ロシアの貿易統計をめぐる悲喜こもごもについては、先日発表したコラム「北大で発見 幻の(?)ロシア貿易統計集を読んでわかること」で語ったばかりだ。
そうしたところ、ロシアの貿易統計で、また新展開があった。何を思ったか、ロシア税関が不意打ちで、1~9月の輸出入データを発表したのである。ところが、これがまた中途半端な代物なのだ。ロシア税関のHPは外国からのアクセスが不能だが、私はVPNでアクセスすることができたので、これを紹介してみたい。
今回税関が発表した1~9月の輸出入額は、大陸別の数字、大分類の商品別数字という、2種類しかない。「まあ、ないよりはマシ」といった程度のデータである。
まず、大陸別の輸出入動向が、上表のとおり。大陸別よりも、EU、CIS、APECといった経済圏別の貿易額の方が有益だが、その情報はなし。上表で驚くのは、ヨーロッパとの貿易、特に輸出の激減である。従来ロシアの輸出は、ヨーロッパが5割、アジアが4割といった比率だったのだが、完全に様相が一変し、今年に入りヨーロッパは全体の2割にすぎなくなっている。
そして、商品別の輸出入動向が、下表のとおり。そもそも、分類が非常に粗くなった。軍需にかかわる機械、戦略物資の貴金属の数字を隠したいという意図が見える。全体として、輸出は(おそらく価格低下などを受けて)落ち込み、輸入は復調という傾向になっている。大陸別の輸出入額ほどの激しい構造変化は生じていない。
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