ロイターがこちらで伝えているとおり、S&Pは8月2日、ウクライナの信用格付けを「選択的デフォルト(債務不履行)」に引き下げた。ウクライナが大規模な債務再編の最終段階に着手する中、外国債券の支払いを期日に行わなかったことを受けたもの。3,400万ドル相当の利払いが、1日に期限を迎えた。10日間の支払猶予期間内であるものの、ゼレンスキー大統領が債務再編が完了するまで債務返済停止を可能にする法律に署名したことを踏まえ、支払いが行われる可能性はほぼないとS&Pは判断した。S&Pは債務再編が実施されれば、ウクライナの格付けをいったんデフォルトに引き下げた上で、新たな条件などに応じてCCCかBに引き上げる可能性があるとしている。2022年のロシアによる侵攻前はウクライナの格付けはBだった。
さて、ウクライナ債務問題の全体像を分かりやすく示したような図解資料などがないかと思って探したのだが、見付かったのはロシア・タス通信のこちらの図解資料くらいだった。ウクライナ事情をロシアメディアでフォローするのはあまりよろしくないが、まあ差し当たりこれを参照しておくことにする。
この資料は主に上図のとおりウクライナの国家債務残高の対GDP比の推移を見たものである。2024年5月31日現在で債務残高は1,431.5億ドルであり、対GDP比は94%となっている。ただし、意外にも、ロシアによる全面軍事侵攻が始まって以降、激増したという感じにはなっていない。債務残高の内訳は、対外債務が1,027.5億ドル、対内債務が404億ドルである。
債権者の主な内訳は下に見るとおり。なお、私の理解によれば、ここに米国の名が登場しないのは、米国の対ウクライナ支援が融資ではなく無償援助だからだろう。
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