ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: その他の国

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 上の画像があまりにも良かったので、こちらの記事を取り上げたくなった。キルギスの対外債務、なかでも対中国債務の問題を取り上げたものである。

 記事によると、キルギスでは対外債務の問題は常に意識されてはいたが、このところ中国に対する債務が増大し、それが喫緊の問題になっているという。確かに、下のグラフに見るとおり、キルギスの公的対外債務(黒の線)は過去10年ほどで目立って増大しており、それは中国輸出入銀行に対する債務(赤の線)の拡大と見合っている。

 これに関し、現状で債務はGDPの48%の水準だが、危機的水準は80%なので、今のところそれまでには至っていないと、S.ムカンベトフ経済相が発言した。また、「このままでは中国への債務を支払えなくなり、領土で払うはめになるのではないか」との憶測が飛び交う中、K.ボロノフ副首相は、我が国はしかるべく支払を行うと、その不安を打ち消す発言をした。

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 こちらのサイトに出ていた情報が、なかなか興味深かった。ロシアがどんな国と自由貿易圏(FTA)の関係にあるかを整理したものである。なお、ユーラシア経済連合のパートナであるベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニアとは、ロシアはFTAよりももっと進んだ関税同盟の関係にある。

 上記資料によれば、ロシアがFTAの関係にある相手国には、3つのパターンがあるということである。

 第1に、ロシアが加盟するユーラシア経済連合がFTAを結んでいる相手であり、ベトナム、イランがこれに該当する。

 第2に、ユーラシア経済連合には加盟していないが、2011年調印のCIS自由貿易協定に参加した国であり、ウクライナ、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタンがこれに該当する。もっとも、ロシアはウクライナ、モルドバがEUと連合協定を結んだことへの実質的な報復としてウクライナおよびモルドバ産品に対する関税を勝手に復活させているわけだが。

 そして、第3に、かつてロシアが二国間FTAを結んだ相手国であり、ジョージアとセルビアがこれに該当するということである。ただし、セルビアに関しては先日、ユーラシア経済連合とのFTAが調印されたので、それが発効すれば、この第3の枠組みが該当するのはジョージアだけということになる。なお、今年初めに私がGUAMの会議に参加した際に、アゼルバイジャンの代表者が、我が国とロシアの間には二国間FTAが成立していると主張していたが、今回の資料を見る限り、アゼルバイジャンの名前は見当たらない。

 ロシアとジョージアの二国間FTAは、1994年に成立したということである。こちらの協定がそれであろう。ロシアはワインなどジョージアのデリケートな品目を狙い撃ちにして、通商制限措置を採ることが多いので、この二国間FTAがどれだけ実効性があるかは微妙なところだが、いずれにせよ政治的には敵対関係にある両国が一応経済面では形の上ではFTA関係にあるということは、頭に入れておいて損はないだろう。

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 恥ずかしながら、アルメニアの鉄道に関して、これまで個人的に認識していない点があった。安直ながら、ウィキペディアのこちらこちらのページによると、2008年からアルメニア鉄道はコンセッション契約により、ロシア鉄道に経営が委ねられているということである。2008年2月13日にエレヴァンにおいてロシア鉄道とアルメニア側とのコンセッション契約が期間30年で締結され(延長の可能性もあり)、ロシア鉄道が設立した100%現地法人の「南カフカス鉄道」がその経営に当たっているということだ。

 ただし、契約から十余年を経過し、このコンセッション契約は必ずしも上手く行っていないようである。南カフカス鉄道側が投資や納税の義務を怠っているとしてアルメニア側が不満を示せば、ロシア側も2019年9月になって運輸省が本来の契約期限前の撤退の可能性をほのめかすなど、隙間風が吹いている。

 他方、アルメニアは敵対的な国と隣接する内陸国であり、鉄道の国際路線が発達していないという問題がある。ソ連崩壊後、対立するトルコ、アゼルバイジャンとの鉄道路線は廃止された。現時点では、アルメニアの国際鉄道路線は、ジョージアのトビリシに伸びるものだけである。他方、以前は、トビリシからさらにアブハジア経由でロシアまで行けたものの、現在はジョージアとアブハジアの敵対関係により寸断されている。ロシア鉄道としては、子会社を作ってアルメニアにテコ入れしても、ロシア~アルメニア間は鉄道では繋がれていないということになっているわけである。

 そうした中、こちらの記事によれば、先日ロシア鉄道のベロジョーロフ社長とアルメニアのパシニャン首相が会談し、両者の協力拡大で合意、特に黒海をフェリーで運航することを検討することになったという。詳しいことは書かれていないが、要するに、エレヴァンからトビリシに向かった列車が、黒海沿岸の港(おそらくポチあたり)に進み、そこからフェリーで黒海を通り、ロシアのクラスノダル地方のいずれかの港に着いて、アルメニアからロシアまでの一貫輸送を実現しようということだと思う。

 さらに、こちらによれば、両者は南カフカス鉄道の業務を「正常化」する問題についても討議したという。「正常化」ということは、近年それだけただならぬ状況に陥っていたということなのだろう。


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 当ブログでは先日、ウズベキスタンがユーラシア経済連合加盟を検討しているとの情報をお伝えした。こちらの記事が、続報と、専門家のコメントを伝えているので、簡単にまとめておく。

 マトヴィエンコ・ロシア上院議長が本件について発言した2日後、ウズベキスタン側のサファエフ上院議長が記者会見でこの問題について発言した。サファエフ議長によれば、マトヴィエンコ発言には特に驚くべきことはなく、というのもウズベキスタンがユーラシア経済連合に加盟するという計画はウズベキスタンにおいて過去3年間検討されていたものだからである。ただし、決定を下すためには、まず詳細な分析が必要である。これに関して、外部からの圧力などはなく、ウズベキスタンという国もミルジョエフ大統領も圧力に屈したりはしない。ウズベキスタンはプラスとマイナスをすべて考慮してプラグマティックに決める。たとえばEUなどはユーラシアよりずっと進んでいるが、EUでは一部の国家主権を移譲しなければならないのに対し、ユーラシアではそれがないので、我々が決定を下す際にはそうした側面を重視すると、サファエフ議長は述べた。他方、ロシアのムハメトシン上院国際問題委員会委員長は10月7日、ウズベキスタンは2020年にユーラシアのオブザーバーになる可能性があると発言している。

 上掲の記事に掲載されている専門家のコメントは以下のとおり。まず、「ユーラシア・エクスパート」のS.レケダ氏によれば、ウズベキスタンがユーラシア統合に参加するにしても、それは段階的なものとなろう。仮に加盟という決定があるにしても、現時点で一気に正加盟ということにはならない。ウズベク側はまずはオブザーバーという資格を選ぶかもしれない。様々な協力形態がありえるし、理論的にはFTAもありうる。ウズベクにとってユーラシア入りは貿易障壁の撤廃、労働移民の条件改善に加え、長期的には何らかの地経学的なブロックに加わることによって近代化が触発されるという効果を持つ。

 一方、サンクトペテルブルグ国立大のYe.トレシチェンコフは、ウズベキスタンのユーラシア経済連合入りといった話は時期尚早であって、事務局のユーラシア経済委員会抜きで議論することは無意味であり、同経済委のレベルで専門家グループを設置しなければ具体的な議論は始まらないとコメントした。


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 ユーラシア経済連合の話題が続いて恐縮である。ユーラシアとイランの間では、2018年5月に暫定FTAが締結され、それが本年10月27日に発効することになっている。それで、こちらの記事によると、イランとしてはそれに飽き足らず、ユーラシア経済連合の加盟国になることに前向きな姿勢を示しているということである。このほどイランのエネルギー相が、テヘランで記者団に対して、「ユーラシア経済連合はイランに対して、正式な加盟国になるための3年間の期間を与えた」と発言したという。

 ユーラシア経済連合は、旧ソ連諸国による経済統合を想定した統合機関であり、実際に現加盟5か国もすべて旧ソ連諸国。もし仮にイランの加盟が実現すれば、ユーラシアにとってまったく新たな展開となる。

 しかし、こちらの記事によると、ユーラシア諸国、特にカザフスタンは、イランを加盟国として受け入れることに後ろ向きである。FTAはともかく、米国の厳しい制裁下にあるイランを正式加盟国として受け入れるようなことは時期尚早である。イランが加盟すれば、ユーラシア経済連合が政治化し、反西側同盟のように映ってしまい、このことは石油輸出先や生産プロジェクトで欧米に依存するカザフスタンにとってまずい事態だからである。カザフ国内にはユーラシア懐疑派がおり、イランの加盟はそうした風潮を強めることになる。


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 カリモフ時代には独立独歩の外交路線を歩み、ロシア主導のユーラシア経済連合に加入する素振りも見せなかったウズベキスタンだが、ミルジョエフ現大統領になってからは、ロシアとの協力にも割と前向きになってはいた。そうした中、こちらの記事が伝えるように、ウズベキスタンがユーラシア経済連合加入を検討しているという情報が、唐突に伝えられた。タシケント訪問中のロシアのマトヴィエンコ上院議長が10月2日にその旨を明らかにしたものである。

 また、こちらの記事によれば、ユーラシア経済連合側は、仮にウズベキスタンが加入した場合の条件、リスクなどを検討する作業を2019年末までに終える予定ということであり、これもマトヴィエンコ議長が述べた。ユーラシア側は検討のための作業部会を設け、ロシア政府ではシルアノフ第一副首相が代表を率いるということである。マトヴィエンコ議長は、「ウズベキスタンの大統領は、経済統合組織への参加は今日の現実であるということを理解している。最終決定を下す前に、本格的な条件分析、経済に害がないかどうか、雇用に影響がないかを分析することが大事だということを、彼は正しく理解している」と述べた。さらに、マトヴィエンコ議長によれば、CIS集団安保機構も、ウズベキスタンの復帰の問題につき検討する用意があるということである。

 以上が、報道の伝えるところである。きわめて注目に値することは間違いないが、個人的には今のところ本件が本当に進展するかについては、半信半疑だ。ウズベキスタンの首脳ではなく、ロシアの政治家(しかもマトヴィエンコという微妙な立ち位置の人物)が表明したというところが気になる。


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 GLOBE+に、「インドと比べればロシアも普通? 2つの新興大国の関係と比較」を寄稿しました。

 先日のウラジオストクにおける東方経済フォーラムでは、初登場したモディ・インド首相が完全に主役となり、ロシア・インドの経済協力が大いにプレーアップされました。今回のコラムは、それに触発され、昨年12月に行ったインドでの調査の雑感を述べたものです。


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 GLOBE+に、「旧ソ連諸国の国名をめぐるモヤモヤが止まらない」を寄稿しました。先日ブログでも触れた例の「ウクライーナ」の話題を、改めて論じてみました。


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 カザフスタンとウズベキスタンは、中央アジアの盟主の座を争うような間柄であり、大々的に対立しているわけではないが、波長の合わない時代が長く続いてきた。しかし、ウズベキスタンでカリモフ大統領が死去してから3年が経過しようとしており、同国は経済面で改革開放に着手するなど、だいぶ風向きが変わってきたのであろう。カザフスタンとの関係拡大にも、より前向きになっているのかもしれない。

 こちらのニュースが、そんな両国関係の拡大、とりわけ交通・観光分野での協力について伝えている。駐カザフ・ウズベク大使がインタビューに応じたということであり、その内容を伝える記事である。

 大使いわく、特に観光面での協力について述べておきたい。両国への観光客の流入を数倍に拡大するような観光クラスターの形成を提起したい。シルクロードの歴史を学ぶためにウズベクを訪れたような人々が、カザフも訪れるようにすれば、シルクロードについてのより完全な理解が得られるだろう。その逆も然りである。ロシアには「黄金の環」というものがあるが、ウズベクとカザフは共同で「黄金の正方形」とでもいうべき観光ルートの整備を検討している。現在ヌルスルタン~タシケント間にはそれぞれ週6本の直行便が運行されており、アルマトィ~タシケント間では10本に上る。鉄道でもタシケント~アルマトィ~ヌルスルタン列車が開設され、バスもある。両国は経済面で相互補完的で、共同で中央アジア全域の協力な経済空間を形成できる。大使は以上のように語った。

 なお、大使が言った「黄金の正方形」というのは、1930年代から1940年代にかけてイラクで活動したイラク王国陸軍の4人の将校からなる集団「黄金の方陣」から名をとったものと思われる。


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 『週刊ロシア経済』(No.32、2019年7月15日)を配信しました。今回から、特定のトピックスを選び、それに関する情報を集中的にお伝えする方式に転換しました。初回は、「経済的観点から見たロシアとジョージアの反目」です。


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 既報のとおり、ジョージア情勢の緊迫化を受け、ロシアのプーチン大統領は6月21日付の大統領令で、7月8日からロシアのエアラインがジョージアに乗り入れることを禁止し、旅行会社にはジョージア旅行を取り扱わないよう勧告した。

 こちらの記事によれば、このほどジョージア観光庁のM.クヴリヴィシヴィリ長官が、ロシア人観光客減の影響について語った。それによると、ジョージアは本年末までに100万人のロシア人観光客を失い、20億ラリ(7.1億ドル)の損害を受ける見通しである。2018年には140万人のロシア人がジョージアを訪れ、20億ラリをもたらしていた。2019年の見通しは170万人、25億ラリだった。なお、2018年にはジョージアを訪れるロシア人の過半数は陸路だったが、2019年1~5月には80%が空路を利用していた。ジョージアとしては、我が国が安全な旅行先であるという情報の発信に全力を尽くしていきたいと、長官は述べた。


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 商工中金経済研究所から発行されている『商工ジャーナル』という月刊誌がある。このほど、その「観天望気」というコーナーで、年1回の連載を開始することになり、7月1日に発行される7月号にその第1回を寄稿した。

 第1回は、「経済制裁と貿易戦争の横行する世界」と題し、ここ数年の世界経済がすっかり制裁と貿易戦争によって撹乱されていることを憂う内容だった。そして、そんな世界の中で見られる例外的現象を紹介するという意味合いで、末尾をこんな風に結んでしまっていた。

 ジョージアは、2008年8月にロシアとの軍事衝突に直面した。ジョージアは国土の一部を実質的に喪失し、両国の外交関係は今もって断絶したままである。しかし、両国の経済関係は、2013年から正常化している。今や、両国首都間を多くの直行便が飛び、ロシア人観光客が急増して、ジョージアは世界で最も急成長している観光立国となっている。

 言わば、名を捨て実を取ったジョージア。案外その方が、安全保障上の問題の解決にも近道なのではないか。

 旧ソ連地域の情勢に関心をお持ちの方であれば、この記述がここ数日間で完全に陳腐化したことをご存知であろう。6月20日にジョージアの首都トビリシでキリスト教東方正教会の議員連盟会合が開催され、その際にロシアの議員が議長席に座りロシア語で発言してしまった。悪いことに、S.ガヴリロフというその議員は、2008年のジョージア・ロシア戦争で重要な役割を担った人物だった。これにジョージアの野党議員が反発しただけでなく、議会の外では市民の抗議デモが発生し、いつしかそれは反政府デモの意味合いを強めた。トビリシが騒乱状態となったことを理由に、ロシア当局は22日、ロシアからの航空機をジョージアに乗り入れることを7月8日から禁止すると発表。また、ロシア消費者庁は24日、ジョージア産ワインに品質上の問題を発見したとして、輸入規制を強化することを発表した。

 観光とワインは、ジョージアがロシアに経済的に依存している2本柱である。それを制限することは、実質的に経済制裁の発動に他ならない。私がコラムで書いたことは、吹き飛んでしまった。

 文章を書くことは恥をかくことであり、増してや国際情勢を対象としていれば、書いたものがすぐ古くなってしまうということは、よくある。しかし、『商工ジャーナル』の「観天望気」は、大所高所の議論を披露してほしいとの注文だったので、私なりに工夫を凝らし、ジョージアの話も括目すべき新潮流として取り上げたつもりだった。それが裏目に出て、連載1回目に、出た瞬間に古びている文章を書いてしまうとは。ここ何年か続いていたトレンドが、よりによって私のコラムが脱稿した直後に、ひっくり返ってしまうとは。ジョージア情勢の急変自体が個人的にショックだったが、自分自身の間の悪さが重なり、絶望的な気持ちになってしまう。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2019年6月号の中身を、どこよりも早くご紹介。令和最初の号ですが、毎年6月号は、ロシア以外のNIS諸国をまとめて詳しく取り上げることが恒例となっており、今回もNIS総論特集となっております。その際に、ここ1年あまりの間に、NIS諸国は重要な選挙があったり、大統領・首相が代わったりしているところが多いので、その点に着目して「特集◆転換点に差し掛かるNIS諸国」と題してお届けしております。それにしても、3月にナザルバエフ・カザフスタン大統領が突然「終活」を始めたのには驚きましたが、今回、宇山智彦先生にご寄稿いただいた論考は、この問題に関する決定版とも言うべき考察になっております。

 私自身は、「2019ウクライナ大統領選挙の顛末 ―異例の政権交代はなぜ起きたのか」、「第4期プーチン政権下の政策進捗状況」というレポートを書いたほか、2018年のロシア・NIS諸国全般、ウクライナ、ジョージアの経済パフォーマンスについてのレビューを執筆。

 本来の発行日は5月20日ですが、今号は大型連休のしわ寄せで、4~5日ほど遅れることになりそうです。ご容赦ください。


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 こちらのサイトで、アゼルバイジャンの非石油部門の実質経済成長率というグラフが目に留まった。一般に産油国というのは、石油以外の産業も育てて経済を多角化しようとするものだが、アゼルバイジャンはすでに石油の生産がピークを過ぎたと見られるだけに、他の産油国以上に他産業の育成が急務である。しかし、現実には非石油部門の成長率は上図・下記のように推移しており、力強い成長とは言えない。

2014年:6.5%
2015年:1.0%
2016年:▲5.0%
2017年:2.8%
2018年:2.1%
2019年予測:2.8%

 これを見て浮き彫りとなるのは、アゼルバイジャンでは非石油部門が自律的に発展を遂げるというよりは、同部門もまた石油部門の好不調に左右されて浮き沈みしているということである。石油価格が底だった2016年には、非石油部門も5.0%のマイナスを記録した。これはつまり、アゼルバイジャンにおいては、石油部門がドナーとなって、同部門の収益が他部門に(主に政治的な裁量によって)投資されるという構図があるからだと考えられる。むろん、石油部門が他部門にとっての需要を創出するという側面もあるだろう。石油部門が衰退しても大丈夫なように他部門を育成したいのに、実際には石油がコケると他部門もコケるという、悩ましい状況にある。


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 深い意味はないのだけれど、IMFのデータにもとづき、最新の2018年のロシア・NIS諸国の国民1人当たりGDPを比較したグラフを作ってみたので、お目にかける。

 気付きの点としては、一時ロシアがカザフスタンを下回るような局面があったのだけれど、ロシアがだいぶ盛り返し、カザフスタンを抜いて再びこのエリアのトップに立った。ロシア・ルーブルがある程度持ち直したことが大きいだろう。

 アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージアの南コーカサス3国は、国としての方向性がかなり異なっているが、結果的にだいたい同じくらいの経済水準だというのが面白い。

 ウクライナが、モルドバをも下回り、欧州最貧という位置付けとなっている。実際にウクライナに行ってみると、そんなに身なりは悪くなく、高級自動車なども走っているわけだが、今や国外出稼ぎ労働が外貨の稼ぎ頭のようになっており、出稼ぎ収入はGDPには計上されないので(GNPにはされる)、それほど極貧ではないのに統計上の国民所得は伸びないということになる。

 今回最も目を引いたのは、ウズベキスタンであり、何とキルギスを下回ってしまった。ウズベキスタンは直近の経済パフォーマンスが悪いわけではないのだが、為替の自由化が通貨安に繋がり、ドル換算のGDPが急激に低下してしまったものだろう。


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 大丸東京店の「世界の酒とチーズフェスティバル」で、モルドバ、ジョージア、アルメニアのワインが展示されていたので、見に行ってきました。動画でレポートします。


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 このほど世銀は、2018年の世界各国のレミッタンス、すなわち国外での出稼ぎ等による外国からの個人送金額の推計値を発表した。データはこちらのページからダウンロードできる。概況に関する解説はこちらのページに出ている。

 この統計を使って、上表のとおり、私の関心地域であるロシア・NIS諸国のデータをまとめてみた。ロシア・NIS圏において、国外出稼ぎ労働は、エネルギー等の資源を持たざる国の現象と言える。世銀の解説では、2018年にウクライナのレミッタンス受入が特に大きく伸びたことを強調している。労働移民を受け入れる側のロシアの経済が一定の回復を果たしたことが、周辺諸国のレミッタンス受入額を拡大させる結果となったが、ウクライナの場合には、統計の方法論を変更したことも額が拡大した一因だという。

 下の図には、2018年のレミッタンス受入額がGDPの10%を超えている国を整理した。NIS諸国の部分を濃い赤で塗っており、特にキルギスやタジキスタンは世界屈指の出稼ぎ依存国であることが分かる。

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 必ずしも私の主たる研究エリアではないが、こちらの記事が、中国~キルギス~ウズベキスタンというルートの鉄道路線プロジェクトについて、キルギスの視点から伝えている。記事の大意はざっと以下のとおり。

 キルギス領を通過して中国とウズベキスタンを鉄道で結ぶという構想は1990年代半ばからあり、いくつかのルート案が検討された結果、上掲の地図のようなルートが選択され、2006年にキルギス政府も承認した。新たな路線は全長268kmで、山岳地帯ゆえに難工事が予想される。問題は、このルートにはキルギス自身にとってのメリットがなく、キルギスの貨物は輸送容量の5%程度にしかならず、どちらかというと中国とウズベキスタンの利益に奉仕する格好になることである。現在、キルギスにある鉄道路線は、カザフスタンおよびウズベキスタンと繋がる行き止まりの路線しかなく、国全体を結ぶような鉄道網が存在していない。キルギスにとっては、欧州化された北部と、伝統的でウズベク系住民が多く急速にイスラム化している南部との相克があり、国家的統合のためには国土を南北に繋ぐ鉄道の敷設が喫緊なのだが、そうした鉄道には逆に中国やウズベキスタンは興味を示さない。他方、中国は中国~キルギス~ウズベキスタン鉄道の敷設につき、中国と同じ狭軌を用いることを主張しており、それでは旧ソ連の広軌と併存し、新たな車両の導入などの負担が発生するので、キルギス、ウズベキスタン側は難色を示している。こうしたことから、キルギスはプロジェクトにロシアが参加してくれることを希望している。このほど開かれたキルギス・ロシアの政府間会合で、キルギス側がロシアに提案し、ロシアも前向きな姿勢を示した。ロシアにとっても、中国とウズベキスタンの主導するこのルートの建設は、ロシアの地政学的、軍事戦略的、経済的利益に反する。以上が記事の大意である。


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 オーストラリアが豊かな国だということについて、異論はないだろう。1人当たりのGDPの数字を見ると、だいたい世界で10位前後に位置付けられることが多く、日本をはじめとする下手なG7国よりも所得が高い。

 ただ、個人的には、素朴な疑問をずっと抱えていた。オーストラリアの輸出産業で有名なのは、穀物、石炭、鉄鉱石など。つまり、一般論としては付加価値が高いとは言えない一次産品が主力であり、産業構造としてはウクライナあたりとそっくりに思える。それなのに、ウクライナは欧州最貧レベルで、オーストラリアが豊かなのは、一体なぜなのか? そのような疑問を覚えていたのだ。

 それで、先日ある会合で、駐日オーストラリア大使館で商務官を務めている日本人の方と同席する機会があった。そこで、年来の質問をぶつけてみた。その方いわく、確かにオーストラリアは地理的・気候的な条件から一次産品に恵まれた「幸運な国」である。他方、製造業などはほとんど存立していない。ただ、オーストラリアの場合には、一次産品の上にあぐらをかくのではなく、経済を高度化させている。実はGDPの9割はサービス産業になっている。それゆえに、たとえば一次産品の価格が変動しても、それに左右される度合いは相対的に小さい、ということだった。


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 11月28日にジョージア大統領選の決選投票が行われ、女性候補のズラビシヴィリが59.5%を得票、40.5%に留まったヴァシャーゼに勝利して当選を果たした。投票率は56.2%だった。昨日のアゾフ海をめぐる問題と同様に、本件についても1ヵ月ほど前に講演で取り上げたので、その際にまとめたことをここにリサイクルさせていただく。

 そもそも、理解しておくべき重要な点がある。ジョージアでは2017年に憲法改正があり、新大統領が就任した時点でそれが発効する。大統領は実質的な権限がなくなり、完全な議院内閣制になる(大統領に残される権限で重要なのは恩赦程度)。大統領が国民の直接選挙で選出されるのは今回が最後で、2024年からは間接選挙に移行する。

 10月28日の第1回投票の結果、投票率は46.7%で、①ズラビシヴィリ:38.7%、②ヴァシャーゼ:37.7%、③バクラーゼ:11.0%などとなった。上位2名による決選投票にもつれ込んだ。

 今日のジョージアの政治体制は、2013年11月にサーカシヴィリ大統領が下野し、イヴァニシヴィリ氏率いる「ジョージアの夢」が「民主ジョージア」とともに権力を掌握して成立したもの。急進的すぎるサーカシヴィリ政権の手法への反発が強まった結果だった。イヴァニシヴィリはロシアの銀行業や冶金産業で財を成したジョージア随一の富豪。

 今回の大統領選で、与党の「ジョージアの夢」および「民主ジョージア」は、自前の候補は出さず、「無所属候補のズラビシヴィリを支援する」というスタンス。ただ、ズラビシヴィリは2016年の議会選でも与党の支援を受け小選挙区で勝利した経緯があり、「無所属」とは名ばかり。与党の狙いは、野党「国民運動」の大統領候補を勝たせないという点にある。野党候補(サーカシヴィリ時代の2008~2012年に外相を務めたヴァシャーゼ)が勝ち、2020年の議会選に影響したり、サーカシヴィリ元大統領に恩赦が与えられ同氏がジョージアに帰還したりすることを恐れている。

 新大統領に当選したのは、ズラビシヴィリ女史。1952年生まれの66歳。ジョージアからフランスに移住した移民の2世だったが、駐ジョージア・フランス大使を務めていた2004年、当時のサーカシヴィリ大統領に乞われ、シラク仏大統領の了解を得た上で、ジョージア外相に就任。しかし、サーカシヴィリ大統領と袂を分かち、わずか1年半ほどで解任され、以降は反政府側に回った。2013年の大統領選も出馬の可能性を探ったが、フランスとの二重国籍がネックとなり断念、今回の大統領選にはフランス国籍を放棄して臨んだ。

 ジョージアの主要政治勢力は、いずれも、EUとの連携を軸とした改革を志向している。その意味では、選挙結果によって、国の方向が大きく変わることはない。ただ、ズラビシヴィリが勝利した場合には、「ジョージアの夢」を中心とする権力構造が続いて安定し、ロシアとの一層の関係修復も期待できるのに対し、ヴァシャーゼが勝つと権力闘争が激化し、対ロ関係の改善という期待が遠のく、といった指摘があった。


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 昨日に引き続き、報告会「ウクライナとジョージアの最新情勢」用に準備した資料の中から、一部をお目にかけることにする。これまで個人的にジョージアの貿易データを分析したことなどなかったが、今回初めてそのデータを整理してみて、色々と認識を新たにさせられるところがあった。特に、ジョージアと言えばワインが名産ということで、ワインの輸出先を示した上掲のようなグラフを作成してみた。

 かつては、ロシアをはじめとする旧ソ連が、ジョージア・ワインの輸出先のほとんどを占めていた。ところが、ジョージアがロシアから離れEUへの接近を見せたことを受け、2000年代にロシアはジョージアのワインが衛生・品質基準を満たしていないとして輸入禁止措置を採り、ついには2008年のジョージア・ロシアの戦争が勃発し、ロシアへのワイン輸出は完全に途絶えていた。

 しかし、上掲のグラフに見るとおり、2013年にロシアがジョージア・ワインの輸入を解禁して復活、それ以降は再びロシアがジョージア・ワインの輸出先として圧倒的に大きな存在となっている。特に、2014年にロシアと欧米が制裁合戦を開始し、その一環としてロシアはワインを含む欧米産食品の輸入を禁止した状態にあるので、その要因もジョージア・ワインがロシアに再浸透することに繋がっていることだろう。

 一方、2014年のジョージア・EUの連合協定/FTA成立に伴い、ジョージアはEUに無税でワインを輸出できるようになったが、幾多の生産国がひしめくEU市場への浸透はそう簡単ではない。このグラフだけを見ると、ジョージアはEUよりもロシア・CIS諸国との関係を深めた方が経済的には得ではないかなどと、ついおせっかいなことを言いたくなる。

 上掲のグラフで、白い部分は、CISでもEUでもないその他世界である。ここ数年、ジョージア・ワインの輸出先で、その他世界も伸びつつある。特に中国向けが大きく伸びており、2018年1月にジョージア・中国のFTAが発効したことから、さらに伸びが期待できそうだ。今のところ、日本向けの輸出はそれほど大規模というわけではないが、日本でもジョージア・ワインの販路は広がっている模様。


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uage

 昨日は、所属先のロシアNIS貿易会で、「ウクライナとジョージアの最新情勢」という報告会をやった。私は昨年11月にベルギーのブリュッセルを訪問し、EU側の視点から見たウクライナとジョージアの実情につき調べる機会があった。また、本年9月にはウクライナとジョージアを相次いで訪問し、現地調査を行った。そこで、似ているようで違う、両国の最新の国情を比較しながら論じてみようという、そんな趣旨の報告だった。

 その報告に向け、色んな素材を用意したが、我ながら出来の良いグラフが1つあったので、それをブログでもお目にかけたい。ウクライナとジョージアの経常収支の構造を比較した図である。あまり見かけないタイプの図だが、こういう図にしてみたら分かりやすいのではないかと私自身が考え作ったものだ。

 ウクライナやジョージアのように、エネルギーを輸入に依存している旧ソ連の「持たざる国」は、どうしても商品(モノ)の貿易は赤字になりがちである。それをどうやって埋めるかが課題となる。ジョージアの場合は、サービス輸出の比率が大きい(商品輸出よりも大きくなっている)。そして、39億7,600万ドルのサービス輸出のうち、実に27億400万ドルをインバウンドの観光(旅行サービス輸出)で稼いでいる。一般論として言えば、観光だけで国民経済を賄うというのはそんなに簡単ではないが、ジョージアくらい観光資源が豊かで国の規模が小さければ、ある程度は「観光で食う」ということも可能になるのだろう。一方、ウクライナの場合には、現状で「雇用者報酬」で埋めている部分がかなり大きいが、これは要するに海外出稼ぎ収入である。

 2017年現在、経常赤字の相対的な規模はジョージアの方が大きく、経常赤字の対GDP比はジョージアが8.9%、ウクライナが1.9%である。


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ruuz

 これは、ここ1~2年ほど顕著になっている傾向だが、中央アジアのウズベキスタンは、ロシア主導の「ユーラシア経済連合」に加入していないにもかかわらず、ベラルーシなどと比べてもはるかにロシアとの経済協力の実を挙げており、ユーラシア経済連合加盟国=ロシアとの経済協力に前向きな国、という線引きが怪しくなってきた印象がある。

 そして、こちらの記事によれば、今般ロシアとウズベキスタンの経済協力が、さらに加速することになったようである。ウズベキスタンのタシケントで、第1回ロシア・ウズベキスタン地域協力フォーラムが開催された。フォーラムはプーチン・ロシア大統領が10月18~19日にウズベキスタンを訪問したのに合わせて開催された。同フォーラムの枠内で、両国間で800以上の契約・MOUが結ばれ、その総額は270億ドルに上る。具体的には、通商・経済協力の合意が609(62億ドル)、投資協力が202(208億ドル)となっている。新たに79の合弁企業、23の商社、20の卸売・物流センターが創設されることになった。金融・銀行分野では6の合意(8.6億ドル)が成立した。

 まあ、こういうイベントの成果は、盛大に盛られるものではあるが、それにしても両国の経済協力機運が高まっていることは事実なのであろう。


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P1060493

 ジョージアの夕食のひととき。ミックス・シャシリクの中央に炎の演出を施すという、インスタ症候群の皆さんが狂喜しそうな映える絵柄。観光客にとっては本当に魅力的な国だ。


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