ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

カテゴリ: ロシア

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 ロシア財務省は連邦財政の執行状況を毎月発表しており、当ブログではそれにもとづき上掲のとおり定期的にグラフを更新しているわけだが、今般発表された2024年1~9月の執行実績には驚いた。年度途中ではあるが、財政黒字が記録されているのである。

 2024年1~9月のロシア連邦財政の歳入は26兆2,890億ルーブル、うち石油・ガス歳入は8兆3,270億ルーブル、非石油・ガス歳入は17兆9,620億ルーブル、歳出は26兆1,200億ルーブル、収支は1,690億ルーブルの黒字(対GDP比0.1%)であった。財務省では、石油・ガス歳入、非石油・ガス歳入とも好調で、前年の水準を大きく上回っていることから、財政黒字が確保されたとしている。

 しかし、ロシアでは年末にかけて歳出が急増するのが通例であり、財務省も、2024年通年では対GDP比2%程度の財政赤字になるとの見通しを示している。


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D09

 こちらの記事によると、このほどモスクワにBRICS諸国およびアフリカのダイヤモンド採掘国、業界関係者が集結し、同産業に関する国際対話が開催された(上の写真は本件とはちょっと異なり、今年のペテルブルグ・フォーラムの際に同様の枠組みでダイヤモンド産業につき討議した時のものだが)。個人的に、最近サハ共和国のダイヤ産業につき調べたこともあり、以下記事を抄訳しておく。

 ロシア財務省が発表したところによると、ダイヤモンド産業の非公式対話プラットフォームの初会合が、このほどモスクワで開催された。

 ロシア財務省のA.モイセエフ次官いわく。アフリカのダイヤモンド産出国も参加するBRICS+形式でのダイヤモンドに関する対話プラットフォームの立ち上げは、相互の貿易・ビジネス関係の強化、新たな協力形態の創出、ダイヤモンド産業の安定的発展という共通の利益のために、採掘から小売に至る全セグメントの代表者の共通の立場を発展させることに繋がる。我々の協力は、ダイヤモンド原石の世界的な取引を規制する唯一の普遍的メカニズムであるキンバリープロセス認証制度の原則に基づいている。次官はこのように述べた。

 ダイアログ・プラットフォームの主な活動分野は、サプライチェーンにおける付加価値の創造、BRICS市場における研磨済みダイヤモンドのマーケティング・プログラムの支援、責任あるダイヤモンド採掘と取引のための共通基準の確保、ベストプラクティスの共有などである。

 別のセッションでは、BRICS諸国の代表が、自国市場での宝石の取扱高を増加させるために、宝石の取引に関する共通の品質基準と規則を設けることの有益性について議論した。この方向性は、別途別取り組んでいくことになったと、財務省は強調した。


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abc

 時々申し上げるように、私はロシアの経済地理を主たる研究テーマにしようとしていた時期があり、その一環としてロシアの経済特区のことを調べていた。しかし、最近ではロシアの特区もすっかり変質してしまい、情報はあまりアップデートできていない。

 そうした中、こちらの記事で、気になる情報が伝えられた。ロシア西部のベルゴロド州、ブリャンスク州、そして何とあのクルスク州(!)に、それぞれ特区が創設されるというのである。州の全域ではなく、その中の一部の区域が特区に指定される。今般、ロシア連邦政府が当該の政府決定を採択した。

 上掲地図に見るとおり、これら3州は、すべてウクライナと国境を接している。日常的にウクライナからカミカゼドローンが飛んでくるし、ついにはクルスク州がウクライナ軍により越境攻撃されるという屈辱も味わった。今回の特区創設のニュースに触れ、直感的に、現地住民の不満を逸らすための特例措置なのかと思った。

 ただし、記事によると、そもそも3州に特区を創設する旨の連邦法が、2024年6月22日にプーチン大統領署名により成立しており、今回の政府決定はその具体的中身を決めたということのようである。だとすれば、8月6日のクルスク州越境攻撃開始を受け、泥縄式に決めた措置ということではなさそうだ。それでも、ウクライナとの戦争で情勢が不安定化する3州への配慮であることは、おそらく間違いないだろう。


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MV

 モルドバはEUに傾斜し、将来的な加盟を目指している。そして、同国名産のワインは、20年くらい前まではロシア市場への輸出が4分の3程度にも及んでいだが、近年脱ロシア依存を進め、EUをはじめとする他市場へのシフトを推進してきた。モルドバ当局は、実際にその成果が挙がっていると強調している。

 実際、そのことはモルドバの貿易統計からも裏付けられる。ここでは簡易的に「第22類:飲料・アルコール」の輸出データを見るが、モルドバの場合その大部分がワインだと理解していい。私が全体像を整理したのが上図であり、確かに今日ではロシア市場の存在感は見る影もない。

 ところが、これに関し、今般気になる発言が出たので、それを記しておく。こちらの記事に見るとおり、2001~2008年にモルドバ首相を務めたV.タルレフ氏が、モルドバ産ワインはベラルーシやジョージアを通じてロシア市場に再輸出されていると指摘したのである。

 タルレフ氏いわく。2023年のワイン総輸出量1,044万デカリトルのうち、340万デカリトルがベラルーシへ、170万デカリトルがジョージアへ輸出された。 両国は、モルドバ現政権とは異なり、西側諸国による制裁に加わることを拒否し、国民の利益のためにロシアと積極的に貿易を行っている。モルドバ当局は、ご主人様を喜ばせたいがために、国民の利益をないがしろにしている。ジョージアやベラルーシに供給されたモルドバ産ワインの一部は、ロシアに再輸出されている可能性が否定できない。この状況は、現政権が表向きはロシアからのガス輸入を拒否していながら、現実には輸入し続けていることに似通っている。制裁に参加するというモルドバ当局の決定は逆効果だ。ロシアにとっては痛くも痒くもない一方、モルドバの農民はロシアで数十億ドルの市場を失い、破産し、抗議している。ガスや電気、その他の商品の価格が高騰し、人々は凍えている。ロシアで働いている何十万人ものモルドバ人移民は、親族に送金したり、親族を訪ねたりすることができないでいる。

 タルレフ氏は以上のように語った。まあ、よくある親露派のレトリックであり、目新しいものではないが、ワインがロシアに迂回輸出されているとの話は初めて聞いたので、真偽は不明ながら、一応書き留めておく次第。


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105

 昨日の話の続きになるが、ロシア連邦予算案を採択する際に、財務省は連邦議会に、予算の説明書を提出することになっている。その中には、「国防費」の総額と、その内訳も一応示されている。そこで、それにもとづいて2025~2027の「国防費」の全体像を上表にまとめてみた。

 私はこれまでロシアの国防費を研究した経験がなく、良く分からないのだが、この予算説明書に額が明記されている費目を合計しても、国防費の15%くらいにしかならない。言い換えれば、国防費の85%くらいが使途不明になっている。ただ、国防費のうち、主要な項目として考えられるのは、人件費であり、また兵器を中心とした物品・役務購入費であろう。その2つは、予算の説明書に具体的な額が示されている。しかし、目下ウクライナで戦争を戦っており、軍需工場にも増産の大号令をかけていることを考えると、ここに見る額は不自然に少ないようにも思える。たとえば、ウクライナ戦線向けに動員したり追加契約しているような兵員への支出はここにある一般的な人件費とは別建てになっているとか、何かからくりがあるのだろうか。


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1006

 9月24日にロシア政府が承認した2025年の連邦予算案(2026、2027年の見通しも含む)の概要を、個人的にようやく把握できたところである。何の芸もないが、2021~2024年の連邦財政の推移と、2025~2027年の予算案とを対比したグラフを作成したので、お目にかける。


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1972

 弊学に在籍している院生さんで、ロシアの航空機産業のことを勉強している方がいるので、そのサポートをすべく、私もちらほらとロシア航空機産業の情報を探ってみた。その過程で気付いたことをメモしておく。

 初めて知ったのだが、ロシアの航空機産業の分野には、株式会社「アヴィアプロム(航空産業)」という組織があるようだ。かつてのソ連航空機産業省の後継組織のようであり、航空機産業の様々なステークホルダーがメンバーになる形で、業界全体の利益を調整しているような感じである。株式会社となってはいるが、業界団体みたいなものではないだろうか。

 それで、そのアヴィアプロムは毎年活動報告を発表しており、これが航空機産業部門の動きを概観するのに役立ちそうだということに気付いた。2021年版までの活動報告には、上掲のような表が掲載されており、有益だった。上表は上段から、1.ロシア航空機産業の生産高(前年=100)、1.1.民需(前年=100)、1.2.国家需要(≒軍需ということではないか、前年=100)、2.業界の労働者数(単位1,000人)、3.業界の平均月給(ルーブル)を示しており、興味深いデータだ。ところが、2022年版2023年版も、活動報告自体は出ているのだが、想像に難くないように、こうした表は掲載されなくなってしまった。航空機分野は、軍需生産、制裁などと密接にかかわるだけに、情報を開示しないことにしたのだろう。


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prognoz

 目下、ロシアでは来年度の予算編成の大詰めを迎えている。なお、いつも申し上げるとおり、ロシア連邦予算は当該年に加え向こう2年間の見通しも示され、3ヵ年のスパンで制定される。したがって、今やっているのは、2025年に加え2026~2027年の財政見通しも含む、ということになる。

 そして、例年、予算編成の前提となる向こう3年間の公式的な政府経済見通しが、毎年この時期に経済発展省によって示される。今年も、数日前からその指標が断片的にマスコミ等によって伝えられていたが、経済発展省のHPになかなか掲載されず、「あれ? 最近のロシアにありがちな話で、ついに国家機密になり、公開されなくなってしまったのか?」などと思い始めたところだった。

 しかし、9月30日になって、経済発展省のこちらのページにようやく当該の経済見通しがアップされたので、安堵した。本日はまず、報告書に示されていた総合表的なものを、ロシア語のままで恐縮ながら、上掲のとおり掲載してみる。ロシア経済発展省のHPは日本からはアクセスできないので(当方はVPN経由でアクセス)、これでも何かの役には立つだろう。より詳細な付表の類も公開されているので、追々検証していきたい。


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119

 対ロシア制裁を徹底するのが難しい要因の一つに、カザフスタンの存在がある。両国はともにユーラシア経済連合という経済同盟のメンバーとなっており、国境障壁は基本的に存在しない。そして、ロシア・カザフスタン国境は7,500kmにも及ぶ世界最長の陸上国境であり、それを全部監視するなどということは不可能なので、どうしても抜け穴になりやすい。

 そんな問題と、関係あるような、ないような話題だが、こちらの記事が、カザフスタンが対ロシア国境の通過ポイントを近代化しようとしているという動きを伝えている。これは、現在両国間の貨物が増加しているはずなので、それに対応しようという動きではないだろうか。

 記事によれば、カザフ・ロシア国境には、自動車道路の国境通過ポイントが30箇所存在する(別ソースだが上掲地図参照)。カザフ側の運輸省は今般、そのうち29箇所を、2027年までに近代化する計画を固めた。カザフ運輸省では、ロシア側とも歩調を合わせて、通過ポイントを早期に近代化して通過キャパシティを拡大したい意向である。


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1967

 ロシアの首都モスクワでは近年、交通インフラの整備が急ピッチで進んでいる。普通の市民の感覚からすれば、少なくともモスクワは順調な発展を遂げているという実感があるのではないか。

 その一例として、モスクワ中央径線(Московские центральные диаметры)というプロジェクトがある。既存のロシア鉄道のインフラを利用しながら、モスクワから郊外のモスクワ州に伸びる「地上の地下鉄」を整備するというものである。そして、こちらこちらの記事によると、モスクワ中央径線をさらに、カルーガ州、スモレンスク州、トゥーラ州、ヤロスラヴリ州という隣接した地域まで延伸するという方針が示されたということである。上図が、そのイメージ図となる。


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55

 言うまでもなくロシア経済の大黒柱は石油・ガス産業だが、それを支えるエネルギー産業向けの機械・設備を敵対する先進諸国からの輸入に依存している点は、同国の経済安全保障にとり最大の懸念である。

 それに関連し、こちらの記事が、エネルギーを担当するA.ノヴァク副首相の興味深い発言を伝えているので、以下まとめておく。

 記事によると、現在「ロシア・エネルギー週間」という催しが開催されており、その枠内でノヴァク副首相が、ロシアは石油採掘関連機器の90%を輸入代替することに成功したと発言した。国産化することが課題だったアイテムが2,000品目あったが、過去10年間でその90%を国産化し、残りは200品目となった。ただ、ガス産業、電力業、石炭産業など、石油以外の部門はまたそれぞれ違う状況がある。ノヴァク副首相はこのように述べた。


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 こちらの記事が、ロシアの農産物輸出動向につき伝えているので、以下要点を整理しておく。

 記事によると、ロシアのO.ルト農相がこのほど下院農業問題委員会の拡大会合で発言した。それによると、2024年のロシアの農産物輸出は、現在までのところ7,400万tとなっている。これは前年同期に比べ重量ベースで7%拡大している。輸出の拡大は、アフリカ、アジア、ペルシャ湾岸の新市場開拓によるものであると、農相は述べた。なお、2023年のロシアの農産物・食品輸出は435億ドルで、重量ベースでは1億tが輸出された。


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0102

 ロシアでは予算編成の季節が到来した。個人的にまだ全容は把握できていないが、ブルームバーグのこちらの記事に出た図が分かりやすかったので、差し当たりそれを拝見することにする。

 上図に見るとおり、連邦財政の歳出で、最も手厚くなっているのが、国防費である。予算案によれば、2025年の国防費はGDPの6.2%に相当するということである。ロシアの予算は当該年に加えて向こう2年間の見通しも併せて示されるが、2026、2027年の国防費もごくわずかに低下するにすぎない。


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1946

 日本でも、新幹線の自動運転化という話が、チラホラ出始めている。たとえば、こちらによると、「JR東日本は、新幹線の自動運転の導入に向けて2028年度に上越新幹線の一部の区間で運転士がいる状態での自動運転の運行を始める計画を明らかにしました。運転士の不足などを背景に2030年代中頃の無人運転化を目指すとしています」ということである。

 それで、こちらの記事が、ロシア鉄道も近い将来の自動運転導入を目指していると伝えているので、以下抄訳しておく。

 ロシア鉄道は、2030年までに無人の長距離列車を運行する可能性がある。ロシア鉄道のO.ベロジョーロフ社長が、デジタル交通2024国際フォーラムの本会議で発表した。

 ベロジョーロフ社長は、「8年から10年後には、いわゆる無人操縦で列車を走らせることができるようになると思うが、鉄道の安全を確保するために必要な行動もあるので、人が乗っていることに変わりはないだろう」と述べた。

 社長によれば、無人長距離列車の出現は遠い将来の展望ではなく、2030年までにそのような列車が登場する可能性がある。

 ロシア鉄道は今年8月、運転士が運転席に乗り、必要であればいつでも手動運転に切り替えられる第3レベルの自動運転を備えた初の電車ラストーチカを運行開始した。部分的に無人化されたラストーチカの運行は、モスクワ中央環状線で行われた。

 これに先立ちベロジョーロフ社長は、ロシア鉄道は2026年までに国産システムを搭載した完全無人列車を投入する計画だと述べていた。


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full

 こちらの記事の中に、2023年のロシア港湾の取扱貨物量ランキングというグラフが出ていた。データとしてはそんなに貴重というわけでもないが、こうやってグラフで示しているのはそれなりに役に立ちそうなので、ちょっと拝見することにする。

 2023年の各港湾の貨物量は以下のとおりである。数量単位は100万t。いつも申し上げるとおり、ロシアの港の特徴は、重量で見れば輸出貨物が圧倒的に多いことである(ロシアは完成品といよりは資源輸出国なので、そうした品目は重量がかさむ)。

  1. ノヴォロシースク港:117.0
  2. ウスチルガ港:103.0
  3. プリモルスク石油積出港:65.0
  4. ムルマンスク港:60.0
  5. ヴォストーチヌィ港:48.0
  6. サンクトペテルブルグ港:20.0
  7. マハチカラ港:15.0
  8. トゥアプセ港:14.9
  9. ウラジオストク港:11.5
  10. カリーニングラード港:10.6
  11. ナホトカ港:10.0
  12. アルハンゲリスク港:3.3
  13. ペトロパヴロフスクカムチャツキー港:1.0
  14. ゲレンジク港:1.0
  15. ソチ港:1.0
  16. セヴァストーポリ港:0.4

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sh

 こちらの記事が、ロシア製品取引センターが中国では初めて、西安に開設されることになったと伝えているので、以下記事を抄訳しておく。

 ロシアは旧正月までに、中国初のロシア製品取引センターを開設する予定である。持続可能な開発目標を達成するための国際組織との関係を担当するロシア大統領の特別代表であり、ロシア・中国友好平和協力委員会のロシア側委員長でもあるB.チトフ氏によって発表された。

 チトフは、9月20日から24日まで西安(陝西省)で開催されている第8回国際シルクロード博覧会でロシア代表団を率いており、陝西省のトップとも会談したことを明らかにした。

 チトフによれば、両国間の経済関係に携わっているサンライズ社と共同で、ロシアはロシア製品取引センター、つまりロシアで生産された商品の販売センターの解説に向けて作業をしている。 まずは食品が対象となる。来年の2月頃には西安にそのようなセンターの第1号店がオープンする予定という。

 チトフによると、西安側はいくつかの候補地を用意しているが、ロシア側はそのうちの一つを有望視している。価格と条件については合意に近づいている。ただ、これは中国で最初に開かれるセンターなので、リース料の支払い猶予を期待している。これが成功すれば、次は海南島と北京でのセンター開設を計画する。西安側とロシア料理レストラン「Teremok」の開設についても話し合うことになる。

 省トップとの会談では、今年11月に西安で予定されているロシア・中国中小企業フォーラムの準備について触れられたという。フォーラムのプログラムはまだ策定中だが、農業がテーマのひとつになる。単にロシアの製品を供給するだけでなく、中国からの新しい果物、例えば漢方薬に使われるナツメヤシをロシアに導入することに関心を持っているロシア側関係者も多い、という。


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1944

 先日、ロシアのV.プーチン大統領が、一部の重要物資の輸出を制限する可能性について述べたが、こちらの記事がこの分野を担当する産業・商業省幹部の発言を伝えているので、以下抄訳しておく。

 ロシア産業・商業省は、戦略的原材料の輸出に制限を課す可能性を排除していないと、同省のV.オスマコフ第一次官は記者団に語った。

 プーチン大統領がウラン、チタン、ニッケルなど一部の戦略的原材料の輸出制限を検討するよう政府に提案していることについて質問され答えたもので、「もし、輸出を制限するという点で、本当にバランスの取れた解決策を見つけることができれば、そして現在でも特定のカテゴリーでは制限されているが、我々はそれを実行に移すだろう」と述べた。

 オスマコフ氏は、産業・商業省はロシアに対する制裁圧力に対してバランスの取れた対抗措置を定期的に講じていると指摘した。特に、2022年以降、制裁対抗措置の一環として、一部の化粧品や化学品など、いくつかの関税引き上げがなされている由。

 これに先立ち、D.ペスコフ大統領報道官は、プーチン大統領が語った戦略的原材料の輸出は、ロシア経済に打撃を与えないよう慎重に制限されるだろうと述べていた。


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 私は十余年前までロシアの地域開発政策を主たる研究テーマにしようと思っていたのだが、2014年の前回のウクライナ危機で否応なしに地経学的研究にシフトした経緯がある。なので、今でもロシアの地域開発政策にはそれなりに関心を寄せており、このブログでも経済特区などの話題に時々触れる。今般、こちらの記事で、ノヴォシビルスク州で初めて創設される経済特区の進捗状況が伝えられたので、以下要点を整理しておく。

 ノヴォシビルスク州初の経済特区の敷地内で、中国の投資家との共同物流プロジェクトが始動される。全ロシア開発・投資地域フォーラム「Inpark-2024」において、ノヴォシビルスク州のL.レシェトニコフ経済開発相が記者団に発表した。「中国のパートナーと国際的なパートナーシップのもとでプロジェクトを進めている。この投資プロジェクトは物流分野で計画されている」と大臣は述べたが、実施時期については明言しなかった。

 大臣によると、経済特区のプロジェクトのほとんどは製造業である。フォーラムでレシェトニコフ大臣が発表したデータによると、経済特区プロジェクトへの確定投資額は93億ルーブルに上る。サンクトペテルブルグ国際経済フォーラムにおいて、経済特区の最初の入居予定者である舗装タイル製造工場(20億ルーブル)との間で契約が調印された。

 合計700ヘクタールの土地が経済特区設立のために割り当てられている。特区管理会社のインフラへの投資額は約90億ルーブルと試算され、4,000人以上の雇用が創出される。入居企業による投資は900億ルーブルに達する可能性があり、2040年までに270億ルーブルの財政効果が見込まれる。


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 こちらに見るとおり、9月17日から19日にかけてサンクトペテルブルグで第7回国際漁業フォーラムとそれに付随する展示会が開催される。

 こちらの記事によると、フォーラムで発言したロシア政府幹部は、2024年1~8月のロシアからの水産物の輸出は110万tとなり、前年同期比13%低下したと発言した。

 また、こちらの記事によると、フォーラムでロシア・スケトウダラ漁業者協会のA.ブグラク会長が演説し、2024年にロシアはスケトウダラの漁獲量で世界一の座を確保するだろうと発言した。2024年のスケトウダラ漁獲見通しは190万tと予想され、記録的豊漁だった2023年から若干低い水準となる。米国は150万t程度となり、ロシアは首位を確保すると、会長は述べた。


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 こちらの記事が、興味深いことを伝えている。2023年のロシアにおける小売販売のキャッシュレス比率が83.4%に上り、G20の中で7番目に高かったということである。そこで、記事にもとづいて上掲のとおりグラフを作成してみた。ただ、スウェーデンはG20ではないと思うのだが、なぜ入っているのだろうか。

 ロシア中銀の調査によれば、同国のキャッシュレス比率はコンスタントに上昇しており、今後3~5年で90%に達する見通しということである。

 キャッシュレスの比率は、高ければ偉いというものでもなく、上図を見ても同比率と経済発展水準はあまり関係ない。ただ、日本の39.3%は異常に低いように思われ、念のために調べてみたら、経産省がこちらのページで報告しているとおり、ガチだった。


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 こちらに見るとおり、ロシア統計局が8月のインフレ率(消費者物価上昇率)を発表したので、恒例によりグラフを更新し軽くご紹介。

 8月のロシアの消費者物価は、前月比0.20%増、前年末比5.27%増、前年同月比9.05%増であった。

 7月のロシア消費者物価は、長らく据え置かれていた公共料金が引き上げられた結果、サービスを中心に大幅に上昇した。8月はその反動で、きわめてマイルドなインフレとなった。サービスに至っては、前月比0.01%しか上昇していない。それに加え、ロシアでは夏はデフレの季節という要因もあった。

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 こちらの記事によると、キルギスのイシムクル州の会場で、第6回ロシア・キルギス経済フォーラムが昨日開幕したということである。

 フォーラムには、政府機関の代表者、エネルギー、工業、農業、観光、IT、その他の分野のキルギスとロシアの大手企業のトップが出席する。全体会議、テーマ別討論、協定・覚書の調印、B2Bセッション、展示会、見本市が予定されている。フォーラムの目的は、産業協力、貿易・経済協力、経済のあらゆる主要分野における両国企業間の関係強化である。キルギスのA.ジャパロフ首相とロシアのA.オヴェルチューク副首相が開会に当たっての挨拶を行った。

 ジャパロフ首相によると、このフォーラムは単なる意見交換の場ではなく、キルギスとロシアの協力関係の深化を目指した具体的な行動のための重要な触媒となっている。「ロシアとは、経済的利益だけでなく、何世紀にもわたる文化的、歴史的、社会的な紐帯で結ばれており、今後もキルギスの戦略的パートナーであり続けるだろう。貿易はキルギスとロシアの協力の重要な柱である。2023年、キルギスとロシア間の貿易高は30億ドルを超えた。しかし、両国の首脳はこの数字を50億ドルに増やすという野心的な目標を掲げている」とジャパロフ首相は語った。「2022年から2026年までのキルギスとロシア間の経済協力の政府間プログラムの実施に向けて、自信を持って進んでいる。このプロセスにおける最も重要なメカニズムは「ロシア・キルギス開発基金」であり、過去10年間で総額7億2,750万ドルに上る34万件以上のプロジェクトに資金を提供してきた。これらの重要な投資は、ビジネスの発展を促進し、生産設備を近代化し、新たな雇用を創出するだけでなく、両国の企業家間の強固な経済的結びつきを強化する。これは、両国のパートナーシップの持続可能な未来への貢献である」と首相は述べた。

 一方、オヴェルチューク・ロシア副首相によれば、このフォーラムのような会合は非常に需要があり、キルギスとロシアの親密さを示している。ロシアはキルギスの最も重要な貿易パートナーであり、最大の投資国の一つである。現在、キルギスでは62の投資プロジェクトがロシアの参加を得て実施されている。キルギスのユーラシア経済連合加盟も非常に重要である。同国がこれに加盟していた数年間で、キルギスのGDPは3倍になり、納税額は増加し、投資環境は改善された。キルギスのプロジェクトの大部分は、ロシア・キルギス開発基金の支援を受けて実施されている。基金のおかげで、経済の様々な分野で多くの企業が開業し、キルギスの成長と持続可能な発展の新たなポイントが生まれつつあると、オヴェルチューク副首相は指摘した。


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 『學士會会報』No.967(2024-V)に、「『敵国研究』の原点に戻ったロシア研究」と題する小文を寄稿しましたので、よかったらご笑覧ください。


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 私はiPhoneユーザーではないので特に熱心には情報を追っていないが、米アップルは9月9日、自社開発した初めての生成人工知能「アップルインテリジェンス」に対応しながら価格を据え置いたiPhone16を発表した。日本などでは20日に発売されるということのようである。

 アップルはロシア市場への正規供給は打ち切ったわけだが、並行輸入という形であれば、いまだにロシアでも購入可能である。ロシアにおける新モデルiPhone16の見通しにつき、こちらの記事が伝えているので、以下抄訳しておく。

 iPhone 16 Proには、昨年同様128GBのストレージが搭載される。最も安いiPhone 16 Proは999ドル、iPhone 16 Pro Maxは1199ドルだ。世界的には、予約注文は9月13日に開始され、最初の購入者は9月20日に2024年版のiPhoneを受け取ることになる。

 ロシアでは、筆者の予想によると、デバイスはほぼすぐに流入し始めるが、最初の価格は法外なものとなり、最大で50万ルーブルに達するだろう。数週間経てば、並行輸入が活発になり、価格が低下するはずなので、購入希望者はそれを待っていただきたい。

 M.Video、ReStoreなどの大手小売チェーンにデバイスが登場すると、iPhone 16 Proの価格は128GBで12万ルーブル、同量のメモリを搭載したiPhone 16 Pro Maxで14万ルーブル程度になると予想される。もしあなたが急がないのであれば、3~4ヵ月後にはこれらのスマートフォンの価格は現在のiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxのレベルにまで下がることは間違いない。


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 ロシアの首都郊外であるモスクワ州に、ドゥブナ経済特区というのがある。私なども、前の職場の時に調査に訪れたりしたものだった。最近ではクロンシュタット社によるドローン開発の拠点になっていたりもする。こちらの記事によると、ドゥブナ経済特区を舞台に国際経済特区フォーラムが開催されるということである。もっとも、容易に想像されるように、参加国はロシアにとっての「友好国」ばかりのようだ。

 記事によると、ドゥブナを舞台に、10月3、4日に国際経済特区フォーラムが開催される。BRICS諸国、ASEAN諸国、ベラルーシ、イラン、ウズベキスタン、タジキスタン、UAEなど、25ヵ国から約400名の参加者が参加予定である。

 フォーラムのビジネスプログラムでは、全体会議「現代経済における経済特区の発展と展望」が開かれ、ロシア政府、経済発展省などの連邦省庁、モスクワ州政府、諸外国の代表者が参加する。また、多くのパネルディスカッションやセッション、円卓会議、特区の国際会議、国内初の教育プログラム「地域開発リーダー:経済特区の創造と開発」の参加者によるプロジェクト発表、その他のビジネスイベントも開催される。

 Ye.ジノヴィエヴァ投資・産業・科学相によると、今年のフォーラムは2回目の開催となる。このフォーラムは、経済特区の開発、投資の誘致、成長ポイントの創出、産業クラスターへのアプローチについて議論し、練り上げるためのプラットフォームである。このフォーラムは、当局と企業との対話の場であり、経済特区やインフラ施設の整備に関する国際的な経験交流の場でもある、という。


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 あまり趣味の良い研究テーマではないかもしれないが、私はロシアがウクライナから奪った領土(いつまで支配できるのかは知らないが)をどのように経済再建しようとしているかについて観察したいと思っている。

 それに関連し、こちらの記事が、ドネツク冶金工場の再生の動きにつき伝えているので、以下要旨を整理しておく。

 記事によると、ドネツク冶金工場は1872年に設立されたドンバスで最も古い企業のひとつである。銑鉄、粗鋼、鋼管、スラグ形成混合物の生産を専門としている。2014年以来、ウクライナ側からの攻撃と経済封鎖のため、操業停止を繰り返してきた。

 今年3月末、工場はテクノロジカル・インヴェストメンツLLCという投資家にリースされた。「ドネツク人民共和国」のYe.ソンツェフ首相は6月、冶金産業の復興が同共和国の優先課題であると述べていた。

 そして、同工場は8月に約2万2,600tの製品を生産した。同社のモスカリョフ第一副社長によると、4月に新投資家が工場に乗り込んだ時点では、原料の在庫がゼロだったにもかかわらず、2024年4~8月の生産量を3倍以上に拡大した。

 こうした成果を達成できたのは、とりわけ原料供給源の多様化によるものだという。現在、工場の主要製品は連続鋳造ビレットとなっている。


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 ちょっとマスコミから問い合わせがあったので、グラフを作成してみた。ロシアの石油精製部門の生産水準を跡付けたものである。

 というのも、周知のとおり、ウクライナはロシアの石油関連施設へのドローン攻撃を強化している。当然、石油製品の生産量が低下しているのではないかという疑問が生じる。そうした中、先日ロシア統計局は7月分の鉱工業生産統計を発表したが、ガソリン、軽油、重油といった個別の石油製品に関しては今回から具体的な生産量が発表されなくなったということだ。

 私が調べてみたところ、ガソリン、軽油、重油といった個別の石油製品の生産量は確かに発表されなくなったが、石油精製部門全体の生産指数ならまだ出ていることが判明した。そこで、7月までの数字を使って、ウクライナ侵攻が始まった2022年以降の石油精製部門の生産水準推移を、上図のとおりまとめてみたというわけである。これを見る限り、全体としての生産水準は、大きく低下する事態にはまだ至っておらず、ほぼ横這いであることが確認できる。


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 プーチン政権に批判的なモスクワタイムズのこちらの記事が、ロシアが武器輸出契約をかなりの規模で破棄していることを伝えているので、以下要旨をまとめておく。

 ロシアの国防企業を束ねる国営コングロマリット「ロステック」のS.チェメゾフ社長は、ウクライナでの戦争に武器が優先的に送られるため、ロシアの防衛産業は外国の顧客に武器を供給する契約をかなり破棄していると認めた。

 チェメゾフは、「輸出が減っている理由は、周知のものである。すべてを前線のため、勝利のために、だ。海外パートナー向けには、未納入分が蓄積されている」と述べた。チェメゾフによると、ロシア製兵器の輸出向け供給は、順番待ちの状態だという。

 チェメゾフによると、廃棄された契約は過去1年間で50億~100億ドルに達する可能性がある。したがって、2024年の時点で、輸出契約残高は600億ドルという記録的な数字に達している。なお、2023年5月にはロシア連邦軍事技術協力局のD.シュガエフ局長は、輸出受注残高を500億~550億ドルと見積もっていた。

 2023年5月、アルメニア当局はロシア製兵器の供給契約の中断を発表した。サファリャン外務次官は、アルメニアがすでに代金を支払った武器を受け取っていないなどと訴えた。

 2023年3月、ロシアはインドとのS-400トライアンフ対空ミサイルシステムの供給契約を破棄したと報じられた。武器輸出公団2018年に54億ドルで5セットの契約を結び、2024年末までに引き渡すことを約束した。しかし、戦争と制裁によってその計画は中断された。インド空軍高官によると、ロシア側はインドに遅れを「文書で通知した」という。

 ストックホルム国際平和研究所によると、2019~2023年のロシアの武器輸出は、その前の5年間に比べ53%減少した。その結果、世界武器供給国ランキングでロシアは2位から3位に後退し、世界シェアは11%に縮小した。1位は依然として米国で、その輸出は17%増加し、世界の武器市場におけるシェアは42%に達した。第2位はフランスで、5年間で輸出を47%増加させた。


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 ロシアは世界一のダイヤモンド産出国であり、同国のアルロサ社が世界全体のだいたい3分の1くらいを生産している。こうして、天然ダイヤモンドの採掘ではチャンピオンとなってきたロシアだが、近年は中国などで合成ダイヤモンドの生産が拡大してきた。ロシア・タス通信のこちらの記事が、ダイヤモンド業界は合成ダイヤの脅威を過小評価していたのではないかとの専門家のコメントを紹介している。

 まず、「フィナム」社のアナリスト、A.カラチェフ氏いわく、現在生じているダイヤモンド価格の下落は、ダイヤモンドに対する世界的な需要の低下に加え、消費者の嗜好が世代交代とともに変化していることに起因している。今の若い人たちは、あまり高級志向ではなく、プレゼントや婚約指輪への支出を惜しみ、合成ダイヤモンドの購入で我慢する用意がある。ダイヤモンド業界は合成ダイヤモンドがもたらす脅威を明らかに過小評価し、効果的な対策を講じることができなかった。合成ダイヤモンドの生産コストは低下し、生産量は増加している。

 もう一人、BKSインベストメントワールドの専門家、M.セレズニョフ氏いわく、デビアス社とペトラ・ダイヤモンド社は最近のプレスリリースの中で、中国の景気減速、米国における合成ダイヤの人気の高まり、高金利による需要の減少を指摘している。中国と米国が世界のダイヤモンド宝飾品需要の65%以上を占めていることは重要だ。天然ダイヤ業界には長期的なリスクがある。天然ダイヤモンドの生産量は毎年1~2%減少すると予想されるが、需要はもっと早く減少すると思われる。新しい世代は物質的なものよりも感動を好み、合成ダイヤモンドへの関心が高まっている。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年9-10月合併号のご案内。9-10月号は、「ウクライナ復興と企業の役割」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 服部は今回は、特集に合わせて、「ウクライナ自活の鍵を握る黒海穀物輸出」、「再建の賛否分かれるカホフカダム」を執筆しました。また、特集の枠外では「軍需主導の成長が続くロシアの鉱工業生産」という記事を書いています。


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