ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

カテゴリ: ロシア

Gazprom

 ウクライナ侵攻開始後、ロシアはまともに貿易統計を発表しなくなったので、たとえばロシアから欧州向けの天然ガス供給が激減していることは明らかだが、なかなかそれを具体的に示すデータは得られない。

 ロシア(ガスプロムのと言い換えても同じ)の天然ガス輸出動向に関し、私がデータを色々探してみた範囲内で、一番説得的だったのが、フィリップ・ルドニクという人の書いたこちらのコラムの中に出てくるグラフだった。上図は、その図を転載させていただいたものである。

 これが石油であれば、欧州に売れなくなった分をタンカーでインド等に回すことが可能で、ロシアの石油輸出量は落ち込んではいない。それに対し、パイプラインで運ぶしかない天然ガスはそうした転換が至難であり、欧州への供給が減った分、そのまま輸出総量の激減に繋がっている構図が確認できる(2023年のデータは著者の推計ではあるが)。

 なお、このデータは、ロシアが言うところの「遠い外国」だけの輸出量であり、バルト三国を含む旧ソ連向け供給は除外されている。


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0717

 こちらのページに見るように、ロシアのアフトスタットという自動車市場調査会社が、2024年上半期のロシアの乗用車(新車)販売動向を発表したので、軽くご紹介。元の表はゴチャゴチャして分かりにくいので、重要なところだけ切り抜いて整形したのが上表。

 アフトスタットによると、2024年上半期の新車販売は71.9万台で、前年同期比79.1%増と、顕著に回復した。ウクライナ侵攻後のパターンとして、ロシアブランドと中国ブランドの独壇場と化しており、ブランド別ランキングは、ロシア系のLADA:20.7万台がトップ、あとの上位は中国系ばかりで、HAVAL:8.1万台、CHERY:7.1万台、GEELY:6.9万台、CHANGAN:4.9万台と続く。


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yena

 ウクライナ・ドネツク州のエナキエヴェ(ロシア語読みではエナキエヴォ)は、早くも2014年以降のドンバス紛争で親露派側に占領された。同市の中核企業であるエナキエヴェ冶金工場は、2020年から操業を停止していた。ところが、こちらの記事によると、占領側のロシアは、この製鉄所での高炉生産を再開しようとしている。

 記事によると、プーチン大統領は7月15日、リモート形式で、ロシアの一連の鉄鋼関連事業所の開所式に立ち会った。これは7月21日がロシアで冶金産業の日に指定されていることにちなんだものである。そして、今回操業開始を遂げた一連の事業所の中に、自称「ドネツク人民共和国」に所在するエナキエヴェ冶金工場の第5高炉も含まれていた。

 プーチン大統領は、エナキエヴェの高炉生産により年間100万t以上の粗鋼生産が可能になり、同工場では4,500人もが働いており、2023年の両人民共和国における冶金生産は前年比30%伸びたなどと指摘した。


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ac

 こちらの記事によると、Anderida Financial Groupというところのアンケート調査により、ロシアの現金離れが明らかになったということである。

 Anderida Financial Groupが18歳以上のロシア市民1,680人を対象にアンケート調査を実施したところ、70%の回答者が、家から出かける時に通常は現金を持ち歩かず、キャッシュレスの支払手段を選んでいると回答した。キャッシュレス派の比率は、2020年から倍増した。

 現金を持ち歩く人の間では、500ルーブル未満が12%、500~1,000ルーブルが25%、1,000~3,000ルーブルが33%だった。つまり、キャッシュレスが圧倒的になり、仮に現金で支払うにしても乗り合いタクシーや手渡し販売などのごく限られたケースで、500ルーブル以下の場合がほとんどであり、少額を「念のために」に持っているにすぎない、ということである。

 ちなみに、日本に関しては、こちらの記事が目に留まった。日本では、財布を持ち歩かないという人は、まだ24.9%に留まるということである。


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1878

 こちらのページに見るとおり、このほどロシア財務省が2024年上半期の連邦財政執行状況を発表した。日本からはVPNを通じないとアクセスできず、困っている方もいるかもしれないので、お目にかける次第。

 2024年1~6月の連邦財政は、歳入が17.1兆ルーブル(うち石油・ガス歳入が5.7兆ルーブル、非石油・ガス歳入が11.4兆ルーブル)、歳出が18.0兆ルーブル、財政収支は0.9兆ルーブルで対GDP比-0.5%だった。

 下図は私が定番で作成している月別の図で、こうやって見てもロシア財政動向に大きな乱れは見られない。

0714

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0712

 当ブログ毎月恒例の、ロシア物価報告。こちらのページで、2024年6月の消費者物価が発表されたので、いつものグラフを更新してお目にかける。クリック・タップし拡大してご利用ください。

 上図に見るとおり、6月の物価に取り立てて大きな変動はなかった。6月の消費者物価は、前月比0.64%増、前年末比3.88%増、前年同月比8.59%増だった。まあ、夏はロシアの物価が一番落ち着く季節だ。

 下図は、これも定番だが、消費者物価を、食料品、非食料商品、サービスに分け、ウクライナ侵攻が始まって以降の水準変化を示したものである。このところ、サービスの値上がりが目立つ状況が続いている。考えてみれば、今のロシア経済の問題は人手不足と賃金上昇であり、おそらくサービスはその影響が出やすいのではないか。

 さて、このように6月まではロシアの物価は割と平穏だったのだが、ロシアでは7月1日に公共料金の引き上げが行われたので、次回出る7月の消費者物価には、間違いなくその影響が及ぶはずである。こちらの記事に見るとおり、たとえばモスクワ市では、集中暖房が10.5%、水道が17.4%、給湯が11.9%、下水道が14.9%、ガスが11.2%、高くなった。

0712b

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20240711

 本日開催するセミナー「急変する国際環境下のロシア極東・シベリア」にはもうご登録いただけたでしょうか。ZOOMでリモート視聴ができますので、今からでも、ぜひどうぞ。

 上の図は、セミナー用に用意したグラフの一つである。プーチン・ロシアは、「東方シフト」と称し、アジア・太平洋への接近を図っている。それは、経済圏で言えば、APECと同義と言っていいだろう。

 しかし、欧州と決別してアジア・太平洋に接近したとしても、冷静に考えれば、同地域でもロシアが今後の関係強化を期待できない「非友好国」の方が主流である。そこで、APECにおいて、ロシアにとっての友好国と、非友好国に分けて、GDPで測ったそれぞれの経済規模を示したのが上図というわけである。

 APECの友好国では中国が突出しており、他に目ぼしいパートナーは見当たらない。こうした中で東方シフトを強行すれば、対中依存が一層深まる公算が大きい。

 もちろん、APEC域外のアジアにまで範囲を広げれば、インドのような重要パートナーがいることは事実である(ただ、インドの名目GDPは3.5兆ドルと、人口の割にあまり大きなものではないが)。いずれにしても、その場合でも、ロシアの東方シフトは、中印シフトとほぼ同義である。

 最近プーチンが急接近している北朝鮮などは、APEC加盟国でもないし、今回使っている世銀のデータベースにもGDPが出ていないような、経済的には取るに足らない存在である。もちろん、弾薬や労働力の供給源としては警戒すべきだが。

 まあ、本日はそんな談義をしたいと思っているので、よろしくお願いします。


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ir

 こちらに見るように、ロシア・インド首脳会談を総括する共同声明で、両国が2030年までに往復1,000億ドルの貿易額を達成するという目標が示された。では、現状どうなっているかというのを、上図のとおりグラフにしてみた。なお、これはインド側の統計にもとづくものであり、出所は国際貿易センターである。

 まあ、確かに2023年の時点で657億ドルなので、2030年に1,000億ドル達成というのは、難しい目標ではないかもしれない。しかし、インド・ロシア貿易は2022年以降急増し、しかもインド側の輸入だけが激増するといういびつな形で進んでいる。これは言うまでもなく、ウクライナ戦争後にインドがロシア産石油の爆買いを始めたからである。

 その結果、2023年の時点でロシアはインド第2の輸入相手国に躍り出た。だが、インドの輸出相手国としてロシアはあまりにショボい存在であり、2023年の時点でシェア0.9%、順位30位にすぎない。

 石油相場が高騰でもすれば、来年にでも1,000億ドル突破は可能かもしれない(価格上限制は有名無実化する可能性がある)。ただ、それが両国がバランスのとれた経済関係を発展させていることを意味するかと言えば、答えは否であろう。


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1872

 ロシアが、ウクライナで盛大な破壊・殺戮行為を行うのと並行して、自国のインフラ整備を進めるというのはシュールな構図だが、一連の高速鉄道計画のうち、パイロットプロジェクトと位置付けられるモスクワ~サンクトペテルブルグ路線に関し、色々と動きがあったので、整理しておく。

 こちらの記事によると、同路線の建設・運営、車両の開発に関するコンセッション契約が、期間40年で結ばれた。

 また、7月8日のこちらの記事によると、M.ミシュスチン首相が、同路線の建設作業が開始されたと発表した。

 他方、車両はスヴェルドロフスク州のウラル機関車工場というところで開発・生産されることになっているが、こちらの記事によると、同工場で新たな2棟の作業所の建設が始まった。


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ak

 こちらの記事が、ロシアのダイヤモンド採掘企業「アルロサ」の、興味深い動きを伝えている。正確に言うと、アルロサの100%子会社「アルマズィ・アナバラ」による取引であるが、マガダン州の金鉱を取得したということである。

 記事によると、このほどアルマズィ・アナバラは、金採掘大手のポリュス社より、「マガダン地質調査会社」を買収した。同調査会社は、マガダン州のデグデカン金鉱の開発ライセンスを有している。取引は6月21日に完了した。買収額は明らかになっていない。

 ポリュス社としては、社運を賭けたスホイログ金鉱の開発に自社の資源を集中したいという思惑から、今回マガダン地質調査会社の売却を決めた。デグデカン金鉱は1940年代に発見され、1950年代から採掘が始まったが、その後採算が取れず、開発が停止されていた経緯がある。

 一方、アルロサ側は、サハ共和国でのダイヤモンド採掘に付随して、これまでも副産物として金も採掘してきた。子会社のアルマズィ・アナバラは、2016年に金およびその他貴金属の付随採掘ライセンスを取得した。その経験を活かし、新たに金鉱を取得すれば、追加的なシナジー効果が得られると判断した。2023年12月にG7がロシア産ダイヤモンドの禁輸を決めたこともあり、アルロサとしては金その他の新分野に事業を多角化することによって、経営を安定させたいという狙いがあると見られると、記事は伝えている。


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pcs

 ロシアで販売される乗用車を、ロシア、中国、韓国、日本、欧米のブランドに分けて、その推移を示すこうしたグラフを、以前は毎月更新して発表していたりしたが、最近はやっていなかった。ちょっと用事があり、今般2021~2023年のグラフをまとめたので、お目にかける。図を作るだけで労作だったので、今日はこれで勘弁していただきたい。一点だけコメントすれば、2023年に中国ブランドが勢い余って地元ロシア・ブランドまでわずかながら追い抜いてしまったのが、やはり最大の注目点だろう。


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 これは制裁とかとはあまり関係がなく、むしろ国際市況の影響が大きいが、昨年の後半くらいからロシアの石炭輸出はずっと不振である。こちらの記事が最新事情を伝えているので、以下要点を整理しておく。

 記事によると、ロシアの海運による石炭輸出は、2024年1~6月期に7,910万tとなり、前年同期比16.8%低下した。なお、ロシアの石炭輸出の9割ほどは、海運によるものである。

 石炭輸出の減少は、世界市場での石炭価格の下落と、ロシア南部タマニ港のOTEKO社ターミナルへの供給制限に加え、為替連動輸出関税の影響によるものである。

 為替連動輸出関税は、昨年10月に初めて設定され、今年1月に停止されたが、3月に再開され(2025年2月28日まで有効の予定)、5月に再び8月31日まで停止されるという複雑な経緯をたどった。関税率は、1ドル=80~85ルーブルでは4%、1ドル=85~90ルーブルでは4.5%、1ドル=90~95ルーブルでは5.5%、1ドル95ルーブル以上の場合は7%となっている。

 OTEKOターミナルの石炭出荷の停止は、石炭会社が冬に供給をボイコットし、積み替えサービスの料金引き下げを求めたことによる。2024年1月、OTEKOの料金は1t当たり38ドル程度であった一方、他のターミナルの料金はもっと低く、ノヴォロシースクでは14ドル、トゥアプセでは15ドル、タガンログでは11ドルであった。4月にOTEKOは18ドルへの値下げに応じた。

 2023年のロシアの石炭生産量は前年比1.1%減の4億3,870万t、輸出量は3.9%減の2億1,250万tとなった。2024年4月にS.モハルニコフ・エネルギー次官が述べたところによると、ロシアの供給量のほとんど、83%(1億7,500万t)はアジア太平洋諸国に供給された。2024年の石炭生産と輸出は、前年と同レベルを維持するはずだと、次官は述べた。同時に次官は、ロシアの東部、北西部、南部における鉄道キャパの限界が石炭輸出の増加を妨げていると指摘した。アナリストのM.フダロフによると、年末までに石炭価格が改善することは考えにくいという。


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 こちらの記事が、ロシアの欧州向けパイプラインガス輸出が持ち直し、2024年上半期に前年同期比27%増を記録したということを伝えているので、以下要点だけ整理しておく。上図も、同じ記事に添付されていた月別のガス輸出量である。

 ロシアの全ルートによる欧州(EU諸国およびモルドバ)向けパイプラインガス輸出は、2024年1~6月に前年同期比27%増となり、154億立米となった。6月単月では23%増の25億立米であった。

 上半期のウクライナ領経由の輸出は前年同期比11%増の77億立米であった。トルコストリーム経由の輸出は前年同期比50%増の77億立米であった。

 このように、ウクライナ経由は増加したが、ガスプロムとナフトガスの輸送契約によれば、年間400億立米の輸送が取り決められているので、現状その水準よりも低い。


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 戦争にもかかわらず、ほぼほぼ平常運転を続けるロシアの国民生活だが、しばらく前から表面化していた問題として、ガソリンと卵の品薄および値上がりがあった。このうち、卵に関しては昨年暮れにロシア政府がアゼルバイジャンとトルコから関税免除で緊急輸入することを決めたと報じられた。しかし、こちらの記事によると、実際にロシアへの卵供給量が最も多かったのは、ベラルーシだったようである。

 記事によると、2024年上半期に、ロシアはベラルーシ、アゼルバイジャン、トルコから4億4,770万個の卵を輸入した。うち、ベラルーシが3億6,300万個、アゼルバイジャンが4,650万個、トルコが3,820万個だった。ベラルーシからの輸入は、前年同期の2.4倍に上った。なお、卵の輸入関税は、アゼルバイジャンについては2023年11月から、トルコについては2023年12月29日から免除されている(ベラルーシとは関税同盟なので最初から輸入関税なし)。


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bc

 当ブログでもしばらく前に何度か取り上げたロシアの高速鉄道整備構想。その第一弾となるモスクワ~サンクトペテルブルグ路線に関し、こちらの記事でその建設費が伝えられたので、要旨を記しておく。

 記事によると、このほどI.オクラドニコヴァ財務第一次官がタス通信のインタビューに応じ、モスクワ~サンクトペテルブルグ高速鉄道の建設費は、現時点では1.8兆ルーブルに設定されていると述べた。

 「建設工事の総費用は、現在1.8兆ルーブルとされている。また、コンセッション契約の外で行われるが、ビジネスモデルに直接影響する、より大きな運営費もある。財務省は、財務モデルを設定する命令案に合意した。このプロジェクトは高額で、とりわけ経済状況に左右される。そのため、国のすべてのリスクに保険をかけ、コンセッション業者の権利を侵害しないようにした。最近、コンセッション権者であるロシア鉄道とズベルが参加し会議が開かれた。我々はすでに、コンセッション契約書の各条項についての文書を作成している。今週、我々は意見の相違を解決し、コンセッション契約そのものを完成させようとしている」と、第一次官は述べた。


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 こちらの記事によると、先日6月26日に、ロシア連邦議会の下院が、政府の提出した2023年の連邦予算執行報告を承認したということである。

 それによると、2023年の連邦財政の歳入は29兆1,240億ルーブル(対GDP比16.9%)、歳出は32兆3,530億ルーブル(同18.8%)、収支は3兆2,290億ルーブルの赤字であった。歳入のうち23兆4,550億ルーブルが税収、5兆2,240億ルーブルが税外収入であった。


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 こちらの記事が、先日決まったEUの第14次対ロシア制裁パッケージで、初めてロシアの「影のタンカー船団」が制裁対象になったということを伝えているので、以下抄訳しておく。

 記事によると、西側の制裁を回避して石油を輸送するためにクレムリンが編成した「影の船団」が、初めてEUの制裁対象になった。今後、27の船舶(うち19はタンカー)と、LNG再ガス化浮遊施設は、EU港湾に寄稿したり、EU企業にサービスを提供することはできなくなる。

 石油タンカーに加え、軍事装備を積んだ船舶も制裁の対象となった。その中には、昨年秋以降、北朝鮮からロシア極東の2つの港に砲弾やミサイルを運んでいたコンテナ船4隻(マイヤ1、アンガラ、マリヤ、レディR)も含まれている。

 欧州理事会によれば、プーチンの影の船団は、ロシアの石油と石油製品の「価格上限」を回避するために利用されており、「国際基準を完全に無視した」詐欺的な会場輸送にも関与している。

 5月にエネルギー・大気浄化研究センター(CREA)が発表したところによると、ロシアから輸出される石油と石油製品の60%は、価格上限を守らず、欧米の保険に加入していない影の船団のタンカーによって運ばれていると推定される。彼らの保険は、災害や油流出の費用をカバーするには不十分である可能性が高く、この場合、バルト海や黒海の港から航路の大半を通過するヨーロッパ諸国がその損害を被ることになるとCREAは指摘している。

 原油の場合、5月にロシア航路を運航した286隻のタンカーのうち、213隻(74%)が影の船団に属していた。これらの船の平均船齢は17年で、25%が20年以上、1隻が37年間運航していた。

 デンマーク外相は先週、これらのタンカーは環境上の脅威であり、「国際問題」になっていると指摘した。外相によれば、デンマーク当局はバルト海における影のタンカーの移動を制限する可能性について議論している。デンマークはEU加盟国と関連した交渉を行っているという。


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ow

 ロシアの石油精製業は、ガソリンが品薄で輸出が禁止されたり、ウクライナに製油所を攻撃されたりして受難が続いているが、こちらがロシアにおける石油製品の最新の生産動向を伝えている。ちなみにロシア統計局の原データはこちら

 それによると、2024年1~5月のロシアのガソリン生産は350万tに留まり、これは前年同期比実に28.9%もの低下であった。軽油の生産は3,590万tで、こちらは前年同期比2.1%減と、落ち込みは軽微であった。なお、5月単月では、ガソリンの生産は前年同月比8.6%増であった。


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 昨日に続いて、ロシア産ダイヤモンドに対する制裁の話題になる。こちらの記事によると、ロシアのA.モイセエフ財務次官が、EUがダイヤモンド制裁を実質骨抜きにしたのは不可避だった旨コメントしたということなので、以下発言要旨を整理しておく。

 今般EUがロシア産ダイヤモンドに対する制裁を実質的に弱めたが、そもそも西側諸国の提案は第1に現段階では実行不能であり、第2にこうした新植民地主義的政策はロシアだけでなくすべての西側市場参加者の権利を侵害するものであったわけで、今般のEUの軌道修正はそれを裏付けるものとなった。したがって私は、今回の実質制裁緩和は必然だったと考えている。彼らがしたことは、「悪いロシア」と戦うという口実の下で、実際には世界のすべての国でダイヤモンド産業全体を管理下に置き、新植民地主義的慣行に戻ろうとするものだった。ダイヤモンドの追跡システムが2025年3月1日から有効に機能するに関して言えば、成り行きを見守るが、機能はしないのではないかと思っている。モイセエフ次官は以上のように述べた。


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1862

 こちらの記事によると、今般決まったEUの第14次対ロシア制裁パッケージで、ロシア産のダイヤモンドに対する措置を明確化したということなので、以下要旨をまとめておく。

 EUは、第14次制裁パッケージの一環として、第12次制裁パッケージで合意されたロシア産ダイヤモンドの輸入禁止措置の詳細を明らかにした。特に、第三国で加工されたロシア産ダイヤモンドを使用した宝飾品の購入禁止を、延期することになった。EU理事会が、この措置を実施するためにG7内でとられた行動に照らして、禁止措置を発動することを決定するまで、無期限に延期される。

 この制裁措置は、EUまたは第三国(ロシアを除く)にある研磨済みダイヤモンド、あるいはロシア産ダイヤモンドの輸入禁止措置が発効する前に第三国でカットされた研磨済みダイヤモンドには適用されない。これはいわゆるグランドファーザー原則と呼ばれるものである。

 第14次パッケージの一環として、EUは早期登録期間を6ヶ月間(2025年3月1日まで)延長し、その後は、原石および研磨済みダイヤモンドの輸入追跡スキームが義務付けられる。また今回、見本市や修理のための一時的な宝飾品の輸出入も認められることになった。


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rkb

 このブログでは過去にも、中国と欧州の間を鉄道コンテナ輸送で結ぶ「中欧班列」というプロジェクトについてお伝えしている。この輸送は、大部分が、カザフスタン~ロシア~ベラルーシというルートを辿る。そして、この3国部分の輸送を担うために3国の国鉄の対等出資で設立されたのが、「ユーラシア鉄道アライアンス」という合弁である。同アライアンスによる中国⇔欧州の輸送データを整理していたところ、興味深いことに気付いた。上図に見るとおり、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻開始後、中国⇔欧州間のトランジット輸送は大きく低下し、政治・安全保障上の理由で顧客離れが起きていることをうかがわせた。ところが、今年に入り、一転して、輸送量は再び拡大に転じていたのである。

 その際に鍵になるのは、海上運賃との兼ね合いである。中国⇔欧州間の貨物輸送は、海運が主流だが、海上運賃が値上がりすると、中欧班列の価格競争力が相対的に高まる。そこで上図では、中国から欧州向けのコンテナ海上運賃の指数も、赤線で複合的に示した。中国⇔欧州間の鉄道コンテナ輸送量は、かなりの程度海上運賃と比例しており、したがって2022年後半以降の中欧班列利用低下は、政治・安全保障の要因に加えて、海上運賃が下がったので、中欧班列の利用価値が下がったという面が大きかったと考えられる。それが、2024年に入り紅海危機で海上運賃が高騰し始め、顧客が中欧班列に戻ってきたというのが真相であろう。


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 こちらの記事によると、ロシアが大麦の輸出で世界一になる見通しだという。

 記事によると、このほどロシアのO.ルト農相が、2023/24年度の結果として、ロシアが大麦の輸出で世界一になる見通しだと述べた。農相によると、大麦は従来は主力とは言えない輸出品で、主にロシア国内市場向けだったが、今年度は輸出で躍進を果たしている。なお、これに先立ち連邦センター「アグロエクスポルト」は、2024年1~5月のロシアの大麦輸出が300万tを超え、前年同期の2.1倍に上ったと発表していた。


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 我が北大スラ研が他2団体と共催する形で、7月11日に三者共催ロシアセミナー 「急変する国際環境下のロシア極東・シベリア」が開催されます。服部は「なぜ今、ロシア極東・シベリアを問うのか?」という講演を予定。北大の会場で対面でご参加もいただけますが、ZOOMでの視聴もできますので、奮ってお申込みください。


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 以前、「北大で発見 幻の(?)ロシア貿易統計集を読んでわかること」というコラムを発表した。ウクライナ侵攻開始後、すっかり秘密主義と化したロシアが、通関統計集の刊行も止めたのかと思いきや、北大の図書館にシレっと入荷していたという話だった。

 そして、今般気付いたのは、以前からこの通関統計集を日本で翻訳出版してきたジャパン・プレス・フォトが、くだんの2022年版もこの春に無事出版したということだ。少々値は張るが、研究やビジネスに必要という向きは、普通にAmazonや楽天でも買えるので、お試しください。

 さて、問題は、ロシア税関がこのように紙の通関統計集を今後も出してくれるのかということなのだが、それについては再び怪しくなっている。というのも、北大の図書館には昨年8月に、2022年年報と、2023年第1四半期報までが入荷したのだが、それ以来、入荷がぱったりと途絶えてしまったからである。プーチン政権が税関に、「何やってんだ!」とお灸をすえたのではないかという気がしている。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年7月号のご案内。7月号は、「世界需給に影響を及ぼすユーラシアの資源」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 服部は、今回は短い連載記事のみで、特集の枠内で「対ロシア・ダイヤモンド制裁の効果のほどは?」を、枠外で「中銀資料にみるウクライナ経済の現況」を寄稿しました。


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 ブルームバーグが、こちらの記事で、西側の多くの大企業がロシアからの撤退を表明しながら、実際にはブランド名を変えたりしつつ実質的にロシアビジネスを続けている旨を伝えている。そして、その代表例として、清涼飲料を取り上げている。なお、ブルームバーグは有料購読者しか読めないが、ロシアのタスがこちらで記事の要約を伝えているので、ロシア語読める方はそちらでどうぞ。

 記事では、そうしたなんちゃってロシア撤退の事例として、Coca-Cola Co.、PepsiCo Inc.、Danone、Carlsberg S.A.、Benetton Group、Auchanなどを挙げている。

 そして、上の図に見るように、撤退を表明したコカ・コーラの代わりに、実質的にそれを引き継ぎ外観も酷似したドーブルィが伸びている。ペプシも、ペプシコーラの代わりにEvervessを出すなどして、実態はあまり変わっていない、という。


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 ロシアのインフレ率のグラフを毎月更新して紹介しているのだが、先月はタイミングを逸して出しそびれたようだ。ロシア統計局のこちらのページで4月の数字が、こちらのページで5月の数字が発表されたので、まとめて取り上げる。

 まあ、そんなに大きな変化はないのだが、4月の前月比は0.50%増、前年同月比は7.84%増、5月の前月比は0.74%増、前年同月比は8.30%増だった。

 食料品・非食料商品・サービスに区分してウクライナ侵攻後の推移を見たのが下図であり、最近はサービスの伸びが目立っている印象だ。プーチンが選挙という山場を越えたということで、7月に公共料金の引き上げがあるはずであり、それでサービス物価がどれだけ上がるかが、当面の最大の注目点である。

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 先日刊行した『ロシア極東・シベリアを知るための70章』の販売促進のために、「じんぶん堂」というサイトに、「ロシアという大いなる謎をシベリア・極東から読み解く」と題する小文を寄稿しましたので、よかったらご覧ください。


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 Yahooに出た「プーチン氏、ウクライナに4州からの軍撤退要求-和平の条件提示」という記事に、コメントした。

 その際に、現時点で実際にロシアが当該4地域のどれだけを占領し支配しているのかを確認したいと思い、調べたところ、こちらの記事が一番分かりやすかったので、それを使った。併合手続きから1年を経た昨年9月30日現在の状況を示したものであり、その後ドネツク州でロシア側が若干支配地域を広げたりしたことはあったと思うが、まあそんなに大きな変化はないはずだ。

 この資料によれば、ロシア側が占領していたのは、ルハンシク州の99%、ドネツク州の58%、ザポリージャ州の72%、ヘルソン州の82%ということだった。ただし、ヘルソン州に関しては、テキストでは82%としながら、上掲地図のように、図中では81%になっている。

 なお、Yahooのコメントに「参考になった」をいただけると、励みになります(笑)。


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 こちらに見るように、このほどロシアの経済メディアのエクスペルトが、ロシアの諸地域(連邦構成主体)の経済健全性ランキングと称するものを発表した。ロシアが編入を主張しているクリミア共和国、セヴァストポリ市までを含めた85地域を対象に、様々な経済指標を総合して、各地域の経済健全指数を弾き出して、ランク化したものだ。地域の経済健全性ランキングというのは個人的に初めて見たので、興味を覚えたが、結論から言うとあまり面白みはない結果となった。

 85地域のうち、上位20地域を見たのが、上表である。上からサンクトペテルブルグ市、モスクワ市、ヤマル・ネネツ自治管区、サハリン州、ハンティ・マンシ自治管区、タタルスタン共和国、サハ共和国、モスクワ州、レニングラード州、チュメニ州と並んでいて、ここまでがベスト10。ベスト10は、大都市圏か、資源地域ばかりだ。ただ、11~20位は若干様相が変わり、工業地帯と、なぜか極東の諸地域が並んでいる。

 逆に、ワースト20が下表のとおり。ビリから順に10地域だけ見ていくと、イングーシ共和国、カラチャイ・チェルケス共和国、トゥヴァ共和国、北オセチア共和国、チェチェン共和国、カルムィク共和国、モルドヴィア共和国、マリ・エル共和国、クルガン州、ダゲスタン共和国と続いており、ほぼほぼ民族共和国で、しかも辺境のムスリム系が目立つ。

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