
ロシアの周辺諸国は、ロシアでの出稼ぎ労働収入に依存している場合が多い。そして、その収入を本国に個人送金する(いわゆるレミッタンス)ことが、各国の経済を支えているパターンがあるわけである。
ロシアから外国への個人送金額は、たとえばこちらの記事に見るように、断片的に報道で伝えられたりする。しかし、もっと網羅的な情報源はないかと思って探してみたところ、何のことはない、ロシア中央銀行がウェブ上でそのデータベースを公開していることが判明した。判明したというか、そう言えば以前もこのデータベースを使った記憶があるが、その存在を失念していた次第である。
というわけで、データベースで最新データを入手して、上掲のような表にまとめてみた。ロシアの景気低迷やコロナ禍などがあり、2019~2020年には個人送金額に見るロシアでの出稼ぎ労働はやや下火となったが、2021年には前年比17.1%増と久し振りに盛り返した。
やはり、ロシア周辺の旧ソ連NIS諸国への送金が多く、2021年の場合、全体の90.4%を占めている。特に、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスの中央アジア3国が圧倒的に多い。同じ中央アジアでも、ロシアと同レベルの経済水準のカザフ国民がロシアに出稼ぎに行くことは稀で、閉鎖的なトルクメニスタンはほぼゼロに近い。
一方、ウクライナ、モルドバの人々は、EU圏に出稼ぎに出ることが増え、ロシアで働くことは少なくなった。これが近年の両国の価値観の変化にも繋がっていると言える。一方、このデータで見るとベラルーシへの個人送金は少ないが、これはベラルーシ国民にとってロシアで働くことがあまりに身近で、いわば通勤感覚なので、統計に反映されにくいという事情による。
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