どうもロシアが「2050年までのロシア・エネルギー戦略」という政策文書を策定しつつあるようだ。昨今のロシアのことなので、策定が完了しても、一般に公開されるのかという疑問もある。タス通信がその草案を入手したということで、その概要につき伝えているので、まずはこちらの記事を抄訳する形で、石油部門についての要点を見ることにする。
ロシアにおける石油生産量は、2023年の5億3,100万tから5億4,000万tへと、当初の草案の要諦より5年早く(すでに2030年に)達し、2050年までこの水準を維持する可能性がある。タス通信が入手した最初の草案では、「目標シナリオ」において、2036年までに石油生産量が5億4,000万tに達すると想定していた。また、当初案では、「目標シナリオ」と「慣性シナリオ」の2つしか示されていなかった、更新版では「ストレスシナリオ」と「技術的可能性」という2つのシナリオが追加された。
ストレスシナリオでは、輸出機会の減少と外部環境の全般的悪化を背景に、エネルギー部門の生産が大幅に低下することを想定している。ストレスシナリオによれば2050年までにロシアからの石油輸出はゼロになる可能性がある。技術的可能性シナリオは、エネルギー産業の現在および予測される技術水準とインフラの限界に基づき、生産指標の可能な最大水準を検討するものであるが、経済的採算性と可能な措置の実現可能性は考慮していない。
目標シナリオによると、石油輸出は2023年の2億3,400万tから2030年には2億3,500万tに微増し、2050年までこの水準を維持する。国内市場への石油供給は、2023年の2億9,700万tから2030~2050年の3億500万tに増加する。
石油精製量は、2023年の2億7,500万tに対し、2030~2050年には2億8,300万tに達する可能性がある。石油製品の輸出量は、2023年の1億3,200万tに対して、2030~2036年には1億4,100万tに達し、2050年には1億4,600万tに達する可能性がある。
同戦略はまた、ロシアにはまだ活用されていない石油採掘ポテンシャルが少なくとも年間5億4,000万t程度あると指摘している。そのためには、特に枯渇した油田において、三次回収法を用いて不採算埋蔵量を回復させ、石油回収係数を高め、新たな生産地域を開発するための条件を整える必要があると、同文書は強調している。
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