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 開戦後、ロシアが貿易統計を発表しなくなり、個人的に断片的な情報をかき集めてロシアの貿易動向を推計するという作業を続けている。先日は、シンポジウムにおいて、“Analyzing Russia’s Foreign Trade Performance with No Russian Official Statistics Available”なんて報告をしたものだった。

 そうしたところ、昨日開かれたロシア産業家・企業家同盟の総会において、プーチン大統領が2022年の貿易額に言及する場面があった。ただし、プーチンは輸出額・輸入額を直接述べているわけではなく、輸出入合計が8.1%増で8,500億ドル、輸出は19.9%増、輸入は11.7%減、貿易黒字は3,320億ドルで70%増という形で、断片的に数字を挙げるに留まった。

 というわけで、プーチン発言をもとに、正式に発表されていた2021年の輸出入額と照らし合わせ、服部が上掲のような表にまとめてみたので、お目にかける。

 なお、ロシアの輸出入額の数字には、税関局および統計局が発表していた通関統計と、中央銀行が発表していた国際収支統計とがあり、両者には微妙なズレがある。プーチンは、どちらベースの数字なのか明言していないが、私が確かめてみたところ、通関統計ベースの方が数字が整合したので、プーチンが挙げたのはその数字だったと判断した。唯一、貿易黒字の伸び率は66.4%ではないかと思うのだが、ロシア人は急に数字がアバウトになることがよくあるので、プーチン発言は成果を強調する意味合いもあり「貿易黒字は70%近く伸びた」という意味だと解釈することにする。

 以前もお目にかけたが、私は断片的な情報をもとに、2022年の輸出入動向を下図のように推計していた。まあ、だいたい近かったか。

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