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 これまで、先進国のメーカーがロシアへの家電供給を停止しても、カザフスタンを経由するなどして、ロシアに流入し続けるという現象があった。しかし、こちらの記事が、カザフ政府がロシアへの供給をより厳格に管理するようになった結果、流通業者は別ルートを模索せざるをえなくなり、その結果商品が値上がりすることになると伝えている。なお、上図は同じ記事に添付されていた2022年1~2月と2023年1~2月のロシアにおける冷蔵庫販売市場の数量ベースブランド別シェア。

 記事によると、カザフスタンとウズベキスタンは、サムスン、LG、ボッシュ、エレクトロラックス等々といった家電の2大輸入国となっていた。それが、ロシアに並行輸入されていた。

 しかし、カザフ政府がロシアへの並行輸入の管理を厳しくすると表明すると、ディストリビューターは供給ルートを中国、キルギス、UAEなどにシフトするようになった。業者によると、カザフ経由は依然として不可能ではないが、通関管理が厳格化され、コスト高になったという。

 カザフのR.ヴァシレンコ外務次官は4月初頭、我が国は自国を対ロシア制裁の抜け穴にはしないと発言した。4月1日にロシアへの輸入貨物のモニタリング制度が開始された。ウズベクからの輸入も、カザフを経由するので、カザフの措置の影響を受ける。ちなみに、ウズベクではサムスンの現地生産も行われている。

 カザフの管理厳格化を受け、他の経由国にシフトすることで、ロシアにおける販売価格は10~12%値上がりすることになるとの指摘がある。また、上述のような先進国のブランドはロシアの商店から消えて、中国やトルコの家電に需要が移るのではないかとの見方もある。

 ある業界関係者によると、カザフが最終的に家電のトランジットを全面停止してしまうと、ユーラシア経済連合向けの家電をロシアに持ち込むのは、販売価格の高騰から、割に合わなくなる。ウズベキスタンからも大量の家電がカザフ経由で流入しており、送金の問題がある上に、トランジットが閉ざされればさらに困難が高まる。結局、カザフ・トランジットの停止により、一流ブランドのロシアへの並行輸入は割に合わなくなり、正式に供給している中国ブランドか、もしくはロシアブランドしか残らなくなるのではないか、という。


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