今年こそはもう出ないだろうと思っていたロシアの通関統計集が、奇跡的にスラ研図書館に入荷し(笑)、2023年のロシア貿易の詳細が把握できるようになったので、それを使って色々作業をしようと思っているところである。まずは、個人的によくやることだが、ロシアの主要貿易相手国15ヵ国の変遷を、上表のとおりまとめてみた。以下、簡単に寸評を。
- 不動の1位の中国が、さらにシェアを伸ばし、過去最高の32.06%に。ただ、今年に入り、米国二次制裁の影が忍び寄っており、今後はどうなるか。
- ロシアの貿易相手国として、インドは伝統的に取るに足らない存在だったが、侵攻後のウラル原油爆買いで順位を上げ、2023年にはついに2位に躍り出た。
- 2022年には初めてトルコが2位になったことが注目されたが、2023年には3位に順位を落とした。ただ、トルコのシェアは2023年にさらに上がっており、激しすぎたインドに抜かれただけ。
- ユーラシア経済連合のパートナー国、ベラルーシおよびカザフスタンの重要性がさらに高まる方向にある。ベラルーシはロシアとの二国間関係を普通に伸ばしている形だろうが、カザフスタンの場合には同国からの輸入のかなりの部分が第三国製品の迂回取引である可能性が高い。同連合には非加盟だが、ウズベキスタンの順位も過去一。
- 先進国(≒ロシアにとっての非友好国)の中では、韓国がいやらしい粘りを発揮し、2023年には(シェアはともかく)順位は過去最高の6位を記録した。それで委員会。
- ヨーロッパへのウラル原油の入荷がほぼゼロになったので、伝統的にそのハブとなっていたオランダが、ついに圏外に消えた。
- 香港がこのランキングに入ってきたのは初めて。やはり中国製品のトンネル機能であろう。やはり初めてランク入りのUAEにも迂回路の可能性が。
- 安倍晋三先生、貴方は真に偉大だった。領土返還と平和条約締結のため、ロシアと経済協力をすると称しながら、実際には効果のある施策は打たず、その間、上表における日本のシェア・順位は低下していた。今日、日本がまあまあ順調に脱ロシアを図れているのは、その賜物です。
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