阻むために利用できるから、というものだ。

 現在のところロシアは抑制された立場をとっている。そうした中で、ロシアの下院議長であり、ロシア・ベラルーシ連合国家の議会総会議長であるV.ヴォロジンは、連合国家は両国国民の利益にかなうものであり、それを一層発展させることが引き続き両国の優先課題であると強調した。

 しかし、ルカシェンコの側は連合国家を疑問視している立場をほのめかしている。ウクライナのD.ゴルドン氏とのインタビューの中でルカシェンコは、「この統合は、もう不可能である。たとえ私がベラルーシにとって最も有利な条件での統合に賛成したとしても、ベラルーシはもはやそれを受け入れない。国民が、もう受け入れることはないのではないか。国民は成長したのだ。20年前、あるいはソ連が崩壊した25年前なら違ったかもしれないが」と述べている。

 『コムソモリスカヤ・プラウダ』のベラルーシ特派員V.ヴォルソビンは、ベラルーシ国民は過去四半世紀、「ロシアはオリガルヒ、ギャングの支配する国だ」と吹き込まれてきたので、連合を形成する国民投票を行ったら賛成するのは半分、一国への統合は10%にすぎない、と指摘する。

 結局のところ、ルカシェンコは連合国家の枠組みだけでなく、ユーラシア経済連合、CIS、集団安保の枠組みでも、ロシアとの対話を続けざるをえない。対外政策の大転換のためには、それらから正式に脱退しなければならない。ルカシェンコはそこまでのことはできないだろう。


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 こちらのサイトで、ロシアの政治評論家のA.マカルキン氏が、ベラルーシ情勢について論評しているので、以下のとおり抄訳しておく。

 ルカシェンコは選挙に勝った。ただし、それは自らの勝利を台無しにするやり方だった。ルカシェンコを多少なりとも脅かす可能性のある候補は出馬を許されなかった。ほぼ半数の有権者が期日前投票を行い、それは当局の管理下に置かれたものだった。同時に明らかになったのは、各選管は反体制側のかつてない活発化により実際の投票率がかくも高まるということに(以前のような机上のものではなく)、準備ができていなかったということだ。80%というルカシェンコの得票率を、信じる者はほとんどいない。彼は、小都市や農村の票だけでも(そこではルカシェンコは惰性で支持されており、新たな競争的選挙をやり直すというチハノフスカヤの主張は理解されなかった)、過半数を獲得することはできたが、大都市が批判票一色になるなかで、ルカシェンコがここまで圧勝したとはとても信じがたい。

 ルカシェンコは、前門のロシア、後門の西側という状況に陥っている。ロシアにとっては選挙の公正さなどどうでもよいが、ロシア指導部はロシア・西側・中国と三股をかけようとするルカシェンコ個人への信頼を失っている。西側にとっては、選挙の公正さは大事であり、ベラルーシ指導部との関係構築に興味はあっても、80%の大勝という結果を承認するわけにはいかない。中国の場合はそのようなジレンマはなく、習近平はすでに祝電を送っているが、中国はロシアとは対立したくないのでルカシェンコに多大な実質的支援をすることはない。祝電は単に、「主権的為政者は臣民に対して何をしてもいい」という中国の原則を再確認したものにすぎない。

 ベラルーシ問題におけるロシアのボトルネックは、ソフトパワーの不足である。ソフトパワーは、人為的に作れるものではない。ロシアがベラルーシ社会にアピールできるものはあるか? かつて存在した超大国の記憶か? いや、それは旧世代に訴求するものであり、その世代はルカシェンコに投票している(ルカシェンコはそのテーマをすでに1990年代に我が物としてしまった)。エネルギー供給か? いや、それは愉快なものではなく、むしろ依存の証と受け取られ、代替供給源の模索へと繋がる。大祖国戦争の共通の歴史か? いや、ベラルーシではすべての社会層において「もう二度とあの戦争だけは」というソ連的な価値観が染み付いており、ロシア的な「また戦ってもいい」という考えは強い反発を招く。こうした中で、ルカシェンコがより正常な人物に取って代わられると(増してや野党が勝利すると)、ベラルーシがロシアからより一層離れ、政治・文化的に西側と接近してしまう可能性がある。ベラルーシと西側は隣り合っており、ミンスクとヴィルニュスは200kmしか離れていないのだ。


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0122

 GLOBE+に、「ロシアとウクライナにまたがる『世界最長の化学品パイプライン』の謎を解く」を寄稿しました。知る人ぞ知る米ソ・デタントの落とし子、トリヤッチ~オデッサ・アンモニアパイプラインについて語ったものです。

 なお、昨日も述べましたが、日曜日に投票があったベラルーシ大統領選挙につき、月曜昼締め切りのコラムに仕立てるのは無理ですので、今回は見送りました。次回以降で論じてみたいと思います。


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04-08-665-1-0596

 こちらのページに出ているように、ベラルーシのルカシェンコ大統領は8月4日に、年次教書演説を行った。コロナ問題で延期されていたものを、大統領選の投票直前のこのタイミングにあえてぶつけたものである。

 この中で大統領は、「我が国は(コロナ危機の)困難な状況下で、世界全体と異なり、企業を閉鎖しなかった。国庫から、特に国の支援を必要としている人々に対し、5億ベラルーシ・ルーブルの追加支援が提供された。そして、それをロシアとの石油紛争で財政が15億ベラルーシ・ルーブル(約7億ドル)をとりはぐれている中で行ったのである」と述べている。

 その上で、ルカシェンコ大統領は次のように述べている。「今期(ルカシェンコの今回の任期という意味)の結果が物語っているのは、1ヵ国、2ヵ国への過度な依存は、控えめに言っても、我が国を脆弱な状況に陥れるということである。貿易戦争(複数)、不公平な価格、不利な融資により、我が国は5年間で95億ドル分の経済成長を失った。それは、年金、奨学金、公務員賃金、家庭への支援になるはずだったものだ。我々は結論に達した。そして、2025年までにそうした要因を最小化するとうい戦略を、すでに実施している。それは、石油・ガス供給の新たなインフラであり、融資調達先と貿易相手の多角化であり、新たな輸出市場を貪欲に開拓することである。」

 とまあ、後半の方はロシアと名指しこそしていないものの、ロシア一国への過度な依存を回避していくということを宣言しているわけである。ただ、ルカシェンコがこういうことを言い出したのは、別に初めてというわけではない。言うまでもなく、問題は、実際に経済関係の多角化が可能か、たとえばパイプラインを建設するにしても経済的にペイするかということだろう。ルカシェンコが言っていることを突き詰めると、「ロシアが我々に濡れ手に粟の商売をさせてくれなくなったのはけしからん」ということなのだが、ロシアの他にそんな便宜を図ってくれる国は国際社会にはどこにもないのである。


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583

 時間がないので、手抜き記事で恐縮だが、こちらのサイトに、ロシアの産業部門別の賃金水準に関するデータが出ていた。ただ、平均賃金ではなく、「月給が10万ルーブルを超える就労者の比率」によってランク付けしている点に新味がある。その他、「月給が1.5万ルーブルを下回る就労者の比率」、「月給の中央値」のデータも示されている。上位10分野は、以下のようになっている。

  1. 漁業
  2. 金融
  3. 鉱業
  4. 専門職
  5. IT
  6. 科学研究
  7. 建設
  8. 化学・医薬品・石油精製
  9. 機械設備の修理・設置
  10. 商業

 今回の資料によれば、一番儲かるのは漁業という結論になっている。興味深いのは、農林業が最下位になっていることだ。似通ったイメージの農林水産業で、随分と格差が開いている。


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 本日も時間がないので、昨日に引き続き、グラフをしみじみと眺めるだけの回である。今回お目にかけるのは、ロシアの株価のグラフであり、青がルーブル建てのMOEX Russia Index、緑がそれをドル換算したRTS指数となっている。

 ロシアでは、低成長が顕著になっていたところに、コロナ禍と油価下落が襲い、経済全般では危機が色濃い。しかし、経済情勢を敏感に反映するはずの株価は、それとはかなり異なった動きを示している。青のMOEX指数は、今年1月に史上最高値をつけた後、さすがにコロナ危機と油価下落で3月にかけ値を下げたが、その後は順調な回復の途上にある。8月には3,000の大台を試すことになりそうで、年内に再び史上最高値を記録しそうな勢いである(緑のRTSはドル換算なので、ルーブル安に伴い6、7月と横這いだったが)。

 どうも、投資家の間では、「ロシア株はまだ過小評価されている」という認識があるようだ。


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 本日は恐怖の『調査月報』締切日なので、それ用に更新した恒例のグラフをお目にかけてお茶を濁すことにする。ブレント原油のスポット価格と、ロシア・ルーブルの為替レートを図示したものであり、グラフはクリックまたはタップで拡大する。

 4月のOPEC+合意が相変わらず効いており、7月には油価は40ドル台で推移した。コロナ危機を受け、ロシアではこの時期の油価を20ドル台と見る予測が多かったので、当初ロシアが危惧していたよりは油価は低迷しなかった。はっきり言って、40ドル台であれば、価格水準としては、ロシアにとって万々歳だろう。

 しかし、ロシアを含むOPEC+は、協調減産で合意しており、だからこそ油価の回復を促すことができた。その結果、まだデータは出揃っていないが、ロシアの石油輸出数量も、かなり減っているはずである。価格が持ち直しても輸出量が減り、ロシアに流入するオイルダラーは縮小しているに違いない。本来、ロシア・ルーブルは石油価格とほぼ連動して動くものなのだが、6~7月に油価が回復しながら為替が下落しているのは、そのような現象と受け取れる。


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 マニアックな話で恐縮だが、現時点で、ウクライナで最大の貨物量を誇る港は、ピヴデンヌィ港である。そのシェアは年々拡大しつつあり、2019年にはウクライナ全体の39%を占めた。なお、昔はユジネ港と言ったのだが、しばらく前にピヴデンヌィに名前が変わったようだ(昔からピヴデンヌィ・ターミナルというのはあったが、港全体の名前がピヴデンヌィに変わった)。

 ちょっと用事があり、2019年のピヴデンヌィ港の貨物構造を示した上のような表を作成した。この中で、「トランジット」というのは、外国に代わってその国の貨物を処理する業務のことであり、ウクライナの場合は実質的に、ロシアの港では処理し切れないロシアの輸出向け貨物を、代わりに輸出用に船積みしてあげるサービスだと理解していい。ウクライナの港のトランジットは、ウクライナ・ロシア関係の悪化に伴い縮小の一途を辿っているのだが、注目すべきことに、ピヴデンヌィ港ではいまだにその業務がかなりのボリュームで残っている。

 上の表を見ていただくと、トランジット貨物は、鉱石と液体化学品という2品目に集中していることがお分かりいただけるだろう。具体的に言えば、鉱石は、ロシア最大の鉄鉱石生産者であるメタロインヴェスト社の鉄鉱石であることが知られている。一方、液体化学品は、ロシアのトリヤッチアゾト社からパイプラインで運ばれてくる液化アンモニアを、ピヴデンヌィ港の敷地内にあるオデッサ臨港工場で積み出しているものである。

 興味深いのは、こちらに見るように、2019年9月に、ウクライナの鉄鉱石生産・輸出企業であるメトインヴェスト(オーナーはR.アフメトフ)とFerrexpo(オーナーはK.ジェヴァホ氏)が連名で、ウクライナの港にロシア産鉄鉱石のトランジットを止めさせるよう、V.ゼレンスキー大統領に直訴していることである(こんなものを「興味深い!」と色めき立つのは私だけかもしないが)。その直訴状の中で主張されているのは、以下のような点である。いわく、2019年に入り、ウクライナ領を経由して輸送されるロシア産鉄鉱石が急増しており、ピヴデンヌィ港方面に運ばれている。その結果、港湾および鉄道のキャパシティが限定され、ウクライナの鉄鉱石生産者が貨物の処理を依頼しても断られるような状況が生じている。ウクライナの生産者としては代替のルートはないのに、ロシア産鉄鉱石にキャパを奪われている。しかも、ウクライナ鉄道はトランジット輸送に値引き料金を適用し、ウクライナ企業を不利な立場に陥れ、ロシア企業にますますウクライナ・ルートを活用することを促している。ウクライナ港湾管理局とウクライナ・インフラ省も、トランジット貨物を輸送する船舶の港湾利用料に特別値引きを提供し、ここでも国内生産者は差別を受けている。大統領は本件に介入し、内閣がこの問題を早急に見直すよう指示してほしい。ロシア産鉄鉱石のトランジットは、ウクライナ生産者の輸送ニーズがすべて満たされた上で認めるようにしてほしい。直訴状では、このように訴えられていた由である。


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20200708hashimoto

 HP更新しました。マンスリーエッセイ「橋本拳人が急いでロシアに渡ったわけ」です。よかったらご笑覧ください。


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