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 ロシアの天然ガス輸出データを整理していたら、奇妙なことに気付いた。目下ロシアはヨーロッパ向けのガス輸出を急減させているが、上図に見るとおり、同盟国のベラルーシ向けにも2022年に減少に転じ、2023年には従来の水準からほぼ半減となっていたのである。ベラルーシのルカシェンコ体制は、以前はしばしばガス供給をめぐってロシアと対立していたものの、現在は完全にプーチンの軍門に下っており、現時点では政治的な理由でガス供給が削減されるとは考えられない。

 それで、考えてみれば、一つ重要な要因を思い出した。ベラルーシでは、同国初となる「ベラルーシ原発」が稼働し、それに伴い発電用のガス需要が大幅に低下すると言われていたのだ。どう考えても、上図に見るガス輸入の低下は、それに起因するものであろう。

 ベラルーシ原発に関する事実関係は、こちらのサイトに日本語で分かりやすくまとめてある。要約すれば、ベラルーシ原発1号機は2020年11月に国内送電網に初めて接続され、2021年6月に同国初の商業炉として営業運転を開始した。これにより、電力供給の大部分をロシアからの輸入天然ガスに依存する同国で、30億立米以上の天然ガス利用を削減できることになった。さらに、2号機も2023年3月に運転を開始した。

 そう言えば、以前「ロシア依存を軽減するはずが逆効果だったベラルーシ原発」というコラムを書いたことがあった。それにしても、ベラルーシ向けは低価格に設定されているので儲けは少ないとはいえ、ロシアがガスの売り先に困っている時に、肝心の同盟国までもがガス輸入を低下させるというのは、何とも微妙な状況である。


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