208

 最近のプーチン・ロシアによる言説の一つに、「新植民地主義」への批判というものがある。欧米、アングロサクソン、リベラリズム批判の一変種であり、内容的に真面目に取り合うほどのものではないが、そういうレトリックを使ってくるということは一応押さえておくべきだろう。

 それで、こちらの記事が伝えているのは、安全保障会議のN.パトルシェフ書記が、新植民地主義批判を、世界の食料市場にも応用したという話である。安保会議主催の安全保障問題に関する国際会合がモスクワ州で開催された後、パトルシェフ書記は記者団に以下のように語った。

 いわく、今回の会議でも総意が示されたとおり、そもそも世界で食料の絶対量は不足しておらず、しかも一連の欧州諸国では過剰生産すら見られる。にもかかわらず多くの国が食料不足に苦しんでいるのだ。現状に否定的な影響を及ぼしているのは、世界の食料市場を支配している多国籍企業である。会議での発言者は異口同音に、食料の問題は非効率な国際協力、公正な市場管理の欠如が引き起こしていると指摘した。国際的な食料供給に対する制限・制裁の撤廃が必要である。一切の政治化を排して、食料を苦しんでいる国に優先的に供給すべきだ。食料安全保障は、国家主権の根幹的な要素の一つであり、政治的な動機によるその制限は、新植民地主義以外の何物でもない。パトルシェフ書記は以上のように述べた。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ