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 2年前に世間を騒がせた、中東系移民・難民がベラルーシの対EU国境に殺到した問題。その後、あれはどうなったのだろうか? こちらの記事の中でが、A.フリードマンという専門家が最新の動きを語っているので、同氏の発言要旨を以下整理しておく。なお、上図はこちらのサイトから拝借したもので、ベラルーシと近隣諸国の国境通過地点を示している。

 ルカシェンコの仕掛けた移民・難民問題は、当初の対リトアニア、ポーランド国境から、現在は対ラトビア国境に焦点が移っている。ベラルーシ・ラトビア間には2箇所の国境通過ポイントがあるが、ラトビアではそのうちの1箇所であるウルバヌィ・シレネ通過ポイントを閉鎖するという議論が持ち上がっている(上掲地図の21番)。

 現時点では、対ポーランド、リトアニア国境では情勢が安定しており、リトアニアでは対ベラルーシ国境を閉鎖する必要はないと示唆しているほどである。ルカシェンコ体制としては、こうした2国との関係を荒立てるよりは、移民たちをラトビアに向かわせ、ラトビアの出方、同国がポーランド・リトアニアとどこまで連帯しているかを見極めようとしている。

 他方で、現時点で一定数の移民たちがまだベラルーシに留まり、ルカシェンコ体制としてはこれをどうにかして片付けなければならない。そこで、これまでは主流ではなく、最も対応が弱いラトビアに向けているという面がある。

 その結果として、ラトビアが2つの国境通過ポイントのうち1つを閉鎖することになるかもしれないが、ベラルーシにとりその痛手は大したものではなく、それくらいで済めばむしろラッキーと言える。

 現在は、仮にルカシェンコ体制が移民・難民危機を再び演出しようとしても、移住希望者をリクルートする可能性が低下している。2021年には、たまたまクルド情勢がルカシェンコに味方した形だったが、現在はそのようなリクルート適地はない。

 ルカシェンコ体制は、再び大規模な移民・難民危機を起せば、EUから国境を閉鎖されたり、ロシアと同等の制裁を科せられたりといったリスクがあることを、よく分かっている。体制は、ロシアをめぐる危機に巻き込まれることを望んでいないように思える。


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