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 いつも不思議に思うのだが、ウクライナの組織は、公式ウェブサイトでなく、フェイスブックページで有益な情報を発信する傾向があるのではないかと思う。私が以前から統計データを利用していたウクライナ港湾管理局などは、公式HPにはほとんど見るべき情報が載らない。それに対し、フェイスブックページには、貨物輸送動向などの最新情報が定期的に掲載される。

 今般も、そのFBページに、興味深い図解資料が出たので、それを紹介してみたい。まず上図は、ロシアによる全面軍事侵攻開始後に、ウクライナの食料を黒海の港から運び出せなくなり、それを見かねた国連とトルコの仲介で、ロシア、ウクライナ、国連、トルコによる合意「黒海穀物イニシアティブ」が成立し、その下で行われた大オデーサ港からの食料輸出量の月別推移を示している。2022年9月から、合意が有効だった2023年7月16日まで。

 ところが、ロシアは黒海穀物イニシアティブに様々な難癖をつけ、2023年7月に合意を葬ってしまった。ただ、その頃には、ウクライナの執拗なドローン攻撃で損害を受けたロシアは黒海艦隊をあらかた東方のノヴォロシースク方面に退避させており、黒海西方ではロシア軍の脅威が低下した。それを受け、ウクライナは独自に黒海西岸沿いを進む輸出回廊を開設した。下図は2023年9月16日~2024年8月16日の輸送量だが、黒海穀物イニシアティブが有効だった時期より輸送量は拡大しており、しかも以前のように食料(図で黄色い部分)だけでなく、鉄鉱石・鉄鋼などその他の貨物(グレーの部分)も運べるようになった、というわけである。

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