こちらの記事が、ベラルーシの上海協力機構加盟をめぐる動きを取り上げているので、以下要点を整理しておく。
ベラルーシの独裁者ルカシェンコはこのほど、上海協力機構の枠内で調印されていた22の条約にベラルーシが参加する旨の法律に署名し、7月13日に法令ポータルに掲載された。この法律は、ベラルーシの上海協力機構正式加盟に向けたプロセスの一環として採択された。
ベラルーシは、2024年初頭にも、上海協力機構に正式加盟すると見込まれている。
専門家のP.マツケヴィチは、ルカシェンコにとり上海協力機構は都合の良い舞台であると指摘する。欧米諸国と異なり、上海協力機構加盟諸国はすべて、ルカシェンコを正式に選出された大統領と認めている。そのサミットでは、4ヵ国が核保有国の元首であり、ルカシェンコは彼らと同格のパートナーという実感を味わえる。それは、ベラルーシがいまだに主権国家であり、ルカシェンコが引き続き多元外交の姿勢を崩していないと誇示する場となる。もやはロシアと西側の間でバランスをとるのは不可能なので、新たな支柱、とりわけ中国に頼ろうとしている。
別の専門家のR.トゥラルベコヴァは、次のように指摘する。ベラルーシにとり東方ベクトルは新しいものではない。イデオロギー的にはルカシェンコの勝利のように見えるが、欧米市場を失った損失は、基本的にロシア市場で埋めている。中国との貿易はわずかながら拡大しているが、二国間貿易はベラルーシ側の入超である。
マツケヴィチによれば、上海協力機構の経済ポテンシャルは確かに大きく、自由貿易圏の創設も検討されている。加盟諸国がベラルーシのカリ肥料や農産物購入を拡大することは考えられるし、加盟により輸送問題の解決、たとえばイラン経由でアフリカ市場にアクセスすることが促されるかもしれない。
ただし、トゥラルベコヴァが指摘するように、上海協力機構は経済援助組織ではない。先日カザフスタンのトカエフ大統領は、上海協力機構は20年で大規模な経済プロジェクトを一つとして実現できなかったと批判した。同機構の弱点は、金融機関を有していないことである。したがって、ベラルーシもプロジェクトファイナンスには期待できず、ルカシェンコはそうした問題を加盟諸国との交渉で自力で解決しなければならないと、トゥラルベコヴァは指摘する。
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