ya

 習近平訪ロや岸田訪ウで埋没してしまったが、こちらのページに見るとおり、3月20日にモスクワで国際議会会合「多極世界におけるロシアとアフリカ」と称するものが開催された。プーチン大統領が出席し、15分程度の演説を行っている。20日は、午後にこの国際会議があり、夜に習近平国家主席とのサシ会談があるという慌ただしい一日だった。アフリカ、中国と焦点がぼやけてしまうことにもなり、そういうことから考えても、やはり習近平訪ロはわりと急に決まったのではないかなどと想像する次第である。

 プーチン・ロシアは昨年来、食料および肥料を武器に、グローバルサウスを取り込もうとする路線を強めている。ウクライナの食料はせっかく輸出を再開させてやったのに豊かなEUに向かっており、その点ロシアは、アフリカ、最貧国に穀物・肥料を無償で提供する用意もあるという立場を、今回の会議でも改めてプーチンは示した。非常に恣意的な発言振りであるが、個人的に今、調べているテーマなので、20日のプーチン演説の中から気になった箇所を以下のとおり抜粋しておく。

 ロシアの援助により、アフリカでは多くの工業企業が建設され、産業が創出され、重要なインフラや社会施設が建設されている。と同時に、ロシアはアフリカ諸国が負っていた200億ドル以上の債務を免除している。

 ロシア・アフリカ貿易は年々増加しており、2022年には180億ドル近くに達した。まだポテンシャルは大きい。金融決済における自国通貨への移行がより精力的に行われ、新しい輸送・物流チェーンが確立されることが、さらなる貿易の活発化に寄与する。

 2021年に始まったアフリカ自由貿易圏の設立は、最終的にGDPの合計が3兆ドルを超える汎大陸市場となるもので、さらなる機会を提供している。ロシアは、ユーラシア経済連合を通じても、また国レベルでも、この新しい連合との関係を積極的に構築したい。

 ロスネフチ、ガスプロムネフチ、ルスギドロ、アルロサ、ルクオイルなどにより、投資プロジェクトが実施されている。原子力も有望で、ロスアトムはすでにエジプトで原発を建設している。アンゴラではロシアの支援で衛星通信・テレビ放送システムが構築されている。ヤンデックスはアフリカ諸国で積極的にITサービスを展開している。

 ロシアは、食料、肥料、燃料、その他の重要商品をアフリカ諸国に供給する義務をすべて良心的に果たし、それによって食料およびエネルギーの安全保障に貢献していることを強調したい。肥料を含め、現在欧州で滞貨しているロシア貨物があるが、それを無償で提供する用意があり、すでに最初の貨物は発送された。だが、残念なことに、この面でもロシアは妨害を受けている。

 主にアフリカのニーズに応えるため、ロシアは最近、ウクライナの食料を黒海ルートで輸出し、同時にロシアの農産物と肥料の輸出ブロックを解除するイスタンブール協定を、60日間延長することに合意した。

 その際に、ロシアはこの取引が一体のものであることを主張している。主にアフリカやその他の発展途上国が大量の食料を必要としていることを考慮し、ロシアの主な主張が完全に遵守されるべきことを主張する。それはまず何より、穀物と肥料は飽和状態の欧州ではなく、困っているアフリカ諸国に送るべきという点である。

 ロシアの立場が考慮されてこそ、黒海穀物合意の公正かつ包括的な実施が確保される。ロシアが今後この取引に参加するかどうかは、それによって決まることを強調しておく。

 ウクライナから輸出された穀物の総量のうち、45%が欧州に行き、アフリカにはわずか3%しか向かっていない。2022年8月1日から2023年3月20日までに、827隻の船がウクライナを出港し、そのうちアフリカに送られた農産物は300万t、アフリカ最貧国には130万tにすぎなかった。アフリカ諸国を守る必要があるという名目で合意がなされたにもかかわらず、45%が飽和状態の欧州に送られたのだ。

 それに対し、同じ時期に、ロシアの穀物の輸出にあらゆる制限や制約があったにもかかわらず、ロシアからアフリカに1,200万t近くが輸送されたことを指摘したい。

 もし仮に、60日後に、黒海穀物合意を延長しないと決めたとする。その場合ロシアは、これまでアフリカの最貧諸国に供給していたのと同量の穀物を、全量無償で供給する用意がある。

 第1回ロシア・アフリカサミットを2019年10月にソチで開催したが、今年7月にサンクトペテルブルグで第2回を開催することを計画している。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ