以前も申し上げたとおり、現在ウクライナ大統領オフィス長官顧問を務めるM.ポドリャク氏は、かつてベラルーシでジャーナリストとして活躍し、ルカシェンコ体制の内幕に迫る良い仕事をしていた。私はその時代に大使館で同氏と対面したことがある。今だから言うが、外務省からとあるムネオチルドレンがベラルーシを訪問することになり、なるべく多くの面白い有識者に会いたいというので、個人的に注目していたポドリャク氏と引き合わせ、私も立ち会ったのだった。そして昨年、久し振りに同氏の名前を聞いたと思ったら、ウクライナでえらく出世していたので、驚いたわけである。
そのポドリャク氏が、ベラルーシ系のメディアのインタビューに答えており、例のルカシェンコ重病説などについてコメントしている。考えてみれば、この人ほどベラルーシ・ウクライナ関係を的確に見ることのできる人はいないだろう。以下、発言内容を整理しておく。
ロシアにとっても、ベラルーシにとっても、ルカシェンコの健康に多くがかかっている。クレムリンは戦争に関連し、情報、プロパガンダ、領土の提供などで、ベラルーシに期待している。ルカシェンコの健康に関するニュースは、ロシア指導部を慌てさせている。本件は、戦争のすべてのプロセス、少なくともその北部方面を、根本的に変えるものである。
ウクライナは、ルカシェンコの健康に関する情報に関しては、中立的な立場である。ウクライナにとって肝心なのは、ベラルーシ当局がいずれかの時点で、ウクライナの戦線で現実に起きていることを、悟ることだ。なぜロシアの敗北が不可避なのか、なぜベラルーシの不適切な対外路線が自国の未来にとって重大な結果をもたらすのかを、悟ってほしい。
(ルカシェンコが国連総会に招待されたことに関しては?)戦争の行方に大きな影響を及ぼすものではない。むろん、ウクライナとしては外交ルートを通じて不快感を示し、あらゆる法的・外交的手段でそれを阻止することになる。
(5月9日にウクライナの特務機関がベラルーシでテロを起そうとしたと、ベラルーシ当局が非難していることに関しては?)まったくばかげている。ウクライナが戦っているのはもっぱら防衛戦争である。たとえウクライナ侵略に加担しているからといって、ウクライナが第三国でテロを起こすことはありえない。
(ベラルーシ側が対ロシア国境の管理を強化していることに関しては?)ロシアではこれまで一貫して優位だったシラビキの権力体系が急激に弱体化しており、これから武器をもった人々が社会復帰をすると、その武器を使って不法行為を働く可能性がある。ベラルーシは、今後ロシアに到来するそのような犯罪の波を、本能的に感じ取っている。ロシアで起きようとしているのは、古典的な革命ではなく、武器を使った広範な反乱であり、ベラルーシはそれから逃れようとしている。
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