5月31日、ロシアのプーチン大統領が、返り咲き後初めての外遊として、ベラルーシのミンスクを訪問した。まあ、訪問というよりも「トランジット」と呼んだ方がいいくらい、短時間立ち寄っただけだったようだが、ともあれこちらの記事にもとづき、その模様をお伝えする。

 5月31日宵、プーチンは遅れてミンスクの空港に降り立ったが、待たせただけあって、ベラルーシの経済的成果を称賛するリップサービスを見せた。さらに重要なことには、ベラルーシはユーラシア経済共同体の安定化クレジットの第3トランシュを受け取れることになった。さらに両国は、ベラルーシ原発建設に関する一般契約にも仮調印し、S.キリエンコ・ロスアトム総裁によれば、建設の第1段階の建設費として2億400万ドルの融資を実行することでも合意が得られた。ちなみに、ユーラシア経済共同体の安定化基金4.4億ドルは、ロシア側がベラルーシにより厳格な通貨・信用政策および民営化を要求し、本年2月以来見合わせていたものである。それ以降、ベラルーシ側が特に実績を挙げたわけではないが、今回も成果が出ないうちに前払いをすることを決めた形である。今回のプーチンの気前の良い対応に関し、専門家たちは次の2点の要因を指摘している。第1に、プーチンは大統領に復帰して初の外遊を台無しにしたくなかった。第2に、プーチンはユーラシア統合を引き続き自らの優先政策と位置付けており、ルカシェンコ・ベラルーシ大統領がこのプロジェクトに忠実な態度を保っていることに対する褒章という意味合いがあった。ただし、プーチン大統領は2日間の日程でベラルーシを訪問するという見方が当初はあったのだが、実際には宵の間ミンスクに立ち寄っただけで、6月1日朝にはプーチン大統領はもうメルケル・ドイツ首相と朝食を共にしていた。

 今回のベラルーシ・ロシア首脳会談は、プーチンが強引な手法で大統領選に勝利した直後のものだっただけに、会談後の共同声明で、ユーラシア諸国への内政干渉を戒めるなど、西側への対抗姿勢と独自のユーラシア統合路線が目立つものとなった。しかし、今回は友好関係が強調されたものの、専門家たちは、今後ロシア側がベラルーシにユーラシア統合問題やロシア資本の利益にかなう民営化政策を実施するよう、より厳しく求めるようになるだろうと予想している。

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