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 上の図は、こちらから拝借した。ロシアは、「途上国を食料危機から救うために、ウクライナから農産物を輸出する黒海穀物イニシアティブに合意してやったのに、ウクライナの食料は豊かな国にばかり行っていてけしからん」というキャンペーンを張っており、それを強調するために作ったような図だ。

 文句をタラタラ述べながらも、3月にロシアは、黒海穀物イニシアティブを60日間延長することに合意した。しかし、ロシアの主張している条件(こちら参照)が満たされなければ、5月の再延長には応じないと、ロシアは明言している。

 しかし、ロシアのこの駆け引きには、一つ弱点がある。上図に見るとおり、実は同イニシアティブで最大量の農産物を受け入れているのが、ロシアが頭が上がらない相手、中国なのである。私の見るところ、中国は同イニシアティブを妨害しないよう、ロシアに厳しく釘を刺しているはずである(例の中国が発表したウクライナ和平原則12箇条の中でも触れられていた)。

 その関連で、ロシアと中国が穀物供給に関する実務協議を進めているというこちらの記事が目に留まった。深読みすると、もしかしたら、ロシアは中国に、「我が国が貴国に供給するので、黒海穀物イニシアティブの件は忘れてくれ」と申し入れているのではないか、などと、邪推したくなる。

 ともあれ、記事によると、このほどロシア連邦動植物検疫局は、ロシアが中国当局と、小麦およびキビ、ライ麦粉、セモリナ等の穀物製品の対中輸出に関し作業を行っている旨を発表した。ロシア側は、ロシア全土から冬小麦、大麦、とうもろこし、菜種、米を供給する用意があることを再確認した。目下、それに必要な輸出証明書の取得に、ロシア側が取り組んでいる。また、ロシア側は非遺伝子組み換え大豆に固有の関税コードが割り当てられたことを中国側に報告、ロシアは遺伝子組み換え作物の栽培を禁止しているため、ロシア産大豆は中国市場において魅力的な商品となると、動植物検疫局は指摘した。


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