当ブログでは何度も指摘してきたとおり、昨年2月以来、ロシアが貿易統計を一切発表しなくなり、個人的にはあの手この手で断片的な情報をかき集め、ロシアの貿易動向を推察するという作業を続けてきた。そうしたところ、先日プーチンが演説の中で本件に触れる場面があり、「プーチンが2022年の輸出入額に言及した」としてお伝えした。

 しかし、その後気付いたのだが、その時点ですでに、ロシア税関局より、割と詳しい数字が発表されていたのだ。情報をキャッチするのが遅れ、お恥ずかしい限りである。そこで、改めて本件につきお伝えしたい。

 今回税関局が発表したのは、HSコードの2桁レベル「類」による2022年の商品別輸出入額である。ただし、農産物・食料品の第01~24類については、その合計額を示すのみで、類ごとの額は出していない。農産物・食料品がそれほど機微な分野とも思えず、不可解である(あるいは、昨今、ロシア当局が穀物輸出で国際社会に揺さぶりをかけていることに関係しているのか?)。

 また、第88類:航空機と、第93類:武器・弾薬は、未発表となっている。これらはモロに戦争に関係するので、ロシアが数字を出さないのは道理ではある。ただ、もともと第93類:武器・弾薬の輸出入規模はごくわずかで、それにより統計が損なわれ輸出入の全体像が見えにくくなるのはあまりにも惜しい。そこで私は個人的に、2022年にロシアは武器・弾薬を必要としたがゆえにその輸出を半減させ、輸入を倍増させたと仮定して推計することにした。そうすることで、第88類:航空機の輸出入額を推計することも可能になる。

 そうした作業も経ながら、まずロシアの輸出動向を大分類にまとめたのが、下表となる。グレーの網掛けの部分が、上述のような私の推計を含んだ数字となる。

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 次に、輸入動向が下表のとおりとなる。

7b

 というようなことを中心に、『ロシアNIS調査月報』5月号に渾身のレポートを執筆予定なので、お楽しみに。


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