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 時々申し上げるように、私はロシアの経済地理を主たる研究テーマにしようとしていた時期があり、その一環としてロシアの経済特区のことを調べていた。しかし、最近ではロシアの特区もすっかり変質してしまい、情報はあまりアップデートできていない。

 そうした中、こちらの記事で、気になる情報が伝えられた。ロシア西部のベルゴロド州、ブリャンスク州、そして何とあのクルスク州(!)に、それぞれ特区が創設されるというのである。州の全域ではなく、その中の一部の区域が特区に指定される。今般、ロシア連邦政府が当該の政府決定を採択した。

 上掲地図に見るとおり、これら3州は、すべてウクライナと国境を接している。日常的にウクライナからカミカゼドローンが飛んでくるし、ついにはクルスク州がウクライナ軍により越境攻撃されるという屈辱も味わった。今回の特区創設のニュースに触れ、直感的に、現地住民の不満を逸らすための特例措置なのかと思った。

 ただし、記事によると、そもそも3州に特区を創設する旨の連邦法が、2024年6月22日にプーチン大統領署名により成立しており、今回の政府決定はその具体的中身を決めたということのようである。だとすれば、8月6日のクルスク州越境攻撃開始を受け、泥縄式に決めた措置ということではなさそうだ。それでも、ウクライナとの戦争で情勢が不安定化する3州への配慮であることは、おそらく間違いないだろう。


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