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 EUとG7は今年初めからロシア産のダイヤモンドを制裁の対象としたが、こちらの記事によると、米国政府はその措置の再検討を始めたということである。

 記事によると、対露ダイヤモンド制裁に関し、アフリカ諸国、インドの研磨業者、ニューヨークの宝石業者から反対の声が上がっている。それを受け、米国政府はダイヤモンド制裁のうち、最も厳格な部分の見直しに着手した。

 米国は厳しい規制に関するG7の作業部会から外れており、参加はするが、関与はしていない状態だという。ただ、バイデン政権の幹部は、米国の立場は変わっておらず、G7との協力を続ける意向であり、「対露制裁と執行可能性の適切なバランスを探る」と述べた。

 3月以降、G7諸国のダイヤモンド輸入業者は、ロシア産でないことを自己証明しなければならなくなった。1月にはロシア産ダイヤの直接輸入に制裁が課された。9月以降EUは、0.5カラット以上のダイヤモンドについて、ダイヤモンドのハブであるアントワープを通過するに当たって、ブロックチェーンを使用したトレーサビリティ認証を受けることを求める。その後、アントワープ以外の集積地も追加される。

 しかし、情報筋によれば、米国はトレーサビリティの実施に消極的になり、トレーサビリティに関する話し合いは停滞しているという。バイデン政権関係者は、9月までにトレーサビリティ・メカニズムを導入するという約束は、米国ではなくEUに適用されるものだと述べた。

 米政府関係者によれば、アフリカのパートナーや生産者の懸念を考慮し、インドやアラブ首長国連邦のパートナーを尊重し、そして米国の産業界にとっても実行可能であることを確認する方法で進める必要がある。アンゴラ、ボツワナ、ナミビアの大統領が2月にG7首脳に書簡を送り、G7市場への参入点をあらかじめ決めることは不公平であり、自由を侵害し、収益を悪化させると訴えた経緯がある。この3カ国はダイヤモンド産出量の30%を占めている。

 制裁を緩和することは、抜け穴を残し、ニューヨーク、ロンドン、東京のブティックにロシア産ダイヤモンドを流通させる危険性をはらんでいる。2月にベルギー当局が数百万ドル相当のロシア産と疑われるダイヤを押収した際に、そのリスクが改めて浮き彫りになった。制裁の擁護者たちは、強固な禁止を実現するためにはトレーサビリティ・メカニズムが必要であり、G7ダイヤモンド宝飾品市場の50%を占める米国の全面的な関与がなければ、効果的なものにはならないとしている。業界の反発は、市場の透明性が高まることを恐れてのことだという。交渉に詳しいベルギー政府関係者は、抜け穴をしっかりと塞いでおくという決意を維持することが最も重要だと述べた。


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