私にとって、過去何年かで最も関心のあるテーマは、何を隠そう、「ミトコンドリアDNA」の問題であった。といっても、興味はあったけれど、当然のことながら専門知識などはなく、単に「ものすごく気になる」という状態だった。しかし、突然の沖縄マイブームで、『沖縄人はどこから来たか』なんていう本を読んで、それに関連してミトコンドリアDNAにもとづく日本人起源論に関する本をどうしても読みたくなった。そこで、とりあえず一番スタンダードっぽい篠田謙一『日本人になった祖先たち ―DNAから解明するその多元的構造』(NHKブックス、2007年)という本を取り寄せ、読んでみたというわけである。
母親だけから子供に伝えられるミトコンドリアDNAには、数多くのタイプがあり、それを辿ることによって、個人および人間集団のルーツに関する手がかりを得られるわけである。むろん、私自身、日本人全体の起源に加えて、自分自身のミトコンドリアDNAの型も知りたいし、可能であれば検査してみたいとすら思っていた。
期待に違わず、この本はすこぶる面白かった。しかし、読み終えた今となっては、当初思い描いていた、「ミトコンドリアDNAという決定的な証拠を辿って行けば、日本人の、そして自分自身のルーツが明らかになる」というイメージは、覆された感じがしている。その意味では、最終の第10章「DNAが語る私たちの歴史」が、実は最も重要なメッセージなのかもしれない。
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