自分なりに気張って書いたレポートを脱稿してから、しばらく脱力していたけど、そろそろ平常に復帰しないと。
そんなわけで、久し振りにロシア経済のニュース。こちらの記事によると、クドリン前副首相・蔵相が、現地の『経済政策』という雑誌に、「新政府の展望」と題する論文を寄稿し、その中で新政府の10の課題を挙げているということである。残念ながら論文そのものを無料で閲覧することはできないようなので、上掲のニュースにもとづいて、クドリンの指摘した10の課題を以下のとおり整理しておく。
1.安定性と予測可能性。具体的には、財政規律を守り、オイルマネーを大衆迎合的な歳出に利用する誘惑を断ち切る。税制を長期的に堅持する。インフレは年3~5%以内に抑制。
2.国家行政の改革。綱紀粛正。
3.経済政策の脱中央集権化、地域および地方分権。
4.投資の増大を促す政策。固定資本蓄積がせめてGDPの27~28%の水準でなければならない(現状では22%程度で低迷)。固定資本投資の80%程度は予算外の資金によるものでなければならない。
5.国家の過剰な経済介入の縮小と、民間所有の保護。国有大企業の民営化の継続。
6.生産および社会インフラの拡充。道路、電力、水道、港湾、空港、住宅・公営事業など。道路工事の規模を近年中に少なくとも4倍に拡大する。
7.商品・資本市場における行政的障壁の除去。自由と引き換えにビジネスの責任も増すが、それを刑法ではなく民法の枠内で扱う。
8.医療・教育改革。
9.人口減で労働力が不足する事態への対応。資本・科学集約的なセクターを促進し、労働生産性を向上させる方策を探る。労働市場の流動化を図る。
10.より効果的な社会的保護政策。真に保護を求めている国民にそれが届くようにする。
以上がクドリンの10ポイントであった。記事によると、このほかクドリンは、政府が避けなければならない誤りについて、指摘しているということである。具体的には、政府がハイテク・プロジェクトを選定して支援しても、それが成功するのは稀であり、たいていの場合成功するのは民間のイニシアティブなので、支援策を万能薬のように考えてはならない、経済・社会・地政学的な問題が発生するたびに財政支出を拡大して解決しようとすることは自重しなければならない、自らの戦略の誤りで失敗した企業は市場から退場すべきで、そうした企業を国が救済してはならない(リストラされた従業員の保護は必要)、などと戒めている。
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